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【発明の名称】 クラリスロマイシン錠剤およびその製造法
【発明者】 【氏名】河原 敬二郎

【氏名】矢島 稔央

【要約】 【課題】クラリスロマイシン含有錠剤について、その錠剤を小型化し、服用性を向上させること。

【解決手段】クラリスロマイシンと構造中に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物とを含有し、素錠剤中のクラリスロマイシンの含有量が75質量%以上であることを特徴とするクラリスロマイシン錠剤およびその製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クラリスロマイシンと構造中に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物とを含有し、素錠剤中のクラリスロマイシンの含有量が75質量%以上であることを特徴とするクラリスロマイシン錠剤。
【請求項2】 請求項1記載の素錠剤にコーティングを行った錠剤であって、錠剤中のクラリスロマイシンの含有量が70質量%以上であるクラリスロマイシン錠剤。
【請求項3】 構造中に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物が、デンプン誘導体もしくはセルロース誘導体である請求項第1項記載のクラリスロマイシン錠剤。
【請求項4】 デンプン誘導体が、カルボキシメチルスターチナトリウムまたはヒドロキシプロピルスターチである請求項第3項記載のクラリスロマイシン錠剤。
【請求項5】 セルロース誘導体が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースまたはクロスカルメロースナトリウムである請求項第3項記載のクラリスロマイシン錠剤。
【請求項6】 クラリスロマイシンと、構造中に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物とを含有する粉体組成物に、水を添加後混合造粒し、乾燥後得られた顆粒を圧縮成型することを特徴とする、素錠剤中のクラリスロマイシンの含有量が75質量%以上であるクラリスロマイシン錠剤の製造法。
【請求項7】 クラリスロマイシンと、構造中に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物とを含有する粉体組成物に、水を添加後混合造粒し、乾燥後得られた顆粒を圧縮成型し、更にコーティングを行うことを特徴とする、錠剤中のクラリスロマイシンの含有量が70質量%以上であるクラリスロマイシン錠剤の製造法。
【請求項8】 構造中に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物が、デンプン誘導体もしくはセルロース誘導体である請求項第6項または第7項記載のクラリスロマイシン錠剤の製造法。
【請求項9】 デンプン誘導体が、カルボキシメチルスターチナトリウムまたはヒドロキシプロピルスターチである請求項第8項記載のクラリスロマイシン錠剤の製造法。
【請求項10】 セルロース誘導体が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースまたはクロスカルメロースナトリウムである請求項第8項記載のクラリスロマイシン錠剤の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラリスロマイシンを高含量で含みながら小型化されたクラリスロマイシン錠剤およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】錠剤に用いられる原薬のほとんどは、錠剤化する際に、各々の原薬物性により、キャッピング、硬度不足等の問題が起こるため、それ自体のみで、あるいは75質量%(以下、単に「%」で示す)を超えるような高含量で錠剤化することは困難であるとされている。実際、世界的に見ても単独の主薬含量が75%を超えるような錠剤を工業化しているものはほとんど無い。
【0003】このため、1回投与量が多い薬物(例えば、投与量が200mgを超えるような薬物)を錠剤化する場合、1錠当たりの重量の増加により容積的にも大型の錠剤とならざるを得ず、老人や小児が服用する場合は、困難を感じることもしばしばである。
【0004】ところで、クラリスロマイシンはマクロライド系の抗生物質であるが、成人に対する1回の投与量は200mgであり、クラリスロマイシン200mgを含有した錠剤(以下、適宜「クラリス錠200mg」という。)として処方されている。
【0005】このクラリスロマイシン錠剤は、その原薬を含む粉体を打錠(圧縮成型)することにより調製されているが、打錠の際に、錠剤の臼からの排出圧力が上昇し、打錠機に負荷がかかるという打錠障害の存在が知られていた。そして、この打錠障害を緩和するためには、必要充分量の賦形剤の配合が必要とされているため、現行クラリス錠200mgは、フィルムコーティングが施される前の状態で、1錠質量320mg、錠径10mm、錠厚5mmほどになっていた。
【0006】一般的に、服用性がよいと言われる錠剤の大きさの範囲は、円形の錠剤の場合、およそ錠径9mm以下で錠厚5mm以下とされているから、現行のクラリス200mg錠は、服用性が良いと言われる大きさを外れた錠剤といえる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】経口投与用の医薬品は、その薬効が高いことと共に患者にとって服用しやすいことも重要であり、本発明は、クラリスロマイシン錠剤について、その錠剤を小型化し、服用性を向上させることをその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の高分子化合物とクラリスロマイシンを組み合わせた組成を用いることにより、打錠時の錠剤排出圧力の上昇という打錠障害を緩和できることおよびこの組成により賦形剤の配合量自体をも減らすことができ、結果として、錠剤を小型化できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明は、クラリスロマイシンと構造上に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物とを含有し、素錠剤中のクラリスロマイシンの含有量が75%以上であることを特徴とするクラリスロマイシン錠剤を提供するものである。
【0010】また本発明は、クラリスロマイシンと、構造上に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物とを含有する粉体組成物に、水を添加後混合造粒し、乾燥後得られた顆粒を圧縮成型する、素錠剤中のクラリスロマイシンの含有量が75%以上であるクラリスロマイシン錠剤の製造法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のクラリスロマイシン錠剤は、素錠剤の状態でクラリスロマイシンを75%、表面をコーティングされたコーティング錠剤で70%以上含有する、クラリスロマイシン高含有錠剤である。
【0012】本発明のクラリスロマイシンは、素錠剤としたときに75%以上となる量のクラリスロマイシン原薬に、構造上に糖を含む水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物を配合した粉体組成物を調製し、これに水を添加後混合造粒し、乾燥後得られた顆粒を圧縮成型し、必要によりコーティングすることにより調製される。
【0013】本発明で用いられる水膨潤性もしくは水粘稠性高分子化合物(以下、単に「高分子化合物」という)は、構造中にグルコース、マンノース、ガラクトース等の糖(糖には糖類が含まれる)を含み、水を加えると膨潤しまたは粘稠性の液体となる性質を有する高分子化合物をいい、換言すれば、局方、局外規等に記載の水を加えると湿潤または粘稠性の液体となる性質を有する高分子化合物である。ここで、糖類は塩やエステルであってもよい。例を挙げれば、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等のデンプン誘導体や、低置換期度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム等のセルロース誘導体が挙げられる。このうち、カルボキシメチルスターチナトリウムは、例えばプリモジェル等の商品名で市販されているので、これを利用することができる。
【0014】これらの高分子化合物の配合量は、目的とする錠剤の大きさと打錠障害の関係から適宜定められるが、一般には製剤中、3〜17%、特に5〜15%が好ましい。
【0015】また、本発明の錠剤を調製するための粉体組成物においては、75%以上のクラリスロマイシンと、上記高分子化合物の他、必要に応じ、本発明の目的とする打錠障害の防止、錠剤の小型化を損なわない範囲で他の公知の賦形剤や結合剤、崩壊剤等を配合することも可能である。
【0016】上記の粉体組成物を用いて錠剤を調製するには、まず、これに水を添加後、常法に従って混合造粒することが必要である。造粒方法としては水、有機溶媒又はそれらの混合溶媒を用いた湿式造粒が好ましく、流動層造粒、攪拌造粒、練合造粒など公知の造粒手段を用いることができる。
【0017】また、この粉体組成物に加える水の割合は、造粒方法によって異なるが、35%以上とすることが好ましい。具体的には、撹拌造粒や練合造粒では、35から80%、流動層造粒では50から200%である。この水の量が少なすぎると粒子を形成しないおそれがあり、逆に多すぎると造粒機の内壁に湿粒が付着するという問題が生じるおそれがある。
【0018】次いで、得られた造粒物を乾燥し、顆粒を得る。顆粒の水分値(乾燥減量)は、電子式水分計((株)島津製作所製)で70℃、30分乾燥したとき、2.0%程度であればよい。また、顆粒の平均粒子径は0.1〜0.3mm程度の大きさとすればよい。平均粒子径は、例えば(株)セイシン企業社製の「ロボットシフター」などで測ることができる。
【0019】最後に、得られた顆粒を圧縮成型(打錠)する。圧縮成型にあたっては、得られた顆粒に少量の滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を添加、混合することが好ましく、例えば、8.5mm径2段R面の杵を使用し、打錠機で、300から700kg/cm程度の圧力で圧縮成型することにより行えばよい。
【0020】かくすることにより、錠剤径が9mm以下で、クラリスロマイシンの含量が75%以上の小型化されたクラリスロマイシン素錠が得られる。なお、この素錠からコーティングした錠剤を得るには、素錠に対し5%までのコーティング剤を用い、常法によりフィルムコーティング等によりコーティングすればよい。このコーティングにより、クラリスロマイシンの苦味をマスキングすることができ、より服用性が改善される。
【0021】
【実施例】以下に、実施例、比較例および試験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
【0022】実 施 例 1下記処方および製法によりクラリスロマイシン錠剤を得た。
( 処 方 )
クラリスロマイシン 1000gカルボキシメチルスターチナトリウム 70gヒドロキシプロピルセルロース 35g【0023】( 製 法 )上記成分を秤量後、混合、粉砕し、得られた混合粉末を精製水450gを結合溶剤として湿式造粒した。85℃で45分間乾燥後、ステアリン酸マグネシウム34gを添加して混合した。得られた顆粒を、8.5mm径2段R面の杵を用い、打錠機(VIRG 0519SSIAZ型:(株)菊水製作所製)の回転数を30rpmに設定して500kg/cmの打錠圧力で60分間の連続打錠を行った。
【0024】実 施 例 2下記処方および実施例1と同様の製法によりクラリスロマイシン錠剤を得た。
( 処 方 )
クラリスロマイシン 1000gカルボキシメチルスターチナトリウム 70g低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 35g【0025】比 較 例 1下記処方および製法によりクラリスロマイシン錠剤を得た。
( 処 方 )
クラリスロマイシン 1000g乳糖 490gクロスポビドン 80gヒドロキシプロピルセルロース 30g【0026】( 製 法 )上記成分を秤量後、混合、粉砕し、得られた混合粉末を精製水1000gを結合溶剤として湿式造粒した。85℃で60分間乾燥後、ステアリン酸マグネシウム50gを添加して混合した。8.5mm径の杵では、1錠中に200mgのクラリスロマイシンを含有する錠剤を調製することができないため、10mm径2段R面の杵を使用し、打錠機の回転数を30rpmに設定して700kg/cm2の打錠圧力で60分間の連続打錠を行った。
【0027】試 験 例 1実施例1、2および比較例1の打錠時における錠剤排出圧力並びに得られた錠剤の重量、錠剤径、錠剤厚みおよび錠剤硬度を測定した。その結果を表1に示した。また、打錠時のキャッピング等の打錠障害はいずれのロットにも起こらなかった。なお、錠剤物性は、自動錠剤物性測定器(WHT−1:ジャパンマシナリー(株)製)で測定した。
【0028】
【表1】

【0029】
【発明の効果】本発明により、圧縮成型時の錠剤排出圧力の上昇という打錠障害が軽減され、かつ、小型化されたクラリスロマイシン高含量錠剤を提供することが可能となった。
以 上
【出願人】 【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
【出願日】 平成12年12月4日(2000.12.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−173428(P2002−173428A)
【公開日】 平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願番号】 特願2000−368229(P2000−368229)