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【発明の名称】 促進された薬物流量を提供する準飽和の経皮薬物送達装置
【発明者】 【氏名】チャールズ ディー. エバート

【氏名】ディネシュ パテル

【氏名】ワーナー ヘイバー

【要約】 【課題】経皮薬物投与の分野において、予想外に高い流量で薬物を提供する装置および方法を提供すること。

【解決手段】患者に持続する期間疎水性薬物を経皮的に拡散することにより投与する装置であって:(a)担体中に溶解した薬物を含有するリザーバーであって、担体中の薬物の量および溶解度が準飽和状態を定義し、該状態は実質的に該期間の間、薬物皮膚薬物流量を提供するに十分であり、該流量は担体が薬物で飽和しているとき提供される薬物皮膚流量より顕著に大きいリザーバー;および(b)患者皮膚とリザーバーの拡散関係を維持する手段、を包含する、装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 患者に持続する期間疎水性薬物を経皮的に拡散することにより投与する装置であって:(a)担体中に溶解した薬物を含有するリザーバーであって、担体中の薬物の量および溶解度が準飽和状態を定義し、該状態は実質的に該期間の間、薬物皮膚薬物流量を提供するに十分であり、該流量は担体が薬物で飽和しているとき提供される薬物皮膚流量より顕著に大きいリザーバー;および(b)患者皮膚とリザーバーの拡散関係を維持する手段、を包含する、装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は経皮薬物投与の分野に関する。より特定すれば、予想外に高い流量で薬物を提供する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な経皮薬物送達装置は、薬物および担体からなる薬物リザーバーを包含し、薬物は拡散によりリザーバーから放出される。このような装置の例は、”Transdermal Drug Delivery Systems、”U.S. Pharmacist,pp.49−78に記載されている。
【0003】Fickの法則が、古典的にこのような拡散装置の薬物放出動力学を特徴付けるために用いられている。この法則によれば、このような拡散装置からの薬物の最大流量は、担体内の薬物濃度が飽和であるときに起こる。相関して、当該技術は、一定の薬物−担体の組み合わせからの薬物が皮膚を通過する最大流量は(薬物に対し、皮膚が速度を支配する障害でないとき)また、担体内の薬物濃度が飽和であるときに存在することを教示する。大部分の薬物で最大経皮膚流量が要求されるため、拡散装置は伝統的に、装置の全投薬期間中、担体中で飽和状態を保つよう設計される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】出願人は、装置内で薬物が疎水性である拡散装置からの最大皮膚流量が、予想に反して、薬剤が担体中で飽和以下で維持されるときに起こることを見い出した。この発見は経皮薬物装置分野の従来の知識に完全に反する。さらに、出願人は、この発見を使用して、治療に有効なレベルでテストステロンを非陰嚢皮膚を通じて送達した。以下で詳細に議論するように、当該技術は有効なテストステロン経皮送達が陰嚢皮膚を通じてのみ達成し得ることを教示する。
【0005】先行特許のいくつかは、最大流量が飽和濃度で起こるので、薬物濃度を飽和で維持するのが好ましいとすると同時に、薬物濃度が飽和以下で有り得ることを示唆した。例えば、米国特許第4,568,343;4,645,502;4,816,258;4,863,738;4,865,848;および4,908,027号を参照。しかし、これらの特許は、投薬期間を通じて薬物の準飽和(subsaturation)レベルの維持、またはそのような条件下で疎水性薬物で皮膚流量におけるいかなる増加をも達成し得ることを教示しない。
【0006】一般に、テストステロン治療法は男性の性機能低下、貧血、乳ガン、および遺伝性血管性水腫の治療に用いられている。多種類の他の疾病例えば、アンドロゲン欠損により仲介されると見られる男性骨粗鬆症の治療にもまた考慮される。テストステロンの伝統的な投与方法は:エナンタート(enanthate)のような長期間作用するテストステロンエステルの筋肉内注射、なぜなら経口的に投与されるテストステロン自身は、肝臓で速やかに分解されるため;全身的に有効なテストステロンを提供するテストステロンウンデカノエートの経口投与;および融合されたテストステロンペレットの皮下移植を包含する。これらの伝統的な投与方式はいずれもテストステロンおよびその活性代謝物、ジヒドロテストステロン(DHT)およびエストラジオール(E2)の生理的レベル、または日周期パータンを全体的に提供しない。
【0007】テストステロンを含むステロイドが皮膚を通過して吸収されることは公知である。しかし、通常、経皮送達(例えば、首、背、胸、腕)で使用される皮膚領域のテストステロンに対する透過性は、皮膚の限られた領域を介した治療に必要なテストステロン量(通常、5−10mg/日)の送達には低すぎる。この点に関して、Korennan,S.G.,ら(Am J Med(1987)83:471−478)は、男性性機能低下の治療のためのテストステロン送達に関する報告で「限られた領域へのプログラムされた経皮送達を提供するために、かなり高い吸収速度を有する、より透過性の皮膚領域が必要である」と結論付けた。これによって、Korennanらは、テストステロンに対して高い透過性を持つ陰嚢皮膚をテストステロンの送達部位として選択した。この報告は、さらにALZA社が開発した陰嚢経皮送達システムを記載する。米国特許第4,704,282号はこのシステムを詳細に記載する。このシステムは、準飽和レベルでテストステロンを含有するポリマーマトリックスおよびテストステロン用の限られた溶媒でもあるマトリックスに取り込まれた織物補強材からなる。前記特許は減少するテストステロン送達速度が好適であるため、準飽和マトリックスが使用されることを示す。補強織物が、構造上の支持機能を提供することに加えて、放出速度プロファイルを平坦にする効果を有する、テストステロンの第2のリザーバーとして作用すると述べられている(前記特許のFigure2を参照)。前記特許は、透過性促進剤がマトリックスに存在し得ると述べているが、そのような促進剤の使用例は記載されていない。前記特許は、前記システムにより提供されるテストステロンの皮膚流量に関するデータを示していない。前記特許の実施例2は、このシステムが非陰嚢皮膚特に股に適用され得、陰嚢皮膚に適用されたときと「類似の結果」を生じると陳述する。しかし、この陳述は、股に適用したシステムは、テストステロンの血中レベルを増加しないと報告した、後のKorennanらの報告(いずれもALZA社によるもの)と矛盾している。
【0008】Ahmed,S.R.,ら(J Clin Endocrinol Metab(1988)66:546−557)およびFindlay,J.C.(JClin Endocrinol Metab(1989)68:369−373)は、60cm2 ALZA陰嚢経皮システムが約3.7mg/日を送達し、そして性機能低下の男性に低い通常のテストステロンレベルを生じることを報告した。このような量は内因性生産(5−10mg/日)を模倣するために必要な量よりも幾分低いと考えられている。さらに、陰嚢皮膚は相対的に高いレベルの5α−レダクターゼを有するため、連続的なテストステロンの陰嚢経皮送達によってDHTのレベルおよびDHT/テストステロン比が通常より4−5倍になる。このような異常なレベルおよび比は、望ましくない副作用を引き起こす。
【0009】つまり、従来技術は、テストステロンを非陰嚢皮膚を通じて経皮投与することを、このような皮膚がテストステロンに対する透過性が低いために、教示しない。テストステロンの陰嚢経皮送達が教示されているが、この送達には高いDHTおよびDHT/テストステロン比レベルが伴い、そしてかつ内因性生産を模倣するテストステロン送達のレベルを提供しない。さらに、陰嚢皮膚は敏感で、そしてその領域が限られており、そのことは不快感をもたらし、この送達形式は患者に受け入れられにくい。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述したように、本発明は、拡散装置から疎水性薬物の経皮投与の場合の発見に基づき、最大皮膚流量が担体中の薬物濃度が飽和以下で達成される。いくつかの実施例では、準飽和状での流量の増加は、飽和でより顕著に高い。故に、本発明は、この発見に基づいて、疎水性薬物を経皮的に投与する装置および方法に関する。
【0011】従って、一面では、本発明は、患者に持続する期間疎水性薬物を経皮的に拡散することにより投与する装置であって:(a)担体中に溶解した薬物を含有するリザーバーであって、担体中の薬物の量および溶解度が準飽和状態を定義し、該状態は実質的に該期間の間、薬物皮膚薬物流量を提供するに十分であり、該流量は担体が薬物で飽和しているとき提供される薬物皮膚流量より顕著に大きいリザーバー;および(b)患者皮膚とリザーバーの薬物送達関係を維持する手段を包含する。
【0012】他の局面では、本発明は、疎水性薬物を経皮的に、患者に持続する期間リザーバーを配置することにより投与のための方法における改良であって、該リザーバーは、担体中に、患者の皮膚と接触して溶解された薬剤を含有し、該改良は該期間の開始時には飽和以下で担体中に薬剤を含有する工程、およびその後充分な時間実質的に該期間を通じて、担体が薬物で飽和しているとき提供される薬物皮膚流量より実質的大きい薬物皮膚流量を提供するために、準飽和を維持する工程を包含する。
【0013】本発明の他の局面は、担体中に溶解された薬物のリザーバーから、疎水性薬物の流量を増加する方法であって、該リザーバーは持続する期間患者の無傷の皮膚の領域と、担体中の薬物濃度が飽和のとき提供される流量以上で薬物伝達接触し、該期間の開始時には飽和以下で担体中に薬物濃度を含有する工程、およびその後実質的に該期間の間中該増加を提供するために充分な時間準飽和状態を維持する工程を包含する。
【0014】さらに、本発明の他の局面は、無傷の非陰嚢皮膚領域を通じてテストステロンを、5から30μg/cm2/hrの流量で経皮的に投与する装置であって:(a)担体中に溶解したテストステロンおよび皮膚透過促進剤を含有するリザーバーであって、担体中のテストステロンの量および溶解度が、準飽和の状態を定義し、非陰嚢皮膚を介したテストステロンの促進された透過を引き起し、そしてここで、該準飽和の状態および該透過促進剤から得られる組み合わされた透過促進が、該流量を提供するリザーバー;および(b)該リザーバーを、無傷の非陰嚢皮膚との拡散関係を維持する手段;からなる装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】用語「薬物」は本発明の装置の主要な活性成分の記載に用いるとき、該装置に装着する、治療、予防および/または生理効果を有する生物学的に活性な化合物または化合物の混合物を意味する。該装置に使用し得る薬物のタイプの例は、抗炎症薬、鎮痛薬、抗関節炎薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗精神病薬、精神安定薬、抗不安薬、麻酔拮抗剤、抗パーキンソン剤、コーリン作用薬、抗癌剤、免疫抑制剤、抗ウイルス薬、抗生物質、欲望抑制剤、制吐薬、コーリン作用拮抗薬、抗ヒスタミン薬、抗片頭痛薬、血管拡張剤、ホルモン製剤、避妊薬、利尿薬、抗高血圧薬、心臓血管薬などである。
【0016】本明細書で用いる用語「疎水性」は、室温で薬物の水への溶解度が50μg/ml以下であることを意味する。疎水性薬物の特定の例はエストロゲン、プロゲストゲン、テストステロン、ノルゲストレル、酢酸ノルエチンドロンおよび酢酸メドロキシプロゲステロンのようなステロイドである。
【0017】語句「持続する期間」は、少なくとも約一日の期間、通常1−14日、より通常には1−7日を意味する。用語「実質的な期間」は、期間の少なくとも60%、より通常には少なくとも80%、そして好ましくは期間の100%を意味する。
【0018】用語「皮膚流量」は、MerrittおよびCooper(J Controlled Release(1984)1:161)の方法により測定されるように薬物の皮膚を横切る移動速度を意味する。流量単位は好ましくはμg/cm2/hrである。
【0019】用語「顕著に大きい」は、本発明の使用により達成される皮膚流量の増加を特徴づけるのに用い、典型的には、担体が薬物で飽和しているとき提供される皮膚流量の少なくとも約25%以上、通常は25%から400%、そしてさらに一般的には50%から200%の皮膚流量の増加を示す。
【0020】用語「非陰嚢皮膚」は男性外生殖器の皮膚以外のヒトの皮膚を意味する。一般に体の比較的無毛部位例えば、腕、背、胸、尻、腰、および首を示す。
【0021】本明細書で用いられる用語「テストステロン治療法」は、指定されたテストステロンが適用されるすべての適応症の治療を意味し、制限されることなしに下記病症を包含する、成人および青年期における原発性、続発性および他の男性性機能低下状態、貧血、遺伝性的血管性水腫、男性避妊、男性不妊症、外科手術後の回復、男性性交不能、年寄男性のホルモン補充、およびエイズに関連する性機能低下。原発性(精巣の)性機能低下症は、クラインフェルター症候群、ウイルス性精巣炎、および外傷、放射線または化学治療、またはアルコール濫用による低テストステロン生成を包含する。続発性(視床下部/下垂体)障害は視床下部性性機能低下、小脳腫瘍、および下垂体腫瘍に伴う症状を包含する。他の男性性機能低下障害は、老化、全身性疾患、ストレス、および糖尿病に伴う障害を包含する。
【0022】語句「健康で若い成年男性により生産される内因性血中レベルに実質的相当する」は、図7の図に示されたテストステロン生産の日周期リズムの近接類似体である血中レベルプロフィールを意味する。
【0023】本発明の装置は、拡散により薬物を連続的に放出する。この方式では、駆動力は、前記装置リザーバーと皮膚および皮下組織の間の薬物濃度における相違である。本発明の場合は、薬物が完全に担体または賦形剤に溶解されており、担体を通じて皮膚に透過する。担体は、もち論、皮膚と薬物送達(拡散的)関係にあり、これは担体が、皮膚と直接接触するか、または薬物、そしてもし存在すれば透過促進剤をリザーバーから皮膚へ移動させるために、透過通路を提供する、担体と皮膚間に置かれた物質と接触することを意味する。仲介物質は、均一(homogeneous)、不均一(heterogeneous)で有り得、または異なる層の多層で構成され得る。全ての場合で、仲介物質は薬物に対して透過可能であり、そして好適には拡散の速度を制御する障害にならない(即ち、担体のように、少なくとも薬物および、もし存在すれば、透過促進剤に対して、透過可能である)。
【0024】上記のように、担体または賦形剤は、薬物に対して透過可能である。この点に関して、担体中の薬物の拡散係数は、通常1×l0-6および1×10-12cm2/秒の間であり得、より通常には1×l0-7および1×10-10cm2/秒の間である。担体中の薬物の溶解度は、必要な薬物の累積用量を提供するため、装置に十分な薬物が含まれるような値であり、薬物ごとに変化し得る。同時に、溶解度は、前記装置が、実用不可能な面積または厚さを要求するほど低いべきではない。大部分の例では、担体中の薬物の溶解度は、1から500mg/mlで、より通常には1から200mg/ml(室温測定)の範囲内である。担体中の薬物の量は、通常0.001および100mgの間の範囲、より通常には、1および50mgの間の範囲である。リザーバーの厚さは、通常約0.01から5mm、より通常には0.03から2mmである。皮膚と、薬物送達(拡散)接触する装置の面積は、通常、1および150cm2、より通常には、5および40cm2の間であり得る。
【0025】テストステロンの場合、担体中のその溶解度は、通常、5から10mg/日の範囲内であり、必要なテストステロンの累積量を提供するため、装置に十分なテストステロンが含まれるようあるべきである。同時に、溶解度は、装置が実用不可能な大面積または厚さを要求するほど低くあるべきではない。担体中のテストステロンの量は、通常5から50mg/単位用量型の範囲で、より通常には10から20mgの間である。リザーバーの厚さは、通常約0.01から5mmで、より通常には0.03から2mmである。
【0026】担体は、装置を「固体状態」装置(即ち、室温で液体成分がない)にする固体または半固体ポリマーであり得る。あるいは、担体は液体形態(例えば、液体、ゲル、エマルション、懸濁液、そして水性または非水性)であり得る。使用し得る液体担体の例は、エタノール、アルコール−水混合液のようなアルコール、およびポリエチレングリコールのような低分子量ポリマーである。使用し得る固体高分子担体の例は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、シリコンポリマー、ポリアルキルオキサイド、天然および合成ゴム、そして米国特許第3,934,097号に記載された皮膚に受容可能な接着剤である。
【0027】テストステロンの場合、担体は、好適には液体である。使用し得る液体担体の例は、エタノール、アルコール−水混合液のようなアルコール、およびポリエチレングリコールのような低分子量ポリマーである。エタノールが好適で、そしてまた、透過促進を提供する。エタノールの場合、担体は、通常リザーバーの容量の20%から70%、より通常には40%から60%、そして好適にはおよそ50%を構成する。あるいは、担体は、圧感接着剤のような固体または半固体マトリックスであり得る。
【0028】担体中の薬物の濃度は、通常、飽和濃度の10%から80%の間であり、通常、投与期間を通じて実質的に飽和の15%から60%である。担体および他のリザーバーの成分(透過促進剤)の性質に従って、飽和に対する薬物濃度は、投与期間を通じて減少または増加し得る。担体中の薬物の溶解度(他の成分によって変化するにせよ)が期間中に一定であれば、飽和に対する濃度は減少し得る。これに対して、溶解度が減少すれば(例えば、溶解度を増加する透過促進剤の送達を通じて)、飽和に対する濃度は増加し得る。
【0029】皮膚を通る薬物の皮膚流量をさらに増加するため、透過促進剤が薬物と同時に投与され得る。テストステロンには、促進剤が必要である。促進剤はまた、リザーバー内に包含され得、または薬物リザーバーの下または上にある別のリザーバーから投与し得る。デザインを簡単にするため、使用時、促進剤は、好適には薬物リザーバーに包含され得る。促進剤は、薬物および担体と適合することを必要とする以外に、本発明に使用し得る促進剤に対する制限はない。当業者に周知の促進剤の例は、米国特許第3,989,816号;4,316,893号;4,863,970号;4,764,379号;4,537,776号;および欧州特許(公開番号)第272,987号に記載されており、これらの開示が促進剤に関連するため、本明細書では参考文献として援用する。テストステロンに用いる好適な促進剤は、エタノールの混合液(担体でもある),グリセロールモノオレエート(GMO)およびメチルラウレート(ML)である。リザーバー中のGMOおよびMLの量は、各々通常0.5%から5%容量であり、好ましくは約2.5%である。エタノールの量は前述の量であり得る。リザーバーはまた、ゲル化剤および抗刺激剤のような他物質をも包含し得る。グリセリンが、好適な抗刺激剤であり、そして5%から50%容量で存在し得、好ましくは20%から30%容量で存在し得る。グリセリンの抗刺激剤としての使用は、米国特許第4,855,294号に記載されている。
【0030】本発明により提供される皮膚テストステロン流量は、約5から30μg/cm2/hrで、そして好適には約10から20μg/cm2/hrである。これに対して、従来の経皮投与により提供されるテストステロン皮膚流量は、一般に0.5μg/cm2/hrより小さい。本発明により実現される高い皮膚流量は、担体中のテストステロンの準飽和濃度による促進および透過促進剤による促進の結果である。
【0031】男性性機能低下の治療のため、内因性の一日のテストステロンの生産パターンを模倣する、24時間放出速度プロフィールで毎日投与するのが好ましい。これによって、テストステロンレベルの日周期リズムに至る。図7(白丸)は、一日の典型的なテストステロン生産日周期リズムを示す。図示したように、テストステロンレベルは、早朝数時間の間がピークであり、そしてそれから夜間における値に下がる。
【0032】本発明の装置は、経皮薬物送達の技術に公知の各種タイプの構造で実施され得る。例えば、装置の最も重要な部分である薬物リザーバーは、担体中に、薬物の準飽和溶液の簡単なマトリックスを包含し得、または担体中に薬物の準飽和溶液が浸透した繊維体の形態であり得る。リザーバーに加えて、該装置は、リザーバーを皮膚と薬物送達関係を維持する手段を包含する。このような手段は、接着剤でもある担体、リザーバーの下にある別の基礎接着剤層、リザーバーと相互に連結する接着剤の外縁リング、リザーバーのための接着剤被覆層、および包帯、絆創膏(strap)を包含する。好適には、前記手段は接着剤担体または別の下に横たわる接着剤層である。好適には、該装置は積層からなる複合物の形態である。
【0033】リザーバーおよび固定手段に加えて、前記装置はさらにリザーバーを覆いそしてリザーバー保護および/またはリザーバーからの薬物の逆拡散を防ぐ裏張り、前記装置に適切な機械的特性を与える1つまたは1つ以上の構造層、および/ままたは使用前に取り外すリザーバーの下にある放出裏当て層を包含し得る。
【0034】これらの装置は経皮薬物送達装置技術で用いられる従来技術で製造され得る。例えば、薬物および担体は、所望の比率で混合され得、均一な混合物および型(cast)を生成し、または裏張り層に適用され、次いで放出裏当て層に積層される。別の基礎接着剤層が好ましい場合は、下接着剤層はそのような積層構造にする前に、放出裏当て層の上に成形し得る。上記のように、担体中の薬物の溶解度およびサイズ(リザーバーの厚さおよび皮膚と薬物送達関係にある領域)は、装置の目的の投薬期間中、リザーバーで準飽和を維持するよう選択され、そして薬物の必要な累積量を提供する。
【0035】
【実施例】下記の実施例は、さらに本発明およびその独特の特徴を説明する。これらの実施例は、いかなる方法でも、本発明を限定するものではない。下記の実施例でヒト死体皮膚を通過するインビトロ定常状態の経皮流量を、前記MerrittおよびCooperの方法を用いて測定した。特に指定されなければ、百分率および比率は容積表示である。
【0036】(実施例1)プロゲステロンを指定された成分と混合することにより、濃度を変えてプロゲステロン製剤を調製し、そして死体皮膚に適用した。これら製剤の経皮流量を以下の表1に示した。表中の略語の意味は:Gly=グリセリン;GDO=グリセロールジオレエート;ML=メチルラウレート;OA=オレイン酸;GMO=グリセロールモノオレエートである。
【0037】
【表1】

【0038】★システム#1−#8は、2.5%(w/v)カルボポール1342(Carbopol 1342)の添加によりゲル化され、pHは未調製(3.2−3.5)で、そして負荷用量は0.075mlである。
【0039】表1で、システム1および4は、プロゲステロンを飽和で含有する。システム2−3は、プロゲステロン濃度を除いては同様であり、そしてシステム5−8もプロゲステロン濃度を除いて同様である。2セットのシステムは、1セット(1−3)がGDOを含有し、他のセット(4−8)がGMOを含有する以外は、同様である。表1中の流量データで示されるように、プロゲステロンが準飽和濃度で含まれるシステム(システム2、3、5−7)における流量は、プロゲステロンが飽和であるときより有意に大きい(システム8を除く)。
【0040】(実施例2)別のプロゲステロンシステムを調剤し、そして実施例1のように試験した。これらの試験結果は以下の表2に示す。略語は実施例1と同じである。システム1ではプロゲステロンは、飽和で存在し、そしてシステム2−6では飽和以下である。
【0041】
【表2】

【0042】★システムは、2.5%(w/v)カルボポール1342の添加によりゲル化され、そして負荷用量は0.075mlである。
【0043】実施例1のように、プロゲステロンの流量は飽和濃度でより飽和以下の濃度で顕著に大きかった。
【0044】(実施例3)この実施例は、準飽和でのより高い薬物流量現象が、予想に反して疎水性薬物でのみ生じることを示す。
【0045】親水性薬物塩酸オキシブチニンおよび塩酸メカミルアミンの製剤を調製し、実施例1および2のように試験した。以下の表3および4は、これらの試験の結果を示す。40mg/mlの塩酸オキシブチニンを含有する表3の製剤は、飽和で、そして80mg/mlの塩酸メカミルアミンを含有する表4の製剤は、飽和である。すべての他のシステムは、薬物濃度が飽和以下であった。
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】表3および4の流量データは、各々の例において薬物放出プロフィールがフィック拡散様で、飽和以下の低減する濃度に伴って流量が低減することを示した。
【0049】親水性薬物としてピンドロール遊離塩基を含む軟膏および固体マトリックスシステムに関して同様の試験を行った。また、これらのシステムにおいては、流量が薬物の濃度に依存する古典的なフィック依存性を示した。
【0050】(実施例4)実施例1のように、飽和および飽和以下のテストステロン製剤を調製し、そして試験を行った。用いた担体は、60/30/5/2.5/2.5の比率のEtOH/H2O/Gly/GMO/MLである。これらの試験結果は、以下の表5に示す。50mg/mlテストステロンを含有する製剤は飽和であり、40mg/mlおよびこれ以下濃度を含有するシステムは準飽和である。結果は流量でなく、24時間での累積透過(即ち、μg/cm2)の用語で表現した。
【0051】
【表5】

【0052】表示のように、透過は、テストステロンが準飽和濃度で存在するときに顕著に大きかった。下記の担体組成物を用いて同様の試験を行った:【0053】
【表6】

【0054】各々の例において、飽和以下の製剤は、対応する飽和製剤より高い透過を示した。
【0055】(実施例6)アクリル接着剤(National Starch Durotac 1194)、ソルビタンモノオレエート(Arlacel 80)および80−X/20/Xの比率のエストラジオール、ここでXはエストラジオールの比率(重量%)である、を混合することにより、エストラジオールを含有するマトリックスを調製した。上記および以下の表7に報告されるように、これらのマトリックスからのエストラジオールの24時間の累積透過を試験した。8%エストラジオールを含有するマトリックスは飽和で、他は準飽和である。
【0056】
【表7】

【0057】この表に示したよう、準飽和状態で観察された最大透過値は、飽和で観察された値のおよそ3倍である。
【0058】エストラジオールを含有するマトリックスに関して同様の試験を行った。このマトリックス中には、ソルビタンモノオレエートの代わりにソルビタンモノラウレート、および軟膏中には、担体EtOH/H2O/Gly/GMO/ML−20/60/5/7.5/7.5を用いた。これら他のエストラジオール製剤においても、最大透過が飽和以下のエストラジオール濃度で観察された。
【0059】(実施例7)エストラジオールを含有するマトリックスを調製し、そして実施例6のように試験を行った。但し、マトリックスには透過促進剤(ソルビタンモノオレエート)を含有していない。これらマトリックスからの24時間での累積透過は以下の表8に報告する。8%のエストラジオールを含有するマトリックスは飽和で、その他は準飽和である。
【0060】
【表8】

【0061】(実施例8)架橋アクリル接着剤(Monsanto、Gelva 737)、透過促進剤(GMOおよびMLの50:50(w/w)の混合物)、および80−X/15/Xの比率の酢酸ノルエチンドロン、ここでXは酢酸ノルエチンドロンの比率である、を混合して酢酸ノルエチンドロンを含有するマトリックスを調製した。上記のように、これらのマトリックスからの流量を試験し、結果を以下の表9に示した。30%の酢酸ノルエチンドロンを含有するマトリックスは飽和であった;その他は準飽和であった。
【0062】
【表9】

【0063】報告したように、準飽和マトリックスからの流量は、薬物を飽和で含有するマトリックスから流量より顕著に高かった。
【0064】(実施例9)米国特許第4,849,224号に記載されている一般構造の、5層の複合物を調製した。この複合物の層(下から上へ)は以下のようになっている:1.厚さ5ミルのシリコン被覆されたポリエチレンテレフタレート(Tekkote)放出裏当て層2.厚さ1.5ミルの圧感接着剤(AR MA31 アクリル、Adhesives Research社)
3.厚さ4ミルのエチレン/酢酸ビニルコポリマー膜の外皮シールディスク(Bertek 2216)
4.厚さ2ミルの微細孔ポリエチレン膜(Cotran、3M)および6.06mgのミクロン化したテストステロン、296.88mgのエタノール、200.10mgの水、38.31mgのグリセリン、5.64mgのGMO、5.27mgのML、0.61mgのビタミンE、および12.13mgのクルセル(Klucel)からなる軟膏で満たした深さ4−5ミルの空洞(5cm2表面積)。
5.厚さ2ミルのポリエステル/エチレン−酢酸ビニル積層(3M Scotchpak 1012)膜裏張り皮膚への適用のためには、放出裏当ておよび外皮シールディスクが取り外される。リザーバーの基礎表面領域は5cm2である。
【0065】プラセボ複合物(各4つ)および上記複合物(各4つ)を3人の性機能低下の男性の背下部皮膚に図1に示した養生法(regimen)で配置し、周期的に血液サンプルを採集し、そして確立された放射免疫アッセイを用いてテストステロンおよびDHTレベルを分析した。
【0066】図1および2は、それぞれ、これらの試験の結果得られたテストステロンおよびDHTの結果を示す。
【0067】図3は、本実施例の複合物による、および前記Findlayが報告したALZA経皮システムによるテストステロンおよびDHT血中レベルの比較結果を示した。示したように、本実施例の複合物により提供されるテストステロンの血中レベルは前記経皮システムにより提供されるそれらより顕著に高い。相関して、本実施例の複合物によるDHT血中レベルは、経皮システムに比較して顕著に低い。
【0068】図4は、本実施例の複合物により、および経皮システム(同前、Findlayより報告されているように)によるテストステロンに対するDHTの比の比較を示す。示したように、本実施例の複合物による比は、経皮システムによる比より顕著に小さい。
【0069】(実施例10)実施例9と同じ構造の積層された複合物を、軟膏組成が:12.4mgのテストステロン、342.40mgのエタノール、123.40mgの水、311.90mgのグリセリン、19.2mgのGMO、19.9mgのML、27.7mgのカルボマー 1342および10.2mgの2N NaOHである点を除いて、調製した。リザーバー空洞の表面は、7.5cm2であった。
【0070】これらの複合物(各2つ)を、6人の性機能低下の男性の背下部に24時間配置し、その期間の間周期的に血液サンプルを採集して実施例9のようにそれらのテストステロンおよびDHTのレベルを測定した。図5および6はこれら試験の結果を示す。
【0071】図7、8および9は、5人の性機能低下患者に、上記のように28日間連続経皮投与した後の、テストステロン、DHT、およびE2の平均24時間血しょうレベルを示す。図7および8の白丸は、12人の正常男性志願者で測定された平均テストステロンおよびDHTレベルを示す。これらのデータは、テストステロンの生理的レベルおよび日周期リズムのおよびその活性な代謝物が、本発明に基づいた非陰嚢皮膚経皮送達システムを用いることにより達成および維持し得ることを示す。
【出願人】 【識別番号】594153188
【氏名又は名称】セラテック,インコーポレイテッド
【出願日】 平成3年12月11日(1991.12.11)
【代理人】 【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
【公開番号】 特開2002−249425(P2002−249425A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2002−51683(P2002−51683)