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【発明の名称】 口腔粘膜付着製剤組成物
【発明者】 【氏名】日▲高▼ 洋一

【氏名】有田 香織

【要約】 【課題】

【解決手段】(A)ポリイソブチレン及び/又はポリブテンと、(B)水溶性高分子物質とを主基材として含有することを特徴とする口腔粘膜付着製剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)ポリイソブチレン及び/又はポリブテンと、(B)水溶性高分子物質とを主基材として含有することを特徴とする口腔粘膜付着製剤組成物。
【請求項2】 更に、(C)ポリエチレンを配合した請求項1記載の口腔粘膜付着製剤組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、口腔粘膜表面の水分の有無、またその量に関係なく、強固な付着力を有する口腔粘膜付着製剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】口腔粘膜は、治療効果を発現させる点から、薬効成分を局所適用して放出させ、違和感も少なく、有効に使用できる最適な部位の一つである。そのため、口腔内に薬物を投与して各種疾患の治療や予防を行なうための徐放製剤を口腔粘膜に付着させることが試みられている。その製剤の剤型としては、フィルム、シート、錠剤、軟膏などが一般的である。
【0003】フィルム、シートタイプは薄くできるため、貼ることが容易で、口腔内での違和感が少なく使用感に優れているが、薬成分投与量には限界がある。一方、軟膏あるいは錠剤では、薬成分は多く配合できる長所は有するが、口腔内違和感が大きく、また短時間で溶解を起こし、持続性が必要な場合には不向きである。このように、各タイプには、一長一短があり、使用目的に応じて使用されている。
【0004】しかし、どのタイプでも、その付着力は口腔粘膜表面の水分の有無、またその量に大きく影響され、付着力が不足したり、持続性に欠けることがあった。例えば、軟膏タイプは口腔粘膜表面が唾液など水分で濡れていると付着しづらく、逆に錠剤タイプは口腔粘膜表面が乾燥しているか、わずかしか濡れていない場合には付着しづらい。場合によっては口腔粘膜から落ちて舌に付着して、効果を発揮できない場合もあった。そこで、口腔粘膜表面の水分量に関わらず強固な付着性を有し、口腔内違物感が少なく、使用感のよい口腔粘膜付着製剤組成物が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記要望に応えるためになされたもので、口腔粘膜表面の唾液など、水分(有無、量)に影響されずに付着し、その付着力が持続する口腔粘膜付着製剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明によれば、(A)ポリイソブチレン及び/又はポリブテンと、(B)水溶性高分子物質とを主基材として含有する口腔粘膜付着製剤組成物であって、口腔粘膜表面に水分が実質的に存在しないか、あっても口腔粘膜表面の水分が少ない場合には、(A)成分のポリイソブチレンやポリブテン自体の粘着力で付着力を発揮し、一方、実質的に水が存在する口腔粘膜に対しては(B)成分の水溶性高分子物質が付着力を付与することにより、口腔粘膜表面に強固に付着する口腔粘膜付着製剤組成物を提供する。また、上記成分にさらにポリエチレンを配合することにより、製剤表面の舌触りがよくなり、異物感を低減することができる。なお、本製剤を除去しようとする場合は、容易に除去でき、粘膜に全く残存せず、使用感がよく、従って本発明は、口腔粘膜表面の水分量に関わらず、口腔粘膜付着持続性に優れ、口腔内使用感のよい口腔粘膜付着製剤組成物を提供するものである。
【0008】以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明の口腔粘膜付着製剤組成物は、上述した通り、(A)ポリイソブチレン及び/又はポリブテンと、(B)水溶性高分子物質とを主基材として含有し、更に好ましくは(C)ポリエチレンを含有したものである。
【0009】本発明の口腔粘膜付着製剤組成物は、実質的に水分が存在しない(明らかに目では水分を観察できない程度に乾いている状態)か、存在しても口腔粘膜表面の水分が少ない場合には、主基材となるポリイソブチレン及び/又はポリブテン(A)が、それ自体が持つ粘着力で口腔粘膜表面に付着し、一方、実質的に水分が存在する(明らかに目で水分を観察できる程度に濡れている状態)口腔粘膜表面に対しては、水溶性高分子物質が唾液などの水分により膨潤し、ポリイソブチレン及び/又はポリブテン(A)を覆い、その粘着力により付着する。さらにポリエチレン(C)は、ポリイソブチレン及び/又はポリブテン(A)と水溶性高分子物質(B)を凝集させる作用を有するため、本口腔粘膜付着製剤組成物を舌で触ったときに、ベタベタ感がなく表面をさらっとさせる効果があり、また本口腔粘膜付着製剤組成物を除去する際には、容易に除去でき、粘膜に全く残存せず、使用感がよい。
【0010】ここで、ポリイソブチレン及びポリブテンとしては、食品添加物公定書に記載される平均分子量で表して、ポリイソブチレンでは平均分子量8,700〜200,000のもの、好ましくは8,700〜60,000のものが良い。平均分子量が200,000を越える場合は、固くなる場合が生じる。なお、平均分子量が8,700未満の場合は、平均分子量区分からポリブテンの区分となるため、ポリブテンとして用いられる。
【0011】ポリブテンは、平均分子量が500〜8,700のものを使用できる。ポリイソブチレン及びポリブテンはその1種類を単独で使用し得る他に、ポリイソブチレンとポリブテンを組み合わせても良く、さらに平均分子量の異なる2種類以上のポリイソブチレンを組み合わせても、また平均分子量の異なる2種類以上のポリブテンを組み合わせても良い。
【0012】ポリイソブチレン及びポリブテンの配合量は、組成物全体の1〜70%(質量百分率、以下同じ)、特に10〜35%とすることが好ましく、少なすぎると、溶解し、持続性が低下する。また、口腔粘膜に水分が少ない場合の付着性が低下する。多すぎると、水溶性高分子物質の配合量が少なくなるため、口腔粘膜に水分が多く存在する場合などに、付着性が不足して、はずれることがある、という不利が生じるおそれがある。
【0013】本発明で用いる水溶性高分子物質は、口腔内で使用に耐え得る高分子物質であれば、天然、合成又は半合成のいずれの高分子でも構わない。また、架橋したものでも、非架橋のものでも良い。例えば、グルコマンナン、カラヤガム、アラビヤガム、トラガカントガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ゼラチン等の天然由来の水溶性高分子、ペクチン、アルギン酸の塩又はプロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸の金属塩、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、低級アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体及びその誘導体等の水溶性高分子をあげることができる。
【0014】これらの水溶性高分子物質の配合量は、組成物全体の5〜50%、特に20〜40%とすることが好ましく、少なすぎると口腔粘膜表面に水分が多く存在する場合に、付着性が不足してはずれることがあり、多すぎると、溶解が早く、持続性が低下する。また、口腔粘膜に水分が少ない場合の付着性が低下する、という不利が生じるおそれがある。
【0015】ポリエチレンは平均分子量500〜38,000のものが好ましい。38,00より大きいと軟化点、粘度の点から固くなるおそれがある。その配合量は、組成物全体の0.1〜30%、特に5〜20%とすることが好ましい。
【0016】本発明には、薬効成分を配合することが可能であり、本発明の口腔粘膜付着製剤組成物は、公知のいわゆる口腔粘膜付着剤、口腔粘膜貼付剤、口腔粘膜適応製剤などと同様にして製造することができるが、流動パラフィンなどと上記成分とを混練して、非水性軟膏状に調製することが好ましい。
【0017】なお、上記薬効成分としては、特に制限されないが、例えば、銅クロロフイリンナトリウム、グルコン酸銅などの銅化合物、茶ポリフェノール、フラボノイドなどの口臭防止成分、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、グルコン、酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノールなどの殺菌剤、シコンエキス、トリアムシノロンアセトニドなどの口内炎用薬理成分、セファレキシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸ミノサイクリン、フラジオマイシンなどの歯肉炎用薬理成分等があげられる。
【0018】
【発明の効果】本発明の口腔粘膜付着製剤組成物は、口腔粘膜表面の水分の有無、またその量に関わらず、強固で持続性のある付着性を与え、口腔衛生、口腔内疾患の予防、治療、さらには全身作用薬の持続投与などを目的として好適に使用できる。
【0019】
【実施例】以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、各例の配合量%はいずれも質量%である。
【0020】
[実施例1]
ポリイソブチレン(平均分子量:40,000) 35% カルボキシメチルセルロースナトリウム 30% 流動パラフィン 残 計 100%【0021】
[実施例2]
ポリイソブチレン(平均分子量:60,000) 20% ポリブテン(平均分子量:3,000) 30% カルボキシメチルセルロースナトリウム 30% 流動パラフィン 残 計 100%【0022】
[実施例3]
ポリブテン(平均分子量:3,000) 60% カルボキシメチルセルロースナトリウム 30% 流動パラフィン 残 計 100%【0023】
[実施例4]
ポリイソブチレン(平均分子量:60,000) 40% ジェランガム 20% ポリエチレン 20% ポリエチレングリコール 残 計 100%【0024】[試験法]
(1)口腔粘膜に対する付着性<口腔粘膜表面に水分がある状態>健常者の口腔内において、唾液が充分存在し、口腔粘膜表面にも充分な水分が存在する状態で、各種製剤を指で頬粘膜(第一大臼歯部)に付着させ、製剤が付着するか(付かずに落ちるか)どうかを評価した。
【0025】<口腔粘膜表面に水分がない状態>健常者の口腔内において、口腔粘膜表面の水分をティッシュペーパーなどを使用して拭い、その後すみやかに歯科用の機器によりエアー(コンプレッサー)を当て、乾燥した状態を維持する。その状態下で、各種製剤を指で頬粘膜(第一大臼歯部)に付着させ、製剤が付着するか(付かずに落ちるか)どうかを評価した。
【0026】<評価基準>〇:充分に付着する(付着力が強い)
△:付着するが、付着力が弱く、舌などで触れることにより移動・離脱が起きる。
×:付着しない(落ちる)
【0027】(2)付着持続性パネラーの口腔内環境(水分の有無)を各種製剤の付着に適した状態に維持し、製剤を指で頬粘膜(第一大臼歯部)に付着させた。その製剤の付着の持続性を評価した。
【0028】<評価基準>付着が持続した時間を市販品の軟膏タイプと比較した。
◎:市販品の軟膏タイプより2倍以上持続性がある〇:市販品の軟膏タイプより約1.5倍持続性が優れる□:市販品の軟膏タイプと同等の持続性を有する×:市販品の軟膏タイプより持続性が劣るなお、比較例は、市販品Oを使用した。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】(3)口腔粘膜からの除去性口腔粘膜に疾患のない成人5名をパネラーとし、パネラーの口腔内環境(水分の有無)を各種製剤の付着に適した状態に維持し、製剤を指で頬粘膜(第一大臼歯部)に5g付着させた。そのまま放置し10分後、任意の方法で製剤を除去してもらい、除去しやすさを評価した。
【0032】<評価基準>製剤の除去しやすさを5段階絶対評価した。
【0033】
【表3】

【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成13年2月22日(2001.2.22)
【代理人】 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−249424(P2002−249424A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−46015(P2001−46015)