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【発明の名称】 歯科用材料
【発明者】 【氏名】古藤田 哲哉

【要約】 【課題】歯の色にマッチした乳白色を呈する歯科用材料及びその製造方法の提供。

【解決手段】ステンレス鋼あるいはNi−Ti合金の歯科用材料1上にAuストライクめっき層2、このAuストライクめっき層2の上にAu50〜65質量%、残部AgからなるAu−Ag合金めっき層3が形成されている歯科用材料。アルカリ電解脱脂したステンレス鋼あるいはNi−Ti合金の歯科用材料上ににAuストライクめっきを施し、このAuストライクめっき層の上にAu50〜65質量%、残部AgからなるAu−Ag合金をめっきする歯科用材料の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ステンレス鋼あるいはNi−Ti合金の歯科用材料上にAuストライクめっき層、このAuストライクめっき層の上にAu50〜67質量%、残部AgからなるAu−Ag合金めっき層が形成されていることを特徴とする歯科用材料。
【請求項2】 アルカリ電解脱脂したステンレス鋼あるいはNi−Ti合金の歯科用材料上にAuストライクめっきを施し、このAuストライクめっき層の上にAu50〜65質量%、残部AgからなるAu−Ag合金をめっきすることを特徴とする歯科用材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、矯正歯科の医療用具として使用されているブラケット及びワイヤー等の歯科用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】矯正歯科診療の分野で医療用具としてブラケットやワイヤーは、矯正医の診療の立場からは、口腔内で使用するために、安全性も含めて、ステンレス製ブラケットや超弾性合金と呼ばれるニッケルチタン合金製ワイヤーが多く使用されている。しかし、歯科材料に用いられる金属は、白銀色か金色で光沢が有るため、歯の色とマッチしないために患者が口腔内で装着した際に非常に目立つ。そのため、特に自由診療である矯正治療は患者の同意が得にくく、治療を断念する患者が多く、また、治療を始めても患者の精神的負担が多い。この問題を解決するために、プラスチックやセラミックのブラケットが作られたり、ワイヤーの表面に金色をプレーティングしたり、樹脂をコーティングしたりするなどの各種の工夫が提案されている。
【0003】例えば、特許第2844317号公報には、ステンレス鋼製の歯科用ブラケットおよび鋼線に、乳白色から淡黄色の審美的なAuを含有する合金めっき被膜を施した後に、透明で耐摩耗性を有するセラミック薄膜を施した歯科用材料が記載されている。その製造方法として、三層の金属のめっきを施した後、無酸素雰囲気で500℃×10minsで熱処理してAu−Pt−Agの三元合金めっきを施し、その後CVD方式でセラミックスをコーティングしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特許で製造された歯科用材料でも、歯の色と完全にマッチせず、未だ満足のいくものではなく、またセラミックスをコーティングしているため、ステンレス等に比べると耐久性等におとる。さらに、非常にコストが高くなり生産性にも問題がある。
【0005】そこで、本発明は、歯の色にマッチした乳白色を呈する歯科用材料及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の歯科用材料は、ステンレス鋼あるいはNi−Ti合金の歯科用材料上にAuストライクめっき層、このAuストライクめっき層の上にAu50〜67質量%、残部AgからなるAu−Ag合金めっき層が形成されていることを特徴とする。
【0007】また、本発明の歯科用材料の製造方法は、アルカリ電解脱脂したステンレス鋼あるいはNi−Ti合金の歯科用材料上ににAuストライクめっきを施し、このAuストライクめっき層の上にAu50〜65質量%、残部AgからなるAu−Ag合金をめっきすることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の歯科用材料の一例を示す断面図で、母材1にAuストライクめっき層2を形成し、その上にAu−Ag合金をめっきしたものである。
【0009】Au−Ag合金をめっきする母材には、従来からブラケットやワイヤに使用されているステンレス鋼あるいはNi−Ti系合金を使用する。最近、Niアレルギー等の問題もあり、母材の上には一切卑な金属のめっきは施さずに直接Auストライクめっきを施して母材との密着性を確保した上でその上にAu−Ag合金めっきを施す。耐久性についてはAu−Ag合金めっきの厚さを任意に変えて耐久性の保持は可能である。
【0010】本発明で使用するAu−Ag合金は、乳白色に近い合金であり、人体に対して毒性がない。Au以外にPd、Ptが考えられるが、これらを含有した合金は、いずれも電気めっきした場合、色調が暗くなり歯の色とマッチせず、歯科用材料には不適当である。
【0011】本発明において、Au−Ag合金は、Au50〜67質量%、残部Agからなる合金が適している。Au含有量が50〜67質量%の範囲を外れると、歯の色にマッチした乳白色を得ることができない。Au含有量は、患者者の歯の色に合わせて任意の色調を選定することが可能である。
【0012】図2は本発明の歯科用材料の製造工程図である。本発明の歯科用材料の製造方法は、ステンレス鋼あるいはTi−Ni系形状記憶合金等の母材に、脱脂処理、洗浄、金ストライクめっき後に、Au−Ag合金めっきし、めっき層を安定化させて乳白色に近い金合金めっきを形成する。
【0013】ステンレス鋼のような素材の場合は、表面に強固な酸化被膜を生成しているためにサビ、腐食をしないわけであるが、めっきの場合は、この酸化被膜が残っていたのでは、めっきの密着性が確保できない。そこでこの酸化被膜を取り除くために、一般的には、前処理工程で、無機酸、特に塩酸を使用するが、ステンレス鋼は、Crを含有した合金であり、例えば塩酸溶液に浸漬した後の溶液中のステンレス鋼の溶解量を測定すると、Crイオンのみが選択的に溶解している。このことは、鉱酸で前処理してめっきすることは、ステンレス鋼の表面に耐食性の保持に必要なCrイオンが存在しない鉄合金の上にめっきを行っていることになるため、経時腐食は問題となる。
【0014】そこで、本発明では、Crイオンをステンレス鋼表面から溶解せずに活性化する方法を利用する。すなわち、アルカリ脱脂(超音波脱脂も併用)後、マイナス電流とプラス電流を交互に一定量流して活性化するアルカリ電解脱脂を行うPR電解を利用する。その後、水洗いして酸活性化する。以上のように脱脂工程で無機酸、特に塩酸を使用しない脱脂工程を利用する。
【0015】
【実施例】ステンレス鋼を、苛性ソーダ及び炭酸ソーダをそれぞれ約半分量に界面活性剤を少量加えた50℃のアルカリ脱脂液に3分間浸漬してアルカリ脱脂を施した後、苛性ソーダ100g/Lに青化ナトリウム 100g/L を加えて室温で、電圧8V、陰極電流密度20A/dm、陽極電流密度15A/dmで切り替え時間30秒:3秒程度に設定し、2〜3分アルカリ電解脱脂する。
【0016】その後、水洗いして酸活性化する。この場合の酸は、フッ化物によるものであり、組成は酸性フッ化アンモニウム100g/L の溶液により室温で2分間処理する。
【0017】水洗い後、Auストライクめっきを行う。Auストライクめっきは、シアン化第二金カリウム2g/L、コバルト0.2g/L、硫酸10ml/L、リン酸1001ml/Lのめっき液により室温で電流密度1A/dmで1分間処理する。
【0018】金ストライクめっき後にAu−Ag合金めっきを施す。Au−Agめっきは、めっき液組成がシアン化金カリウム8g/L、シアン化銀カリウム2.5g/L、シアン化カリウム100g/L、アミン塩5g/Lに界面活性剤を加えた液で、温度27℃、電流密度1A/dmでめっきを行う。効率が高く1mをめっきするのは、2分くらいである。このめっき液で厚さ10μmのAu−Ag合金めっき層を形成する。めっき後100℃近い純水の中に、20〜30分浸漬してAu−Ag合金めっき層を安定させる。
【0019】めっき後の色調は、次のとおりであった。
【0020】
8K 白い12K 白い14K やや黄色16K やや黄色18K 黄色歯科用材料としては、12から16K(Au50〜67質量%)の間の皮膜がよい。これらの皮膜は、合金組織が全率固溶体で、面心立方構造で結晶格子に歪みがなく耐食性に優れ、硬さは170−220ビッカースある。
【0021】Ti−Ni合金に対しても前記処理工程で行う。
【0022】
【発明の効果】本発明により、Au−Ag合金をステンレス鋼またはNi−Ti合金にめっきすることにより、歯冠色で金属光沢がなく、また、安全で口腔内での使用に耐える耐久性をもった歯科用材料が得られる。
【0023】また、めっき層が銀合金であるため、歯科用材料周辺の虫歯菌の増殖を抑制することも期待でき、さらに被膜により、金属アレルギーの最も大きな要因であるNiイオンの溶出を少なくすることができる。
【0024】また、本発明のめっきにより、母材との密着性が優れたAu−Ag合金めっき層が得られ、しかも工程が単純で生産性が高く、どの様な形状でも安価に対応することができる。
【出願人】 【識別番号】591110067
【氏名又は名称】株式会社フラット
【識別番号】501025344
【氏名又は名称】渡部 俊吾
【出願日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【代理人】 【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益 (外1名)
【公開番号】 特開2002−212018(P2002−212018A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−12336(P2001−12336)