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【発明の名称】 C型慢性肝炎治療剤
【発明者】 【氏名】栗原 毅

【要約】 【課題】安全で有効なC型慢性肝炎治療剤を提供する。

【解決手段】肝機能改善効果及びHCV増殖抑制効果を有し、C型慢性肝炎治療剤として有用な、式【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】式【化1】

で表されるα−[4−(4−クロルベンゾイルアミノエチル)フェノキシ]イソ酪酸またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するC型慢性肝炎治療剤。
【請求項2】C型慢性肝炎治療剤として有用な、式【化2】

で表されるα−[4−(4−クロルベンゾイルアミノエチル)フェノキシ]イソ酪酸またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬品組成物。
【請求項3】式【化3】

で表されるα−[4−(4−クロルベンゾイルアミノエチル)フェノキシ]イソ酪酸またはその薬理学的に許容される塩を有効量含有させ、医薬品添加物を添加してなる請求項2記載の医薬品組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、C型慢性肝炎治療剤に関するものである。
【0002】詳しくは、式【0003】
【化4】

【0004】で表されるα−[4−(4−クロルベンゾイルアミノエチル)フェノキシ]イソ酪酸(一般名bezafibrate、ベザフィブラート、以下ベザフィブラートという)またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するC型慢性肝炎治療剤に関するものである。
【0005】また、本発明はC型慢性肝炎治療剤として有用な、上記式(I)で表されるベザフィブラートまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬品組成物に関するものである。
【0006】
【従来の技術】C型肝炎は、血液からのC型肝炎ウィルス(HCV、以下HCVという)感染により発症する疾患で、半数以上が慢性化し、慢性化した場合は肝硬変、更には肝臓ガンに進展しやすいため、C型慢性肝炎治療においては肝発ガン予防のためにも薬物治療が不可欠である。
【0007】C型慢性肝炎の治療目標は肝機能の持続正常化すなわち肝機能改善とHCV−RNA持続陰性化すなわちHCVの除去であり、C型慢性肝炎治療において第一選択薬とされているインターフェロンは肝機能改善効果と抗HCV効果を有しており、最も広く用いられているものの、1日投与量及び総投与量が規定されており、処方にも注意が必要であり、さらにその有効性には限界があり無効症例も少なくない。
【0008】その他の治療剤としては、強力ミノファーゲンC、グリチルリチン、ウルソデオキシコール酸などが用いられているが、いずれも肝機能改善効果のみを有し、HCV−RNA持続陰性化には影響を与えず、肝機能の持続正常化のみを目的として使用されているにすぎず、また無効例もしばしば報告される。ウルソデオキシコール酸についてもある程度有効性が報告されている一方で、推奨できないとの報告もあり、確実な効果が期待できない。
【0009】また、HCV除去を目的として、オフロキサシン(ofloxacin)やレボフロキサシン(levofloxacin)などの経口抗ウィルス剤が検討されているが、一般に経口抗ウィルス剤は長期連投による毒性、副作用発現が問題で、殆どの場合長期継続投与が困難である。
【0010】本発明の前記式(I)で表されるベザフィブラートまたはその薬理学的に許容される塩はコレステロール低下作用を有し、高脂血症治療剤として有用な化合物であり、既に高脂血症治療において広範に使用されている。しかしながらベザフィブラートがC型慢性肝炎治療に有効であることについてはこれまで全く報告されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明で解決しようとする課題は、C型慢性肝炎治療において第一選択薬とされているインターフェロンの無効症例にも効果を発揮する顕著な肝機能改善効果と抗HCV効果を有し、しかも長期連投においても副作用発現の問題がない、有効且つ安全なC型慢性肝炎治療剤を開発することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、顕著な肝機能改善効果と抗HCV効果を有し、C型慢性肝炎治療剤の第一選択薬であるインターフェロン無効症例にも有効でしかも長期連投においても副作用発現の問題がない、有効且つ安全なC型慢性肝炎治療剤を開発すべく鋭意研究を行った結果、コレステロール低下作用を有し、高脂血症治療剤として既に広く使用されている、本発明の前記式(I)で表されるベザフィブラートがインターフェロン無効症例において、長期経口投与により肝胆道系酵素を低下させ、しかもHCV増殖を抑制し、C型慢性肝炎治療効果を有するという知見を得、本発明を成すに至った。
【0013】C型慢性肝炎治療におけるポイントは、前述のように肝機能改善すなわち肝胆道系酵素の低下とHCV−RNA持続陰性化すなわちHCVの除去である。
【0014】本発明者は、インターフェロン療法を6ヶ月間継続しても改善が見られなかった無効症例に対しベザフィブラート200mgを1日2回、6ヶ月間投与したところ、肝胆道系酵素であるアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST、以下ASTという)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT、以下ALTという)およびγ−グルタミールトランスフェラーゼ(γ−GTP、以下γ−GTPという)が、ALTおよびγ−GTPにおいては投与1ヶ月目以降全期間で、ASTにおいては投与3ヶ月目及び6ヶ月目で、それぞれ有意に低下し、ベザフィブラートが肝機能改善効果を有することを確認した。
【0015】さらに、HCV−RNA量も、投与3ヶ月目及び6ヶ月目で有意に低下しており、ベザフィブラートがHCV増殖抑制効果も有することを確認した。
【0016】本発明の前記式(I)で表されるベザフィブラートは、前述したように血中コレステロール低下作用を有する事が確認されており、高脂血症治療剤として既に広く用いられている。しかしながら、これまで、ベザフィブラートがC型慢性肝炎において肝胆道系酵素低下作用及びHCV増殖抑制作用を示す事は全く報告されていない。
【0017】以上のように、ベザフィブラートは肝胆道系酵素低下作用及びHCV増殖抑制作用を有し、C型慢性肝炎に対し顕著な治療効果を示し、しかもC型慢性肝炎治療の第一選択薬とされるインターフェロン無効症例においても効果を発揮するという卓越した作用効果を有している。
【0018】さらに、既に高脂血症治療剤として広く用いられており、長期連投においても重篤な副作用も示さず安全であることが確認されている。
【0019】本発明の前記式(I)で表されるベザフィブラートまたはその薬理学的に許容される塩はC型慢性肝炎治療剤として極めて有用な化合物であり、従って、ベザフィブラートまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有させ、医薬品添加物と混合する事により、C型慢性肝炎治療剤として極めて有用な医薬品組成物を製造する事ができる。
【0020】本発明の医薬品組成物を実際の治療に用いる場合、種々の剤型にして経口的あるいは非経口的に投与されるが、経口投与剤としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドライシロップ剤など、非経口投与剤としては、注射剤、座剤、貼付剤などを挙げる事ができる。
【0021】これらの医薬品組成物は、通常の調剤学的手法に従い、その剤型に応じ適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などの医薬品添加物を適宜混合し、常法に従い調剤する事により製造する事ができる。
【0022】例えば、散剤は、有効成分に必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和して散剤とする。
【0023】錠剤は、有効成分に必要に応じ、適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などを加え、常法に従い打錠して錠剤とする。さらに必要に応じ、適宜コーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠、腸溶性皮錠などにする。
【0024】カプセル剤は、有効成分に必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和した後、あるいは又、常法により、顆粒あるいは細粒とした後、適当なカプセルに充填してカプセル剤とする。
【0025】さらに、このような経口用製剤の場合は治療方法に応じて速放性あるいは徐放性製剤とすることもできる。
【0026】本発明の医薬品組成物を実際の治療に使用する場合、有効成分の投与量は、患者の年齢、体重、疾患の程度、治療効果等によって適宜決定されるが、概ね、経口投与の場合、ベザフィブラート又はその薬理学的に許容される塩を、成人1日当たり、100〜1000mg、好ましくは400〜600mgの範囲で投与する。症状に応じて適宜増減してもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の内容を以下の実施例により更に詳細に説明する。
【0028】
【実施例】実施例 1C型慢性肝炎治療効果肝生検でC型慢性肝炎と診断され、インターフェロン療法を6ヶ月実施しても無効であった患者を対象にしてベザフィブラートのC型慢性肝炎治療効果を確認した。対象症例、投与方法、測定項目及び結果は以下のとおりである。
【0029】対象症例:患者数:20例(男性 14例、女性 6例)
平均年齢:59.5±9.3歳ジェノタイプ:1b 19例、2a 1例【0030】投与方法:インターフェロン療法終了後6ヶ月経過した時点で無効と判断され、その後の6ヶ月間を薬剤無投与によるウォッシュアウト期間とした後、ベザフィブラートを朝、夕食後各200mg、計400mg、6ヶ月間経口投与した。投与期間中は肝機能に変化を及ぼすと考えられる薬剤の新たな投与は禁止した。
【0031】測定項目:ベザフィブラート投与前、投与1ヶ月目、3ヶ月目および6ヶ月目のAST、ALT、γ−GTPおよびHCV−RNAを定量し、投与前値と比較した。
【0032】なお、HCV−RNA定量はコバスアンプリカーモニター(Cobas Amplicor Monitor)法により行った。定量値は、AST、ALT、γ−GTPについてはIU/Lで、HCV−RNAについてはKIU/mLで表し、いずれも平均値±標準偏差値(mean±S.D.)で示した。
【0033】有意差検定はt検定(paired t test)で行った。なお、表中の「N.S.」は有意差なしを意味する。
【0034】結果:AST:表1に示すとおり、投与3ヶ月目及び6ヶ月目で有意に低下した。
【0035】
【表1】

【0036】ALT:表2に示すとおり、投与1ヶ月目以降全期間で有意に低下した。
【0037】
【表2】

【0038】γ−GTP:表3に示すとおり、投与1ヶ月目以降全期間で有意に低下した。
【0039】
【表3】

【0040】HCV−RNA:表4に示すとおり、投与3ヶ月目及び6ヶ月目で有意に低下した。
【0041】
【表4】

【出願人】 【識別番号】000104560
【氏名又は名称】キッセイ薬品工業株式会社
【出願日】 平成13年2月23日(2001.2.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−249429(P2002−249429A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−47942(P2001−47942)