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【発明の名称】 化粧料
【発明者】 【氏名】松永 昭治

【要約】 【課題】油分の分離がみられず、感触の良い化粧料組成物の提供。

【解決手段】シリコーン誘導体と水膨潤性粘土鉱物と、該水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水とで一次分散液を調製した後に、残部の水を配合して製造された粘土鉱物分散液及びそれを含有する化粧料を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリコーン誘導体と水膨潤性粘土鉱物と、該水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水とで一次分散液を調製した後に、残部の水を配合して製造された粘土鉱物分散液。
【請求項2】 請求項1に記載の粘土鉱物分散液を含有する化粧料。
【請求項3】 シリコーン誘導体が、(1)シリコーン類の1種または2種以上 及び(2)該シリコーン類の溶解度パラメータとの差が1以下のシリコーン誘導体の1種または2種以上からなる請求項1及び2に記載の分散液及び化粧料。
【請求項4】 シリコーン誘導体と水膨潤性粘土鉱物と、該水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水とで一次分散液を調製した後に、残部の水を配合して製造する、粘土鉱物分散液の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーン誘導体及び水膨潤性粘土鉱物を含有する粘土鉱物分散液及び化粧料に関する発明であって、工業的に製造しやすく、また油分の溶出やしみ出しによる分離や外観の悪化を防ぎ、保存安定性に優れ、更に良好な使用後感および使用性を与える分散液及び化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、化粧料や洗浄剤組成物において、しっとりとした使用感及び使用性を向上させるために、シリコーン誘導体が広く用いられてきた。しかし、組成物中でのシリコーン誘導体の分散が十分でなく分離してしまったり、特に固形化粧料においては、シリコーン誘導体が表面にしみ出し、外観を損なうことが課題となっている。
【0003】特に、固形化粧料における、油分のしみ出しを解決するために種々の検討がなされており、低粘度シリコーン誘導体に特定のアクリル−シリコーン系グラフト共重合物と部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を配合してゲルを形成する方法(特開平2−279617号公報)や、ジアルキルリン酸多価金属塩と特定の安息香酸エステルを含有する方法、融点75〜120℃のエチレンプロピレンコポリマーを含有する方法(特開平7−149613号公報)などが提示されている。しかし、いずれも効果が十分でなく、更なる改善が求められていた。
【0004】一方、化粧料や洗浄剤組成物に水膨潤性粘土鉱物を配合することによって肌へのさらさら感を向上させることが知られている。そこで、水膨潤性粘土鉱物とシリコーン誘導体とを併用することによって、肌の保湿感と肌触りの良さを兼ね備える化粧料が検討されたが、特にシリコーン誘導体存在下で水膨潤性粘土鉱物の分散が難しく、工業的に容易に生産することができないという課題があった。
【0005】従って、本発明の目的は、シリコーン誘導体及び水膨潤性粘土鉱物を含有する化粧料において、工業的に容易に製造が可能で、油分の溶出やしみ出しによる外観の悪化を防ぎ、保存安定性に優れ、更に良好な使用後感および使用性を与える化粧料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来の課題等に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、シリコーン誘導体及び水膨潤性粘土鉱物を含有する化粧料を製造する際に、該水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水の一次分散液を調製した後に残部の水を配合した、粘土鉱物の分散液を配合することで、工業的に生産が可能で、油分の分離・溶出やしみ出しによる外観の悪化を防ぎ、保存安定性に優れ、更に良好な使用感および使用性を与える化粧料を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0007】すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) シリコーン誘導体と水膨潤性粘土鉱物と、該水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水とで一次分散液を調製した後に、残部の水を配合して製造された粘土鉱物分散液。
(2) 上記粘土鉱物分散液を含有する化粧料。
(3) シリコーン誘導体が、(A)シリコーン類の1種または2種以上、及び(B)該シリコーン類の溶解度パラメータとの差が1以下のシリコーン誘導体の1種または2種以上である上記の分散液及び化粧料。
(4) シリコーン誘導体と水膨潤性粘土鉱物と、該水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水とで一次分散液を調製した後に、残部の水を配合して製造する、粘土鉱物分散液の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、本発明(実施例及び比較例を含む)で規定する「溶解度パラメータ(SP値)とは、下記式より算出した値をいう。
【0009】
【式1】

【0010】本発明における粘土鉱物の分散液(以下「分散液」と表す)は、シリコーン誘導体と水膨潤性粘土鉱物と該水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水とで一次分散液を調製した後に、残部の水を配合して調製される。本発明の分散液は、粘土鉱物とシリコーン誘導体が複合体を形成することにより、安定で感触の良い分散液を得ることができる。一次分散液を調製することなく、必要量の水を一度に配合した場合には、水膨潤性粘土鉱物とシリコーン誘導体との複合体を形成する前に、粘土鉱物の膨潤が進み、粘土鉱物がペースト状となってしまうため、分散液を形成することが困難となる。一次分散液調製後の水配合においても、複数回に分けて配合することが、分散液の粘度の急激な上昇を抑えることができるため好ましい。
【0011】本発明の分散液及び化粧料で用いられるシリコーン誘導体は、化粧料として一般的に用いられるものであれば特に限定されるものでないが、皮膚への使用感、入手のしやすさから、特願平11−246137号に示された以下のものが挙げられる。
【0012】(イ)ジメチルポリシロキサン。具体的には、下記表1に示される東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製のジメチルシリコーンオイルの商品名で市販されているものなどが使用できる。
(ロ)環状シリコーン。具体的には、下記表1に示される東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製の環状シリコーンオイルの商品名で市販されているものなどが使用できる。
(ハ)メチルフェニルポリシロキサン。具体的には、下記表1に示される東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製のメチルフェニルシリコーンオイルの商品名で市販されているものなどが使用できる。
(ニ)ポリエーテル変性シリコーン。具体的には、下記表1に示される東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製のポリエーテル変性シリコーンの商品名で市販されているものなどが使用できる。
【0013】
【表1】

【0014】本発明の化粧料は、上記製造方法により得られた分散液を含有することを特徴とする。本発明の分散液を含有する化粧料は、シリコーン誘導体によるしっとりとした感触と共に、粘土鉱物によるさらさらした感触を併せ持つことができる。また、粘土鉱物とシリコーン誘導体が複合体を形成しているため、シリコーン誘導体が化粧料中で遊離することなく、安定的に存在することが可能である。
【0015】特に化粧料が固形化粧料である場合は、粘土鉱物とシリコーン誘導体が複合体を形成しているため、固形化粧料表面へ油分のシミ出しが起きて外観を損なうことが無く、安定でまた使用感も良好な固形化粧料を得ることができる。
【0016】本発明における分散液及び化粧料に用いられるシリコーン誘導体は、上記シリコーン誘導体の1種もしくは2種以上用いることができるが、特に、溶解度パラメーターの差が1以下の2種以上のシリコーン誘導体を組み合わせて用いることが好ましく、特に、■ポリエーテル変性シリコーンとジメチルシリコーンオイル、■ポリエーテル変性シリコーンと環状シリコーンオイル、■ポリエーテル変性シリコーンとメチルフェニルシリコーンオイルの、いずれも溶解度パラメータの差が1以下となる組み合わせが好ましい。上記シリコーン誘導体の組み合わせが、溶解度パラメータ差で1を越える場合には、水膨潤性粘土鉱物と水を混合・分散して分散液を調製すると、良好なシリコーン誘導体と粘土鉱物との複合体を形成することができず、また粘土鉱物の分散安定性が低下し好ましくない。また、この分散液を用いて調製した固形化粧料組成物は、シリコーン誘導体等の油分の溶出やしみ出し防止効果を満足するものではない。
【0017】上記シリコーン誘導体の配合量は、分散液全量に対して、0.01〜40質量%、好ましくは、0.1〜30質量%となるように配合される。上記シリコーン誘導体の配合量が分散液全量に対して、0.01質量%未満であると、シリコーンの感触が出ず、目的とする乾燥後の感触などの使用感が得られず、また、40質量%を越えると粘土鉱物との良好な複合体を形成できず安定性が低下し、好ましくない。
【0018】また、溶解度パラメータの差が1以下の2種以上のシリコーン誘導体を組み合わせて用いる場合、特にポリエーテル変性シリコーンと表1に示したシリコーンオイル類を組み合わせて用いる場合には、ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、分散液全量に対して、0.1〜30質量%、好ましくは、0.5〜20質量%となるように配合される。0.1質量%未満であると、シリコーンの分散安定性が確保できないことがあり、また、30質量%を越えると、シリコーンの分散安定性が低下し、好ましくない。
【0019】本発明の分散液及び化粧料に用いる水膨潤性粘土鉱物としては、一般的に化粧料に用いることができる水膨潤性粘土鉱物であれば特に限定されるものではなく、例えば、天然物、天然物の精製品、天然の膨潤性を改質したもの又は合成されたものなどが挙げられる。水膨潤性粘土鉱物は、層間に水分子を水和して取り込む交換性のイオンを含有しており、膨潤性、吸着性、結合性、懸濁性、増粘性などの性質を示すものである。中でも、特に膨潤力が20mL/2g以上である水膨潤性粘土鉱物であることがシリコーンと粘土鉱物の分散安定性の点から好ましい。更に、上記膨潤力をもつ水膨潤性粘土鉱物を含有する分散液を用いて調製した固形化粧料組成物は、シリコーン等の油分の溶出やしみ出し防止に対して特に効果的である。
【0020】ここで、水膨潤性粘土鉱物の「膨潤力」とは、第13改正日本薬品局方に定められたベントナイトの試験方法を準用し、粘土鉱物2gの膨潤体積(mL)で表される。具体的には、粘土鉱物2.0gをとり、水100mLを入れた100mLのメスシリンダーに10回に分けて加え、これを24時間放置したときの器底の塊の見かけ容積を目盛りから読み取る。なお、粘土鉱物を10回に分けて水を加えるとき、先に加えた試料がほとんど沈着した後、次の試料を加えることとする。
【0021】上記膨潤力を有する天然又は合成されたモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ヘクトライト、スチブンサイトなどのスメクタイト族の粘土鉱物や、バーミキュライト、膨潤性合成フッ素雲母(Na型、Li型合成マイカ)などを用いることができる。また、上記粘土鉱物のイオン交換反応を行いさらに膨潤性を向上させた高金属イオン置換粘土鉱物なども用いることができる。スメクタイト族、スメクタイト族のモンモリロナイを主成分とするベントナイトなどが更なるシリコーン分散安定化の点で特に好ましい。なお、水膨潤性粘土鉱物は単独で、または2種以上を組合せて使用することができる。本発明の分散液及び化粧料に用いる上記膨潤力を有する水膨潤性粘土鉱物は、ポーラゲル(アメリカンコロイド社製)、ラポナイト(日本シリカ工業社製)、ベンゲル(豊順鉱業社製)、ルーセンタイト(コープケミカル社製)、クニピア(クニミネ工業社製)、ベンクレイ(水澤化学工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)などの商品名で市販されているものを使用することができる。
【0022】なお、天然から採取したものには、カルサイト、トリジマイト、クリストバライト、石英、各種無機物などの非膨潤性の夾雑物が含まれており、これらは分散液中で沈降したり、溶解して電解質を放出したりして洗浄剤の外観や粘土鉱物の分散性を損なう原因となる。従って、天然から採取した上記特性の水膨潤性粘土鉱物を使用する場合は、水膨潤性を有する成分が90%以上(非膨潤性の夾雑物は10%未満)、特に、95%以上(非膨潤性の夾雑物は5%未満)とするのが好ましい。
【0023】本発明の分散液及び化粧料において、上記特性の水膨潤性粘土鉱物の配合量は分散液全量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは、0.5〜10質量%となるように配合される。上記粘土鉱物の配合量が0.1質量%未満であると、シリコーン誘導体の分散安定性が確保できないことがあり、また、20質量%を越えて配合しても安定性改善効果は変わらず、場合によっては分散性が低下する場合があり、好ましくない。
【0024】本発明の分散液及び化粧料に用いる水としては、精製水、イオン交換水などを用いることができる。水の配合量は、分散液全量に対して、30質量%以上、好ましくは50質量%以上となるように配合される。水の配合量が30質量%未満であると、分散液の粘度が上昇し、製造性が低下する可能性がある。
【0025】本発明の分散液は、安定性に優れるだけでなく、乾燥後のなめらかさ、すべすべ感及びしっとり感に優れたものでもあるが、前記シリコーン誘導体以外の油分を配合することにより、化粧料に配合した場合の使用後感を更に向上することができる。油分としては、例えば、ワセリン、流動パラフィン、ペトロラクタムなどの鉱油;脂肪酸トリグリセリド、高級脂肪酸エステルなどの合成油;イソステアリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール(特に炭素数16〜22);スクワラン、鯨油、シール油、コッドレバー、獣脂、ミツロウなどの動物油;植物性スクワラン、アーモンド油、アラキン、麦芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、カルナバロウなどの植物油が挙げられる。
【0026】上記油分の配合量は、該分散液全量に対して、0.01〜30質量%、好ましくは、0.5〜20質量%となるように配合される。上記油分の配合量が分散液全量に対して0.01質量%未満であると、しっとり感などの感触が向上せず、また、30質量%を越えると、粘土鉱物との複合体を形成しにくく、シリコーン誘導体及び油分などの分散安定性が低下し、好ましくない。
【0027】本発明の分散液及び化粧料において、シリコーン誘導体、シリコーン以外の油分、水膨潤性粘土鉱物及び水とを混合して分散液を調製する際に、分散性に影響を及ぼさない範囲で、水溶性高分子化合物、顔料などの水不溶性粉体、色素、多価アルコールなどのその他の任意成分を適宜配合することができる。
【0028】本発明の製造方法において分散液の調製は、攪拌羽根を備えた攪拌槽(配合槽)に、シリコーン誘導体、シリコーン以外の油分、水膨潤性粘土鉱物及び水、並びに必要に応じて任意成分とを投入し、混合することにより行われる。成分の配合順序は特に限定されないが、工業的に調製可能であるためには、水膨潤性粘土鉱物と同量以下の水とで一次分散液を調製することが必要である。上記分散液を調製する装置としては、剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどを備えた攪拌装置が望ましく、特に好ましくは、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブリッドミキサーなどが望ましい。
【0029】本発明の分散液は、特に固形化粧料での油分の安定性に効果を示す。固形化粧料とは、使用基剤に特に限定されるものではなく、固形状、軟膏状、ゲル状組成物として調製されるものである。化粧料の種類は特に限定されるものではなく、ファンデーション、口紅、ほお紅、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、制汗剤、チック、化粧石鹸等が挙げられる。形状も、パウダー状、スティック状、ペースト状、ペンシル状等が挙げられる。また、成型方法は、型中での冷却固化、造粒、加圧プレス、混練等が挙げられる。
【0030】固形化粧料の調製において、本発明の分散液と、その他の固形化粧料成分との混合・分散の態様は、特に限定されるものではない。例えば、攪拌羽根を備えた攪拌槽(配合槽)に、分散液及びその他の固形化粧料成分を順次添加して混合・分散する態様、分散液を乾燥物として、固形化粧料に含有させる態様などが可能である。分散液の乾燥方法は、特に限定されるものではなく、加熱、噴霧乾燥、ロール混練等の方法が挙げられる。
【0031】上記固形化粧料を調製する装置としては、特に限定されるものではないが、攪拌装置や混練装置等が挙げられる。攪拌装置としては、剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどを備えた攪拌装置が望ましく、特に好ましくは、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサーなどが望ましい。混練装置としては、ホイール形、ボール形、ブレード形、ロール型などが挙げられる。
【0032】本発明の分散液は、固形化粧料の中でも、特に固形石鹸において、油分のしみ出し防止効果が大きい。固形石鹸に配合される場合、石鹸糊の主成分となる脂肪酸塩の油脂原料は特に限定されるものではなく、油脂、脂肪酸、メチルエステルのいずれを用いても良い。また、アルカリ剤も特に限定されるものではなく、苛性ソーダ、苛性カリウムのいずれを用いても良い。従って、製造方法も鹸化法、中和法、エステル鹸化法のいずれでも良い。こうして得られた脂肪酸塩に脂肪酸、多価アルコール、酸化防止剤等の任意成分を更に添加し、水分約30%の石鹸糊が調製される。
【0033】固形石鹸の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、石鹸糊を乾燥した石鹸素地(水分約10%)に任意成分を添加した後に混練し型打ちする機械練製造、石鹸素地を打錠機等により加圧成型する方法、石鹸糊に各種任意成分を添加・均一に混合した後、型中に流し込み、冷却、固化させる枠練り製造があげられる。この時、石鹸糊を乾燥させ石鹸素地を調製する方法は、通常の方法より任意に選定される。枠練製造については、冷却固化物を一定環境下にて乾燥させても良いし、乾燥させなくても良い。固形石鹸に本発明の分散液を含有させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、石鹸糊と分散液とを混合した後、機械練製造しても良いし、枠練製造しても良い。また、分散液を乾燥物とし、石鹸糊を乾燥させた石鹸素地とを混合しても良い。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、工業的に容易に製造が可能で、油分の溶出やしみ出しによる外観の悪化を防ぎ、保存安定性に優れ、更に良好な使用後感および使用性を与える粘土鉱物分散液及びそれを含有する化粧料が提供される。
【0035】
【実施例】次に、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「%」は、いずれも「質量%」を表わす。また、実施例記載の成分量について、「分散液」、「石鹸糊」、「石鹸素地」以外の成分量は、全て純分換算である。また、実施例及び比較例に使用した香料A〜D組成は、特願平2000−361917の記載の香料組成物で開示されている。
【0036】実施例1〜20、比較例1〜15表2、表3に示す各成分を下記に示す方法により、分散液を調製し、その経日安定性を下記方法により評価した。これらの結果を表2、表3に示す。
【0037】<経日安定性の評価法>試料を50mLのサンプル瓶に入れ密栓し、50℃で静置保存後、サンプル瓶上部に油分の分離状態を下記評価基準により、目視判定して安定性の指標とした。

<均一性の評価法>試料表面を観察し、下記評価基準により目視判定した。
○:ダマが見られない×:ダマが見られる【0038】<実施例1の製造方法>アジホモミキサー(特殊機化工業社製、以下同様)にジメチルシリコーンオイル150質量部を投入後、ベントナイト50質量部を30℃、パドル32rpmで5分間分散・混合した後、ポリエーテル変性シリコーン50質量部を投入し、30℃、パドル32rpmで120分間分散・混合した。次いで、精製水50質量部を投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて20分間混合して一次分散液を得た。さらに、残りの精製水700質量部を投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて50分間混合して粘土鉱物分散液を調製した。
【0039】<実施例2〜10の製造方法>実施例1と同様の方法にて、粘土鉱物分散液を調製した。
<実施例11の製造方法>アジホモミキサーにジメチルシリコーンオイル160質量部、植物性スクワラン70質量部を投入後、ベントナイト45質量部を30℃、パドル32rpmで5分間分散・混合した後、ポリエーテル変性シリコーン45質量部を投入し、30℃、パドル32rpmで120分間分散・混合した。次いで、精製水45質量部を投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて20分間混合して一次分散液を得た。さらに、残りの精製水635質量部を投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて50分間混合して粘土鉱物分散液を調製した。
<実施例12〜20の製造方法>実施例11と同様の方法にて、粘土鉱物分散液を調製した。
【0040】<比較例1の製造方法>アジホモミキサーに全成分を一括投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて70分間混合し調製した。
<比較例2の製造方法>アジホモミキサーにジメチルシリコーンオイル150質量部を投入後、ベントナイト50質量部を30℃、パドル32rpmで5分間分散・混合した後、ポリエーテル変性シリコーン50質量部を投入し、30℃、パドル32rpmで120分間分散・混合した。次いで、精製水750質量部を一括投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて70分間混合し調製した。
【0041】<比較例3の製造方法>アジホモミキサーにジメチルシリコーンオイル150質量部を投入後、ベントナイト50質量部を30℃、パドル32rpmで5分間分散・混合した後、ポリエーテル変性シリコーン50質量部を投入し、30℃、パドル32rpmで120分間分散・混合した。次いで、精製水500質量部を投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて20分間混合して一次分散液を得た。さらに、残りの精製水250質量部を投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて50分間混合して調製した。
<比較例4〜8の製造方法>実施例1に準じて調製した。
【0042】<比較例9の製造方法>アジホモミキサーに全成分を一括投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて70分間混合し調製した。
<比較例10の製造方法>アジホモミキサーにジメチルシリコーンオイル160質量部、植物性スクワラン70質量部を投入後、ベントナイト45質量部を30℃、パドル32rpmで5分間分散・混合した後、ポリエーテル変性シリコーン45質量部を投入し、30℃、パドル32rpmで120分間分散・混合した。次いで、精製水680質量部を一括投入し、30℃、パドル32rpm、ホモミキサー2200rpmにて70分間混合し調製した。
<比較例11〜15の製造方法>実施例11に準じて調製した。
【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】表2、表3の結果より、シリコーン誘導体及び粘土鉱物を含有する化粧料を製造する際に、予め粘土鉱物と同量以下の水を配合した一次分散液を調製した場合には、均一性のよい分散液が得られ、また溶解度パラメータの差が1以下の2種以上のシリコーン誘導体を含有することにより、油分の分離やしみ出しの無い安定性に優れた分散液を得られることが判った。比較例の組成物は、いずれも十分に均一な分散液を調製することができなかった。
【0046】実施例21〜28、比較例16〜30(口紅組成物)<経日安定性評価法>試料を50℃で静置保存後、保存品表面に油分のしみ出しの変化を下記評価基準により、目視判定して安定性の指標とした。評価基準は、分散液と同じ。
<使用感評価法>女性20名(専門パネラー)が、本発明品、比較品をそれぞれの用途に合わせて使用後、下記基準で使用感を官能的に評価し、下記採点基準(5点満点)で採点を行った。また、その評価点の合計により、下記評価基準で評価を行った。
採点基準:5点:非常によい4点:よい3点:どちらともいえない2点:やや悪い1点:悪い評価基準:◎:評価点の合計が、80点以上○:評価点の合計が、60点以上79点以下△:評価点の合計が、30点以上59点以下×:評価点の合計が、29点以下【0047】下記に示す方法により、口紅組成物を調製し、その経日安定性を評価した。これらの結果を表4に示す。
<実施例21の製造方法>ミキサー中に、実施例3の分散液636質量部を投入後、色剤として二酸化チタン24質量部、赤色201号5質量部、赤色202号10質量部、黄色4号アルミニウムレーキ2質量部を添加し、混合、均一に分散させ、顔料分散組成物を調製した。次に、セレシンワックス80質量部、マイクロクリスタリンワックス65質量部、カルナバロウ40質量部、キャンデリラロウ57質量部、ラノリン81質量部を約85℃で加熱溶解した中に、先の顔料分散組成物677質量部を添加し、水分が1%以下になるまで均一に加熱混合した。この混合物を型に流し込み、冷却(急冷)を行い、スティックとし、水分1%以下の口紅組成物を得た。
<実施例22〜28、比較例16〜30の製造方法>実施例21に準じて口紅組成物を得た。
【0048】
【表4】

【0049】表4の結果より、本発明における製造方法により調製した実施例1〜20の安定性に優れた分散液を使用することにより、口紅表面に油分のしみ出しが見られず、経日安定性に優れた口紅組成物を得られることが判った。
【0050】実施例29〜34、比較例31〜42(制汗剤組成物)下記に示す方法により制汗剤組成物を調製し、その経日安定性を口紅組成物と同様に評価した。これらの結果を表5に示す。
<実施例29の製造方法>ミキサー中に、実施例3の分散液724質量部を投入後、85℃で加熱攪拌した。これに、予め85℃で加熱溶解したパラフィンワックス23質量部、ステアリルアルコール55質量部、カルナバワックス39質量部を順次添加し、混合した。次にクロルヒドロキシアルミニウム156質量部、酸化防止剤1を添加し、水分が1%以下になるまで均一に加熱混合した。この混合物を65℃まで冷却しながら攪拌した後、香料Aを2質量部添加し、均一に混合した。この混合物を型に流し込み、冷却しスティックとし、水分1%以下の制汗剤組成物を得た。
<実施例30〜34、比較例31〜42の製造方法>実施例29に準じて制汗剤組成物を得た。
【0051】
【表5】

【0052】表5の結果より、本発明の実施例1〜20の安定性に優れた分散液を使用することにより、制汗剤表面に油分のしみ出しが見られず、経日安定性に優れた制汗剤組成物を得られることが判った。
【0053】実施例35〜56、比較例43〜54(固形石鹸組成物)下記に示す方法により固形石鹸組成物を調製し、その経日安定性を口紅組成物と同様の方法により評価した。なお、石鹸糊の組成を表6に、固形石鹸組成物の組成及び評価結果を表7、表8に示す。
【0054】<実施例35の製造方法>90℃に加熱したニーダー中に、牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸及び水分調製用精製水を投入し、溶解した。これにNaOH35%水溶液を加えながら攪拌し、結果的に、表6に示した石鹸糊1の牛脂脂肪酸ナトリウム505質量部、ヤシ油脂肪酸ナトリウム135質量部を得た。これに牛脂脂肪酸40質量部、ヤシ油脂肪酸10質量部、塩化ナトリウム10質量部、エデト酸2ナトリウム2水塩1質量部、ヒドロキシエタンジホスホン酸1質量部、水分調製用精製水を添加、均一に混合し、水分298質量部の表6に示した石鹸糊1を得た。90℃に加熱したニーダー中に、石鹸糊1を650質量部投入後、実施例1の分散液を350質量部添加し、均一に攪拌混合した。その後、熱交換器を通して120〜140℃まで温度を上昇させ、真空度を100〜400mmHgにコントロールした真空乾燥塔内噴霧して水分約10%まで乾燥し、2軸式単段プロッダーを通してペレット状に加工し、これを石鹸素地とした。この石鹸素地988質量部に、二酸化チタン2質量部及び色素適量を香料10質量部に溶解或いは均一分散したものを添加した後、2軸式2段プロッダー(冷却水20℃、石鹸温度40℃〜50℃)にて混練したものを型打ちし、固形石鹸組成物を得た。
<実施例36〜56、比較例43〜54の製造方法>実施例35に準じて固形石鹸組成物を得た。
【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】表7及び表8の結果より、本発明の実施例1〜20の分散液を使用することにより、石鹸表面に油分のしみ出しが見られず、経日安定性に優れた固形石鹸組成物を得られることが判った。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成13年3月5日(2001.3.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−255724(P2002−255724A)
【公開日】 平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願番号】 特願2001−109212(P2001−109212)