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【発明の名称】 化粧料
【発明者】 【氏名】竹越 与一郎

【要約】 【課題】敏感肌、乾燥肌、荒れ肌またはアトピー性皮膚炎を生じた肌に適応した効果を有する化粧料を提供すること。

【解決手段】式(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I)
【化1】

(式中、nは1または2を表し、Rは炭素数5〜23の飽和または不飽和の炭化水素基を表す)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする化粧料。
【請求項2】 請求項1中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする敏感肌用化粧料。
【請求項3】 請求項1中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする乾燥肌用化粧料。
【請求項4】 請求項1中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする荒れ肌用化粧料。
【請求項5】 請求項1中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とするアトピー性皮膚炎用化粧料。
【請求項6】 N-長鎖アシルアミノ酸が、N-ラウロイルグルタミンまたはN-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミンである請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
【請求項7】 洗浄機能を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、敏感肌、乾燥肌、荒れ肌またはアトピー性皮膚炎を生じた肌に適応した、泡切れおよび使用感に優れるN-長鎖アシルアミノ酸またはその塩を配合することを特徴とする化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】N-長鎖アシルアミノ酸の無機塩または有機塩は、界面活性作用に加え殺菌作用を有し、これらを含有する洗浄剤は皮膚に対し緩和な作用と優れた洗浄力を有することから、洗浄剤組成物の主成分として広く用いられている(特公昭54−38604号公報、特公平5−83538号公報、特公昭60−27720号公報)。
【0003】しかし、洗浄剤として用いられるN-長鎖アシルアミノ酸塩のうち、第3級アミド型N-長鎖アシルアミノ酸塩は、水溶性に優れる反面、泡切れが悪く、ぬるつきを生じること、第2級アミド型N-長鎖アシルアミノ酸塩は、泡持ち、使用感に問題があることが知られ、これらの問題を解決する方法として、N-長鎖アシルアミノ酸にN-長鎖アシルジペプチドを配合する方法(特開平5−78693号公報)が知られている。N-アシルグルタミンについては、育毛作用(特開平6−32726号公報)、メラニン生成を阻害する作用(特開平6−157284号公報)、および洗浄作用(WO97/03171)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、敏感肌、乾燥肌、荒れ肌等の人や生体内のアレルギー反応等に由来するアトピー性皮膚炎の患者が激増している。敏感肌、乾燥肌、荒れ肌等の人やアトピー性皮膚炎の患者は、皮膚が過敏になっているため、通常の化粧品を用いると強い刺激を感じることがあり、またこれらの人や患者では、皮膚の細胞表面が傷んでいるため、化粧品、石鹸等に含まれる界面活性剤等により皮膚炎が悪化する恐れがある。このため、敏感肌、乾燥肌、荒れ肌等の人やアトピー性皮膚炎の患者でも安心して使用できる刺激性の少ない化粧料の開発、とりわけ洗浄機能を有する化粧料の開発が望まれている。
【0005】本発明の目的は、敏感肌、乾燥肌、荒れ肌またはアトピー性皮膚炎を生じた肌に適応した効果を有する化粧料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の(1)〜(7)に関する。
(1) 式(I)
【0007】
【化2】

【0008】(式中、nは1または2を表し、Rは炭素数5〜23の飽和または不飽和の炭化水素基を表す)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸[以下、化合物(I)という]およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする化粧料。
【0009】(2) 上記(1)中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする敏感肌用化粧料。
(3) 上記(1)中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする乾燥肌用化粧料。
(4) 上記(1)中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とする荒れ肌用化粧料。
(5) 上記(1)中に記載の式(I)で表されるN-長鎖アシルアミノ酸およびその塩から選ばれる化合物を1以上配合することを特徴とするアトピー性皮膚炎用化粧料。
(6) N-長鎖アシルアミノ酸が、N-ラウロイルグルタミンまたはN-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミンである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧料。
(7) 洗浄機能を有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化粧料。
【0010】
【発明の実施の形態】化合物(I)の基の定義において、炭素数5〜23の飽和炭化水素基としては、直鎖または分岐状の、例えばペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル等があげられ、炭素数5〜23の不飽和炭化水素基としては、直鎖または分岐状の、例えばペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘンエイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、1,3-ペンタジエニル、8,11-ヘプタデカジエニル、8,11,14-ヘプタデカトリエニル、4,7,10,13-ノナデカテトラエニル等があげられる。
【0011】化合物(I)の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアミンの付加塩およびアルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸の付加塩等があげられ、これらの塩基性成分は単独または混合物の形で使用される。
【0012】化合物(I)は、直鎖または分岐鎖の炭素数6〜24の飽和または不飽和の脂肪酸(以下、長鎖脂肪酸という)を塩化チオニル、ホスゲン等のハロゲン化剤を用いてクロライド、ブロマイド等のハロゲン化物に変換した後、グルタミンおよびアスパラギンから選ばれるアミノ酸(以下、単にアミノ酸という)と縮合させるか、または長鎖脂肪酸を酸無水物に変換した後、アミノ酸と反応させることにより製造することができる。
【0013】長鎖脂肪酸としては、例えばカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の単一組成の脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の混合組成の脂肪酸等があげられる。
【0014】酸ハロゲン化物を経由する化合物(I)の製造方法を、以下に例示する。長鎖脂肪酸を塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、n-ヘキサン等の溶媒中に分散し、これに1〜5倍当量のハロゲン化剤を添加して反応させ、長鎖脂肪酸ハライドを得る。次に、アミノ酸を溶媒に溶解または分散させ、得られた混合液を5〜70℃に保ちながら、上記の長鎖脂肪酸ハライドをアミノ酸に対して0.3〜1.0倍当量加え、アシル化反応を行うことにより化合物(I)を製造することができる。
【0015】アシル化反応に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられ、これらは単独あるいは混合して用いられる。アミノ酸を溶媒に溶解または分散させる際、アミノ酸に対して0.8〜2.0倍当量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ物質を必要に応じて溶媒に溶解または分散させてもよい。
【0016】化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、遊離の形で得られる場合には、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、塩基を加えて塩を形成させればよい。本発明の化粧料における化合物(I)の配合量は、通常1〜90重量%、好ましくは3〜80重量%である。
【0017】本発明の敏感肌、乾燥肌、荒れ肌またはアトピー性皮膚炎用化粧料としては、肌に強い刺激を与えず、敏感肌、乾燥肌、荒れ肌またはアトピー性皮膚炎を生じた肌の症状の悪化の防止または改善機能を有する化粧料であればいかなるものも包含される。上記化粧料は、例えば、化粧水、乳液、化粧液、美容液、クリーム、パック等の基礎化粧料、口紅、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、頬紅等のメイクアップ剤、ヘアコンディショナー、ヘアパック等のヘアケア剤、洗顔料、ボディーソープ、ハンドソープ、ボディーリンス、ヘアシャンプー、ヘアリンス、パック等の洗浄剤(肌、毛髪等の洗浄機能を有する化粧料;石鹸も含む)等として使用され、中でも洗浄剤としての使用が好ましい。
【0018】上記洗浄剤の剤型としては、固形、練状、パウダー状、液状等があげられる。本発明の化粧料には化合物(I)以外に、化粧料一般に用いられる各種成分、すなわち、油脂類、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸、合成エステル類、アルコール類、増粘剤、保湿剤、防腐剤、香料、色素、顔料、薬剤、水等を配合することができる。
【0019】油脂類としてはホホバ油、ヒマシ油、オリーブ油、大豆油、ヤシ油、バーム油、カカオ油、ミンク油、タートル油、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等があげられる。炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等があげられる。
【0020】ロウ類としては、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等があげられる。脂肪酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等があげられる。合成エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルデシル、モノステアリン酸プロピレングリコール、乳酸ミリスチル、リンゴ酸イソステアリル、モノステアリン酸グリセリン、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等があげられる。
【0021】油脂類、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸、合成エステル類は、通常、合せて0〜3重量%の割合で配合される。アルコール類としては、エタノール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等があげられる。アルコール類は、通常、0〜25重量%の割合で配合される。
【0022】増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、メチルポリシロキサン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等があげられる。増粘剤は通常0〜0.5重量%の割合で配合される。保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ピログルタミン酸、アセチルグルタミン、ヒアルロン酸、プロシアニジン等があげられる。保湿剤は通常0〜25重量%の割合で配合される。
【0023】防腐剤としては、安息香酸、パラメチル安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸もしくはそれらの塩類、パラオキシ安息香酸エステル等のフェノール類、トリクロサンハロカルバン等があげられる。防腐剤は通常0〜0.3重量%の割合で配合される。香料としては、通常化粧料に使用するものであればどのような香料を用いてもよい。
【0024】色素としては、通常化粧料に使用するものであればどのような色素を用いてもよい。顔料としては、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、タルク等があげられる。顔料は通常0〜1重量%の割合で配合される。薬剤としては、小麦胚芽油、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンE、アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウムもしくはナトリウム、D-パントテールアルコール、グリチルリチン酸ジカリウム、グルタチオン、UV吸収剤、キレート剤、植物抽出物、微生物代謝物/抽出物等があげられる。薬剤は通常0〜5重量%の割合で配合される。
【0025】水としては、水道水、ミネラルウォーター、かん水、海洋深層水、海水、超純水、含鉱水、精製水等があげられる。水は通常0〜99重量%の割合で適宜配合される。本発明の化粧料の剤形は任意であり、例えば、可溶化系乳化剤形あるいは分散形等の剤形をとることができる。
【0026】また洗浄機能を有する化粧料には、必要に応じて可溶化剤、ビルダー等の補助剤等を添加してもよいし、泡立ちや洗浄性を調整するためにアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、ポリオキシエチレン高級脂肪酸リン酸エステル塩、スルホン化高級脂肪酸塩、スルホン化高級脂肪酸アルコールエステル塩、イセチオン酸高級脂肪酸エステル塩、α-スルホ高級脂肪酸エステル塩、高級アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、高級アルキルアミン、高級アルキルトリメチルアンモニウム塩、高級脂肪酸ジエタノールアミドおよびそのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、高級脂肪酸モノエタノールアミドおよびそのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン高級脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル、N-長鎖アシル酸性アミノ酸塩、N-長鎖アシルザルコシン塩、N-長鎖アシル-β-アラニン塩等のN-長鎖アシルアミノ酸塩、ラウリルアミノプロピオン酸塩等の高級アルキルアミノプロピオン酸塩、ラウリルイミノジ酢酸塩等の高級アルキルイミノジ酢酸塩、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン、N-アルカノイル-N'-(2-ヒドロキシエチル)-N'-カルボキシメチルエチレンジアミン塩、N-アルカノイル-N-(2-ヒドロキシエチル)-N',N'-ビスカルボキシメチルエチレンジアミン等のアミンアミド化合物等があげられる。
【0027】以下に、本発明の化粧料の敏感肌、乾燥肌、荒れ肌またはアトピー性皮膚炎を生じた肌に適応した効果を試験例で示す。
試験例1 ヒト正常ケラチノサイトに対する細胞毒性抑制の評価N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン トリエタノールアミン(GMT、協和発酵工業製)、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸 トリエタノールアミン(GAT、協和発酵工業製;比較化合物)および低刺激性活性剤であるラウロイルβ-アラニンナトリウム[LBA、日光ケミカルズ(株)製;比較化合物]を被験化合物とし、以下の3種類の方法で細胞毒性抑制効果を検討した。
【0028】(1)3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)法生細胞中のミトコンドリア内膜中に存在する呼吸鎖関連の酵素活性量を測定し、生細胞数を評価する方法で、MTTを細胞に取り込ませて、生成されるMTTホルマザン量を570 nm(レファレンス=650 nm)の波長で比色定量した[菅原ら、細胞培養III, 4477-4482 (1984);J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn., 27, 498-505 (1993)参照]。
【0029】(2)ニュートラルレッド(NR)法NRは、正常な細胞のプラズマメンブランを透過し、ライソソームに濃縮されるが、細胞表面に障害を受けた細胞ではNRの取り込みが不可能となる。すなわち、NR法は、生細胞に取り込まれたNR量を測定(540 nmでの吸光度を測定)することによって生細胞数を評価する方法で、三光純薬のNRバイオアッセイ資料集に準じて実施した。
【0030】(3)インターロイキン(IL)-1αの定量ケラチノサイトからのIL-1α産生は、皮膚炎症初期反応の指標となることが知られる。IL-1αの定量は、アマシャム社製のIL-1αhuman ELISA systemを用いて実施した。
【0031】(4)以上の3種の細胞毒性抑制法を用いて、以下のように被験化合物の細胞毒性抑制効果を測定した。
IIヒト新生児由来正常表皮角化細胞[ケラチノサイト、初代培養、Clonetics社製(lot No.16059およびlot No.15360)]をClonetics社製無血清培地で培養した。該細胞をコラーゲンコートした25 cm2フラスコに播種し、37℃、5 % CO2条件下で6日間培養した。セミコンフルエントに達したことを確認した後、該細胞をトリプシン処理によりコラーゲンコートした96穴マイクロプレートに一定細胞密度(5000 cells/well)になるよう播種した。
【0032】1日後、所定の濃度(1〜10000 ppm、pH 7)に調製した被験化合物を添加し、48時間連続処理を行った後、MTT法およびNR法によって各被験化合物の細胞毒性を評価し、細胞毒性を50%抑制する濃度[IC50(ppm)]を算出した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】また、培養細胞からのIL-1αの放出は培養液中のIL-1α濃度を経時的に定量することによって測定した。結果を表2に示す。
【0035】
【表2】

【0036】表1より、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミンはN-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸より低毒性であり、さらに両化合物は低細胞毒性で知られるラウロイル-β-アラニンよりも細胞毒性が低いことが示された。また、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミンの塩として、トリエタノールアミンの代わりに、ナトリウム、カリウムのいずれを用いても細胞毒性抑制効果が同等であることを確認した。表2より、IL-1α産生量に関する結果はMTT法、NR法による毒性試験の結果と一致し、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミンはN-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸より低毒性であり、両者は低細胞毒性で知られるラウロイル-β-アラニンよりも細胞毒性が低いことが示された。
【0037】試験例2 ヒト皮膚に及ぼす影響GMT、GATおよびLBAを被験化合物とし、4人の被験者(20代、荒れ肌の女性)に対して以下の試験を行った。
【0038】直径1 cmのカップに5 %濃度(w/v)に調製した被験化合物を0.5 mL入れ、溶液が前腕屈曲側部の皮膚に密着するよう固定した。この処理を30分間行った後、処理部位をぬるま湯で濯ぎ、キムワイプで拭いた。20℃、相対湿度50 %の一定環境下、20分間皮膚を順化させた後、皮膚水分含量をSkicon-200(アイ・ビイ・エス社製)で測定した。この処理を1日に2回、4日間実施し、皮膚水分含量の変化を測定した。処理0日目の処理前の各化合物被験部位の水分含量を基準とし、各日における処理直前、処理直後(2回目処理後)の各化合物被験部位の水分含量を相対値(%)で表した。結果(n=4の平均値)を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】紅斑および落屑の観察も同時(78時間目)に行った。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】

【0042】上記処理が終了した翌日に、TEWAメーター(日本ユーロテック社製、TM210)で被験部位の水分蒸散量を測定した。結果を表5に示す。
【0043】
【表5】

【0044】表3によれば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン処理群では水処理群と同様に、皮膚水分含量の経時的な増加傾向が認められた。一方、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸処理群では、処理直後の水分含量に、減少傾向が認められ、ラウロイル-β-アラニン処理群では、水分含量に影響がなかった。表4によれば、紅斑は、全ての被験化合物処理群で認められなかったが、落屑は、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン処理群とラウロイル-β-アラニン処理群で最も少なく、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸処理群で多く観察され、皮膚水分含量の変化率と相関した。
【0045】表5によれば、皮膚水分蒸散量は、皮膚水分含量変化に相関した傾向を示し、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン処理群とラウロイル-β-アラニン処理群で最も水分蒸散量が少なかった。以上の細胞毒性や、皮膚水分含量、皮膚水分蒸散量、紅斑および落屑の結果から、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミンは、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸あるいはラウロイル-β-アラニンよりも皮膚に対して刺激性が少ないことが示された。
【0046】試験例3 官能試験GMT、GATおよびLBAを被験化合物とし、5人の被験者(20代、女性)に対して官能試験を行った。評価は、下記の5段階を基準として行い(なお、1と3の中間の評価を2、3と5の中間の評価を4とした)、各基準の1を-5、2を-1.5、3を0、4を1.5、5を5としてそれぞれ平均値を算出して判定した。
【0047】1)使用中泡立ち 1:ほとんどない 3:普通 5:非常に良い泡にきめ 1:大きい 3:普通 5:非常に細かい泡の質感 1:ソフト(軽い) 3:普通 5:クリーミィ(重い)
洗い心地 1:摩擦感がある 3:普通 5:滑らか匂い 1:非常に強い 3:普通 5:ほとんどない【0048】2)使用後泡切れ 1:悪い 3:普通 5:良い使用感 1:ぱさつき 3:普通 5:うるおい刺激 1:強い 3:普通 5:ほとんどない匂い 1:非常に残る 3:普通 5:ほとんどない【0049】3)満足度1:使いたくない 3:どちらでもよい 5:使ってみたい結果を表6に示す。
【0050】
【表6】

【0051】表6によれば、低刺激性のラウロイル-β-アラニンナトリウムを使用した場合は、実際に手を洗うときに泡立ちが非常に悪く匂いもあるが、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミンを使用した場合は、実際の洗浄時でも泡立ちが良く、匂いも少なく、刺激も少なく、良好な使用感が得られることが明らかになった。以下に、本発明の化粧料の実施例を示す。
【0052】
【実施例】実施例1 洗顔クリーム【0053】
【表7】

【0054】(調製法)表7に示される成分のうち、成分8〜10および12を80〜90℃で加温溶解した後、すみやかに成分1〜7を80〜90℃で加温溶解したものを攪拌しながら徐々に加え、さらに60℃で成分11を加えて攪拌混合しながら室温まで冷却し、洗顔クリームを製造した。
実施例2 シャンプー(液状)
【0055】
【表8】

【0056】(調製法)表8に示される成分のうち、成分1〜4および6を80〜90℃で加温溶解した後、徐々に冷却し、60℃で成分5を加えて攪拌混合しながら室温まで冷却し、シャンプーを製造した。
実施例3 ボディソープ【0057】
【表9】

【0058】(調製法)表9に示される成分のうち、成分1〜8および10を80〜90℃で加温溶解した後、徐々に冷却し、60℃で成分9を加えて攪拌混合しながら室温まで冷却し、ボディソープを製造した。
実施例4 乳液【0059】
【表10】

【0060】(調製法)表10に示される成分のうち、成分1〜10を80〜90℃で加温溶解し、別途、成分11〜13を80℃で加熱溶解したものを、徐々に加えて乳化する。攪拌を続けて40℃で攪拌を終了し、乳液とする。
実施例5 化粧水【0061】
【表11】

【0062】(調製法)表11に示される成分のうち、成分1〜2および7を均一溶解し、成分4〜6を均一に溶解した液を加えて、化粧水とする。
実施例6 クリーム【0063】
【表12】

【0064】(調製法)表12に示される成分のうち、成分1〜7を75℃で加熱溶解し、別途、成分8〜10および12を75℃で加熱溶解したものを攪拌しながら加えて均一し、成分11を加えて冷却し、クリームとする。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、敏感肌、乾燥肌、荒れ肌またはアトピー性皮膚炎を生じた肌に適応した効果を有する化粧料を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000001029
【氏名又は名称】協和醗酵工業株式会社
【出願日】 平成12年12月14日(2000.12.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−179518(P2002−179518A)
【公開日】 平成14年6月26日(2002.6.26)
【出願番号】 特願2000−380235(P2000−380235)