| 【発明の名称】 |
ケール加工品およびその加工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高垣 欣也
【氏名】丸山 真二郎
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| 【要約】 |
【課題】本発明の目的は、不快臭の抑制された発ガン予防効果の高いケール加工品およびその加工方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ケールの加工方法であって、ケールを粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程で粉砕したケールを、所定温度に保温しながら攪拌する保温攪拌工程と、該保温攪拌工程で得られたケールに、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質を添加するシクロデキストリン添加工程と、を包含する。また、本発明は、ケールの粉砕物と、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質とを含有するケール加工品であって、前記ケールの粉砕物は、イソチオシアネート含量が高められている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケールを粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程で粉砕したケールを、所定温度に保温しながら攪拌する保温攪拌工程と、該保温攪拌工程で得られたケールに、シクロデキストリン(cyclodextrin)およびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質を添加するシクロデキストリン添加工程と、を包含することを特徴とするケールの加工方法。 【請求項2】 前記保温攪拌工程後の任意の段階において、前記ケールを所定温度に加熱する加熱工程と、アルカリ性物質および抗酸化剤のうち少なくとも一方を添加するアルカリ性物質・抗酸化剤添加工程とからなる群のうち、少なくとも一方の工程を包含することを特徴とする請求項1に記載のケールの加工方法。 【請求項3】 前記シクロデキストリン添加工程の後で、添加された前記ケールを濃縮する濃縮工程と、添加された前記ケールを乾燥する乾燥工程と、添加された前記ケールを濃縮した後乾燥する濃縮乾燥工程とからなる群のうちいずれか一つの工程を行うことを特徴とする請求項1記載のケールの加工方法。 【請求項4】 ケールの粉砕物と、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質とを含有するケール加工品であって、前記ケールの粉砕物は、イソチオシアネート(isothiocyanate)含量が高められていることを特徴とするケール加工品。 【請求項5】 前記シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質が、前記ケールの粉砕物の固形分1重量部に対して、0.05〜10重量部含有されていることを特徴とする請求項5記載のケール加工品。 【請求項6】 ケールの搾汁と、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質とを含有するケール加工品であって、前記ケールの搾汁は、イソチオシアネート含量が高められていることを特徴とするケール加工品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はケール加工品およびその加工方法に係り、特に、発ガン予防効果を有するイソチオシアネート含量が高く、かつイソチオシアネートが有する含硫黄化合物特有の不快臭が抑制されたケール加工品およびその加工方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ケール(英名:kale)は、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維、及びメラトニンを豊富に含み、健康食品の素材として注目を浴びている。また、ケールは、発ガン予防効果を有する含硫化合物の配糖体であるグルコシノレートも含むことから、発ガン予防効果も期待されている。このケールは、通常、粉砕工程を行った後、圧搾工程を経て得られる搾汁等の加工品の形態で、飲食物として提供されている。 【0003】この粉砕、圧搾工程時には、機械的な力がケールに加わって、ケールの品温が上昇する等により、酸化や、グルコシノレートからイソチオシアネートへの転化が起こる。このイソチオシアネートは、ケールに存在するミロシナーゼ(myrosinase)の作用により、グルコシノレートから生じるものである。この酸化により生成される物質や、イソチオシアネートのような含硫化合物は、風味が悪く、不快臭を有する。したがって、酸化により生成される物質や、イソチオシアネートを含有するケール加工品は、甘みが抑制され、臭みを有し、健康食品としては適さない。そこで、ケール加工品製造工程では、風味の劣化や不快臭の発生を防ぐために、酸化やイソチオシアネートへの転化が生じないよう、粉砕工程後に急速凍結する等の処理が施されている。 【0004】しかし、ガン予防効果は、ケールが元来含有するグルコシノレートよりも、グルコシノレートの転化により生じるイソチオシアネートの方が高く、イソチオシアネートを多く含有するケール加工品は、グルコシノレートを多く含有するものよりも、発ガン予防効果の面で優れているということができる。したがって、イソチアネートを多く含む風味の良好なケール加工品の開発が望まれていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不快臭の抑制された発ガン予防効果の高いケール加工品およびその加工方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の結果、ケールを粉砕し、所定の温度に保温して所定時間攪拌した後、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質を添加することにより、不快臭の抑制された発ガン予防効果の高いケール加工品が得られることを見出して、本発明の完成に至った。上記課題は、請求項1に係る発明によれば、ケールを粉砕する粉砕工程と、該粉砕工程で粉砕したケールを、所定温度に保温しながら攪拌する保温攪拌工程と、該保温攪拌工程で得られたケールに、シクロデキストリン(cyclodextrin)およびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質を添加するシクロデキストリン添加工程と、を包含することにより解決される。このように、粉砕工程の後で、保温攪拌工程を行って、グルコシノレートからガン予防効果の高いイソチオシアネートへの転化を促進させると共に、シクロデキストリン添加工程を行って、保温攪拌工程により生成されたイソチオシアネートの特有の臭いをシクロデキストリンでカプセル化しているため、ガン予防効果にすぐれると共に青臭みの少ないケール加工品を得ることが可能となる。また、シクロデキストリン添加工程でシクロデキストリンを添加しているため、後の工程でケール加工品を加温する場合でも、イソチオシアネートが揮発しにくくなる。 【0007】このとき、前記保温攪拌工程後の任意の段階において、前記ケールを所定温度に加熱する加熱工程と、アルカリ性物質および抗酸化剤のうち少なくとも一方を添加するアルカリ性物質・抗酸化剤添加工程とからなる群のうち、少なくとも一方の工程を包含するように構成すると好適である。このように、加熱工程を行っているので、ミロシナーゼ等の変質に関与する酵素を失活させて、酵素反応を止め、本実施形態に係るケール加工方法により得られるケール加工品の安定性を向上させることが可能となる。また、アルカリ性物質および抗酸化剤のうち少なくとも一方を添加するアルカリ性物質・抗酸化剤添加工程を行っているので、ケール加工方法によって得られたケール加工品の保存安定性を向上させることが可能となる。 【0008】また、前記シクロデキストリン添加工程の後で、添加された前記ケールを濃縮する濃縮工程と、添加された前記ケールを乾燥する乾燥工程と、添加された前記ケールを濃縮した後乾燥する濃縮乾燥工程とからなる群のうちいずれか一つの工程を行うと好適である。このように構成しているので、ケールを加工して、ケール青汁ペースト、ケール青汁乾燥粉末等の種々の形態のケール加工品を得ることが可能となる。 【0009】上記課題は、請求項4に係る発明によれば、ケールの粉砕物と、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質とを含有するケール加工品であって、前記ケールの粉砕物は、イソチオシアネート(isothiocyanate)含量が高められていることにより解決される。このように構成しているので、ガン予防効果が高く、イソチオシアネート特有の青臭みの解消されたケール加工品を得ることが可能となる。 【0010】このとき、前記シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質が、前記ケールの粉砕物の固形分1重量部に対して、0.05〜10重量部含有されていると好適である。シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質を、ケールの粉砕物の固形分1重量部に対して、0.05重量部以上含有しているため、イソチオシアネート特有の青臭みを解消することが可能となる。また、シクロデキストリンを、ケールの粉砕物の固形分1重量部に対して、10重量部以下としているため、ケール加工品が嵩張り過ぎることがなく、またケール加工品中のケール含量が少なくなり過ぎて、ケール加工品特有の効果が少なくなることがない。 【0011】上記課題は、請求項6に係る発明によれば、ケールの搾汁と、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質とを含有するケール加工品であって、前記ケールの搾汁は、イソチオシアネート含量が高められていることにより解決される。このように構成しているので、ガン予防効果が高く、イソチオシアネート特有の青臭みの解消されたケール加工品を得ることが可能となる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係るケールの加工方法について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。本発明におけるケールの加工方法は、ケールを用いてケール青汁、ケール青汁搾汁、ケール青汁ペースト、ケール青汁搾汁ペースト、ケール青汁乾燥粉末、ケール青汁搾汁乾燥粉末を得る方法である。ケール(英名:kale)とは、キャベツ(英名:cabbage)の原種で、葉にはキャベツと同様にビタミンU、Cが多く含まれている。また、ケールは、胃炎や胃潰瘍の予防、肝機能や便秘の改善に有効であることが知られている。また、ケールは、発ガン予防効果を有するグルコシノレートを含有しており、発ガン予防効果を有するものである。 【0013】本実施形態では、ケールとして、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラードおよび緑葉カンラン等を用いる。ケールは、葉部や茎部のいずれをも用いることができる。なお、本明細書において、単にケールというときは、ケールの葉、茎のいずれをも含む。また、本明細書において「ケール青汁」とは、ケールを粉砕して得たものをいい、「ケール青汁搾汁」とは、ケール青汁を搾汁することにより得た青汁搾汁、「ケール青汁ペースト」とは、ケール青汁を濃縮することにより得た青汁ペースト、「ケール青汁搾汁ペースト」とは、青汁搾汁を濃縮することにより得た青汁ペースト、「ケール青汁乾燥粉末」とは、青汁を乾燥して粉砕して得た青汁乾燥粉末、「ケール青汁搾汁乾燥粉末」とは、青汁搾汁を乾燥して粉砕して得た青汁乾燥粉末をいうものとする。 【0014】次に、本実施形態のケールの加工方法の各工程について説明する。まず、ケールを収穫した後、泥などを洗い落とすために、水洗いする洗浄工程を行う。この洗浄工程は、25℃以下の冷水を用いて行うと好適である。その後、水気を切った後、このケールを、なるべく早い時間に、ジューサー、ミキサー、ブレンダー、マスコロイダー等の当業者が通常用いる湿式粉砕機で粉砕して細片化し、ケール粉砕物としてのケール細片化物を得る粉砕工程を行う。粉砕工程は、ケール細片化物の平均粒子径が、500μm以下となるように行う。このように、ケール細片化物の平均粒子径が、500μm以下となるように粉砕することにより、グルコシノレートからイソチオシアネートへの変換を効率的に行うことが可能となる。なお、、ケール細片化物の平均粒子径が、200μm以下、より好ましくは、100μm以下となるようにすると、グルコシノレートからイソチオシアネートへの変換効率がさらによく、好適である。 【0015】次いで、粉砕工程で得られたケール細片化物を、所定温度に保温しながら攪拌する保温攪拌工程を行う。ここで、所定温度とは、グルコシノレートからイソチオシアネートへの転化を触媒する酵素ミロシナーゼが活性となる温度をいい、具体的には、20〜50℃、好ましくは30℃付近に保温する。また、保温攪拌工程は、10分間〜5時間、好ましくは30分間以上行うことによって、ミロシナーゼによる酵素反応を、充分に進行させる。この保温攪拌工程を行うことにより、グルコシノレートから、高いガン予防効果を有するイソチオシアネートへの転化を促進させ、ガン予防効果の高いケール加工品を得ることが可能となる。この保温攪拌工程において、ケール(湿重量)に対して0.001〜0.5重量%となるようにアスコルビン酸またはその塩を添加することにより、効率的なイソチオシアネートへの転化を促進することができる。 【0016】次いで、保温攪拌されたケールの細片化物を、所定温度に加熱する加熱工程を行う。ここで、所定温度とは、ミロシナーゼ等の変質に関与する酵素が熱変性により失活し、かつイソチオシアネートが分解されない温度をいい、具体的には、80〜100℃で1〜10分間加熱工程を行う。これにより、ミロシナーゼ等の変質に関与する酵素を失活させて、酵素反応を止め、本実施形態に係るケール加工方法により得られるケール加工品の安定性を向上させることが可能となる。加熱工程の時間を、10分以内とするのは、10分より長い時間加熱工程を行うと、イソチオシアネートが失われるためである。加熱工程後は、ケール細片化物を急冷する。これにより、加熱工程後の余熱により、ケール細片化物の反応が更に進行することを防止することが可能となる。 【0017】本実施の形態では、保温攪拌工程後に加熱工程を行っているが、これに限定されず、加熱工程の代わりに、アルカリ性物質および抗酸化剤のうち少なくとも一方を添加するアルカリ性物質・抗酸化剤添加工程を行ってもよい。また、加熱工程とアルカリ性物質・抗酸化剤添加工程とを同時に行ってもよい。加熱工程を行った後にアルカリ性物質・抗酸化剤添加工程を行ってもよいし、アルカリ性物質・抗酸化剤添加工程を行った後に加熱工程を行ってもよい。また、本実施の形態では、保温攪拌工程後に加熱工程と、アルカリ性物質・抗酸化剤添加工程とからなる群のうち、少なくとも一方の工程を行っているが、これに限定されず、後述するシクロデキストリン添加工程、または濃縮工程、乾燥工程、濃縮乾燥工程のいずれかの工程の後に加熱工程と、アルカリ性物質・抗酸化剤添加工程とからなる群のうち、少なくとも一方の工程を行ってもよい。 【0018】ここで、アルカリ性物質・抗酸化剤添加工程では、ケール細片化物に、アルカリ性物質および抗酸化剤のうち少なくとも一方を添加する。このアルカリ性物質・抗酸化剤添加工程を行うことにより、本実施形態に係るケール加工方法によって得られたケール加工品の保存安定性を向上させることが可能となる。アルカリ性物質としては、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、重曹(炭酸水素ナトリウム;NaHCO3)、石灰、卵殻カルシウム、貝殻カルシウム、海藻ミネラルなどを用いる。アルカリ性物質を添加することにより、ケール中に含まれるグルコシノレートからイソチオシアネートへの転化時に、副産物として生成する硫酸を中和できると同時に、ケール中に含まれるクロロフィル(chlorophyll)を、安定なクロロフィリン(chlorophyllin)とすることができる。また、アルカリ性物質として、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムのようなカルシウムイオンを含むアルカリ性物質を添加すれば、本実施形態に係るケール加工方法によって得られたケール加工品の一例であるケール青汁のとろみを抑制して食感を改善することができる。 【0019】抗酸化剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、もしくはそれらの塩やビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)などを用いる。抗酸化剤を添加することにより、酸化による変質が抑えられ、後述するβ−シクロデキストリン添加による物質安定化の効果と相俟って、本実施形態に係るケール加工方法によって得られたケール加工品の保存安定性を向上させることが可能となる。 【0020】続いて、粉砕したケールに、シクロデキストリンの一例であるβ−シクロデキストリンを添加して、よく混合するシクロデキストリン添加工程を行う。シクロデキストリン(cyclodextrin)とは、シャルディンガーデキストリンとも呼ばれ、D−グルコースがα1→4結合で環状構造を形成したものである。外側が親水性、内側が疎水性のドーナツ状構造をしており、適当な大きさの有機分子をその空孔中に包接し、カプセル化する。この性質を利用して、食品の保香・保色、物質の可溶化、安定化、酸化防止、不揮発化等に用いられている。 【0021】本実施形態では、シクロデキストリンとして、グルコース6分子のα−シクロデキストリン、グルコース7分子のβ−シクロデキストリン、グルコース8分子のγ−シクロデキストリンのいずれをも用いることができる。これら3種のデキストリンは、共に賦形剤として、一般的に用いられているものである。3種のシクロデキストリンの中でも、β−シクロデキストリンは、空孔の容積が、イソチオシアネート分子の大きさに適合することから、β−シクロデキストリンを用いると好適である。なお、α−シクロデキストリンは空孔が小さいため、包接される分子が限定される。包接可能な対象物の種類が多いのはβ−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンである。また、有効成分の体内吸収性の観点からも、シクロデキストリンとしてβ−シクロデキストリンを用いると好適である。すなわち、α型は、β、γ型に比べて分解され難く、包接されたイソチオシアネ−トを含む有効成分をそのまま糞中に排泄してしまう可能性があるからである。一方、γ型は、α型、β型に比べて分解速度が速く、唾液中でも分解されてしまうため、口に入れた後すぐに飲み込む分には問題ないが、チュアブル錠のように長時間、口腔内で維持するような状態では、本発明特有の効果である不快な味のマスキングが低減してしまう恐れがあるからである。β−シクロデキストリンは、α型やγ型に比べて水に対する溶解度が低いため、溶解性が必要な場合には、シクロデキストリンとして、シクロデキストリン誘導体、例えばC−2、C−6位のOH基をメチル化したジメチル‐β‐シクロデキストリンなどの誘導体を用いるとよい。シクロデキストリンまたはその誘導体としては、α型、β型、γ型のいずれかを単独で用いてもよいし、α型、β型、γ型のうちの2種又は3種を組み合わせて用いてもよい。 【0022】このように、シクロデキストリン添加工程を行うことによって、保温攪拌工程で生成されたイソチオシアネートが、β−シクロデキストリンに包接されるため、イソチオシアネート特有の青臭みが、感じられにくくなると共に、イソチオシアネートが物性的に安定化する。 【0023】β−シクロデキストリンは、ケールの細片化物の固形分1重量部に対して、0.05〜10重量部添加することが好ましい。添加するβ−シクロデキストリンの量が、ケールの細片化物の固形分1重量部に対して、0.05重量部未満となると、イソチオシアネート特有の青臭みが充分解消されず、ケールの細片化物の固形分1重量部に対して、10重量部より多くなると、ケール加工品が嵩張り、またケール加工品中のケール含量が少なくなって、ケール加工品特有の効果が少なくなるからである。 【0024】以上で、本実施形態に係るケールの加工方法が完了し、ケール加工品としてのケール青汁が完成する。ケール青汁は、このまま、あるいは水で薄めるなどして飲むことができるが、必要に応じて、搾汁工程を行って請求項6に係る搾汁形態のケール加工品を調製したり、また濃縮工程を行ってペースト状に加工したり、乾燥工程、濃縮乾燥工程を行って乾燥粉末状に加工したりするなど、種々の形態に加工してもよい。 【0025】搾汁工程では、シクロデキストリン添加工程で得られたケール青汁を圧搾し、その後、必要に応じて、遠心および/または濾過などを行う。この搾汁工程により、不溶性食物繊維の除去された形態の請求項6に係るケール加工品としてのケール青汁搾汁を完成する。 【0026】また、請求項3に係る発明のように、シクロデキストリン添加工程の後または搾汁工程の後に、得られたケール青汁またはケール青汁搾汁を濃縮する濃縮工程を行い、ケール青汁のペーストまたはケール青汁搾汁のペーストを得てもよい。高温で加熱するとイソチオシアネートが失われるので、濃縮工程は、減圧濃縮、凍結乾燥により行うと好適である。特に、凍結濃縮が好ましい。また、凍結濃縮以外の方法で濃縮工程を行う場合には、50℃以下、好ましくは40℃以下で、濃縮工程を行なう。このように濃縮工程を行うことにより、シクロデキストリンのカプセル化に適した形態であるペースト状とすることが可能となる。 【0027】また、請求項3に係る発明のように、シクロデキストリン添加工程の後または搾汁工程の後に、得られたケール青汁またはケール青汁搾汁を濃縮し、その後ケール青汁ペーストまたはケール青汁搾汁ペーストを乾燥する濃縮乾燥工程を行ってもよい。この濃縮乾燥工程により、ケール青汁乾燥粉末またはケール青汁搾汁乾燥粉末を得る。濃縮乾燥工程の乾燥は、ケール加工品の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように行う。この乾燥工程は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者が通常用いる方法により行う。乾燥工程は、イソチオシアネートが失われないようにするために、30〜60℃、好ましくは30〜40℃の温度で行う。 【0028】なお、請求項3に係る発明のように、シクロデキストリン添加工程の後またはシクロデキストリン添加工程と搾汁工程との後に、濃縮乾燥工程の代わりに、乾燥のみを行う乾燥工程を直接行ってもよい。乾燥工程は、上記濃縮乾燥工程の乾燥と同様の手順により行う。 【0029】また、濃縮乾燥工程または乾燥工程の後に、ケール加工品を微粉砕する微粉砕工程を行ってもよい。微粉砕工程は、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者に公知の装置を用いて行う。微粉砕工程を行った後、ケール加工品を篩にかける篩分工程を行う。篩分工程では、30〜250メッシュの粒径のものを選択し、最終的なケール加工品としてのケール乾燥粉末とする。粒径が250メッシュ通過のものより小さいと、さらなる加工工程を施す際に取扱いにくくなり、粒径が30メッシュ通過のものよりより大きいと、ケール乾燥粉末と他の食品素材との均一な混合が妨げられる虞があるからである。このようにして得られたケール乾燥粉末は、必要に応じて、例えば、気流殺菌、高圧殺菌、加熱処理などの当業者が通常用いる方法により殺菌する。ケール乾燥粉末は、その後必要に応じて、他の食材と混合してもよい。また、造粒等のさらなる工程を必要に応じて施してもよい。 【0030】以上のようにして、本実施形態のケールの加工方法により得られたケール青汁、ケール青汁搾汁、ケール青汁ペースト、ケール青汁搾汁ペースト、ケール青汁乾燥粉末、ケール青汁搾汁乾燥粉末は、そのまま飲食に供することができる。本実施形態のケールの加工方法によれば、発ガン予防効果を有するイソチオシアネート含量が高く、かつイソチオシアネートが有する含硫黄化合物特有の不快臭が抑制されたケール青汁、ケール青汁搾汁、ケール青汁ペースト、ケール青汁搾汁ペースト、ケール青汁乾燥粉末、ケール青汁搾汁乾燥粉末を得ることが可能となる。 【0031】なお、得られたケール青汁等のケール加工品は、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等と混合し、用途に応じて顆粒、錠剤等の形態に成形することもでき、さらに、各種の飲食品に配合して飲食に供することもできる。例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、カルシウム、キトサン、レシチンなどが配合され、さらに糖液や調味料を加えて味を整えることもできる。そしてこれらは、用途または好みに応じて、液状の食品として供することができる。あるいはハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤もしくは丸剤としてか、または粉末状、顆粒状、茶状、ティーバック状もしくは、飴状などの形状に成形され得る。これらは、その形状または好みに応じて、そのまま食しても良いし、あるいは水、お湯もしくは牛乳などに溶いて飲んでも良いし、または成分を浸出させてから飲んでも良い。 【0032】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこの実施例により制限されないことはいうまでもない。 (試験例1)本試験例では、ケール加工方法において、保温攪拌工程およびβ−シクロデキストリンを添加するシクロデキストリン添加工程を行って調製した試験調製例1のケール青汁と、保温攪拌工程は行わず、シクロデキストリン添加工程を行って調製した対比調製例1のケール青汁と、保温攪拌工程を行った後、デキストリンを添加して調製した対比調製例2のケール青汁とについて、臭い、味を対比する官能試験を行った。 【0033】まず、次に説明する手順で、試験調製例1、対比調製例1、対比調製例2を調製した。 1 試験調製例1の調製手順収穫したケールを水洗いする洗浄工程を行った後、ケールを葉と茎に分け、葉を1cm四方、茎を3mm程度にスライスする裁断工程を行った。ミキサーで粗粉砕し、その後、磨砕式微粉砕機(商品名;マスコロイダー、増幸産業製)で微粉砕して、細片物とする粉砕工程を行った。次いで、粉砕工程で得たケール細片物を、30℃にて1時間、混合攪拌する保温攪拌工程を行った。その後、ケールの細片化物(500g:固形分9.5%)に、β−シクロデキストリンを10g添加してよく混合するシクロデキストリン添加工程を行い、ケール加工品としてのケール青汁組成物とした。これを凍結乾燥した後、ブレンダーを用いて、200メッシュを90%が通過する程度に粉砕する微粉砕工程を行い、本発明に係るケール加工品としてのケール青汁粉末(試験調製例1)を得た。なお、このケール青汁粉末(試験調製例1)は、粉砕工程後保温攪拌工程前のケールよりも、イソチオシアネート特有の臭い、味が多少強くなっていることから、ミロシナーゼが働いて、イソチオシアネート含量が高くなったことが分かる。 【0034】2 対比調製例1の調製手順保温攪拌工程を行わない点を除いては、試験調製例1と同様の工程を行って、ケール青汁粉末(対比調製例1)を調製した。 【0035】3 対比調製例2の調製手順β−シクロデキストリンの代わりに、同量のデキストリンを添加した点を除いては、試験調製例1と同様の工程を行って、ケール青汁粉末(対比調製例2)を調製した。 【0036】次いで、上記の手順で調製した試験調製例1、対比調製例1、対比調製例2のケール青汁粉末について、官能試験を行った。すなわち、試験調製例1、対比調製例1、対比調製例2に係るケール青汁粉末3gを、それぞれ約10℃の100mlの水に溶いて、試験調製例1、対比調製例1、対比調製例2に係るケール青汁を調製し、10人のパネラーに飲んでもらい、官能評価を行った。官能評価は、臭い、味について、好ましい順位をつけることにより行った。この官能試験の結果を、表1に示す。 【0037】 【表1】
【0038】表1の数字は、各調製例について、各順位をつけた人数を示す。表1の結果から、すべてのパネラーが、デキストリンを添加した対比調製例2と対比して、β−シクロデキストリンを添加した試験調製例1、対比調製例1の方が、臭い、味ともに好ましいと判断した。このことから、ケール加工方法において、β−シクロデキストリンを添加するシクロデキストリン添加工程を行うことによって、得られるケール青汁の青臭さが抑えられ、味がよくなることが分かった。また、表1(1)の結果から、多くのパネラーが、保温攪拌工程を行わなかった対比調製例1と対比して、保温攪拌工程を行った試験調製例1の方が、臭いが好ましいと判断した。試験調製例1は、保温攪拌工程時には、原料のケールよりも青臭さが増強されていたが、上述の通り、最終的に得られた試験調製例1のケール青汁粉末は、パネラーによって、臭いが好ましいと判断された。このことから、ケール加工方法において、β−シクロデキストリンを添加するシクロデキストリン添加工程を行うことによって、得られるケール青汁の青臭さが抑えられることが分かった。 【0039】(試験例2)本例では、上記試験例1と同様の手順で調製した試験調製例1、対比調製例1、対比調製例2の各ケール青汁を、ラットに投与して、発ガン予防効果の試験を行った。まず、上記試験例1と同様の手順で、試験調製例1、対比調製例1、対比調製例2を調製した。次いで、各調製例の青汁粉末を、0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)−Na水溶液に溶いて、青汁粉末の懸濁液(100mg/ml、0.5%CMC−Na水溶液)を調製した。この懸濁液を、各群3匹からなる4週齢のラット群に、体重1kg当たり10mlの量を、毎日9時〜10時に、胃ゾンデを用いて、強制経口投与した。この投与は、14日間継続して行った。また、対照群には、青汁粉末を含有しないCMC−Na溶液を投与した。 【0040】また、投与13日目の青汁粉末を投与した3時間後に、発ガン物質であるDMBA(9,10-dimethyl-1,2-benzanthracene)をゴマ油に8mg/ml溶解させたものを1ml投与し、さらに3ヶ月間飼育した。その後、解剖して腫瘍形成の有無について観察した。その結果、対照群と対比調製例2の群では、3匹全てが腫瘍を形成し、対比調製例1の群では、3匹のうち2匹が腫瘍を形成していたのに対し、試験調製例1の群では、3匹の中で、腫瘍を形成しているラットはいなかった。 【0041】以上より、本発明のケール加工方法により調製された試験調製例1に係るケール青汁粉末は、対照および対比調製例1、2のケール青汁粉末と対比して、ガン予防効果に優れていた。このことから、ケール加工方法において、保温攪拌工程およびβ−シクロデキストリンを添加するシクロデキストリン添加工程を行うことによって、ガン予防効果に優れたケール加工品としてのケール青汁粉末が得られることが分かった。ケール加工方法において、保温攪拌工程およびシクロデキストリン添加工程を行って調製されたケール青汁粉末は、イソチオシアネート含量が高く、ガン予防効果に優れるものである。 【0042】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、粉砕工程の後で、保温攪拌工程を行って、グルコシノレートからガン予防効果の高いイソチオシアネートへの転化を促進させると共に、シクロデキストリン添加工程を行って、保温攪拌工程により生成されたイソチオシアネートの特有の臭いをシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体からなる群から選択された少なくとも一つの物質でカプセル化しているため、ガン予防効果にすぐれると共に青臭みの少ないケール加工品を得ることが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】398028503 【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
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| 【出願日】 |
平成12年12月19日(2000.12.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088580 【弁理士】 【氏名又は名称】秋山 敦 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−187842(P2002−187842A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月5日(2002.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−386024(P2000−386024) |
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