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【発明の名称】 化粧料
【発明者】 【氏名】大角 高広

【要約】 【課題】優れた皮膜性能及び増粘性を有する化粧料の提供。

【解決手段】2種以上の水溶性ポリマーを含有し、式(I)を満足する化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2種以上の水溶性ポリマーを含有し、式(I)を満足する化粧料。
1≧2V2 (I)
[式中、V1は2種以上の水溶性ポリマーの粘度、V2は2種以上の水溶性ポリマーを構成する個々の水溶性ポリマーの粘度の最大値を示す。但し、V2の水溶性ポリマーの粘度を測定する際のポリマー濃度は、V1を測定する際のポリマー濃度と同一である。]
【請求項2】 水溶性ポリマーの一方が、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシル基、リン酸基又はこれらの塩からなる群から選ばれる1種類以上のアニオン性基を有するポリマー又はその塩(以下、ポリマーAという)であり、他方がノニオン性ポリマー(以下、ポリマーBという)である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】 ポリマーAがスチレンスルホン酸のホモポリマーもしくはコポリマー又はその塩であり、ポリマーBがビニルピロリドンのホモポリマー又はコポリマーである請求項1又は2記載の化粧料。
【請求項4】 スチレンスルホン酸が、p−スチレンスルホン酸である請求項3記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毛髪に適用した際に優れたセット性を示し、皮膚に適用した際に優れた保湿性及びパック性を示す化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリビニルピロリドンはポリビニルアルコールと並ぶ代表的な水溶性ポリマーであり、生理学的に生体に不活性であることから、化粧品や医薬品の用途で古くから使用されている。ポリビニルピロリドンは単なる化粧品用の皮膜形成剤や増粘剤としてだけでなく、添加成分の毒性や刺激性を緩和する効能に優れるため、皮膚刺激緩和剤としてや、皮膜時の水分量が多いため、保湿剤としても使用され、化粧品全般に幅広く使用されている。
【0003】例えば、特開平10−152423号公報記載のような整髪料や特開平2−25410号公報記載のような化粧水、特開平11−171726号公報記載のようなパック剤等が挙げられる。
【0004】ポリビニルピロリドンは優れたポリマーではあるが、さらなる皮膜性能(保湿性、耐湿性)及び増粘性の向上、もしくは新しい機能の付与があれば、もっと少量でかつ利用範囲、利用価値ともに大きくなると考えられる。
【0005】本発明の課題は、優れた皮膜性能及び増粘性を有する化粧料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、2種以上の水溶性ポリマーを含有し、式(I)を満足する化粧料を提供する。
【0007】V1≧2V2 (I)
[式中、V1は2種以上の水溶性ポリマー混合物の粘度、V2は2種以上の水溶性ポリマー混合物を構成する個々の水溶性ポリマーの粘度の最大値を示す。但し、V2の水溶性ポリマーの粘度を測定する際のポリマー濃度は、V1を測定する際のポリマー濃度と同一である。]
【0008】
【発明の実施の形態】[水溶性ポリマー]本発明において、水溶性ポリマーとは、ポリマー1重量部とイオン交換水99重量部を均一に混合した液を石英セル(光路長1cm)に入れ、紫外可視分光光度計((株)島津製作所製UV−265FW)で光の波長が、370nmのときの透過率を測定し、透過率が95%以上であるものをいう。
【0009】本発明に用いられる水溶性ポリマーとして、アニオン性基を有するポリマー又はその塩(以下、アニオン性ポリマーという)、ノニオン性ポリマー、カチオン性基を有するポリマー又はその塩(以下、カチオン性ポリマーという)がある。
【0010】<アニオン性ポリマー>アニオン性ポリマーは、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシル基、リン酸基又はこれらの塩からなる群から選ばれる1種類以上のアニオン性基を有するポリマー又はその塩が好ましく、次の(イ)〜(二)のポリマーが例示される。
(イ)(メタ)アクリロイル骨格又はスチレン骨格と、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシル基、リン酸基又はこれらの塩とを有するビニルモノマー(以下、ビニルモノマー(a)という)のホモポリマー。
(ロ)ビニルモノマー(a)と、このモノマーと共重合し得るモノマーとのコポリマー。
(ハ)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸又はそれらの塩等の前記アニオン性基含有多糖類。
(ニ)ビニル硫酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸もしくはそれらの塩のホモポリマー、又はこれらのモノマーと、これと共重合し得るモノマーとのコポリマー。
【0011】ここで上記(イ)〜(ニ)に属するポリマーの中で、合成ポリマーであることが好ましい。
【0012】ここで、(メタ)アクリロイル骨格を有するモノマーには、(イ−1)(メタ)アクリル酸、(イ−2)(メタ)アクリレート骨格を有するモノマー及び(イ−3)(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーが含まれる。(イ−1)(メタ)アクリル酸は、カルボキシル基を有するビニルモノマーの例である。(イ−2)前記アニオン性基を有する(メタ)アクリレート骨格を有するモノマーとして、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸等が例示され、(イ−3)前記アニオン性基を有する(メタ)アクリルアミド骨格を有するモノマーとして、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が例示される。前記アニオン性基とスチレン骨格を有するモノマーとしてはスチレンスルホン酸等が例示され、(イ)〜(ニ)に属するポリマーの中でも特に好ましい。
【0013】アニオン性ポリマーが、コポリマーである場合、コポリマー調製に使用される全モノマー中、他のイオン性モノマーは、全モノマー中10モル%以下、ノニオン性モノマーは、全モノマー中70モル%以下であることが好ましい。
【0014】アニオン性基を有するポリマーの塩は、塩基性物質により任意の中和度に中和されていてよい。塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン等が例示される。これらの塩は、モノマーの時点で形成されていてもよいが、ポリマー調製後に形成させてもよい。
【0015】<ノニオン性ポリマー>ノニオン性ポリマーとして、次の(ホ)〜(ト)のポリマーが例示される。
(ホ)アミド基を有するビニルモノマー(以下、ビニルモノマー(b)という)のホモポリマー。
(ヘ)ビニルモノマー(b)と、これと共重合し得るモノマーとのコポリマー。
(ト)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール、プルラン、グアガム、ヒドロキシエチルセルロース等。
【0016】ここで上記(ホ)及び(ヘ)に属するポリマーの中では、合成ポリマーであることが好ましく、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリN、N−ジメチルアクリルアミド、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリN−ビニルホルムアミド、ポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)等が好ましく例示され、ポリビニルピロリドンが特に好ましい。
【0017】ノニオン性ポリマーがコポリマーである場合、コポリマーに使用されるイオン性基を有するモノマーは、全モノマー中10モル%以下、他のノニオン性モノマーは、全モノマー中70モル%以下であることが好ましい。
【0018】<カチオン性ポリマー>カチオン性ポリマーとして、アンモニウム基、アミノ基又はイミノ基の塩、ベタイン構造からなる群から選ばれる1種類以上のカチオン性基を有することが好ましく、次の(チ)〜(ル)のポリマーが例示される。
(チ)カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体等の前記カチオン性基含有多糖類。
(リ)ジアリル系ポリマー 具体的には、ジアリル4級アンモニウムホモポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸との共重合物、ジアリル4級アンモニウム/アクリル酸/アクリルアミドの3成分からなるポリマーが挙げれられる。
(ヌ)4級化ポリビニルピロリドン誘導体。
(ル)ポリグリコールポリアミン縮合物。
【0019】これらのうち、合成ポリマーが好ましく、ジアリル4級アンモニウムホモポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリルアミド及び/又はアクリル酸との共重合物が好ましく例示される。
【0020】カチオン性ポリマーが、コポリマーである場合、コポリマー調製に使用される全モノマー中、他のイオン性モノマーは、全モノマー中10モル%以下、ノニオン性モノマーは、全モノマー中70モル%以下であることが好ましい。
【0021】カチオン性基を有するポリマーの塩は、酸性物質により任意の中和度に中和されていてよい。塩を形成するアニオンとしては、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲンイオン、メトサルフェート、エトサルフェート、メトフォスフェート、エトフォスフェート等の有機アニオンが例示される。これらの塩は、モノマーの時点で形成されていてもよいが、ポリマー調製後に形成させてもよい。
【0022】本発明においては、上記のようなポリマーの中から、2種以上の水溶性ポリマーを含有する混合水溶液の粘度が、2種以上の水溶性ポリマーを構成する個々の水溶性ポリマーの粘度(同じポリマー濃度の測定値)の最大値の少なくとも2倍、好ましくは3倍以上となるような、水溶性ポリマーの混合物を選択する。即ち、下記式(II)を満足することが好ましい。
【0023】V1≧3V2 (II)[式中、V1及びV2は前記の意味を示す。]尚、本発明において、粘度は、各ポリマーの20重量%の水溶液(pH6)を作製し、混合・攪拌した後、2日間50℃で放置して完全に混合し、これを30mLのスクリュー管に20mL入れ、B型粘度計(ローターNo.4、60回転/分、25℃)で測定することにより求める。但し、測定時のポリマー濃度は20重量%であることを基準とするが、この濃度では粘度が高すぎて測定不可能の場合には、測定可能範囲内まで濃度を低下させてもよい。5〜20重量%の範囲内で測定することが好ましく、10〜20重量%の範囲内で測定することがさらに好ましく、20重量%で測定することが特に好ましい。上記濃度範囲中、前記式(I)を満足させることができる濃度があればよい。
【0024】本発明において、2種以上の水溶性ポリマーを含有する混合水溶液の粘度(上記測定条件)は、1000〜50,000mPa・sが好ましい。
【0025】本発明は、2種以上の水溶性ポリマーを用いることができるが、配合の簡易性の点から2種であることが好ましい。それらの重量平均分子量は共に、5千〜300万の範囲のものが好ましく、特に皮膜形成性から1万〜100万のものが更に好ましい。
【0026】本発明は、このように2種以上の水溶性ポリマーの混合水溶液の粘度が、個々のポリマーの水溶液の粘度の最大値と比較して、同じポリマー濃度であっても、2倍以上という著しい増粘が見られる場合、この混合ポリマーを含有する化粧料は、皮膜形成時の皮膜性能が高く、化粧料として非常に有用であることを見出したものである。
【0027】これら水溶性ポリマーの内、一方が、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシル基、リン酸基又はこれらの塩からなる群から選ばれる1種類以上のアニオン性基を有するポリマー又はその塩(以下、ポリマーAという)であり、他方がノニオン性ポリマーあるいはカチオン性基を有するポリマー又はその塩であることが好ましく、ノニオン性ポリマー(以下、ポリマーBという)であることが特に好ましい。
【0028】これらのポリマーAの中で、最も好ましいものは、スチレンスルホン酸のホモポリマーもしくはコポリマー又はその塩(以下、PSSという)であり、ポリマーBの中で、最も好ましいものは、ビニルピロリドンのホモポリマー又はコポリマー(以下、PVPという)である。以下にこれらを詳細に記載する。
【0029】<PVP>PVPは、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルピロリドンを主成分とするモノマーを、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法で重合を行うことにより得ることができる。ラジカル重合開始剤として、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物や、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等の過酸化物等が使用できる。
【0030】ビニルピロリドン以外のこれと共重合し得る任意の重合性の不飽和基を有するモノマーを使用しても良い。そのような重合性の不飽和基を有するモノマーとして、特開平2000−273017号記載のアニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のモノマーが例示され、これらのモノマーを1種以上使用出来る。それらの重合性の不飽和基を有するモノマーの含有量は、PSSとの相互作用発現のために、イオン性モノマーについては全モノマー中10モル%以下、ノニオン性モノマーについては全モノマー中70モル%以下であることが好ましい。
【0031】本発明に用いられるPVPの重量平均分子量は、5千〜300万の範囲のものが好ましく、使用用途等により適当な分子量のPVPを選択して使用できる。このとき、異なる分子量のPVPを2種以上併用しても良い。
【0032】本発明においては、PVPとして、以下に示す市販品を用いることもできる。ビニルピロリドン単独重合体;ルビスコールK12,K30(以上、BASF社製)、PVPK15,K30(以上、GAF社製)、PVP K−30,K−60(以上、ISP社製)。ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体;ルビスコールVA28,VA73(以上、BASF社製)、PVP/VA E−735,S−630(以上、GAF社製)。ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体;ルビスコールVAP343(BASF社製)。ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体;ルビフレックス(BASF社製)、コポリマー845,937,958(以上、GAF社製)。ビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体;ルビフレックスVBM35(BASF社製)。ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体;コポリマーVC−713(GAF社製)等。
【0033】<PSS>PSSは、(a)ポリスチレンをスルホン化する方法、(b)スチレンスルホン酸又はその塩を主成分とするモノマーを重合する方法のどちらの方法でも合成することができる。
【0034】(a)法の場合、既存のポリスチレンに、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸等の一般的なスルホン化剤を添加して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、アンモニア、アミン等の一般的なアルカリ剤で中和してPSSを得る。反応方法、反応条件等の例としては、特公昭63−189404号公報、特公平2−258802号公報、特開平6−298852号公報記載の反応方法、反応条件等が挙げられる。
【0035】(b)法の場合、スチレンスルホン酸又はその塩を主成分とするモノマーの重合は、ラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等いずれの方法でも行うことができ、ラジカル重合開始剤として、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物や過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等の過酸化物等を使用できる。
【0036】スチレンスルホン酸又はその塩は、スルホン酸基の置換位置がパラ位のp−スチレンスルホン酸又はその塩を用いるのが、PVPとの相互作用が強くなるため、性能の点から好ましい。また、スルホン酸基の中和は、重合前及び重合後どちらでも良く、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、アンモニア、アミン等の一般的なアルカリ剤が使用できる。
【0037】さらにこのとき、スチレンスルホン酸又はその塩以外のこれと共重合し得る任意の重合性の不飽和基を有するモノマーを使用しても良い。そのようなモノマーとして、特開平2000−273017号記載のアニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性の各種重合性の不飽和基を有するモノマーが例示され、これらの重合性の不飽和基を有するモノマーを1種以上使用しても良い。このとき、それらの使用量は、PVPとの相互作用発現のために、イオン性モノマーについては全モノマー中10モル%以下、ノニオン性モノマーについては全モノマー中70モル%以下であることが好ましい。
【0038】本発明で用いられるPSSの重量平均分子量は、5千〜300万の範囲のものが好ましく、使用用途等により適当な分子量のPSSを選択して使用できる。このとき、異なる分子量のPSSを2種以上併用しても良い。分子量は、GPC法による、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩換算である。
【0039】これら(a)法、(b)法で得られたPSSのうち、使用性や純度、安全性等の点から、(b)法で得られたPSSが好ましい。さらに、入手性や性能の点から、(b)法で得られたPSSのうち、スルホン酸基がパラ位でナトリウム塩のp−ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(以下、PSSNaという)が更に好ましい。このPSSNaの例として、東ソー(株)製の「ポリナス」等が挙げられる。
【0040】[化粧料]本発明の化粧料中のPVPとPSSの配合割合は、使用用途等により異なるが、PVP/PSSの重量比(以下、ブレンド比という)は、下記に記載する皮膚及び毛髪用化粧料の場合、皮膜形成能の点から、1/99〜99/1が好ましく、20/80〜99/1が更に好ましく、30/70〜80/20が特に好ましい。
【0041】本発明の化粧料は、PVP、PSSそれぞれのポリマーをイオン交換水等の適当な溶媒に溶解後、それらの溶液同士を混合する方法や、両ポリマーを一度に適当な溶媒に溶解する方法等により調製できる。本発明の化粧料中の、PVPとPSSの合計配合量は、0.01〜30重量%が好ましく、0.05〜25重量%が更に好ましい。
【0042】PVPとPSSを含有する本発明の化粧料を、毛髪又は皮膚上に塗布し、乾燥させることで、透明で高強度の皮膜を形成することができる。皮膜強度や使用感は、それぞれのポリマーの分子量やブレンド比等で調節できる。
【0043】PVPとPSSを含有する本発明の化粧料により得られた皮膜は、PVP単独よりも水分保持性、水蒸気透過性、皮膚刺激緩和性に優れるため、毛髪又は皮膚に潤いを与え、刺激や汚れに対してバリアーとして働き、かつ毛髪又は皮膚の働きを損なわない。また、皮膜強度の湿度に対する影響が少なく、毛髪のセット性や皮膚へのパック性にも優れている。
【0044】皮膜の水分保持性は、ブレンド比が50/50〜99/1のとき高くなり、好ましい。ポリマーの分子量には、ほとんど影響されない。皮膜強度は、ポリマーの分子量を大きくする(特にPVP)と強くなり、分子量を小さくする(特にPVP)と弱くなる。また、ブレンド比を70/30から、PVPの量を増加させると、徐々に弱くなる。皮膜強度の湿度に対する影響は、ポリマーの分子量を大きくする(特にPVP)か、又は、ブレンド比を20/80〜70/30にすることで、小さくすることが出来、好ましい。
【0045】本発明の化粧料から得られる皮膜は、上記の水分保持性、皮膜強度、及び皮膜強度の湿度への影響特性から、PVPとPSSを含有する毛髪用皮膜形成剤として優れており、特に好ましい。本発明の化粧料を毛髪用として用いる場合、PVPの分子量は1万〜100万が好ましく、ブレンド比は30/70〜80/20が好ましい。
【0046】本発明の化粧料から得られる皮膜は、上記の水分保持性、皮膜強度、及び皮膜強度の湿度への影響特性に加え、皮膜形成時に収縮性を有することにより、皮膚の収斂作用や皮膚上の汚れをつかみ取る作用も期待でき、PVPとPSSを含有する肌のパック剤または化粧水としても優れており、特に好ましい。本発明の化粧料を肌のパック剤として用いる場合、PVPの分子量は5万〜100万が好ましく、ブレンド比は30/70〜70/30が好ましい。本発明の化粧料を化粧水として用いる場合、PVPの分子量は5千〜50万が好ましく、ブレンド比は40/60〜90/10が好ましい。
【0047】本発明の化粧料には、皮膜強度を調節するため、上記の性能を損なわない範囲で適当な添加剤を加えることができる。例えば、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(分子量100〜1万)、ポリプロピレングリコール(分子量100〜1万)、ポリグリセリン(分子量100〜1万)等のポリオール類;トレハロース、マルトース、グルコン酸ナトリウム等の糖類が挙げられる。
【0048】更に、PVPとPSSを含有する本発明の化粧料は、それぞれ単独のポリマーのみを含有するものに比べて増粘効果を有する。その増粘効果は、それぞれのポリマーの分子量やブレンド比等で異なり、ポリマーの分子量が大きくなるほど、またブレンド比が20/80〜70/30の時に、増粘効果が顕著となり、好ましい。この増粘効果はpH、温度にも影響する。pHが5〜7付近で最も増粘するため好ましく、温度が40℃以上で急激に減粘する。
【0049】このように、本発明の化粧料はpH及び温度応答性増粘剤としても使用が可能である。また、この増粘効果は塩化ナトリウム等の塩の影響を受けにくく、耐塩性が高い。
【0050】本発明の化粧料は、ヘアスタイリングに用いられるヘアスプレー、ヘアフォーム、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアムース、ヘアローション、ヘアクリーム等の毛髪化粧料、化粧水、スキンクリーム、乳液、肌用パック剤等の皮膚用化粧料に使用することができ、これらは常法に従って製造することができる。
【0051】本発明の化粧料には、PVP及びPSS以外にも、水、アルコール等の溶剤;アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、アルキルアミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤;感触向上剤として、グリセライド等のポリオール類、ジメチルポリシロキサン又はその乳化物、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル又はアルコキシ変性シリコーン等のシリコーン類、炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖脂肪酸の直鎖又は分岐鎖アルキル(アルキル基の炭素数1〜24)エステル等のエステル類、スクワラン、イソパラフィン等の炭化水素、高級脂肪酸等の油剤;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、変性セルロース類等の水溶性高分子;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、セルロース等の高分子粉体;酸化チタン、タルク等の無機粉体;グリセリン等の保湿剤;殺菌剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;抗炎症剤;防腐剤;ビタミン類;pH調整剤;キレート剤;香料;色素等を本発明の効果を損なわない範囲で任意に添加することができる。
【0052】本発明の化粧料は、種々の剤型で使用することができる。例えば、スプレー、ミスト、エアゾール、ゲル、ローション、トニック、ブロー剤、クリーム、後発泡性ゲル、水溶液、シート等の剤型とすることができる。
【0053】特に、本発明の化粧料を毛髪用エアゾール化粧料として使用する場合には、化粧料を公知のポンプスプレー容器やエアゾール容器に充填することとなるが、エアゾール容器に充填する場合には、本発明の毛髪化粧料とともに、炭素数1〜5のアルカン類、ジメチルエーテル等の液化ガス、空気、窒素、二酸化炭素等の圧縮ガスを噴射剤として封入することが好ましい。このようにして得られる毛髪用エアゾール化粧料は、スプレー特性(スプレーパターン、噴霧粒子径、噴射の勢い等)に優れたものとなる。
【0054】
【実施例】実施例1以下に示す市販のPVP及びPSSNaを用い、それぞれのポリマーの20重量%の水溶液を調製し、それぞれ表1に示すブレンド比でこれらを混合・攪拌した後、2日間50℃で放置して、20重量%のブレンドポリマー水溶液からなる、本発明及び比較の化粧料を調製した。得られた化粧料について、以下の方法により性能を評価した。結果を表1に示す。
【0055】<PVP>PVP K−30(分子量6万、粉末;ISP社製)
PVP K−60(分子量40万、45重量%水溶液;ISP社製)
<PSSNa>ポリナス PS−35(分子量35万、20重量%水溶液;東ソー(株)製)
ポリナス PS−50(分子量50万、20重量%水溶液;東ソー(株)製)
<性能評価法>(1) 皮膜の水分保持性化粧料を、テフロン(登録商標)製シャーレ上に展開して25℃で乾燥させ、厚さ約400μmのフィルムを作製した。このフィルム1gを23℃・43%RH(相対湿度)の雰囲気下に2日放置した。このように処理したフィルムを、赤外水分計FD−230(150℃;ケツト科学研究所製)に入れ、蒸発水分量を測定し、含水率(100−蒸発水分量(%))を求めた。
【0056】(2) 皮膜強度の耐湿性化粧料を、テフロン製シャーレ上に展開して25℃で乾燥させ、厚さ約400μmのフィルムを作製した。このフィルムを3cm×0.5cmの長方形にひびが入らないように切断した後、23℃・58%RH又は81%RHの雰囲気下に2日放置した。このように処理したフィルムを、一般的な動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御(株)製DVA−200)で、歪み0.01%、周波数10Hz、静/動応力比2.5、25℃の測定条件で引っ張り試験し、貯蔵弾性率E′を測定した。
【0057】(3)増粘性化粧料を30mLのスクリュー管に20mL入れ、B型粘度計(ローターNo.4、60回転/分、25℃)で粘度を測定した。
【0058】
【表1】

【0059】実施例2以下に示す組成のヘアローションを常法により製造した。このヘアローションを使用すると、毛髪に潤いを与え、汚れに対するバリアー性に優れた皮膜を形成し、湿度による影響がなく高いセット性が得られた。
【0060】
PVP K−30(ISP社製) 1.75重量% ポリナス PS−35(東ソー(株)製) 3.25 プロピレングリコール 0.20 グリセリン 0.50 ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル 0.05 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.20 乳酸 0.70 防腐剤・pH調整剤・香料 適量 精製水 バランス 100.00実施例3以下に示す組成の化粧水を常法により製造した。この化粧水を使用すると、皮膚に潤いを与え、刺激や汚れに対してバリアーとして働く皮膜を形成し、しかも、湿度に関係なくべとつかなかった。また、皮膚を引き締める効果も感じられた。
【0061】
PVP K−30(ISP社製) 0.05重量% ポリナス PS−35(東ソー(株)製) 0.05 グリセリン 5.00 ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル 2.00 エタノール 10.00 防腐剤・pH調整剤・香料 適量 精製水 バランス 100.00実施例4以下に示す組成の肌用パック剤を常法により製造した。この肌用パック剤を使用すると、液だれすることなく皮膚に塗布でき、湿度に影響なく素早く皮膜を形成し、皮膚上の汚れを効果的に取り除けると共に、皮膚に潤いと引き締め効果を与えられた。
【0062】
PVP K−60(ISP社製) 7.00重量% ポリナス PS−50(東ソー(株)製) 14.00 1,3−ブチレングリコール 5.00 グリセリン 5.00 ポリオキシエチレン(20)イソセチルエーテル 2.00 エタノール 5.00 防腐剤・pH調整剤・香料 適量 精製水 バランス 100.00【0063】
【発明の効果】本発明の化粧料から得られる皮膜は、水分保持性に優れ、湿度に対する影響が少なく、収縮性を有する。また、本発明の化粧料は優れた増粘効果を有する。従って、本発明の化粧料は、優れたセット性を有する毛髪用化粧料、あるいは優れた保湿性及びパック性を有する皮膚用化粧料として有用である。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成12年11月10日(2000.11.10)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
【公開番号】 特開2002−145725(P2002−145725A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−343072(P2000−343072)