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【発明の名称】 ポリノルボルネンを含有する皮膚外用剤
【発明者】 【氏名】神保 和子

【氏名】井柳 宏一

【氏名】作山 秀

【氏名】工藤 大樹

【要約】 【課題】皮脂の中の化粧崩れや刺激を発現する成分を吸収するための組成物を提供することを課題とする。

【解決手段】ノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体、即ち、例えばポリノルボルネンを皮膚外用剤へ含有させる。この皮膚外用剤の必須成分であるポリノルボルネンは、化粧崩れ防止剤、皮脂吸収剤、油性ゲル化剤、パック素材として使用できる。本発明の皮膚外用組成物の必須成分としてのポリノルボルネンの化粧料中の好ましい含有量は、総量で0.1〜99重量%が適当である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】 ノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体が、ジエン系エラストマーであることを特徴とする、請求項1に載の皮膚外用剤。
【請求項3】 皮脂対応用であることを特徴とする、請求項1乃至2項に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧料などに有用なノルボルネンを構成モノマーとして重合したポリノルボルネンを含有する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、しばしば問題となっている流出原油の回収に用いられる様々なゲル化剤がある。オイルのゲル化のメカニズムとして、1)親油性の高い高分子粉末が、オイルの流動性をなくし絡め取る、ポリイソブチレンや2)極性溶媒存在下で、親水基同士が水素結合し、網目構造を作り、オイルを取り込む長鎖アルキルアクリレート系高分子、12−ヒドロキシステアリン酸などの低分子やアミノ系、ソルビトール系の液体ゲル化剤があり、更に、3)オイル不溶性高分子が、3次元網目構造を作りその中にオイルを取り込む、アルキルスチレン、ヒドロキシアルキルアクリレートなどの架橋物やジエン系エラストマーの機能性高分子であるポリノルボルネンなどがある。
【0003】一方、アクリル系の高分子に側鎖を導入し、種々の機能を有す機能性高分子が開発され、化粧料の分野でも研究されており、これまでに、側鎖に長鎖アルキル基を導入し、界面活性作用と増粘作用とを付与させた機能性高分子、糖鎖やホスホリルコリン基を導入し、保水作用を付与させた機能性高分子などが例示できる。しかしながら、皮脂による化粧崩れや皮脂の刺激成分を吸収する皮脂対応用の機能性高分子は少なく、それらを配合させた皮膚外用剤は少ない。
【0004】特に、化粧料の分野において、皮脂による化粧崩れや刺激物質を吸収し、皮膚表面と皮脂を接触させないことは、意義のあることでありこの様な事象の実現により、この様な刺激発現や化粧崩れ、皮膚の老化などを抑制することが出来ると考えられている。この様な事象として既に行われていることは、金属イオンをクラスレートさせたピラードクレイにより皮脂中の脂肪酸を特異的に吸着させる技術である。この方法では脂肪酸に特異的であることがメリットである反面デメリットでもあり、脂肪酸以外の皮脂中の化粧崩れや刺激を発現する成分をも吸収するような皮脂対応用の技術は今のところ知られていなかった。
【0005】一方、ノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体であるポリノルボルネン機能性高分子化合物を含有する化粧料組成物については全く知られていない。又、特に、化粧料に於いて、この様なポリノルボルネンを含有することにより、皮脂対応用の化粧料として有効であることも期待されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な状況下為されたものであり、皮脂による化粧崩れや皮脂中の刺激を発現する成分を吸収する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題の解決手段】本発明者らは、この様な状況に鑑みて、皮脂による化粧崩れや皮脂中の刺激を発現する成分を吸収する組成物を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、ノルボルネンを構成モノマーとして作成された重合体であるポリノルボルネンを皮膚外用剤などの組成物に含有させることにより、その様な技術が可能であることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は次に示す技術に関するものである。
(1)ノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2)ノルボルネン構成モノマーとして含有する重合体が、ジエン系エラストマーであることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)皮脂対応用であることを特徴とする、(1)乃至(2)に記載の皮膚外用剤。
以下に、本発明について実施の形態を中心に詳細に説明をする。
【0008】
【発明の実施の形態】(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体本発明の皮膚外用組成物は、必須成分であるノルボルネンを構成モノマーの一つとして含有する重合体であり、ノルボルネン以外には、通常化粧料などで使用されている高分子の構成モノマーを任意の構成モノマーとして含有することが出来る。この様な任意の構成モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、それらのエステル類、スチレン、ビニルアルコール等が好ましく例示でき、その性状も液体から固体まで種々認容できるが、本発明の皮膚外用剤の必須成分としての重合体は、ジエン系エラストマーであることが好ましい。ここで、ジエン系エラストマーとは、構成モノマーの少なくとも60%以上がジエン系の化合物であって、ゴム乃至は固形状の形態を有するものを意味する。この様な重合体の好ましいものとしては、ノルボルネンのみを重合したポリノルボルネンが特に好ましく例示できる。ポリノルボルネン(ノーソレックスNS:日本ゼオン製)は、分子量約300万であり、形状回復樹脂であり、エチレンとシクロペンタジエンからディールス・アルダー反応により、ノルボルネンを合成し、このノルボルネン・モノマーを開環重合して得られる二重結合と五員環が交互に結合した構造を有するポリマーであり、形状は白色粉体であり、比重は0.96である。更に、多孔性(ポーラス)であり、3次元構造を有する。更に、形状記憶能がある。特に、流動パラフィンやスクワランなどの炭化水素系のオイルとの相溶性が非常に良く、2〜10倍のオイルを多量に吸収し、吸収したかたまりは、ハンドリングが用意であり、水には不溶である。この様な機能性高分子であるポリノルボルネンの性質を有効利用し、化粧料中に含有させることにより、化粧崩れ防止剤、皮脂吸収剤、油性ゲル化剤、パック素材として使用するのが可能である。本発明の皮膚外用組成物の必須成分としてのポリノルボルネンの化粧料中の好ましい含有量は、総量で0.1〜99重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%である。
【0009】(2)本発明のノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体を含有する皮膚外用組成物本発明の皮膚外用組成物は、ポリノルボルネン等のノルボルネンを構成モノマーとして重合し得られた重合体を必須成分として含有する。本発明のノルボルネンを構成モノマーとして含有する重合体を含有する皮膚外用組成物は、ノルボルネン構成モノマーとして含有する重合体、好ましくは、ノルボルネンを構成モノマーとして含有するジエン系エラストマーを唯一種含有することも出来るし、二種以上を含有することも可能である。本発明の皮膚外用組成物として、表面の処理に使用されるものが好適であり、処理される表面としては、皮膚表面、粘膜表面、爪表面、毛髪表面が好適であり、中でも皮膚表面に適用するのが特に好ましい。皮膚外用剤としては、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、外用殺菌剤などが例示でき、これらの内では、化粧料が特に好ましい。これは、本発明の必須成分である高分子の機能が、化粧料の求めている品質と良く一致するからである。ここで、化粧料とは、一般的に言われている化粧料であり、例えば、モイスチャークリーム、クレンジングクリーム、乳液、化粧水、パック等の肌の手入れを旨とする基礎化粧料、アンダーメークアップ、ファンデーション、リップカラー、チークカラー等の装いの機能を旨とするメークアップ化粧料、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアリキッド、ヘアクリーム等の毛髪の手入れと保全を旨とする毛髪化粧料、シャンプー、リンス、石鹸等の洗浄化粧料等が例示できる。本発明の化粧料ではこれらの何れもが適用可能であり、基礎化粧料であれば、安全性の高い優れた皮膚保護効果を発現し、メークアップ化粧料であれば、化粧のりが良く、持ちも良いメークアップ効果を発現し、毛髪化粧料であれば、優れた毛髪のべた付きの抑制作用などの優れた機能を発現する。
【0010】本発明の組成物では、上記必須成分である高分子以外に、通常この様な組成物で使用される任意成分を、本発明の効果を損ねない範囲に於いて、含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、化粧料であれば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3,−ブチレングリコール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、エタノール,カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類、顔料類等が例示できる。医薬品であれば、ステロイド性抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、賦形剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、抗真菌剤、矯味矯臭剤、乳化・可溶化・分散剤、安定剤、pH調整剤、等張剤等が例示できる。本発明の皮膚外用組成物は、これらの成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0012】<実施例1>(ファンデーション)本発明のポリノルボルネン用いて、本発明の組成物である実施例1のファンデーションを作成し、化粧崩れの評価を行った。ファンデーションの処方は表1に示す。即ち、イ)の成分をヘンシェルミキサーで混合し、0.9mm丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粗粉砕し、再びヘンシェルミキサーで混合しながらロ)の成分を加えてコーティングした。このものを1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで仕上げ粉砕し、金皿に充填し加圧成形して実施例1のファンデーション1を得た。なお、比較例1として、ポリノルボルネンをポリエチレン末500に置換したファンデーション2、比較例2として、ポリノルボルネンを架橋してないノルボルネンに置換したファンデーション3を常方により作成した。これらのファンデーションを用い、脂性で化粧崩れに悩むパネラー1群10名を用いて、実施例1(ファンデーション1)、比較例2(ファンデーション2)及び比較例2(ファンデーション3)を用いて使用テストを行った。即ち、ファンデーション1、2、3を交互に2週間使用し、化粧崩れのしにくさ(化粧持ちの良さ)を、化粧の持ちが良い:5,化粧の持ち普通:3、化粧の持ちが悪い:1の基準で評価した。結果を表3に示す。これより、本発明のポリノルボルネンの添加により化粧崩れが抑えられ、化粧持ちが向上していることが判る。これは、本発明の皮膚外用剤の必須成分であるポリノルボルネンが化粧崩れの原因となる皮脂の成分を吸着する作用に優れるためである。又、この様な皮脂吸収作用はポリノルボルネンの架橋構造によることもわかる。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】<実施例4,5,6>(パウダーファンデーション)表に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。即ち、成分(イ)として、(1)〜(6)を攪拌混合し、成分(ロ)として(7)〜(10)を加熱溶融する。(イ)に(ロ)を添加して混合粉砕して均一にする。金型にプレス成形して、実施例4,5,6のパウダーファンデーションを得た。それぞれについて20名のパネラーに2週間使用し、化粧崩れのしにくさ(化粧持ちの良さ)ならびに皮脂での油光りの無さをどのサンプルの方がよいかで評価してもらった。表3に示すように、添加量を変えた、本発明のポリノルボルネンを含有する実施例4,5,6のファンデーションは、ポリノルボルネンを結晶セエルロースに置換した比較例3のファンデーションに比べ、化粧もちの良さ、或いは皮脂での油光りのなさの点で非常に優れたものであることがわかる。
【0016】
【表3】

【0017】<実施例7>(パック料)以下に示す処方に従って、常法により本発明のパック剤を作成した。即ち、(A剤)を撹拌混合し、(B剤)を加熱溶融する。(A剤)に(B剤)を添加して混合粉砕して均一にする。実施例7のパック料を得た。このものは、ポリノルボルネンを配合することにより、密着して使用感が良く、且つ密閉性が良く、皮脂吸収効果があるので、余分な皮脂を効率的に除去することができた。
(A剤)
パパイン 0.1 重量部香料 0.2 重量部カオリン 62 重量部タルク 4.2 重量部酸化チタン 10.7 重量部酸化亜鉛 1 重量部無水ケイ酸 15 重量部ポリノルボルネン 5 重量部ポリエチレングリコール1500 1.5 重量部アルギン酸ナトリウム 0.3 重量部(B剤)
1,3−ブチレングリコール 2.0 重量部グリセリン 10 重量部苛性カリ 0.05重量部パラオキシ安息香酸メチル 0.2 重量部尿素 0.01重量部ポリオキシエチレン硬化ひまし油(50 E.O.) 0.5 重量部精製水 87.24 重量部【0018】<実施例8>ホットジェル以下に示す処方に従って、常法により本発明のホットジェルを作成した。このものは、ポリノルボルネンを配合することにより、密着して使用感が良く、且つ密閉性が良く、皮脂吸収効果があるので、余分な皮脂を効率的に除去することができた。このものはエステティック施術に於いてディープリラクゼーションに寄与していた。
グリセリン 73.82重量部ジプロピレングリコール 15 重量部1,2−ペンタンジオール 5 重量部トリエタノールアミン 0.2 重量部黄酸化鉄 0.01重量部黒酸化鉄 0.01重量部グンジョウ 0.01重量部セバシン酸ジイソプロピル 0.1 重量部ポリノルボルネン 3 重量部パラオキシ安息香酸メチル 0.03重量部ポリエチレン末 1.6 重量部含流ケイ酸アルミニウム 0.01重量部ブクリョウエキス 0.1 重量部カルボキシビニルポリマー 0.4 重量部結晶セルロース 0.7 重量部オイルセンサーパウダー 0.01重量部【0019】<実施例9>(クレンジングクリーム)以下に示す処方に従って、常法により本発明のクレンジングクリームを作成した。ポリノルボルネンを配合することにより、密着して使用感が良く、且つ密閉性が良く、皮脂吸収効果があるので、余分な皮脂やメーク汚れなどを効率的に除去することができた。
A)
1,3−ブチレングリコール 3 重量部ベヘニルアルコール 1.4 重量部N―ラウロイルーL―グルタミン酸ジコレステリル・オクチルドデシル 0.1 重量部メチルポリシロキサン 5 重量部流動パラフィン 28 重量部パラオキシ安息香酸ブチル 0.1 重量部パラオキシ安息香酸メチル 0.3 重量部d−δ―トコフェロール 0.05 重量部フェノキシエタノール 0.3 重量部ブクリョウエキス 0.01 重量部香料 0.05 重量部モノステアリンホ゜リエチレンク゛リコール(25 E.O.) 2 重量部モノステアリン酸ソルビタン 0.8 重量部自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1 重量部イソステアリン酸ポリエチレングリコール'12 E.O.) 0.5 重量部イソステアリン酸ポリエチレングリセリル 1.2 重量部グリセリン脂肪酸エステル 25 重量部ポリノルボルネン 3 重量部サラシミツロウ 2.5 重量部精製水 19.65 重量部【0020】<実施例10>(アクアフォーム)下に示す、A)乳化物に、B)液化石油ガス(イソブタン:プロパン=70:30の混合ガス)を加え、常法により作成し、水性エアゾール洗顔料を得た。このものは、ポリノルボルネンを配合することにより、密着して使用感が良く、且つ密閉性が良く、皮脂吸収効果があるので、クレンジング後の残存クレンジングクリームや余分な皮脂やメーク汚れなどを効率的に除去することができた。。
1,3−ブチレングリコール 3.5 重量部グリセリン 10 重量部ベヘニルアルコール 0.7 重量部セタノール 0.7 重量部ポリノルボルネン 2 重量部香料 0.03重量部パラオキシ安息香酸ブチル 0.1 重量部クエン酸ナトリウム 0.05重量部パラオキシ安息香酸メチル 0.2 重量部d−δ―トコフェロール 0.05重量部マルメロBG(クインシードエキス98%) 3 重量部モノステアリンホ゜リオキシエチレンソルヒ゛タン(20 E.O.) 1 重量部モノステアリン酸ポリエチレングリコール(150 E.O.) 0.2 重量部ホ゜リオキシエチレンヘ゛ヘニルエーテル(20 E.O.) 0.2 重量部ホ゜リオキシエチレンメチルホ゜リシロキサン共重合体 0.4 重量部ステアリン酸 0.3 重量部精製水 77.5 重量部【0021】
【発明の効果】本発明によれば、皮脂による化粧崩れや皮脂中の刺激を発現する成分を吸収する皮膚外用剤を提供することをができる。
【出願人】 【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
【出願日】 平成13年4月25日(2001.4.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−322042(P2002−322042A)
【公開日】 平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願番号】 特願2001−127079(P2001−127079)