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【発明の名称】 分岐鎖アミノ酸を含有する医薬用顆粒製剤
【発明者】 【氏名】井田 光泰

【氏名】牧野 千里

【氏名】折田 治夫

【氏名】矢吹 昭

【要約】 【課題】イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種分岐鎖アミノ酸を含有する顆粒剤の苦みを緩和し、服用し易くした医薬用顆粒製剤を提供する。

【解決手段】イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤として1種類以上の有機酸を含有することを特徴とする医薬用顆粒製剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤として医薬品添加剤として許容されている少なくとも1種の有機酸を含有することを特徴とする医薬用顆粒製剤。
【請求項2】 前記酸味剤がクエン酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の医薬用顆粒製剤。
【請求項3】 前記酸味剤に加えて、さらにアスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸及びその塩類、アセスルファムK、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、カカオ末及びメントールからなる群から選ばれる少なくとも1種の矯味剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬用顆粒製剤。
【請求項4】 前記酸味剤に加えて、さらに着香剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬用顆粒製剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有する医薬用顆粒製剤に関する。本発明の医薬用顆粒製剤とは、日本薬局方に記載された顆粒剤及び散剤と、丸剤のことであり、医薬用の顆粒剤、散剤の粒度の範囲は日本薬局方に規定された範囲である。特に本発明は、苦みの強いイソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有する医薬用顆粒製剤の苦みを緩和して服用し易くした医薬用顆粒製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】イソロイシン、ロイシン、及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含む医薬用顆粒製剤は肝疾患に有効な治療薬である。この3種のアミノ酸を含む医薬用顆粒製剤は、そのままでは苦く、風味が悪く非常に服用しにくいという欠点がある。
【0003】特許第2971855号公報には、アミノ酸含有食品において、その加熱殺菌や長期保存によって発生するアミノ酸特有の風味(一般的には獣臭)の発生を抑制するために、酸味料でpHを酸性域に調整し、さらに甘味料で風味を整える方法が提案されている。また、特開平10−287551号公報には、不快な風味を有するアミノ酸類を配合した内服液剤の不快風味を改善する方法として、不快な風味を有するチアミン誘導体を配合することが提案されており、不快な風味を有するアミノ酸としてイソロイシン、ロイシン、バリン等も例示されているが、この方法は、特にアミノ酸としてメチオニンを含む場合に有効であることが記載されている。しかし、苦みの強い分岐アミノ酸であるイソロイシン、ロイシン、バリンを有効成分とする医薬用顆粒製剤の苦みを抑えることを目的として酸味剤を添加、使用した例はない。
【0004】また、甘味剤として従来から使用されているショ糖、ブドウ糖、果糖などを顆粒中に配合すること、あるいはこれらの糖で矯味コーティング層を設けることによってアミノ酸特有の風味の悪さを隠蔽することはできるが、イソロイシン、ロイシン、及びバリンのようなアミノ酸を有効成分として含む医薬用顆粒製剤の場合、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖成分が有効成分であるイソロイシン、ロイシン、及びバリンに接触すると、いわゆるメイラード反応を起こして医薬用顆粒製剤が着色し、保存安定性が悪くなるため、避けなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、肝疾患に対する有効な治療薬であるイソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分とする医薬用顆粒製剤に、酸味剤として有機酸を添加し、必要に応じてメイラード反応等による着色等を起こさない矯味剤や着香剤をさらに添加することにより、分岐鎖アミノ酸特有の苦みや風味の悪さを改善して服用にあたって不快感の少ない医薬用顆粒製剤を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための本発明は、イソロイシン、ロイシン、及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として製造されている医薬用顆粒製剤中に有機酸である酸味剤を含有せしめ、必要に応じてメイラード反応等による着色等を起こさない矯味剤を添加することを基本的な手段とするものであり、以下の各発明を含包する。
【0007】(1) イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有し、かつ酸味剤として医薬品添加剤として許容されている1種類以上の有機酸を含有することを特徴とする医薬用顆粒製剤。
【0008】(2) 前記イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸は、それらの配合割合が重量比で、イソロイシン/ロイシン/バリン=1/1.9〜2.2/1.1〜1.3であることを特徴とする(1) 項記載の医薬用顆粒製剤。
【0009】(3) 前記イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸は、粒度が20〜700μm、好ましくは50〜500μmであるイソロイシン粒子及びロイシンと粒度が1mm以下のバリンとを含むイソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸の粒子を造粒原料として使用して製造されていることを特徴とする(1) 項又は(2) 項に記載の医薬用顆粒製剤。
【0010】なお、上記医薬用顆粒製剤における分岐鎖アミノ酸の粒度は、以下の方法で測定した数値である。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−910)を用い、2−プロパノール200mlを循環槽に入れて攪拌、超音波照射しながら5分間循環させた後、ブランク測定(測定時は超音波OFF)を行う。続いて、循環槽に2−プロパノール200mlを入れ透過率が約85%になるように測定アミノ酸試料を投入する。攪拌、超音波照射をしながら4分間循環させ、超音波を停止した5分後に粒径測定を行う。平均粒径は体積基準のメジアン径を用いた。
【0011】(4) 前記酸味剤がクエン酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1) 項〜(3) 項のいずれか1項に記載の医薬用顆粒製剤。
【0012】(5) 前記酸味剤に加えて、さらにアスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸及びその塩類、アセスルファムK、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、カカオ末及びメントール等からなる群から選ばれる少なくとも1種の矯味剤を含有することを特徴とする(1) 項〜(4) 項のいずれか1項に記載の医薬用顆粒製剤。
(6) さらに着香剤を含有することを特徴とする(1) 項〜(5) 項のいずれか1項に記載の医薬用顆粒製剤。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の医薬用顆粒製剤は、イソロイシン、ロイシン及びバリンからなる3種の分岐鎖アミノ酸の粒子を造粒して製造されている医薬用顆粒製剤である。本発明の医薬用顆粒製剤は、イソロイシン、ロイシン及びバリンの配合割合が重量比で、イソロイシン/ロイシン/バリン=1/1.9〜2.2/1.1〜1.3であることが好ましい。
【0014】本発明の医薬用顆粒製剤に使用される酸味剤は無水クエン酸、クエン酸、dl-リンゴ酸、酒石酸、d-酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、L-グルタミン酸塩酸塩等の有機酸である。特に好ましくは無水クエン酸、クエン酸、dl- リンゴ酸、酒石酸、d-酒石酸、アスコルビン酸、酢酸等が挙げられる。
【0015】本発明の医薬用顆粒製剤に使用される矯味剤はアスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、アセスルファムK、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、カカオ末等である。
【0016】本発明の医薬用顆粒製剤に使用される着香剤としては、各種フレーバーを用いることができるが、例としてはレモンフレーバー、オレンジフレーバー、グレープフルーツフレーバー、チョコレートフレーバー、 dl-メントール、l-メントール等が挙げられる。
【0017】本発明の医薬用顆粒製剤において、有効成分の一つであるイソロイシンは、一般的には発酵法で製造されている粒度が1mm以下、好ましくは20〜700μm、より好ましくは50〜500μmの粒子であり、日本薬局方の規格を満たすものである。また、ロイシンとしては、一般的には発酵法又は抽出法で製造されている粒度が1mm以下の粒子であり、好ましくは20〜700μm、より好ましくは50〜500μmの粒子であり、日本薬局方の規格を満たす医薬用顆粒製剤を製造することができる限り特に制限はない。また、バリンとしては、一般的には発酵法もしくは合成法で製造されている粒度が1mm以下の粒子で、日本薬局方の規格を満たす医薬用顆粒製剤を製造することができる限り特に制限はない。
【0018】本発明の医薬用顆粒製剤を構成する粒子を造粒するために、結合剤を使用することができる。結合剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等のセルロース誘導体、トウモロコシデンプン、コムギデンプン等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸ポリマーなどの合成高分子類、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム等であり、医薬用として使用できるものであれば特に制限なく使用できる。また、その使用量も通常の造粒が可能な範囲である限り任意である。
【0019】本発明の医薬用顆粒製剤における前記3種の分岐鎖アミノ酸を含む顆粒製剤は、高速攪拌造粒機、流動層造粒機、プラネタリーミキサー、乾式圧扁造粒機、破砕造粒機、押し出し造粒機、転動造粒機、噴霧乾燥造粒機、コーティング造粒機などの機器を使用しても製造することができるが、高速攪拌造粒機、押し出し造粒機が好ましい。押し出し造粒法は、可塑性を付与された粉末を多数の穴のあいたスクリーンから押し出すことにより造粒する方法であり、前押し出し式造粒機、ディスクペレッター式造粒機、リングダイ式造粒機、バスケット式造粒機、オシレーティング式造粒機、シリンダー式造粒機等が使用される。
【0020】高速攪拌造粒法とは、粉に水あるいはバインダー液を投入あるいは噴霧し、攪拌羽根の回転によりせん断・転動・圧密化を行い造粒する方法であり、竪型・横型の攪拌造粒機が使用される。流動層造粒法とは、粉を流動させながら水あるいはバインダー液を噴霧し、粉を凝集させることにより行われる造粒法であり、流動層型造粒機、攪拌流動層型造粒機、転動流動層型造粒機、攪拌転動流動層型造粒機が使用される。
【0021】乾式圧扁造粒法とは、水あるいはバインダー液を使用せず粉を圧縮して成形する方法であり、ロールプレス、ブリケッティングマシン、単発式打錠機、ロータリー式打錠機が使用される。転動造粒法とは、粉末を転がして造粒する方法のことであり、ドラム型造粒機、皿型造粒機、振動造粒機、円盤回転式造粒機が使用される。
【0022】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0023】実施例1高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサー、深江パウテック社製)にイソロイシン(平均粒径28μm)47.60g、ロイシン(平均粒径23μm)95.20g、バリン(平均粒径22μm)57.20g、無水クエン酸10.00g、ヒドロキシプロピルセルロース5.00gを量り取り、均一に混合した。蒸留水30.00gにレモンフレーバー微量を溶解させた液を結合液とし、これを添加し造粒を行った。造粒物を棚段乾燥機を用い60℃で2時間乾燥し顆粒を得た。1400μm篩で篩分後、篩上品を1400μm篩を用い強制篩過し、篩下品と充分混合を行い、医薬用顆粒製剤を得た。
【0024】実施例2高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサー、深江パウテック社製)にイソロイシン(平均粒径28μm)47.60g、ロイシン(平均粒径23μm)95.20g、バリン(平均粒径22μm)57.20g、無水クエン酸10.00g、マンニトール75.00g、サッカリンナトリウム0.38g、ヒドロキシプロピルセルロース5.00gを量り取り、均一に混合した。蒸留水40.00gにレモンフレーバー微量を溶解させた液を結合液とし、これを添加し造粒を行った。造粒物を棚段乾燥機を用い60℃で2時間乾燥し顆粒を得た。1400μm篩で篩分後、篩上品を1400μm篩を用い強制篩過し、篩下品と充分混合を行い、医薬用顆粒製剤を得た。
【0025】実施例3高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサー、深江パウテック社製)にイソロイシン(平均粒径28μm)28.56g、ロイシン(平均粒径23μm)57.12g、バリン(平均粒径22μm)34.32g、リンゴ酸2.25g、トレハロース30.00g、アスパルテーム0.90g、ヒドロキシプロピルセルロース3.00gを量り取り、均一に混合した。蒸留水20.00gにグレープフルーツフレーバー微量を溶解させた液を結合液とし、これを添加し造粒を行った。造粒物を棚段乾燥機を用い60℃で2時間乾燥し顆粒を得た。1400μm篩で篩分後、篩上品を1400μm篩を用い強制篩過し、篩下品と充分混合を行い、医薬用顆粒製剤を得た。
【0026】実施例4高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサー、深江パウテック社製)にイソロイシン(平均粒径28μm)38.08g、ロイシン(平均粒径23μm)76.16g、バリン(平均粒径22μm)45.76g、酒石酸3.00g、マンニトール60.00g、サッカリンナトリウム0.30g、ヒドロキシプロピルセルロース4.00gを量り取り、均一に混合した。蒸留水45.00gにレモンフレーバー微量を溶解させた液を結合液とし、これを添加し造粒を行った。造粒物を棚段乾燥機を用い60℃で2時間乾燥し顆粒を得た。1400μm篩で篩分後、篩上品を1400μm篩を用い強制篩過し、篩下品と充分混合を行い、医薬用顆粒製剤を得た。
【0027】実施例5高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサー、深江パウテック社製)にイソロイシン(平均粒径51μm)38.08g、ロイシン(平均粒径59μm)76.16g、バリン(平均粒径22μm)45.76g、酢酸0.80g、マンニトール60.00g、サッカリンナトリウム0.30g、ヒドロキシプロピルセルロース4.00gを量り取り、均一に混合した。蒸留水45.00gにオレンジフレーバー微量を溶解させた液を結合液とし、これを添加し造粒を行った。造粒物を棚段乾燥機を用い60℃で2時間乾燥し顆粒を得た。1400μm篩で篩分後、篩上品を1400μm篩を用い強制篩過し、篩下品と充分混合を行い、医薬用顆粒製剤を得た。
【0028】比較例1高速攪拌造粒機(ハイスピードミキサー、深江パウテック社製)にイソロイシン(平均粒径28μm)38.08g、ロイシン(平均粒径23μm)76.16g、バリン(平均粒径22μm)45.76g、ヒドロキシプロピルセルロース4.00gを量り取り、均一に混合した。蒸留水40.00gにレモンフレーバー微量を溶解させた液を結合液とし、これを添加し造粒を行った。造粒物を棚段乾燥機を用い60℃で2時間乾燥し顆粒を得た。1400μm篩で篩分後、篩上品を1400μm篩を用い強制篩過し、篩下品と充分混合を行い、医薬用顆粒製剤を得た。
【0029】実験例1実施例1〜5で得た医薬用顆粒製剤、比較例1で得た医薬用顆粒製剤においてブラインド性を確保した状態で成人男性5名のパネラーを用い服用し官能評価を行った。服用のしやすさ、服用後の3種の分岐鎖アミノ酸(BCAA)の医薬用顆粒製剤の苦味、後味の残り具合について評価を行った。
【0030】判断基準は次の通りである。
◎:良好、もしくは全く気にならない。
○:あまり気にならない。
△:やや気になる、もしくはやや苦い。
×:飲みにくい、もしくは苦い。
【0031】
【表1】

【0032】
【発明の効果】 以上のとおり、本発明によるイソロイシン、ロイシン、及びバリンを含んでなる医薬用顆粒製剤は、該分岐鎖アミノ酸特有の苦みが隠蔽され、服用し易い医薬用顆粒製剤である。
【出願人】 【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
【出願日】 平成12年12月6日(2000.12.6)
【代理人】 【識別番号】100078503
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 宏 (外3名)
【公開番号】 特開2002−173423(P2002−173423A)
【公開日】 平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願番号】 特願2000−371665(P2000−371665)