| 【発明の名称】 |
ゲル状組成物及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宇根 俊夫
【氏名】草木 一男
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| 【要約】 |
【課題】硬度が従来に比して著しく小さく、相溶性・分散性に優れ、化粧品に用いた場合は皮膚や毛髪に対し優れた延展性を呈し、親和性や保護作用等の絹独特の特性を発揮しやすく、食品に用いた場合は程よい食感が得られ嚥下性に優れるなど、使用感に優位な汎用性に富む絹フィブロインを含有するゲル状組成物を提供すること。
【解決手段】絹フィブロインと酸化側電解生成水を含有することを特徴とするゲル状組成物及び絹フィブロインに、酸化側電解生成水を添加することを特徴とする、ゲル状組成物の製造方法によって達成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】絹フィブロインと酸化側電解生成水を含有することを特徴とするゲル状組成物。 【請求項2】絹フィブロインに、酸化側電解生成水を添加することを特徴とする、請求項1記載のゲル状組成物の製造方法。 【請求項3】請求項1記載のゲル状組成物を配合した化粧料。 【請求項4】請求項1記載のゲル状組成物を配合した食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、絹を原料として得られる絹フィブロインを利用したゲル状組成物、その製造方法、これを含有した化粧料およびこれを含有した食品に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、絹の主成分である絹フィブロインは、適度な吸・放湿性、皮膚や毛髪に対する親和性や紫外線吸収性などの特長を有することから、粉末や溶液あるいはこれらの誘導体といった形態で広範に用いられている。シャンプーや石鹸といった化粧品類への処方や、塗料への混練といった産業資材用途への実績がある。またパンや麺類、飴、ドレッシングなどの食品への応用も数多く行われている。 【0003】これらに用いられている絹フィブロインのうちの粉末としては、特公昭40−24920号公報、特公昭26−4947号公報並びに特公昭58−38449号公報により、絹原料をそのままあるいは化学的処理で脆化させたものを粉砕した繊維状の絹フィブロイン粉末、絹原料を適当な濃厚中性塩等に溶解透析したコロイド溶液を噴霧乾燥して得たゲル状絹フィブロインを粉砕した粒状の絹フィブロイン粉末、並びに絹原料を適当な無機中性塩或いはアルカリ性水溶液に溶解後透析し或いはしないで得られたコロイド溶液から、凝固性塩の添加、空気吹込み、等電点凝固、超音波処理或いは高ずり変形速度での撹拌等で絹フィブロインを凝固析出せしめ、脱水、乾燥後粉砕した絹フィブロイン粉末が開示されている。 【0004】また、絹フィブロインの溶液としては、特公昭57−4723号公報により、銅−エチレンジアミン水溶液、水酸化銅−アンモニア溶液、水酸化銅−アルカリ−グリセリン溶液、臭化リチウム溶液、カルシウム或いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩或いは硝酸塩又はチオシアン酸塩の溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも一種の溶媒に精練絹原料を溶解後透析することを特徴とする絹フィブロイン溶液の製造法が開示されている。 【0005】このようにして得られた絹フィブロイン溶液は、そのままであるいは必要に応じて分子量やフィブロイン濃度が調整された形で販売されている。また該溶液を出発原料として、各種官能基の付加などによった誘導体の形でも数多くの種類が販売されている。 【0006】一方、ゲル状の絹フィブロイン組成物が存在することは公知である。このゲル状絹フィブロイン組成物は、上述したものに代表される絹フィブロイン溶液に有機あるいは無機の酸を加えて絹フィブロインの等電点までpHを下げるか、又は多糖類等をゲル化剤として添加することによって得られる。また、分子量5万程度より大きいタンパク分子からなる絹フィブロイン溶液は、先の酸やゲル化剤の作用を与えなくても経時で次第にゲル化が生じ、やがて系全体をひとつとした強固なゲルが得られる。 【0007】このようにして得られたゲル状の絹フィブロイン組成物は系全体にわたる支持構造を有する硬度が大きいゲルで、ゲル全体が一つの塊として形成されている。これは、絹フィブロインが結晶化分散してゲル化する際に、該フィブロイン分子が互いに強固なマトリックスを形成し、系の流動性を決定する分散媒分子等の自由度を完全に奪ってしまうためと考えられる。そのためゲル化した絹フィブロイン組成物を他の物質と混ぜ合わせることは出来ない。仮にゲルを細分化し他の物質と均質に混ぜ合わせたとしても、得られたものはゲルとしての特性を失った単なる混合物でしかない。 【0008】また、その性状は寒天のようにさくいゲルで流動性がなかった。すなわち、延展性、つまりスプレッド性に欠けるために均一の状態に伸ばすことが難しく、例えば均一に程良く伸びることが要求されるクリーム状やジェル状の化粧料や食品に応用することが困難であった。加えて保水力にも欠け、放置すれば水分を失って表面より乾燥が進行し、ゲルに亀裂が生じるなどの問題を有していた。 【0009】係る課題をクリアするために特開平10−251299号公報では二酸化炭素をゲル化触媒として使用するフィブロイン流動体を製造する方法が開示され、気体あるいは固体の二酸化炭素をフィブロイン水溶液に溶解することで該水溶液のpHをフィブロインの等電点付近に調整する事を特徴としている。しかしながら該方法では二酸化炭素をフィブロイン溶液に溶解する必要性から圧力容器あるいはこれに準じた設備が必要となる。加えてゲル化後に減圧あるいは加熱によって二酸化炭素を除去する事により、得られるゲルの少なくとも1000倍以上、約2200倍容の炭酸ガスが常圧下排出されることとなる。地球環境負荷を考慮した場合、当然この排出された炭酸ガスは回収・再利用されるべき物であり、相応の設備が必要となる。このことは工業的な生産規模を考えた場合、莫大な設備投資によるコストアップとなり、好ましくない。 【0010】さらには上記特開平10−251299号公報におけるフィブロイン流動体の製造においてはゲル化のための放置期間に10日から2週間程度、あるいはこの範囲外を要することから、現在の商慣習である短納期に対応するためには、相応の仕掛かり在庫を持たざるを得ず、やはり好ましくない。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】このように、従来の絹フィブロイン成分を含むゲル状組成物は硬度が大きく、保水性・延展性に欠けるものが多く、物性上、使途が極めて限定され実質的に汎用性が無く、また保水性・延展性に富むものであってもその製法上、コスト面や設備面・環境対策面等の多くの問題を内包している。 【0012】本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、硬度が従来に比して著しく小さく、相溶性・分散性に優れ、化粧品に用いた場合は皮膚や毛髪に対し優れた延展性を呈し、親和性や保護作用等の絹独特の特性を発揮しやすく、食品に用いた場合は程よい食感が得られ嚥下性に優れるなど、使用感に優位な汎用性に富む絹フィブロインを含有するゲル状組成物を提供することにある。また、そのゲルを工業的容易且つ安価に製造する方法を提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記の目的は絹フィブロインと酸化側電解生成水を含有することを特徴とするゲル状組成物及び絹フィブロインに、酸化側電解生成水を添加することを特徴とする、請求項1記載のゲル状組成物の製造方法によって達成される。 【発明の実施の形態】 【0014】本発明に係るゲル状組成物は、絹フィブロインと酸化側電解生成水を含有することを特徴とするゲル状組成物であり、程よい流動性を呈し、皮膚や毛髪等に対して均一な伸びを呈する延展性を呈するが、水溶液とは性状を異にするゲル特有の性状を持つことを特徴とするゲル状組成物である。本発明におけるゲル状組成物中においては、絹フィブロイン成分を0.5%から10%程度含んでいることが望ましい。 【0015】本発明に係るゲル状組成物を形成する絹フィブロインとは家蚕などで作られる絹糸のタンパク主成分を指し、絹フィブロイン蛋白又はこれを酵素、酸もしくはアルカリにより加水分解したものをいう。絹フィブロインの平均分子量は5千程度以上が好ましく、特に制限はない。 【0016】本発明に係るゲル状組成物を製造するのに用いる絹フィブロインは原料として、まゆ、生糸、まゆ屑、生糸屑、ビス、揚り綿、絹布屑、ブーレット等を常法に従い必要に応じて活性剤の存在下、温水中で又は酵素の存在下温水中でセリシンを除去し乾燥したものを使用することができるがこれらに限定されるものでなく、通常入手できる絹フィブロイン原料であれば、いずれも使用可能である。本願においては、その絹フィブロイン分子が水系溶媒中の溶媒分子運動を妨げない様な形態で溶解または分散存在している状態に調製した溶液を使用するのが好ましい。 【0017】本発明に係る酸化側電解生成水とは陽極側と陰極側との間にイオン交換樹脂等の隔膜を設け、塩化ナトリウムを添加した水、あるいは添加しない水を電気分解することにより、陽極側に得られる酸性サイドの水のことを言う。機能水、電解機能水、酸性水、酸化水などの様々な名称で呼ばれることがあるが、本質は無機あるいは有機の酸の添加によらずに電気的に分解することで酸性を呈する水を指す。また該酸化側電解生成水は肌につけてアストリンゼントとして化粧料にも用いられ、肌を引締めるいわゆる収斂効果も期待できることが知られている。 【0018】本発明に係るゲル状組成物とは、上述した絹フィブロインを水系溶媒中の溶媒分子運動を妨げない様な形態で溶解または分散存在している状態の溶液に調製したものを、酸化側電解生成水の介在下、ゲル状、即ち分散媒中に、分散媒分子の分子運動、即ち自由度を完全には奪わない様な形態で結晶化分散している状態に調製し、程良く均一に延びる延展性を呈しているものをいう。 【0019】本願ゲル状組成物を調製するに際し肝要なことは、絹フィブロイン溶液に酸化側電解生成水を加えて該ゲル状組成物を得るにあたり、絹フィブロイン成分が十分に結晶化してもなお、溶媒である水分子の自由度が完全に失われることのない様に、つまり本願発明の特性である、程よいみずみずしいゲル状で、なおかつ均一な延展性を示すようなゲル状組成物を得るために、該ゲル状組成物中の絹フィブロインファクターを決めなければならないということである。 【0020】即ち、絹フィブロイン成分が十分に結晶化した際に、水分子の自由度が完全に失われると言うことは、得られるゲルの物性が極めて強固なものであることを意味し、そのようなゲルは寒天のようなさくいゲル状を示し、本発明に係るゲル状組成物が目的とするところとは全く性状を異にするものである。 【0021】絹フィブロインファクターとは、該ゲル状組成物の硬度や延展性の決め手となるものである。それは、ゲル状組成物中の絹フィブロインの平均分子量と絹フィブロイン濃度の二つのパラメーターからなる。ゲル中の絹フィブロインの平均分子量が大きい場合及びゲル状組成物中の絹フィブロイン濃度が高い場合は、結晶化に際し溶媒である酸化側電解生成水の分子の自由度を減ずる方向に作用するため、より強固なゲルが生成されることとなる。逆にゲル状組成物中の絹フィブロインの平均分子量が小さく或いは絹フィブロイン濃度が低い場合は、結晶化に際し溶媒分子の自由度をあまり妨げない方向に作用し、それは、即ち、程良く均一に伸びる延展性を呈するなど、本願で目的とするところのゲル状組成物が求める物性に近くなる。 【0022】具体的な例を挙げると、平均分子量7万以上の絹フィブロイン溶液を用いる場合は酸化側電解生成水を加えた際の絹フィブロイン濃度が3%以下、好ましくは1%以上3%以下になる様に調製する。3%を超えて結晶化させた場合、自由度の低いゲル即ち硬度の大きい延展性に乏しい物性しか得られない。1%に満たない条件でゲル化させた場合、十分に結晶化しても自由度が全く制限されない溶媒分子が必要以上に存在し経済的でない。一方平均分子量が7万から5千に調製された絹フィブロイン溶液を用いる場合は酸化側電解生成水を加えた際の絹フィブロイン濃度が1%以上、好ましくは3%以上10%以下になるように調製する。1%に満たない条件でゲル化を試みた場合、結晶化に非常に時間を要しあるいは十分に結晶化しても分散媒中に、絹フィブロイン分が白い靄状に僅か分散するような状態で、本願ゲル状組成物とは趣を若干異にする。10%を超えて結晶化させた場合のゲル状組成物は自由度が制限されたものしか得られない。平均分子量5千より小さいものは、絹フィブロイン分が溶解したまま結晶化してこない或いは結晶化しても溶媒分子の自由度を制御できるほどのゲル状組成物は得られない。 【0023】このように、本発明に係るゲル状組成物の硬度・延展性を調整するには、上述の絹フィブロインファクターを調整すればよく、即ち絹フィブロインの平均分子量の調節乃至はゲル状組成物中の絹フィブロイン濃度の調整によって可能である。具体的には該平均分子量の調節は絹フィブロイン溶液を酵素あるいは酸またはアルカリを用いて定法に従って加水分解することによって行う。また該絹フィブロイン濃度の調整は、ゲル状組成物中の溶媒分を増減することで得ることが可能で、該溶媒分の分離は濾紙による溶媒分の濾別などで容易に行える。 【0024】次に、本発明におけるゲル状組成物の製造方法について説明する。まず、絹フィブロイン成分をゲル中に結晶化させるために用いる、絹フィブロイン溶液を調製する。本発明における絹フィブロイン溶液とは、絹フィブロイン分子が水系溶媒中に溶解または分散し、該溶媒中の溶媒分子運動を妨げない様な形態で溶解または分散存在している状態の水溶液を指す。その絹フィブロイン溶液の絹フィブロインの平均分子量は5千程度以上が好ましく、上限は特に制限はない。 【0025】また、絹フィブロイン溶液中の絹フィブロイン濃度は、通常1〜30%(質量)、好ましくは2〜20%(質量)で、必要に応じて濃縮される。1%(質量)以下では後工程で濃縮の必要があり不経済であるし、30%(質量)以上では粘性が高くなって反応や操作が困難となる場合がある。 【0026】かかる絹フィブロイン溶液の製造方法はとくに限定されるものではないが以下に一例を示す。 【0027】絹フィブロイン溶液は、絹フィブロイン原料を水系溶媒に均一に溶解もしくは分散させて作成するが、それに適した水系溶媒の一例として、銅−エチレンジアミン水溶液、水酸化銅−アンモニア水溶液(シュワイサー試薬)、水酸化銅−アルカリ−グリセリン水溶液(ローエ試薬)、臭化リチウム水溶液、カルシウム或いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩或いは硝酸塩又はチオシアン酸塩の水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液などが挙げられる。コスト及び使用上の点からカルシウム又はマグネシウムの塩酸塩又は硝酸塩の水溶液が好ましい。又、これ等の水溶液の濃度は使用する溶媒の種類、温度等により異なるが、金属塩等の濃度は通常10〜80%(質量)、好ましくは20〜40%(質量)である。80%(質量)以上でも溶解するが、生成する絹フィブロイン溶液に実質的な差異が無く経済性の点で問題である。 【0028】精練後の絹原料を前記水溶液よりなる溶媒に添加し、温度60〜95℃、好ましくは70〜85℃でニーダの如き装置内で均一に溶解するが、液比は絹原料1に対して溶媒が通常2〜50、好ましくは3〜30である。 【0029】得られた絹フィブロイン溶液から高純度の絹フィブロイン溶液を得るためには、引続いて透析する。透析はセロファン膜に代表される透析膜や中空繊維を使用した透析器を用い、前記の溶液中に溶解している塩類等をほぼ完全に除去する。この場合目的とする絹フィブロインの分子量分布を極力狭くするためと、α構造のペプチドの割合を50(質量)%以上に調整するために、透析量と透析膜面積を特定する必要がある。即ち式1を満足する多層膜構造物又は中空糸集束構造物を使用して脱塩を行なう。 【0030】 【式1】膜表面積(平方cm)/プライミング容量(立方cm)≧10ただしプライミング容量とは透析チューブまたは膜間の内容積を示す【0031】上記数値が10未満の場合、膜分離が迅速に行なわれないため透析器中での滞留時間が長くなり、得られるフィブロイン溶液は、既に腐敗が始まっている事が多い。その場合、絹フィブロイン蛋白は腐敗による変性で水不溶(β構造)化し、これを再び冷水易溶性化することは困難である。 【0032】特に本発明を円滑に且つ経済的に行うために、上記数値は30以上が好ましく、50以上が特に好ましい。該条件を満足させる為には、例えば中空糸集束構造物の場合中空糸の直径を4mm以下にする必要がある。上記の方法に於いて得られた透析液は、残留塩濃度が0.003〜0.06%(質量)と極めて少なく、特に中空糸の径が0.2mm程度になると、上記数値が200程度となり透析器中での滞留時間数10分で、これを達成することができ、これより極めて高品質の絹フィブロイン溶液を得ることができる。 【0033】得られた絹フィブロイン溶液に酸化側電解生成水を加え、ゲル状絹フィブロイン中の絹フィブロイン濃度が所定のものとなるよう調整する。酸化側電解生成水を加えることで液系のpHを酸性サイドへ移動させゲル化を促し、短時間でゲルが得られるようにする。液系のpHは7以下の酸性サイドで有れば良く、絹フィブロイン溶液の等電点(pH4.5前後)からpH3.8付近であればより好ましい。 【0034】この時点で淡褐色の絹フィブロイン溶液は、わずかに白色化し、時間と共に懸濁度が増加する。この状態から半日〜1日程度で本願のゲル状組成物が得られる。得られたゲル状組成物は該pHが酸性サイドであるため、必要に応じアルカリ剤を加えて、pH調整することが可能である。その際、該アルカリ剤として還元側電解生成水を使用すると、該ゲル状組成物は絹フィブロイン分と水のみで形成される純粋な絹フィブロインゲルが得られる。また必要に応じて濾紙等で水分を除去し、ゲルの硬度を調整することも可能である。 【0035】得られたゲル状組成物は、絹フィブロインを水系溶媒中の溶媒分子運動を妨げない様な形態で溶解存在している状態の水溶液に調整したものを、酸化側電解生成水の介在下、ゲル状を呈する性質のものである。即ち分散媒中に、分散媒分子の分子運動、即ち自由度を完全には奪わない様な形態で絹フィブロイン分子が結晶化分散している状態を呈しているため、程良く均一に延びる延展性を呈しているものである。 【0036】以上のようにして得られた絹フィブロインを含有するゲル状組成物は、程良く均一に伸びる延展性を呈し、また保水性に富み、ゲル特有のみずみずしい質感を有している。そのため粉末でも水溶液でもないその特異な物性を利用して、これまで処方が困難であった様々な剤型への添加を可能にする。例えば従来増粘剤類を併用し強力な分散機等で分散しなければ均一に配合することが困難であった化粧品種別配合成分規格収載のシルク末が、増粘剤類や特殊な分散機を使用することなく容易に配合可能となる。増粘剤類を使用しないで済むということは、製品剤型の多様化に大きく寄与できることを意味する。加えて既存のジェル状を呈する美容液や保湿クリーム等の皮膚化粧料に配合したり、ジェル状の皮膚洗浄料への配合やヘアワックス等の毛髪化粧料への配合といった際に、従来シルク末の製造過程で必須であった超微粉化工程を要することなく、本願ゲル状組成物をそのまま加え通常の混合作業だけで需要に応えることが可能となる。また、ジャムやゼリーと言ったジェル状食品や、豆腐類や煮こごり等の食品やアイスクリームやムースといった菓子類への配合も該食品本来の固有の食感を損なうことなく添加することが可能になる。また諸剤型への添加用途のみならずゲルそのものを基剤として、美白成分やミネラル等の有効成分を微量配合した従来に実現することが難しかった絹主体が謳える美容液等の化粧料や該ゲルそのものを食す健康食品等の食品の製造すらも可能にする。 【0037】本発明の絹フィブロイン成分を含むゲル状組成物を配合した化粧料としては具体的には例えば、クリーム、化粧水、乳液、サンスクリーン剤、美容液、エッセンス、パック剤、洗顔料、クレンジング剤等の基礎化粧料、口紅、リップグロス、リップクリーム、、マスカラ、リキッドアイライナー、ジェル状ファンデーション、ジェル状補整料、水性タイプアイシャドウ、水性タイプチーク等のメイクアップ化粧料、ヘアカラー、シャンプー、リンス、ボディーシャンプー、ハンドソープ、ヘアパック、ヘアトニック、整髪料、育毛剤、デオドランド剤、入浴剤等が挙げられる。 【0038】本発明のゲル状組成物は、このゲル組成物自体を基剤として他の有用成分を必要量併用して使用することができるが、その割合は、化粧料組成物全体に対して90%以上の配合とすることも可能である。 【0039】本発明のゲル組成物を化粧品用途に使用する場合は、必要に応じて他の有用成分を併用することができる。具体的には、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、ブタプラセンタエキス、ビタミンC及びその誘導体(アスコルビン酸配糖体を含む)、ルシノール、グルタチオン、リノール酸、リノレン酸、乳酸、トラネキサム酸、ビフェニル化合物、パンテテイン−S−スルホン酸カルシウム、イオウ、グラブリジン、グラブレン、油溶性甘草エキスなどの甘草エキス、ラズベリーケトングルコシド、ウワウルシエキス、アルモンドエキス、アロエエキス、イチョウエキス、イブキトラノオエキス、エイジツエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、海藻エキス、カミツレエキス、カッコン(クズ)エキス、キハダエキス、クチナシエキス、クララ(クジン)エキス、クランベリーエキス、クロレラエキス、黒砂糖抽出物、クワ(ソウハクヒ)エキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、ゴバイシエキス、コムギエキス、コメ胚芽油、コメヌカエキス、サイシンエキス、サンシンエキス、サンショウエキス、シソエキス、シャクヤクエキス、スイカズラエキス、セージエキス、センキュウエキス、ダイズエキス、チャエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、ドクダミエキス、ニンニクエキス、ハマメリス抽出液、ビワエキス、ベニバナエキス、ボタンエキス、マツホドエキス、マロニエエキス、メリッサエキス、ヨクイニン(ハトムギ)エキス、ユキノシタエキス、ワレモコウ(ジュ)エキス、ヨモギエキス、火棘エキス、ハイビスカスエキス等の美白成分や、植物エキス、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等の高級アルコール類、脂肪酸セッケン、セチル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム等の両イオン性界面活性剤、レシチン、リゾフォスファチジルコリン等の天然系界面活性剤等を併用することができるが、これらに限定されるものではなく、通常化粧品に配合されている成分であれば併用できる。 【実施例】 【0040】以下、実施例を挙げて本願発明の一例を説明する。なお実施例中の%表記は質量%を表す。 【0041】[実施例1]絹フィブロイン溶液の原料となる撚糸屑を、1.0%マルセル石鹸溶液(浴比30倍)で1時間煮沸精練してセリシンを除去し、水洗後、熱風乾燥した。次いで加熱した38.0%塩化カルシウム水溶液に、該脱セリシン撚糸屑をニーダーを用いて浴比5倍で捏和・溶解させた。濾過して不純物を除去後、ホローファイバー型の透析装置を用いて透析・脱塩し、絹フィブロイン溶液を得た。得られた絹フィブロイン溶液の絹フィブロイン濃度は5.9%で平均分子量は8.5×10^4だった。 【0042】得られた該溶液339gに酸化側電解生成水(ジプコム株式会社製サニーハイ水、pH2.4)を661g加え密栓し、冷蔵保存した。18時間後には、系全体が一様に淡白色化した硬度が小さく延展性に富んだゲルが得られたことを確認した。このときの絹フィブロインの含有量は2%となる。得られたゲルは、硬度が小さく、程よい延展性を呈し、肌や毛髪に滑らかになじむ性質のものであった。 【0043】[実施例2]実施例1で得られた絹フィブロイン溶液を12.5mモルの苛性ソーダで80℃下、60分間加水分解後、塩酸で中和した。得られた加水分解絹フィブロイン溶液の平均分子量は9.8×10^3だった。該加水分解絹フィブロイン溶液593gに酸化側電解生成水(同上)を407gを加え密栓し、冷蔵保存とした。24時間後には、系全体が一様に淡白色化した硬度の小さいゲルが得られたことを確認した。次いで、還元側電解生成水(同上)を用いてpHを7に調整し、JIS P3801[ろ紙(化学分析用)]規定の2種定性濾紙を用いて吸引濾過して余分な水分を濾別した。得られたゲルは白色で延展性に優れたもので、絹フィブロイン濃度は4.8%だった。 【0044】[処方例1]クレイタイプパック1.ポリエチレングリコール 8.02.グリセリン 10.03.実施例1のゲル状組成物 5.04.合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 2.05.エチルアルコール 8.06.酸化チタン 5.07.カオリン 10.08.タルク 5.09.香料、防腐剤、界面活性剤 適量10.精製水 100とする残余[処方例2]洗浄化粧水 1.実施例1のゲル状組成物 10.0 2.1,3ブチレングリコール 6.0 3.ポリエチレングリコール 6.0 4.モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0 5.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール 1.0 6.エチルアルコール 15.0 7.香料、防腐剤、緩衝剤 適量 8.精製水 100とする残余[処方例3]りんごジャム1.りんご 3個2.砂糖 200g3.実施例2のゲル状組成物 50g4.レモン汁 適量[処方例4]チョコレートムース1.チョコレート 50g2.牛乳 400cc2.砂糖 50g3.実施例2のゲル状組成物 100g4.粉寒天 2g6.生クリーム 150cc7.ラム酒 小さじ1【発明の効果】 【0045】以上の如く、本発明により得られたゲル状組成物は、硬度が小さい状態で長時間安定であるという特長的な物性により、延展性・相溶性・分散性に優れ、絹フィブロイン成分の長所である皮膚や毛髪に対する優れた親和性や保護作用等の特性を持ち、みずみずしい使用感に優位な汎用性に富むものである。また、食品に配合する場合は、独特のなめらかな食感を生かした、絹配合食品の製造を可能にする。さらに本発明に係る製造方法によれば、絹フィブロインを含有したゲル状組成物を工業的に容易且つ安価に量産することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000952 【氏名又は名称】カネボウ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月2日(2001.5.2) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−326919(P2002−326919A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月15日(2002.11.15) |
| 【出願番号】 |
特願2001−134938(P2001−134938) |
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