| 【発明の名称】 |
免疫系の調節 |
| 【発明者】 |
【氏名】ロジャー ロリア
|
| 【要約】 |
【課題】DHEA投与で認められる望ましくない副作用を引き起こすことなく免疫系の防御調節を増進させる薬剤が、感染に対する宿主耐性の特に有利な改善を提供すること。次に、免疫系の防御調節は、化学療法剤の低投与量の使用で効果が得られ得、広範囲の防御を伴った即効性の応答を提供すること。
【解決手段】本発明は、アンドロステンジオール(AED)およびアンドロステントリオール(AET)を投与することにより、免疫応答の調節、ストレス影響の改善、および、化学療法または放射線被照射の好ましくない影響の回避のための改良方法を提供する。免疫応答調節の改良方法は、感染症および免疫疾患(例えば、糖尿病および慢性疲労症候群(現在では両疾患とも免疫応答関連症候群と考えられている))の治療に使用され得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 付着阻害量のβAED、βAETまたはαAETを含有する、細胞がお互いに付着することを予防するための組成物。 【請求項2】 付着阻害量のβAED、βAETまたはαAETに細胞を曝露する工程を包含する、インビトロで該細胞がお互いに付着することを予防する方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アンドロステンジオール(AED)およびアンドロステントリオール(AET)を投与することにより、免疫応答の調節、ストレス影響の改善、および、化学療法または放射線被照射の好ましくない影響の回避のための改良方法を提供する。免疫応答調節の改良された方法は、感染症および免疫疾患(例えば、糖尿病および慢性疲労症候群(現在では両疾患とも免疫応答関連症候群と考えられている))の治療に使用され得る。 【0002】 【従来の技術】(発明の背景)脊椎動物での、病原体に対する宿主予防法の開発には、液性免疫応答および/または細胞性免疫応答の動員に関連する、選択的な宿主免疫応答が要求される。いくつかの因子は、長期間の免疫抑制または免疫系の「負方向の調節(down−regulation)」を引き起こすことにより、身体防御応答能力に有害な影響をおよぼす。その結果は攻撃から身体防御ができなくなるので、実際には、「負方向の調節」よりは免疫系の「悪性調節(mal−regulation)」または「逆調節(deregulation)」と呼ばれる方が適切である。免疫抑制は、宿主中で病原体が増殖する好機を提供する。何が免疫に重要な損傷をもたらすかは問題ではない。結果的に適切な免疫応答を引き起こすことができないので、同様の影響がもたらされる。免疫抑制の多くの異なる原因には、ウイルス、細菌、真菌、酵母菌および寄生虫の感染、化学療法、放射線照射、厳しいストレス、慢性疲労症候群、糖尿病、およびある種のステロイド療法がある。 【0003】薬理学的に適切な投与量で、副腎皮質起源のステロイドホルモンを投与されている患者が感染症の発生の増加を示すことは、長年知られている。A.S. Fauci, immunolo. rev. 65, 133−155 (1982);および、J.E. ParilloおよびA.S. Fauci, Annual Review of Pharmacology and Toxicology 19, 179−201 (1979)。3−β−ヒドロキシアンドロスト−5−エン−17−オンまたはデヒドロイソ−アンドロステロン(以下、DHEAと呼ぶ)としても知られているデヒドロエピアンドロステロンは、哺乳類に認められる量的に主要な副腎皮質ステロイドホルモンの1つである、17−ケトステロイドである。M.E. Windholz, The Merck Index, 第9版 (1976); K. DiemおよびC. Lentner, Geigy Scientific Tables (1975)。(DHEAは、生殖腺ステロイド合成での中間体として作用するようであるが、DHEAの主要な生理学的機能は、完全には理解されていない。しかし、このホルモンのレベルは、20代で低下しはじめ、初老以降ではもとのレベルの5%にまでなる)。 【0004】臨床的に、DHEAは、乾癬、通風、高脂肪血症の患者を治療するために、全身投与および/または局所投与され、そして、冠状動脈血栓症後の(post−coronary)患者に投与されてきた。W. Regelsonら、NewYork Academy of Sciences 518, 260−273 (1988)。哺乳類では、DHEAが体重最適化および抗発癌性効果を有することが示された。 【0005】ヨーロッパで臨床的に、DHEAは、閉経期症状の逆転のための薬剤としてエストロゲンと組み合わせて使用され、さらに、躁欝病、精神分裂病、およびアルツハイマー病の治療に使用された。さらに、DHEAは、進行した癌および多発性硬化症の治療に、臨床的に40 mg/kg/日で使用された。(Regelson、前出)。穏和なアンドロゲン効果、多毛症、および、リビドの増大が、副作用として観察された。これらの副作用は、投与量のモニターおよび/または類似体の使用により克服され得る。 【0006】米国特許第5,077,284号「免疫応答を改善するためのデヒドロエピアンドロステロンの使用」には、感染に対する宿主応答を改善するための、DHEAの皮下または経口投与が記載されている。米国特許第4,978,532号には、DHEA送達のためのパッチ法の使用が記載されている。 【0007】現在では、DHEAは、哺乳類の免疫応答を増大するより効能のある薬剤に、最終的に導く代謝経路における前駆体であることが開示されている。それは、DHEAが二相性化合物として作用する:それは、アンドロステンジオール(5−アンドロステン 3β,17βジオールであり、以後βAEDと呼ぶ)またはアンドロステントリオール(5 アンドロステン 3β,7β,17βトリオールであり、以後βAETと呼ぶ)に転換されると免疫調製薬として作用するが、インビトロでは、βAEDおよび/またはβAETへの転換の前に、細胞増殖に対してある種のリンホトキシンおよび抑制効果を有する。従って現在では、DHEAの投与は、そのDHEAがより活性な代謝物へと部分転換する結果として、優れた免疫増強特性を示すと理解されている。 【0008】DHEA投与で認められる望ましくない副作用を引き起こすことなく免疫系の防御調節を増進させる薬剤は、感染に対する宿主耐性の特に有利な改善を提供する。次に、免疫系の防御調節は、化学療法剤の低投与量の使用で効果が得られ得、広範囲の防御を伴った即効性の応答を提供する。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】DHEA投与で認められる望ましくない副作用を引き起こすことなく免疫系の防御調節を増進させる薬剤が、感染に対する宿主耐性の特に有利な改善を提供すること。次に、免疫系の防御調節は、化学療法剤の低投与量の使用で効果が得られ得、広範囲の防御を伴った即効性の応答を提供すること。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、アンドロステンジオール(AED)およびアンドロステントリオール(AET)を投与することにより、免疫応答の調節、ストレス影響の改善、および、化学療法または放射線被照射の好ましくない影響の回避のための改良方法を提供する。免疫応答調節の改良方法は、感染症および免疫疾患(例えば、糖尿病および慢性疲労症候群(現在では両疾患とも免疫応答関連症候群と考えられている))の治療に使用され得る。 【0011】本願発明において、活性薬剤として、5−アンドロステン3β,17βジオール(βAED)、5−アンドロステン3β,7β,17βトリオール(βAET)または5−アンドロステン3β,7β,17βトリオール(αAET)、または下式の化合物のうちの少なくとも1種を薬学的に受容可能なキャリア中に含有する組成物:【0012】 【化1】
ここで、R1は、H、2〜8個の炭素のアルケニル、1〜8個の炭素のアルキル、1〜4個の炭素のフェニルアルキル、フェニル、またはCOR2であり得、ここで、R2は、H、1〜8個の炭素のアルキル、2〜8個の炭素のアルケニル、フェニルアルキル(ここで、該アルキルは、1〜4個の炭素を有する)(ベンジルを含む)、またはフェニルであり、どのフェニル部分も、ヒドロキシ、1〜4個の炭素のカルボキシ、ハロ、1〜4個の炭素のアルコキシ、1〜4個の炭素のアルキル、または2〜4個の炭素のアルケニルから選択される、3つまでの置換を有し得、そして、どのアルキルも直鎖、分枝鎖であり得るか、または、該アルキルは、全体または部分的に環状化され得る組成物が提供される。 【0013】本願発明の1つの局面において、この組成物の活性薬剤がβAEDまたはβAETである。本願発明の別の局面において、この組成物はグリコールを含有する。 【0014】本願発明の1つの局面において、この組成物の活性薬剤が、支持体に結合されており、好ましくは、この組成物がパッチである。 【0015】本願発明の1つの局面において、この組成物は密封容器中に存在する。本願発明の別の局面において、この組成物はカプセル形態の経口投与用の組成物である。 【0016】本願発明の1つの局面において、この組成物は移植に適用される。 【0017】さらに本願発明において、上記の組成物の有効量を投与することにより、哺乳類における化学療法または放射線療法での好ましくない影響を予防または改善するための方法が提供される。 【0018】本願発明の特定の局面において、使用される活性薬剤がβAETおよび/またはβAEDである。さらなる局面において、この活性薬剤が、パッチまたはインプラントにより投与される。 【0019】本願発明において、上記の組成物を、免疫の正方向への調節量を投与することにより、脊椎動物の免疫応答を増強する方法が提供される。1つの局面においてこの組成物が、皮下、皮内、または局所塗布により投与される。特定の局面においてこの組成物がクモ膜下腔内に投与されか、パッチとして投与されるか、鼻腔内投与されるか、膣壁に接触する組成物になるような様式で投与されるか、口から投与される。さらなる局面において、上記の組成物が、コンドーム用潤滑剤として投与される。特定の局面においては、上記の組成物は、ワセリンを含有する。 【0020】本願発明において、AEDまたはAETの付着阻害量に細胞を曝すことにより、該細胞が他の細胞に付着するのを阻害する方法が提供される。また、本願発明において、AEDまたはAETのリンパ球増殖促進量を増殖培地に添加することにより、インビトロでのリンパ球増殖を増大させる方法が提供される。さらに、本願発明において:(1)リンパ球を被験体から取り出して分離する、工程; (2)AEDまたはAEDを含有する培地で、工程(1)で得たリンパ球を増殖する、工程;および、(3)該リンパ球を該増殖培地から分離し、該リンパ球を、工程1でそれらを取り出した該被験体に投与する、工程。 により、被験体において、自己起源のリンパ球を増加させる方法が提供される。 【0021】本願発明において、脊椎動物の免疫応答を増強する方法であって、βAED、αAET、βAET、または下式の化合物を、該脊椎動物の食物または水中に入れて投与することによる、方法:【0022】 【化2】
ここで、R1は、H、2〜8個の炭素のアルケニル、1〜8個の炭素のアルキル、1〜4個の炭素のフェニルアルキル、フェニル、またはCOR2であり得、ここで、R2は、H、1〜8個の炭素のアルキル、2〜8個の炭素のアルケニル、フェニルアルキル(ここで、該アルキルは、1〜4個の炭素を有する)(ベンジルを含む)、またはフェニルであり、どのフェニル部分も、ヒドロキシ、1〜4個の炭素のカルボキシ、ハロ、1〜4個の炭素のアルコキシ、1〜4個の炭素のアルキル、または2〜4個の炭素のアルケニルから選択される、3つまでの置換を有し得、そして、どのアルキルも直鎖、分枝鎖であり得るか、または、該アルキルは、全体または部分的に環状化され得る、方法が提供される。 【0023】ある局面において、対象となる脊椎動物が、慢性疲労症候群のヒト、または慢性酵母菌感染にかかっているヒトである。 【0024】 【発明の実施の形態】(発明の開示)本発明は、感染に対する免疫系の防御応答を増強するために有用な化合物および組成物を提供する。本発明の医薬組成物はまた、しばしば免疫抑制を伴う他の合併症の治療にも有用である。防御免疫応答の増強はまた、本明細書中では免疫応答の正方向の調節(up−regulation)または調節と呼ばれ得る。 【0025】本発明は、AETのαおよびβ両立体異性体の合成方法を提供する。両異性体とも、体内に存在する。しかし、異性体の活性は変わるので、分離異性体を調製する方法が提供されることは重要である。現在では、βAETが免疫応答の調節における活性薬剤であることが知られている。しかし、αAETは、過剰であるとき、おそらくβAETと平衡状態にある。しかし、応答間隔の遅れが何であるかは現在知られていないので、βAETは治療に使用される異性体である組成物である。 【0026】βAEDおよびβAET、および保護類似体を使用すると、DHEAの使用から生じるある種の副作用が回避される。βAEDおよびβAETを用いることにより、前駆体DHEAが投与されたときに生じる多くのアンドロゲン副作用が回避される。βAEDおよびβAETを用いると、速効で制御的な免疫応答が増強され得る。さらに下記の表1の情報に示されるように、βAEDは、その防御がDHEAによりもたらされた防御とは定量的および定性的に異なるので、ウイルス攻撃に対する防御特性に関してDHEAより予想外に優れている。βAED、および、AETのαおよびβ異性体は以下の通りである。 【0027】 【化3】
医薬組成物に加えて、本発明は、βAEDおよびβAETの類似体および誘導体を包含する。後に合成法の例示で示されているように、いくつかの置換化合物が、βAEDおよびβAET調製の開始物質または中間体として有用である。βAEDは、市販品から入手可能であり、他のステロイド生成用の原料物質として使用されている。(米国特許第2,521,586号を参照のこと)。試験に使用される生成物は、Sigmaから入手した。βAEDおよびβAETはまた、加水分解で得られたβAEDまたはβAETにおいて、保護基で置換され得る。従って、アシル化およびアルキル化誘導体が、βAEDおよびβAETの前駆体として有用である。以下の式のような化合物:【0028】 【化4】
ここで、R1は、H、2〜8個の炭素のアルケニル、1〜8個の炭素のアルキル、1〜4個の炭素のフェニルアルキル、フェニル、またはCOR2であり得、ここで、R2は、H、1〜8個の炭素のアルキル、2〜8個の炭素のアルケニル、フェニルアルキル(ここで、該アルキルは、1〜4個の炭素を有する)(ベンジルを含む)、またはフェニルである。どのフェニル部分も、ヒドロキシ、1〜4個の炭素のカルボキシ、ハロ、1〜4個の炭素のアルコキシ、1〜4個の炭素のアルキル、または2〜4個の炭素のアルケニルから選択される、3つまでの置換を有し得、そして、どのアルキルも、直鎖、分枝鎖であり得るか、または、このアルキルは、全体または部分的に環状化され得る。 【0029】実施例のモデルとして使用された急性ウイルス感染は、その広範囲に及ぶ効果およびモデルの厳しさのために、防御を示すのに選択された。コクサッキーウイルス(Coxsackievirus)B4は、マウスを死に至らせる。ヒトでは、コクサッキーウイルスは、上気道感染症、咽頭炎、出血性結膜炎、髄膜炎、発疹、脳炎、肝炎、乳児下痢、麻痺、心膜炎、および心筋炎のような多様な病状を引き起こす。現在では、このグループのウイルスはまた、若年型糖尿病の発症においてある役割を有すると考えられている。 【0030】本明細書に教示されているようなβAEDおよびβAET、および保護類似体の使用により、ヒトを含む脊椎動物に、感染または免疫抑制作用に曝されたことに起因する病的状態に対する高レベルの防御が提供される。臨床医薬では、βAEDおよびβAETでの治療は、病原生物に曝された患者の病的状態を減退させ得る。これらの薬剤は、特に感染に感受性であることが知られる患者において、予防用に効果的に使用され得る。手術または化学療法を受けている患者、または、火傷、再生不良性貧血または再生不能性貧血、または肝炎を患っている患者は、このようなβAEDおよび/またはβAETの予防的投与で利益を得る感受性の患者である。また、免疫抑制の原因には、ウイルス、細菌、真菌、酵母菌および寄生虫感染、化学療法、放射線照射、厳しいストレス、慢性疲労症候群、および、ある種のステロイド療法がある。本発明の組成物は、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)および肝炎のような、身体の免疫応答を破壊するウイルスが原因となる感染症患者を治療するのに有用である。 【0031】βAEDおよびβAETの両方ともが、DMSOのような親油性キャリアを用いて、最も効果的に処方される。実施例で使用された動物への皮下投与では、活性薬剤を1:1 DMSO/エタノールに溶解し、次に、動物への皮下投与用に希釈した。組成物を口から投与する場合には、0.4% AEDを含有する組成物を供給するように食物に添加した。皮膚に塗布する場合には、AEDは、例えば、DMSOおよびアルコールを含有するキャリア物質に溶解され、次にパッチに適用され得る。このような場合には、溶液中のAEDは、パッチの支持材に組成物を適用する前に、グリセロールのような別のキャリアに添加され得る。膣または肛門投与には、AEDは、坐剤、浣腸剤により、またはクリームなどの塗布より投与され得る。本発明の組成物は、活性薬剤が外胚葉起源の組織と接触するようないずれもの様式により投与され得る。このような方法には、皮下または皮内注射、または局所塗布が含まれる。局所塗布の一方法は、活性薬剤を浸潤させた皮膚パッチの使用である。この送達方法は、非侵襲的であり、非熟練者によっても容易に投与されるので、好都合である。本発明の組成物はまた、輸送中のストレスから生じる病的状態を防ぐための動物用医薬としても使用され得る。βAEDおよびβAETの投与は、感染症の流行およびヒトが消費する食物中への感染微生物の導入を予防するための方法として有効であり得る。βAEDおよびβAETは、皮下注射、食物または飲物中に入れること、皮膚塗布用パッチ、または吸入により投与され得る。特に健康面での関心には、卵を介する感染の流行がある。卵はしばしば親の雌鳥での発育中に感染する。本発明の活性薬剤を含有する組成物は、卵の細菌感染を予防するために、飼料または飲料水に添加され得る。 【0032】パッチが動物または鳥類に使用される場合には、皮膚が直接パッチに露出されなければならない。パッチが使用されるときには、皮膚を露出するために、鳥類または動物の毛を引き抜くか、または剃る必要があり得る。 【0033】他の投与の好ましい方法には、頬、舌下、鼻腔内、または気管内経路が含まれる。この目的のためにはスプレーが有用であり得る。鼻腔内投与には、活性薬剤は吸引される粉末として送達され得る。シクロデキストリン封入複合体のような封入複合体は、口腔咽頭粘膜および鼻腔粘膜への投与に適した組成物である。 【0034】βAEDおよびβAETはまた、免疫応答を増強するためのワクチンとともに与えられ得る。これらの薬剤は、ワクチンを含有する組成物中またはワクチンとは別の組成物中のいずれかで投与され得る。 【0035】本発明の化合物はまた、経口または肛門経路により腸粘膜に投与され得る。坐剤、持続性浣腸剤(retention enema)として用いられる溶液、および、クリームまたはゼリーが、肛門投与での使用に適したキャリアである。 【0036】本発明の化合物は、クリーム、ゼリー、坐剤、または潅注液により、膣粘膜に適用され得る。感染生物に曝された部位での免疫応答を増強するために、本化合物は、予防用膣調製物に添加され得るか、またはコンドームの潤滑剤として使用され得る。 【0037】本発明の組成物の投与は、脳炎および髄膜炎に対する予防手段として非常に有効であることを証明した。本発明の組成物は、脊椎レベルでまたは大槽中のいずれかでクモ膜下腔内に投与され得る。 【0038】本発明の活性薬剤は、眼適用に適合した、ドロップ、クリーム、または、ゲル溶液または懸濁液の形態の組成物により、眼経路で投与され得る。 【0039】βAEDおよびβAETは、体細胞の付着特性を阻害する。抗付着特性をもたらす目的には、本発明の活性薬剤は、手術中に上皮組織に直接送達され得る。このような使用の例は、感染症、子宮内膜症、および、腸および卵巣の悪性腫瘍のような症状(そこでは、外来細胞または粒子が、腹膜内層の正常細胞に付着することが問題である)における、本発明の活性薬剤を含有する組成物の網への適用に関連する。本発明の組成物は、例えば、ミストまたはスプレーとして投与され得る。 【0040】DHEAがβAED、およびAETの両異性体に転換されることが、インビボにおいて示された。次に、βAEDおよびβAETは、免疫応答の調節因子(レギュレーター)として作用する。皮膚では、DHEAのAED、そして次のAETへの転換は、DHEAの代謝経路の1つであると考えられる。ヒトの副腎皮質および肝臓は、DHEAの7α−ヒドロキシル化のみを形成し、7β−ヒドロキル化は形成し得ないが、ヒトの皮膚は、7β−OH DHEAを形成し、AEDの7βヒドロキシル化を行ってβAETを得る酵素的機構を有する。以下の表は、DHEAの代謝経路を示す。 【0041】 【化5】
DHEA(a)は、免疫増強活性を有することが知られている。しかし、デヒドロエピアンドロステロン硫酸「(b)」は、免疫系において増強効果を有さないことが認められた。5アンドロステン−3β,11β,17β−トリオールおよび5アンドロステン−3β,16β,17β−トリオールはともに、免疫抑制効果を有する。テストステロン「(i)」は、宿主免疫応答において効果を有することが知られているが、この効果は、致死的な感染症の予防には至らない。テストステロンおよび他の性ホルモンの免疫応答に対する定量的および定性的効果は、異なる性質および範囲のものである。 【0042】 【実施例】(実施例1)アンドロステンジオール(5 アンドロステン−3β、17β、ジオール、βAED)を使用した結果、ウイルス感染および細菌感染に対して著しいおよびかなりの抵抗性であった。用量曲線実験は、次のように処理した:βAEDおよびDHEAを、1回の持続用量として8.3mgのAEDまたは25mgのDHEAを、SWR\JおよびC57BL\6J近親交配マウスに投与した。次いで、活性薬剤の防御値を測定するために、マウスに種々の量のコクサッキーウイルスB4(CB4)を感染させた。βAEDは、コクサッキーウイルスB4に対して50%防御用量を与え、それはDHEAにより与えられる防御より100倍大きい。さらに、ED50における相違に比べて、アンドロステンジオールで達成されるウイルス性の致死に対する防御の程度もまたDHEA注射で得られる程度より大きい。βAEDによりもたらされたウイルスに誘導される致死に対する防御の増加は、DHEAにより得られた防御とは統計学的に有意に異なる(P<0.05)。 【0043】 【表1】
これらの結果から分かるように、βAEDは、致死をさけることにおいてDHEA前駆体より著しく効果が高い。有効量のβAEDは、DHEAで効果を得るために必要な用量の1/3未満であり、致死からの防御を達成するのに効果的である。ウイルスを介する致死からの同様の防御がまた、近親交配したC57BL/6J(b)系統でも観察された。2つの近親交配マウス系統(SWR/JおよびC57BL/6J)は、その主要組織適合性ハプロタイプが異なり、それぞれqおよびbである。この結果は、異なる組織適合性の系統において、βAEDを用いて達成される免疫応答の正方向の調節が、第17染色体上の主要組織適合遺伝子と無関係であり得ることを示す。 【0044】最近の報告で、皮膚は特有の免疫機能を有し得ることが示されている。J.W. StreileinおよびR.E. Tigelar、Photoimmunology、Parrishら編 (Plenum Publishing、New York、1983)95−130ページ。実際に、皮膚は皮膚免疫細胞群をマウス系統のThy−1+樹枝状表皮細胞中に含むことが知られており、それはIL−1に類似の表皮の胸腺細胞活性化因子を産生する表皮のランゲルハンス細胞およびケラチノサイトを含む。 【0045】(実施例2)8mgのβAEDを含む組成物を、異系交配したICRマウスに皮下投与した。次いで、致死量のStreptococcus faecalis X1515.OG1RF株を感染させた。βAEDを与えた動物は、細菌のみを感染させた動物における致死率の57%から、感染させ、そして1回の皮下(SC)投与量のβAEDで処置した動物における致死率0%まで致死率を減少したことから明らかであるように、病的状態に対する著しい抵抗性を示した。さらに、一定の閾値の用量を越えるβAEDは、脾臓および胸腺においてかなりのリンパ球の増殖をもたらすが、それは感染動物においてのみである。ウイルスに曝されず、1頭あたり8mgのβAEDを投与しても増殖を引き起こさなかった。ウイルス感染のみの近親交配のSWR/Jマウス、およびβAED処置のみまたはβAED処置およびウイルス感染で処置した動物の臓器の組織病理学試験により、βAEDはウイルス誘導性の心筋症および膵疾患からの防御に効果があることが判明した。下記の表2に示されたデータに、βAEDは、宿主のICR近親交配系統(現在、Holland Sprague Dowley Companyにより供給されるInst, of Cancer Reseach系統)を、S.faecalisから、しかしDHEAが同じ効果に必要とする用量の1/3の用量で、防御することが示される。 【0046】 【表2】
防御は、24時間以内に死ぬ極めて急性の感染において達せられた(処置群での0/7に対して未処置群では4/7であった)。マウスには、細菌S.faecalis X1515.OG1RF単離株を含む致死量のプラスミドを感染させた。 【0047】(実施例3)単層の膀胱腫瘍細胞を含むウエルを、アッセイに使用する前に一晩、βAEDまたはDHEAのいずれかの50μモル溶液でカバーする。結果を下の表3に示す。 【0048】 【表3】
表3に示すように、DHEAおよびβAEDは共にヒト膀胱腫瘍細胞への細菌の付着を阻害する。βAEDおよびAETは、膜流動性、または細胞への付着および/または浸透に影響する構成成分のいずれかに、効果を有すると考えられている。膀胱腫瘍細胞(EJ6)を、膜流動性におけるAEDの効果を測定するために膜プローブとして蛍光プローブ1−4、トリメチルアンモニオ−フェニル−6 1,3,5ヘキサトリエン(TMA−DPH)を使用してフローサイトメトリーで分析した。 【0049】(結果) A. サンプル1および2は標準の組織培養液中で増殖させたコントロール細胞を示す。 B. サンプル3または4は50μM AED入りの上記のコントロール培養液で増殖させた細胞を示す。 【0050】 サンプルA1. 0.121256サンプルA2. 0.120548コントロールの平均 0.120902AED 50 μM 3. 0.135151AED 50 μM 4. 0.142453試験の平均 0.138802コントロールとβAED処理細胞との間の0.017899の差は有意であり、βAEDが細胞膜の付着において有意の変化を引き起こすことが証明される。それは、細胞膜の硬度の増加(流動性の減少)が付着に影響することであり得る。 【0051】(実施例4)細胞培養液に4X107のHela細胞を接種した。DHEAを50μMの濃度まで加え、βAEDを50μMの濃度まで加えた。DHEAに曝した細胞培養では、細胞数が2倍の減少を示した。βAEDに曝した細胞培養(コントロール)およびキャリアーのみに曝した培養は生存細胞数に2倍の増加を示したまたは変化を示さなかった。これらの観察で、βAEDは細胞応答の初期でDHEAの有害な効果を有さないことが示唆される。DHEAおよびβAEDのいずれもインビトロでウイルス感染粒子数に影響を有しない。 【0052】(実施例5)マウスに8mgのβAEDまたは25mgのDHEAを皮下注射した。次いで、マウスにコクサッキーウイルスB4、105粒子を感染させた。7日後にマウスを屠殺した。脾臓のリンパ球を取り出し、コンカナバリンA、5μg/mlでインビトロで刺激した。刺激を3H−チミジン取り込み法で測定した。βAEDは脾臓のリンパ球の増殖に大きな効果を有し、6.6倍大きい増殖が明示された。データはまた、初期のステロイドDHEAの継続投与の結果、免疫系をいくらか抑制することを示唆する。 【0053】上記の結果は、DHEA処置において観察される免疫の正方向の調節を上回る初期の免疫抑制または毒性が回避されるため、感染への免疫応答を増大させるためにはDHEAよりもβAEDまたはβAETを使用する方が有利であることを明らかに示唆する。従って、DHEAよりむしろβAEDまたはβAETでの治療が、感染生物への免疫応答を改善するためには好ましい。 【0054】DHEAとAEDとの間の構造におけるただ一つの変化は、17位のケト基のβ水酸基への還元である。7位の水素をβ水酸基で置換したAETは、皮膚の代謝経路により生成される。言い換えれば、βAETは皮膚におけるDHEAの代謝経路の下流産物である。βAETは、免疫の正方向の調節、および、ストレス、化学療法、および放射線照射の好ましくない効果からの防御をもたらす最も有効な化合物であると考えられる。 【0055】(調製の方法#1)本発明の重要な局面は、医薬として使用する立体特異的な(sterio−specific)βAETの調製である。合成は、開始物質として7−オキソ−3β,17βアセトキシ−アンドロスト−5−エンを用いて行った。 【0056】(3β,7β,17β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エン(I)および3β,7α,17β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エン(II)の合成:)氷酢酸中での3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エンの酸化クロム酸化で、3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5エン−7−オン(III)[(I)または(II)の中間体]を生じる。 【0057】イソプロパノール中での(III)のアルミニウムイソプロポキシド還元で(I)が生じる。テトラヒドロフラン中での(III)のリチウムトリ(第2級ブチル)ボロヒドリド還元で、(II)が生じる。 【0058】(3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン−7−オン(III)の調製)400mlの氷酢酸中の37.4g(0.1mol)の3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン(Steraloids A7850)を、20mlのH20および20mlの氷酢酸に溶解した30.06g(0.3mol)の酸化クロム(VI)(Aldrich 23,265−3)と反応させた。CrO3溶液を3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン溶液に滴下して加え、4時間55℃の温度に維持した。いずれの未反応CrO3をも分解するために、反応混合物にメタノールを加え、続いて塩の水溶液およびエーテルを加えた。エーテルを蒸発させて7.8g(20%収量)の粗IIIを生じた(詳細は、実験書#1、10−16ページにある)。95%EtOHからの結晶化で、(III)融点214−215℃、DSCピーク191−224℃、220℃で最高、(文献1)融点218−219℃、(文献2)融点224−225℃(メタノール由来)を生じた。 【0059】順相tlc:EtOAC−シクロヘキサン−EtOH(45:45:10)、Rf=0.86。IRバンド(cm −1:1737、1666(文献2、1728、1668)。1H NMR(CDC13)、(d)、ppm: 0.81(s,3H)、1.25(s,3H)、2.02(s,6H)、2.25(m,H C−4における)、2.5(m,H C−8における)、4.6(t,HC−17における)、4.7(m,H C−3における)、5.72(s,1H);(文献2、0.80(s,3H)、1.20(s,3H)、2.03(s,6H)、4.62(m,1H)、5.71(g,1H)。)逆相 lc/ms(高速原子衝撃検出)でm/z 389(M+HJ’ 主lcピーク中のイオンを検出した(文献2 m/z 388(M)。実験的C−13 nmr、(d)、ppmによる帰属(CDC13)は:【0060】 【化6】
(3β,7β,17β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エン(I)の調製)3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン−7−オンをイソプロパノール中でのアルミニウムイソプロポキシドによって還元し、3β,7β,7β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エンを得た。 【0061】(3β,7α,17β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エン(II)の調製)テトラヒドロフラン中のリチウムトリ(第2級ブチル)ボロヒドリド(Aldrich L−Selectride)5.1ml(5.1mmol)を、窒素下で新たに蒸留した15mlのテトラヒドロフランの中の、499mg(1.28mmol)の3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン−7−オンにすばやく加え、氷浴の温度で1.5時間撹拌した。15mlメタノール中の0.9gのKOHを加え、反応混合物を0.5時間還流し、次いで37.5mlの10%NaCl溶液を加えた。冷凍庫(−20℃)で冷却後、結晶を生じ、濾過し、123.6mg(19%)(II)、融点239−45℃を得た。メタノールからの結晶は、(II)、融点249.5−253℃を生じた。1H nmr(CD(OD)3)、(d)、ppm:0.75(s,3H)、1.01(s,3H)、3.1(m,1H)、3.6(t,1H)、3.7(d,1H)、5.50(d,1H)。 【0062】実験的C−13 nmr、(d)、ppmによる帰属(CD(OD)3)は:【0063】 【化7】
(考察)立体化学は、コレスト−5−エン−3β、7β−ジオールおよびコレスト−5−エン−3β、7α−ジオールプロトンnmr(文献3)と比較して、3β、7β、17β−トリヒドロキシアンドロスト−5エン(I)および3B、7α、17β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エン(II)に帰属した。(II)を作製するための(III)のL−Selectride還元は、7α−ヒドロキシコレステロールの調製に関するMorisakiにより与えられた条件と同じ反応条件を用いて行った4。構造異性体(I)および(II)に関する炭素−13共鳴を示す。(多重度(ppm)) 【0064】 【化8】
(参考文献) 1.Adolf Butenandtら、Ber. 71B、1316−22(1938)。 2.Anthony J. Pearsonら、J.Chem.Soc. Perkin Trans. I、267−273(1985)。 3.Leland L. Smithら、J.Org.Chem.、38巻、No.1、119−123(1973)。 4.Masao Morisakiら、Chem.Pharm.Bull.35(5)1847−1852、(1987)。 【0065】(調製の方法#2)AETのαおよびβ異性体を調製する第二の方法が開発されている。そのプロセスは、開始物質として3β,17βジアセトキシアンドロスト−5−エン、市販の試薬(Stereloids A7850)を用いる。この化合物を、Pearsonにより記載されたようにヘキサ六カルボニルクロム(Cr(Co)6)で酸化して、3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン−7−オンを形成させた。(Pearsonら、J. Chem Soc. Perkin. Trans. 1、1985、267)。次いで、形成されたエノン(enone)をトリイソブチルアルミニウム(TIBA)で還元し、用いた溶媒に応じて、アセチル化7α−ヒドロキシ(3a)生成物または7β−ヒドロキシ(3b)生成物を得た。 【0066】(3β,7α,17β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エンの調製)3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン−7−オン(0.4991g、1.285mmol)の溶液およびテトラヒドロフラン(20mL、MgSO4上で乾燥)を窒素環境下で混合した。TIBA(2mL、2mmol、1Mトルエン中)をシリンジで滴下して加えた。溶液を約7時間、室温で撹拌した。酢酸エチル(1.4mL)、メタノール(10mL)を加えて、および最後に10mLの50%酢酸を加えて反応を停止した。この溶液を100mLの水に加え、酢酸エチルで抽出した(50mLで3回)。有機溶媒層を合わせて、次いで飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)、飽和塩化ナトリウム溶液(50mLで2回)、および水(50mL)で洗浄した。次いで、有機溶媒層を硫酸マグネシウム上で乾燥して、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、96%を越える粗生成物を得た。1H NMRは、粗生成物が3β,17β−ジアセトキシアンドロスト−5−エン−7−オン(開始物質)を65%および3β,17β−ジアセトキシ−7α−ヒドロキシアンドロスト−5−エンを35%含むことを示唆した。 【0067】(3β,7β,17β−トリヒドロキシアンドロスト−5−エンの調製)3β,17βジアセトキシアンドロスト−5−エン−7−オン(0.9581g、2.466mmol)の溶液およびペンタン(30mL、MgSO4上で乾燥)を、窒素環境下で混合した。次いで、TIBA(9.5mL、9.5mmol、1Mトルエン中)をシリンジで滴下して加えた。溶液を約1時間室温で撹拌した。蒸留した塩酸(約5mL)を加えて反応を停止した。この溶液を水(100mL)に加えて、酢酸エチルで抽出した(50mLで3回)。有機溶媒層を合わせて、次いで飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50ml)、飽和塩化ナトリウム溶液(50mLで2回)および水(50mL)で数回洗浄した。有機溶媒層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、86%の粗生成物を得た。1H NMRは、粗生成物が、3β,17β−ジアセトキシ−7−β−ヒドロキシアンドロスト−5−エン−7−オン(86%)および3β,17β−ジアセトキシ−7−α−ヒドロキシアンドロスト−5−エンを含むことを示唆する。 【0068】上記の両方の場合において、最終生成物を調製の方法#1に従って還元した。 【0069】βAEDおよびβAETを含む本発明の組成物は、いかなる治療条件でも有用である。免疫応答に関連する症状は現在、糖尿病、慢性疲労症候群、ストレス、化学療法、および放射線照射に曝すことを含んでいる。免疫応答の異常を伴う多くのこれらの症状のさらに憂鬱な結果の1つは、脱毛症を含む。本発明の化合物は、化学療法および放射線照射の影響を含むそのような免疫応答の異常の結果の脱毛症の治療に有効である。脱毛症において、αAETは治療での使用に、かなりの利益がある。βAEDおよびβAETの両方の組成物は、これらの症状において生じる免疫抑制の他の好ましくない影響を解決するのに有用である。 【0070】(実施例6)SWR/J近親交配マウスに1回持続用量の0.5、2.0、4.0、および8.0mg/匹のβAEDを注射し、次いで107PFUのコクサッキーウイルスB4を感染させた。結果を以下に示す:AED投与量(mg/匹) 累積生存率(%) 0 170.5 832 1004 1008 100。 【0071】これらの結果に基づいて、107PFUのCB4での感染からの50%防御を達成するのに必要なβAEDの理論用量(推定)は、0.25mg/匹である。 【0072】実施例で、βAEDは、コクサッキーウイルスB4からの防御に関して50倍から100倍、DHEAより効力が高いことを示す。 【0073】(実施例7)感染動物における心臓および膵臓の病理学上のβAED効果を評価する試みで、3群の近親交配SWR/Jマウスを比較した。研究した群は、ウイルスのみに感染させた動物、βAEDのみで処置した動物、およびウイルスに感染させβAEDで処置した動物を含んだ。比較により以下のことが判明した: 心臓 膵臓 AED 特になし 特になし ウイルス 事実上の 心筋のカルシウム沈着 重篤な壊死 を伴う限局性の (膵疾患) 多発性壊死 AEDプラス 誘導性心筋症 ウイルス誘導性 ウイルス の形跡はない 膵疾患の形跡はない。 【0074】これらの結果は、1回の持続用量として8.0mg/マウスで投与されたβAEDが、心臓組織をウイルスに誘導される心筋症から防御し、また膵臓をウイルスに誘導されるこの器官の壊死から防御したことを示す。これらの結果は、βAEDがウイルスに誘導される心臓血管の疾患および膵臓の疾患、特に心筋症および膵疾患からの防御において効果的に用いられ得ることを示す。以前には、これらの器官をウイルスに誘導される損傷から防御する有効な薬剤はなかった。 【0075】(実施例8)βAED、αAET、およびβAETの効果を、マウスにコクサッキーウイルスB4、5.0X107pfu/匹を感染させて比較した。次のデータは、ウイルス感染後指定した日での全累積致死率(n/6)を示す。 【0076】 累積致死率 処置群 (感染後日数) 2 4 6 8 10 12 14 16ウイルスのみ 0 1 6 * * * * *βAED 0.5mg/ウイルス 0 0 1 1 6 * * *αAET 0.5mg/ウイルス 0 1 4 4 4 4 4 4βAET 0.5mg/ウイルス 0 0 1 1 2 2 4 4。 【0077】αAETはウイルスから2匹を防御することを明らかにしたが、初期の致死率は、少なくとも早期には、αAET由来の防御がほとんどまたは全くないことを示唆する。他の研究により、βAEDまたはβAETのいずれかによるより、αAETによるほうがずっと防御が少なかったことが示唆される。明らかに、βAETは初期のおよび長期の防御の両方に最も効果のある薬剤である。αAETによる防御には限界があることは明らかである。従って、この異性体は免疫応答を増強する効果に関して、βAETほど有用ではない。 【0078】免疫系の調節を提供する活性薬剤としてのβAEDまたはβAETの使用は、ウイルス、細菌、および他の感染に対して、宿主の免疫応答を効果的に調節する事を可能にする。他に抗ウイルス化学療法が存在しない、ウイルスに誘導された心臓感染または膵臓感染の場合に、βAEDおよびβAETは予防的な防御因子としての価値を有する。βAEDおよびβAETの防御的な価値は、外科的手術をうける患者またはシュードモナス属のような耐性株の微生物が重大な恐れを示す損傷を患っている患者に対して特に重要である。そのような患者の例は、内臓手術をうける患者または腹部の銃創を患っている患者である。リューマチ熱のような症状の病歴を有する患者はまた、βAEDまたはβAETの予防的な使用から利益を受ける。特有の場合における投与の形態は、防御が求められる感染原因および微生物の標的組織に依存する。持続性投与としての皮下投与は、上記のデータによって示されるような全身の感染に対して効果的である。一方、組成物を、特有の組織における感染にあった場合に体を支えるために与える場合は、この組成物は、最も影響を受けた組織に活性薬剤を投与するのに好都合であり得る。 【0079】示された場合に用いられるキャリアーは、投与形態に依存する。AEDおよびAETの両方とも、親油性化合物である。それらは、DHEAよりは水に溶解性である。親油性ステロイド用の溶媒は当該分野で既知であり、これらの化合物についてキャリアーとして用いられる。そのようなキャリアーの例は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールのようなグリコール、およびシクロデキストリン、特に本来無定形のシクロデキストリンである。考えられる他の賦形剤は、水中油型エマルジョンを調製するためのポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル(Tween)またはソルビタンの脂肪酸エステル(Span)を含む。 【0080】(実施例9)経口投与用のAEDの処方のカプセルを、15mgのβAED、150mgの澱粉、および5mgのステアリン酸マグネシウムを含ませて調製する。カプセルを、毎日または日に2回投与して、1日の用量を15mg/日に達成した。 【0081】実験室では、βAEDを0.4%の比率で動物の食餌に加えた。βAEDを含む食餌で飼育した動物に実施例1の教示に従って注射することでコクサッキーウイルスB4に曝した場合、コントロールの動物は全て死んだが、βAEDで飼育した動物は生き残った。 【0082】(実施例10)皮膚または粘膜に投与するための調製物は、次のように調製し得る: 成分 w/w(%) AED 0.5% モノステアリン酸グリセリル 3.0% プロピレングリコール 13.0% ワセリン 83.5%。 【0083】βAEDまたはβAETまたはその類似体を経口投与した場合、活性薬剤が破壊および上位胃腸管での吸収から保護されれば、活性薬剤はより効果的に利用され得る。活性薬剤は、腸管粘膜に曝した期間が増加する場合、最も効果的である。従って、腸内で徐放性の効果のある処方で活性薬剤を含むカプセルの使用は、クローン病および大腸炎のような腸障害の治療に適する。大腸の炎症の治療に対する持続浣腸剤の使用もまた適切である。持続浣腸剤としての投与の処方は次のように処方され得る: (実施例11) 成分 w/w(%) βAET 4% プロピレングリコール 96%。 【0084】活性薬剤を口腔の粘膜に投与する場合、咽頭カタルおよび鼻腔に使用するために、バッカル錠またはスプレーとして投与し得る。 【0085】組成物はまた、吸入を介して、気管支に投与し得た。この投与法は、肺感染症の患者の治療、あるいは黒色肺病またはしばしば日和見感染により合併される気腫のような他の肺の症状の治療において特に有用である。組成物は、気管へのエアロゾルにより投与され得たか、または呼吸治療において使用される他の薬剤と共にミストで投与され得た。 【0086】AEDおよびAETの皮膚への投与は、支持体が活性薬剤を浸透させてあるパッチを用いるか、または徐放性の活性薬剤をもたらすインプラントを用いて行われ得る。 【0087】βAEDまたはβAETの投与のためのパッチは、薬物を含む粘着性のパッチとして処方され得る。例えば、パッチは、活性薬剤を含む圧感受性のシリコーン粘着マトリックスが非浸透性の裏装で覆われ得る円盤状物であり得る。この円盤状物は粘着物中に活性薬剤を含み得るか、または活性薬剤を保持するポリウレタンフォームまたはガーゼのような材質の支持体をその場所に結合し得るかのいずれかである。使用前に、活性薬剤を含む物質はパッチを守るためにカバーされる。 【0088】(実施例12)非浸透性の裏装と保護カバー層との間にはさまれた粘着性マトリックスのトリラミネートで構成されるパッチを次のように調製した:シクロヘキサン(50% w/v)中の圧感受性シリコーン粘着組成物BIOPSATM Q7−2920(Dow Corning Corp., Midland, Michigan, U.S.A.)に、十分なβAEDを加え、0.5%のβAED組成物を得る。粘着物をポリエステルフィルムに添付して連続層を提供し、約2mg/cm2の活性薬剤を提供する。次いで粘着物を含むフィルムを10cm2のパッチにする。パッチを保護層でカバーし、パッチの適用前に取り除く。パッチは、浸透強化物(例えば、シクロデキストリン、ブチル化ヒドロキシアニソール、またはブチル化ヒドロキシトルエン)を含有して調製し得る。しかし、本発明の活性薬剤は表皮組織への適用に有効であることが思い出される。パッチを薄いまたは擦りむいた皮膚に適用する場合、浸透強化物を加える必要はほとんどない。 【0089】本発明の組成物は、放射線療法または化学療法の間、または、環境の災難または治療の結果のいずれで被照射が起こる場合でも放射線照射に曝した後に、予防的に投与され得る。他の事例は、これらの免疫の正方向の調節因子の使用が適切である場合、火傷、再生不良性貧血および再生不能性貧血、糖尿病、および初老間で流行している流行病における治療にある。それらの使用はまた、心筋疾患および膵疾患に関係のあるデータにより示されたように、危険な感染生物に曝した影響を避けるまたは軽減するのに有益である。そのような使用は特に、HIV感染のような免疫系を標的にする微生物に曝された群において示唆された。ある事例では、本明細書中で教示される組成物はまた、過敏反応を中和するブロック抗体の生成における免疫調整薬として使用され得る。 【0090】上記に示したように、内臓の手術、または他の「ひどい」外科手術を行う予定にある被験体は、βAEDまたはβAETを予防的に投与され得る。侵襲性歯科手術または口腔内手術前に本明細書中で教示されたような組成物を使用することが考えられる。 【0091】表に示し、上記に考察したように、本発明の組成物は細菌の組織への付着を避けるために使用され得る。組成物の投与による細胞の細胞への付着の防止はまた、血栓症の防止に適用される。本発明の組成物は、血栓症の形成の防止が必要な場合、血管への遅延性点滴として投与され得る。そのような使用の例は、動脈への点滴の結果の血栓崩壊または脳血栓症の防止である。膀胱への点滴もまた尿路感染の防止または治療に有効である。βAEDまたはβAETの投与は、感染性病巣の形成の防止の手段として用いられ得る。 【0092】βAEDおよびβAETは両方とも、紫外線変質(depravation)の影響を克服するのに有効である。従って、光線変質(通常、季節性適応障害という)に関する抑制の影響を克服するために、この組成物の投与が適切である。 【0093】βAEDおよびβAETは、免疫原への応答を増大させるためにワクチン接種での付加物として用いられ得る。これら薬剤は、ワクチンへの応答を増大させるだけでなく、体が特異抗体の増加に応答する前に、疾患に対して防御する能力もまた増大させる。そのような使用は、免疫応答の阻害が、例えば悪性疾患、AIDS、または農薬に曝されるような環境因子に冒された被験体における場合と同様に複雑な因子であり得る事例において特に適する。もちろん、ワクチンへの付加物としての使用は、ヒト以外の脊椎動物に適用できることが理解される。それは、ペット、酪農動物、肉の生産用の動物、魚および鶏のワクチン接種を含む。 【0094】鶏は特に拘束された条件で生存している場合に、感染症にかかる傾向がある。コクシジウム症、サルモネラ感染症、ウイルス感染症(白血病および肉腫(レトロウイルスにより起こる)のような悪性疾患を生じるものを含む)は、現在の商業的な条件下で成長した鶏の間で特に一般的である。本発明の活性薬剤は、外胚葉起源の組織と薬剤とが接触に至るいかなる方法によっても与えられ得る。 【0095】ヒトでのコクサッキーウイルスの影響は、既に知られている。そのような影響を避ける価値は、特に子供においては明らかである。水痘帯状ヘルペスのような他のウイルスの影響は、初老において衰弱させる疾患の重要な原因と考えられる。さらに、感受性のある大人での水痘はしばしば重い疾患を引き起こす。子供では、水痘は、子供が免疫抑制治療をうけているか、または一般的に免疫不全である場合に、死を引き起こし得る。βAEDおよびβAETは、感染に曝された感受性患者の予防処置に有用である。最終的に、HSV感染からの胎児および新生児の防御が、本発明の大変重要な適用である。βAEDおよびβAETは、新生児の防御の手段としてHSV感染女性への第三の三ヶ月間の間に投与され得る。 【0096】インビトロにおいて、これらの化合物はリンパ球の増殖を誘導するための市販仕様で使用され得る。βAEDおよびβAETを用いると、組織培養でのそのような増殖産物の生成が増大する。臨床的仕様では、βAEDおよびβAETは、感染と戦う患者の能力を効果的に増強するために与えられ得る。患者リンパ球を引き出し、βAEDまたはβAETを含む培地中にインビトロで再生して、リンパ球の増殖を増加させ得る。次いで応答に対してそのように感作させたリンパ球を患者に再導入し得た。悪性疾患または他の細胞性疾患のような場合に、機能不全細胞は、増殖培地中で増殖する前に既知の方法により不活性化され得る。 【0097】本発明の組成物はまた、病原生物による感染の結果から動物を防御するために予防的に使用され得る。売買するための船積みのストレス下で、動物はしばしば、普通は重傷ではないが出荷所への途中で動物に大きな体重の減少を引き起こし得る感染に感受性になる。そのような減少は、本明細書に開示したβAEDおよびβAETおよび類似体の投与により避けられ得る。活性薬剤は、パッチ、注射により、または食餌中に与えられ得る。外胚葉起源の組織へ曝す期間を延ばす場合に上記活性薬剤が最も効果的であるので、活性薬剤をGI管を通して投与する場合に、組成物は腸粘膜への活性薬剤の露出期間を延ばすように、そして上部GI管における破壊から薬剤を守るように改変される。従って、腸での徐放性効果のあるカプセルの使用が適する。カプセルは、動物に投与するためにえさ中に入れられ得る。大腸の感染を治療するために、活性薬剤は持続浣腸剤により与えられ得る。 【0098】βAEDおよびβAETは口腔、咽頭、および鼻腔の粘膜へ、錠剤、ロゼンジによる投与、口腔−咽頭腔中で使用するスプレーとしてまたは鼻のスプレーとしての投与により投与され得る。 【0099】皮膚への投与は、パッチを用いて行われ得、これは皮膚へ適用されるべき支持体に活性薬剤をしみ込ませている。宿主が哺乳類または鳥の場合、パッチを適用する領域を剃るかまたは毛を除く必要があり得る。 【0100】投与の好ましい方法は、持続投与としての皮下注射による。皮下注射は容易に行われ、効果はかなり長期に続くので、その方法は特に哺乳類への活性薬剤の投与に適する。 【0101】βAEDおよびβAETは既に体内に天然成分として存在する。それらは、安全であると知られているレベルで重篤な毒性の問題を示さない;それらは化学的にきわめて安定であることが明らかである。 【0102】使用される用量は、宿主の大きさおよび状態に依存する。本明細書中に示された試験データは小動物において得られた。大きな成体哺乳動物では、0.2mg/daから30mg/daのAEDの毎日の用量が好ましい用量である。AETに関しては、好ましい用量は通常0.001mg/daから20mg/daの範囲であり、さらに好ましい用量では0.001mg/daから1mg/daである。しかし、用量は投与経路に依存して変化する。皮下、吸入、およびくも膜下内投与は、活性薬剤の用量が低いことを必要とする方法である。 【0103】もちろん、保護基を有するβAEDおよびβAETの類似体は、標的組織へのβAEDまたはβAETの送達の手段として宿主に投与され得る。アシル化は、化合物を保護する好ましい方法である。ここでR1がCOR2であるアシル化化合物もまたβAEDおよびβAETを調製するための開始物質としての使用に適する化合物である。 【0104】活性薬剤、βAEDおよびβAETは、他の活性薬剤と共同で与えられ得る。他の活性成分は同時に与えられ得るか、またはβAEDまたはβAETを含む組成物中に取り込まれ得る。βAEDおよびβAETは、正方向の調節の防御免疫応答によりこれらの薬剤の活性を強めるために、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、駆虫薬のような抗感染薬とともに与えられ得る。抗ウイルス薬は、例えばジデオキシイノシン、AZT、アシクロビルなどを含む。AEDおよびAETと組合せられ得る他の活性薬剤は、エピネフィリンのような抗アレルギー薬剤を含む。 【0105】最後に、βAEDおよびβAETを含む医薬組成物は、免疫抑制治療により悪化する感染を患った被験体においてウイルス感染と戦うために使用するのに、特に価値がある。組織移植した患者での主な合併症の1つは、通常は重篤な症状を引き起こさないウイルスでの日和見感染である。本発明の組成物は、免疫応答の急性防御調節を引き起こすので、これを用いることにより、医療チームは、抵抗できない感染を避けるために免疫応答を調節する一方、移植拒絶を避けるために「シーソー」治療に患者を置き得る。 【0106】 【発明の効果】DHEA投与で認められる望ましくない副作用を引き起こすことなく免疫系の防御調節を増進させる薬剤は、感染に対する宿主耐性の特に有利な改善を提供する。次に、免疫系の防御調節は、化学療法剤の低投与量の使用で効果が得られ得、広範囲の防御を伴った即効性の応答を提供する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】502147029 【氏名又は名称】ロジャー ロリア
|
| 【出願日】 |
平成4年4月14日(1992.4.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078282 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 秀策 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−322065(P2002−322065A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月8日(2002.11.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−121514(P2002−121514) |
|