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【発明の名称】 花粉症改善組成物
【発明者】 【氏名】服部 学

【氏名】三木 和之

【要約】 【課題】スギ花粉などによって引き起こされる目・鼻の粘膜や皮膚のかゆみ、炎症などの花粉症の諸症状を改善する作用に優れた花粉症改善組成物を提供する。

【解決手段】(A)炭素数1〜3の一価低級アルコールと、(B)水膨潤性粘土鉱物とを含有することを特徴とする花粉症改善組成物。炭素数1〜3の一価低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。水膨潤性粘土鉱物としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)炭素数1〜3の一価低級アルコールと、(B)水膨潤性粘土鉱物とを含有することを特徴とする花粉症改善組成物。
【請求項2】 水膨潤性粘土鉱物がモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の花粉症改善組成物。
【請求項3】 更に、保湿剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の花粉症改善組成物。
【請求項4】 組成物を支持体に含浸させたシート状外用剤であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の花粉症改善組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スギ花粉などによって引き起こされる目・鼻の粘膜や皮膚のかゆみ、炎症などの花粉症を改善する花粉症改善組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、スギ花粉の大量飛散や、ブタクサなどの帰化植物の広がり、都市化の進展に伴う大気汚染が原因と考えられる花粉症が大きな問題となっている。花粉症は、一種のアレルギー性疾患であり、その症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目・鼻の粘膜や皮膚のかゆみ、頭痛と様々である。特に、目・鼻などの粘膜や皮膚のかゆみが続くと、睡眠不足はもちろん、肉体的・精神的疲労が蓄積し、仕事や勉強に対する集中力の低下を招くことから、花粉症患者の大きな悩みとなっている。
【0003】このような花粉症の症状に対して、花粉を体内に取り込まないための一般的な予防法としては、特殊な素材を用いたフィルターにより花粉を捕捉するものがあり、マスクや鼻栓等の個人で使用するものや、機械的に捕捉する空気清浄機がある。しかしながら、これらは、花粉を体内に入れる前に捕捉するのみで、再飛散の可能性があり、花粉に対する直接的な作用は全くないものである。
【0004】また、花粉症の治療法については、上記の予防法とは逆に、体内に侵入した抗原のアレルギー反応を抑える方法や、起こってしまったアレルギー症状を対処療法で和らげる方法が知られている。前者のアレルギー反応を抑える方法については、抗アレルギー薬による治療であり、後者の対処療法は抗ヒスタミン薬や抗充血剤を用いる治療などである。しかしながら、これらの方法は、内服、点眼、点鼻などにより薬剤を体内に吸収させるものであり、その製剤のバイオアベイラビリティーが低ければ、必ずしも、その効果は十分に発揮されず、また、眠気などの副作用を生ずるなどの課題点があった。
【0005】更に、湿疹・かぶれなどの皮膚症状に対しては、一般的にステロイド系の外用剤を用いているが、皮膚萎縮などの副作用が懸念されている。また、花粉そのものに直接作用して花粉を失活させる花粉症予防剤(本出願人による特開平9−157172号公報、特開2000−16941号公報)も知られているが、これらの花粉症予防剤は、花粉を無害化する点で画期的なものであるが、予防剤であるため、既に生じているかゆみや炎症などの症状を緩和する効果に欠けるといった点に若干課題があるのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、既に生じた花粉症の症状、特に、目・鼻などの粘膜や皮膚のかゆみに対して、刺激を伴わず、症状を改善する作用に優れた花粉症改善組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討を行った結果、エタノール等の特定のアルコール類と水膨潤性粘土鉱物とを含有することにより、上記目的の花粉症改善組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) (A)炭素数1〜3の一価低級アルコールと、(B)水膨潤性粘土鉱物とを含有することを特徴とする花粉症改善組成物。
(2) 水膨潤性粘土鉱物がモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の花粉症改善組成物。
(3) 更に、保湿剤を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の花粉症改善組成物。
(4) 組成物を支持体に含浸させたシート状外用剤であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の花粉症改善組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を更に詳しく説明する。本発明の花粉症改善組成物は、(A)炭素数1〜3の一価低級アルコールと、(B)水膨潤性粘土鉱物とを含有することを特徴とするものである。
【0009】本発明に用いる(A)成分となる炭素数1〜3の一価低級アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して用いることができる。特に、花粉症の改善効果の点でイソプロパノール、エタノールが好ましい。また、エタノールは、合成・発酵のいずれの製法で製造されたものでもよい。なお、炭素数が3を越える一価低級アルコールでは、組成物中での相溶性が不安定となり、好ましくない。
【0010】この(A)成分の含有量は、花粉症改善組成物全量(以下、「組成物全量」という)に対して、好ましくは、0.1〜60質量%(以下、単に「%」という)、特に好ましくは、0.5〜30%が望ましい。この(A)成分の含有量が0.1%未満であると、目的の花粉症の改善効果がなく、また、60%を越えると、刺激が出たり、組成物中での水膨潤性粘土鉱物の分散安定性が悪くなる。
【0011】本発明に用いる(B)成分となる水膨潤性粘土鉱物としては、スメクタイトが好ましく、このスメクタイトは天然・合成のどちらでも好ましく用いることができる。代表的なスメクタイトの一種であるモンモリロナイトは、アメリカやカナダで多く産出されるが、山形県などでも産出され、分散安定性を高めるため、有機変性されている合成物も数多くある。本発明で用いることができるスメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト(有機変性物の含む、以下同様)の他、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、スチーブンサイトなどが挙げられ、特に、優れた花粉症の改善効果から、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイトが好ましい。なお、これらの水膨潤性粘土鉱物は、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0012】この(B)成分の水膨潤性粘土鉱物の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは、0.01〜10%、特に好ましくは、0.05〜5%が望ましい。この(B)成分の含有量が0.01%未満であると、目的の花粉症の改善効果がなく、また、10%を越えると、粘度が高くなり配合適性が悪くなる。
【0013】本発明の花粉症改善組成物には、更に、本発明の効果の更なる向上の点から保湿剤を含有することが好ましい。保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコールなどのポリオール類、植物抽出物、ヒアルロン酸などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して用いることができる。これらの保湿剤のうち、皮膚や粘膜へのべたつき感がなく保湿効果も高いことから、特に、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオールの使用が好ましい。これらの保湿剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の効果の更なる向上の点から、組成物全量に対して、0.01〜20%、好ましくは、0.5〜10%が良好である。
【0014】本発明の花粉症改善組成物は、皮膚や粘膜への刺激性を考慮し、pH3〜8が好ましく、特に、pH4〜7の範囲が望ましい。pHを調整するためには、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、クエン酸及びその塩、リン酸及びその塩、酢酸及びその塩などのpH調整剤等を用いることができる。
【0015】本発明においては、前記の成分の他に、残部を水(精製水、イオン交換水、純水)等で調製でき、また、通常、医薬品や化粧品等の身体用製剤に用いられる原料、例えば、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸類などの抗炎症剤、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン剤、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸などのビタミン類、メントール、ハッカ油、ラベンダー油、ユーカリ油などの清涼化剤、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの増粘剤、界面活性剤、溶解補助剤、安定化剤、キレート剤、等張化剤、酸化防止剤、香料、防腐剤などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有することができる。
【0016】本発明の花粉症改善組成物の使用形態等は、特に制限されないが、例えば、皮膚や鼻腔内等に塗布するジェル剤、薬液、クリーム、エアゾール等の外用剤に調製でき、特に、花粉を拭き取ることができ、更に良好な本発明の効果が得られると共に優れた使用性を有することから、不織布、織布、紙、スポンジ体などから構成される吸水性を有する支持体に含浸させたシート状外用剤とすることが好ましい。特に好ましくは、花粉の拭き取り効果が高く、皮膚や粘膜への物理的な刺激がほとんどない極細の分割繊維不織布を支持体として用いることが望ましい。本発明において、吸水性を有する支持体に花粉症改善組成物を含浸した形態の場合、その含有量は支持体の構成、花粉症改善組成物の配合組成等により変動するものであるが、支持体全量に対して、好ましくは、0.5〜10倍量を含浸、更に好ましくは、2〜6倍量を含浸させることが望ましい。
【0017】このように構成される本発明の花粉症改善組成物では、既に生じた花粉症の症状、特に、目・鼻などの粘膜や皮膚のかゆみに対して、直接患部に塗布等したり、または、組成物を支持体に含浸させた外用剤として患部に用いることにより、刺激を伴わず、花粉症の諸症状に対して優れた改善作用を有するものとなる。
【0018】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明し、試験例によって本発明の効果を明らかにする。なお、本発明は、下記実施例によって何ら限定されるものではない。
【0019】〔実施例1〜15及び比較例1〜3(外用剤の調製)〕下記表1〜3に示す配合組成となるように各成分を常法により配合して、外用剤(薬液)を調製した。これらの各外用剤について、下記に示す方法で使用試験を行ない、花粉症の改善効果及び刺激の程度を評価した。これらの結果を下記表1〜3に示す。
【0020】〔外用剤の使用試験方法〕花粉症を発症したパネラー8名を対象に、得られた各実施例及び比較例の外用剤を顔などに塗布し、花粉症の改善効果及び刺激の程度を各パネラーごとに下記評価基準(点数)で評価し、8名の平均点数を計算(小数点第1位を四捨五入)して評価した。
【0021】〈評価基準〉花粉症の改善:◎:花粉症が抑えられた(4点)
○:花粉症がやや抑えられた(3点)
△:変化なし(2点)
×:悪化した(1点)
【0022】刺激性の程度:◎:全く刺激なし(4点)
○:ほとんど刺激なし(3点)
△:やや刺激あり(2点)
×:刺激あり(1点)
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】上記表1〜表3の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜15は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、刺激を伴わず、花粉症の諸症状に対して優れた改善作用を有することが判った。
【0027】〔実施例16〜24及び比較例4(鼻腔内に塗るジェル剤)〕下記表4に示す配合組成となるように各成分を常法により配合して、ジェル剤を調製した。この各ジェル剤について、下記に示す方法で使用試験を行ない、花粉症の改善効果及び刺激の程度を評価した。これらの結果を下記表4及び表5に示す。
【0028】〔ジェル剤の使用試験の評価方法〕花粉症を発症したパネラー8名を対象に、得られた実施例及び比較例のジェル剤を綿棒に適量取り、鼻腔内に塗布し、花粉症の改善効果及び刺激の程度を上述の評価基準で評価した。
【0029】
【表4】

【0030】
【表5】

【0031】上記表4及び表5の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例16〜24は、本発明の範囲外となる比較例4に較べて、鼻腔内に塗布した場合であっても、刺激を伴わず、花粉症の諸症状に対して優れた改善作用を有することが判った。
【0032】〔実施例25及び比較例5、シート状外用剤の調製〕上記表1の実施例2及び上記表3の比較例2に記載した配合組成となる組成物を分割繊維含有不織布〔分割繊維(0.25デニール×51mm):ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン=1:1、親水性繊維(1.5デニール×40mm):レーヨン、分割繊維/親水性繊維=3:2、目付け60g/cm2、製法:水流交絡法)に不織布重量の約3.5倍量含浸させ、それぞれ実施例17及び比較例4のシート状外用剤を調製した。この各シート剤について、下記に示す方法で使用試験を行ない、花粉症の改善効果及び刺激の程度を上述の評価基準で評価した。
【0033】〔シート剤の使用試験の評価方法〕花粉症を発症したパネラー8名を対象に各シート状外用剤を顔、特に、目や目の周りに使用し、花粉症の改善効果及び刺激の程度を上述の評価基準で評価した。これらの結果を下記表6に示す。
【0034】
【表6】

【0035】上記表6の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例25は、本発明の範囲外となる比較例5に較べて、刺激を伴わず、花粉症の諸症状に対して優れた改善作用を有することが判った。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、既に生じた花粉症の症状、特に、目・鼻などの粘膜や皮膚のかゆみに対して、刺激を伴わず、症状を改善する作用に優れた花粉症改善組成物が提供される。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成13年4月17日(2001.4.17)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
【公開番号】 特開2002−316925(P2002−316925A)
【公開日】 平成14年10月31日(2002.10.31)
【出願番号】 特願2001−118299(P2001−118299)