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【発明の名称】 着色球状ポリアミド粉体とそれを含有する化粧料
【発明者】 【氏名】田中 巧

【要約】 【課題】化粧料、例えばファンデーション、アイシャドウ、アイランナー、ほほ紅、あるいはマニキュア等に着色料として配合される際、水に対する溶出性が非常に少なく、優れた使用感と色調をもたせ、さらに優れた使用感を与えることができる着色球状ポリアミド粉体とその着色球状ポリアミドを含有する化粧料を提供する。

【解決手段】平均一次粒子系が0.1μm以上で、50μm以下の球状ポリアミド粉体に0.1wt%以上の有機酸性色素を染着させて着色球状ポリアミド粉体を得る。またこの着色球状ポリアミド粉体により化粧料を調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均一次粒子径が0.1μm以上で、50μm以下の球状ポリアミド粉末を有機酸性色素にて染着してなることを特徴とする着色球状ポリアミド粉体。
【請求項2】 前記着色された球状ポリアミド粉末中に前記有機酸性色素が0.1wt%以上含有されている請求項1に記載の着色球状ポリアミド粉体。
【請求項3】 前記請求項1または2に記載の着色球状ポリアミド粉体を含有してなることを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばファンデーション、アイシャドウ、アイライター、ほほ紅、あるいはマニキュア等の化粧料に着色剤として配合される着色球体ポリアミド粉体とその着色球状ポリアミド粉体を含有する化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、有機酸性色素である法定色素、例えば赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色230号、赤色231号、赤色502号、赤色504号、黄色4号、黄色5号、黄色203号、黄色204号、黄色403号、緑色3号、緑色201号、青色1号、青色2号、紫色201号等は染料であるため、化粧料に配合される場合、一般的に体質顔料、例えば沈降性硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、クレーなどに着色されて染付けレーキとして使用されている。
【0003】一方、近年では水に対する溶出性を抑えるために、特許第1426369号公報、特許第2543205号公報、特開平8―302230号公報等に開示された方法により、スメクタイトのような層状無機化合物の層間に有機色素分子をインターカレートする方法が試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の有機酸性色素の染付け体質顔料レーキの場合、発色性は優れるものの、有機酸性色素が水に溶出したり、体質顔料の持つ、もともとの形状によって使用感が変わるという問題点がある。
【0005】また、特許第1426369号公報、特許第2543205号公報、特開平8―302230号公報等にあるような方法で、製造されたスメクタイトの層間に有機酸性色素をインターカレートした複合無機化合物では、水に対する溶出性は染付けレーキに比較して改良されているものの、スメクタイト化合物のため、粉砕しても感触が非常に悪かったり、また、これらの方法により固着される有機酸性色素が限定され全ての有機酸性色素を固着することができないという問題点がある。
【0006】本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、球状ポリアミド粉体に有機酸性色素を染着することにより、発色性も良く、水に対する溶出性も非常に低く、しかも使用感にも優れる化粧料用の着色球状ポリアミド粉体を提供し、併せてこの着色球状ポリアミド粉体を含有する化粧料を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】前記目的を達成するために、第1発明による着色球状ポリアミド粉体は、平均一次粒子径が0.1μm以上で、50μm以下の球状ポリアミド粉末を有機酸性色素にて染着してなることを特徴とするものである。
【0008】本発明の着色球状ポリアミド粉体によれば、一般的にナイロン繊維やナイロン織布を有機酸性色素にて染色させる方法と同様の方法にて染着されるものであり、化粧料、インキ、ゴムトナー等の組成物として含有することができ、特にメークアップ化粧品、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、アイランナー、ほほ紅、あるいはマニキュア等の着色剤として化粧料に含有させることができる。また、平均一次粒子径が0.1μm以上で、50μm以下のポリアミド粉体を有機酸性色素にて染着するため、発色性に優れ、水に対する有機酸性色素の溶出性も非常に低く、また、このポリアミド粉体の形状が球状であるため使用感にも非常に優れた特性を有する(第1発明)。
【0009】本発明において、前記有機酸性色素は、着色された球状ポリアミド粉末中に0.1wt%以上含有されているのが好ましい(第2発明)。0.1wt%未満になると優れた発色性を示さないので好ましくない。一方、有機酸性色素の含有量の上限は特に制限はないが、30wt%を越えると、色素の種類によっては水に溶出するという問題点がある。
【0010】次に、第3発明は、前記第1発明、または第2発明に係る着色球状ポリアミド粉体を含有してなる化粧料に関するものである。本発明の着色球状ポリアミド粉体を配合した化粧料、特にメークアップ化粧料、例えばファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、ほほ紅、あるいはマニキュア等の化粧料では発色性が良く、有機酸性色素の水への溶出性が非常に低いため、皮膚が色素で染まってしまうという問題点もなく、さらに球状粉体を含有しているため使用感に優れた化粧料を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明による着色球状ポリアミド粉体とそれを含有する化粧料の具体的な実施の形態について説明する。
【0012】本発明による平均一次粒子径が0.1μm以上で50μm以下の球状ポリアミド粉体の原料となるポリアミドの種類としては、例えば、ナイロン6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610等が挙げられる。
【0013】また、本発明における有機酸性色素としては、例えば、法定色素である、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色104号(フロキシンB)、赤色230号(エオシンYS)、赤色231号(フロキシンBK)、赤色502号(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットエローFCF)、黄色203号(キノリンエローWS)、黄色204号(キノリンエローSS)、黄色403号(ナフトールエローS)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、緑色201号(アリザリンシアニングリーンF)、青色1号(ブリリアントグリーンFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、紫色201号(アリザリンパープルSS)等が挙げられる。
【0014】このような球状ポリアミド粉体を前記のような有機酸性色素で染着させる方法としては、基本的にナイロン繊維やナイロン織布を染色するのと同様な方法が考えられるが、次のような方法がある。
【0015】すなわち、濃度が約10wt%となるように、撹拌機のついた溶解槽中で、前記有機酸性色素を50〜60℃の温水に完全に溶解させ、これを室温まで冷却した後、原料とする球状ポリアミド粉体を加え、一定時間撹拌する。この際、色素の泣き止め剤(ニジミ止め剤)を必要量添加してもかまわない。
【0016】次いで、この溶液の温度を80〜90℃に上げ、一定時間撹拌した後、ろ過し、2〜3回温水にて水洗いし、乾燥後粉砕し、目的とする着色球状ポリアミド粉体を得る。
【0017】本発明の着色球状ポリアミド粉体を含有する化粧料としては、メークアップ化粧料、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料、シェービングローションあるいはシェービングフォーム等が挙げられ、剤型は油性固形状、油性液状、固形状、クリーム状、ペースト状、乳化状、ローション状、フォーム状、粉末状、粉末固形状等が挙げられ、効果がより発現する点ではメークアップ化粧料、特に、口紅、アイ製品、ファンデーション、ほほ紅、美爪料、白粉、コンシーラー、日焼け止め化粧料等や、またはシェービングローションやシェービングフォーム等が挙げられる。
【0018】化粧料中における本発明の着色球状ポリアミド粉体の配合量は、その化粧料の特性に応じて任意に選択されるが、官能上の特性および効果の発現において0.001〜90wt%が好ましい。さらに本発明の着色球状ポリアミド粉体を化粧料に配合させるとき、必要に応じてシリコン表面処理、パーフルオロアルキルジ(オキシエチル)アミンリン酸エステル処理(特公平5―86984号公報参照)、N−ラウロイル−L−リジン処理、キトサン処理、各種金属石ケン処理を施して化粧料に配合すると、さらに分散向上性、撥油性、撥水性、吸湿性等を付与でき、化粧料用の原料粉体として適している。
【0019】本発明の化粧料には通常化粧料に用いられる成分を必要に応じて適宜配合することができる。
【0020】油分としては、例えばオリーブ油、ひまし油、ホホバ油、ミンク油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油等を挙げることができる。
【0021】粉体としては、例えばタルク、カオリン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸等の無機体質顔料、酸化亜鉛等の無機白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、コンジョウ、カーボンブラック等の無機着色顔料、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等のパール剤、有機顔料、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ポリエチレンパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体が挙げられる。なお、これらの粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて表面処理が施されたものであってもよい。
【0022】その他、有機溶剤、樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤等が挙げられる。
【0023】
【実施例】次に、本発明による着色球状ポリアミド粉体およびその粉体を含有する化粧料の具体的な実施例について説明する。
【0024】(製造実施例1)平均一次粒子系6μmの球状ナイロン12を原料として、まず50〜60℃の温水に赤色104号を濃度が10%になるように完全に溶解させて冷却した後、赤色104号が球状ナイロン12に対して8wt%になるように原料の球状ナイロンに粉体を添加し撹拌しながら80℃まで加温し、約1時間加熱した。このとき泣き止め剤として糊剤を微量添加した。その後、ろ過し、2回温水にて水洗いし、乾燥した後パルベライザで粉砕し、赤色104号で染着された球状ナイロン12粉体を得た。
【0025】(製造実施例2)平均一次粒子系10μmの球状ナイロン6を原料とし、有機酸性色素として黄色4号を使用する以外は、製造実施例1と同様の方法で黄色4号で染着された球状ナイロン6粉体を得た。
【0026】(製造実施例3)製造実施例1と同様の球状ナイロン12粉体を用い、有機酸性色素として青色1号を使用する以外は、製造実施例1と同様の方法で青色1号で染着された球状ナイロン12粉体を得た。
【0027】(比較例1〜3)フランスのLes Colorants Wackherr社より市販の赤色104号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、青色1号アルミニウムレーキをそれぞれ比較例1〜3とした。
【0028】以下、前記製造実施例1〜3で得られた着色球状ナイロン6、ナイロン12粉体を原料として、実際に化粧料を配合した具体的実施例について説明する。
【0029】前記のように得られた製造実施例1〜3の着色球状ポリアミド粉体および、比較例1〜3のそれぞれのアルミニウムレーキについて、水に対する溶出性試験と感触の良さを定量するために粉体の安息角をホソカワミクロン社製のパウダーテスターにて測定し、これらの結果を表1にまとめた。なお水に対する溶出性試験の方法としては前記各粉体1gを精製水50gに入れ、マグネチックスターラーで1時間撹拌した後、遠心分離機を用いて5000rpmで5分間処理してからNo.5Cのろ紙でろ過し、ろ液のそれぞれの色素の固有吸収波長での光透過率を分光光度計で測定した。(それぞれの色素の固有吸収波長は、赤色104号の場合540nm、黄色4号の場合428nm、青色1号の場合632nmである。)
【表1】

【0030】表1の結果から明らかなように、有機酸性色素を染着した着色球状ポリアミド粉体(製造実施例1〜3)では、それぞれの有機酸性色素のアルミニウムレーキに比べて高い透過率を示しており、水に対する溶出性が小さいことがわかる。さらに、安息角についてはそれぞれのアルミニウムレーキより約20度くらい低く、粉体の流動性が高いことが確認された。
【0031】
(実施例1):アイカラー(成分)
1.タルク 45.0wt%2.マイカ 15.0wt%3.セリサイト 5.49wt%4.製造実施例1の着色球状ナイロン12粉体(赤色104号)0.01wt%5.製造実施例2の着色球状ナイロン6粉体(黄色4号) 1.0wt%6.パール顔料 23.5wt%7.防腐剤 適量8.流動パラフィン 6.0wt%9.メチルポリシロキサン 2.0wt%10.セスキオレイン酸ソルビタン 2.0wt%(製法)
A.成分1〜7を混合する。
B.成分8〜10を均一に溶解後、Aに加えて混合する。
C.Bを粉砕機で処理し、圧縮成形する。
【0032】
(実施例2):パウダーファンデーション(成分)
1.タルク 20.3wt%2.マイカ 35.0wt%3.カリオン 5.0wt%4.二酸化チタン 10.0wt%5.雲母チタン 3.0wt%6.ステアリン酸亜鉛 1.0wt%7.製造実施例3の着色球状ナイロン12粉体(青色1号) 0.5wt%8.製造実施例1の着色球状ナイロン12粉体(赤色104号) 1.0wt%9.黒酸化鉄 0.2wt%10.ナイロンパウダー 10.0wt%11.スクワラン 6.0wt%12.酢酸ラノリン 1.0wt%13.ミリスチン酸オクチルドデシル 2.0wt%14.ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール 2.0wt%15.モノオレイン酸ソルビタン 0.5wt%16.防腐剤 適量(製法)
A.成分1〜9を混合する。
B.成分10〜15を均一に溶解後、Aに加えて混合する。
C.Bを粉砕機で処理し、圧縮成形する。
【0033】
(実施例3):リキッドファンデーション(成分)
1.ステアリン酸 1.5wt%2.セタノール 1.0wt%3.トリオクタン酸グリセリル 5.0wt%4.スクワラン 3.9wt%5.製造実施例1の着色球状ナイロン12粉体(赤色104号) 1.0wt%6.製造実施例2の着色球状ナイロン6粉体(黄色4号) 0.5wt%7.パール顔料 5.0wt%8.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2wt%9.1,3―ブチレングリコール 10.0wt%10.防腐剤 適量11.カルボキシポリマー 0.1wt%12.精製水 バランス量13.トリエタノールアミン 1.0wt%(製法)
A.成分1〜7を加熱溶解し分散する。
B.成分8〜13を加熱溶解する。
C.AにBを添加して乳化し、冷却する。
【0034】
(実施例4):ほほ紅(成分)
1.タルク 6.0wt%2.カオリン 9.0wt%3.ミリスチン酸亜鉛 5.0wt%4.製造実施例1の着色球状ナイロン12粉体(赤色104号)75.0wt%5.製造例実施3の着色球状ナイロン12粉体(青色1号) 0.5wt%6.パール顔料 1.5wt%7.流動パラフィン 3.0wt%(製法)
A.成分1〜6を混合する。
B.Aに7を噴霧し粉砕機で処理した後、圧縮成形する。
【0035】
(実施例5):美爪料(成分)
1.ニトロセルロース(1/2秒) 10.0wt%2.アルキッド樹脂 10.0wt%3.クエン酸アセチルトリブチル 5.0wt%4.酢酸エチル 20.0wt%5.酢酸ブチル 15.0wt%6.エチルアルコール 5.0wt%7.トルエン 32.0wt%8.製造実施例2の着色球状ナイロン6粉体(黄色4号) 1.5wt%9.製造実施例3の着色球状ナイロン12粉体(青色1号) 1.5wt%(製法)
A.成分1〜7を混合溶解する。
B.Aに8と9を添加してボールミルで均一に分散させる。
【0036】前記実施例1〜5のようにして得られたそれぞれの化粧料は、本発明の着色球状ポリアミド粉体を使用するかわりにアルミニウムレーキを使用し、他は同様の配合で調整したものに比べて、水への溶出性が少なく非常に使用感の良いものであった。
【出願人】 【識別番号】391015373
【氏名又は名称】大東化成工業株式会社
【出願日】 平成13年5月9日(2001.5.9)
【代理人】 【識別番号】100097755
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 勉
【公開番号】 特開2002−332211(P2002−332211A)
【公開日】 平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願番号】 特願2001−139067(P2001−139067)