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【発明の名称】 糖衣強度に優れた素錠およびその製造法
【発明者】 【氏名】橋爪 稔

【氏名】菅原 智

【氏名】中村 雄啓

【氏名】河村 政男

【要約】 【課題】糖衣錠に対する物理的衝撃により、欠や剥離を生じないよう糖衣が十分な強度を有する素錠を提供する。

【解決手段】素錠上下面の曲率直径が、素錠直径の1.7〜2.0倍または1.2〜1.4倍とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】素錠上下面の曲率直径が、素錠直径の1.7〜2.0倍であることを特徴とする糖衣錠素錠。
【請求項2】素錠上下面の曲率直径が、素錠直径の1.2〜1.4倍であることを特徴とする糖衣錠素錠。
【請求項3】素錠直径の1.7〜2.0倍の曲率直径からなる曲面または凹面を有する杵を用いて打錠することを特徴とする、請求項1記載の糖衣錠素錠の製造法。
【請求項4】素錠直径の1.2〜1.4倍の曲率直径からなる曲面または凹面を有する杵を用いて打錠することを特徴とする、請求項2記載の糖衣錠素錠の製造法。
【請求項5】請求項1記載の素錠を被覆して得られる糖衣錠。
【請求項6】請求項2記載の素錠を被覆して得られる糖衣錠。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物理的衝撃に対し強度を有する糖衣錠の素錠およびその製造法に関するものである。
【0002】糖衣コーティングは、マスキング、薬剤安定化、外観(商品価値)向上などの種々の目的から繁用される製剤加工技術である。
【0003】一方、製剤・充填・輸送・保管などの過程において、糖衣錠に対する物理的衝撃により、欠や剥離を生じないよう、糖衣が十分な強度を有することが重要である。
【0004】
【従来の技術】この目的を達成するため、従来種々の工夫がなされてきた。
【0005】一般的には、糖衣の配合成分やその配合比率上の工夫により強度を確保し改善する検討が多くなされている。
【0006】具体的には、例えば特開平9-143,055号公報には、スムーシング層を形成した後、ショ糖とポリエチレングリコールを含む緩衝層を形成し、さらにショ糖層を形成して糖衣錠を製造する方法が開示されている。
【0007】また特開2001-26,534号公報には、中掛け層を有する糖衣錠において、中掛け層の成分としてショ糖、プルランおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合する糖衣錠を製造する方法が開示されている。
【0008】さらに特開2001-39,862号公報には、タルク及び結晶セルロースを含有する散布剤を用いて散布掛け糖衣を行う糖衣錠製造法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前述のような、糖衣の配合成分やその配合比率上の工夫のみでは十分な強度が得られなかったり、糖衣被覆作業が煩雑または困難になるなど、より効果の優れた改善方法が求められていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題の根本的解決を目指し鋭意検討を重ねた結果、素錠の形状が糖衣錠の強度に大きく影響することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】具体的には、本発明は糖衣錠素錠上下面の曲率直径を一定範囲内とし打錠することにより、物理的衝撃に対し強度を有する糖衣錠が得られること見出したものである。
【0012】従って本発明は、ひびや欠損を生じない物理的衝撃に対し糖衣が十分な強度を有する糖衣錠の素錠、およびその製造方法を提供するものである。
【0013】続いて本発明について詳述する。本発明は以下のいずれかの方法、およびそれにより得られる素錠である。
【0014】(1) 素錠直径の1.7〜2.0倍の曲率直径からなる曲面(凹面)を有する杵を用いて打錠する。
【0015】(2) 素錠直径の1.2〜1.4倍の曲率直径からなる曲面(凹面)を有する杵を用いて打錠する。
【0016】ここで素錠直径とは、素錠を上面あるいは下面から見た際の円の直径、あるいは素錠を横面から見た際の横幅を意味する。(図1参照)
【0017】次に曲率直径とは、打錠杵の曲面(凹面)を形成する円弧の直径を意味する。(図2参照)
【0018】本発明は、主剤および/または各種賦形剤からなる通常の処方を、この曲率直径が素錠直径に対し一定範囲内の杵を用いて、打錠することにより達成することができる。
【0019】次に、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】実施例1 素錠の製造高速攪拌造粒機(カワタ製スーパーミキサー)を用い、噴霧乳糖10,740g、結晶セルロース(アビセル101)1,200g、ステアリン酸マグネシウム60gを混合し、得られた混合末をロータリー式打錠機(畑鐵工所製AP15SS)で、直径7.5mm、曲率直径15.0mmの杵にて1錠当たりの重量150mg、厚さ3.25mmとなるように製錠し、素錠を得た。
【0020】<素錠処方(1錠当たり)>────────────────────噴霧乳糖 134.25mg結晶セルロース(アビセル101) 15.00mgステアリン酸マグネシウム 0.75mg────────────────────計 150.00mg────────────────────【0021】実施例2 素錠の製造実施例1と同処方で、同様にして得られた混合末をロータリー式打錠機(畑鐵工所製AP15SS)で、直径7.5mm、曲率直径12.75mmの杵にて1錠当たりの重量150mg、厚さ3.55mmとなるように製錠し、素錠を得た。
【0022】実施例3 素錠の製造実施例1と同処方で、同様にして得られた混合末をロータリー式打錠機(畑鐵工所製AP15SS)で、直径7.5mm、曲率直径10.5mmの杵にて1錠当たりの重量150mg、厚さ4.05mmとなるように製錠し、素錠を得た。
【0023】実施例4 素錠の製造実施例1と同処方で、同様にして得られた混合末をロータリー式打錠機(畑鐵工所製AP15SS)で、直径7.5mm、曲率直径9.0mmの杵にて1錠当たりの重量150mg、厚さ4.50mmとなるように製錠し、素錠を得た。
【0024】比較例1 素錠の製造実施例1と同処方で、同様にして得られた混合末をロータリー式打錠機(畑鐵工所製AP15SS)で、直径7.5mm、曲率直径11.25mmの杵にて1錠当たりの重量150mg、厚さ3.70mmとなるように製錠し、素錠を得た。
【0025】製造例 糖衣錠の製造実施例および比較例で得られた素錠80,000錠に、通気型コーティング装置(フロイント産業製ハイコーター)を用いて、常法により下記糖衣液の注加および展延、乾燥を繰り返して糖衣層を形成させた。まず給気温度70℃、給気風量4立方M/分にて85mgのサブコーティング層を形成した後に、給気温度45℃、給気風量4立方M/分にて30mgのスムーシング層を、さらに給気温度45℃、給気風量4立方M/分にて30mgのカラーリング層を形成して糖衣錠を得た。
【0026】<サブコーティング層>───────────────白糖 64.0%アラビアゴム末 3.0%沈降炭酸カルシウム 10.0%タルク 15.0%酸化チタン 8.0%───────────────【0027】<スムーシング層>───────────────白糖 87.0%アラビアゴム末 3.0%タルク 5.0%酸化チタン 5.0%───────────────【0028】<カラーリング層>───────────────白糖 99.7%黄色5号 0.3%───────────────【0029】
【発明の効果】本発明の効果を示すため、以下の方法にて落下試験を行い強度を比較した。
【0030】[評価方法]得られた糖衣錠100錠を100cmの高さからステンレス板の上に繰り返し5回自然落下させて、目視により糖衣層の欠けまたは剥離を計数して、糖衣層の欠けまたは剥離の累積数から発生率を求めた。
【0031】[結果]欠けまたは剥離の発生率――――――――――――――――――――――No. 曲率直径/素錠直径 欠け発生率――――――――――――――――――――――実施例1 2.0 9%実施例2 1.7 14%比較例1 1.5 42%実施例3 1.4 16%実施例4 1.2 7%――――――――――――――――――――――【0032】上記結果から明らかなように、素錠上下面の曲率直径が、素錠直径の1.7〜2.0倍ないしは1.2〜1.4倍とすることにより、物理的衝撃に対し強度を有する糖衣錠が得られることが明らかである。
【出願人】 【識別番号】000000217
【氏名又は名称】エーザイ株式会社
【出願日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−332227(P2002−332227A)
【公開日】 平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願番号】 特願2001−140943(P2001−140943)