| 【発明の名称】 |
活性物質の前駆体、該前駆体を用いた活性物質、及びその活性物質の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高井 治
【氏名】杉村 博之
【氏名】ゴメス−ベガ ホセ
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| 【要約】 |
【課題】無機物を容易に析出可能な活性物質の前駆体、該前駆体を用いた活性物質、及び容易に低温で製造することが可能な活性物質の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の活性物質の前駆体は、無機酸化物からなる活性物質の前駆体であって、反応溶液中に浸漬した場合に該反応溶液中の無機成分が前記無機酸化物の表面に析出可能な程度の水酸基を有することを特徴とする。また、本発明の活性物質の製造方法は、無機酸化物と有機分子とを混合して無機酸化物−有機分子構造を有する活性物質の前駆体を形成し、前記前駆体から有機物を光酸化により選択的に除去し、それによって得られた無機酸化物を反応溶液に浸漬することによって、前記無機酸化物の表面に無機物を形成させることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無機酸化物からなる活性物質の前駆体であって、反応溶液中に浸漬した場合に該反応溶液中の無機成分が前記無機酸化物の表面に析出可能な程度の水酸基を有することを特徴とする活性物質の前駆体。 【請求項2】 無機酸化物が、セラミック材料又はセラミック材料の前駆体であることを特徴とする請求項1項に記載の前駆体。 【請求項3】 無機酸化物が、無機酸化物−有機分子構造体から有機物を光酸化により除去して得られたことを特徴とする請求項1又は2項に記載の前駆体。 【請求項4】 前記反応溶液が、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NaH3PO4、(CH2OH)3CNH2の混合水溶液である請求項1〜3項に記載の前駆体。 【請求項5】 前記無機成分が、アパタイトである請求項1〜4項に記載の前駆体。 【請求項6】 請求項1〜5項に記載の前記活性物質の前駆体を、反応溶液に浸漬することにより前記無機酸化物の表面に無機物を形成させたことを特徴とする活性物質。 【請求項7】 無機酸化物と有機分子とを混合して無機酸化物−有機分子構造体を形成し、前記構造体から有機物を光酸化により選択的に除去し、それによって、得られた無機酸化物からなる活性物質の前駆体を反応溶液に浸漬することにより、前記無機酸化物の表面に無機物を形成させることを特徴とする活性物質の製造方法。 【請求項8】 前記光酸化を、真空紫外光、オゾン、プラズマからなる群から選択される少なくとも1種を照射することにより行う請求項7項に記載の方法。 【請求項9】 前記光酸化を、真空紫外光を照射することにより行う請求項8項に記載の方法。 【請求項10】 前記反応溶液が、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NaH3PO4、(CH2OH)3CNH2の混合水溶液である請求項7〜9項のいずれか1項に記載の方法。 【請求項11】 前記無機物が、水酸化アパタイトである請求項7〜10項に記載の方法。 【請求項12】 無機酸化物が、セラミック材料又はセラミック材料の前駆体であることを特徴とする請求項7〜11項に記載の方法。 【請求項13】 前記セラミック材料又は前記セラミック材料の前駆体が、シリカ系、チタニア系、アルミナ系からなる群から選択される少なくとも1種である請求項12項に記載の方法。 【請求項14】 前記前駆体を薄膜形状に形成することを特徴とする請求項7〜13項に記載の方法。 【請求項15】 前記薄膜形状を、ゾル−ゲル法、CVD法、化学析出法からなる群から選択される少なくとも1つの方法によって形成する請求項14項に記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、活性物質の前駆体、該前駆体を用いた活性物質、及びその活性物質の製造方法に関し、特に、無機酸化物の表面に無機物を形成させることが可能な活性物質の前駆体、該前駆体を用いた活性物質、及びその活性物質の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】無機酸化物多孔体は、吸着や分離などの種々の分野での応用が期待されている。通常、多孔体は、細孔径が2nm以下のマイクロポーラス固体、2〜50nmのメソポーラス固体、50nm以上のマクロポーラス固体に分類される。このような多孔体の細孔径を任意に、かつ精巧に制御することができれば、選択的な吸着、触媒材料などへの応用が期待される。 【0003】無機酸化物の中でも、セラミックスは、化学的に安定であることから、アルミナ、水酸化アパタイト、リン酸三カルシウム、生体活性ガラス等、種々の活性物質に利用されている。このような活性物質は、歯科材料、人工骨用材料等の生体硬組織代替材料として使用することが可能である。活性物質は、強度を向上させるために、チタン、ニオブ、タンタルなどの基体にコーティングして使用されることもある。 【0004】一般に、活性物質としての無機酸化物多孔体の製造方法としては、無機−有機構造体を形成した後、溶媒による抽出、空気若しくは酸素中での熱処理、又は酸処理により構造体中の有機物を取り除く方法及び該方法によって得られた活性物質の前駆体が知られている。 【0005】また、セラミックスの中でも水酸化アパタイトは、生体親和性が高く、人工骨材料として極めて有望な材料である。一方で、水酸化アパタイトは極めて脆い材料でもある。それゆえ、水酸化アパタイト等の活性物質の製造方法として、チタン合金等の構造材料の表面に水酸化アパタイトをコーティングして活性物質を製造する方法が知られている。 【0006】また、アパタイトと基体との密着性を改善するために、基体表面にシリカ等の無機物をいったん被覆し、そのシリカ表面に擬似体液から水酸化アパタイトを析出させる方法も知られている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の熱や酸処理によって有機物を取り除く多孔体の製造方法では、材料内部に応力を発生させるので、クラック及び剥離の発生を招くおそれがある。また、熱や酸処理を行うので、プラスチックなどの耐熱性に劣る基体材料に被覆することは非常に困難である。 【0008】また、アパタイト等に関しても、低温でアパタイトを被覆すると密着性が悪いため、そのコーティングにも溶射や焼結等の高温を使用するプロセスが用いられていた。そのため、被覆した水酸化アパタイトが変性して生体親和性が劣化するおそれがあった。また、高温下でのプロセスを使用するので、チタン合金などの耐熱性の高い基体しか利用できないという問題があった。 【0009】さらに、基体表面に無機物をいったん被膜し、水酸化アパタイトを析出させる方法は、シリカの活性が不十分で析出に時間がかかる上、被覆密度が十分であるという問題があった。 【0010】そして、上述の活性物質の前駆体は、非常に活性が不十分なものであり、それゆえ、該前駆体を反応溶液に浸漬しただけでは無機物を析出させることが困難であった。このような理由から、前記前駆体を利用した活性物質自体も、十分な活性を示す等の所望の特性を有する活性物質も得られていない。 【0011】したがって、耐熱性の高い基体のみならず、耐熱性の低い基体にも適用できるような新たな活性物質の製造方法の開発、及び無機物を容易に析出させることが可能な活性物質の前駆体が望まれていた。しかし、このような活性物質の製造方法及び活性物質の前駆体について、これまで知られていない。 【0012】そこで、本発明の目的は、無機物を容易に析出可能な活性物質の前駆体、該前駆体を用いた活性物質、及び基体の種類を問わず容易に低温で製造することが可能な活性物質の製造方法を提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、発明者らは、種々の無機‐有機構造体中の有機物の除去法及び得られた無機酸化物の活性について鋭意研究を積み重ねた結果、本発明を見出した。 【0014】また、本発明の活性物質の前駆体は、無機酸化物からなる活性物質の前駆体であって、反応溶液中に浸漬した場合に該反応溶液中の無機成分が前記無機酸化物の表面に析出可能な程度の水酸基を有することを特徴とする。 【0015】また、本発明の活性物質の前駆体の好適な実施態様において、無機酸化物が、セラミック材料又はセラミック材料の前駆体であることを特徴とする。 【0016】また、本発明の活性物質の前駆体の好適な実施態様において、無機酸化物が、無機酸化物−有機分子構造体から有機物を光酸化により除去して得られたことを特徴とする。 【0017】また、本発明の活性物質の前駆体の好適な実施態様において、前記反応溶液が、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NaH3PO4、(CH2OH)3CNH2の混合水溶液であることを特徴とする。 【0018】また、本発明の活性物質の前駆体の好適な実施態様において、前記無機成分が、アパタイトであることを特徴とする。 【0019】また、本発明の活性物質は、請求項1〜5項に記載の活性物質を、反応溶液に浸漬することにより前記無機酸化物の表面に無機物を形成させたことを特徴とする。 【0020】また、本発明の活性物質の製造方法は、無機酸化物と有機分子とを混合して無機酸化物−有機分子構造体を形成し、前記構造体から有機物を光酸化により選択的に除去し、それによって得られた無機酸化物を反応溶液に浸漬することによって、前記無機酸化物の表面に無機物を形成させることを特徴とする。 【0021】また、本発明の活性物質の製造方法の好適な実施態様において、前記光酸化を、真空紫外光、オゾン、プラズマからなる群から選択される少なくとも1種を照射することにより行うことを特徴とする。 【0022】また、本発明の活性物質の製造方法の好適な実施態様において、前記光酸化を、真空紫外光を照射することにより行うことを特徴とする。 【0023】また、本発明の活性物質の製造方法の好適な実施態様において、前記反応溶液が、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NaH3PO4、(CH2OH)3CNH2の混合水溶液であることを特徴とする。 【0024】また、本発明の活性物質の製造方法の好適な実施態様において、前記無機物が、水酸化アパタイトである特徴とする。 【0025】また、本発明の活性物質の製造方法の好適な実施態様において、無機酸化物が、セラミック材料又はセラミック材料の前駆体であることを特徴とする。 【0026】また、本発明の活性物質の製造方法の好適な実施態様において、前記セラミック材料又は前記セラミック材料の前駆体が、シリカ系、チタニア系、アルミナ系からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。 【0027】また、本発明の活性物質の製造方法の好適な実施態様において、基体上への堆積を、ゾル−ゲル法、CVD法、化学析出法からなる群から選択される少なくとも【0028】 【発明の実施の形態】本発明の活性物質の前駆体は、無機酸化物からなる活性物質の前駆体であって、反応溶液中に浸漬した場合に該反応溶液中の無機成分が前記無機酸化物の表面に析出可能な程度の水酸基を有する。 【0029】前駆体を形成する無機酸化物としては、活性物質の無機骨格を形成し得るものであれば特に限定されない。このような無機酸化物として、例えば、セラミック材料、又はセラミック材料の前駆体を挙げることができる。セラミック材料及びその前駆体としては、例えば、シリカ系、チタニア系、又はアルミナ系を挙げることができる。 【0030】また、本発明の活性物質の前駆体は、水酸基を大量に有する。その水酸基の量は、該前駆体を反応溶液中に浸漬した場合に該反応溶液中の無機成分が前記無機酸化物の表面に析出可能な程度である。この水酸基のおかげで、後述するように、活性の十分で、無機物の被膜密度の高い活性物質を得ることができる。 【0031】また、前駆体を形成する無機酸化物は、好ましくは、無機酸化物−有機分子構造体から有機物を光酸化により除去して得られる。このような有機物の除去法についての詳細は、後述するように活性物質の製造方法において説明する。 【0032】さらに、本発明の活性物質は、前記活性物質の前駆体を、反応溶液に浸漬することにより前記無機酸化物の表面に無機物を形成させる。したがって、前記前駆体を利用すれば、単に浸漬するだけで、容易に活性物質を得ることができる。例えば、前記反応溶液を、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NaH3PO4、(CH2OH)3CNH2の混合水溶液とした場合、前記無機成分としてアパタイトが析出して、水酸化アパタイトを有する活性物質を得ることができる。 【0033】以下、本発明の活性物質の前駆体及び活性物質を、その製造方法を説明しつつさらに詳細に説明する。 【0034】本発明の活性物質の製造方法においては、無機酸化物と有機分子とを混合して無機酸化物−有機分子構造体を形成し、前記構造体から有機物を光酸化により選択的に除去する。 【0035】まず、無機酸化物−有機分子構造体の製造法について説明する。構造体は、無機酸化物と有機分子とを混合して得られる。無機酸化物は、活性物質の無機骨格を形成するために用いる。このような無機酸化物としては、機械的強度の得られる材料が好適であるという観点から、例えば、セラミック材料、又はセラミック材料の前駆体を挙げることができる。セラミック材料及びその前駆体としては、例えば、シリカ系、チタニア系、又はアルミナ系を挙げることができる。 【0036】シリカ系を用いてシリカ骨格を形成する場合には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシランなどのシリコンを含む有機試薬を任意に使用することができる。 【0037】また、チタニア系を用いてチタニア骨格を形成する場合には、テトライソプロポキシド、チタンn−ブトキサイド、チタンクロライドトリイソプロポキサイド、チタンジクロライドジエトキサイド、チタンエトキサイド、チタンイソブトキサイドなどのチタンを含む有機試薬を任意に使用することができる。 【0038】また、アルミナ系を用いてアルミナ骨格を形成する場合には、アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)イソプロポキサイドなどのアルミニウムを含む有機試薬を任意に使用することができる。 【0039】次に、有機分子について説明する。有機分子は、活性物質の多孔性を付与する役割がある。有機分子は、光酸化により最終的に無機酸化物−有機分子構造体から飛散し消失し、それによって、該無機酸化物−有機分子構造体中の有機物が消失した部分に多数の細孔を形成することができる。したがって、有機分子は、光酸化により選択的に除去することが可能であれば、特に限定されることはない。 【0040】このような有機分子としては、例えば、アルキル基、パーフルオロアルキル基などを有するシランカップリング剤、ブロック共重合体、セチルトリメチルアンモニウム塩又はドデシルスルホン酸塩のような界面活性剤等を挙げることができる。有機分子としては、反応溶液中でミセルを形成するという観点から、好ましくは、ブロック共重合体である。さらに好ましくは、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドの3ブロックからなるブロック共重合体である。また、セチルトリメチルアンモニウム塩のようなカチオン性界面活性剤も好適に用いることができる。 【0041】無機酸化物−有機分子構造体は、例えば、薄膜形状又は微粒子状として製造することができる。まず、薄膜形状の無機酸化物−有機分子構造体の製造について説明する。有機分子、無機原料、塩酸、及び水を加え、原料液を得る。この場合、塩酸は、例えば、Siアルコキシドをゲル化させるために用いる。有機分子:無機原料:塩酸:水の混合モル比は、たとえば、0.01〜0.1:0.1〜5:1 〜10:50〜500とすることができる。好ましくは、0.01〜0.03:0.5〜1.5:4〜8:150〜200とすることができる。有機分子のモル比を変更することにより、所望の細孔を有する多孔体、即ち、マイクロポーラス固体、メソポーラス固体、マクロポーラス固体などを製造することができる。 【0042】原料液から、ゾル−ゲル法、CVD法、化学析出法からなる群から選択される少なくとも1つの方法を使用して、基板上に無機酸化物−有機分子構造体を形成することができる。基体への堆積方法としては、室温近辺で成膜し得るという観点から、好ましくは、ゾルーゲル法である。 【0043】なお、本発明に用いる基体について特に限定されることがない。なぜなら、本発明の活性物質の製造方法によれば、製造までの全工程を基体に悪影響を及ぼすことのない低温で行うことができるため、基体を耐熱性材料等に限定する必要がないからである。強いて挙げるとすれば、基体としては、チタン等の耐熱性材料の他、シリコン、アルミナ、マイカ等の酸化物、グラファイト、炭素繊維、プラスチック等の軽量構造材料等を挙げることができる。一般的に、シリコン、アルミナ、チタニア等の単結晶、マイカ、グラファイト等は、へき開面が平滑であるという観点から、好ましく使用される。 【0044】また、微粒子状の無機酸化物−有機分子構造体は、以下のように製造可能である。有機分子、無機原料、塩酸、水を任意の割合で混合して、薄膜形状の無機酸化物−有機分子構造体を形成する場合と同様に原料液を得て、得られた原料液を蒸発乾固して無機酸化物−有機分子構造体として微粉末を得ることができる。 【0045】そして、上述のように形成した無機酸化物−有機分子構造体から、有機物を除去する。有機物の除去は、光酸化により行うことができる。ここで、光酸化の意味は特に限定されない。また、光酸化のための光源も特に限定されない。光酸化のための光源としては、例えば、紫外線、オゾン、プラズマ等を挙げることができる。これらの光を無機酸化物−有機分子構造体へ曝すことによって、該構造体を光酸化させることができる。好ましくは、波長の短い真空紫外光を使用することができる。このような波長の短い紫外光としては、例えば、エキシマランプを挙げることができる。エキシマランプを挙げたのは、エキシマランプが発生する172nmの真空紫外光は、光子エネルギーが強く、有機物の結合を容易に切断することが可能であるという観点からである。 【0046】光の照射時間は特に限定されないが、例えば、エキシマランプを用いた場合、1〜10時間である。好ましくは、2〜4時間である。このような範囲としたのは、有機物をほぼ完全に除去し得るという観点からである。また、光の照射時間は、所望とする活性物質の活性の程度によって変更することができ、より高い活性度の活性活性物質を得る場合には、光の照射時間を長くすることができる。 【0047】さらに、温度についても特に限定されるものではないが、水酸基密度を上げるという観点から、200℃以下の低温が望ましい。また、プラスチックの基体を用いる場合には、100℃以下の温度の雰囲気下で照射することができる。 【0048】以上のような光照射により、鋳型となっている有機物中のC-C、C-H結合が切断され、活性化された酸素との化学反応を通じて、有機物が二酸化炭素及び/又は水の形で飛散して消失し、無機骨格のみからなる細孔構造を有する無機多孔体が形成される。 【0049】そして、構造体から有機物を除去して得られた無機酸化物を、反応溶液に浸漬する。それによって、活性物質を得ることができる。 【0050】前記無機酸化物−有機分子構造体から有機物を除去して得られた無機酸化物には、該無機酸化物表面に大量の水酸基が形成される。この大量の水酸基のために、活性を有する物質を得ることが可能である。この大量の水酸基のために、該構造体を反応溶液に浸漬した場合に該反応溶液中の無機成分が前記無機酸化物の表面に析出させることができる。 【0051】たとえば、無機酸化物表面に無機物として、水酸化アパタイトを形成させる場合には、反応溶液として、擬似体液、例えば、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NaH3PO4、(CH2OH)3CNH2の混合水溶液を用いる。すると、無機酸化物表面の大量の水酸基の存在のために、無機酸化物を擬似体液中に浸漬するだけで、無機酸化物表面に水酸化アパタイトを析出させることができる。 【0052】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定して解釈される意図ではない。 【0053】実施例1ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドの3ブロック共重合高分子(分子量5800、P−123、BASF)、テトラエトキシシラン(TEOS)、塩酸(HCl)、水(H2O)をモル比0.017:1:6:167で混合し、原料液を調製する。スピンキャスト法によって、チタン合金基板上に高分子−シリカ複合膜を作製する。試料を真空容器内に設置し、圧力10Paで3時間、波長172nmの真空紫外光を照射する(フォトカルシネーション)。用いたエキシマランプの強度は10mW/cm2であった。光酸化により、複合体内部のブロック共重合高分子は光化学的に分解除去され、メソ細孔のあいたシリカ膜ができる。 【0054】光酸化した試料を、擬似体液(NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NAH3PO4、(OH2OH)3CNH2の混合水溶液をHClでpH7.25に調整したもの)に、37℃で7日間浸漬した。取り出した試料を洗浄し、乾燥させてから観察した。結果を図1に示す。 【0055】図1(a)、(b)は試料のEDX及びFTIRスペクトルで、試料表面に水酸化アパタイトが析出していることを示している。図1(c)、(d)は、試料の電子顕微鏡写真であり、試料表面にすき間なく、アパタイト結晶で覆われていることがわかる。 【0056】通常のシリカと比較すると、光酸化によって作製したメソ細孔シリカは顕著な生体活性を示し、わずか7日間擬似体液に浸漬するだけで水酸化アパタイト被覆が析出する。シリカと基体のチタン合金の密着性も十分にあった。 【0057】実施例2実施例1と同様に、チタン合金基板上に高分子−シリカ複合膜を作製した。即ち、活性物質の前駆体を作製した。 【0058】この活性物質の前駆体を、従来の熱処理による活性物質の前駆体と比較した。結果を図2及び図3に示す。図2は、本発明の活性物質の前駆体のIRスペクトルを示し、図3は、比較例の活性物質の前駆体のIRスペクトルを示す。 【0059】その結果、熱処理による活性物質の前駆体の水酸基はほとんど観察されないのが分かる。これに対して、本発明の活性物質の前駆体は、水酸基のピークが明確に見られるのが分かる。 【0060】このような活性物質の前駆体を、擬似体液(NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NAH3PO4、(OH2OH)3CNH2の混合水溶液をHClでpH7.25に調整したもの)に、37℃で7日間浸漬して、得られた活性物質は、良好な水酸化アパタイトを析出した。 【0061】 【発明の効果】本発明の活性物質の前駆体は、多量の水酸基を有することから、より高い活性度の活性物質を製造し得るという有利な効果を奏する。 【0062】本発明の活性物質は、活性度が高く、クラック又は破損などが生じにくいという有利な効果を奏する。 【0063】本発明の活性物質の製造方法によれば、擬似体液に浸漬するだけで水酸化アパタイト被覆が析出するという有利な効果を奏する。 【0064】また、本発明の活性物質の製造方法によれば、基体との密着性も良好となるという有利な効果を奏する。 【0065】また、本発明の活性物質の製造方法によれば、全製造工程において室温付近で行うことができ、耐熱性材料のみならず、プラスチックなどの非耐熱性材料にも用いることができるという有利な効果を奏する。 【0066】また、本発明の活性物質の製造方法によれば、欠損した骨に替わる代替パーツとして生体内に埋設しておけば、その周囲に骨が成長し、もとの骨と自然に融合させることが可能になるという有利な効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391012224 【氏名又は名称】名古屋大学長
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| 【出願日】 |
平成13年4月25日(2001.4.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072051 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 興作 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−322013(P2002−322013A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月8日(2002.11.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−128093(P2001−128093) |
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