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【発明の名称】 二浴式毛髪変形剤
【発明者】 【氏名】杉江 修司

【氏名】永谷 貴弘

【要約】 【課題】パーマネントウエーブのウエーブ形成力は非常に高いにもかかわらず、毛髪への損傷は何ら認められず、張りや弾性のある極めて理想的なウエーブを形成することのできる二浴式毛髪変形剤を提供する。

【解決手段】平均分子量5,000超の加水分解ケラチンを含有する二浴式毛髪変形剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均分子量5,000超の加水分解ケラチンを含有することを特徴とする二浴式毛髪変形剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二浴式毛髪変形剤に関するものである。本発明の二浴式毛髪変形剤は、パーマネントウエーブの形成力は非常に高いにもかかわらず、高度の毛髪強度を維持したまま張りや弾性も付与されて、毛髪への損傷は何ら認められず、毛髪処理剤として極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】毛髪にパーマネントウエーブをかける為には、まず、チオグリコール酸等の還元剤を主成分とする第一剤により毛髪ケラチンのシスチン結合を2個のシステイン残基に切断する「還元工程」と、次いで、臭素酸塩等の酸化剤を主成分とする第二剤により再びシスチン結合に戻す「酸化工程」を経由する方法が一般的である。ところがこの方法によれば、毛髪は強アルカリ下、高温加熱、還元・酸化といった苛酷な環境に晒される為、毛髪の強度が低下しダメージが著しいという問題があった。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、そのパーマネントウエーブのウエーブ形成力は非常に高いにもかかわらず、毛髪への損傷は何ら認められず、張りや弾性のある極めて理想的なウエーブを形成することのできる二浴式毛髪変形剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本発明の二浴式毛髪変形剤は、平均分子量5,000超の加水分解ケラチンを含有するところに要旨を有するものである。
【0005】尚、本発明における「毛髪変形剤」とは、パーマネントウエーブ形成作用は勿論のこと、縮毛を伸ばす作用(ウエーブをとる作用)も包含するものである。以下の説明では便宜上、本発明の毛髪変形剤を、パーマネントウエーブ形成剤として使用する態様について代表的に取上げて説明するが、これに限定する趣旨では決してない。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の二浴式毛髪変形剤は、特定の平均分子量(具体的には平均分子量5,000超)の加水分解ケラチンを用いたところに特徴を有するものである。
【0007】尚、従来においても、加水分解ケラチンに着目した毛髪処理剤は開示されているが、以下の点で本発明とは相違するものである。
【0008】例えば特開昭61−7211には、ケラチン蛋白質の加水分解物を含有する加温式毛髪変形用処理剤が開示されている。上記公報は、「従来のパーマネントウエーブ剤に使用される還元性物質を用いず、加温するのみで毛髪に半永久的な変形を施すことのできる毛髪処理剤の提供」を目的とするものである点で、本発明と目的は一致する。しかしながら、上記公報によれば所期の目的を達成する為に、特開昭57−85308に記載の方法により製造されたケラチン加水分解物を用いており、当該ケラチン加水分解物として、平均分子量200以上5000以下のものを使用している点で、平均分子量が5,000超と上記公報に比べて極めて大きな加水分解物を使用する本発明とは、使用するケラチン加水分解物の種類が相違するものである。実際のところ、上記特開昭57−85308によれば、「ケラチン分解物の毛髪に対する吸着性はその分子量によって決まり、分子量1000程度のものが最も吸着しやすく、分子量5000を超えたものはほとんど吸着しない」という理由により、分子量5000を超える加水分解ケラチンの使用を積極的に排除している。
【0009】以下、本発明の二浴式毛髪変形剤を構成する成分について説明する。
【0010】まず、使用する加水分解ケラチンは平均分子量5,000超のものを使用することが必要である。本発明において、所望の二浴式毛髪変形剤を得る為には、特に平均分子量の制御は重要である。平均分子量が5,000以下では所望の変形効果が得られないからである。好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、更により好ましくは20,000以上、より更に好ましくは25,000以上、最も好ましくは30,000以上である。但し、平均分子量があまり大きなもの(例えば50,000以上)はもはや「加水分解ケラチン」とはいえず、天然のケラチン蛋白質に近いものとなり、所望の毛髪変形効果が得られなくなる。
【0011】上述した通り、本発明の最重要ポイントは、特定の平均分子量を有する加水分解ケラチンを用いたところにあり、使用する加水分解ケラチンの種類は、平均分子量の特定を除き、特に限定するものではない。例えば厚生省の化粧品種別配合成分規格に収載されている「加水分解ケラチン末」や「加水分解ケラチン液」を用いても良いし、或いは、市販の精製高分子量α−ケラトース(結晶性ケラチン)やγ−ケラトース(非結晶性ケラチン)を用いても良い(例えば一丸ファルコス社製天然高分子保湿剤PROTICUTE Uα、PROTICUTE Hγ等)。
【0012】本発明によれば、上記加水分解ケラチンを使用することにより(削除:一剤のみで)、優れたウエーブ形成効果が得られるのみならず、毛髪強度も低下せず張りや弾力のある毛髪が得られる点で極めて有用であるが、更なる特性の向上を目指して、上記加水分解ケラチンとアルカリを併用することが推奨される。使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノヒドロキシメチルプロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、塩基性アミン等が挙げられる。アルカリの併用により上記特性が更に向上する理由は詳細には不明であるが、アルカリの添加により毛髪が膨潤してタンパク質の浸透性が向上すること等が考えられる。
【0013】更に、本発明に係る毛髪変形剤には、その他、毛髪変形剤に通常用いられる成分を本発明の作用を損なわない範囲で適宜選択して使用することができる。例えば尿素等の膨潤剤;安定化剤としてエデト酸塩等のキレート剤;上記加水分解ケラチンの浸透・乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤[ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレン型;モノ(およびジ)グリセリド、ソルビタン高級脂肪酸エステル、ショ糖高級脂肪酸エステル等の多価アルコールエステル型;エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体等];柔軟剤・帯電防止剤・殺菌剤としてカチオン性界面活性剤(塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等);1,3−ブチレングリコール等の界面活性剤原料;油剤着色剤;香料;還元剤(アセチルシステイン、システイン等)等を使用することができる。
【0014】尚、本発明の毛髪変形剤に占める加水分解ケラチンの重量比率は、用いられる他の成分の種類や量、用途等によっても変化し得るが、概ね、0.1〜20%(好ましくは0.5〜10%)の範囲に制御することが推奨される。0.1%未満では、所望の効果が得られず、一方、20%を超えて添加しても効果は飽和してしまうからである。
【0015】また、上記加水分解ケラチンと共に使用することが推奨されるアルカリのpHに関しては、概ね、pH4.0〜10.0(好ましくはpH7.0〜9.6)の範囲のものを使用することが推奨される。
【0016】本発明の毛髪変形剤は、クリーム、ローション、ジェル等の剤型に調製することができる。
【0017】次に、本発明の毛髪変形剤を用い、ウエーブを形成する方法について説明する。具体的には、例えばパーマネントウエーブ処理、縮毛矯正処理の前、処理中、処理後の各工程において、本発明の加水分解ケラチンを使用することができる。或いは、例えば市販のパーマネントウエーブ処理剤、縮毛矯正剤の第1剤及び/または第2剤と混合(好ましくは、第1剤及び/又は第2剤100重量%に対し、0.1〜20重量%の混合比率)して使用しても良い。
【0018】具体的には、まず、毛髪に本発明の毛髪変形剤を施す。その後、ロッド、カーラー、ハンディータイプのセット器具等に巻き付け、室温または60℃以下で、5〜30分程度放置すれば所望のウエーブが得られる。尚、放置後、ドライヤー等により乾燥させればウエーブ形成力が一層向上する。また、緩やかなウエーブを希望する場合には、毛髪に直接本発明の毛髪変形剤を施した後、ドライヤー、ブラシ等によりブロー仕上げすれば希望通りのウエーブが得られる。乾燥工程では、室温でしばらく放置するか、200℃以下に加温することが推奨される。加温する温度範囲及び時間は、毛髪の損傷程度や使用する毛髪変形剤のpH等によって変化し、パーマやヘアダイ、ブリーチ等を行っていない健常毛髪を用いる場合には高温下で処理する方が有効である等、種々の要因によって変化し得るものであるが、加熱による毛髪の損傷等を考慮すると、加熱温度を概ね40〜180℃、特に40〜160℃の範囲に制御することが推奨される。同様の理由により、加熱時間は30分以下、特に3〜10分の間に制御することが推奨される。
【0019】また、本発明の毛髪変形剤を用い、縮毛を伸ばす場合には、本発明毛髪変形剤を施し、室温または60℃以下で5〜15分程度放置した後、高温整髪用アイロンやコテ等で処理する方法が推奨される。
【0020】本発明の毛髪変形剤は二浴式毛髪変形剤として有用であり、パーマネントウエーブ形成剤、縮毛矯正剤、染毛料、染毛剤、ヘアブリーチ剤、ヘアスタイリング剤、ヘアトリートメント剤等として使用することもできる。
【0021】以下実施例に基づいて本発明を詳述する。但し、下記実施例は、本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0022】
【実施例】実施例1本実施例では、本発明の毛髪変形剤を、二浴式パーマネントウエーブ形成工程に適用したときの効果を確認した。
【0023】まず、健常毛髪(未処理毛髪14cm、0.2gを一束にしたものを使用)及び損傷毛髪(未処理毛髪14cm、0.2gを一束にした健常毛髪に、ブリーチ処理及びパーマネントウエーブ処理を施したものを使用)を、直径7mmのロッドに重ね巻きした後、下記試料溶液の第1剤を施し、40℃で15分間加温放置した。水洗後、下記試料溶液の第2剤を施し、室温で10分放置した。その後、水洗してロッドを取り除いた直後に形成されるウエーブの回転数、及び各毛髪に50gの重りをぶら下げ、30℃、湿度90%の恒温恒湿器に24時間放置した後のウエーブの回転数を夫々測定した。
【0024】
[試料溶液]
(1)第1剤 システイン塩酸塩 2.0% 加水分解ケラチン(αケラトース、平均分子量25,000) 1.0% モノエタノールアミン 2.4% トリエタノールアミン 7.0% 精製水 残 部 (2)第2剤 臭素酸ナトリウム 1.0% 塩化セチルトリメチルアンモニウム 1.0% 精製水 残 部尚、比較の為に、加水分解ケラチンを含有しない第1剤のブランク溶液を用い、同様に健常毛髪及び損傷毛髪を処理した。これらの結果を表1及び表2に示す。このうち表1は健常毛髪を処理したときの結果を示し、表2は損傷毛髪を処理したときの結果を夫々示す。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】上記表より、試料溶液の第1剤中に本発明の加水分解ケラチンを添加すると、ロッドを取り除いた直後に形成されるウエーブの回転数をそのまま、24時間放置後も良好に保持することができた。これに対し、本発明の加水分解ケラチンを添加しない従来の第1剤で処理したときには、24時間放置後にウエーブ回転数が低下した。この様な傾向は、健常毛髪、損傷毛髪のいずれの場合においても見られた。
【0028】次に、上記毛髪試料の引張強度を、以下の要領で測定した。まず、上記試料溶液1または2で処理した毛髪から毛髪10本を任意に選び、引張試験測定機(「テンシロン UTM−II−20」,オリエンテック株式会社)を用いて破断値を測定し、これを引張強度とした。これらの結果を表3及び表4に示す。このうち表3は健常毛髪を処理したときの引張強度の結果を示し、表4は損傷毛髪を処理したときの引張強度の結果を夫々示す。
【0029】尚、比較の為に、加水分解ケラチンを含有しない第1剤のブランク溶液、および市販のPW剤(実施例1で使用したものと同じ)を用い、同様に健常毛髪及び損傷毛髪を処理し、引張強度を測定した。また、参考までに未処理の健常毛髪及び損傷毛髪の引張強度も測定した。これらの結果も表3及び表4に併記する。
【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】これらの表より、本発明の加水分解ケラチンを添加して処理したときには、健常毛髪・損傷毛髪いずれの場合においても引張強度の低下が少なく、毛髪への損傷が少ないことが分かった。
【0033】以上の結果より、本発明の毛髪変形剤は、従来のPW剤に比べ、顕著な効果を奏することが確認できた。
【0034】
【発明の効果】本発明の毛髪変形剤は上記の様に構成されているので、パーマネントウエーブのウエーブ形成力は非常に高いにもかかわらず、毛髪への損傷は何ら認められず、張りや弾性のある極めて理想的なウエーブを形成することができる。
【出願人】 【識別番号】000213482
【氏名又は名称】中野製薬株式会社
【出願日】 平成12年12月26日(2000.12.26)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−332221(P2002−332221A)
【公開日】 平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願番号】 特願2002−131952(P2002−131952)