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【発明の名称】 化粧料含浸シート
【発明者】 【氏名】横山 真知子

【氏名】金田 学

【氏名】川合 隆

【氏名】深澤 純一

【氏名】冨澤 宣夫

【要約】 【課題】チキソトロピー性を有する化粧料基剤を、均一に皮膚に塗布し得る化粧料含浸シートを提供すること。

【解決手段】チキソトロピー性を有する基剤を、基材シート2の実質的に一方の面にのみ含浸させてなる化粧料含浸シート1。基材シート2は、担持シート3、担持シート3の一方の面に積層された液不透過性シート4、及び液不透過性シート4における担持シート対向面と反対側の面に積層された柔軟性シート5からなり、担持シート3にのみ前記基剤が含浸されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 チキソトロピー性を有する基剤を、基材シートの実質的に一方の面にのみ含浸させてなる化粧料含浸シート。
【請求項2】 前記基材シートが、担持シート及び該担持シートの一方の面に積層された液不透過性シートからなり、該担持シートにのみ前記基剤が含浸されている請求項1記載の化粧料含浸シート。
【請求項3】 前記基材シートが、担持シート、該担持シートの一方の面に積層された液不透過性シート、及び該液不透過性シートにおける担持シート対向面と反対側の面に積層された柔軟性シートからなり、該担持シートにのみ前記基剤が含浸されている請求項1記載の化粧料含浸シート。
【請求項4】 25℃において、前記基剤は、剪断速度0.05s-1における粘性係数η1が100Pas以上30000Pas未満で且つ剪断速度50.0s-1における粘性係数η2が0.1Pas以上100Pas未満であり、更にη1>η2である関係を満たすものである請求項1〜3の何れかに記載の化粧料含浸シート。
【請求項5】 前記液不透過性シートが、延伸ポリプロピレンフィルム又はアイオノマー樹脂のフィルムからなる請求項2〜4の何れかに記載の化粧料含浸シート。
【請求項6】 前記担持シートが繊維材料から構成されており、該繊維材料の繊度が0.01〜15デニールであり、前記担持シートの坪量が10〜200g/m2である請求項1〜5の何れかに記載の化粧料含浸シート。
【請求項7】 担持シート及び該担持シートの一方の面に積層された液不透過性シートを有し、チキソトロピー性を有する基剤の含浸に用いられる基材シート。
【請求項8】 前記液不透過性シートにおける前記担持シート対向面と反対側の面に積層された柔軟性シートを更に有する請求項7記載の基材シート。
【請求項9】 前記担持シートが繊維構造体からなり、該繊維構造体の繊維間距離が10〜500μmである請求項7又は8記載の基材シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チキソトロピー性を有する化粧料基剤を、基材シートに含浸させてなる化粧料含浸シートに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】各種クリームなどのチキソトロピー性を有する化粧料は、これを適量手にとって皮膚に直接塗り込んだり、一旦脱脂綿に付着させた後に肌に塗り込んで使用されことが一般的である。しかし、この使用方法では、化粧料の皮膚への塗布量が不均一になったり、少量で大面積を迅速に塗布することが容易でない。
【0003】化粧水塗布、保湿パック、クレンジング、汗拭き、脂とり等の目的で、化粧料を基材シートに含浸させた対人用の清拭材も知られている。例えば特開平11−286081号公報には、ポリプロピレンのスパンボンド不織布と、透湿性・防水性のポリエチレンフィルムと、ビスコースレーヨンの不織布とをこの順で積層させてなり、前記スパンボンド不織布にファンデーションオイル用組成物などの油性基剤を塗布してなる複合シートが記載されている。この複合シートは、汚れを裏抜けさせないこと、及び通気性を維持することでシーツ等に利用しても蒸れが起こらないようにすることを目的としている。しかし、実際に油性基剤を含浸させた場合、油性基剤が通気性のフィルムを短時間で透過してしまうため、手が基剤で汚れてしまう問題がある。また拭き取った汚れの裏抜け防止も十分でない。またポリプロピレンのスパンボンド不織布は厚みが薄く、少量の基剤しか含浸できないので、十分な拭き取り効果が期待できず、また油性製剤がスパンボンド不織布内で部分的に偏在し易い。更に薄く硬いため対人用としては好ましくない。その上、油性液剤は一般に表面張力が低く、その一方でレーヨンの不織布は繊維の親水性が高く吸液しやすいので、複合シートの保存中に、スパンボンド不織布に含浸されている油性基剤がレーヨンの不織布の側へ裏回りしてしまうこともあり、保存安定性に欠ける。
【0004】特開平11−49641号公報には、界面活性剤水溶液を主基剤とする水溶液を含浸させたシート状クレンジング材料が記載されている。このクレンジング材料のように、メイクの汚れを浮かせてシートに捕集することを目的とする場合には、含浸液の液だれや均一性はあまり問題にならないが、化粧液を含浸させて、肌へ積極的に化粧液を展着させ、均一に塗り広げる目的の場合、展着後に液だれが起こったり、均一な転写性ができない問題がある。基剤である薬液が液だれしないシート状化粧料としてパック剤が知られているが、パック剤に含浸される基剤は高分子架橋ゲルであるため、肌に展着させて塗り広げることは非常に困難である。
【0005】特表2000−503681号公報には、油性基剤をシートに含浸させたシート状化粧料として、乳化系の基剤を含浸させたシート状化粧料が提案されている。しかし、このシート状化粧料も、前述した液だれの問題を解消するものではない。しかも乳化系の基剤は油成分と水系成分とが分離しやすく、シート内やシート間で偏在、不均一化を起こしやすい問題もある。また、油性基材は、肌へのべたつき感が強いため、使用感も悪くなりやすい。
【0006】従って、本発明は、チキソトロピー性を有する化粧料基剤を、均一に皮膚に塗布し得る化粧料含浸シート及び該含浸シートに用いられる基材シートを提供することを目的とする。また本発明は、チキソトロピー性を有する化粧料基剤を、少量であっても大面積に迅速に塗布し得る化粧料含浸シート及び該含浸シートに用いられる基材シートを提供することを目的とする。更に本発明は、保存中に化粧料基剤が偏在化することが防止され、また化粧料基剤の肌への転写性が良好な化粧料含浸シート及び該含浸シートに用いられる基材シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、チキソトロピー性を有する基剤を、基材シートの実質的に一方の面にのみ含浸させてなる化粧料含浸シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
【0008】また本発明は、担持シート及び該担持シートの一方の面に積層された液不透過性シートを有し、チキソトロピー性を有する基剤の含浸に用いられる基材シートを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の化粧料含浸シートの一実施形態を示す断面図である。図1に示す化粧料含浸シート1は、基材シート2に化粧料基剤が含浸されて構成されている。基材シート2は三層構造の積層体からなる。この積層体は、担持シート3、該担持シート3の一方の面に積層された液不透過性シート4、及び該液不透過性シート4における担持シート対向面と反対側の面に積層された柔軟性シート5からなる。その結果、基材シート2は、中間に液不透過性シート4が位置し、その両側に担持シート3及び柔軟性シート5がそれぞれ配され、該担持シート3及び該柔軟性シート5が基材シート2の外面をなす構造となっている。
【0010】化粧料基剤は、油性液剤、乳化液剤又は水性液剤からなり且つチキソトロピー性を有するものであり、基材シート2の実質的に一方の面にのみ含浸されている。詳細には、基材シート2を構成する担持シート3にのみ化粧料基剤が含浸されている。チキソトロピー性を有する化粧料基剤は、そのチキソトロピー性の故に含浸させることが困難であるが、後述する方法によれば容易に含浸させることが可能である。しかし、ひとたび化粧料基剤を基材シート2に含浸できれば、化粧料を均一に皮膚へ塗布することができ、また少量であっても大面積に迅速に塗布することが可能である。また、基材シート2に含浸された化粧料基剤は、通常の保存状態においては、そのチキソトロピー性の故に基材シート2内で安定に存在し、偏在化したり基材シート2から漏出するおそれがない。従って、化粧料基剤の肌への転写が良好に行われ、また保存中に化粧料基剤が化粧料含浸シート1における非含浸面である柔軟性シート5側に回り込むことがない。また、例えば化粧料含浸シート1を毎葉の状態としてピロー包装体などの包装体中に複数枚包装しても、包装体内が化粧料基剤で過度に濡れることがない。
【0011】更に、化粧料基剤は基材シート2を構成する担持シート3にのみ含浸されているので、化粧料含浸シート1を用いて化粧料基剤を皮膚に塗布する場合、液不透過性シート4が柔軟性シート5側への化粧料基剤の移行を阻止し、手に化粧料基剤が付着することが防止される。
【0012】化粧料基剤としては、各種スキンケアクリーム、紫外線防御クリーム、制汗剤、ファンデーション、口紅ベース、洗浄剤、メイク落とし剤など、油性液剤、乳化液剤又は水性液剤からなり且つチキソトロピー性を有するものであればその種類に特に制限はない。特に化粧料基剤は、25℃においてレオメータによって測定された流動物性が以下の通りであることが、化粧料含浸シート1を保存した場合、シート1内で化粧料基剤が偏在化したり、シート1から漏出することがなく、また化粧料基剤を肌に塗布するときに該化粧料基剤の転写が良好に行われ、肌への展着も良く均一な塗布が出来る点から好ましい。
【0013】即ち、化粧料基剤は、剪断速度0.05s-1における粘性係数η1が100Pas以上30000Pas未満、特に100Pas以上10000Pas未満であることが、化粧料含浸シート1からの化粧料基剤の転写のさせ易さ、シート1内での化粧料基剤の偏在化、シート1からの化粧料基剤の漏出防止の点から好ましい。
【0014】また、化粧料基剤は、剪断速度50.0s-1における粘性係数η2が0.1Pas以上100Pas未満、特に0.5Pas以上50Pas未満であることが、化粧料基剤を肌に塗布するときに、肌への展着が良く均一な塗布が出来る点から好ましい。
【0015】前記のη1及びη2に関し、両者はη1>η2の関係を満たすことが、剪断応力が加わる塗布操作のときにのみ化粧料基剤が流動し易くなり、保存安定性と塗布のし易さとが両立する点から好ましい。この効果を一層高めるために、η1はη2の10〜10000倍、特に50〜5000倍であることが好ましい。
【0016】化粧料基剤の含浸量は、30〜350g/m2、特に80〜270g/m2であることが、身体や顔に必要とされる量の化粧料を転写し得る点から好ましい。同様の理由により、化粧料基剤は、基材シート2の重量に対して100〜800重量%、特に200〜700重量%含浸されていることが好ましい。
【0017】化粧料基剤は、その全量のうちの80重量%以上、特に90重量%以上が担持シート3内に存在していることが、保存中における化粧料基剤の偏在防止、ひいては化粧料基剤の均一な塗布の点から好ましい(以下この値を基剤存在率という)。このような状態で化粧料基剤を存在させるためには、例えば後述する方法で化粧料基剤を基材シート2に含浸させればよい。
【0018】基剤存在率は以下の方法で測定される。化粧料含浸シートにおける化粧料基剤の含浸面である担持シートにドクターブレードを当てて、含浸されている化粧料基剤のうち、担持シート上に存するものを掻き取る。ドクターブレードのクリアランスは50μmとする。掻き取り面積は50cm2とする。掻き取り面積当たりの化粧料基剤の含浸量(重量)から、ドクターブレードによって掻き取られた化粧料基剤の重量を差し引く。その値を、掻き取り面積当たりの化粧料基剤の含浸量(重量)で除し、100を乗じて基剤存在率を算出する。
【0019】化粧料基剤を構成する成分としては、水;エタノール、イソプロパノール、セタノールなどのアルコール類;保湿剤としてのグリセリン又はソルビトールなどの多価アルコール類;固体状又は液体状パラフィン、スクワランなどの炭化水素類;オリーブ油、カルナバロウ等のエステル油;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;天然注出のスフィンゴシン誘導体;テトラデカメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのポリシロキサン類;オキタメチルシクロテトラシロキサン等のメチルポリシクロシロキサン;ポリエーテル・アルキル変性シリコーン、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン等の変性シリコーン;サルフェート系界面活性剤、カルボキシレート系界面活性剤、エーテルカルボン酸系界面活性剤、アシル化アミノ酸系界面活性剤、リン酸系界面活性剤等の陰イオン性界面活性剤;カルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤等の両イオン性界面活性剤;直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するモノ又はジアルキル付加型第4級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレン付加型、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン付加型、アミンオキサイド系、モノあるいはジエタノールアミド系、その他ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルサッカライト系、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド系等の多価アルコール型等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0020】化粧料基剤には更に粉体を配合することが出来る。粉体としては、例えばマイカ、タルク、セリサイト、カオリン、ナイロンパウダー、ポリメチルシルセスキオキサン等の体質顔料;パール等の無機顔料:赤色202号、赤色226号、黄色4号、アルミニウムレーキ等の有機顔料;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄などの紫外線防御用の無機粉体等を挙げることができる。これらの粉体は、メチルハイドロジェンメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルポリシロキサン等によるシリコーン処理、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルコール等によるフッ素処理、レシチン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、アルキルリン酸エステル処理がされていてもよい。
【0021】化粧料基剤には、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等に配合される各種成分を配合することもできる。このような成分としては、例えば硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類;ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸等の粘度調整剤;パラベン等の防腐剤;p−メチルペンジリデン、D,L−ショウノウ又はそのスルホン酸ナトリウム塩、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ナトリウム塩、3,4−ジメチルフェニルグルオキシル酸ナトリウム塩、4−フェニルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン−2’−カルボン酸イソオクチルエステル、p−メトキシ桂皮酸エステル、2−フェニル−5−メチルベンズオキサゾール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、4−t−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン、ベンゾイルビナコロン誘導体、ベンゾイルケトン誘導体等の紫外線吸収剤;アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、水酸化アルミニウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドロキシグリシン、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、p−フェノールスルホン酸亜鉛、サリチル酸、タンニン酸などの発汗抑制剤;殺菌剤;pH調整剤;湿潤剤;色素;薬効成分;香料等を挙げることができる。
【0022】次に、化粧料基剤が含浸される基材シート2について説明する。基材シート2を構成する担持シート3としては、化粧料基剤を含浸可能な構造を有するものが用いられる。担持シート3としては、多孔性の構造を有するものや、吸水性の構造を有するものが挙げられる。多孔性及び吸液性の構造を有する担持シート3の例としては、不織布、布、編物等の繊維構造体、発泡体、ネット、立体成形フィルムなどが挙げられる。
【0023】化粧料基剤の含浸性を良好にするためには、担持シート3は、その密度が0.2〜0.01g/cm3であることが好ましい。常温(25℃、以下常温というときにはこの温度をいう)で低粘度である化粧料基剤に対しては、含浸性、放出性、展着性の点から、担持シート3はその密度が0.2〜0.06g/cm3であることが好ましい。
【0024】化粧料基剤は表面エネルギーが低いものが多いので、水系の基剤に比べて毛細管構造の中に保持し難い。このため、担持シート3の表面は疎水性であることが好ましい。具体的にはその接触角が、イオン交換水に対して70度以上、特に85度以上、とわりけ100度以上であることが、化粧料基剤の含浸性と放出性とのバランスが良くなることから好ましい。この場合、接触角が100度を超える担持シートであっても、オレフィン系(ポリプロピレン系、ポリスチレン系)樹脂を含有する担持シートの場合には、化粧料基剤が浸透し易く、成分の分離が起こるおそれがあることから、該樹脂の組成比率は少ないほうが良い。
【0025】常温で粘度が高い(例えばB型粘度計で測定された常温での粘度が0.5Pasを超える)化粧料基剤を用いる場合には、担持シート3として、発泡体、立体成形フィルム、高空隙の繊維構造体を用いることが好ましい。この理由は、粘度の高い化粧料基剤は、担持シートに含浸させにくく、また化粧料基剤を肌に展着させるときに、担持シートから放出されにくいからである。特に化粧料基剤の含浸性、放出性、展着性の点で、担持シート3の密度は0.08〜0.02g/cm3、特に0.1〜0.01g/cm3であることが好ましい。
【0026】化粧料基剤の保持性の点から、担持シート3の厚みは、3.7g/cm2の荷重下で0.3〜5mmであることが好ましく、携帯性の点から0.3〜0.8mmであることが更に好ましい。
【0027】担持シート3として例示した前記シートのうち、特に均一展着性や肌感触の点から繊維構造体を用いることが好ましく、経済性の点で不織布を用いることが更に好ましい。中でも、エアースルー法、レジンボンド法、スパンレース法、エアレイド法により製造された不織布は低密度であることから好ましい。とりわけ、肌への化粧料基剤の均一展着性や肌感触の良さから、繊維が動きやすい構造であるスパンレース法により製造された不織布を用いることが好ましい。
【0028】担持シート3が不織布等の繊維構造体から構成される場合、繊維としては親水性繊維及び疎水性繊維の何れをも用いることができる。その例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系繊維、ポリアクリルニトリル等のアクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリフルオロエチレン系繊維などの合成繊維;綿、麻、毛、絹などの天然繊維;レーヨン、ポリノジック、キュプラなどの再生繊維;アセテートなどの半合成繊維;及びこれらの変性物や共重合体からなる繊維を用いることができ、また、これらの材料を二種以上組み合わせた複合繊維を用いることもできる。これらの繊維は異形の断面をしていてもよい。また、化粧料基剤の表面張力、繊維の濡れ性及び繊維構造体の毛細管径を考慮して、前記繊維を複数種類組み合わせて用いてもよい。但し、前述した理由により、化粧料基剤と非常に馴染み易いポリオレフィン系繊維の含有量は50重量%以下であることが好ましい。
【0029】化粧料基剤がW/O系やO/W系である場合、吸水性の繊維を用いると、繊維構造体の毛細管径が小さい場合に、化粧料基剤が油分と水分とに分離してしまったり、繊維構造体から化粧料基剤が放出し難いことがある。従って、綿、パルプ、レーヨン等の吸水繊維を主体とする繊維構造体を構成する場合には、該繊維構造体は、毛細管径の大きな構造であるエアレイド法で製造された不織布からなることが好ましい。
【0030】担持シート3が不織布等の繊維構造体から構成される場合、その構成繊維の繊度は、0.01〜15デニール、特に0.1〜12デニールであることが、化粧料基剤の含浸性の点から好ましい。不織布を構成する繊維は、そのすべてが前記範囲の繊度であることが最も好ましいが、不織布全体の30重量%以上、特に50重量%以上の繊維が前記範囲の繊度であれば、化粧料基剤の含浸性が十分に高くなる。また繊維間距離は10〜500μm、特に20〜300μmであることが、化粧料基剤の含浸性、放出性、肌への展着性の点から好ましい。
【0031】繊維間距離Dp(μm)は以下の方法で測定される。繊維構造体の厚みをy(m)、繊維構造体の坪量をa(g/m2)、構成繊維の繊度をF(デニール)、構成繊維の直径をfd(μm)とすると、繊維間距離Dpは、Dp=0.015×√(Fy/a)−fdで算出される。繊維構造体の厚みyは、100mm×100mmの大きさの担持シートに3.7g/cm2の荷重を加えた条件下にテクロック製のモデルPF-11を用いて測定する。測定は5枚の担持シートについて行い、その平均値を求める。構成繊維の直径fdは走査型電子顕微鏡を用いて撮影された繊維の拡大写真から測定し、サンプル数5の平均値を求める。繊度Fは、示差走査熱量計を用いて繊維の種類を特定し、特定された繊維の密度((g/m3)を調べ、F=π(fd/2)2×9000(から算出する。
【0032】担持シート3として発泡体が用いられる場合、その構成材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、不飽和ポリエステル、フェノール系樹脂、ポリブタジエン及び合成ポリイソプレン等のゴム系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。特に、柔らかく、低摩擦であり、加工性の良好なポリウレタン系樹脂やポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。化粧料基剤の含浸量を高めたい場合には、発泡体はクローズドセル型よりもオープンセル型の構造であることが好ましい【0033】担持シート3として立体成形フィルムが用いられる場合、該フィルムは立体開孔構造のものであることが好ましく、その場合の見掛け密度は、前述した範囲の値であることが好ましい。フィルムを構成する材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、これらの変性物や共重合体が挙げられる。特に線状低密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンを用いることが、柔らかさ及び肌感触の点で好ましい。
【0034】担持シート3は、その坪量が10〜200g/m2、特に15〜150g/m2であることが、化粧料基剤を十分な量含浸し得る点、肌に対する感触が良好である点、及び製造経費の点から好ましい。
【0035】液不透過性シート4としては、担持シート3に含浸されている化粧料基剤が、化粧料含浸シート1の使用中に柔軟性シート5へ透過することを阻止し得るものが用いられる。液不透過性シート4の具体例としては、防油性のものが好ましい。例えば、一般的な熱可塑性樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、セロハン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムが挙げられる。ヒートシール性、柔軟性の点から、これらの樹脂の一部変性体や共重合体を用いても良い。前記樹脂を二種以上組み合わせて用いてもよく、或いは二層以上の積層構造で組み合わせることもできる。中でも、延伸ポリプロピレンフィルム、高密度ポリエチレンやアイオノマー樹脂からなるフィルムが、加工性が良好なことから好ましく、特にアイオノマー樹脂からなるフィルムが、柔軟性、シール性、耐ピンホール性、化粧料基剤の透過阻止性が高い点で好ましい。
【0036】液不透過性シート4は、その坪量が5〜100g/m2、特に10〜80g/m2であることが、化粧料基剤の透過を十分に阻止し得る点、基材シート2の風合い維持の点、及び製造経費の点から好ましい。
【0037】柔軟性シート5は、化粧料含浸シート1の使用時に手と接するシートであり、化粧料基剤は含浸ない。柔軟性シート5としては、風合いの良好なものが用いられる。そのような柔軟性シートとしては布様の風合いを有するものが好ましく、不織布、織布、編物、発泡体、ネット、開孔フィルムなど、担持シート3を構成するシートと同様のものが用いられる。化粧料基剤の裏周りを防止する点、空隙率が高い点、及び肌感触が良好である点から不織布を用いることが好ましい。
【0038】柔軟性シート5として不織布を用いる場合、その種類、坪量、構成繊維、繊度などの詳細は担持シート3を構成する不織布と同様である。特に、構成繊維としては、疎水性繊維であるポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維などが好ましい。
【0039】担持シート3、液不透過性シート4及び柔軟性シート5から構成される基材シート2は、その坪量が15〜500g/m2、特に25〜380g/m2であることが、風合いと製造経費とのバランスの点から好ましい。
【0040】担持シート3、液不透過性シート4及び柔軟性シート5は積層一体化されて基材シート2を構成している。図2には、基材シート2を製造する工程図が示されている。図2に示すように、基材シート2は押し出しラミネート法(サンドイッチラミネート法)によって製造されることが好ましい。この方法には、各シート間の剥離が起こりにくく、また液不透過性シート4にピンホールが発生し難いという利点がある。ピンホールの発生は、化粧料含浸シート1の使用中に化粧料基剤が柔軟性シート5へ透過する原因となる。
【0041】図2に示す基材シート2の製造方法においては、特に制限されないが例えば、予め担持シート3及び柔軟性シート5を別工程で製造しておく。これを原反3’,5’として装置に取り付けておき、該原反3’,5’から担持シート3及び柔軟性シート5をそれぞれ繰り出す。これと共にTダイ6から溶融状態の合成樹脂をシート状に押し出し、液不透過性シート4を成形する。固化する前の状態の液不透過性シート4の両側に担持シート3及び柔軟性シート5をそれぞれ重ね合わせ、ニップロール7,7間で挟圧することで、これら三者が積層一体化された基材シート2が得られる。
【0042】別法として、担持シート3の原反3’又は柔軟性シート5の原反5’を装置に取り付けておき、該担持シート3又は柔軟性シート5を繰り出す。これと共にTダイ6から溶融状態の合成樹脂をシート状に押し出し、液不透過性シート4を成形する。固化する前の状態の液不透過性シート4の片面に担持シート3又は柔軟性シート5を重ね合わせ、ニップロール7,7間で挟圧することで、これら二者が積層一体化された積層シートを得る。次いで、該積層シートにおける液不透過性シート4の面に、柔軟性シート5又は担持シート3を重ね合わせ、エンボスによって積層シートと柔軟性シート5又は担持シート3とを積層一体化させ、担持シート3、不透過性シート4及び柔軟性シート5が積層一体化された基材シート2が得られる。
【0043】担持シート3及び柔軟性シート5として同種のものを用いる場合には次の方法を用いることもできる。先ず、固化する前の状態の液不透過性シート4の片面に、担持シート3(柔軟性シート5)を重ね合わせ、これら二者が積層一体化された積層シートを得る。次に、この積層シートにおける液不透過性シート4の面同士が対向するように2枚の積層シートを重ね合わせ、エンボスによって2枚の積層シートを一体化させる。これによって基材シート2が得られる。これらの方法において用いられるエンボスの方法に特に制限はなく、圧力下に熱を伴うか又は伴わずに行うことができる。
【0044】前述の各方法においては、Tダイ6から溶融状態の合成樹脂をシート状に押し出し液不透過性シートを成形する場合に、剥離防止性を向上させる目的で、2機以上のTダイを用い、多層同時押し出しを行って2層以上の樹脂層が積層されてなる液不透過性シートを製造してもよい。この場合、各層を構成する樹脂は同種でも異種でも良い。
【0045】このようにして得られた基材シートにおける担持シート3に化粧料基剤が含浸される。含浸は、担持シート3の全面に限られず部分的でもよい。含浸は例えば次の方法で行うことができる。即ち、ドクターブレードを用い、ガラス板などの平坦な板上に、化粧料基剤の塗膜を形成する。塗膜の上に、含浸させるべき坦持シートの面が密着するように基材シートを載せる。基材シートの上面に一定速度でローラーをかけて、基材シートと塗膜とが均一に接するようにした後、基材シートを剥がし化粧料含浸シートを得る。ローラーとしては、一定荷重のローラーを使用する。不足であれば手で更に荷重を加える。荷重が不足すると化粧料基剤を基材シートに十分に含浸させることができない場合があり、荷重が過剰であると化粧料基剤が基材シートから押し出されるので目的量の化粧料基剤を含浸させることができない場合がある。ローラーは複数回かけて含浸時間を長くとることが、化粧料基剤を十分に含浸させ得る点、及びむら無く含浸できて化粧料基剤の肌への転写を効率的に行い得る点から好ましい。連続的に含浸させる場合には、一般的なグラビアコーターのようなロールコーターを用い、前述のように含浸時間を長くとるように基材シートをロールに長く抱かせたり、コーターを複数台用いて含浸を繰り返せばよい。
【0046】得られた化粧料含浸シートは、所定の大きさに裁断され、所定の形状に折り畳まれて、所定枚数重ねられた状態で、ピロー包装体などの包装体に包装される。
【0047】本発明の化粧料含浸シートは前記実施形態に制限されない。例えば前述の実施形態においては、基材シートが三層構造であったが、化粧料含浸シートの用途によっては、基材シートが、担持シート及び該担持シートの一方の面に積層された液不透過性シートからなる二層構造であって、担持シートにのみ化粧料基剤が含浸されていてもよい。この場合、担持シート及び液不透過性シートの詳細は、前記実施形態と同様とすることができる。
【0048】また、化粧料含浸シートの用途によっては、基材シートが担持シートのみから構成され、該担持シートの一方の面にのみ実質的に化粧料基剤が含浸されていてもよい。この場合、担持シートの詳細は、前記実施形態と同様とすることができる。担持シートの一方の面にのみ化粧料基剤を含浸させるには、例えば化粧料基剤として適切な流動特性を有するものを用いればよい。
【0049】
【実施例】以下の例中、特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
【0050】〔実施例1〕
(1)化粧料基剤の調製以下の処方を用いてO/Wクリーム(乳化基剤)を調製した。先ず、70℃に加熱した油相にエタノールを除く水相を加え、撹拌しながら20分かけて室温まで冷却した。次いでエタノールを加え、更に10分間撹拌してO/Wクリームを得た。得られたO/Wクリーム(化粧料基剤)はチキソトロピー性を示し、その25℃における粘性係数η1及びη2は、レオメーター(Rheometrics社製、FluidsSpectromter RFS-11)で測定したところ、それぞれ以下の表1に示す通りであった。
【0051】
流動パラフィン 8.0部ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 2.0部1,3ブチレングリコール 6.0部ポリエチレングリコール 4.0部カルボキシビニルポリマー 0.5部アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2部水酸化ナトリウム水溶液(50%) 0.3部パラオキシ安息香酸メチル 0.5部エタノール 15.0部精製水 63.5部 100.0部【0052】(2)基材シートの製造表1に示す担持シート及び柔軟性シートを予め製造しておき、これらのシートと表1に示す液不透過性シートの原料樹脂とを用いて図2に示す押し出しラミネート法によって基材シートを得た。各シートの詳細は表1に示す通りである。
【0053】(3)化粧料含浸シートの製造前述の方法で得られたO/Wクリームを平坦なガラス板の上に載せ、ドクターブレードを用いてこのO/Wクリームの塗膜を形成した。150mm×100mmに裁断された基材シートにおける坦持シートの面が塗膜に密着するように、この基材シートを塗膜の上に載せた。自重180gのローラーを用い、手で更に約50gの荷重を加えた状態下、基材シートの上面に該ローラーを8回(速度300mm/s)かけて基材シートと塗膜とが均一に接するようにした後、基材シートを剥がした。この操作を2回繰り返して化粧料含浸シートを作製した。3gの化粧料基剤(基剤含浸量200g/m2)が基材シートに含浸された。
【0054】〔実施例2〕以下の処方を用いてW/O紫外線防止クリームを調製した。先ず、80℃に加熱した油相に粉体を均一に分散させた。次いで、70℃に加熱した水相をゆっくり加え、撹拌しながら20分間かけて室温まで冷却してW/Oクリームを得た。得られたW/Oクリーム(化粧料基剤)はチキソトロピー性を示し、その25℃における粘性係数η1及びη2はそれぞれ以下の表1に示す通りであった。その後は実施例1と同様にして化粧料含浸シートを得た。但し、基材シートの材料及び基剤含浸量は表1に示す通りであった。
【0055】
流動パラフィン 12.0部シリコーン油 5.0部グリセリン脂肪酸エステル 1.0部ジステアリン酸アルミニウム 1.5部ポリシロキサン共重合体 1.5部1,3ブチレングリコール 2.0部ポリエチレングリコール 0.5部パラオキシ安息香酸メチル 0.5部硫酸マグネシウム 0.5部酸化亜鉛 8.0部酸化チタン 7.0部精製水 60.5部 100.0部【0056】〔実施例3〕以下の処方を用いて油性ファンデーション(油性基剤)を調製した。先ず、80℃に加熱した油相に粉体を均一に分散させながら加え、20分間撹拌する。その後撹拌を止め室温まで冷却して油性ファンデーションを得た。得られた油性ファンデーション(化粧料基剤)はチキソトロピー性を示し、その25℃における粘性係数η1及びη2はそれぞれ以下の表1に示す通りであった。その後は実施例1と同様にして化粧料含浸シートを得た。但し、基材シートの材料及び基剤含浸量は表1に示す通りであった。
【0057】
流動パラフィン 34.29部ワセリン 30.00部精製ラノリン 20.00部パルミチン酸デキストリン 10.00部パラオキシ安息香酸ブチル 0.10部ジブチルヒドロキシトルエン 0.01部タルク 5.00部黒酸化鉄 0.20部赤酸化鉄 0.30部黄酸化鉄 0.10部 100.00部【0058】〔実施例4〕以下の処方を用いて口紅ベースを調製した。先ず、80℃に加熱した油相に粉体を均一に分散させながら加え、20分間撹拌する。その後撹拌を止め室温まで冷却して口紅ベースを得た。得られた口紅ベース(化粧料基剤)はチキソトロピー性を示し、その25℃における粘性係数η1及びη2はそれぞれ以下の表1に示す通りであった。その後は実施例1と同様にして化粧料含浸シートを得た。但し、基材シートの材料及び基剤含浸量は表1に示す通りであった。
【0059】
流動パラフィン 37.68部ワセリン 20.00部マイクロクリスタリンワックス 20.00部精製ラノリン 10.00部パルミチン酸デキストリン 10.00部パラオキシ安息香酸ブチル 0.10部ジブチルヒドロキシトルエン 0.01部セラミド 2.00部赤色4号アルミニウムレーキ 0.08部黄色4号アルミニウムレーキ 0.03部雲母/酸化チタン 0.10部 100.00部【0060】〔実施例5及び6〕表1にそれぞれ示す基材シートに、実施例1で用いたO/Wクリーム(乳化基剤)を実施例1と同様の方法で含浸させて化粧料含浸シートを得た。基剤含浸量は表1に示す通りであった。
【0061】〔比較例1〕以下の処方を用いてスキンケアペーストを調製した。先ず、80℃に加熱した油相に粉体を均一に分散させながら加え、20分間撹拌する。その後撹拌を止め室温まで冷却してスキンケアペーストを得た。得られたスキンケアペースト(化粧料基剤)の25℃における粘性係数η1及びη2はそれぞれ以下の表1に示す通りであった。このスキンケアペーストはチキソトロピー性を有していなかった。その後は実施例1と同様にして化粧料含浸シートを得た。但し、基材シートの材料及び基剤含浸量は表1に示す通りであった。
【0062】
流動パラフィン 39.68部固形パラフィン 20.00部マイクロクリスタリンワックス 20.00部精製ラノリン 10.00部パルミチン酸デキストリン 10.00部パラオキシ安息香酸ブチル 0.10部ジブチルヒドロキシトルエン 0.01部 100.00部【0063】〔比較例2〕以下の処方を用いてW/O乳液を調製した。先ず、80℃に加熱した油相に、70℃に加熱した水相をゆっくり加えた。次いで、撹拌しながら20分間かけて室温まで冷却してW/O乳液を得た。得られたW/O乳液(化粧料基剤)の25℃における粘性係数η1及びη2はそれぞれ以下の表1に示す通りであった。このW/O乳液はチキソトロピー性を有していなかった。その後は実施例1と同様にして化粧料含浸シートを得た。但し、基材シートの材料及び基剤含浸量は表1に示す通りであった。
【0064】
流動パラフィン 2.0部シリコーン油 36.0部ポリシロキサン共重合体 2.5部1,3ブチレングリコール 2.0部ポリエチレングリコール 0.5部パラオキシ安息香酸メチル 0.5部硫酸マグネシウム 0.5部精製水 56.0部 100.0部【0065】〔性能評価〕実施例及び比較例で得られた含浸シートについて、以下の方法で使用感、保存安定性及び転写性を評価した。その結果を表1に示す。
【0066】〔使用感〕10人の専門パネラーの両腕及び首を含浸シートで拭き、化粧料基剤を皮膚に塗布して、含浸シートの使用感をのびやすさ及びべたつきのなさの観点から評価した。のびやすさ又はべたつきのなさが悪いと判断した人数が5人以下を○、6人以上を×と評価した。
【0067】〔保存安定性〕含浸シートをその短辺(100mm)同士が突き合わさるように三つ折り(C字折り)にし、10枚一組にして重ねた。この状態で、アルミニウムを主成分とするピロー容器に入れ、40℃及び50℃の各温度にそれぞれ保存した。保存に際しては、三つ折りされたシートの短辺(75mm)が上下方向となるように、ピロー容器を縦置きにした。1ヶ月経過後、ピロー容器から含浸シートを取り出し、基剤だれ及び基剤の裏回りの観点から保存安定性を評価した。基剤だれは、三つ折りされ縦置きにされた含浸シートを上下半分に切断し、切断されたそれぞれの重量を測定することで評価した。上部の重量が下部の重量の7割以上になった場合を○、7割未満になった場合を×とした。基剤の裏回りは、含浸シート裏面の縁から上方へ向かって滲む基剤の高さで評価した。シートの縁から滲んだ基剤の高さが10mm未満の場合を○、10mm以上の場合を×とした。
【0068】〔転写性〕10人の専門パネラーの両腕及び首を含浸シートで拭き、化粧料基剤を皮膚に塗布した。基剤を肌によくのせるために、塗布を数回繰り返して基剤を丁寧にのばし、基剤の転写が感じられなくなった時点を終了点とした。塗布の前後の含浸シートの重量を測定し、塗布後の含浸シートの重量が塗布前の含浸シートの重量の75%以下の場合を○、75%超の場合を×とした。
【0069】
【表1】

【0070】表1に示す結果から明らかなように、各実施例の含浸シートは、化粧料基剤を皮膚にのばし易く、その際にべたつき感がないものであることが判る。また各実施例の含浸シートは、保存しても化粧料基剤が偏在化したり、基材シートから漏出しないことが判る。更に、化粧料基剤の皮膚への転写性も良好であることが判る。
【0071】
【発明の効果】本発明の化粧料含浸シートによれば、チキソトロピー性を有する化粧料基剤を、均一に皮膚に塗布することができる。また本発明の化粧料含浸シートによれば、チキソトロピー性を有する化粧料基剤を、少量であっても大面積に迅速に塗布することができる。更に本発明の化粧料含浸シートによれば、その保存中に基剤が偏在化したり、基材シートから漏出して裏面(非含浸面)側に回り込むおそれがない。更に本発明の化粧料含浸シートによれば、使用に際して手に基剤が付着することが防止される。
【出願人】 【識別番号】398039945
【氏名又は名称】ニベア花王株式会社
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成13年2月28日(2001.2.28)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
【公開番号】 特開2002−255736(P2002−255736A)
【公開日】 平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願番号】 特願2001−56005(P2001−56005)