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【発明の名称】 眼科用組成物
【発明者】 【氏名】服部 学

【氏名】小出 操

【氏名】松原 雅彦

【氏名】梅澤 宏明

【要約】 【課題】界面活性剤量を低減しても、製剤の外観が澄明で、かつ化合物自体の安定性を高めた、疎水性易酸化物質を含有する眼科用組成物を提供する。

【解決手段】疎水性の易酸化物質を含有し、高エネルギー乳化により調製されたことを特徴とする眼科用組成物。上記疎水性の易酸化物質としては、例えば、ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類、ジフェンヒドラミン、インドメタシン、タクロリムス(FK506)、リファンピシンなどのマクロライト系抗生物質、フォスコリンなどが挙げられる。また、高エネルギー乳化としては、例えば、高圧乳化、超音波乳化、高速集中剪断型乳化などが挙げられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 疎水性の易酸化物質を含有し、高エネルギー乳化により調製されたことを特徴とする眼科用組成物。
【請求項2】 界面活性剤の含有量が組成物全量に対して、0.5g/100ml以下であることを特徴とする請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】 疎水性の易酸化物質が脂溶性ビタミンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科用組成物。
【請求項4】 組成物中のミセルサイズが、0.1μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疎水性の易酸化物質を含有する眼科用組成物に関し、更に詳しくは界面活性剤量を低減させても安定な水中油型の眼科用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、疎水性の易酸化物質を水性の液剤に調製する場合、界面活性剤や溶解補助剤を用いて、乳化あるいは可溶化する必要があり、さらに、溶存酸素による酸化を受けやすくなるため、製剤の外観及び化合物自体の安定性を高めなければならないものである。
【0003】そのため、疎水性の易酸化物質を水性の液剤に調製する場合には、従来より、様々な酸化防止剤や安定化剤の開発、至適な界面活性剤の選択、ミセルサイズの制御、容器内部のヘッドスペ−ス及び包装内部を窒素置換する等の包装面からの酸化抑制など、多様な安定性向上のための技術が生み出され、利用されているが、未だ安定なものが得られていないのが現状である。
【0004】また、乳化・可溶化に用いる界面活性剤は、その量が多いと、眼や皮膚などに対して刺激を及ぼす半面、界面活性剤量が少ないと、疎水性易酸化物質を充分に乳化・可溶化できないため、製剤の外観の安定性が保てないという課題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、界面活性剤量を低減しても、製剤の外観が澄明で、かつ化合物自体の安定性を高めた、疎水性易酸化物質を含有する眼科用組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討を行った結果、高エネルギー乳化により組成物を調製することにより、少ない界面活性剤量で安定な乳化・可溶化ができ、さらに疎水性易酸化物の安定性を著しく高めることができる眼科用組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 疎水性の易酸化物質を含有し、高エネルギー乳化により調製されたことを特徴とする眼科用組成物。
(2) 界面活性剤の含有量が組成物全量に対して、0.5g/100ml以下であることを特徴とする上記(1)に記載の眼科用組成物。
(3) 疎水性の易酸化物質が脂溶性ビタミンであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の眼科用組成物。
(4) 組成物中のミセルサイズが、0.1μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の眼科用組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本発明の眼科用組成物は、疎水性の易酸化物質を含有し、高エネルギー乳化により調製されたことを特徴とする。
【0008】本発明における疎水性の易酸化物質としては、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物事典、医薬品添加物規格、化粧品原料基準、化粧品種別配合成分規格及び食品添加物公定所収載の成分のうち、水に対する溶解性が「やや溶けにくい」から「ほとんど溶けない」物質を用いることができ、酸化分解を受ける全ての物質が含まれる。具体的な易酸化物質としては、ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類、ジフェンヒドラミン、インドメタシン、タクロリムス(FK506)、リファンピシンなどのマクロライト系抗生物質、フォスコリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記ビタミンA類としては、例えば、レチノ−ル、β−カロテン、パルミチン酸レチノ−ル、レチノイン酸及びこれらの誘導体等が挙げられ、ビタミンD類としては、例えば、コレカルシフェロ−ル、1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロ−ル及びこれらの誘導体等が挙げられ、ビタミンE類としては、例えば、α−トコフェロ−ル、酢酸d−α−トコフェロ−ル及びこれらの誘導体等が挙げられ、ビタミンK類としては、フィチルメナジオン及びその誘導体などが挙げられる。また、これらの疎水性易酸化物質は、単独で、又は2種以上混合して用いることができる。好ましい疎水性の易酸化物質は、眼科用物質として有用である点から、パルミチン酸レチノ−ル、酢酸d−α−トコフェロ−ル、タクロリムス(FK506)、リファンピシンなどのマクロライト系抗生物質、フォスコリンなどの脂溶性ビタミンが望ましい。
【0009】上記疎水性易酸化物質の配合量は、組成物全量に対して、0.0001〜20g/100mlであり、好ましくは、0.0005〜10g/100mlである。疎水性易酸化物質の配合量が0.0001g/100ml未満であると、有効性が発揮されず、また、20g/100mlを越えると、副作用などを引き起こす恐れがある。
【0010】本発明においては、必要に応じて、各種界面活性剤を用いることができ、特に、眼科用として通常用いられるノニオン界面活性剤が安全性の点から好ましい。用いることができるノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60〔例えば、HCO−60(日本サ−ファクタント工業社製)〕、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエ−ト〔例えば、TO−10(日本サ−ファクタント工業社製)〕、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマ−〔例えば、ポロクサマ−407(日本油脂社製)〕等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの各種界面活性剤は、単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0011】上記界面活性剤の配合量は、目に対する刺激、並びに、疎水性易酸化物質の充分な乳化・可溶化を考慮し、組成物全量に対して、0.5g/100ml以下とすることが望ましく、好ましくは、0.0001〜0.5g/100ml、更に好ましくは、0.0005〜0.3g/100mlである。界面活性剤の配合量が0.5g/100mlを越えると、目に対する刺激が強くなり、好ましくない。
【0012】更に、本発明の眼科用組成物には、上記成分に加え、必要に応じて、点眼剤等の眼科用組成物の調製に通常使用する各種成分をその通常の使用量において配合することができる。例えば、グリチルリチン酸二カリウム、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチ−ム等の抗炎症剤、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(活性型ビタミンB2)、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、ビタミンEアセテ−ト、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸レチノ−ル等のビタミン類、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸テトラヒドロゾリン等の充血除去成分、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤、スルファメトキサゾ−ル、スルファメトキサゾ−ルナトリウム、スルフイソキサゾ−ル、スルフイソミジンナトリウム等のサルファ剤、クロモグリク酸、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム等の抗アレルギ−剤、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸カリウムマグネシウム(等量混合物)、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、イプシロンアミノカプロン酸、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸類、メチル硫酸ネオスチグミン等の有効成分、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩類、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(エデト酸ナトリウム)等の安定化剤、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸等の抗酸化剤、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル等の溶解補助剤、メント−ル、カンフル、ボルネオ−ル、ゲラニオ−ル、リナロ−ル、シネオ−ル、ク−ルミント、ハッカ水、ハッカ油、ウイキョウ油、ベルガモット油、ユ−カリ油等の香料(清涼化剤)、メチルセルロ−ス、エチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルエチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム等の増粘剤、クロロブタノ−ル等の局所麻酔剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0013】本発明の眼科用組成物は、上記各成分を含有した易酸化物質含有物を、高エネルギー乳化で調製することにより得られる。本発明における「高エネルギー乳化」とは、油と水の乳化の際に乳化エネルギーを液に集中的に加える乳化をいい、例えば、以下に詳述する(1)高圧乳化、(2)超音波乳化、(3)高速集中剪断型乳化などが挙げられる。
【0014】(1) 高圧乳化による高エネルギー乳化この高圧乳化は、処理圧力が200から3000気圧程度の条件が好ましく、更に好ましくは、800から2500気圧かけ、高圧乳化装置の通過回数を1から5回程度とする。この高圧乳化を用いる場合は、予め粗乳化を行い、更に、高圧乳化装置で処理することにより行うことが望ましい。粗乳化は、通常の乳化方法、すなわち、油相を水相に高剪断下に添加して乳化することが好ましい。装置としては、アジホモミキサー、ディスパーミキサーなどを用いることができる。この高圧乳化に用いる装置としては、例えば、高圧乳化装置のゴーリン(APVラニー社製)、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)、高圧ジェット乳化機(日本BEE社製)、湿式ジェットミル(ジーナス社製)、Soavi-Niro(Niro社製)、ナノマイザーなどを用いて行うことができる。
【0015】(2) 超音波乳化による高エネルギー乳化この超音波乳化は、超音波乳化機を用いて行うことができる。超音波乳化機としては、例えば、超音波発生ユニットを備えた超音波ホモジナイザー(日本精機製作所社製)、超音波ホモジナイザー(超音波工業社製)が挙げられる。処理方法としては、水相と油相を合わせて装置に連続して供給し、超音波ユニットを通過させることにより処理する。この超音波乳化は、装置の通常の超音波発振レベルで15分程度の処理で行うことが好ましい。
【0016】(3) 高速集中剪断型乳化による高エネルギー乳化この高速集中剪断型乳化は、高速ホモジナイザー(ループ式、投込み式)等を用いて行うことができる。高速ホモジナイザー(ループ式)としては、マイルダー(エバラ社製)などが挙げられる。このループ式高速ホモジナイザーの処理方法としては、槽と乳化機を接続した水相循環ラインに油相をフィードして行うことができる。また、高速ホモジナイザー(投込み式)としては、クレアミックス(エムテクニック社製)、ポリトロンなどが挙げられる。この投込み式の高速ホモジナイザーの処理方法としては、油相を水相に高剪断下に添加して乳化させる。この高速集中剪断型乳化は、回転羽根の周速を15〜30m/sという高速で回すことが好ましく、更に好ましくは、20〜30m/s程度の剪断力をかけて行うことが望ましい。
【0017】上記各高エネルギー乳化で調製する際の液温は、いずれの装置とも30〜80℃程度、好ましくは、35〜60℃程度で行うことが望ましい。また、加えられたエネルギーが大きいため、一部は熱エネルギーに変換され液温の上昇につながることがあるので、乳化中及び乳化後に液を冷却することが好ましい。
【0018】本発明の眼科用組成物は、上記各成分を含有した易酸化物質含有物が、高エネルギー乳化により調製されたものであるが、好ましくは、液温25℃における組成物中のミセルサイズは、0.1μm以下とすることが望ましい。組成物中のミセルサイズが、0.1μm以下を越えると、液の外観を損なう傾向となる。組成物中のミセルサイズを0.1μm以下とすることにより、その外観がさらに半透明〜透明(澄明)となるものである。すなわち、ミセルサイズを0.1μm以下としたものは、可視光の波長より細かくなり、液が光を透過しやすくなるため、液の外観は目視で更に半透明〜透明となる。また、本発明の眼科用組成物のpHは、目に対する刺激、安全性を考慮し、pH調整剤等により、5〜8、好ましくは7前後に調整されることが望ましい。
【0019】このように構成される本発明の眼科用組成物は、界面活性剤を低減しても、製剤の外観が澄明で、かつ化合物自体の安定性を高めた、疎水性易酸化物質を含有する眼科用組成物が得られることとなる。本発明の眼科用組成物は、医療用、市販されている一般用を問わず点眼剤、洗眼剤等として使用することができる。また、本発明の眼科用組成物は、界面活性剤の量が少なく、目に対する刺激性が少ないことより、涙液量の少ないドライアイ患者用点眼剤またはハ−ドコンタクトレンズ、酸素透過型ハ−ドコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、頻回交換型ソフトコンタクトレンズ、毎日交換型ソフトコンタクトレンズを装着した状態で点眼可能なコンタクト用点眼剤として有用である。また、防腐剤を含まない一回使いきり型点眼剤としても有用である。
【0020】
【実施例】次に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0021】〔実施例1(眼科用組成物の調製)〕適量の精製水に、ホウ酸10g、ホウ砂2g、エデト酸ナトリウム0.1g、塩化ナトリウム5g、塩酸ピリドキシン0.5g、メチル硫酸ネオスチグミン0.05g、イプシロン−アミノカプロン酸10g、マレイン酸クロルフェニラミン0.3g、塩酸テトラヒドロゾリン0.1gを加え、マグネティックスタ−ラ−にて撹拌(約300rpm)して完全に溶解した。別に、パルミチン酸レチノ−ル(170万国際単位/g)0.3g、酢酸d−α−トコフェロ−ル0.5g、ジブチルヒドロキシトルエン0.03g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 1gを50℃にて混合溶解したものを、70℃に加温した前記水溶液に加えて、マグネティックスタ−ラ−にて撹拌(約300rpm、約20分)、混合した。これを、約40℃に保温したマイクロフルイダイザー(M−110EH、みずほ工業社製)にて高エネルギー乳化(処理圧力1000気圧)したものに、予め、プロピレングリコ−ル5gにl−メント−ル0.08g、dl−カンフル0.05g、d−ボルネオ−ル0.05gを混合溶解したもの及び塩化ベンザルコニウム液(10%)0.3gを加え、マグネティックスタ−ラ−にて撹拌(約300rpm)して溶解し、精製水を加えて全量を1000mlとした。これを、0.2μmのフィルタ−にて無菌的にろ過し、PET製容器に充填し、点眼剤(眼科用組成物)とした。
【0022】〔実施例2〜8及び比較例1〜2(眼科用組成物の調製)〕実施例2〜8及び比較例1〜2についても、下記表1中に記載の配合組成、各乳化方法に従って、上記実施例1と同様の方法にて点眼剤(眼科用組成物)を調製した。
【0023】得られた各眼科用組成物について、ミセルサイズの測定、外観の観察、疎水性易酸化物質の安定性評価、眼刺激性試験を下記の各方法により行い、評価等した。これらの結果を下記表1及び2に示す。
【0024】〔ミセルサイズの測定法〕粒度分析計(マイクロトラックUPA,日機装社製)を用い、25℃における体積平均径を測定した。
【0025】〔外観の評価法〕試験液をガラス製アンプル(内容量20ml、以下同様)に封入後、70℃、1週間の苛酷保存を実施した。保存前後の液の外観について、白色又は黒色の背景を用い、4000Lux以上の明るさの下で目視観察し、下記評価基準で評価した。
評価基準:◎:極微乳光〜無色澄明○:乳光〜微乳光△:白濁気味の乳光×:沈殿〜白濁【0026】〔疎水性易酸化物質の安定性評価法〕試験液をガラス製アンプルに封入後、70℃、1週間の苛酷保存を実施。保存後の液について、HPLCにより疎水性易酸化物質量(パルミチン酸レチノール、酢酸d−α−トコフェロール)を定量し、次式により疎水性易酸化物質の残存率を求め、下記評価基準で評価した。
疎水性易酸化物質の残存率(%)=(保存後の疎水性易酸化物質量/保存前の疎水性易酸化物質量)×100評価基準:◎:残存率が90%以上○:残存率が80%以上90%未満△:残存率が70%以上80%未満×:残存率が70%未満【0027】〔眼刺激性試験方法〕眼に対する刺激性の評価は、厚生省科学研究報告(昭和45年)における点眼用保存剤眼粘膜刺激性試験短期試験方法に準拠して行い、下記評価基準で評価した。
評価基準:○:Draize法による平均評点が0以上2点未満△:Draize法による2点以上5点未満×:Draize法による同5点以上【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜8は、本発明の範囲外となる比較例1〜2と較べて、界面活性剤を低減しても、製剤の外観が澄明で、かつ化合物自体の安定性を高めた、疎水性易酸化物質を含有する優れた眼科用組成物が得られることが判明した。なお、上記実施例1〜8では、マイクロフルイダイザーによる高エネルギー乳化を行ったものであるが、マイクロフルイダイザーに代えて超音波乳化装置により15分間乳化してなる高エネルギー乳化、または、高速集中剪断型乳化装置により羽根周速25m/sで乳化した高エネルギー乳化においても、実施例1〜8と同様に製剤の外観が澄明で、かつ化合物自体の安定性を高めた、疎水性易酸化物質を含有する優れた眼科用組成物が得られた。
【0031】〔実施例9:(眼科用組成物の調製)〕適量の精製水に、ホウ酸15g、ホウ砂0.5g、エデト酸ナトリウム0.1g、塩酸ピリドキシン0.1g、マレイン酸クロルフェニラミン0.03gを加え、マグネティックスタ−ラ−にて撹拌(約300rpm)して完全に溶解する。別に、パルミチン酸レチノ−ル(170万国際単位/g)0.03g、酢酸d−α−トコフェロ−ル0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.03g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 0.3gを50℃にて混合溶解したものを、70℃に加温した前記水溶液に加えて、マグネティックスタ−ラ−にて撹拌(約300rpm、約20分)、混合した。これを、約40℃に保温したマイクロフルイダイザー(M−110EH、みずほ工業社製)にて高エネルギー乳化(処理圧力1000気圧)を3回繰り返したものに、予め、プロピレングリコ−ル5gにl−メント−ル0.07g、dl−カンフル0.03gを混合溶解したもの及び塩化ベンザルコニウム液(10%)0.3gを加え、マグネティックスタ−ラ−にて撹拌(約300rpm)して溶解し、精製水を加えて全量を1000mlとした。これを、0.2μmのフィルタ−にて無菌的にろ過し、PET製容器に充填し、洗眼剤(眼科用組成物の調製)とした。得られた洗眼剤について、上述の各方法により、ミセルサイズの測定、外観の観察、疎水性易酸化物質の安定性評価及び眼刺激性試験を行ったところ、ミセルサイズは0.03μm、外観の観察は、製造直後◎、70℃・1週間保存後の疎水性易酸化物質の安定性は共に、◎であり、眼刺激性試験は〇であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、界面活性剤を低減しても、製剤の外観が澄明で、かつ化合物自体の安定性を高めた、疎水性易酸化物質を含有する眼科用組成物が提供される。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成13年5月9日(2001.5.9)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
【公開番号】 特開2002−332225(P2002−332225A)
【公開日】 平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願番号】 特願2001−138827(P2001−138827)