| 【発明の名称】 |
脳室洗浄製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】野田 久正
【氏名】土肥 関子
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| 【要約】 |
【課題】この出願発明は、脳組織を保護しながら脳室を洗浄する脳室洗浄製剤を提供することを課題とする。
【解決手段】この出願発明は、【化1】式(1) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 【化1】式(1)
[式中、R1が水酸基を示す場合にはR2は水素原子を示し、または、RlおよびR2が合してオキソ基を示す。R3は、水素原子、アルカリ金属または1〜3価アルコール残基を示す。R1が水酸基を、R2、R3が水素原子を示す場合には2〜10量体であってもよい。]で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とする脳室洗浄製剤。 【請求項2】 式(1)の化合物がβ−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ酪酸ナトリウムおよびβ−ヒドロキシ酪酸エステルの1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の脳室洗浄製剤。 【請求項3】 ナトリウムイオン、カリウムイオンあるいはリン酸イオンの電解質を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の脳室洗浄製剤。 【請求項4】 式1の化合物が0.2〜5mmol/L含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脳室洗浄製剤。 【請求項5】 pHが、6.5〜7.8であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの脳室洗浄製剤。 【請求項6】 浸透圧が250〜400mOsm/Lであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの脳室洗浄製剤。 【請求項7】 有機酸および/または炭酸を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の脳室洗浄製剤。 【請求項8】 粘度が0.9〜2.2cpであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の脳室洗浄製剤。 【請求項9】 炭酸ガス20〜40%を含有する混合ガスでガス置換したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の脳室洗浄製剤。 【請求項10】 炭酸ガス分圧が30〜300mmHgであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の脳室洗浄製剤。 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の脳室洗浄製剤によって脳室を洗浄することを特徴とする脳室の洗浄方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 この出願発明は、新規な脳室洗浄製剤に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、人工髄液を使用しないで、生理食塩液やリンゲル液を使用して髄腔、くも膜下腔等を灌流した場合には、けいれん、頭痛、発熱等の副作用が報告されている。これは、カリウムイオン、炭酸水素イオンの上昇による血管収縮、カリウムイオンの上昇、カルシウムイオン、マグネシウムイオンの低下による血圧上昇、カルシウムイオンの低下、カリウムイオンの上昇による痙攣がその原因である。また、生理食塩液やリンゲル液には、緩衝能がないため、灌流によりpHが低下し、脳血管拡張などの変化が生じている。そこで、それらの欠点を補うものとして、人工髄液が開発されている。この人工髄液はこれらの副作用は少なく、脳室鏡使用時に使用したときに手術中、あるいは手術の術後ともに痙攣はなく、術後の頭痛も起きていないが、院内製造の問題点として、大容量注射剤であるため、無菌試験、注射剤用ガラス容器試験、輸液用ゴム栓試験、不溶性異物検査、不溶性微粒子試験の実施が必要となるので、そのための労力が必要である。また、成分により不溶性の塩が形成されることがあるので、主要な塩の濃厚溶液を小容量の注射剤として調製し、使用直前に市販の注射剤に混合して用いる方法が検討されているが、現場では、調製時の煩雑さ、品質保証、安定性等の点から人工髄液の開発が望まれている。ところで、人工髄液は、髄腔内灌流、脳室灌流、くも膜下腔洗浄を目的として開発されているが、その処方は、開発者により様々であり、確立した処方はない。組成の特徴として、髄液に組成を近づけるために、重曹、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオンを含むことが必要とされている。このため、沈殿生成、糖の分解を防ぐことが重要となり、製剤はダブルバッグとすることが好ましい。脳室内洗浄は、髄膜炎、脳室炎等の時に行うが、水頭症でV−Aシャント感染時、および脳内出血時の脳室内洗浄にも行われる。このほか、開頭手術中の脳表、脳槽洗浄にも使用される。さらに、くも膜下出血の血腫除去法の一つとして、血腫溶解剤を添加した人工髄液が脳室脳槽灌流液として用いられる。脳内出血のドレナージから脳室膿瘍を合併した患者に抗生物質を添加した人工髄液を用いて間欠的脳室灌流を行っている。従来の開頭手術では、脳実質自身の排圧操作をするための侵襲が大きく、洗浄液(生理食塩液)による侵襲は問題視されていなかったが、神経内視鏡手術を含めた低侵襲手術の普及により、手術中の脳組織の保護が術後の経過に影響することから洗浄液が重要視されるようになった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 この出願発明は、脳組織を保護しながら脳室を洗浄する脳室洗浄製剤に関する。 【0004】 【課題を解決するための手段】 この出願発明は、【0005】 【化2】式(1)
【0006】[式中、Rlが水酸基を示す場合にはR2は水素原子を示し、または、RlおよびR2が合してオキソ基を示す。R3は、水素原子、アルカリ金属または1〜3価アルコール残基を示す。Rlが水酸基を、R2、R3が水素原子を示す場合には2〜10量体であってもよい。]式1の化合物を有効成分とする脳室洗浄製剤に関する。 【0007】 【発明の実施の形態】 この出願発明は、式(1)で表される化合物(1)を有効成分として含有することを特徴とする脳室洗浄製剤を提供するものであるが、式中、アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどを示し、1〜3価のアルコール残基としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プチルアルコール等のCl〜C12の1価アルコール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2−ブチン−1,4−ジオール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール、酒石酸、コハク酸等の酸をあげることができる。 【0008】この出願発明の化合物(1)としては、アセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ酪酸のナトリウム塩、エステルなどを用いることができるが、β−ヒドロキシ酪酸ナトリウムがとくに好ましい。エステルとしては、たとえばメチルエステル、エチルエステル、グリセリルエステル(モノエステル、ジエステル、トリエステル)等であってもよい。また、Rlが水酸基の場合には、2〜10量体等のオリゴマーであってもよい。 【0009】この出願発明の脳室洗浄製剤は、ナトリウムイオン、カリウムイオンを含み、更に必要に応じてマグネシウムイオン、カルシウムイオン等の陽イオンを含有していても良い。また、陰イオンとしては、第1リン酸イオン、第2リン酸イオンを含むリン酸イオンの他、必要に応じてクロルイオンなどのハロゲンイオン、重炭酸イオンを含む炭酸イオン、および乳酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、ラクトビオン酸、グルコン酸等の有機酸類から得られるものも含まれ、これらにより電解質溶液を形成している。 【0010】必要に応じて、ウロキナーゼ等の血栓溶解剤、ゲンタマイシン等の抗生剤、リン酸デキサメタゾン等の副腎皮質ホルモン剤、インターフェロン−α等を適宜添加することができる。 【0011】また、粘度も必要な粘度に調整することができるが、0.9〜2.2cpの範囲とすることが好ましく、1.0〜1.8cpの範囲とすることが更に好ましい。 【0012】このようにして得られた脳室洗浄製剤は、必要に応じて保存液を炭酸ガスでパブリングすることにより長期に亘って安定性を保つことができる。更に、炭酸ガス濃度20〜40%好ましくは20〜30%の不活性ガスを充填することにより、組成の変化を防止することができる。 【0013】このようにして得られるこの出願発明の脳室洗浄製剤は、ガラス瓶やダブルバッグ等の密封容器に収納して滅菌することにより更に安定に長期間保存することができる。 【0014】この出願発明のイオン濃度(単位 mEq/L)は、ナトリウムイオンは、50〜160が好ましく、70〜150がとくに好ましい。また、カリウムイオンは、2〜10が好ましく、2.5〜5がとくに好ましい。マグネシムイオンは、0〜5が好ましく、1〜3がとくに好ましい。カルシウムイオンは、1〜10が好ましく、1〜5がとくに好ましい。クロルイオンは、90〜140が好ましく、100〜135がとくに好ましい。重炭酸イオンは、5〜40が好ましく、20〜35がとくに好ましい。リン酸イオンは、0.1〜30が好ましく、0.2〜1がとくに好ましい。硫酸イオンは、0〜15が好ましく、0.1〜3がとくに好ましい。BHBイオンは、0.001〜5が好ましく、0.02〜2mMがとくに好ましい。クエン酸イオンは、1〜10が好ましく、1〜5がとくに好ましい。グルコースは、0〜200が好ましく、20〜130mg/dLがとくに好ましい。 【0015】また、pHは、6.5〜 7.8が好ましく、7.0〜7.4がより好ましい。浸透圧は、250〜400mOsmが好ましく、280〜340mOsmがより好ましく、290〜320mOsmが特に好ましい。また、炭酸ガス分圧は、30〜300mmHgが好ましく、50〜150mmHgがより好ましい。 【0016】 【実施例】つぎの組成表に従って試薬をとり、注射用蒸留水に溶解し、全量10Lとする。 組成表(g) 塩化ナトリウム 69.496塩化カリウム 2.164塩化マグネシウム 1.728硫酸マグネシウム 0.862塩化カルシウム 1.766炭酸水素ナトリウム 19.322リン酸水素ナトリウム 0.586ベーターヒドロキシ酪酸ナトリウム 1.26グルコース 10クエン酸 3.5炭酸ガスを通気してpH6.8に調整し、メンプランフィルターでろ過し、プラスチック製バッグに500mLを充填し、高圧蒸気滅菌した後、ガス不透過性フィルムにて2次包装して脳室洗浄製剤を得た。得られた脳室洗浄製剤はつぎの配合表に示すものであり、無色澄明の製剤であった。 配合表 ナトリウムイオン 144.0mEq/L カリウムイオン 2.9mEq/L マグネシウムイオン 2.4mEq/L カルシウムイオン 2.4mEq/L 塩素イオン 126mEq/L 重炭酸イオン 23mEq/L リン酸イオン 0.75mEq/ 硫酸イオン 0.7mEq/L ベーターヒドロキシ酪酸イオン 1mEq/L グルコース 100mg/dL クエン酸イオン 5mEq/L得られた脳室洗浄製剤は、40℃、3週間保存しても沈殿を生じない安定した製剤であった。 【0017】 【発明の効果】 この出願発明により得られる脳室洗浄製剤は、長期間安定であるばかりでなく、脳細胞や脳神経に与える損傷が少ないので、優れている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391030963 【氏名又は名称】清水製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月4日(2000.12.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102370 【弁理士】 【氏名又は名称】熊田 和生
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| 【公開番号】 |
特開2002−173422(P2002−173422A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月21日(2002.6.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−368619(P2000−368619) |
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