| 【発明の名称】 |
抗腫瘍剤及びそれを含む機能性食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】石田 隆博
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| 【要約】 |
【課題】天然物であるキノコに由来し、安全性が高く、安価かつ品質の安定した、抗腫瘍効果を有する抗腫瘍剤や、かかる抗腫瘍剤を含む腫瘍改善作用を有する機能性食品を提供すること。
【解決手段】エゾハリタケ科のキノコの子実体の処理物、例えば菌床栽培したブナハリタケ子実体の乾燥粉末を有効成分とする抗腫瘍作用を有する抗腫瘍剤を調製する。また、この抗腫瘍剤を各種食品に添加配合することにより腫瘍改善作用を有する機能性食品を調製する。ここでの抗腫瘍作用は、腫瘍細胞の増殖に伴う腫瘍の大きさの増大が抑制されるか又は腫瘍が退縮もしくは消失する効果をいい、かかる抗腫瘍効果は腫瘍の大きさを体積として測定することにより確認することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エゾハリタケ科(Climacodontaceae)のキノコの子実体又はその処理物を有効成分とする抗腫瘍剤。 【請求項2】 エゾハリタケ科(Climacodontaceae)のキノコが、ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)のキノコである請求項1記載の抗腫瘍剤。 【請求項3】 ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)のキノコが、ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)である請求項2記載の抗腫瘍剤。 【請求項4】 処理物が乾燥粉末である請求項1〜3のいずれか記載の抗腫瘍剤。 【請求項5】 ブナハリタケ子実体が人工栽培で得られたブナハリタケ子実体であることを特徴とする請求項3又は4記載の抗腫瘍剤。 【請求項6】 人工栽培が菌床栽培であることを特徴とする請求項5記載の抗腫瘍剤。 【請求項7】 菌床栽培が、保水体と乾燥おから及びビール粕のうち少なくとも一方を含む栽培用栄養源と水とを混合した培地を滅菌する滅菌工程と、滅菌した培地にブナハリタケの種菌を接種する接種工程と、ブナハリタケの種菌が接種された培地を培養し、培地に菌糸が生育した菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養し、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を得る中培養工程と、該子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた原基を、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で培養し、ブナハリタケ子実体を得る後培養工程からなることを特徴とする請求項6記載の抗腫瘍剤。 【請求項8】 ブナハリタケ子実体が、ブナハリタケ(FERM BP−6697)の子実体であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか記載の抗腫瘍剤。 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか記載の抗腫瘍剤を含んでなる腫瘍改善作用を有する機能性食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、抗腫瘍剤や腫瘍改善作用を有する機能性食品に関し、より詳しくは、ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)等のエゾハリタケ科(Climacodontaceae)のキノコの子実体から得られる抗腫瘍効果を有する抗腫瘍剤や、かかる抗腫瘍剤を含む腫瘍改善作用を有する機能性食品に関する。 【0002】 【従来の技術】腫瘍は発癌の部位に認められる悪性新生物である。癌は心筋梗塞、脳卒中と並ぶ現代人の三大疾病の一つに挙げられており、薬剤として種々の抗癌剤を用いた治療がなされているが、抗癌剤の投与には重篤な副作用を伴うものも多く、未だに多くの抗癌剤の開発が精力的に行われている。製薬以外でも、抗腫瘍効果を呈する食品が知られており、特にキノコの有する抗腫瘍効果が著名である。例えば、マイタケはその子実体に抗腫瘍活性を有する多糖を含有していることが知られている(舞茸の代替療法域;マイタケの免疫増強作用及び臓器疾患改善に関する研究、難波宏彰著、株式会社菜根出版、平成7年11月13日初版第1刷発行)。ヒメマツタケは子実体の乾燥品を添加するか、又は水性溶媒による抽出液を添加することで抗腫瘍活性を有する健康食品となること(特開昭60−69026号公報)や、ヒメマツタケ子実体の核酸成分(特開平01−66127号公報)や酸性多糖体(特開平01−67194号公報)が抗腫瘍活性を有することも知られている。また、キノコの子実体でなく菌糸体に抗腫瘍活性を有する成分を生成することも知られており、ブナハリタケの菌糸を液体培養すると培養済み培地中に制癌作用を有する多糖体が産生されることが知られている(特公昭52−44606号公報)。しかしながらブナハリタケの子実体の抗腫瘍活性についてはこれまで知られていなかった。 【0003】ブナハリタケ(地方名カミハリタケ)は、東北地方の深山のブナ林において、晩秋になるとブナの倒木、立ち枯れ木に重なり合って生え、傘の直径は3〜10cm、半円形で白色、後に黄色味を帯び、裏面は白く針状で、表面同様、後に黄色味を帯び、肉は白くて軟らかく吸水性があり、独特の香気をもつことが知られ、山村の人達から山の肉と呼ばれて珍重されたキノコとしても知られている。そして、ブナハリタケの人工栽培方法として、「長野県林試研究報告」第3号、32〜37頁(1987)及び「福島県林試研報」第23号、81〜101頁(1990)には、ブナ、サクラ等の原木を用いた栽培に関する研究の報告が、「食品流通技術」Vol.18,No.1,17〜21頁(1989)には原木栽培とオガクズを利用した栽培方法の研究が報告されているが、これら報告によると、原木栽培では子実体に成長させることができるものの、多くの原木を供給しなければならない上に、菌糸の腐朽力が強いために木片で種駒を培養することが難かしいという問題があり、他方、オガクズを利用した容器栽培では奇形が多く、またオガクズを利用した袋栽培では子実体に成長させることが難しく、いずれにしても従来の技術では菌床栽培は無理であるとされていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、天然物であるキノコに由来し、安全性が高く、安価かつ品質の安定した、抗腫瘍効果を有する抗腫瘍剤や、かかる抗腫瘍剤を含む腫瘍改善作用を有する機能性食品を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に、ブナハリタケの種菌を特定の栄養源が添加された培地に接種する接種工程と、ブナハリタケの種菌が接種された培地を培養し、培地に菌糸が生育した菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養し、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を得る中培養工程と、該子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた原基を、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で培養し、ブナハリタケ子実体を得る後培養工程を経てブナハリタケを栽培すると、自然に発生するよりも大型のブナハリタケ子実体が、周年安定的、工業的かつ安価に得られることを確認している(特開2000−300066号参照)。本発明者らは、周年安定的に入手が可能となったブナハリタケ子実体の薬理作用について種々検討している過程で、ブナハリタケ子実体の中に、抗腫瘍効果を示す成分が存在することを見い出し、本発明を完成するに至った。 【0006】すなわち本発明は、エゾハリタケ科(Climacodontaceae)のキノコの子実体又はその処理物を有効成分とする抗腫瘍剤(請求項1)や、エゾハリタケ科(Climacodontaceae)のキノコが、ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)のキノコである請求項1記載の抗腫瘍剤(請求項2)や、ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)のキノコが、ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)である請求項2記載の抗腫瘍剤(請求項3)や、処理物が乾燥粉末である請求項1〜3のいずれか記載の抗腫瘍剤(請求項4)や、ブナハリタケ子実体が人工栽培で得られたブナハリタケ子実体であることを特徴とする請求項3又は4記載の抗腫瘍剤(請求項5)や、人工栽培が菌床栽培であることを特徴とする請求項5記載の抗腫瘍剤(請求項6)や、菌床栽培が、保水体と乾燥おから及びビール粕のうち少なくとも一方を含む栽培用栄養源と水とを混合した培地を滅菌する滅菌工程と、滅菌した培地にブナハリタケの種菌を接種する接種工程と、ブナハリタケの種菌が接種された培地を培養し、培地に菌糸が生育した菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養し、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を得る中培養工程と、該子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた原基を、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で培養し、ブナハリタケ子実体を得る後培養工程からなることを特徴とする請求項6記載の抗腫瘍剤(請求項7)や、ブナハリタケ子実体が、ブナハリタケ(FERM BP−6697)の子実体であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか記載の抗腫瘍剤(請求項8)や、請求項1〜8のいずれか記載の抗腫瘍剤を含んでなる腫瘍改善作用を有する機能性食品(請求項9)に関する。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明に使用されるキノコ子実体としては、ブナハリタケ属(Mycoleptodonoides)、エゾハリタケ属(Climacodon)、ネバリハリヒラタケ属(Donkia)等のエゾハリタケ科(Climacodontaceae)に属するキノコの子実体であれば特に制限されるものではなく、具体的には、ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)やエゾハリタケ(Climacodon septentrionalis)、アケボノハリタケ(Climacodon roseo-maculatum)等の子実体を例示することができるが、より優れた抗腫瘍作用を有する点でブナハリタケの子実体を用いることが好ましい。 【0008】上記ブナハリタケ子実体としては、自然界に自生する天然の子実体あるいは人工栽培された子実体のいずれでもよいが、成分含量等の品質が安定した人工栽培されたブナハリタケ子実体の方が好ましい。自然界に自生する天然のブナハリタケ子実体では成分含量等が生息地域や気候等により変動する上に、周年安定的に収穫することができないが、人工栽培されたブナハリタケ子実体では成分含量等が生息地域や気候等により影響されない上に、周年安定的に収穫することができる。また、人工栽培方法としては特に限定されないが、成分含量等の品質が安定したブナハリタケを安価かつ周年安定的に収穫することができる菌床栽培の方が原木栽培よりも好ましい。ここで、菌床栽培とは、原木を用いることなく、保水体と栄養源からなる素材に種菌を接種し、温度、湿度、照度などを制御した環境下で栽培する方法をいう。 【0009】かかる菌床栽培の好ましい態様としては、保水体と、乾燥おから及びビール粕のうち少なくとも一方を含む栄養源を含有する栽培用培養源と、水とを混合した培地を滅菌する滅菌工程と、滅菌した培地にブナハリタケの種菌を接種する接種工程と、ブナハリタケの種菌が接種された培地を培養し、培地に菌糸が生育した菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養し、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を得る中培養工程と、該子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた原基を、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で培養し、ブナハリタケ子実体を得る後培養工程からなる人工栽培を具体的に例示することができる。ここで、子実体に成長しうる物理的空間とは、培養基から外に向かって子実体が成長する空間を意味し、例えば培養基をプラスチック製の袋等により密封した場合には密封容器の外部の空間を意味する。 【0010】本発明において用いられるブナハリタケ菌株としては、その子実体に優れた抗腫瘍効果を示す成分を含有するブナハリタケに属する菌株であれば市販菌株や自然界から得られる菌株をも含めどのような菌株でもよいが、菌糸生育能及び原基形成能が優れているブナハリタケBNH−3株を用いることが特に好ましい。ブナハリタケBNH−3株は、秋田県南秋田郡の山中で、枯れ木に自生していた子実体より、本発明者らが純粋分離したもので、ポテトデキストロース寒天斜面培地での培養物は、4℃程度の温度下で保存することができ、この保存菌株は3〜6ヶ月程度で植え継ぐことが望ましい。本菌株の子実体、菌糸及び胞子の形態学的特徴は次の通りである。子実体は群生、傘は扇形〜へら形で3〜8×3〜10cm。表面は無毛平滑、白色〜少し黄色味を帯びる。肉は白色、厚さ2〜5mm。縁は薄く多少歯牙状。菌糸構成は幅4〜10μmの厚膜菌糸と、幅3.5〜5μmで、ふくらみとねじれをもつ薄膜菌糸の2菌糸型。胞子は腸詰め形、無色、2〜2.5×5〜6.5μm。 【0011】上記の形態学的特徴に基づいて、今関六也、本郷次雄共著「原色日本新菌類図鑑II」(保育社平成元年5月31日初版発行)により同定すると、本菌がブナハリタケに属することは明らかである。なお、本菌は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約下、平成11年4月7日に日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号に所在する通産省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−6697として寄託されている。 【0012】ブナハリタケの菌床栽培において、培地に使用する保水体としては、スギ、ヒノキ、マツ等の針葉樹由来のオガクズや、ブナ、ナラ、クヌギ等の広葉樹由来のオガクズや、また、近年キノコ栽培においてオガクズ代用品として使用されるコーンコブ(トウモロコシ軸粉砕物)の他、市販されている菌床材料等を例示することができ、これらのものは単独で使用してもよいし、2種以上混合して用いることもできる。 【0013】また、ブナハリタケの菌床栽培において、培地に使用する栽培用栄養源としては、ビール粕又は乾燥オカラのいずれかの必須栄養源と、この選ばれた必須栄養源以外の他の栄養源とが組み合わされて用いられる。他の栄養源としては、通常キノコの栽培に用いられる米糠、一般フスマ、専管フスマ、コーンブラン等を例示することができる。ビール粕及び乾燥オカラを共に含まない栽培用栄養源を培地に使用すると、菌糸の成長が遅いばかりでなく、大きさや形に優れた子実体を得ることが困難となる。 【0014】上記保水体と栽培用栄養源との混合割合は、生重量比で10:0.7〜10:4の範囲が好ましく、10:2〜3の範囲が特に好ましい。また、水分含量は最終培地あたり60〜70%に調整すればよいが、65%程度にするのがより好ましい。さらに、培地成分として、通常キノコ栽培で用いられている大豆皮、乾燥酵母やpH調整剤等を培地成分として添加することもできる。 【0015】ブナハリタケの菌床栽培は、前述したように、前培養工程と中培養工程と後培養工程からなり、培地中にブナハリタケの菌糸を特定の培養条件下で充分に生育させ、子実体形成のための菌床を得る前培養工程と、該菌床に特定の培養条件下で培養し、ブナハリタケ原基を形成させる中培養工程と、形成したブナハリタケ原基を特定の培養条件下で培養し、子実体まで成長させる後培養工程の3つの培養工程を採用しており、これにより含量成分等の品質が安定したブナハリタケの子実体を得ることができる。 【0016】前培養工程は、保水体と栽培用栄養源と水とを含有する培地を加圧滅菌後、ブナハリタケの種菌を接種し、温度15〜35℃、好ましくは21〜27℃で、湿度40〜80%、好ましくは60〜70%付近で、暗条件下で培養し、培地中に菌糸を蔓延させ、子実体が発生するための栄養源を菌糸に蓄積させる工程である。培養熟成日数、すなわち培地全体に菌糸が蔓延するのに要する日数と栄養源を菌糸に蓄積させるのに必要な日数は、1.2kg用袋を用いた場合、25〜90日間が好ましく、通常25日間未満では子実体は発生しないか、後の中培養工程で著しく日数を要する。この際、用いる培養容器の大きさや種菌接種量により前培養工程に要する日数が変化することはいうまでもない。 【0017】中培養工程は、前記のように、前培養工程終了後の菌床にブナハリタケ原基を形成させるために行う工程であり、前培養工程で得られた菌床を、温度8〜22℃、好ましくは12〜16℃、湿度80〜100%、好ましくは85〜95%、照度50ルックス以上、好ましくは50〜500ルックスで25〜60日間培養を続けると、例えば、菌床と容器内面との間等の子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基が形成する。 【0018】後培養工程は、上記のように、中培養工程終了後の子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を子実体へ成長させるために行う工程であり、中培養工程で得られた子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基が形成されている。例えば、容器の周辺箇所を取り除き、温度8〜22℃、好ましくは12〜16℃、湿度80〜100%、好ましくは85〜95%、照度50ルックス以上、好ましくは50〜500ルックスで、かつブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で5〜20日間培養を続けるとブナハリタケ原基が子実体へと成長する。 【0019】ブナハリタケの栽培には、培地の滅菌の簡易さ等から、栽培容器が通常用いられ、また栽培容器には栽培袋等も含まれる。図1に示すように、栽培容器1としては、形成されたブナハリタケ原基2を容器外側から肉眼で観察することができるように、透明又は半透明の材質からなる容器が好ましい。また、菌床3と栽培容器1内面との間に形成された、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた直径3cm程度の1つのブナハリタケ原基2aを培養することが自然に発生するブナハリタケより大きな子実体4を得る上で好ましい。さらに、横断面が矩形等の栽培容器1を横に倒し、ブナハリタケ原基2aが上になるようにして、ブナハリタケ原基が形成された栽培容器の周辺箇所5を切除し、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下でブナハリタケ原基2aを培養することが形の揃った大型の子実体4を収穫する上で好ましい。 【0020】本発明の抗腫瘍剤としては、エゾハリタケ科のキノコの子実体又はその処理物、好ましくはブナハリタケ属のキノコの子実体又はその処理物、より好ましくはブナハリタケの子実体又はその処理物を有効成分とするものであればどのようなものでもよく、また、本発明の機能性食品としては、かかる抗腫瘍剤を含み、抗腫瘍作用を有する食品であれば特に制限されない。ここで、抗腫瘍作用とは、腫瘍細胞の増殖に伴う腫瘍の大きさの増大が抑制されるか又は腫瘍が退縮もしくは消失する効果をいい、かかる抗腫瘍効果は腫瘍の大きさを体積として測定することにより確認することができる。 【0021】上記子実体の処理物としては特に制限されるものではなく、例えば、子実体の磨砕物や、常温水、熱水、アルコール含有水性溶媒等を用いた子実体の抽出物や、子実体の各種酵素処理物や、風乾、熱風乾燥、加熱乾燥、凍結乾燥、マイクロ波乾燥等による子実体の乾燥物や、乾燥後に粉砕した乾燥粉末や、該乾燥粉末を常法により顆粒化、カプセル化、錠剤化したものなどを挙げることができるが、子実体中の抗腫瘍効果を有する成分の収率向上、不活性化防止、食品素材としての使用形態等の点で、子実体の乾燥粉末、子実体の磨砕物、子実体の熱水抽出物等が好ましい。乾燥粉末を調製する場合の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、熱風乾燥機を用いる乾燥方法が経済的には優れており、かかる熱風乾燥方法における乾燥温度としては40〜90℃、特に60〜70℃で数時間加熱することが好ましく、この温度範囲で乾燥することにより、焦げ臭の発生や、生鮮キノコ中に含まれる酵素の作用による抗腫瘍活性の低下を抑制することができる。また、収穫した子実体をすぐに加工処理しない場合は、10℃以下の低温、例えば4〜5℃にて保存することが好ましい。 【0022】本発明の抗腫瘍剤は、通常、乾燥子実体換算で100mg〜20g/kg体重・日摂取することにより腫瘍改善作用をもたらすが、症状、性別、年齢等に応じて、摂取量は適宜調整することができる。そしてまた、腫瘍の予防及び/又は症状改善剤として用いる場合は、例えば製薬上一般的に用いられている賦形剤と混合して通常経口投与剤として用いることができる。 【0023】上記本発明の抗腫瘍剤を含有することを特徴とする本発明の腫瘍改善作用を有する機能性食品は、かかる抗腫瘍剤を飲食品原料の一部として用いたり、あるいは製造工程又は製造後に添加・配合することにより得ることができる。かかる機能性食品としては特に制限されるものではなく、クッキー、パン、ケーキ、煎餅などの焼き菓子、ラムネ菓子等などの錠菓、羊羹などの和菓子、プリン、ゼリー、アイスクリーム類などの冷菓、チューインガム、キャンディ等の菓子類や、クラッカー、チップス等のスナック類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、チーズ、バターなどの乳製品や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味類や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ、スープ、シチュー等の各種総菜や、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料などを具体的に例示することができる。例えば、ブナハリタケ子実体乾燥品を微粉末化し、該微粉末を常法に従い打錠することにより錠菓を製造することができ、この場合かかる微粉末を造粒した後に打錠することもできる。また、ブナハリタケ子実体乾燥品を微粉末化し、これに乳糖、デキストリン、乾燥酵母等を配合したものを打錠することもできる。 【0024】 【実施例】以下に、実施例を掲げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。 実施例1[ブナハリタケの菌床栽培] ブナオガクズ380g、乾燥ビール粕37.5g、乾燥おから37.5g、水道水545gを混合した計1000gを、1.2kg用PP(ポリプロピレン)製袋に詰めて培地を作製した。さらにこの袋にフィルターをはさんだポリプロピレン製キャップをして121℃、50分加圧滅菌し、滅菌後の培地を冷却した後、ブナハリタケ(FERM BP−6697)の種菌を接種し、暗所にて温度23〜25℃、湿度60〜80%の条件で40日間前培養を行い、次に中培養工程へ移行した。中培養工程では、温度13〜15℃、湿度80〜95%、照度200ルックスの条件下で、30日間培養するとブナハリタケ原基が形成された。袋内に直径約3cm程度の原基が認められる部分の袋部の1箇所を切り取り、次いで後培養工程へ移行した。後培養工程では、温度13〜15℃、湿度80〜95%、照度200ルックスの条件下で、17日間培養すると1株のブナハリタケ子実体へと成長した。得られたブナハリタケ子実体は232.5gで、栽培に要した総日数は87日であった。 【0025】実施例2[ブナハリタケ子実体乾燥粉末の調製] 上記菌床栽培にて得られたブナハリタケ子実体3kgを、収穫後直ちに4℃にて最長1週間まで冷蔵保存しておき、熱風乾燥機にて65℃で6時間乾燥処理を行い、ブナハリタケ子実体乾燥品0.3kgを得た。ブナハリタケ子実体乾燥品は粉砕機を用いて粉砕し、ブナハリタケ子実体乾燥粉末とした。 【0026】実施例3[経口摂取による抗腫瘍効果] 6週齢の雌BALB/cマウス20匹を日本エスエルシー社から購入し10日間予備飼育した後、1群あたり10匹ずつ平均体重が同等になるようにブナハリタケ群と対照群に分け、ブナハリタケ子実体の経口投与による抗腫瘍効果について検討した。試験は、予備飼育終了日に、インビトロで継代培養されているマウス結腸癌細胞Colon26をマウス1匹あたり2×105個となるように右腋窩部皮下に移植して担癌マウスとし、その翌日から21日間毎日胃ゾンデを用いて被験物質を強制的に経口投与した。ブナハリタケ群は実施例2記載のブナハリタケ子実体乾燥粉末を被験物質とし、その投与量は500mg/kgとした。胃ゾンデを用いて経口投与するにあたり、ブナハリタケ子実体乾燥粉末は水に懸濁し、投与容量はマウス1匹あたり0.2mLとした。対照群には水のみを投与し、ブナハリタケ群と同じ投与容量とした。ブナハリタケ群と対照群はともに日本クレア社製固形飼料CE−2を基本食とし、水とともに自由摂食させた。飼育環境は室温23℃、12時間明暗サイクルとした。腫瘍はノギスを用いてその大きさを計測し、腫瘍体積は腫瘍の縦(mm)×横(mm)×高さ(mm)×1/2で算出した。腫瘍体積の測定結果を図2に示す。腫瘍体積は皮下移植後2週間位からブナハリタケ投与群で対照群に比べて小さく推移し、20日目にはその差は危険率5%で有意であった。 【0027】実施例4[経口摂取による予防的な抗腫瘍効果]マウスを用いて腫瘍移植前からのブナハリタケ子実体の経口投与による予防的な抗腫瘍効果をアガリクス(ヒメマツタケの一般名)子実体と比較検討した。6週齢の雌BALB/cマウス30匹を日本エスエルシー社から購入し6日間予備飼育した後、1群あたり10匹ずつ平均体重が同等になるようにブナハリタケ群とアガリクス群及び対照群に分け試験を行った。被験物質は、インビトロで継代培養されているマウス結腸癌細胞Colon26をマウス1匹あたり2×105個となるように右腋窩部皮下に移植して担癌マウスを作製する前14日間と、作製した翌日から21日間毎日胃ゾンデを用いて強制的に経口投与した。担癌マウス作製日には経口投与を行わなかった。ブナハリタケ群は実施例2記載のブナハリタケ子実体乾燥粉末を、またアガリクス群は市販のアガリクス子実体乾燥品を粉末としたものを供試した。投与量はブナハリタケ子実体乾燥粉末、アガリクス子実体乾燥粉末とも500mg/kgとした。胃ゾンデを用いて経口投与するにあたり、ブナハリタケ子実体乾燥粉末、アガリクス子実体乾燥粉末は水に懸濁した。対照群には水のみを投与した。投与容量はマウス1匹あたり0.2mLとした。基本食、飲水、飼育環境、腫瘍の大きさの計測は実施例3と同様にした。腫瘍体積の測定結果を図3に示す。腫瘍体積は、皮下移植後の早い時期からブナハリタケ群が対照群、アガリクス群に比べて小さく推移した。とくに皮下移植後8日目から14日目までその差は危険率5%で有意であった。このことから、腫瘍移植前からのブナハリタケ子実体粉末の経口投与により予防的な抗腫瘍効果が認められることが判った。また、ブナハリタケ子実体の抗腫瘍効果はアガリクス子実体よりも強いことが判った。 【0028】 【発明の効果】本発明の抗腫瘍剤や腫瘍改善作用を有する機能性食品は、天然物であるキノコに由来し、安全性が高く、かつ発癌後の優れた抗腫瘍効果や予防的な抗腫瘍効果を有するので、本発明の抗腫瘍剤や腫瘍改善作用を有する機能性食品を摂取することにより、癌の予防及び治療効果が期待できる。また、子実体としてブナハリタケの人工栽培物を原料として利用することにより、安価かつ品質の安定した抗腫瘍剤を周年安定的に製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000253503 【氏名又は名称】麒麟麦酒株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月19日(2000.12.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107984 【弁理士】 【氏名又は名称】廣田 雅紀
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| 【公開番号】 |
特開2002−187850(P2002−187850A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月5日(2002.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−386091(P2000−386091) |
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