| 【発明の名称】 |
腫瘍の治療方法およびPDT並行治療用活性化リンパ球の増殖・加工受託システム、PDT並行治療のための腫瘍治療用投与製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】柳井 秀雄
【氏名】沖田 極
【氏名】黒岩 保幸
【氏名】関根 暉彬
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| 【要約】 |
【課題】PDT療法による施術と並行治療することを前提として、必ずしも癌特異性を付与しない活性化リンパ球を用いた投与療法による癌等の腫瘍の壊滅もしくは拡大抑制効果の向上をはかる。
【解決手段】PDT療法の施術と前後した一定期間内に活性化リンパ球の投与を並行しておこなうようにした。 これにより、PDT療法と活性化リンパ球投与による治療との相乗作用をもって、各種の癌、とりわけて胃癌をはじめとした腫瘍の縮小制圧に著しい効果を発揮するばかりでなく、特にPDT単独治療に対して感受性を有さない腫瘍に対しても優れた治療効果を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】PDT療法の施術と並行して活性化リンパ球の投与をおこなうようにした腫瘍の治療方法。 【請求項2】PDT療法の施術が複数回の繰り返しにわたるものであるところの請求項1に記載の腫瘍の治療方法。 【請求項3】活性化リンパ球の投与が、PDT療法の施術前6ヶ月間以内のみであるところの請求項1〜2に記載の腫瘍の治療方法。 【請求項4】活性化リンパ球の投与が、PDT療法の施術後6ヶ月間のみであるところの請求項1〜2に記載の腫瘍の治療方法。 【請求項5】活性化リンパ球の投与が、PDT療法の施術の前後それぞれ6ヶ月間以内での並行治療であるところの請求項1〜2に記載の腫瘍の治療方法。 【請求項6】活性化リンパ球は、抗CD3抗体もしくはインターロイキン2により増殖培養あるいは活性化培養したものであるところの請求項1〜5に記載の腫瘍の治療方法。 【請求項7】PDT療法の施術と並行して投与する活性化リンパ球が、癌特異性を付与しないものであるところの請求項1〜6に記載の腫瘍の治療方法。 【請求項8】PDT療法の施術と並行して投与するための、癌特異性を付与しない活性化リンパ球を含む腫瘍治療用投与用製剤。 【請求項9】依頼部より提供された採取血液・体液あるいは組織に含まれる細胞を、加工部において増殖あるいは活性化してPDT並行治療用の活性化リンパ球を調製し、これを保存、あるいは依頼部に供給するようにしたPDT並行治療用活性化リンパ球の増殖・加工受託システム。 【請求項10】PDT並行治療用として調整される活性化リンパ球が、癌特異性を付与しないものであるところの請求項9に記載のPDT並行治療用活性化リンパ球の増殖・加工受託システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、PDT療法による癌等腫瘍治療の効果を著しく向上させるための治療方法、ならびにPDT治療と並行治療するための腫瘍治療用投与製剤に関する。 【0002】 【従来の技術】癌などの腫瘍の治療手段としては、外科的切除や抗癌剤投与によるほかに、これまで最新のものとしてリンパ球の投与、あるいはレーザー光照射治療が代表的なものとして挙げられる。 さらにリンパ球の投与については、末梢血等に由来するリンパ球の増殖が固相化抗CD3抗体もしくはインターロイキン2により可能であること、およびこれによって増殖されたリンパ球が抗腫瘍効果を有することに関しては、すでに本発明者によって報告済みである(特開平3−80076号公報参照)。 【0003】またレーザー光照射治療については、光線力学的療法(Photodynamic Therapy、以下単に「PDT」と略すことがある)として、あらかじめ癌親和性の光感受性薬剤を投与した後、癌部位にレーザー光を照射することによって癌組織中に活性酸素を生成させて癌を壊死させるもので、侵襲が少ないため、外科的な手術が不能な患者に対しても治療を行うことができるという利点を有するところから近年脚光を浴びている。 【0004】因みに、これまでの研究成果によれば、症例が少なく効果をあらわすデータに多少ばらつきがあるものの、このPDTによる胃癌治療では、早期胃癌では前期のもので55%、後期胃癌では89%に治癒を得たが、進行胃癌では前期では2例ですべて無効、後期では5例中4例が無効であったと報告されている〔癌と化学療法(1996年):23巻第1号41頁から46頁〕。 【0005】また癌細胞で免疫しないマウスの脾臓の移入は、scid(severe combined ummunodeficient )マウスに移植した癌細胞の光線力学的療法後の増殖を抑えないのに対して、癌細胞によって免疫したマウスの脾臓はscidマウスに移植した癌細胞の光線力学的療法後の増殖を抑えられるとの報告もある〔CANCER RESEARCH(1999),59,1941-1946〕。 さらに、マウス動物実験での効果と人での治療効果とが実際上大きく異なる場合が多々見られることについても一般的に広く知られている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記は活性化されたリンパ球単体を抗腫瘍活性として用いるものであり、抗腫瘍効果はあまり高くなく、しかもPDT療法における腫瘍壊滅若しくは腫瘍拡大の抑制に関与するものではない。 さらにリンパ球に対し、癌に対して特異的に反応するよう癌特異性を誘導して調製することも考えられているが、1)調製作業が煩雑であること、2)誘導に必要な癌細胞が必ずしも得られるとは限らないこと、3)同様な操作によって調製したとしても特異性を持たせたリンパ球が必ずしも調製できるわけではないといった問題を有するところから、実用化されるには至っていない。 またPDT療法についても、前記したこれまでの研究成果にも示されている通り、対象とする癌に対して必ずしも有効であるとは限らない。 【0007】 【課題を解決するための手段】そこで本発明は、PDT療法による施術と並行治療することを前提として、必ずしも癌特異性を付与しない活性化リンパ球を用いた投与療法を実施することを可能とし、これによって癌等の腫瘍の壊滅もしくは拡大抑制効果の著しい増大をはかるようにしたものであって、具体的には、PDT(光線力学的)療法の施術と同時に、あるいはこれと前後した一定期間内に活性化リンパ球の投与をおこなうようにした腫瘍の治療方法、ならびにPDT療法による施術と並行して腫瘍の治療をおこなうための腫瘍治療用投与製剤、さらにはPDT並行治療用活性化リンパ球の増殖・加工受託システムに関する。 【0008】 【発明の実施の形態】以下において本発明の具体的な内容を、実施の一形態として以下に説明すると、本発明は具体的には予め調製した抗CD3抗体とインターロイキン2により活性化させたリンパ球が、癌特異的なリンパ球ではないのにかかわらずPDT療法との併用治療において、初回にPDT療法で無効であった癌に優れた抗腫瘍効果を有することを初めて見出し、本発明を完成するに至った。 【0009】具体的にはPDT療法による施術と並行治療することを前提とし、予め抗CD3抗体もしくはインターロイキン2により増殖・活性化させて調製したところの、必ずしも癌特異性を付与しない活性化リンパ球をPDT療法の術前あるいは術後におけるそれぞれの一定期間内に投与することによって、PDT療法と活性化リンパ球投与療法との並行治療による相乗的作用により、癌等の腫瘍の効果的な治療を行うようにしたものである。 【0010】〔リンパ球細胞の採取〕ここで使用されるリンパ球は、これまでのように癌特異性誘導のための煩雑な調製作業を不要とし、必ずしも癌特異性を付与してある必要はない。 リンパ球細胞は、一般的には末梢血から分離して簡単に採取することができる。 末梢血からの採血方法としては、静脈からの採血が好ましく、また一回に採血する量としては、0.01ml〜100ml程度であり、特に、その量に限定されない。しかしながら、ドナーの肉体的な負担、採血の手間、リンパ球細胞の分離操作を考えた場合、5ml〜50ml程度の範囲内であるのが好ましく、より好ましくは10ml〜20mlの採血量がよい。 【0011】なおこの場合に、血液の凝固が起こらないように、採血した血液にヘパリンやクエン酸を加えることができる。 また上記採取した血液からのリンパ球細胞の分離は、蔗糖や市販のリンパ球分離剤等を用いる不連続密度勾配遠心法などの周知のリンパ球細胞の分離法によっても操作し取得できる。 【0012】〔リンパ球細胞の増殖・活性化〕つぎに、取得した細胞の増殖培養について説明すると、本発明のリンパ球細胞の増殖は、おもに抗CD3抗体を中心におこなわれ、さらに増殖効率を向上させる観点から培養用培地液中にインターロイキン2を用いるのが好ましい。したがって本実施例の場合ではインターロイキン2と抗CD3抗体との組み合わせ存在のもとに増殖培養および活性化を実施するものとする。 【0013】具体的には、例えばインターロイキン2を含む培養用培地液にリンパ球細胞を浮遊させ、これを抗CD3抗体を固相化した培養容器に入れて培養を開始することができる。 さらに必要に応じて各種のマイトージェン増殖因子、活性化因子を使用して細胞の増殖・活性化をおこなうことも可能である。 【0014】抗CD3抗体としては、リンパ球細胞の増殖・活性化を促進できる抗体であれば、特に限定されるものではない。 リンパ球細胞の刺激に用いる抗CD3抗体は、精製したCD3分子を用いて動物又は細胞に産生させることもできるが、安定性やコスト面等において優れた市販のOKT−3抗体(製造元:オーソファーマスーティカル)が使用できる。 【0015】また抗CD3抗体は、リンパ球細胞の増殖の効率、操作の容易性の観点から、固相化して用いることが好ましい。 抗体を固相化するための器具としては、ガラス、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン等の材質の培養容器が挙げられる。 この場合、入手が容易であることから市販のプラスチック製の滅菌済み細胞培養フラスコ等を使用することもでき、その大きさは適宜選択できる。 【0016】さらに固相化は、前記抗CD3抗体の希釈液を固相化する器具に添加し、例えば、4℃〜37℃の温度で2〜24時間、静置することによって行うことができる。 この抗CD3抗体の固相化には、抗CD3抗体を滅菌したダルベッコりん酸緩衝液等の生理的な緩衝液中に1〜30μg/mlの濃度に希釈して用いることが好ましい。 固相化後、使用時までコールドルームや冷蔵庫(4℃)で保存することができる。 この場合使用時に液を除去し、また必要あれば常温のダルベッコりん酸緩衝液等の生理的な緩衝液で洗浄できる。 【0017】またインターロイキン2は、市販されているものを用いることができ、培養用培地液1〜2000U/mlの濃度となるように用いるのが好ましい。 さらにインターロイキン2は、水、生理食塩液、ダルベッコりん酸緩衝液、RPMI−1640、DMEM、IMDM、AIM−V等の一般に広く用いられる細胞培養用培地液等に溶解して使用することができる。 なお一度溶解したものは、活性の低下を防ぐため、冷蔵保存することが好ましい。 【0018】この場合に使用される培養用培地液としては、リンパ球細胞の培養に適したものであれば特に制限されず、血清等の生物由来の培養液、平衡塩類溶液にアミノ酸、ビタミン、核酸塩基などを加えた合成培地などが使用でき、RPMI−1640、AIM−V、DMEM、IMDM等が好ましいものとして挙げられ、なかでもRPMI−1640が特に好ましいものとして挙げられる。 また培養用培地は、正常ヒト血清を添加したものが増殖効果に優れ好ましい。 なお、これらの培地は市販品を用いることができる。 【0019】また培養については、例えば、CO2インキュベータ内で行う等、一般的な細胞培養の方法に従うことができる。 この場合、CO2濃度は1〜10%、特に5%前後が好ましく、また温度については30〜40℃、特に37℃前後の温度が好ましい。 【0020】〔PDT療法〕一方、PDT療法は、先ず癌親和性光感受性薬剤を静脈注射し、癌組織と正常組織における薬剤濃度差が48〜72時間後に最大となったところでレーザー光を照射し、癌に取り込まれた薬剤を励起させて組織中に活性酸素を生成させ、この活性酸素の殺細胞性を利用して癌細胞を壊死させる光線力学的療法である。 【0021】PDT療法に使用されるレーザーは、例えば浜松ホトニクス社製のエキシマダイレーザーなどの在来型レーザー発生装置が用いられるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ほかにもアルゴンダイレーザーなどのような、PDTで使用可能なものであればどのようなレーザー発生装置であってもよい。 【0022】これらのPDT療法に使用されるレーザーは、出力がレーザーメスのおよそ百分の一程度と低く、また癌親和性光感受性薬剤は癌組織に多く集積するために正常細胞に対する障害を最小限に抑えることができ、癌病巣のみを集中的に治療するのに適している。 【0023】またレーザーなど光線力学的療法を施す際には、あらかじめ光感受性物質の投与がおこなわれるが、この光感受性物質については腫瘍に特異的に親和性を示す光感受性物質である必要があり、そのような物質としては例えば日本ワイスレダリー社製のポルフィーマーナトリウム(PHE・流通時の名称「フォトフリン」)をはじめとし、これまで一般的に使用されてきたもので差し支えがなく、所謂PDTで使用できるような光感受性物質であれば、どのようなものでもよい。 【0024】〔活性化リンパ球の投与〕活性化リンパ球の投与については、PDT施術による効果との相関関係を持たせるために、PDT施術の前後、それぞれ6ヶ月間以内であるのが望ましく、またこの場合、PDT施術前、PDT施術当日あるいはPDT施術後の単回投与であっても良いが、便宜性と効果を考えた場合、1回から10回程度が望ましく、またその投与頻度が高ければ高いほど、より多くの効果が望めるが、一般的には1回から数回の投与をおこなう。 【0025】本実施例では5回の活性化リンパ球投与をおこなっているが、これに限定されない。 また活性化リンパ球の投与は、PDT施術前のみ、あるいはPDT施術当日のみ、またPDT施術後のみの投与のいずれでも効果がみられ、さらに好ましくはPDT施術の前後それぞれ6ヶ月間にわたり、あるいはPDT施術の前・当日・施術後にわたって複数回投与するのがよい。 【0026】また1回のPDT施術と活性化リンパ球の治療だけでなく、PDT施術と活性化リンパ球投与の併用を何度か繰り返すこともできる。 さらに繰り返す場合には、PDT施術の単独あるいは活性化リンパ球投与の単独、あるいは両者の併用のいずれの組み合わせで行ってもよい。 さらにPDT施術療法あるいは活性化リンパ球投与療法を互いに異なった時点において繰り返して行なう場合においては、その実効性を確保するために、いずれか一方の療法実施後6ヶ月の期間を経過する前におこなう必要がある。 【0027】〔細胞の加工・受託〕また前記した採取リンパ球を、依頼を受けて加工あるいは保存し、これを依頼者に提供するようにした細胞の加工委・受託システムとして活用することもできる。 すなわち依頼部より提供された採取血液・体液あるいは組織に含まれる細胞を、加工部において増殖あるいは活性化を行なった後、PDT施術療法併用のための活性化リンパ球を調製し、これを保存し、あるいは依頼部に供給するようにしたPDT併用活性化リンパ球およびこれらの細胞の加工委・受託システムがそれである。 【0028】なおここで、「依頼部」とは、通常、医師、歯科医師、各種医療施設あるいは患者本人あるいはその家族等からなる細胞加工依頼者である場合を含む。 また依頼部より提供された採取血液・体液あるいは組織に含まれる細胞を増殖あるいは活性化等の加工を行なう「加工部」は、上記により提供された血液・体液あるいは組織から採取された細胞の培養あるいは活性化を行う業者である場合を含む。 さらに加工後に凍結保存細胞に調製して保存する「保存部」は、細胞の凍結保存を行う業者である場合を含む。 【0029】この場合、依頼部・加工部・保存部は、それぞれ個々に独立していても良いが、お互いに兼ねることもできる。 したがって、細胞加工部によってインビトロで増殖培養あるいは活性化培養させた細胞は、加工部において凍結保存され、あるいは細胞保存部あるいは細胞加工依頼者である依頼部において凍結保存することもできる。 細胞加工部が細胞を凍結した場合、凍結された細胞は、細胞加工部が保管したり、また細胞保存部や依頼部が保存することもできる。 【0030】しかして、細胞加工部あるいは細胞保管部は、凍結保存細胞を依頼部(細胞保管依頼者)に、凍結状態あるいは、融解・復元したいずれの状態でも提供することができる。 また調整した活性化リンパ球を適当な溶液中に懸濁し、これを宅配便など既存の配送手段により依頼者である医療機関等に宛てて配送することができる。 【0031】なおこの場合において、依頼部からの依頼が、E−メールやインターネットのホームページ上への書き込み等による電子的通信手段によっておこなわれるようにすると、癌の再発予防用活性化リンパ球およびこれらの細胞の加工委・受託システムとして簡易且つ迅速な活動ならびに役務の供給が可能になる。 【0032】さらに加工部又は保存部より供給される活性化リンパ球は、主に胃癌患者に対しPDT療法の増強剤として投与される。 しかし本発明は胃癌患者に対する投与のみに限定されるものではなく、このほかにも肺癌、肝臓癌、大腸癌、直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、卵巣癌、子宮癌、精巣癌、前立腺癌、白血病、肉腫、脳腫瘍等についてのPDT療法の増強剤としても用いることができる。 【0033】 【実施例】《1》リンパ球の分離PDT療法により縮小効果が得られていない胃癌患者の静脈から末梢血45mlをヘパリン加採血し、これを癌特異性誘導のための調製作業等を施すことなく癌特異性を付与しない状態のまま使用することにした。 採血後、これをクリーンベンチ(昭和科学株式会社製:S−1100)内で無菌的に上記により採血した注射筒の注射針を、接合部近くを触らないようにはずし19G×1 1/2注射針(発売元:株式会社ニプロ)につけ替えた。 【0034】別に50ml遠沈管(岩城硝子株式会社製:2341−050)2本に、洗浄用培地(RPMI1640+6)(500ml、株式会社日研生物医学研究所製:GM1106)を15mlずつ注ぎ込んだ遠沈管内に、上記により採血した血液全てを2本共に等量になるようにゆっくりと注いだ。 遠沈管の蓋を完全に閉めた後、2〜3回転倒混和した。 【0035】これを10mlピペット(輸入発売元:コーニングコースタージャパン:4105)でリンホセパールl(100ml株式会社免疫生物研究所製:23010)を15ml遠沈管(岩城硝子株式会社製:2327−015)6本に各3mlずつ入れ、さらに培地で希釈した血液10mlをそれぞれの遠沈管に、液面を乱さないようにゆっくり重層した。 【0036】その後、これを回転数1,800rpm、遠心分離温度20℃、ブレーキをOFFの状態で15分間遠心した(遠心機は株式会社コクサン製:H−700Rを使用)。 遠心後、吸引機により無菌的に遠沈管内のリンパ球層の約1cm上までリンパ球細胞を吸い取らないようにゆっくり吸い取った。 さらに5mlピペットマンで血餅の層を吸い取らないようにリンパ球細胞の層をとり、これをあらかじめ、洗浄用培地(RPMI1640+6)を25ml入れておいた50ml遠沈管内に回収した。 【0037】遠沈管の蓋を閉め2〜3回転倒混和した後、回転数1,800rpm、遠心分離温度20℃の状態で10分間遠心した。 遠心後、上清みを捨て、細胞沈渣をボルテックスにかけて良くほぐした。 培地(RPMI1640+7)(株式会社免疫生物研究所製)44mlに35,000U/ml IL−2(シータス社製)1mlと、ヒト血清5mlを含む培養用培地(以下、単に「培養用培地」と略すこともある)50mlに入れ、良く転倒混和して細胞懸濁液を調製した。 【0038】この細胞懸濁液10μlをチューブ(輸入発売元:アシスト株式会社:72.690)にとり、これを40μlのチュルク液(武藤化学薬品社製)と混合し、血球計算版(エルマー社製:9731)に10μlアプライし、顕微鏡(オリンパス光学工業株式会社製:211320)下で細胞数を測定した結果、総細胞数は8.5×107個だった。 【0039】《2》OKT3固相化フラスコの調製PBS(−)で5μg/mlに調製しておいたOKT3(輸入発売元:ヤンセン協和株式会社、製造元:オーソファーマスーティカル:OKT3注)溶液を、底面積225cm2の培養用フラスコ(住友ベークライト株式会社製:MS−2080R)に10ml入れ、底面に溶液を均一に浸した。 【0040】翌日、フラスコのOKT3溶液を吸引機で吸い取り、PBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉めて激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。 再度、無菌的にPBS(−)50mlをフラスコに注ぎ込みフラスコの蓋を閉めて激しく振った後、蓋を開け、液を捨てた。 フラスコ内と蓋に残っている液を吸引機で丁寧に吸い取り、OKT3固相化フラスコの調製を行った。 【0041】《3》リンパ球の活性化培養前記《1》において調製した細胞懸濁液50mlを、《2》で調整したOKT3固相化フラスコに分注し、37℃、5%濃度の炭酸ガス存在下において培養を開始した。 3日後に培養用培地50mlを加え、37℃、5%濃度炭酸ガス存在下において培養を継続した。 さらに4日後、培養用培地150mlを加え、37℃、5%濃度炭酸ガス存在下において培養を継続した。 【0042】さらに2日間、37℃、5%濃度炭酸ガス存在下において培養を継続することにより活性化リンパ球2.4×108個を得た。このうち1.2×108個の細胞を凍結保存液に懸濁し、3本のチューブにて液体窒素下、凍結保存した(4.0×107個/チューブ)。 また残りの細胞1.2×108個を以下のように拡大培養した。 【0043】《4》リンパ球の拡大培養(1回目) 上記《3》で調整したリンパ球1.2×108個をLL−7培地(日研生物医学研究所)あるいはMedium930(コージンバイオ社)750mlを含むガス透過性培養バッグに移し、炭酸ガスインキュベーター(CDP−300A;ヒラサワ社)中で37℃、5%炭酸ガス下で培養をおこなった。 【0044】3日後、細胞を含むガス透過性培養バッグと新たな培地を含むガス透過性培養バッグを無菌接合装置(テルモ社製)により連結し、両ガス透過性培養バッグ中の培地を良く混合した後、これを2分割し、再度その結合を切除し、接合部分を無菌的にシールした後、37℃、5%炭酸ガス下で培養を継続した。 【0045】《5》投与製剤の調整(1回目) 上記《4》で調製した2バッグのうち1バッグ中の細胞を含む培地を250ml遠心管(コーニング社製)内に移し、これを遠心により細胞の分離をおこなった。 デカンテーションにより培養液を除去し、細胞ペレットに0.1%のヒトアルブミンを含む生理食塩水を加えて遠心分離することにより洗浄操作をおこなって細胞ペレットを調整した。 【0046】さらに上記細胞ペレットに1%のヒトアルブミンを含む生理食塩水200mlを加えて懸濁し、これを100μのステンレス金網にて濾過後、輸血用のバッグに詰めて投与用製剤とした。 なおこの場合の輸血用バッグに含まれる細胞数は、2.4×109個であった。 【0047】《6》リンパ球の拡大培養(2回目) 上記《4》で調整した2バッグのうち1バッグを、4日後に、細胞を含むガス透過性培養バッグと新たな培地を含むガス透過性培養バッグを無菌接合装置(テルモ社製)により連結し、両ガス透過性培養バッグ中の培地を良く混合した後、これを2分割し、再度その結合を切除して接合部分を無菌的にシールした後、37℃、5%炭酸ガス下で培養をおこなった。 【0048】《7》投与製剤の調整(2回目) 上記《6》で調製した2バッグを使用する以外は、《5》と同様の操作で2回目の投与製剤の調整をおこなった。 最終的に輸血用バッグに含まれる細胞数は、4.0×109個であった。 【0049】《8》凍結保存細胞からの調整前記《3》で調製した凍結細胞を37℃で融解させるとともに、これを培養液で3回洗浄した。 本細胞を使用して《3》、《4》、《5》、《6》、《7》に示されると同様な方法で投与製剤リンパ球製剤を調整し、3.4×109個、5.4×109個、3.5×109個の活性化リンパ球を調製した。 【0050】《9》PDT治療前記《1》で採血した癌患者に対するレーザー照射施術に先だって、施術の2日前に予めフォトフリン(日本ワイスレダリー社製)を2mg/kgの割合で静脈注射により投与した。 このフォトフリンは癌組織内に、正常組織に比べて約10倍も取り込まれ、また癌組織内においては排泄されにくく、高濃度で残存する。 レーザー照射当日、口腔よりPDTファイバー(浜松ホトニクス社製)を挿入して画像的に癌病巣を確認し、エキシマダイレーザー(浜松ホトニクス社製)を用いて60J/cm2で5回に渡りレーザー照射をおこなった。 レーザー照射により癌組織内に滞留したフォトフリンが反応・励起してエネルギーを持ち、このエネルギーにより癌組織内に殺細胞性のある活性酸素を生成する。 【0051】《10》投与製剤の投与上記《9》においてレーザー照射を施す予定の癌患者、あるいはレーザー照射を施した癌患者に対する投与製剤の投与については次のようにした。 すなわちレーザー照射施術の2週間前(投与リンパ球数;2.4×109個)、1週間前(投与リンパ球数;4.0×109個)、施術の当日(投与リンパ球数;3.4×109個)、1週間後(投与リンパ球数;5.4×109個)、3週間後(投与リンパ球数;3.5×109個)の合計5回にわたり、前記《5》、《7》、《8》で調整した投与用製剤を、それぞれ静脈より注入投与した。 【0052】《11》効果の判定レーザー照射施術から12日後に超音波内視鏡検査、およびCTにより効果を判定したところ、胃内腔に4cmに亘り隆起していた腫瘍が平坦化したのが認められた。 これにより、PDT単独では効果がないような腫瘍に対しても活性化リンパ球の投与を併用することにより、腫瘍縮小効果が得られることを明らかとした。 【0053】なお前記《3》において調整された活性化リンパ球の凍結保存の具体的一例を挙げると以下の通りである。 すなわち前記《3》で得た活性化リンパ球を遠心分離し、培養用培地をデカンテーションにより除去し、細胞ペレットを得るとともに、該細胞ペレットに細胞保存液(ヒト血清5ml、ジメチルスルホキシド(ナカライテスク株式会社製、以下単に「DMSO」と略すこともある)5mlと培地(RPMI1640+7)40mlとを混合して作製)を18ml加え、良く混合した後5mlの細胞保存用チューブ( 輸入発売元:コーニングコースタージャパン)あたり3ml宛、計5本のチューブに分注し、さらにチューブを液体窒素保管庫あるいは超低温フリーザーに入れて低温下において保存する。 【0054】また上記凍結保存細胞を融解・復元する場合には、凍結保存しておいた細胞を取り出し、これを37℃のヒートブロック(タイテック株式会社製:TAL−1G)で4分間温め、凍結保存細胞の融解・復元をする。 融解・復元した細胞を含む細胞保存液約3mlを15ml遠沈管内に無菌的に移し、さらに培養液あるいは生理食塩液を10ml注ぎ込み懸濁し、これを遠心分離(1,000rpm、20℃、5分間)した後、デカンテーションにより上清を捨て、培養液あるいは生理食塩液10mlを加えて懸濁する。 【0055】さらに、遠心分離(1,000rpm、20℃、5分間)した後、デカンテーションにより上清を捨て、培養液あるいは生理食塩液10mlを加えて懸濁し、再度、遠心分離(1,000rpm、20℃、5分間)した後、デカンテーションにより上清を捨て、これを再度、活性化培養あるいは拡大培養用に使用したり、あるいは1%から5%のヒト血清アルブミンを含む生理食塩10mlを加えて懸濁し、直接、投与用製剤を調製することができる。 【0056】なお、上記の実施例では使用するリンパ球として自己由来のもの、すなわちPDT療法により縮小効果が得られていない胃癌患者の静脈から採血した末梢血を用いる場合について説明したが、さらに別の実施例ではGVHD(Graft versusHost Disease)免疫疾患を引き起こすおそれのない最低限のHLA(Human Leukocyte Antigen)が一致する他人由来のリンパ球を用い、これを抗CD3抗体をもって増殖・活性化させたリンパ球集団として用いたところ、自己由来のものに比して腫瘍など癌の壊滅・抑制効果が、より一層高いことが明らかとなった。 【0057】 【発明の効果】以上に詳述した通り、本願の発明は、活性化リンパ球の投与をPDT療法による腫瘍治療と並行するようにし、あるいはPDT療法の施術と並行して投与するための、癌特異性を付与しない活性化リンパ球を含む腫瘍治療用投与用製剤として用いるものであり、PDT療法による腫瘍治療と活性化リンパ球投与という両者の相乗作用により、この場合必ずしも癌特異性を付与しない活性化リンパ球を用いることができ、その結果癌特異性誘導のための煩雑な調製作業を不要とするばかりでなく、必要とされるリンパ球の入手が容易となり、しかも癌、とりわけて胃癌をはじめとした各種腫瘍の縮小制圧に著しい効果を発揮するばかりでなく、特にPDT療法による単独治療によっては効果がみられない腫瘍に対しても優れた治療効果を有する。 【0058】またこの場合に使用されるリンパ球として、GVHD免疫疾患を引き起こすおそれのない最低限のHLAが一致する他人由来のリンパ球を用い、これを抗CD3抗体をもって増殖・活性化させたリンパ球集団として用いる場合においては、自己由来のものに比して、より一層優れた腫瘍など癌の壊滅・抑制効果が得られる。 【0059】また本発明は、人体に対する処方のみならず、PDT療法の実施が可能な動物であればイヌ、ネコ等のペット類や、あるいはウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ等の家畜類、その他の動物についての癌の治療に対しても有効である。 さらに本発明において用いられる活性化リンパ球は、これを抗CD3抗体もしくはインターロイキン2により増殖培養・活性化培養することが可能であり、さらに増殖させた抗腫瘍調整剤を凍結保存することも可能であるところから、PDT療法との並行治療用活性化リンパ球の増殖・加工受託システムとして確立することも可能である。 【0060】すなわち、依頼部より提供された採取血液・体液あるいは組織に含まれる細胞を、癌特異性誘導のための煩雑な調製作業をおこなうことなく、加工部において増殖あるいは活性化を行なった後、PDT療法との並行治療用の活性化リンパ球を調製し、これを保存、あるいは依頼部に供給するようにしたPDT療法との並行治療用活性化リンパ球の増殖・加工受託システムとすることもできるために、かかるシステムの普及により困難な腫瘍治療の分野において、画期的な治療成果の向上を期待することが可能となる。 【0061】さらに凍結保存が可能であり、また必要に応じてこれを融解・復元し、復元後あるいは細胞の増殖、あるいは活性化操作後の細胞を直ちにPDT療法との併用治療剤として用いることができる。 また本発明は、現在のPDT療法適応癌だけに限定されるものではでなく、活性化リンパ球投与との並行治療によりあらゆる癌・腫瘍を対象とした治療に適用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501005092 【氏名又は名称】株式会社リンフォテック
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| 【出願日】 |
平成14年2月25日(2002.2.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070183 【弁理士】 【氏名又は名称】吉村 公一
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| 【公開番号】 |
特開2002−332244(P2002−332244A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月22日(2002.11.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−47373(P2002−47373) |
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