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【発明の名称】 皮膚外用剤組成物及び可溶化剤
【発明者】 【氏名】佐藤 政弘

【要約】 【課題】

【解決手段】窒素原子を含有する特定構造からなる共重合体から選ばれるN含有高分子化合物を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1)で表される繰り返し単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位とを有する共重合体、アクリル酸アルキルアミド・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルキルアミノ共重合体及び(メタ)アクリロイルアルキルベタイン・(メタ)アクリロイルアルキルアンモニウム塩・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のN含有高分子化合物を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
【化1】

(但し、上記式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、YはO又はNHを表し、R3及びR4はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。pは、上記単位の平均重合度であり、20〜2000である。)
【請求項2】 更に、難溶性物質を含有する請求項1記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】 上記難溶性物質として、下記一般式(2)で表わされるエラグ酸系化合物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する請求項2記載の皮膚外用剤組成物。
【化2】

(但し、上記式(2)中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアシル基、−(Cm2m−O)n−H(但し、mは2又は3であり、nは1以上の整数である)で示されるポリオキシアルキレン基又は下記構造式(3)
【化3】

で表わされる糖残基であり、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。R9は水素原子、水酸基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表わす。)
【請求項4】 更に、ポリエチレングリコール及び/又は1,3−ブチレングリコールを含有する請求項1、2又は3記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】 更に、エデト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、グルコン酸塩から選ばれる少なくとも1種のキレート剤を含有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】 pHが6〜8である請求項1乃至4のいずれか1項記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項7】 上記一般式(1)で表される繰り返し単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位とを有する共重合体、カチオン化セルロース、アクリル酸アルキルアミド・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルキルアミノ共重合体及び(メタ)アクリロイルアルキルベタイン・(メタ)アクリロイルアルキルアンモニウム塩・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のN含有高分子化合物を有効成分とする可溶化剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚外用剤組成物及び可溶化剤に関し、より詳しくは安全性、安定性などを損なうことなく皮膚美白成分などを可溶化した皮膚外用剤組成物であって、例えば優れた皮膚美白作用を発揮することが可能な皮膚外用剤組成物及び皮膚外用剤等の配合成分を好適に可溶化する可溶化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚のシミやソバカスなどの色素沈着の発生機序については不明な点が多いが、一般にホルモン異常や紫外線による刺激が原因となって、メラニン色素が過剰に生成し、皮膚内に異常沈着するものと考えられる。
【0003】このような色素沈着を予防又は改善する目的で、従来から、過酸化水素、過酸化亜鉛、過酸化マグネシウムなどの過酸化物、あるいはアスコルビン酸、グルタチオン、コロイドイオウ、各種天然物などを有効成分とする美白化粧料の使用が試みられてきた。しかしながら、これらの有効成分の多くは、安全性や安定性が十分でなかったり、あるいは匂いに問題がある上に、その効果についても、必ずしも十分なものとはいえなかった。
【0004】一方、米国などにおいては、ハイドロキノンが皮膚脱色剤として使用されているが、このハイドロキノンは、刺激性やアレルギー性を有し、安全性の面から、有効成分として配合するには問題がある。
【0005】従って、このような欠点を伴わずに、皮膚美白効果を奏する化粧料を開発するための種々の研究が行われ、これまでコウジ酸及びコウジ酸誘導体を用いた美白外用剤(特開昭53−3538号公報、特公昭56−18569号公報、同58−22151号公報、同60−9722号公報、同61−60801号公報)、クエルセチンを有効成分とする化粧料(特開昭55−92305号公報)、クエルセチンの脂肪酸エステルを有効成分とする化粧料(特開昭58−131911号公報)、カテキンなどを有効成分とする化粧料(特開昭52−44375号公報)などが開示されている。
【0006】しかしながら、これらの化粧料は、いずれも実際の使用に際しては、美白成分の安定性がまだ不十分であったり、あるいは細胞レベルでは効果が認められるものの、ヒトではその効果が十分に発揮されていないなどの問題があり、必ずしも十分に満足しうるものではない。
【0007】また、このような従来の美白を目的とする皮膚外用剤が有する欠点を克服し、且つ安定性が高い上、安全性や匂いなどについても問題のない皮膚美白効果を有する皮膚外用剤の提供を目的としてエラグ酸系化合物やそのアルカリ金属塩を有効成分とする化粧料(特許第1839986号)などが開示されている。
【0008】美白成分の効果は、皮膚内部への浸透により発現することから、美白成分の効果を増強するには、美白成分の経皮吸収性を向上することが重要となり、特に、美白成分としては、エラグ酸系化合物などのような難溶性物質を可溶化し、経皮吸収性を向上させることが重要である。
【0009】難溶性の薬効成分の経皮吸収性は、これまで種々の手法によりその向上が図られてきており、例えば超音波、クレアミックス、コロイドミル、マイルダーなどによる機械的手法で粒子を微細化し、経皮吸収性を向上させる方法(特開平10−81618号公報)が知られている。また、晶析法等の化学的手法で粒子を微細化し、経皮吸収性を向上させる方法(特開平10−81618号公報)が知られている。
【0010】しかしながら、本発明者らが更に検討を加えた結果、上記のような機械的手法で上記エラグ酸系化合物やそのアルカリ金属塩等の難溶性物質の可溶化を図る方法では、いずれも経皮吸収性を十分に向上させ、例えば通常の外用剤への配合濃度で十分な効果を奏する程度に可溶化するという点においては、未だ改良の余地があることがわかった。また、晶析法等の化学的手法では、アルカリや酸による溶解析出を行うための設備の付加が必要となったり、所望の微粒子を得るための溶解析出の制御が必要となるため、より簡易な手段で可溶化する方法が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、エラグ酸系化合物やそのアルカリ金属塩等の難溶性の有効成分を可溶化することができ、該有効成分の経皮吸収性を向上させて、極めて優れた効果を奏させることが可能な皮膚外用剤組成物及び皮膚外用剤等の配合成分を容易、且つ十分に可溶化する可溶化剤を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本発明者は、上記エラグ酸系化合物やそのアルカリ金属塩等の難溶性物質を可溶化し、これらを配合した製剤の経皮吸収性を向上することを目的に検討を重ねた結果、後述する実施例に示すように、特定のN含有高分子化合物がエラグ酸系化合物やそのアルカリ金属塩等などのような難溶性物質を極めて有効に可溶化する可溶化剤として機能し、従って、上記特定のN含有高分子化合物を皮膚外用剤組成物の配合成分として使用すると、組成物中に難溶性物質が配合されていても、該難溶性物質を可溶化し、その経皮吸収性を向上させることで優れた効果を発揮することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位とを有する共重合体、アクリル酸アルキルアミド・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルキルアミノ共重合体及び(メタ)アクリロイルアルキルベタイン・(メタ)アクリロイルアルキルアンモニウム塩・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のN含有高分子化合物を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物を提供する。
【0014】
【化4】

(但し、上記式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、YはO又はNHを表し、R3及びR4はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。pは、上記単位の平均重合度であり、20〜2000である。)
【0015】ここで、上記皮膚外用剤組成物が、更に、難溶性物質、特にエラグ酸系化合物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するものであると、より好適であり、また、更に、ポリエチレングリコール及び/又は1,3−ブチレングリコールを含有するものであったり、エデト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、グルコン酸塩から選ばれる少なくとも1種のキレート剤を含有するものであると、更に好適である。そして、上記皮膚外用剤組成物のpHが6〜8であると、特に好適である。
【0016】また、本発明は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位とを有する共重合体、カチオン化セルロース、アクリル酸アルキルアミド・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルキルアミノ共重合体及び(メタ)アクリロイルアルキルベタイン・(メタ)アクリロイルアルキルアンモニウム塩・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のN含有高分子化合物を有効成分とする可溶化剤を提供する。
【0017】以下、本発明をより詳細に説明する。本発明の皮膚外用剤組成物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位とを有する共重合体、アクリル酸アルキルアミド・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルキルアミノ共重合体、(メタ)アクリロイルアルキルベタイン・(メタ)アクリロイルアルキルアンモニウム塩・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体から選ばれるN含有高分子化合物を1種単独で又は2種以上適宜組み合わせて含有するものである。
【0018】
【化5】

【0019】ここで、上記式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、YはO又はNHを表し、R3及びR4はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、pは、上記繰り返し単位の平均重合度であり、20〜2000、特に100〜1000である。
【0020】本発明の第一のN含有高分子化合物は、上記一般式(1)で示される繰り返し単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位を有する共重合体であり、より具体的には、例えば、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】本発明の場合、これらの中でも、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタアクリル酸アルキルエステル共重合体がより好適である。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、好ましくは4〜18、より好ましくは炭素数4〜12である。
【0022】メタアクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が4〜12のN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタアクリル酸アルキルエステル共重合体としては、例えば「ユカフォーマー AM75−204」、「ユカフォーマー AM75−510」(三菱油化(株)製)等が市販されている。
【0023】本発明の第二のN含有高分子化合物は、アクリル酸アルキルアミド・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸アルキルアミノ共重合体であり、例えば、アルキル基の炭素数が4〜18、特に4〜12のアクリル酸アルキルアミドと、アルキル基の炭素数が4〜18、特に4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、アルキル基の炭素数が4〜18、特に4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルアミノとの共重合体を好適に使用することができる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよく、特に(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好適である。これらの中でも特にアクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体等がより好適であり、具体的には、例えば「アンフォーマー 28−4910」(日本NSC製)、「アンホーマー−LV−71」、「アンホーマー−LV−47」(油化産業製)等が市販されている。
【0024】本発明の第三のN含有高分子化合物は、(メタ)アクリロイルアルキルベタイン・(メタ)アクリロイルアルキルアンモニウム塩・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体であり、例えば、アルキル基の炭素数が4〜18、特に4〜12の(メタ)アクリロイルアルキルベタインと、アルキル基の炭素数が4〜18、特に4〜12の(メタ)アクリロイルアルキルアンモニウム塩と、アルキル基の炭素数が4〜18、特に4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルとの共重合体を好適に使用することができ、これらの中でも、例えばメタクリロイルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体等がより好適であり、具体的には、例えば「プラスサイズL−450」(互応化学製)等が市販されている。
【0025】本発明の皮膚外用剤組成物における上記N含有高分子化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、組成物全量に対して、0.01〜10%(質量%、以下同様)、より好ましくは0.05〜7%、更に好ましくは0.1〜3%である。上記N含有高分子化合物の配合量が少なすぎると、組成中の難溶性物質を十分に可溶化することが困難となる場合があり、多すぎると、それ以上の配合の効果が得られず、不経済となる場合がある。
【0026】本発明の皮膚外用剤組成物は、難溶性物質を含有するものであると、より好適であり、難溶性物質としては、皮膚外用剤に配合可能であれば、その種類が特に制限されるものではなく、例えばピロクトンオラミン等の殺菌成分、フルルビプロフェン、フェルビナク、インドメタシン、ケトプロフェン等の消炎成分、エラグ酸誘導体等の美白成分などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせ使用することができる。本発明の場合、これらの中でも特に下記一般式(2)で表わされるエラグ酸系化合物及びその誘導体から選ばれる1種以上の化合物を含有すると、上記特定のN含有高分子化合物の可溶化剤としての機能が十分に発揮されるので、特に効果的である。
【0027】
【化6】

(但し、上記式(3)中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアシル基、−(Cm2m−O)n−H(但し、mは2又は3であり、nは1以上の整数である)で示されるポリオキシアルキレン基又は下記構造式(3)
【0028】
【化7】

で表わされる糖残基であり、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。R9は水素原子、水酸基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表わす。)
【0029】ここで、上記エラグ酸系化合物について詳述すると、本発明において使用するエラグ酸系化合物は上記一般式(2)において、R5,R6,R7及びR8はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルキル基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアシル基、−(Cm2m−O)n−H(但し、mは2又は3であり、nは1以上の整数である)で示される(ポリ)オキシアルキレン基又は上記構造式(3)で示される糖残基であり、R9は水素原子、水酸基又は炭素数1〜8、好ましくは1〜3のアルコキシ基である。なお、アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。
【0030】R5,R6,R7,R8がアルキル基である場合、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。また、R5,R6,R7,R8がアシル基である場合、その具体例としては、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。更に、R5,R6,R7,R8が−(Cm2m−O)n−Hである場合、その具体例としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基であり、nは1以上の整数であり、特に5〜40が好ましい。そして、R5,R6,R7,R8は相互に同一でも、異なっていてもよい。更に、R9がアルコキシ基である場合、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、特にメトキシ基が好ましい。
【0031】また、上記エラグ酸系化合物の誘導体としては、エステル、塩等が挙げられるが、特に塩等が好適に使用され、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などを挙げることができるが、これらの中でも、エラグ酸のフェノール性水酸基の一部がアルカリ金属塩となったものが溶解性、分散性等の点から特に好ましく、アルカリ金属塩で部分的に中和したエラグ酸を調製する場合、エラグ酸分散液をアルカリ金属水溶液でpH12〜14に調整して溶解させた後、硫酸等の無機酸又は有機酸で任意のpHに調整することによって沈殿した一部中和塩を捕集することにより得ることができる。この方法により処理すると、純度の低いエラグ酸を用いた場合でも、混入しているタンニン等の不純物を効率よく除去でき、且つ外観も良好で、黒みのない色調の部分中和塩を得ることができる。これらのエラグ酸系化合物のアルカリ金属塩としては、例えばナトリウム塩やカリウム塩などが挙げられる。
【0032】本発明のエラグ酸系化合物としては、例えば上記一般式(2)で示されるエラグ酸系化合物の中でも、特に上記R5〜R9が全て水素原子であるエラグ酸やR5〜R8が水素原子、メチル基又はエチル基であり、且つR9が水素原子、水酸基又はメトキシ基であるものが好ましく、具体的には、エラグ酸、3,4−ジ−o−メチルエラグ酸、3,3’−ジ−o−メチルエラグ酸、3,3’,4−トリ−o−メチルエラグ酸、3,3’,4,4’−テトラ−o−メチル−5−メトキシエラグ酸、3−エチル−4−メチル−5−ヒドロキシエラグ酸、アムリトシド(Amritoside)及びそれらの塩等を挙げることができ、これらの化合物は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なお、上記アムリトシドは、上記一般式(1)において、R5を上記構造式(3)で示される糖残基、R6〜R9をそれぞれ水素原子としたものである。また、エラグ酸のフェノール性水酸基の一部がナトリウム塩やカリウム塩となったものが、溶解性が良いという点で好ましい。
【0033】上記エラグ酸系化合物やその塩は、皮膚外用剤組成物に配合する際に、その親油性又は親水性を調整するために、上記一般式(2)のR5,R6,R7及びR8のいくつかを炭素数20まで、特に5〜20の長鎖アルキル基、炭素数20まで、特に5〜20の長鎖アシル基としたり、−(Cm2m−O)n−H(但し、mは2又は3、nは1以上の整数)で示される(ポリ)オキシアルキレン基及び上記構造式(3)で表される糖残基の中から選ばれた任意の基により置換してもよいし、また、R9についても同様に炭素数8まで、特に5〜8の長鎖アルコキシ基に置換しても好適である。
【0034】これらのエラグ酸系化合物は、イチゴ、タラ(Caesalupinia Spinosa)、ユーカリ材(Eucalyptus)、リンゴ、毒ウツギ(コリアリア ヤポニカ)、ラジアタ松、クマコケモモ、ザクロ、アンマロク、ウキュヨウ、エンフヨウ、ガイジチャ、カコウジュヨウ、カシ、キジュ、ケンジン、コウナカ、サンウキュウコン、サンウキュウヨウ、シュウフボク、センクツサイ、スゲンロウカンソウ、ダイヒヨウソウ、ドウモウアンヨウ、ハオウベン、バンセキリュウカン、バンセキユウヒ、ボウカ、モッショクシ、ヤトウセイカ、ヤトウセイヒ、ユカンコン、ユカンボクヒ、ユカンヨウ、リュウガソウコン、バンセキリョウヨウ、ウキュウボクコンピ、シドコン、チンシュソウ、ゲンノショウコなどの天然物から以下のような方法で容易に得ることができる(特公昭53−14605号公報参照)。
【0035】即ち、エラグ酸系化合物を含有する上記天然物の乾燥粉砕品を、通常の酸性亜硫酸塩法によって蒸解した後、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムのアルカリ水溶液(pH10〜13)に浸漬する。浸漬液を分取した後、浸漬液に硫酸や酢酸等の酸を加えてpHを2〜8に調整し、エラグ酸系化合物を主成分とする沈殿物を得る。この沈殿物を遠心分離等によって捕集し、更に水洗することにより不純物を除き、純度の高いエラグ酸系化合物を得ることができる。
【0036】本発明の皮膚外用剤組成物に配合し得るエラグ酸系化合物は、このように天然物中に広く存在するものであって、安全性は極めて高いと考えられるが、念のため安全性を確認したところ、急性毒性、皮膚刺激性、皮膚感作性、変異原性などの点で、実用上特に問題は認められず、安全性は高いことが確認された。本発明の皮膚外用剤組成物に上記エラグ酸系化合物又はその誘導体を配合する場合、エラグ酸系化合物及び/又はその誘導体(美白成分)は、1種又は2種以上を任意に選択して用いることができる。
【0037】本発明の皮膚外用剤組成物に上記難溶性物質を配合する場合、その配合量は特に制限されず、配合する難溶性物質の種類などによって適宜選定することができ、例えば上記エラグ酸系化合物及び/又はその誘導体を配合するのであれば、その配合量はエラグ酸系化合物等の種類などによって適宜選定することができるが、通常、組成物全量に対して、0.001〜30%が好ましく、更に好ましくは0.05〜10%である。配合量が少なすぎると十分な美白効果が発揮されない場合があり、多すぎると十分に可溶化することが困難となる場合がある。また、同様の理由により、上記特定のN含有高分子化合物に対する配合割合は、好ましくは、N含有高分子化合物:エラグ酸系化合物及び/又はその誘導体(質量比)=95:5〜30:70、より好ましくは90:10〜40:60、更に好ましくは83:17〜59:41である。
【0038】本発明の皮膚外用剤組成物は、更に、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールの少なくともどちらか一方のグリコール類を含有するものであると、保湿効果が得られると共に、可溶化が促進されるので、より好適である。なお、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、皮膚に対する使用感を考慮すれば、通常、重量平均分子量が200〜4000、特に300〜2000のものが好適である。ここで、これらの配合量は、特に限定されないが、通常、組成物全量に対して好ましくは0.01〜70%、より好ましくは0.1〜30%、更に好ましくは1〜10%である。配合量が少なすぎると保湿効果や可溶化促進効果が十分に得られ難い場合があり、多すぎるとそれ以上の可溶化促進効果が得られない場合がある。また、同様の理由により、上記特定のN含有高分子化合物に対する配合割合は、好ましくは、N含有高分子化合物:グリコール類(質量比)=20:80〜5:95、より好ましくは40:60〜5:95、更に好ましくは25:75〜10:90である。
【0039】また、本発明の皮膚外用剤組成物は、更に、エデト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、グルコン酸塩から選ばれる少なくとも1種のキレート剤を含有するものであると、難溶性物質の結晶成長が抑制されるので、より好適である。ここで、上記キレート剤の配合量は、特に限定されないが、通常、組成物全量に対して、好ましくは0.001〜10%、より好ましくは0.01〜5%、更に好ましくは0.1〜3%である。配合量が少なすぎると結晶成長抑制効果が十分に得られ難い場合があり、多すぎるとそれ以上の配合効果が認められず、不経済となる場合がある。また、同様の理由により、上記特定のN含有高分子化合物に対する配合割合は、好ましくは、N含有高分子化合物:キレート剤(質量比)=100:1〜1:1、より好ましくは100:1〜5:1、更に好ましくは94:6〜90:10である。
【0040】本発明の皮膚外用剤には、上記成分の他に、通常の外用剤に用いられている成分、例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、保湿剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料、色素、紫外線吸収剤・散乱剤、ビタミン類、アミノ酸類、水等を適宜必要に応じて配合することができる。
【0041】界面活性剤としては、具体的には、親油型グリセリンモノステアレート、自己乳化型グリセリンモノステアレート、ポリグリセリンステアレート、ソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン化ミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のノニオン界面活性剤;ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤;塩酸アルキルアミノエチルグリシン液、レシチン等の両性界面活性剤等を例示することができる。
【0042】油分としては、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等の植物油脂類;ミンク油、卵黄油等の動物油脂類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸類の天然及び合成脂肪酸類;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び合成高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類を例示することができる。
【0043】保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリグリセリン、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;アミノ酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分;ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子物質等を例示することができる。
【0044】増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、珪酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、トラガントガム、デンプン等の天然高分子物質;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン等の半合成高分子物質;カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子物質等を例示することができる。
【0045】防腐剤としては、安息香酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4'−トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール等を例示することができる。
【0046】酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸等を、pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニア水、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素カリウム、クエン酸、コハク酸、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等をそれぞれ例示することができる。
【0047】紫外線吸収剤・散乱剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等を例示することができる。
【0048】ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸及びその誘導体等を例示することができる。
【0049】アミノ酸類としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン及びその誘導体等を例示することができる。
【0050】ここで、本発明の皮膚外用剤組成物は、pHが6〜8であると、より好適であり、必要に応じて上記pH調整剤を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて上記pH範囲とすることが望ましい。pHが低すぎると難溶性物質が十分に可溶化されない場合があり、高すぎると皮膚に対する使用感が損なわれる場合がある。
【0051】本発明の皮膚外用剤組成物は、例えば皮膚化粧料として好適に用いることができる。皮膚用化粧料としては、クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック剤、ジェル剤、シート剤等に使用することができる。
【0052】本発明の皮膚外用剤組成物を皮膚化粧料として用いる場合、その具体的な処方例を示すと以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
【0053】皮膚用クリーム上記N含有高分子化合物0.1〜10%、エラグ酸系化合物又はそのアルカリ金属塩0.01〜2%、キレート剤0.001〜2%、油分1〜70%、界面活性剤0.1〜7%、保湿剤1〜30%、pH調整剤0〜3%、精製水バランス、防腐剤微量、香料微量を含有する組成物(合計100%)。
【0054】乳液上記N含有高分子化合物0.1〜7%、エラグ酸系化合物又はそのアルカリ金属塩0.01〜2%、キレート剤0.001〜2%、油分1〜40%、アルコール類0〜20%、界面活性剤0.1〜5%、保湿剤1〜30%、増粘剤0〜5%、pH調整剤0〜5%、精製水バランス、防腐剤微量、香料微量を含有する組成物(合計100%)。
【0055】化粧水、美容液上記N含有高分子化合物0.5〜10%、エラグ酸系化合物又はそのアルカリ金属塩0.01〜2%、キレート剤0.001〜2%、油分0〜40%、アルコール類0〜40%、界面活性剤0〜5%、保湿剤1〜30%、増粘剤0〜5%、酸化防止剤0〜1%、pH調整剤0〜5%、精製水バランス、防腐剤微量、色素0〜微量、香料微量を含有する組成物(合計100%)。
【0056】パック剤上記N含有高分子化合物0.1〜10%、エラグ酸系化合物又はそのアルカリ金属塩0.01〜2%、キレート剤0.001〜2%、アルコール類0〜40%、保湿剤0〜10%、無機粉体0〜20%、造膜剤0〜20%、精製水バランス、防腐剤微量、香料微量を含有する組成物(合計100%)。
【0057】ジェル剤上記N含有高分子化合物0.1〜10%、エラグ酸系化合物又はそのアルカリ金属塩0.01〜2%、キレート剤0.001〜2%、アルコール類0〜40%、保湿剤1〜40%、増粘剤0.01〜20%、pH調整剤0〜10%、精製水バランス、防腐剤微量、色素0〜微量、香料微量を含有する組成物(合計100%)。
【0058】シート状化粧料上記N含有高分子化合物0.5〜15%、エラグ酸系化合物又はそのアルカリ金属塩0.01〜2%、キレート剤0.001〜2%、アルコール類0〜40%、保湿剤1〜40%、増粘剤0.01〜10%、pH調整剤0〜5%、精製水バランス、防腐剤微量、色素0〜微量、香料微量を含有する液剤(合計100%)をシートに含浸してなる組成。
【0059】ここで、本発明の皮膚外用剤組成物をシート状化粧料として使用する場合、シートとしては、例えば、天然パルプ、レーヨン、アクリル、ナイロン、ポリウレタン、シルクを素材とするもの、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエステル−ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンなどの疎水性高分子素材に対して、レーヨン、コットンなどの吸水性を有する高分子素材を混入しているものが挙げられ、それらは、浸漬接着式、ニードルパンチ式、スパンボンド式、ステッチボンド式、メルトブローン式、スパンレース式など、各々の適する製造方法によって作られるが、シート状化粧料の作成に対しては、使用目的や使用部位に応じて適宜選択することが可能であり、何れの形状でもよい。また、シートとして、セルロース系繊維単独又はセルロース系繊維及び合成樹脂系繊維からなる水流交絡の不織布を使用する場合、セルロース系繊維と合成樹脂系繊維の重量比は100/0〜10/90、好ましくは100/0〜50/50であると好適であり、不織布としての平均繊維間距離が5〜100μm、好ましくは10〜60μmである不織布が好ましい。そして、本発明の皮膚外用剤組成物は、不織布重量に対し、2〜15倍量、より好ましくは5〜10倍量含浸させることがよく、2倍量より少ないと十分な肌への貼付性が得られない場合があり、15倍量を超えても貼付性の向上は認められず、貼付時の液だれなどの問題を生じる場合がある。
【0060】本発明の皮膚外用剤組成物の調製方法は、特に制限されるものではなく、各種剤型の常法に準じて調製することができるが、本発明において、上記特定のN含有高分子化合物は、可溶化剤として使用することができ、例えば本発明の皮膚外用剤組成物において、上記エラグ酸系化合物やその誘導体等の難溶性物質の可溶化剤として使用する場合、各種剤型の調製過程における可溶化の方法の好適な例を以下に記載する。
【0061】上記難溶性物質が例えば上記エラグ酸系化合物やその誘導体であれば、これらを水(水溶液)又は常温で液体の溶媒(特定の溶質を含んでもよい)に分散させ、これにアルカリ性物質を添加し、スリーワンモーター等で撹拌し、エラグ酸溶解アルカリ小物を調製する。別に上記特定のN含有高分子化合物を溶解しておいた主配合槽に、上記エラグ酸溶解アルカリ小物を添加し、撹拌により、均一な透明溶液を得る。更に、pH調整剤により、所望のpHに調整する。
【0062】本発明の皮膚外用剤組成物に配合された上記エラグ酸系化合物やそのアルカリ金属塩等の難溶性物質は、皮膚上で水分や脂質に溶解してから皮膚に浸透し、その効果を発揮するものであり、本発明の皮膚外用剤組成物は、上記特定のN含有高分子化合物の配合により、上記エラグ酸系化合物やその誘導体などの難溶性物質を可溶化することにより、以下の効果を発揮しうるものである。
【0063】■上記難溶性物質の皮膚への浸透速度と単位時間当たりの浸透量とが増大する。
■上記難溶性物質の経皮吸収量が増大する。
■皮膚外用剤組成物の長期安定性が向上する。
■使用感に優れ、且つ外観が向上する。
【0064】本発明の可溶化剤は、上記特定のN含有高分子化合物及びカチオン化セルロースから選ばれる1種以上のN含有高分子化合物を有効成分とするものであり、カチオン化セルロースとしては、例えば塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースは、ヒドロキシエチルセルロースにグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを付加して得られる高分子化合物であり、例えばカチオン化度が0.1〜0.6、特に0.2〜0.4のものを好適に使用することができる。カチオン化度が小さすぎても、大きすぎても、本発明が目的とする可溶化の効果を十分に得ることができない場合がある。また、平均重合度は、好ましくは50〜1900、より好ましくは50〜500、更に好ましくは50〜300である。平均重合度が小さすぎても、大きすぎても、本発明が目的とする可溶化の効果を十分に得ることができない場合がある。なお、市販されているものとしては、例えば「レオガードKGP」、「レオガードMGP」(いずれもライオン化学(株)製)などが挙げられる。
【0065】本発明の上記特定のN含有高分子化合物を有効成分とする可溶化剤は、その可溶化する成分が特に制限されるものではなく、具体的には、例えばピロクトンオラミン等の殺菌成分、フルルビプロフェン、フェルビナク、インドメタシン、ケトプロフェン等の消炎成分、エラグ酸誘導体等の美白成分などを可溶化するのに有用である。なお、上記N含有高分子化合物の有効量は、特に制限されるものではなく、本発明の皮膚外用剤組成物のN含有高分子化合物の組成物中の好適な配合量、難溶性物質(可溶化する成分)に対する好適な配合割合が好適である。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、特定のN含有高分子化合物により、上記エラグ酸系化合物などの難溶性物質を十分に可溶化することができる。従って、上記N含有高分子化合物を含有する本発明の皮膚外用剤組成物は、上記エラグ酸系化合物などの難溶性物質が配合されている場合、これらの難溶性物質は十分に可溶化されているので、速やかに経皮吸収されてその作用効果を発揮することができると共に、不溶成分の存在がないため、外観、使用感にも優れるのみならず、保存による結晶析出などもなく、保存安定性にも優れる皮膚外用剤組成物である。また、上記N含有高分子化合物を有効成分とする本発明の可溶化剤は、容易、且つ安全性を損なうことなく、各種組成物に配合された難溶性物質を可溶化することができるので、皮膚外用剤組成物などの可溶化剤として、特に有用である。
【0067】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。
【0068】[実施例1〜4及び比較例1〜3]表1に示す組成に従って、エラグ酸のアルカリ溶液(エラグ酸+ジイソプロパノールアミン+精製水)に、N含有高分子化合物などの成分を加え、撹拌溶解した後、クエン酸でpHを調整して、実施例1〜4及び比較例1〜3の皮膚外用剤組成物を得た。なお、組成物中の配合量は質量%で表した。
【0069】薬効成分の生物学的利用に関する要因としての経皮吸収性について、以下の方法により、上記実施例1〜4及び比較例1〜3の皮膚外用剤組成物に配合されたエラグ酸のin vitroにおける経皮吸収量を測定し、その効果を検討した。
【0070】即ち、モルモット(Std:Hartley系、雄)の背部皮膚を切り取り、約100mg程度の各組成物を皮膚全面に塗布し、これを組成物塗布側がドナー側となるように経皮吸収試験用セルのドナーとレセプターの間にはさみ固定した。次に、レセプター側を滅菌生理食塩水で満たした後、セルを水槽に入れ、攪拌しながら32℃にインキュベートした。なお、上記実施例1〜4及び比較例1〜3の皮膚外用剤組成物に配合したエラグ酸には、その化合物を14Cでラベル化した放射性同位体を10%均一に混合したものを用いた。24時間かけてインキュベートした後、レセプター液1mlをサンプリングし、ピコフロー(パッカードジャパン社製)3mlを加え、液体シンチレーションカウンターを用いて、その放射性を測定することにより、皮膚を透過したエラグ酸の量を測定した。次に皮膚外用剤組成物の未吸収分をよく洗浄した後、直径1cmのパンチで一定面積の皮膚を採取し、液体シンチレーション測定用のガラスバイアルに溶解しやすいようにハサミで切り刻んで入れ、ソルエン−350(パッカードジャパン社製)を2ml加えて60℃で加熱溶解し、液体シンチレーションカウンターで皮膚内のエラグ酸の量を測定した。そして皮膚を透過した量と皮膚内の量を合計して、上記実施例1〜4及び比較例1〜3の皮膚外用剤組成物におけるエラグ酸の経皮吸収性を評価した。結果を表1に併記する。
【0071】なお、結果はエラグ酸分散液(エラグ酸と水のみ、粒子径は約0.7μm)の経皮吸収量を1として、その相対値を示した。
【0072】また、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた皮膚外用剤組成物の調製時の外観を目視観察した。また、各組成物を50mlのバイアル瓶に入れ、25℃で1ヶ月保存した後、エラグ酸の沈降が発生しているか否かを目視にて観察して下記基準により保存安定性を評価をした。結果を表1に併記する。
【0073】<判定基準>◎:析出が認められない○:オリ状の析出が認められる△:微量の結晶性析出が認められる×:著しく結晶性析出が認められる【0074】
【表1】

【0075】*1:カチオン化セルロース、ライオン化学(株)製(以下、同様)
*2:N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム-α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体水溶液、三菱油化株式会社製(以下、同様)
*3:アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体の水・エタノール溶液、日本NSC製(以下、同様)
*4:メタクリロイルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体の水・エタノール溶液、互応化学製(以下、同様)
【0076】なお、表中の上記N含有高分子化合物の配合量は、各N含有高分子化合物(純分)としての配合量である。
【0077】[実施例5〜18]表2〜4の組成に従って、上記実施例1の調製方法に準じて実施例5〜18の皮膚外用剤組成物を調製し、表2〜4に示す容器に収容した。各皮膚外用剤組成物の調製時の外観を目視観察した。結果を表2〜4に併記する。また、上記実施例で使用した香料組成物A〜Eの組成を表5〜15に示す。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
【表11】

【0088】
【表12】

【0089】
【表13】

【0090】
【表14】

【0091】
【表15】

【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【代理人】 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−348205(P2002−348205A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−157552(P2001−157552)