| 【発明の名称】 |
経口及び経粘膜吸収のための免疫グロブリンと多糖類の複合体 |
| 【発明者】 |
【氏名】ロナルド ウィス
【氏名】ベルナルド ビッツィニ
【氏名】イボ ヴォルパト
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、経口及び経粘膜で使用するための、免疫グロブリン及び多糖類から成る複合体に関する。
【解決手段】本発明の複合体に含有される多糖類は、免疫グロブリンを保護し担持する皮膜を形成し、胃及び粘膜の領域を経由してそれら複合体が浸透吸収されるのを可能にする。免疫グロブリンは、必要な治療効果に依って決まる種々の特異性を有する。それら免疫グロブリンは、ウイルス、細菌、寄生虫等の病原体によって引き起こされる感染症を予防するか若しくは治療するための受動免疫的予防に使用されるか;又は、それら免疫グロブリンは、内因性生化学平衡を調整するか、若しくは乱用される薬物、医薬品、毒素を解毒するのに使用される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 免疫グロブリン及び多糖類を含有する複合体を活性成分として含有する組成物であって、全身系用途のために該多糖類が該免疫グロブリンに化学的には交差結合していない上記組成物。 【請求項2】 経口投与のための、請求項1記載の組成物。 【請求項3】 経粘膜投与のための、請求項1記載の組成物。 【請求項4】 前記経粘膜投与が、舌下、直腸及び膣、頬側投与である、請求項3記載の組成物。 【請求項5】 該免疫グロブリン及び多糖類が、非共有結合によって会合している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項6】 該免疫グロブリン及び多糖類が、イオン的相互作用によって会合している、請求項2記載の組成物。 【請求項7】 前記多糖類が、キトサン及びアルギン酸塩から成る群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項8】 該キトサンが、低分子量を有し、高度に脱アセチル化されたキトサン;メチルグリコールキトサン;プロタサン(Protasan)(登録商標);及びそれらの塩又は誘導体;から選ばれる、請求項7記載の組成物。 【請求項9】 該キトサンが、メチルグリコールキトサン、又はその塩及び誘導体である、請求項8記載の組成物。 【請求項10】 該アルギン酸塩が、ポリマンヌロン酸、アルギン酸又はその酵素フラグメント又はそれらの誘導体若しくは塩から選ばれる、請求項7記載の組成物。 【請求項11】 前記免疫グロブリンが、IgG、IgA、又はそれらのフラグメントF(ab')2若しくはF(ab)若しくはscFvから選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。 【請求項12】 前記免疫グロブリンが、IgG又はそれらのフラグメントF(ab')2若しくはF(ab)若しくはscFvである請求項10記載の組成物。 【請求項13】 前記免疫グロブリンが、毒素、感染性病原体、ホルモン、酵素、プロ酵素、乱用薬物、医薬品、生物活性ペプチド、代謝物、及び生理的前駆体、又はそれらの抗原性成分に対して特異的である、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。 【請求項14】 前記毒素が真性菌由来のものである請求項13記載の組成物。 【請求項15】 前記毒素が、オクラトキシン、アフラトキシン、ゼラロノン(zearalonon)及びヒュモニシン(fumonisine)から選ばれる、請求項14記載の組成物。 【請求項16】 該感染性病原体が、単純ヘルペス・ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘ウイルス、風疹ウイルス、シンシチウム・ウイルス、呼吸器ウイルス、インフルエンザ・ウイルス、エプスタイン−バー・ウイルス、リステリア菌、チフス菌、腸炎菌、パラチフス菌、ネズミチフス菌(Salmonella thiphymurium)、ブタコレラ菌(Salmonella choleraensis)、破傷風菌、ボツリヌス菌若しくは赤痢菌、カンジダ・アルビカンス、ゴンデイ・トキソプラズマから選ばれる、請求項13記載の組成物。 【請求項17】 前記ホルモンが、絨毛性性腺刺激ホルモン、パラトルモン、グルカゴン、甲状腺ホルモンである、請求項13記載の組成物。 【請求項18】 前記プロ酵素がプロトロンビンである、請求項13記載の組成物。 【請求項19】 前記乱用薬物が、コカイン、ヘロイン、リゼルギン酸、又はそれらの誘導体から選ばれる、請求項13記載の組成物。 【請求項20】 前記生物活性ペプチドが、ソマトスタチン、コレシストキニン、カルシトニン、ペンタガストリンである、請求項13記載の組成物。 【請求項21】 前記医薬品が、モネンシン、コルチコステロイド、抗生物質、抗コクシジウム増殖阻止剤、抗ウイルス剤、殺真菌薬、化学療法剤又は交感神経興奮剤である、請求項13記載の組成物。 【請求項22】 コリネバクテリウム・グラニュロジュウム由来の免疫調整剤を更に含有する、請求項16記載の組成物。 【請求項23】 前記免疫調整剤が、コリネバクテリウム・グラニュロジュウムの脱脂済みフラクションである、請求項22記載の組成物。 【請求項24】 前記乱用薬物の過剰服用によって引き起こされる症候群を処置するための、請求項18記載の組成物。 【請求項25】 成長関連問題、骨粗鬆症、潰瘍を処置するための、請求項20記載の組成物。 【請求項26】 食品添加剤を調製するための、請求項21記載の組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】発明の分野本発明の技術分野は、免疫療法である。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】技術の状況臨床分野で免疫グロブリンを使用するのは、現在、非経口投与が実現可能なものに限定されている。非経口投与による免疫グロブリンは、病原菌にさらされた後;又は、乱用薬物(drugs of abuse)(コカイン)を消費した後若しくは天然毒により中毒が生じた後に解毒を行う場合;又は、医薬を過剰摂取した場合;に受動免疫を与えるために使用される。非経口投与を行うためには、医療関係者及び/又は熟練者が介在する必要がある。 【0003】経口又は経粘膜投与(後者では消費が一層容易となる)によって諸免疫グロブリンを使用することは、今日まで、非常に困難な達成すべき目標であった。なぜなら、それら免疫グロブリンが、酸性環境;並びにタンパク質分解性酵素を有する胃及び粘膜の領域;に存在するからであって、それら環境及び領域で、前記タンパク質の巨大分子は不活性化するであろう。 【0004】実際のところ、経口及び経粘膜吸収のためには、免疫グロブリンが血流中に完全に吸収されるまで、免疫グロブリンは保護されて運ばれる必要がある。当該技術の状況として、タンパク質及び/又はペプチドの性質を有する巨大分子粘膜を通過するのを可能にすることを狙いとする幾つかの研究がある。例えば、キトサン(とりわけ、交差結合(cross-linked)したキトサン)に、抗原構造体(antigenic structures)及びワクチン[例えば、「ウゴゾリ(Ugozzoli)等:Immunology,93(4),563〜71(1998)」に記述されている、ヘルペックス・シンプレックス・ウイルス(Herpex Simplex virus)のgD2タンパク質;「ジァバル・ギル(Jabbal-Gill)等:Viccine,16(20),2039〜46(1998)」に記述されている、ホモ凝集素及び百日咳菌毒素]、又は、好ましくは中〜低分子量を有するペプチド若しくはホルモン[例えば、EP0952822号明細書に記述されているインシュリン及びhGH]を組み入れることによって、経粘膜吸収を可能にすることができる。これらの場合、キトサンは通常、交差結合しており、適切な大きさのミクロスフェア(microspheres; 微小球)の形で造られる。 【0005】 【従来の技術】WO 96/09805号明細書には、キトサン及び諸抗原を含有する複合体の製法が記述されている。WO 99/34831号明細書には、治療薬又は診断薬を、エンドソーム膜(endosomal membrane)をばらばらにすることのできるキャリヤーと結合させて、細胞の内側への輸送を容易にすることが記述されている。WO 97/30148号明細書は、種々のポリマーキャリヤー分子と結合したポリペプチドの抗アレルギー特性が開示する。WO 98/37200号明細書には、抗−IL−8とポリマー担体の間の接合体(conjugates)の製法が記述されている。米国特許第5,747,475号明細書には、免疫アジュバントとしての、また、レーザー補助装置を用いた腫瘍治療で使用するための、キトサン誘導の医用生体材料の製法が記述されている。EP第315456号明細書では、デキストランを共有結合によって諸免疫グロブリンに結合させ、免疫療法におけるそれら免疫グロブリンの抗原性が低減されている。米国特許第5,530,102号明細書には、外傷部位での原位置(in situ)保護のために使用される免疫グロブリンの担体が記述されている。 【0006】 【課題を解決するための手段】概要本発明の主要目的は、医薬品として使用するための、免疫グロブリンと多糖類の複合体を提供することにある。本発明による複合体において、多糖類は、キトサン;低分子量を有し、高度に脱アセチル化されたキトサン;メチルグリコールキトサン;アルギン酸;ポリマンヌロン酸;及びそれらの塩又は誘導体;から選ばれる。本発明による複合体において、免疫グロブリン及び多糖類は、非共有結合(好ましくはイオン結合)によって会合している。 【0007】本発明による複合体の免疫グロブリンは、IgG、IgA、又はそれらのフラグメント F(ab')2若しくはF(ab)から選ばれる。免疫グロブリンは、外部病原体、ウイルス、細菌、寄生虫、若しくはそれらの抗原フラグメントのような外来性病原体に対して、又は、真菌由来の毒素、薬物、医薬品に対して特異的である。また、免疫グロブリンは、ホルモン、酵素及びプロ酵素、生物活性ペプチド、代謝物、生理的前駆体(physiological precursors)から成る内生的生物活性物質に対して特異的である場合がある。病理的状況と正常機能的状況の両方におけるそれら物質の内生的レベル(endogenous levels)を調節する必要がある場合、免疫グロブリンは有用となり得る。また、種々の特異性を有する免疫グロブリンを1つの複合体に結合させて、独特の又は協同の治療効果を得ることができる。 【0008】本発明では、それらの複合体であって、それらの中の免疫グロブリンが、真菌源の毒素に対して;又は、モネンシン、コルチコステロイド、抗生物質等の医薬品に対して;又は、リステリア菌、チフス菌、腸炎菌(Salmonella entheriditis)等の細菌に対して;又は、それらの抗原成分に対して;特異的である該複合体を、とりわけ好ましいものと考えている。複合体であって、それらの中の免疫グロブリンが、絨毛性性腺刺激ホルモン、パラトルモン、グルカゴン等のホルモンに対して;又は、内在性プロ酵素トロンビンに対して;並びに、コカイン、ヘロイン、リゼルギン酸等の乱用薬物、それらの塩及びそれらの誘導体に対して;特異的である該複合体もまた好ましい。 【0009】そのような複合体において、それら多糖類は免疫グロブリンの周りに保護皮膜を形成し、かくして、それら多糖類によって、免疫グロブリンの経口及び経粘膜吸収が可能となり、唯一の非経口投与以外の投与により免疫グロブリンを使用することが可能となる。本発明のもう1つの目的は、解毒性薬品;薬物の過剰量によって引き起こされる症候群を治療するための医薬品;抗潰瘍薬;成長関連問題を治療するための医薬品;を調製するために多糖類と免疫グロブリンの複合体を使用する方法を提供することにある。本発明の更なる目的は、活性化剤としての本発明の複合体を、適切な賦形剤及びアジュバント(adjuvants; 補助剤)(これらアジュバントの好ましいものはコリネバクテリウム・グラニュロジュウムの脱脂フラクションである)と混在して又は混在しないで含有する医薬組成物を提供することにある。 【0010】発明の詳細な記述本発明の目的は主として、多糖類ポリマーの中に取り込まれた免疫グロブリン(Ig)の複合体であって、該多糖類が免疫グロブリンと化学的には交差結合しておらず、そのために、免疫グロブリンを全身的に運搬することができる上記複合体を提供することにある。免疫グロブリンは、約50kDの分子量を有するフラグメント F(ab)の形態、又は約100kDの分子量を有するフラグメント F(ab')2の形態、又は150kDの形態(IgG)をしている。 【0011】本発明の主要目的を表わすことであるが、タンパク質巨大分子を浸透によって運搬する、経腸(経口)及び/又は経粘膜の方法による吸収が、選ばれる多糖類の分子量に関するいかなる制限も受けず、前記巨大分子を多糖類(好ましくは、キトサン及び/又はアルギン酸の種々の誘導体)で被覆することによって効率良く達成されることを本発明者らは発見した。 【0012】経口及び経粘膜(舌下、鼻、膣、直腸を経由)の方法により、免疫グロブリンを生体内で利用可能(吸収可能)にする可能性によって、これら巨大分子を医薬として使用するための一連の新たな適用性が開かれる。経口及び経粘膜の吸収は、非経口投与に比べて非常に容易である:実際、経口及び経粘膜による投与は、医薬関係者及び/又は熟練者の介在を必要としない。 【0013】 【発明の実施の形態】第1の態様によると、本発明は、多糖類の中に取り込まれた免疫グロブリンを含有する複合体であって、該多糖類が、免疫グロブリンの外面を被覆し、免疫グロブリンを担持し、免疫グロブリンのタンパク質構造を保護し、しかも、経口及び経粘膜の方法による全身系運搬(systemic delivery)を活性な形態で行わせる上記複合体によって表わされる。本発明の複合体において、多糖類と免疫グロブリンは、共有結合によっては結合しておらず、むしろ、ファンデルワールス力、イオン的相互作用等の非特異的な相互作用によって会合している。 【0014】非経口投与がたとえ全身系方法で作用したとしても、経口(経腸)及び/又は経粘膜投与は、非経口投与と比べて一連の利点を示す。このケースの免疫グロブリンの場合、経腸及び経粘膜投与によって、一層緩慢で一層緩やかな吸収が可能となり、しかも、それら異種タンパク質の有効性を変化させることなく、それら異種タンパク質の血流中における分布及び用量を一層高度に制御することが可能となる。これに対して、異種タンパク質を用いた処置が繰り返される場合、非経口投与によって、血流中の異種免疫グロブリン濃度の急速な増加が引き起こされ、それによって、免疫不適合(immuno-incompatibility)の現象、或いはアナフィラキシーショックさえも引き起こされることもあり、従って、媒体(medium)/長期繰り返し処置の可能性が排除される。これらの逆効果(悪影響)は、経腸又は経粘膜による投与方法によって排除される。本発明による免疫グロブリン複合体を経口又は経粘膜で吸収させることによって、次の利点が与えられる:保護されるべき異種免疫グロブリンが血流中に一層緩慢に入ることが可能となり、最終的な浸透効果が一層緩やかに達成される。これらの条件によって、血流中の抗原又は標的分子と異種免疫グロブリンの間の相互作用が最適となる。また、免疫複合体(標的分子又は抗原、及び免疫グロブリン)と免疫系の間の相互作用の条件も、それのクリアランスのために最適となり、このようにして、異種免疫グロブリンに対する免疫反応性は減少する。更なる利点は、循環性生成物の濃度が一定に保持されることによって、その処置はやがて合理的なものとなり、このようにして、血流中における免疫グロブリンの一層良好な分布が全体的に可能となる可能性によって与えられる。 【0015】多糖類中に免疫グロブリンを取り込む工程は、種々の化学的・物理的特性を有し、種々の程度に誘導体化された、多糖類の製剤を使用することにより、実施される。多糖類は好ましくは、種々の置換基を持つキトサン類;それらの誘導体及びポリマー;並びに/又はアルギン酸の誘導体;から選ばれる。キトサン類には、低分子量(150,000)のキトサン;中程度の分子量(400,000)を有し且つ高度に脱アセチル化されたキトサン;グリコールキトサン;メチルグリコールキトサン;及びプロタサン(Protasan)(登録商標);が包含される。とりわけ好ましい多糖類は、メチルグリコールキトサン;高度に脱アセチル化された低分子量キトサン;ポリマンヌロン酸(分子量 5〜10kD);又は、例えば、アルギン酸とアルギン酸塩−リアーゼとの酵素加水分解によって得られるポリマンヌロン酸;及びそれらの誘導体;である。そのような多糖類又はそれらの誘導体は、取り込まれる構造体(特異的ケースの免疫グロブリン)の周りに、消化管における化学的・物理的変化及び酵素力に耐えるポリマー「膜(film)」を形成し;また、取り込まれた物質を粘膜細胞の方に導く可能性を可能にし;このようにして、それら物質の吸収を向上させる;ものから選ばれる。 【0016】免疫グロブリンを取り込むために使用される多糖類は好ましくは、交差結合していない。本発明による複合体の更なる利点は、交差結合が存在しないことである。なぜなら、それら複合体を調製するために使用される方法が一層容易となり、また、最終生成物が、潜在的に毒性の、化学的交差結合を持ついかなる残基をも含有しないからである。本発明による複合体の特徴は、多糖類が、共有結合によって免疫グロブリンに結合することなく、むしろ、一種の表面皮膜を形成しながら(即ち、アルギン酸の場合のようにゲル形態で)免疫グロブリンを被覆していることである。 【0017】多糖類の中に取り込まれる免疫グロブリンは、IgG、IgA又はそれらのフラグメントF(ab')2若しくはF(ab)である。それら免疫グロブリンは好ましくは、IgG又はそれらのフラグメントF(ab')2若しくはF(ab);或いは、例えば、scFv等前述の免疫グロブリンのL鎖(軽鎖)をクローン化することによって得られる生物活性フラグメント;である。IgGは、当該技術の状況で知られている諸方法によって[多クローン性免疫グロブリンとして、例えば、マウス、ウサギ等の哺乳動物を免疫化することによって(ジョーンストーン(Johnstone)A.,ソープ(Thorpe):Immunochemistry inPractice,Blackwell Sci.発行,オックスフォード,27〜31(1982))、或いは、モノクローナル抗体として、例えば、「コーラー(Kohler)G.,ミルシュタイン(Milstein)C.:Nature,256,495〜497」に記述されている技術を使用することによって]調製される。ウサギ、ヒツジ又はウマの中で生成される抗体を含有する複合体は、とりわけ好ましい。フラグメントF(ab)又はF(ab')2を調製する方法は当業者に知られており、例えば、WO 97/49732号明細書に記述されている。更に、免疫グロブリンは、市販由来のものでも良い。 【0018】本発明による複合体を調製するために使用される抗体は、種々の特異性を持っており、それら特異性は望ましい治療効果に依って選ばれる。しかし、本発明の構成(frame; 骨格)には、本明細書に記述される特定の適用範囲を越えて、浸透効果を与える経口及び/又は経粘膜使用のための、免疫グロブリンと多糖類(とりわけ、キトサン及びアリギン酸塩、それらの誘導体又は置換基)のあらゆる複合体が包含される。1つの複合体の中に、種々の特異性を持つ免疫グロブリンを結合させて、独特の又は協同の治療効果を得ることも可能である。 【0019】感染症の分野における特定の適用性によれば、受動免疫を必要とする全ての場合(即ち、感染性抗原が生体内に既に存在していて、能動的予防接種の結果として内因性抗体が発生するまで、即刻の免疫保護がとにかく必要である場合)、又は、感染症を予防するための免疫予防の場合、本発明の複合体によって、免疫グロブリンの使用が保持され、改善される。 【0020】本発明の複合体の更なるそして画期的な適用性は、それら複合体がホルモン及びペプチドから成る群に包含される内因性分子に作用することにより、それら複合体が任意の被検者の生理的・生体機能的平衡を調整するのに使用され、その結果、その生体の機能的又は病的状態を矯正する代謝変動(metabolic variations)を得ることによって表わされる。本発明の更なる態様は、種々の性質の生体変性によって生じる機能的・代謝的平衡失調を治す可能性と;医薬及び乱用される薬物を拮抗させ、結果的に、それによって生じる中毒作用を中和させる可能性と;によって表わされる。 【0021】感染症の分野において、前記複合体は、次の諸ウイルス病原体:単純ヘルペス・ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘ウイルス、風疹ウイルス、シンシチウム・ウイルス(syncytial virus)、呼吸器ウイルス、インフルエンザ・ウイルス、エプスタイン−バー・ウイルスに対する特異性;又は、それらの抗原成分に対する特異性;又は、次の諸細菌:リステリア菌、チフス菌、パラチフス菌(Salmonella paratiphy)、ネズミチフス菌(Salmonella thiphymurium)、ブタコレラ菌(Salmonella choleraensis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌、赤痢菌に対する特異性;又は、真菌[例えば、カンジダ・アルビカンス]に対する特異性;又は、寄生虫[例えば、ゴンデイ・トキソプラズマ]に対する特異性;を有する免疫グロブリンを含有する。実存するか又は存在する恐れのある感染症のために受動免疫が必要である他の全ての場合であっも、本発明の目標に包含される。抗リステリア菌及び抗腸炎菌(anti-Salmonella entheriditis)IgGを含有する複合体は、とりわけ好ましい。 【0022】この態様によれば、それら複合体は、免疫調整剤(好ましくは、コリネバクテリウム・グラニュロジュウムの脱脂済みフラクション(fraction)によって表わされるBVV)を随意的に含有する。もう1つの方法として、コリネバクテリウム・グラニュロジュウムの脱脂済みフラクションを含有する多糖類複合体が独立的に調製され、免疫グロブリンを含有する複合体と組み合わせて投与される。多糖類を含有する複合体、及びコリネバクテリウム・グラニュロジュウムの脱脂済みフラクションを含有する複合体は、免疫グロブリンを含有する複合体と同じやり方で調製される。コリネバクテリウム・グラニュロジュウムの脱脂済みフラクションは、当該技術の状況において知られている、培地及び温度、撹拌及び時間の諸条件に関する厳密な嫌気生活条件下[例えば、NaCl及びブドウ糖の存在下での、脱水されたバクト栄養ブロス(Bactonutrient broth)、酵母エキス(Difco)等]で細菌を増殖させることによって調製される。細菌は、約30分間の間増殖させ、高温で(例えば、60oCで30分間)処理することによって失活させ、次いで、例えば遠心分離法によって濃縮する。その細菌塊は、諸有機溶媒で一連の抽出を行う[例えば、アセトンで約24時間の間1回抽出し、次いで、クロロホルムで24時間抽出し、次いで、1:2(容量:容量)の比のメタノール−エーテルの混合物で抽出する]ことによって脱脂する。次いで、脱脂済み細菌の沈降物は、ワーリングブレンダー・ホモジェナイザー(waring Blendor homogenizer)を用いて機械的に破壊し、次いで、遠心分離機で低速度で分離する。脱離液は、破壊済み細菌でできているが、更に遠心分離機で高速度で(例えば、15〜30分間、10,000rpmで)分離する。この最後操作によって得られる沈降物は、BVV粒子フラクションである。 【0023】更なる態様によると、オクラトキシン、アフラトキシン等の、真性菌由来の毒素に対して特異的である免疫グロブリンは、そのような諸物質のクリアランスを血流から与えて食中毒を予防する必要がある場合に、使用される。とりわけ畜産技術分野では、成長を促進するために使用される医薬品[プロゲスチン剤、エストロゲン、甲状腺安定剤(thyrostatic agents)、コルチコステロイド、交感神経作用薬]から;或いは、感染症の予防及び/又は治療に使用される医薬品[オキシテトラサイクリン、アンピシリン、静真菌剤等の抗生物質;若しくはモネンシン等のコクシジウム増殖阻止剤]から;動物を解毒して、最終製品(肉、ミルク、卵)の汚染除去を確実に行う必要がある。更なる態様によると、本発明の複合体は、乱用薬物(例えば、コカイン、LSD、ヘロイン);医薬品;又はホルモン;から生物を解毒するために使用される。 【0024】本発明の種々の態様によると、中毒;感染症;又は、外来性の物質若しくは作用物によるあらゆる病的状態;を予防するか或いは治療するための、本発明による諸複合体は、それら複合体中の免疫グロブリンが、オクラトキシン、アフラトキシン及びプロゲステロン、リステリア菌及び腸炎菌;モネンシン等の医薬品;並びに、乱用薬物(とりわけ、コカイン);に対する特異性である場合、特に好ましい。 【0025】感染症病原体のクリアランス、又は感染症の予防において、受動免疫のために本発明の複合体を使用する場合、その効果は、免疫グロブリンのために使用される多糖類構造物と同一の多糖類構造物の中に取り込まれた免疫調整剤を、免疫グロブリンと一緒か又は別々に、同時に投与することによって、強化することができる。そのような免疫調整剤は、糖タンパク質及びペプチドグリカン、又はコリネバクテリウム・グラニュロジュウムを含有する不溶性フラクション(insolublefraction)から得られ;また、かなり特異的であること、及び免疫促進活性を補助することとによって特徴付けられる。非特異性免疫調整剤を投与している間又は投与した後、与えられた微生物抗原に対する免疫グロブリン類を含有する複合体を同時投与することによって、生体の非特異性防衛に関与する細胞が活性化され、更に、複合体形成プロセス(循環性免疫複合体の形成);及び特異性免疫グロブリンと結合する抗原の食作用プロセス;において協同効果が得られる。 【0026】経口又は経粘膜の方法で吸収することができる、本発明による複合体は、(感染性の治療に関して、或いは薬物、医薬物、毒素等からの解毒に関して)外部作用物の血中濃度を低下させる必要がある場合だけでなく、ホルモン;酵素及びプロ酵素;生物活性ペプチド;前駆体;並びに/又は生体自身によって生成される種々の性質の代謝物;又は、細胞生化学若しくは生体全体の生化学に関与するあらゆる内生物質;の内生濃度を調整する必要がある場合にも使用される。上述の調整は、前記諸物質(とりわけ、慢性病、恐らくは慢性又は変形性症)の内生平衡(endogenous balance)の変化による病的状況を矯正するためか、或いは、正常機能の被検者の生化学的平衡[例えば、動物の成長、運動する人の肉体的努力、妊娠の誘発若しくはブロック、注意力しきい値(attention threshold)の増大、変形性プロセス由来の代謝物の除去等]を変化させるためかに必要である。 【0027】これらの場合、本発明に開示する通り、経口又は経粘膜の方法によって免疫グロブリンが緩慢且つ緩やかに吸収されるのは、その免疫グロブリンを担持する多糖類の保護効果のお陰であり、それによって、非経口投与を必要としないで治療することが可能となる。 【0028】本発明の複合体は、後者の態様によって、生体機能の調整に関与する生物活性ペプチド;内生ホルモン;又は酵素若しくはプロ酵素;の諸濃度の再平衡(re-balancing) に使用される。例えば、内生カルシウムの濃度を変化させる必要がある場合、本発明による複合体は、カルシトニン若しくはパラソルモン[両者ともカルシウムの恒常性(homeostasis; ホメオスタシス)に関与する]に対して特異性を有する諸抗体又はそれらのフラグメントを含有する。脂肪の蓄積に関する問題(例えば、肥満の病理発生)を解消する必要がある場合、免疫グロブリンは、リパーゼに対して特異性を有するものから選ばれる。他の、アミノ糖の代謝の平衡失調に関する場合、免疫グロブリンは、β−D−N−アセチル−グルコサミニダーゼ酵素に対して特異性を有するものから選ばれる。 【0029】内因性物質の濃度を調整するためには、成長関連問題のための成長ホルモン(GH)、ソマトスタチン、グルカゴン、コレシストキニン;カルシウムの恒常性に関連する問題のためのカルシトニン及びパラソルモン;に対して特異性を有する免疫グロブリン又はそれらのフラグメントを含有する複合体がとりわけ好ましい。他の好ましい複合体は、抗血栓症剤としてのプロトロンビン(PTT);避妊薬(anti-pregnancy medicines)としての絨毛性性腺刺激ホルモン(ChCG);若しくは抗潰瘍薬としてのペンタガストリン;に対する抗体又はそれらのフラグメントを含有するものである。 【0030】本発明のもう1つの目的は、血栓症及び肥満症を治療するための、抗潰瘍効果を有し経口及び/又は経粘膜吸収による解毒剤を調製するために、免疫グロブリンと多糖類から成る複合体を使用する方法;並びに、薬剤中毒[好ましくは、コカイン、ヘロイン又はリゼルギン酸(LSD)によって引き起こされる中毒]における過剰服用(overdoses)を処置するための医薬品を調製するためにそれら複合体を使用する方法;を提供することにある。 【0031】また、本発明による複合体は、多機能的複合体を提供するために、或いは前述のBVV等の免疫アジュバントをも含有するように、種々の特異性を有する免疫グロブリンを含有する。本発明による複合体を使用することは、畜産技術分野において、肉又はミルクの生産に利用される動物を解毒するための食品添加剤を調製するのに、とりわけ有用である。 【0032】本発明の更なる目的は、適切なアジュバント及び賦形剤[例えば、ヒト及び動物のための食品粒状体(穀物デンプン等)を調製するために、当該技術の状況において使用されているもの]と一緒に、免疫グロブリンと多糖類の複合体を活性剤として含有する、経口使用のための組成物を提供することにある。 【0033】本発明の更なる目的は、経粘膜使用のための(例えば、舌、小腸、鼻、鞘又は直腸を経る)組成物であって、適切な賦形剤、希釈剤又は溶媒と一緒に1種以上の特異性を有する免疫グロブリンを含有する本発明の複合体を活性剤として含有する該組成物を提供することにある。また、本発明の更なる目的は、組成物であって、その中に含まれるアジュバントが、前記複合体内で独立して(自力で)存在し且つ免疫グロブリンと一緒に存在している免疫調整剤 BVVを含有する該組成物を提供することにある。 【0034】種々の態様による好ましい投薬計画は、7〜15日間、1日に1回、体重1kg当り1〜100mg、好ましくは5〜20mg/kgである。解毒目的の投薬計画は、中毒の程度に依って、また、被検者の一般条件に依って変化させ、1〜5日に短縮することができる。非代謝を矯正するため、又は慢性病を治療するための治療は、次の計画に従うことがある:2〜5日間の中断を含む4〜7日間の間、1日に1回投与し、次いで、その治療を繰り返す。非病原性条件での治療のための投薬計画は好ましくは、3〜10日間(好ましくは4日間)、1日に1回、体重1kg当り0.1〜100mg(好ましくは5〜20mg/kg)である。 【0035】本発明の更なる態様は、免疫グロブリン及び多糖類(多糖類はとりわけ、アルギン酸;ポリマヌロン酸;メチルグリコールキトサン;低分子量を有し且つ高度に脱アセチル化されたキトサンである)から成る複合体を調製する方法であって、Na2SO4中の免疫グロブリン(5〜50mg/ml)の濃縮溶液を50〜60oCの温度にして、0.1〜10重量/容量%の濃度の多糖類含有溶液と混合し、次いで、最高速度で機械撹拌を行って混合する諸工程を含む上記調製方法を提供することにある。 【0036】 【実施例】実験部分例1:抗体(免疫グロブリン)の調製免疫原の調製免疫原は、KLHと、又はBSA若しくはオボアルブミンと結合させることによって調製する。細菌免疫原(リステリア菌及び腸炎菌)は、その微生物を、例えばホルマリン及びアセトンで不活性化することによって調製する。 【0037】次の諸抗原はKLHと結合する:コレステロール−KLH、ペンタガストリン−KLH、コレシストキニン−KLH、カルシトニン−KLH(サーモン・カルシトニン)、グルカゴン、モネンシン。ChG(絨毛性性腺刺激ホルモン)の免疫原はBSAと結合し、ウシ・パラトルモン(フラグメント1〜34)の他にBSA−ChG(鎖β)が与えられる。プロトロンビンの免疫原及びソマトスタチンの免疫原は、グルタルアルデヒドで処理することによって調製する。 【0038】リステリア菌(リステリア・モノサイトゲネス)のワクチン又は免疫原の調製は、微生物の増殖懸濁液にホルマリンを最終濃度が0.5%になるまで添加することにより実施する。微生物の培養は、ディフコ(Difco)栄養ブロス中、37oCで36時間の間実施し、次いで、室温で12時間培養する。ホルマリンで死んだ細菌は、3時間の間洗浄し、PBS中に1%(v/v)の濃度で再び懸濁させる。免疫原(腸炎菌のワクチン)の調製は、室温で12時間の間アセトンで抽出し、次いで、無菌の生理溶液で連続的に(3回)洗浄することにより実施する。 【0039】抗体の生成及び免疫化前節に記述した免疫原は、「ジョーンストーン(Johnstone) A.& ソープ(Thorpe):Immunochemistry in Practice,27〜31,Blackwell Sci. Publ. オックスフォード(1982)」に説明されている典型的な免疫化パターンを採用して、ウサギ中で調製される諸抗体を調製するのに使用する。前記抗体を生成するための処理パターンは、全ての免疫原を生成するための処理パターンと同じである。それら抗体は、WO 97/49732号明細書に記述されている方法のような、当該技術の状況において知られている諸方法によって、硫酸アンモニウムの50%飽和溶液中に沈降させることによって精製する。抗体フラグメント F(ab')2及びF(ab)もまた、WO 97/49732号明細書に記述されているような、当該技術の状況において知られている諸方法によって調製する。 【0040】例2:多糖類(キトサン及びアルギン酸塩)への免疫グロブリンの取り込みキトサンへの取り込み免疫グロブリンを取り込むためには、種々の特性を有する諸キトサン製剤[例えば、低分子量(150,000)のキトサン;中程度の分子量(400,000)を有し、高度に脱アセチル化されたキトサン;グリコキトサン;メチルグリコールキトサン;プロタサン(Protasan)(登録商標)]が使用される。キトサン(分子量 750kD、Fluka 22742)を、酢酸塩緩衝液(0.025M,pH5.7)に0.2%〜1%で溶解させる。精製済みIgGの溶液(21g/リットル)を、Na2SO4 0.05M(2.5ml中10mg)に溶解させる。各溶液は、二重鍋で55oCに加熱する。キトサン溶液 2.5mlをIgG溶液 2.5mlに添加し、次いで、その混合物は、最大速度で20〜60秒間、渦状に撹拌する。 【0041】アルギン酸塩への取り込みPBS(50ml中に10mg)に入れたIgGの製剤に、同一容量、低粘度の、PBSに入れた1〜5%アルギン酸ナトリウム(Fluka−71238)を添加する。その混合物は、最大速度で30〜120秒間、渦状に撹拌する。 【0042】例3:アジュバントの複合体BVV−多糖類の調製コリネバクテリウム・グラニュロジュウムからのBVVフラクションの調製コリネバクテリウムの粒子フラクションである免疫調整剤 BVVは、微生物培養株から得られる。その培養株は、60oCで(30分間)加熱することによって失活させる。次いで、その培養株は、室温で冷却し、遠心分離機で分離し、次いで、それら細菌をかき集める。細菌塊は、生理溶液中で再び懸濁させることによって洗浄し、次いで、遠心分離機で分離する。その洗浄段階は、1回以上繰り返し、それら細菌は、有機溶媒で抽出することによって脱脂し、ワーリングブレンダー(waring-blendor)で破壊する。破壊されなかった細菌は、遠心分離機により低速度で10分間の間排除する。次いで、上澄み液は、遠心分離機により高速度で(10,000rpm、30分間)分離して、細菌片をかき集める。この沈降物は、主として糖タンパク質及びペプチドグリカンから成るが、BVVとして知られている粒子フラクションである。 【0043】キトサン中の、コリネバクテリウムからのアジュバントBVVの複合体の調製Na2SO4 50mMに入っている200〜2,000μg/mlの濃度のコリネバクテリウム・グラニュロジュウムからの不溶性粒子懸濁液を、55oCの二重鍋で加熱し、次いで、酢酸塩緩衝液(25mM、pH5.7)に入っている、同一容量の0.2〜4%キトサン溶液を添加する。その混合物は、55oCで加熱し、最大速度で30〜120秒間、渦状に撹拌する。 【0044】アルギン酸塩中の、コリネバクテリウムからのアジュバントBVVの複合体の調製PBSに入っている200〜2,000μg/mlのBVV懸濁液のある容量に、PBSに入れた低粘度の1〜5%アルギン酸ナトリウム溶液を添加する。その混合物は、最大速度で30〜120秒間、渦状に撹拌する。 【0045】例4:複合体 IgG−アルギン酸塩及びIgG−キトサンを経口投与した後の、特異性IgGの吸収に関する試験1%アカシア懸濁液に入れた、特異性IgGを含有する多糖類複合体は、1mlの一定容量を特異性免疫グロブリン10〜50mg/kgの濃度で、胃管を通して投与する。次いで、経口投与したIgGの吸収は、酵素免疫測定法(immunoenzymatic method) ELISA(エリザ法)により、採血し、血清中に前記特異性IgGを投与することによって試験を行う。 【0046】これらの試験は、体重200gのウィスターラットで実施する。これらラットはそれぞれ20匹から成る3つの群に分割し、それらは次のように処理する:第1群−キャリヤーでのみ処置した対照動物; 第2群−キトサン中に組み込んだ特異性IgGで処置した動物;及び第3群−アルギン酸塩中に組み込んだ特異性IgGで処置した動物。 これら試験は、例1に記述する種々の免疫原に対する全ての特異性IgGについて、同一の試験条件を用いて実施する。採血は、胃管を取り付けて3時間後及び6時間後に、心臓内穿刺により行う。 【0047】ELISAプロトコル免疫化するために使用され、また、例1に記述するように調製した抗原は、PBS(リン酸塩食塩緩衝液 0.1M、pH7.4)に入れた抗原4μg/mlを含有する溶液125μlを37oCで3時間の間吸着させることによって、ミクロ平板の縦穴(wells)に付着させる。 【0048】各縦穴に、動物の血清100μlを添加し、PBSで希釈し(1:5、1:20、1:40、1:80)、次いで、37oCで30分間保温し、ミクロ平板上で特異性IgGを抗原に付着させる。結合しなかったIgGは、生理溶液で洗浄することによって除去する。特異性抗体の検出は、追跡酵素(tracing enzyme)と結合した抗ウサギ免疫グロブリン(過酸化酵素;SIGMA A 8275と結合した抗ウサギ免疫IgG)の溶液100μlをその縦穴に添加し、次いで、37oCで30分間接触させておくことによって行う。結合しなかった過剰の結合体は、洗浄することにより除去し、次いで、色素原を添加し(OPD−sigma6662)、かくして、492nmで色強度を読み取る。前記色強度は、経口投与した特異性免疫グロブリンの濃度に正比例する。表1〜表13に、投与された特異性免疫グロブリンを含有する種々の複合体であって、投与後約3時間目に血清中に存在する該複合体について得られたO.D.値を示す。 【0049】 【表1】
【0050】 【表2】
【0051】 【表3】
【0052】 【表4】
【0053】 【表5】
【0054】 【表6】
【0055】 【表7】
【0056】 【表8】
【0057】 【表9】
【0058】 【表10】
【0059】 【表11】
【0060】 【表12】
【0061】 【表13】
【0062】表1〜表13に集めたデータによって、本発明の複合体が経口で吸収されること;及び諸免疫グロブリンが血流中で放出されること;ELISA法によって評価され、それら免疫グロブリンの、抗原を認識する特異性能力(specific capacity)によって示される通り、それら免疫グロブリンは活性であること;が分かる。とりわけ、アルギン酸塩を含有する複合体、及びキトサン中の複合体はいずれも活性である。 【0063】例5: 複合体 Ig−多糖類の生物活性の評価複合体として経口投与された諸免疫グロブリンの生物活性は、種々の試験条件下、ラットで評価され、特異性免疫グロブリンによって成し遂げられる効果(例えば、生体からの毒性残留物の除去、正常機能的生化学平衡の変化、病因危険因子の拮抗作用)に左右される。 【0064】抗オクラトキシンIgGで処置した動物の解毒に関する試験血流中に存在する毒素を除去する抗オクラトキシンIgGの特異性能力の試験を行うために、この試験では、前記毒素を非経口投与することによって、動物を中毒させる。その毒素の短い半減期と、経口投与される複合体を吸収するのに必要な時間とを考慮し、動物が中毒する前に、解毒剤(抗オクラトキシンIgGを含有する複合体)をその動物に投与する。解毒性IgGの用量は、同じ体重の動物の生体内の毒素によって達成される血液内濃度と半減期とを評価するために行った予備中毒実験に基づいて決定する。IgGの用量は、最適条件下でIgG1モルが毒素2モルと結合し得ることを考慮して計算する。 【0065】予備実験は、体重200±10gの雄ラットで行う。それら雄ラットは1群20匹の諸群に分けて、次の実験パターンを使用する:1つの群の動物には200μg/kgの投与量で皮下方法によってオクラトキシンを投与し;3、6、9時間後の血液を、心臓内穿刺によって取り出し、血清を分離するために遠心分離機を用いて3000rpmで15分間分離する。血清試料を集めて、HPLC法[M.オスピタル(Ospital),J.M.カラバイエ(Carabeie),A.M.ベトベーダ(Betbeder),C.トリカード(Tricard),E.クレピー(Creppy),B.メディナ(Medina):L'Ochratoxine,A dans les vins,Revue Francaise d'Enologie,n.169(1998年3月/4月)]を使用して、オクラトキシンの血中濃度を決定するのに用いる。 【0066】血中濃度と、血液から毒素が除去される速度とが一旦決定すれば、前述の通り、同じ平均体重を有する20匹のラットの1つの群は、血液中に投与された毒素のミリモル数値の5倍以上のモル量の、キトサン中に取り込んだ抗オクラトキシンIgGを用いて、経口で処置する;取り込まれたIgGは、2%アカシア懸濁液で投与する。1.5時間後、オクラトキシンを常に200μg/kgの量で、皮下注射する。 【0067】前記投与の3、6、9時間の後、採血して、前述の通りに血清を分離する。次いで、集めた血清試料のオクラトキシン含有量を分析する。表14により、キトサン中に取り込んだIgGで予備処置した諸動物に入っているオクラトキシンの血中含有量は、その毒素のみが投与された諸動物と比べて、比例的に減少するのが分かる。 【0068】 【表14】
【0069】表14のデータから、本発明の複合体を使用することによって、血流からの毒素の除去は、わずか6時間後には完全なものとなることが分かる。 【0070】キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込んだ複合体(抗ソマトスタチンIgG)の生物活性に関する試験抗ソマトスタチンIgGを含有する複合体の生物活性は、その複合体で処置された諸動物の成長曲線を分析することによって評価した。それら試験は、体重80±5gの諸ラットの成長に関して実施する。それらラットは、次のような1群当り10匹の諸群に分ける。 第1群: 対照、処置せず; 第2群: キトサン中に取り込んだ抗ソマトスタチンIgGを用い、2%アカシア懸濁液で胃管を通して、7日毎に100μg/kgの用量で処置; 第3群: アルギン酸塩中に取り込んだ抗ソマトスタチンIgGを用い、2%アカシア懸濁液で胃管を通して、7日毎に100μg/kgの用量で処置。 【0071】動物の3群は全て、毎日、餌と一緒に、成長ホルモン(GH)の外来性活性剤として、L−アルギニンを20mg/kg、DL−アスパラギン酸を20mg/kg投与する;それら動物は自由に飲み物を飲むことができる。1匹毎の体重は、7日毎に1ヶ月間調べる。表15から、経口により抗ソマトスタチンIgGで処置した諸動物、及び対照の諸動物の体重の平均値の間に、比例的な差異があることが分かる。 【0072】 【表15】
【0073】表15のデータから、抗ソマトスタチンIgGを含有する複合体が、L−アルギニン及びDL−アスパラギン酸の投与による成長ホルモンの誘発によって引き起こされるソマトスタチンの内因性放出と拮抗し得ることが分かる。明白な結果は、栄養活性剤のみを使用することによる成長の増加である。 【0074】複合体(キトサン又はアルギン酸塩に取り込まれた抗プロトロンビンIgG)の生物活性に関する試験凝固活性に関し、キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込まれた抗プロトロンビンIgGを投与した効果は、尾部凝固検定(tail coagulation assay)によってマウスで測定する。体重20gのスイスマウス(雄及び雌)は、1群当り10匹の諸群に分け、次のように処置する:第1群: 対照。2%アカシア溶液 0.5mlを経口投与; 第2群: キトサン中に取り込み、2%アカシアに再懸濁させた抗プロトロンビンIgG 5mg/kgを経口投与(胃管)で処置; 第3群: アルギン酸塩中に取り込み、2%アカシアに再懸濁させた抗プロトロンビンIgG 5mg/kgを経口投与(胃管)で処置。 【0075】2時間後、3群全ての動物は、3%塩化カルシウム溶液 0.3mlを皮下注射することによって処置する。3時間後、動物の尾の端部をかみそりの刃で切断し、次いで、37oCに温度調節した生理溶液の浴に浸漬する。プロトロンビンの内因性生成の指標(index)として、従って、凝固多段階(coagulation cascade)の活性化の指標として、血液が滴となって落ちる時間を調べる。多糖類に取り込んだ抗プロトロンビンIgGの複合体を用い、胃管を通して投与して処置した諸動物における、血液が滴となって落ちる時間と、対照の諸動物における時間との比例差分(proportional difference)を、表16に示す;これらの結果から、上述の通りに投与した抗プロトロンビンIgGは、トロンビンの生理前駆体の生体利用性を低減し得ることが分かる。 【0076】 【表16】
【0077】複合体[キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込んだ抗ChG(絨毛性性腺刺激ホルモン)IgG]の生物活性に関する試験キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込んだ抗ChG IgGの投与の効果の分析は、ラットの妊娠誘発を評価することによって実施する。これらの試験は、体重200g±10gの雌のウィスターラットで実施する。これらのウィスターラットは、1群当り50匹の諸群に分けて、次のように処置する:第1群: 対照、処置せず; 第2群: キトサン中に取り込んだ抗ChG IgGで処置; 第3群: アルギン酸塩中に取り込んだ抗ChG IgGで処置。 【0078】全近親交配期間の間、4日間ごとに、それら動物に対して本発明の複合体を、2%アカシア懸濁液で胃管を通して、IgG 10mg/kgに相当する量を投与する。雌ラットは、1つのケージ(籠)当り5匹を入れた複数のケージの中で飼育し、自由に餌を食べ飲み物を飲むことができるようにし、また、性的に成熟した1匹の雄(体重250gの雄ウィスターラット)を各ケージの中に導く;その雄ラットは、試験開始から20日の間、ケージの中で飼育する。 【0079】前記期間の後、雄ラットは、ケージから排除し、また、雌ラットは、単一のケージの中に移す;抗ChG IgGでの処置を一時中止する。次いで、雌ラットについて妊娠(分娩)の回数を調べる。表17から、胃管を通して、抗ChG IgGを含有する複合体で処置した動物の、妊娠の回数が、対照動物と比較して比例的に減少することが分かる。 【0080】 【表17】
【0081】表17のデータから、抗ChG IgGを含有する本発明の複合体で処置すれば、キトサン中の複合体とアルギン酸塩中の複合体の両方に対して、使用した動物の妊娠回数が著しく減少することが分かる。 【0082】キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込んだ抗コカインIgGの複合体の生物活性に関する試験キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込んだ抗コカインIgGを投与することによって得られる、コカイン麻酔反応に対する効果の分析は、O.バガスラ(Bagasra)等によって作成された説明書[Immunopharmacology,23,173(1992)]に準じた熱板試験(hot plate test)を使用し、マウスで実施する。体重20gの雌のスイスマウス(1群当り20匹の諸群に分割)を、次のように処置する:第1群: 対照。胃管を通して、動物に2%アカシア 0.5mlを投与; 第2群: キトサン中に取り込んだ抗コカインIgGで処置; 第3群: アルギン酸塩中に取り込んだ抗コカインIgGで処置。 【0083】2%アカシア 0.5mlに再懸濁させた、IgG 20mg/kgに相当する本発明の複合体の量を、それら動物に対して胃管を通し、投与する。3時間後、それら動物の全てに対し、生理溶液に入れたコカイン 25mg/kgを、腹腔内方法(intraperitoneal way)によって投与する。1時間後、55oCに温度調節した板の上にそれら動物を置いて、熱刺激に対する、動物の反応時間を秒単位で調べる。 【0084】 【表18】
【0085】表18のデータから、経口で投与され抗コカイン抗体を含有する本発明の複合体は、血流からコカインを除去することによってそれらの機能を果たすことが分かる。従って、観測された効果は、コカインのみを投与した動物と比べて、刺激に対する反応時間が減少することである。 【0086】BVVと会合させるかまたは会合させずに、キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込んだ抗サルモネラIgGの複合体の生物活性に関する試験BVVと会合させるかまたは会合させずに、キトサン又はアルギン酸塩の中に取り込んだ抗サルモネラIgGを投与することによって得られる、サルモネラ症の臨床的発達の予防に対する効果の分析は、マウスで実施する。 【0087】それら試験は、体重20gのスイスマウス(1群当り20匹の諸群)で実施し、それらマウスは、次のように処置する:第1群: 対照。標準的に給餌した動物; 第2群: 0、7及び14日間、キトサン中に取り込んだ抗サルモネラIgGで処置; 第3群: キトサン中に取り込んだ粒子フラクションBVVを含有する複合体(同じ2%アカシア懸濁液に再懸濁させた2mg/kgの量)と一緒にして、キトサン中に取り込んだ抗サルモネラIgGで処置。 【0088】2%アカシア 0.5ml中に再懸濁させたIgG 5mg/kgに相当する本発明の複合体の量を、それら動物に対して胃管を通して投与する。15日間後、109個の微生物に相当する腸炎菌の量を、それら動物に経口で接種する。次いで、それら動物を分離して単一のケージで飼育し、サルモネラ症の臨床エピソード(clinical episodes)の起こり得る発症を調べる。 【0089】 【表19】
【0090】表19のデータから、キトサン中に取り入れた抗サルモネラIgGを、経口投与して受動的予防接種することによって、実験的感染症の発症は十分高度に予防されることが分かる。前記の活性は、抗サルモネラ抗体と同一形態及び同一使用法(modalities)で投与される、非特異性免疫調整剤(BVV)を含有する複合体を同時に投与することによって増大する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】502064298 【氏名又は名称】グリソテク ソシエテ アノニム
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| 【出願日】 |
平成14年2月21日(2002.2.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065385 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 穣平
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| 【公開番号】 |
特開2002−332243(P2002−332243A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月22日(2002.11.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−45088(P2002−45088) |
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