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【発明の名称】 海藻灰系血圧降圧剤
【発明者】 【氏名】山原 條二

【要約】 【課題】従来の化学合成品に代わる特に褐藻類の灰化物またはその抽出物を有効成分とする安全性と経済性に優れる天然物由来の血圧降圧剤の提供。

【解決手段】海藻を灰化して得た海藻灰及び/又は前記海藻灰の抽出物を有効成分とする海藻灰系の血圧降圧剤。上記海藻灰の原料が、褐藻類であり、これを200℃〜1000℃で灰化して得られるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 海藻を灰化して得た海藻灰及び/又は前記海藻灰の抽出物を有効成分とする海藻灰系血圧降圧剤。
【請求項2】 海藻灰の原料が、褐藻類である請求項1に記載の海藻灰系血圧降圧剤。
【請求項3】 海藻灰が、海藻原料を200℃〜1000℃で灰化して得られるものである請求項1に記載の海藻灰系血圧降圧剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高血圧症の予防や治療に有用な安全性と経済性とを兼ね備えた天然物由来の血圧降圧剤(以下、単に降圧剤ということがある。)に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、従来の化学合成品による降圧剤に代わり、天然物、特に褐藻類を灰化(炭化)して得られる海藻灰を有効成分とする安全性と経済性に優れた天然物由来の降圧剤に関する。
【0003】
【従来の技術】高血圧症由来の動脈硬化などにみられるように、高血圧症はしばしば重大な症状を引き起こす危険因子である。
【0004】高血圧病用剤として、漢方薬など天然物を利用することが知られているが、通常は化学合成品系の降圧剤が多用されている。
【0005】この種の化学合成品としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、交感神経の興奮を抑制するβ受容体遮断剤やα受容体遮断剤、カルシウム拮抗剤、降圧利尿剤、などいずれも作用機作に特徴があり、それなりに使用されている。しかしながら、これら化学合成品系の薬剤には必ず副作用があり、今日まで副作用のないものは知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従来技術の限界を克服し、日常手軽に健康茶などの形式で服用、飲用することができる従来の高血圧症用剤の代替となる天然物素材系の降圧剤を提供しようとするものである。
【0007】前記したように従来の高血圧症用剤は、基本的には化学合成に由来するものであり、これは副作用の強い毒物ということができ、その使用は医師や薬剤師の指導の下に使用されなければならないものである。
【0008】本発明者は、従来の高血圧症用剤にみられる前記した欠点を解消すべく鋭意、検討を進めた。その結果、海藻、特にコンブなどの褐藻類の灰化物(炭化物)を熱水抽出したものにおいて、従来の化学合成品、漢方薬などと比較して降圧剤として優れた作用効果を有することを見い出した。
【0009】本発明は前記知見をベースにして完成されたものであり、本発明により副作用がなく、かつ安全性と経済性に優れるとともに降圧特性に優れた血圧降圧剤が提供される。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本発明は、海藻を灰化して得た海藻灰及び/又は前記海藻灰の抽出物を有効成分とする海藻灰系の血圧降圧剤に関するものである。
【0011】以下、本発明の技術的構成及び発明の実施態様について詳しく説明する。
【0012】本発明による天然物由来の血圧降圧剤は、本発明者の次の知見と実験法をベースにして開発されたものである。まず、本発明者は、高血圧症は短期間に発症するものではないことから、単に血管の拡張作用を評価するだけでは適格な天然物系降圧剤を開発することにはならないと考えている。このため、本発明者は、食塩の過剰摂取と高血圧症の関連性についてはいまだに十分に解明されたとはいえないが、食塩摂取の多い東北地方に高血圧症の患者が多いことに注目した。一般に食塩の摂取量は1日10g以下が好ましいとされているが、それ以上のところもあり、特に東北地方においては改善されていない。
【0013】前記したことから、本発明者は、適格な天然物由来の血圧降圧剤を開発するための実験方法として、実験モデルとして体内にナトリウム(Na)を貯留するホルモンである酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)を注射し、かつ食塩を負荷したDOCA−食塩負荷のラット・モデルを使用し、約1ケ月間、検体(試験品)を飲用させる方法を採用することにした。
【0014】本発明の降圧剤は、海藻を灰化(炭化)して得られる海藻灰を有効成分とするものである。本発明において、海藻灰は、そのまま服用したり、海藻灰を所定の抽出媒体で抽出した抽出液や抽出エキス(粉末)などの形態として使用されるものである。
【0015】本発明の降圧剤において、海藻灰の原料となる海藻は、ワカメ、コンブ、モズク、アラメ、ヒジキ、ホンダワラなどの褐藻類、テングサなどの紅藻類などがあり、特に前者が好ましいものである。
【0016】本発明において、海藻類の灰化条件(焼成温度、焼成時間)は、適宜設定すればよい。灰化条件としては、例えば200〜1000℃、2〜4時間の条件を採用すればよい。より具体的には、原料としてのワカメ、コンブ、ホンダワラなどを採取、水洗、乾燥、粗切したあと、灰化機(ヤマト科学社製、FP32型)で600℃、2時間、灰化処理を行えばよい。
【0017】本発明において、海藻原料の灰化(炭化)物をそのまま服用することもできるが、一般的には熱水抽出し、海藻灰から抽出成分を抽出したもの(液またはエキス)を利用することができる。前記した抽出法を採用する場合、熱水抽出のほかに、アルコール、含水アルコールなどの所望の抽出媒体を利用し、抽出液をそのまま、あるいは抽出エキス(固体粉末状)の形態として利用すればよい。
【0018】本発明の海藻灰系血圧降圧剤は、後述するように優れた降圧作用を示すが、その作用機作は十分に解明されていない。推測の域を出ないが、本発明の海藻灰系血圧降圧剤は、極めて豊富なミネラル成分を含有しており、これら種々のミネラル成分が有効に作用しているものと考えられる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例のものに限定されないことはいうまでもないことである。
【0020】<実験方法>(1).実験モデルとしてDOCA−食塩負荷のラット・モデルを使用した。即ち、体重200〜220g雄性SD系ラットの左腎を摘出し、その3日後から体内にナトリウムを貯留するホルモンである酢酸デオキシコルコルチコステロン(DOCA)を5日毎に10mg/kg皮下注射した。
(2).ラットの飲料水に被検体(抽出液の形態の試験降圧剤)を入れ、血圧の変化を終日的に測定した。また、対象群には1%食塩水を用いた。
(3).実験終了の28日目に剖検を行い、心臓及び肝臓の重量を測定した。また、Dunnett法により1%食塩摂取群に対する有意差検定を行った。
【0021】<降圧剤の調製>海藻(褐藻類)を灰化機(ヤマト科学社製、FP32型)を用いて450℃〜650℃、1時間、灰化処理した。次いで前記のようにして得た海藻灰化物を通常煎じ薬として用いられる1回量3〜5gを目安とし、100mlの水で45分間、弱火下煎じほぼ1日で飲みきる容量(約30ml)として被験体(試験降圧剤)を調製した。
【0022】<実験結果>比較実験として、血圧降下作用があるといわれている生薬の「カギカズラ」(生薬名、釣藤鉤、チョウトウコウ、Uncaria thynchophylla)(アカネ科の釣棘)を使用したケースについて調べた。実験終了の28日目に剖検し、心臓と腎臓の重量を測定した。測定数値を平均値と標準誤差で示した。
【0023】(1).実験結果(血圧の変化測定):結果を、下記の表1に示す。なお、表1において、(*)印は5%の危険率で1%食塩摂取群に対して有意差があること、また(**)印は1%の危険率で1%食塩水摂取群に対して有意差があることを意味する。
【0024】
【表1】

【0025】(2).実験結果(心臓及び腎臓の重量測定):実験開始から28日目に剖検を行い、心臓及び腎臓の重量を測定した。ナトリウム貯留による高血圧時には、体液の増加によりいずれの臓器とも通常よりは負荷がかかり肥大化する場合が多いとされる。結果を、下記の表2に示す。なお、(*)印、(**)印の意味は前記表1と同じである。
【0026】
【表2】

【0027】<急性毒性試験>急性毒性はマウスを用いて試験した。即ち、ddY系雄性マウス(体重約20g)を一群10匹として被験体(試験降圧剤)を物理的に投与可能な2000mg/kgを経口投与し、エサ、水は自由に与え、一週間生死を観察した。その結果、一例も死亡するものがなく、また、異常な行動をするものもなかった。
【0028】
【発明の効果】前記表1〜表2から明らかのように、海藻灰(3g〜5g)の煎じ液をDOCA−食塩負荷の高血圧実験用ラット・モデルに毎日、飲用させることにより有意に血圧上昇のみならず、特に肝臓の肥大化を抑圧することができる。
【0029】近年、DOCA高血圧症モデルの病態について詳細な研究がなされ、その高血圧症は血管収縮の体内ペプチドであるエンドセリンの増加が原因とされている。このため、本発明の海藻灰の抽出液(血圧降圧剤)には、エンドセリンの生成を抑制する作用があると推定される。
【0030】本発明の血圧降圧剤は海藻灰の有効成分(抽出液またはエキス)を利用するものである。今日まで、海藻灰を茶剤として飲用する習慣は全く知られていないが、循環器系疾患の大きな危険因子である高血圧発症の予防、治療という観点から、その飲用は促進されるべきである。
【0031】本発明の血圧降圧剤の原料となる海藻自体、例えば褐藻類は再生能力に優れ、資源としてもかつ経済的にも優れるものである。このため、本発明により効能はもとより安全性と経済性に優れる天然物由来の血圧降圧剤が提供され、その意義は大である。
【出願人】 【識別番号】598092270
【氏名又は名称】有限会社 坂本薬草園
【出願日】 平成12年12月20日(2000.12.20)
【代理人】 【識別番号】100092222
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 喜夫
【公開番号】 特開2002−187849(P2002−187849A)
【公開日】 平成14年7月5日(2002.7.5)
【出願番号】 特願2000−386751(P2000−386751)