| 【発明の名称】 |
熱安定化マイクロカプセルを含む化粧品又は医薬品組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】ブルーノ ビアトリー
【氏名】ジャン モンデ
【氏名】イザベル バラ
【氏名】イザベル アフリア
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| 【要約】 |
【課題】熱安定化マイクロカプセルを含む化粧品又は医薬品組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、化粧品又は医薬品を熱変化の作用から保護すするための、示差走査熱量測定法で測定して75〜330kJ/kgの溶融エンタルピー(ΔHf)を示す少なくとも一つの結晶性化合物を含む熱安定化マイクロカプセルの使用及び該熱安定化マイクロカプセルを含む化粧品又は医薬品組成物に関する。本マイクロカプセルは好ましくは部分的又は完全に結晶性の化合物を漏出のない被覆中に含み、該化合物は融点の近くまで温度を上げると融解潜熱として知られている大量の熱を吸収する。これによって、外部温度の変化にも関わらずマクロカプセルの当面の環境を化合物の融点に近い温度範囲において一定の時間自動的に温度制御することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生理学的に受容可能なビヒクル中に、示差走査熱量測定法で測定して75〜330kJ/kgの融解エンタルピー(ΔHf)を示す少なくとも一つの結晶性化合物を含むマイクロカプセルを含む化粧品又は医薬品組成物。 【請求項2】 マイクロカプセルが溶融状態の結晶性化合物に非浸透性の漏出のない被覆を有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項3】 結晶性化合物の融解エンタルピーが100〜300kJ/kg、好ましくは150〜280kJ/kgであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項4】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点(Tm)が0℃〜90℃であることを特徴とする、先の請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項5】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点が5〜15℃であることを特徴とする、請求項4に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項6】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点が25〜60℃であることを特徴とする、請求項4に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項7】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点(Tm)が周囲温度より低い温度、好ましくは0〜15℃であることを特徴とする、請求項4に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項8】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点が周囲温度からヒトの皮膚の温度(32℃)であることを特徴とする、請求項4に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項9】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点がヒトの皮膚の温度より高いことを特徴とする、請求項4に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項10】 カプセルに封入した結晶性化合物を以下から選択することを特徴とする、先の請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物:−10〜40の炭素原子を含む脂肪族炭化水素、−芳香族炭化水素、−C8-40脂肪酸、−C8-40脂肪アルコール、−C10-40脂肪酸エステル、−有意な量の結晶水を含む無機塩、−C10-40脂肪酸トリグリセリド、−シリコーンワックス、これらの化合物の脂肪鎖は好ましくは直鎖及び/又は飽和である、及び−結晶性ホット−メルトポリマー。 【請求項11】 結晶性化合物が10〜40の炭素原子、好ましくは13〜28の炭素原子、より好ましくは16〜23の炭素原子を含む直鎖及び飽和鎖を有する脂肪族炭化水素であることを特徴とする、先の請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項12】 被覆を形成する材料をポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリシアノアクリレート、尿素−ホルムアルデヒド又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ゼラチン/アラビアゴム系及びシリカから選択することを特徴とする、先の請求項1ないし11のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項13】 マイクロカプセルの平均直径が0.01〜100μm、好ましくは0.05〜50μmであることを特徴とする、先の請求項1ないし12のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項14】 マイクロカプセルが最終組成物の1〜99質量%、好ましくは5〜90質量%存在することを特徴とする、先の請求項1ないし13のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項15】 組成物がさらに少なくとも一つの光学特性を有する材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項16】 光学特性を有する材料が最終化粧品組成物に対して1〜99質量%の比率で存在することを特徴とする、請求項15に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項17】 組成物が、メーキャップ組成物、脱臭製品、保護クリーム、ケアクリーム又はヘアケア製品であることを特徴とする、先の請求項1ないし16のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物。 【請求項18】 熱変化の作用から化粧品又は医薬品組成物を保護するための、示差走査熱量測定法で測定して75〜330kJ/kgの融解エンタルピー(ΔHf)を示す少なくとも一つの結晶性化合物を含むマイクロカプセルの使用。 【請求項19】 溶融状態の結晶性化合物に非浸透性の漏出のない被覆をマイクロカプセルが有することを特徴とする、請求項18に記載の使用。 【請求項20】 結晶性化合物の融解エンタルピーが100〜300kJ/kg、好ましくは150〜280kJ/kgであることを特徴とする、請求項18又は19に記載の使用。 【請求項21】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点(Tm)が0℃〜90℃であることを特徴とする、請求項18ないし20の1項に記載の使用。 【請求項22】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点が5〜15℃であることを特徴とする、請求項21に記載の使用。 【請求項23】 カプセルに封入した結晶性化合物の融点が25〜60℃であることを特徴とする、請求項21に記載の使用。 【請求項24】 カプセルに封入した結晶性化合物を以下から選択することを特徴とする、請求項18ないし23のいずれか1項に記載の使用:−10〜40の炭素原子を含む脂肪族炭化水素、−芳香族炭化水素、−C8-40脂肪酸、−C8-40脂肪アルコール、−C10-40脂肪酸エステル、−有意な量の結晶水を含む無機塩、−C10-40脂肪酸トリグリセリド、−シリコーンワックス、これらの化合物の脂肪鎖は好ましくは直鎖及び/又は飽和である、及び−結晶性ホット−メルトポリマー。 【請求項25】 結晶性化合物が10〜40の炭素原子、好ましくは13〜28の炭素原子、より好ましくは16〜23の炭素原子を含む直鎖を有する脂肪族炭化水素であることを特徴とする、請求項18ないし24の1項に記載の使用。 【請求項26】 被覆を形成する材料をポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリシアノアクリレート、尿素−ホルムアルデヒド又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ゼラチン/アラビアゴム系及びシリカから選択することを特徴とする、請求項18ないし25の1項に記載の使用。 【請求項27】 マイクロカプセルの平均直径が0.01〜100μm、好ましくは0.05〜50μmであることを特徴とする、請求項18ないし26の1項に記載の使用。 【請求項28】 請求項1ないし17のいずれか1項に記載の化粧品又は医薬品組成物で含浸した不溶性の固形基体。 【請求項29】 基体が、天然起源又は合成起源の繊維をベースとする不織織物基体であることを特徴とする、請求項28に記載の不溶性の固形基体。 【請求項30】 基体の表面積が0.005m2〜0.1m2、好ましくは0.01m2〜0.05m2であることを特徴とする、請求項28及び29のいずれかに記載の不溶性の固形基体。 【請求項31】 含浸の程度、すなわち、固形基体の質量に対する化粧品又は医薬品組成物の量が200〜1000%、好ましくは250〜350%であることを特徴とする、請求項28ないし30の1項に記載の不溶性の固形基体。 【請求項32】 基体を矩形のワイプ又は円形の圧縮物の形で提供することを特徴とする、請求項28ないし31の1項に記載の不溶性の固形基体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱変化の作用に対して化粧品又は医薬品組成物を保護する熱吸収性結晶化合物を含む熱安定化マイクロカプセルの使用及び該熱安定化マイクロカプセルを含む化粧品又は医薬品組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】化粧品及び医薬品組成物の配合物の分野では、温度の顕著な変化を受けた場合に化粧品組成物のレオロジー的な不安定さという問題に出会うことがよくある。このため、多数の組成物を熱的に可逆的な形態で増粘し又はゲル化している、すなわち外部温度が増加すると組成物は液化又は軟化する傾向にあり、冷却すると組成物が望ましくなく硬化し又は増粘することとなる。従って、口紅、着色ペンシル又は脱臭スティックの使用時の性質が有害な作用を受けていることが分かるのは、温度の変化に応じてこれらのコンシステンシーが柔らかくなりすぎたり硬くなりすぎたりするからである。周囲温度で十分な粘度を有するサンクリームは熱の作用によって過度に液化する可能性があり、このためそれを使用することが困難になる。さらに、ある場合にはレオロジー的な変化が不可逆的な欠陥を生じる可能性、例えば固形組成物の熱的変形又は分散形態にある組成物の場合には層分離を生じる可能性がある。乳剤及び懸濁剤は温度の低下によっても不安定化することがある。 【0003】熱変化に対して安定した化粧品又は医薬品組成物の特定の場合は、ワイプ(wipe)、例えば化粧落とし用ワイプの含浸用組成物である。これらの組成物は通常水中油乳剤である。ワイプに含浸させる方法をスプレー又は浸漬によって十分な条件下で行うことを可能にするためには、化粧落とし乳液は十分に流動性でなければならない。粘性を低くする必要があるために、乳剤安定ポリマー、例えばCarbomer(登録商標)製品の十分な量を導入することが妨げられる。従って、含浸組成物及び含浸したワイプは、特に熱変化に敏感であり、かつ特に乳剤のクリーム化現象(油状小球が沈殿して分離し、次いで油状小球のない水性相が形成されることとなる)は高温で促進される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従って、高温で乳剤の良好な安定性を保持し、一方常用技術に従ってワイプへの含浸を可能とする低い粘度範囲を保持する溶液を見出すことが重要である。さらに、化粧品の分野では、身体、化粧組成物及び環境の間の熱交換を制御することが有利である多数の状況に遭遇する。従って、ヒトの皮膚を非常に高い又は非常に低い温度に暴露すると望ましくない作用、例えばひからび又は紅斑が生じる可能性がある。寒さに対して皮膚及び唇を保護するために通常脂肪物質を加えることが行われるが、これは化粧の観点からは通常全く満足すべきことではない。過剰の熱から皮膚を保護することも困難であることが分かっている。公知の方法はメタノール又はその誘導体を組成物に加えることから成り、この製品は生物学的な作用により冷たさの局所的かつ一時的な感覚をもたらす。しかしながら、化学物質(メタノール)と皮膚との直接接触が皮膚の刺激を生じる可能性がある。メーキャップの品質及び寿命は特定の熱的な条件に依存することがよくあり、かつ極端な温度条件下では極めて有害な作用を受ける可能性がある。塗った製品が液状化し、熱と汗の作用によって流れる可能性があり、又は極端に冷たい場合は製品の可塑性及び柔軟性が失われる可能性がある。先に述べた問題点に対する有効な解決は今日まで導入されていない。 【0005】 【課題を解決するための手段】出願人会社は驚くべきことに、以下により詳細に記載する熱吸収性と回復性を有する特定のマイクロカプセルを使用することによって、化粧品及び医薬品組成物の熱安定性を実質的に改良し、化粧品分野における熱交換に関する上記の問題の少なくとも一部を解決した。本発明で使用するマイクロカプセルは好ましくは、融点の近くまで温度を上げると融解潜熱として知られている大量の熱を吸収する部分的又は完全に結晶性の化合物を、漏出のない被覆中に含む。融解潜熱の吸収は、熱エネルギーの導入にも関わらず化合物の温度が安定したままであることによって反映される。この作用は“緩衝”作用に類似しており、これによって、外部温度の変化にも関わらずマクロカプセルの当面の環境を化合物の融点に近い温度範囲において一定の時間自動的に温度制御することができる。上記の熱吸収性は、カプセルに封入した化合物の融点より温度が低くなった場合に結晶化の潜熱の形で吸収したエネルギーを元に戻す能力を伴っており、このことも大きな利点である。従って、溶融状態にある化合物を含むマイクロカプセルは熱エネルギーの貯蔵器を構成する。本カプセルは、当面の環境を安定化することができる可逆的な熱吸収性と熱回復性を有し、従って、“熱安定化マイクロカプセル”として知られることとなろう。 【0006】 【発明の実施の形態】従って、本発明の主題は、示差走査熱量測定法で測定して75〜330kJ/kgの融解エンタルピー(ΔHf)を示し、化粧品又は医薬品組成物を熱変化の作用から保護する少なくとも一つの結晶性化合物を含むマイクロカプセルの使用である。本発明の他の主題は、生理学的に受容可能なビヒクル中に、示差走査熱量測定法で測定して75〜330kJ/kgの融解エンタルピー(ΔHf)を示す少なくとも一つの結晶性化合物を含むマイクロカプセルを含む化粧品又は医薬品組成物である。熱安定化マイクロカプセルを化粧品又は医薬品組成物に導入することによって、突然の熱又は冷却の生起に対して一定の時間組成物を保護することが可能となり、すなわちそのレオロジー特性を保持し、かつ温度の変化に関する非可逆的な作用を阻止することが可能となる。化粧品又は医薬品組成物の熱安定性を改良するために本発明において使用する熱安定化マイクロカプセルの有効性は、カプセルに封入した結晶性化合物の熱吸収性能びその融点に依存する。 【0007】本出願で使用する“結晶性化合物”という用語は部分的又は完全に結晶性の化合物を含む。使用する化合物の結晶度は、該化合物が意図する使用に必要な結晶融解のエンタルピーを示す範囲において決定的ではない。使用するマイクロカプセルの熱吸収性能は、カプセルに封入した結晶性化合物の融解エントロピーに直接比例する。この融解熱のエンタルピーを示差走査熱量測定法で測定する。化合物の融解エンタルピーは、部分的に又は完全に結晶性の試料を完全に非晶質試料に転換するのに必要なエネルギーの量である。サーモグラムΔCp=f(T)、式中、ΔCpは試験範囲において熱転移を全く示さない参照試料と試料との熱容量の差を表し、従って試料の融解エンタルピー(ΔHf)に比例する領域では吸熱信号を示す。前述したように、本発明の化粧品組成物で使用するマイクロカプセルは75〜330kJ/kgの融解エンタルピーを有する結晶性化合物を含む。この融解エンタルピーは好ましくは100〜300kJ/kg、理想的には150〜280kJ/kgである。 【0008】化粧品又は医薬品組成物の熱安定化マイクロカプセルに含まれる結晶性化合物の熱容量に加えて、これらの化合物の融点は必須のパラメーターであり、作用方法、適用の分野及び化粧品組成物の有効性を決定する。熱変化に対して化粧品又は医薬品組成物を保護するために、カプセルに封入した結晶性化合物は、化粧品組成物が暴露されやすい温度、すなわち好ましくは約0℃〜90℃の範囲の温度で溶融しなければならない。固形の組成物、例えばスティック又はペンシルを冷却下で過度に大きな硬化から保護する場合、カプセルに封入した化合物の融点は周囲温度より低い温度、例えば5℃〜15℃でなければならず、一方、暖かい条件下で軟化又は液化から該組成物を保護する場合には、カプセルに封入した化合物の融点が周囲温度より高い温度、例えば25〜60℃であることが必要である。導入において述べた皮膚と化粧品及び医薬品組成物の間の熱交換に関しては、融点の選択について他の観点を考慮に入れなければならない。 【0009】従って、本発明の化粧品及び医薬品組成物の一つの態様において、カプセルに封入した結晶性化合物の融点(Tm)は好ましくは0〜15℃である。保護クリームにおいて相対的に低い融点の結晶性化合物を含むマイクロカプセルにより、外部温度がカプセルに封入した結晶性化合物の融点より低下した場合、カプセルに封入した化合物の結晶化潜熱を放出することによって寒さによる皮膚に対する攻撃を保護することが可能になる。本発明の化粧品及び医薬品組成物の他の態様において、カプセルに封入した結晶性化合物の融点は周囲温度、すなわち約20〜25℃からヒトの皮膚の温度、すなわち約32℃の間である。これらの組成物の保存温度において、マイクロカプセルに封入した結晶性化合物は結晶状態にある。それは皮膚又は唇に適用後急速に溶融し、この溶融に必要な熱を当面の上皮環境から取り出し、その結果ユーザーに局所的な涼感を生じる。この冷涼作用はメントールの冷涼作用と匹敵するが、化学物質と皮膚の間に直接の接触はないので刺激の危険性がない。 【0010】本発明の化粧品及び医薬品組成物の第3の態様において、カプセルに封入した結晶性化合物の融点はヒトの皮膚の温度より高い。このような組成物により、カプセルに封入した化合物の融点に近い温度範囲において、熱の有害な作用を阻止することが可能となる。ヒトの皮膚よりわずかに高い温度、例えば33〜45℃の融点を有する化合物を含む熱安定化マイクロカプセルを取り込むことは、メーキャップの分野において特に有利である。外部温度が増大するとカプセルに封入した結晶性化合物は溶融し、一定の時間その融点に近い値で温度を局所的に安定化する。温度のこの安定化により、メーキャップの保持が改良されかつその化粧特性が維持され、例えば着色が艶消し(mattness)され、それが流れるのを防ぎ、かつ局所的に発汗を押さえ、さらに脂肪分泌腺の分泌量を維持する。同一の化粧品組成物中に、含まれる化合物の融点が相違するいくつかの型のマイクロカプセルを含むことは勿論可能である。 【0011】本発明の熱安定化マクロカプセルを含む化粧品組成物の上記した適用は、当然のことながらこれに制限されない。本発明の“自動的に温度制御された”化粧品組成物は、熱の局所的な導入若しくは除去又は組成物が適用される表面(皮膚、唇又は毛髪)の温度の局所的な安定化に関する限りいずれの適用においても使用される。結晶性化合物は好ましくは漏出のない被覆中にカプセル封入される。このカプセル封入は溶融/結晶化方法の可逆性にとって必須の条件である。その理由は、カプセルに封入した溶融化合物は化粧品又は医薬品組成物中に拡散することができず、かつ外部温度がその融点より低くなった場合に再度結晶化するからである。被覆が漏出しないものであることは、結晶性化合物の溶融範囲において多数の熱変化を組成物が受けざるを得ない場合に特に有利である。例えば、寒冷に対する保護用のクリームにおいては、周囲温度で結晶性化合物が溶融状態であることが必須である。 【0012】しかしながら、いくつかの適用においては、特に結晶性化合物の溶融による単一の熱安定化が所望である場合、溶融/結晶化現象の可逆性は必須ではなく、溶融結晶性化合物に関する被覆の不浸透性は本発明の必須の特徴ではない。本発明に適するカプセルに封入した結晶性化合物の例として以下を挙げることができる:−10〜40の炭素原子を含む脂肪族炭化水素、−芳香族炭化水素、−C8-40脂肪酸、例えばステアリン酸及びラウリン酸、−C8-40脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール及びラウリルアルコール、−C10-40脂肪酸エステル、例えばステアリン酸メチル及びケイヒ酸メチル、−有意な量の結晶水を含む無機塩、例えば塩化カルシウム6水和物、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素ナトリウム12水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物及び硝酸ニッケル6水和物、−C10-40脂肪酸トリグリセリド、【0013】−ある種のシリコーンワックス、例えばベヘノキシ又はステアロキシ末端基を含むポリジメチルシロキサン(INCI:ベヘノキシジメチコーン及びステアロキシジメチコーン)、ポリメチルステアリルオキシジメチルシロキサン(INCI:ステアリン酸エステルジメチコーン)、ポリメチルステアリルジメチルシロキサン(INCI:ステアリルジメチコーン)、ステアリルメタクリレート単位を含むポリジメチルシロキサングラフトとのコポリマー、又はポリメチルトリフルオロメチルアルキルジメチルシロキサン(INCI:トリフルオロメチル(C1-4)アルキルジメチコーン)、これらの化合物の全ての脂肪鎖は好ましくは直鎖及び/又は飽和である。これらの化合物を単独又はこれらの二又はそれ以上の混合物の形で使用することができる。上記の温度範囲において結晶性融点を示す少なくとも部分的に結晶性のホット−メルトポリマーも挙げることができる。 【0014】このようなポリマーは、例えばオレフィン系ホモポリマー及びコポリマーであって、ポリオレフィンワックス、例えばエチレンホモポリマー、エチレンとプロピレンのコポリマー、エチレンとオクテンのコポリマー、エチレンとブテンのコポリマー、及びエチレンと酢酸ビニルのコポリマーを含む。ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(アルキルエステル)、ポリ(ε−カプロラクタム)、ポリアミド、特に脂肪酸ダイマーの縮重合物から得られたもの、及びフルオロオレフィンのコポリマーも挙げることができる。使用することができる結晶性ポリマーの他の群は、結晶化可能な側鎖を有するポリマーから形成され、J. Polymer Sci.: Macromol. Rev., 8, 117-253 (1974)に記載されている。これらは、有意量の、通常は少なくとも50質量%に等しい量の、長い結晶化可能な直鎖の脂肪族側鎖又は結晶化可能なフッ素化した又は過フッ素化した側鎖を含む共重合化した単位を含むビニル及び/又はアクリルポリマーである。米国特許第5,156,911号は、接着体における結晶化可能な側鎖を有するこのようなポリマーの使用を開示しており、この接着性は温度の関数として変化する。 【0015】本発明に好ましいカプセルに封入した結晶性化合物は、10〜40、好ましくは13〜28、より好ましくは16〜23の炭素原子を含む直鎖を有する脂肪族炭化水素である。その理由は、この系統の同族炭化水素化合物の融点が、上記の化粧品の適用に関する温度範囲において、炭素原子の数に伴って完全に予測可能なように増加する(n−トリデカン(C13)の−5.5℃からn−オクタコサン(C28)の61.4℃まで)からである。75〜330kJ/kgの融解熱(ΔHf)を示す結晶性化合物を好ましくは漏出のない被覆中にカプセル封入する。このカプセル封入は溶融/結晶化方法の可逆性にとって必須の条件である。その理由は、カプセル封入した溶融化合物は化粧品組成物中に拡散することができず、かつ外部温度がその融点より低くなった場合に再度結晶化するからである。マイクロカプセルの壁を、マイクロカプセル封入の分野で通常使用されるいずれの材料からも選択することができる。 【0016】この材料は非晶質、結晶性又は半結晶性であることができる。これが結晶性又は半結晶性である場合、カプセルに封入した結晶性化合物の融点より高い融点を有している必要がある。さらに、この材料は十分に弾性があり、相転移の間の結晶性化合物の容量変化に対して抵抗性がなければならず、かつそれを含む組成物を適用する際の剪断力に抵抗性でなければならない。さらに、それはカプセルに封入する物質に関して不活性でなければならず、かつそれが接触する化粧品又は医薬品配合物に関して不活性でなければならない。選択した方法に従って、材料としてポリマー、例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル又はポリシアノアクリレート、尿素−ホルムアルデヒド又はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及びセラチン/アラビアゴム系を使用することができる。マイクロカプセルを周知の方法で製造することができ、この方法は例えば発行人S. Benita、Marcel Dekker (1996)の“Microencapsulation, Methods and Industrial Applications”という表題の本に記載されている。例として、界面重合又は縮重合、コアセルベーション、スプレー噴霧、遠心押出又は回転ディスクマイクロカプセル化を挙げることができる。 【0017】熱安定化マイクロカプセルは公知であり、例えばフリスビーテクノロジー社(Frisby Technologies Inc.)によりThermasorb(登録商標)の名称で、又は3Mにより参照9850K及び9850Qの名称で市販されている。これらのマイクロカプセルは微細な、流体状のかつ非−フィルム−形成性の粉末の形態で提供される。これらの用途は公知であり、例えば等温衣料及び履き物、マイクロエレクトロニクスにおける冷却系、及び包装の分野において公知である。ポリマー材料でないものもマイクロカプセルの壁を構成する化合物として使用することができる。例えば沈降シリカ、非晶質シリカ、水和シリカ又はフェーズチェンジラボラトリーズ(Phase Change Laboratories)によりAcuTemp(登録商標)の名称で提供される疎水性にしたシリカをベースとするマイクロカプセルを使用することができる。 【0018】マイクロカプセルの上限の大きさは目で見えるという明白な理由により、数10μm又は数100μmに好ましくは制限されている。通常好ましくは平均直径が0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜50μmのマイクロカプセルを使用する。本発明の化粧品又は医薬品組成物におけるマイクロカプセルの比率は、配合によりまた意図する使用により広い範囲で変化することができる。本発明の化粧品組成物は通常、最終化粧品又は医薬品組成物に対して1%〜99質量%、好ましくは5%〜90質量%の熱安定化マイクロカプセルを含む。本化粧品又は医薬品組成物はさらに意図した使用に適した補助剤及び化粧品及び/又は医薬品活性成分を含むことができる。これらは好ましくは少なくとも一つの光学的性質を有する材料を含む。材料を例えば水溶性又は脂溶性染料、白色又は着色顔料、レーキ、ポリマー粉末、真珠光沢剤又は光沢剤から選択することができる。 【0019】これらの材料は好ましくは本発明の組成物中に0.1〜99質量%、好ましくは0.5〜90質量%の量で存在する。化粧品として活性な成分の例として、遊離基対抗剤、湿潤剤、ビタミン、タンパク質、酵素、セラミド、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、レチノイド、日焼け防止剤、界面活性剤、艶消し剤、制汗剤、殺菌剤及び静菌剤、脂肪物質及びシリコーンを挙げることができる。補助剤は例えば溶媒、pH−調整剤、抗酸化剤、封鎖剤、保存剤、充填剤、緩和薬、消泡剤、脂肪物質、例えば油、ワックス及びペースト状脂肪物質、分散剤、シリコーン、例えば揮発性又は非揮発性油、ゴム、ワックス又はペースト状シリコーン、芳香剤、界面活性剤、可塑剤、増粘剤又はゲル状ポリマー、及び可溶性又は分散性のフィルム−形成性ポリマーである。本発明の化粧品又は医薬品組成物を、熱安定化マイクロカプセルの存在に適合する公知のいずれの形態においても提供することができる。これらは例えば水性、水性/アルコール性又は有機懸濁液の形態、水中油若しくは油中水乳剤の形態、又は多重乳剤の形態、又は水性若しくは油状ゲル、ペースト、流動性粉末若しくはコンパクトパウダー、又はスティックの形態であることができる。 【0020】本発明の他の主題は、上記の化粧品又は医薬品組成物で含浸した不溶性の固形基体である。その理由は、本発明の化粧品又は医薬品組成物を使用して、不溶性の固形基体を含浸することができるからである。不溶性の基体を、織布織物若しくは不織織物、フォーム、スポンジ、詰め綿及びビーズから成る群から選択することができる。特に以下の繊維をベースとする不織織物であることができる:天然起源の繊維、例えば亜麻糸、木綿糸若しくは絹糸、又は合成起源の繊維、例えばセルロース繊維、ビスコース繊維、ビニルポリマー繊維、ポリエステル繊維、例えばポリ(エチレンテレフタレート)繊維、ポリオレフィン繊維、例えばポリエチレン若しくはポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、例えばナイロン(登録商標)繊維、又はアクリルポリマー繊維。不織材料は、例えばリーデル(Riedel)による、“Nonwoven Binding Methods & Materials”Nonwoven World、1987年、に記載されている。これらの基体を、不織布を製造する技術分野で公知の方法に従って製造する。 【0021】本基体は同一又は異なる特性を有する一又は複数の層を含むことができ、これにより、例えば意図する使用に応じて弾性又は柔軟性の性質に寄与することができる。本基体は、例えば弾性が異なる二つの部分、例えば国際出願WO 99/13861に記載されているものを含むことができ、又は密度が異なる単一の層、例えばWO 99/25318の文献に記載されているものを含むことができ、又はテクスチャーが異なる二つの層、例えば国際出願WO 98/18441に開示されている基体を含むことができる。基体は意図する使用に適するいかなる大きさ又は形態もとることができる。基体は通常0.005m2〜0.1m2、好ましくは0.01m2〜0.05m2の表面積を有する。基体を矩形のワイプ又は円形の圧縮物の形で提供することが好ましい。基体と含浸組成物を含む最終製品は含浸の程度によって通常湿った状態にあり、すなわち、固形の基体の質量に対する組成物の量は200〜1000%、好ましくは250〜350%である。 【0022】基体を含浸する技術は本技術分野で周知であり、全てを本発明に適用することができる。通常、含浸組成物を、一又は複数の技術、例えば含浸、被覆又は蒸発によって基体に添加する。組成物が基体に含浸した後で組成物から水を除去することにより、又は基体上に、乾燥形態の、粉末、粒子若しくはフィルム状態の組成物を、全ての公知の製造手段、例えば熱的に又は超音波で多層を溶接及び接着結合させて沈着させることにより、乾燥した状態で存在する製品(又はワイプ)を形成することも可能である。後者の態様では、公知のいずれかの手段、例えば噴霧、凍結乾燥又は他のいずれかの類似の技術によって組成物を乾燥する。従って、意図する使用に従って湿ったワイプ又は乾燥したワイプを得ることができる。湿ったワイプはそのままで、一方乾燥したワイプは使用の前に湿らせて使用することができる。上記したように、本発明の熱安定化マイクロカプセルを含む組成物は多数の適用の可能性を有している。 【0023】例えばこれらは、メーキャップ組成物、例えばファンデーション、パウダー、マスカラ、アイラライナー、口紅又は毛髪をメーキャップする製品、脱臭剤製品、特にスティック又はクリームの形態にあるもの、保護クリーム、ケアクリーム又はヘアケア製品であることができる。上記の不溶性固形支持体を有する製品又はワイプは、特に皮膚をケアし及び/又は処置するのに適した製品であることができ、かつ、特に顔の皮膚及び/又は身体からメーキャップを洗い落とし又は除去するワイプ及び/又は眼からメーキャップを洗い落とし又は除去するワイプ、及び脂性又はニキビ性の皮膚を洗浄するワイプであることができる。上記したように、本発明で使用する熱安定化マイクロカプセルの熱緩衝作用は、温度の変化に従って組成物の性質が有害な可逆的又は非可逆的変化を受けやすい組成物の場合に特に有利である。このような組成物の例として、脱臭スティック、固形芳香組成物、口紅、メーキャップペンシル、日焼け止めクリーム、マスカラ、ケアクリーム、水性又は油性ジェル、及び水中油乳剤を含浸したワイプ、例えばメーキャップ落としワイプを挙げることができる。以下の実施例は本発明を説明するがこれに限定されない。 【0024】 【実施例】実施例1化粧品組成物の熱安定化無水スティックの安定性の変化を外部温度の関数として観察する。試験したスティックは以下の組成を有する:スティックA(対照):ラノリン 24 質量%ラノリン誘導体 5.95 質量%ラノリンワックス 6 質量%脂肪酸エステル 4 質量%変性クレイ 0.6 質量%顔料 8.66 質量%抗酸化剤 0.6 質量%芳香剤 0.2 質量%植物油 適量 100 質量%スティックB(本発明に従うもの)スティックAを形成する組成物65質量%+イコサン−含有マイクロカプセル35質量%。両方のスティックを47℃の自動的に温度制御するオーブンに入れ、10分間隔でオーブンから出し、IR温度計(ショービン/アルノー(Chauvin/Arnoux)、フランスからのInfratherm model)を使用して各スティックの温度を直ちに計測する。 以下の結果が得られる: これらの結果はマイクロカプセルの存在によりスティックの温度上昇の減速が可能となることを示している。 実施例2流動状パウダーを以下の成分を混合することによって製造する:マイクロカプセル9850Q1) 40 質量部タルク 44 質量部ナイロン粉末 10 質量部黄色酸化鉄 1.6 質量部赤色酸化鉄 1.0 質量部黒色酸化鉄 0.4 質量部ジメチコーン2) 3 質量部1)3Mが市販するマイクロカプセルで、34℃の融点を有する化合物を含む。 2)非揮発性ポリジメチルシロキサン油。 上記のように製造した流動状パウダーは、相対的に高い外部温度で外観の良好な艶消しを維持する。 実施例3以下の成分を混合して流動状パウダーを製造する:Thermasorb(登録商標)83 マイクロカプセル1) 40 質量部タルク 44 質量部ナイロン粉末 10 質量部黄色酸化鉄 1.6 質量部赤色酸化鉄 1.0 質量部黒色酸化鉄 0.4 質量部ジメチコーン2) 3 質量部1)フリスビーテクノロジーズ(Frisby Technologies)が市販するマイクロカプセルで、28℃の融点を有する化合物を含む。 2)非揮発性ポリジメチルシロキサン油。 パウダーを適用する間、直ちに生じる冷却作用が観察される。 実施例4ワイプ用のメーキャップ落としミルク組成物相Aグリセリルステアレート/PEG100ステアレート(Arlacel(登録商標)165) 0.55 %セチルアルコール 0.15 %キサンタンゴム 0.1 %イソプロピルパルミテート 3.8 %相B水 適量 100 %保存剤(パラベンズ、フェノキシエタノール) 0.65 %相C熱安定化マイクロカプセル 10 %相A及びBを75〜80℃の温度で別々に加熱する。相Aを攪拌しながら相Bに添加し、攪拌を5分間持続し、次いで相Cを緩やかに攪拌しながら添加する。混合物を緩やかに攪拌しながら放置して環境温度まで冷却する。このようにして増粘性ポリマーの含量が低いミルクが得られ、これは高温における良好なクリーミング耐性を示す。このミルクを常用の含浸技術に従ってメーキャプ落としワイプの含浸に使用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391023932 【氏名又は名称】ロレアル 【氏名又は名称原語表記】LOREAL
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| 【出願日】 |
平成13年10月29日(2001.10.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059959 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 稔 (外9名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−179527(P2002−179527A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−330202(P2001−330202) |
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