| 【発明の名称】 |
虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】韓 同根
【氏名】安 光徳
【氏名】鄭 眞嬉
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| 【要約】 |
【課題】従来のものより優れた物理的、機械的な特性と生体適合性を示す虫歯予防用歯面裂溝填塞材の提供。
【解決手段】本発明は、従来、虫歯予防用歯面裂溝填塞材(シラント)のプレポリマとして使用されている2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン〔以下、「Bis−GMA」という〕に、このBis−GMA分子中のヒドロキシ基の水素原子をメタクリレート基で置換したマルチメタクリレート基含有多官能性プレポリマーを混合したプレポリマー混合物を基材とし、希釈剤、無機充填剤、光開始系及び、その他の添加剤を含む虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物に関する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1)の2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン(「Bis−GMA」という)と下記一般式(2)のTri−GMAの重量比で95:5〜5:95のプレポリマー混合物15〜80重量%、希釈剤5〜50重量%、無機充填剤1〜40重量%、光開始系及びその他の添加剤を含む虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物(各重量%は組成物の全重量を基準とする)。 【化1】
【請求項2】 下記一般式(1)のBis−GMAと下記一般式(3)のTetra−GMAの重量比で95:5〜5:95のプレポリマー混合物15〜80重量%、希釈剤5〜50重量%、無機充填剤1〜40重量%、光開始系、及びその他の添加剤を含む虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物(各重量%は組成物の全重量を基準とする)。 【化2】
【請求項3】 プレポリマー混合物の全重量を基準として、90〜5重量%の下記一般式(1)のBis−GMA、90〜5重量%の下記一般式(2)のTri−GMA及び90〜5重量%の下記一般式(3)のTetra−GMAプレポリマー混合物15〜80重量%、希釈剤5〜50重量%、無機充填剤1〜40重量%、光開始系及びその他の添加剤を含む虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物(各重量%は組成物の全重量を基準とする)。 【化3】
【請求項4】 希釈剤が、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1−メチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、及び1,6−ビス(メタクリロイルオキシ−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメチルヘキサンからなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項記載の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物。 【請求項5】 無機充填剤が、シランで表面処理された粒度0.1〜50μmのシリカ、石英、バリウムガラス、バリウムガラス/シリカ、バリウムガラス混合物、石英/バリウムガラス、ジルコニア/シリカ、シリカ混合物、アルミノシリケート、リチウムアルミノシリケート、及びバリウムアルミノシリケートからなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項記載の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物。 【請求項6】 無機充填剤の表面処理用シランが、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、及びジメチルポリシロキサンからなる群から選択された請求項5記載の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物。 【請求項7】 光開始系が、組成物の全重量を基準として、0.1〜10重量%の光開始剤と、組成物の全重量を基準として0.1〜10重量%の還元剤を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物。 【請求項8】 光開始剤がカンファーキノンであり、還元剤がN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートまたはエチルp−ジメチルアミノベンゾエートである請求項7記載の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物。 【請求項9】 その他の添加剤が、組成物の全重量を基準として0.1〜10重量%の重合禁止剤、組成物の全重量を基準として、0.01〜5重量%の光安定剤、組成物の全重量を基準として0.01〜5重量%の酸化安定剤、及び組成物の全重量を基準として0.001〜5重量%の顔料を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物。 【請求項10】 重合禁止剤がヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル及びヒドロキノンモノエチルエーテルの中から選択され、光安定剤がチヌビンであり、酸化安定剤がイルガノックスまたは2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールブチル化ヒドロキシトルエンであり、顔料が酸化鉄系及びチタニウムジオキシド無機顔料である請求項9記載の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の目的】 【発明の属する技術】本発明は、物理的及び機械的特性と生体適合性が向上し、施術後、長期間使用可能な虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材(dental pit and fissure sealant)組成物に関する。更に詳しくは、本発明は従来の虫歯予防用歯面裂溝填塞材(シーラント)組成物の基材プレポリマーとして使用されている2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)と、このBis−GMAの分子中に存在するヒドロキシ基(−OH)の水素原子をメタクリレート基で置換した多官能性プレポリマー(multifunctional prepolymer)を混合した多官能性プレポリマー混合物を基材とし、希釈剤、無機充填剤(inorganic filler)、光開始系及びその他の添加剤を含む新たな虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材に関する。 【0002】 【従来の技術】虫歯(歯牙齲蝕症)は、約84%が奥歯の噛む面、即ち、咬合面の歯面裂溝内で発生し、咬合面は全歯牙面の約12%を占めている。歯牙の咬合面にはV型、U型、瓶の首型(bottleneck)など、種々の形態の歯面裂溝があり、ここに飲食物の残渣や口腔内細菌が沈着して虫歯が発生することになる。虫歯の予防法には1936年に考案された予防歯牙切除術(prophylactic odontomy)と1965年に考案された予防充填法があったが、これらは共に歯質を削除する短所があったため使用が中止され、現在は、歯面細菌管理法、ふっ素利用法、食餌調節法、歯面裂溝填塞法などの方法が用いられている。この中で最も最近に開発された方法が歯面裂溝填塞法である。 【0003】歯面裂溝填塞材は歯牙を人工的に削らず狭くて深い裂溝と小窩を塞いで細菌や飲食物のカスが挟まれないようにして虫歯を予防することである。 【0004】歯面裂溝填塞材は、シアノアクリレート(cyanoacrylate)系歯面裂溝填塞材、ガラス−アイオノマーセメント(glass-ionomer cement)歯面裂溝填塞材、Bis−GMAレジン系歯面裂溝填塞材がある。 【0005】1960年代の初めにブノコア(Buonocore)がシアノアクリレート系歯面裂溝填塞材を開発し、虫歯減少効果があると発表して使われてきたが、シアノアクリレートは、湿気があれば重合反応が速く起こるが、硬くなりやすいため、満足のいくほどの結果が得られず現在は用いられていない。 【0006】ガラス−アイオノマーセメント歯面裂溝填塞材は、琺瑯質のカルシウム成分と化学結合を行い、ふっ素イオンが放出されて琺瑯質に沈着して虫歯予防効果がある。しかし、酸腐蝕法によるレジン系統の歯面裂溝填塞材よりは強い結合ができず、V型歯面裂溝には効果的であるが、粘度が高く歯面裂溝内への浸透率が低いため、瓶の首型の歯面裂溝には使用し難い。またガラス−アイオノマーセメントは、初期溶解度が高いため、硬化前に水分との接触により汚染されれば、臨床的に失敗することになる。そして、粘度を下げるために液を多量使用すれば物理的性質が低下するため、液で粘度を調節することは絶対に避けなければならない。 【0007】ボウェン(Bowen)により開発されたBis−GMA系歯面裂溝填塞材は、ビスフェノールA(bisphenol A)とグリシジルメタクリレート(glycidyl methacrylate)の反応産物である。Bis−GMA系歯面裂溝填塞材は、接着力に優れており、重合収縮が小さく、口腔内で容易に硬化する長所があるものの、粘度が高過ぎて歯面裂溝に浸透し難いため、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)やグリコールジメタクリレート(glycol dimethacrylate、GDMA)などのような希釈剤を配合して粘度を低くし、歯面裂溝填塞材として使用する。反応促進剤と反応開始剤がそれぞれ存在し、反応促進剤により反応開始剤が活性化し、活性化された反応開始剤はBis−GMA系歯面裂溝填塞材を重合させる。この反応促進剤が化学添加物であれば化学重合型歯面裂溝填塞材であり、可視光線であれば光重合型歯面裂溝填塞材である。現在使われている大部分の歯面裂溝填塞材はBis−GMA系である。 【0008】虫歯予防法に用いられる歯面裂溝填塞材の臨床結果、シアノアクリレート系歯面裂溝填塞材は、施術6ケ月後92%の咬合面齲蝕減少率と80%の維持率を示し、12ケ月後86%の齲蝕減少率と71%の維持率を示した。ガラス−アイオノマーセメント歯面裂溝填塞材は僅か6ケ月後には20%程度しか存在せず、3年後には全部摩耗された。反面、Bis−GMAレジン系歯面裂溝填塞材は臨床報告の信頼度が最も高く、填塞材が維持された部位での虫歯予防率は85%以上である。 【0009】Bis−GMAレジン系歯面裂溝填塞材は、Bis−GMA自体だけではその粘度が高いため、希釈剤を添加して低い粘度を有するようにし、重合方法により化学重合型または自己重合型填塞材(chemically-cured or self-cured sealant)と光重合型填塞材(photo-cured sealant)に区分される。また無機充填剤の添加可否によって無機充填剤添加型と無機充填剤非添加型があり、化学重合型填塞材は無機充填剤が添加されないものが大部分であり、光重合型填塞材は無機充填剤が添加されたものと添加されないものの二つの形態がある。化学重合型填塞材は満足のいく浸透率を有するが、水吸収率、熱膨張率、摩耗率などが高いという短所を有している。反面、光重合型填塞材中、無機充填剤添加型は浸透率が低く、水吸収率、熱膨張率、摩耗率などが非常に低く最良の物性を示している。 【0010】虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物は、表面処理したシリカ(silica)などの無機充填剤と多官能性メタクリレートのプレポリマー、希釈剤、光開示系(光開始剤及び還元剤)、その他添加剤などを含み、歯面裂溝の基底部まで浸透して高い虫歯予防効果を得るための低い粘度、飲食物を噛む時、発生する高い咬合圧に耐え、歯牙、歯ブラシ、飲食物及び歯磨き粉などによる摩耗量が少なくて維持期間を延ばすことができる機械的強度、歯牙と類似した熱膨張率、重合硬化時、歯牙との剥離を防止するための低い重合収縮率などの物理的特性と共に天然感を感じさせる修復のために天然歯牙と同様な色相及び艶、舌との接触時、天然歯牙と同様な感じを与えるなどの要件を備えなければならない。最も普遍的に使われているプレポリマーは、ジメタクリレート(dimethacrylate)系のBis−GMAである。これは揮発性及び重合収縮度が小さく、これを使用した重合物は優れた強度などの長所を有しているため、マトリックス樹脂に用いられている。これは、米国特許第4,102,856号、第4,131,729号、第3,730,947号などにその例を見出すことができる。また、歯面裂溝填塞材は歯面裂溝の基底部まで浸透して虫歯予防効果を増大させるため、歯面裂溝填塞材の製造の際、トリエチレングリコールジメタクリレート(triethylene glycol dimethacrylate、TEGDMA)のような希釈剤を混合しなければならない。歯面裂溝填塞材は飲食物の咀嚼や歯磨き及び歯牙との摩擦により摩耗され、歯面裂溝填塞材に摩耗抵抗性を付与するためにシリカ、アルミナ(alumina)、カルシウム(calcium)、ストロンチウム(strontium)のような無機充填剤を添加する。これは米国特許第4,043,327号、第4,806,381号などにその例を見出すことができる。 【0011】前述の如く、Bis−GMA基材の歯面裂溝填塞材が用いられているが、依然として水分吸収率、歯面裂溝浸透率、物性及び審美性などの改善が要求されている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、従来のBis−GMAレジン系歯面裂溝填塞材組成物に比べて光硬化物の高い転換率、填塞物の強度及び硬度のみならず、優れた湿潤性と浸透率、摩耗抵抗性と水分吸収率などの物理的及び機械的な特性及び生体適合性が向上した虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材を提供することにある。 【0013】本発明の他の目的及び利点は、後述する本発明の詳細な説明により明らかになる。 【0014】 【課題を解決するための手段】以下、本発明を詳細に説明する。前記本発明の目的は、従来の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物において、プレポリマーとして使用されているBis−GMAに、このBis−GMA分子中に存在するヒドロキシ基の水素原子をメタクリレート基で置換したマルチメタクリレート基含有多官能性プレポリマーの1種以上を混合したプレポリマー混合物を基材とし、希釈剤、無機充填剤、光開始系、及びその他の添加剤を適正量配合することにより、物理的、機械的な特性及び生体適合性を向上させた虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物を得ることにより達成される。 【0015】一般に、Bis−GMAは硬化後の高い強度など、優れた物理的特性のために従来歯科修復用プレポリマーとして最も多く使用されている。Bis−GMA分子は二つのヒドロキシ基(−OH)を有しているが、このヒドロキシ基は有機樹脂と無機充填剤との親和力を増進させる役割を果たす反面、親水性が強くて水分を吸収する性質もある。有機樹脂が水分を吸収すれば、光重合された歯面裂溝填塞材の物性及び審美性が徐々に低下する。即ち、重合された樹脂が水分吸収により膨潤されれば、充填剤との結合力が弱くなって充填剤の粒子が脱離し、強度や摩耗抵抗性のような物理的な特性が弱くなったり、細胞毒性が誘発されることもあり、修復物に飲飲食物が吸収されて変色の原因になったりする。また、歯面裂溝填塞材は歯面裂溝のみならず、酸腐蝕された琺瑯質の微細な気孔にも完全に浸透されて始めて充分な維持力を得て、満足する臨床効果が得られる。浸透率が高ければ、歯面裂溝填塞材が琺瑯質の表面に更に密着することができ、歯面裂溝の基底部まで浸透することができ、虫歯予防効果が得られる。Bis−GMA系の歯面裂溝填塞材は接着力に優れており、重合収縮が小さく、口腔内で容易に硬化される長所があるものの、粘度が大き過ぎて歯面裂溝に浸透することが困難であるため、メチルメタクリレート、グリシジルジメタクリレート及びトリエチレングリコールジメタクリレートのような希釈剤を添加して粘度を低める。しかし、このような希釈剤が多量添加されれば、Bis−GMA系歯面裂溝填塞材の物性を低下させる原因になることもある。 【0016】本発明者らは、Bis−GMAプレポリマーを単独で使用する従来の光重合型歯面裂溝填塞材におけるこのような問題点を改善するために鋭意研究を重ねた結果、Bis−GMAプレポリマーに、Bis−GMA分子中に存在する二つのヒドロキシ基(−OH)のうち、少なくとも一つの水素原子をメタクリロイル基で置換して親水性を減少させた三官能性メタクリレートプレポリマー(Tri−GMA)及び/または四官能性メタクリレートプレポリマー(Tetra−GMA)を混合したプレポリマー混合物を基材にすれば、混合されたプレポリマーの粘度が低いため、希釈剤の添加量が減少することになり、希釈剤の添加による歯面裂溝填塞材光重合物の物理的、機械的な特性及び審美性の低下を減少させることができ、また、Bis−GMA系歯面裂溝填塞材に比べて低い粘度を有することより、歯牙表面の小窩及び裂溝の基底部まで浸透できるようにして虫歯予防効果が得られることを確認した。 【0017】本発明の第1の実施様態によると、下記一般式(1)の2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン(「Bis−GMA」)と、下記一般式(2)のTri−GMAとのプレポリマー混合物15〜80重量%、希釈剤5〜50重量%、無機充填剤1〜40重量%、光開始系、及びその他の添加剤を含む虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物が提供される。 【0018】 【化4】
【0019】前記本発明の第1の実施様態において、前記一般式(1)のBis−GMAと一般式(2)のTri−GMAの比は重量比で95:5〜5:95である。 【0020】本発明の第2の実施様態によると、前記一般式(1)のBis−GMAと下記一般式(3)のTetra−GMAとのプレポリマー混合物15〜80重量%、希釈剤5〜50重量%、無機充填剤1〜40重量%、光開始系、及びその他の添加剤を含む虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物が提供される。 【0021】 【化5】
【0022】前記本発明の第2の実施様態において、前記一般式(1)のBis−GMAと一般式(3)のTetra−GMAの比は重量比で95:5〜5:95である。 【0023】本発明の第3の実施様態によると、前記一般式(1)のBis−GMA、前記一般式(2)のTri−GMA及び前記一般式(3)のTetra−GMAとのプレポリマー混合物15〜80重量%、希釈剤5〜50重量%、無機充填剤1〜40重量%、光開始系、及びその他の添加剤を含む虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物が提供される。 【0024】前記本発明の第3の実施様態において、前記一般式(1)のBis−GMAは90〜5重量%、一般式(2)のTri−GMAは90〜5重量%、そして一般式(3)のTetra−GMAは90〜5重量%である。 【0025】本発明の虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物で基材として使用するプレポリマー混合物を構成する前記一般式(2)のTri−GMA及び前記一般式(3)のTetra−GMAプレポリマーは、下記の反応式により一般式(1)のBis−GMA分子中に存在する二つのヒドロキシ基のうち、少なくとも一つの水素原子をメタクリレート基で置換することにより合成することができる。即ち、上記Tri−GMA及びTetra−GMAは下記の反応式1に見られるように、Bis−GMAを有機アミン、例えばトリエチルアミンの存在下でメタクリロイルクロライドと反応させて定量的に合成することができる。 【0026】 【化6】
【0027】合成された多官能性プレポリマー混合物は、エチルアセテート(ethyl acetate)とノルマルヘキサン(n-hexane)が50:50の重量比で混合された溶出液を使用したカラム(column)を通じてBis−GMA、Tri−GMA、Tetra−GMAにそれぞれ分離した。 【0028】本発明による光重合型歯面裂溝填塞材組成物において、プレポリマーは組成物全重量の15〜80重量%を含有する。 【0029】本発明の組成物には、プレポリマー混合物の粘度を減少させるために希釈剤(diluent)が使用される。希釈剤には、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate, EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(diethylene glycol dimethacrylate,DEGDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(1,4−butanediol dimethacrylate)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(1,6−hexanediol dimethacrylate)、1−メチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート(1−methyl−1,3−propanediol dimethacrylate)または1,6−ビス(メタクリロイルオキシ−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメチルヘキサン(1,6−bis(methacryloyloxy−2−ethoxycarbonylamino)−2,2,4−trimethylhexane)等が適し、組成物全重量の5〜50重量%を含有する。 【0030】本発明の組成物には摩耗抵抗性を増加させ、水分吸収率及び熱膨張率を減少させるために無機充填剤が使用される。無機充填剤は、シラン(silane)カップリング剤により表面処理された粒度0.1nm〜50μmのシリカ、石英、バリウムガラス、バリウムガラス/シリカ、バリウムガラス混合物、石英/バリウムガラス、ジルコニア/シリカ、シリカ混合物、アルミノシリケート、リチウムアルミノシリケートまたはバリウムアルミノシリケートなどが好ましく、全組成物重量の1〜40重量%の量で添加される。 【0031】無機充填剤の表面処理にはシラン系のカップリング剤が主に使用される。代表的な例として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ−methacryloxy propyl trimethoxysilane, γ−MPS)、ジメチルジクロロシラン(dimethyl dichlorosilane)、ヘキサメチレンジシラザン(hexamethylene disilazane)、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルポリシロキサン(dimethyl polysiloxane)などが使用され得る。 【0032】本発明を通じて製造された歯面裂溝填塞材は、人体に無害な可視光線領域の光源に晒されると、光開始剤と触媒がラジカル(radical)を形成し、生成されたラジカルが単量体の重合反応を開始して硬化する。重合反応は、主にα−ジケトン(α−diketone)系の脂肪族及び芳香族カルボニル化合物(carbonyl compound)光開始剤と3級アミン系触媒を使用して波長400〜500nm領域の可視光線により起こる。光開始系は光開始剤と還元剤からなり、光開始剤としてはカンファーキノン(camphorquinone, CQ)が好ましく、組成物全重量を基準として0.1〜10重量%の量で、そして光励起されたCQにより水素を奪われると、実際にラジカル重合を開始する還元剤としては、エチルp−ジメチルアミノベンゾエート(ethyl p−dimethyl aminobenzoate, EDMAB)またはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(N,N−dimethylaminoethyl methacrylate, DMAEMA)を組成物の全重量を基準として0.1〜10重量%の量で使用される。 【0033】その他の添加剤には重合禁止剤、光安定剤、酸化安定剤及び歯面裂溝填塞材の色調を調節するための顔料などが添加され得る。重合禁止剤としては、ヒドロキノン(hydroquinone, HQ)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(hydroquinone monomethyl ether)及びヒドロキノンモノエチルエーテル(hydroquinone monoethyl ether)を組成物全重量の0.1〜10重量%の量で、光安定剤としてはチヌビンを0.01〜5重量%の量で、酸化安定化剤としてはイルガノックス及び2,6ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールブチル化ヒドロキシトルエン(2,6−Di−tert−butyl−4−methyl phenol butylated hydroxytoluene,BHT)を組成物全重量の0.01〜5重量%、そして顔料としては黄色、紺色及び赤色の酸化鉄系及びチタニウムジオキシド無機顔料を組成物全重量の0.001〜5重量%の量で添加することができる。 【0034】製造された歯面裂溝填塞材試片の物性は、下記の方法により評価した。 1)光転換率可視光線による光重合効率は赤外線吸収分光法を用いて評価した。メタクリレート単量体の転換率は赤外線分光分析において芳香族環に起因する1609cm-1における吸収帯の面積を基準とし、脂肪族二重結合に起因する1638cm-1における吸収帯の面積減少を測定して計算した。 【0035】2)曲げ強度(flexural strength) 長さ25mm、幅2.5mm、厚さ2.0mmの鋳型に試験材料を気泡が生じないように少しずつ流し込んだ後、可視光線光照射機を利用して上下面をそれぞれ光重合し、サンドペーパーで研磨した後、37℃、相対湿度100%で24時間保管する。引張試験機で0.1mm/secの速度で試片の3点に圧縮力を加えて破折が起こるまでの最大荷重を求めた後、次の式により3点曲げ強度(3−point bending strength, FS)を求める。 【0036】 【数1】
【0037】3)水分吸収率と溶解度歯面裂溝填塞材組成物を直径約6mm、厚さ約3mmである試片にして硬化させた後、硬化された試片の重量を測定し、37℃で維持される蒸留水に浸し、24時間または48時間ごとに取り出して表面の水分を除去した後、重量を測定して次の式により水分吸収率を計算した。 【0038】 【数2】
【0039】溶解度は試料を水から取り出して水分を除去した後、乾燥機で再乾燥させ、一定の重さを表すときに重さを測定した後、次の式により溶解度を計算した。 【0040】 【数3】
【0041】4)摩耗度(two-body abrasion)の測定直径6mm×厚さ3.6mmの試片を製作した後、摩耗試験機を利用して上下面を平行するように試片を研磨した。マイクロメーターで厚さを0.1μmまで測定し、摩耗試験機に再度置き、250gの荷重で400回サンドペーパー上を10m往復走行させた後、再び厚さを測定した。試験前後の厚さの減少量と重さの変化で摩耗度を評価した。 【0042】5)表面硬度(surface hardness)の測定2枚のスライドガラスにセルロイドストリップを置き、その間に若干の填塞材を載せた後、押圧して上下面が平行した厚さ2mm程度の板型になるようにした状態で、上下10秒ずつ20秒間光重合して試片を製作した。微細硬度機を利用して100gの荷重を10秒間加えてビッカース硬度(Vickers hardness)を求めた。 【0043】6) 間接引張強度試片に直接的な引張応力を与える代わりに安定的な圧縮応力を与えて試験する方法であって、特に歯科用材料の物性測定に主に用いられている。この方法は、ディスク型の試片を直径方向に立てて圧縮荷重を加え、試片の内部で引張応力を誘発する試験法である。直径6mm×厚さ3.6mmの試片を製作した後、引張試験機を用いて0.1mm/secの速度(cross-head speed)で試片が破折されるまで力を加え、次の式により間接引張強度を計算した。 【0044】 【数4】
【0045】7) 細胞毒性歯面裂溝填塞材の細胞毒性は寒天重層平板法を用いてその程度を比較した。直径10mm×厚さ2mmの試片は陽性対照群としてポリビニルクロライド〔polyvinylchloride, PVC, 応答率(response rate): 4/4〕、陰性対照群としてポリエチレン(polyethylene, PE)と共に実験した。まず、L−929細胞の浮遊液とEagle's寒天培地を用いて試片の脱色された部位内における細胞の溶解比を求め、これをそれぞれ区域指数(zone index)と溶解指数(lysis index)で表示し、これから応答指数(response index, RI, RI=zone index/lysisindex)を求める。応答指数の数値から細胞毒性を評価し、その数値が低いほど無毒性であることを意味する。 【0046】 【表1】
【0047】 【表2】
【0048】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、単に本発明の最良の実施形態を例示するために挙げられるのみで、本発明の範囲がこれらの実施例のみに限定されるものではない。 【0049】 【実施例】実施例1多官能性プレポリマーの合成のためにメチレンクロライド(50ml)にBis−GMA 51.2g(0.1mol)を溶解させ、次いでトリエチルアミン10.2g(0.1mol)を加えた。氷浴槽でこの溶液を攪拌しながら、メタクリロイルクロライド7.9g(0.75mol)を徐々に滴下した。この溶液を室温で攪拌した後、析出された塩を濾過して除去した。この液を蒸留水で洗浄した後、脱水させ、減圧下で蒸留して粘性液体をほぼ定量的に得た。得られた多官能性プレポリマー混合物の成分比を分析した結果、一般式(1),(2)及び(3)で示されるBis−GMA, Tri−GMA及びTetra−GMAがそれぞれ45:45:10の重量%を示した。赤外線分光の分析結果、二重結合に該当する939及び1638cm-1における吸収帯を始め、殆ど全ての吸収帯がBis−GMAのそれと一致したが、ヒドロキシ基に起因する3400cm-1における吸収は大きく減少した。 【0050】実施例2Bis−GMAとTri−GMAが50:50重量比からなる化合物を基材として歯面裂溝填塞材を製造するために、実施例1を通じて得た多官能性プレポリマーをカラムを通じてBis−GMAとTri−GMA、Tetra−GMAにそれぞれ分離した。分離されたTri−GMAと既存のBis−GMAを50:50重量%で混合して歯面裂溝填塞材を製造した。全重量に対してプレポリマーとして用いられたBis−GMAとTri−GMAはそれぞれ21%、TEGDMA 45%、シリカ9%、CQ 0.9%、EDMAB 0.9%、HQ 1.7%、チヌビン0.4%、イルガノックス 0.1%、そして無機顔料を少量添加した。歯面裂溝填塞材を製造するために、まず、上記プレポリマーに希釈剤、そして無機充填剤と重合禁止剤を入れ、無機充填剤が均一に分散されるように混合した。次いで、光開始剤、還元剤及びその他の添加剤を入れて均一に分散させ、虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物を製造した。 【0051】実施例3Bis−GMA、Tri−GMA及びTetra−GMAが45:45:10の重量比からなる混合物を基材として歯面裂溝填塞材を製造するために、全重量に対してプレポリマー混合物38%、EGDMA 48%、シリカ 9%、CQ 0.9%、DMAEMA 1.8%、HQ 1.7%、チヌビン 0.4%、イルガノックス 0.1%、そして無機顔料を少量添加して実施例2と同様に虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物を製造した。 【0052】実施例4Bis−GMA 75重量%とTri−GMA 25重量%とが混合されたプレポリマーを基材として歯面裂溝填塞材を製造するために、全重量に対してBis−GMA 27%、Tri−GMA 9%、DEGDMA 50%、CQ 0.9%、EDMAB 1.8%、HQ モノメチルエーテル2.8%、バリウムガラス/シリカ 9%、チヌビン0.4%、BHT 0.1%、そして無機顔料を少量添加して実施例2と同様に虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物を製造した。 【0053】実施例5Bis−GMA 25重量%とTri−GMA 75重量%とが混合されたプレポリマーを基材として歯面裂溝填塞材を製造するために、全重量に対してBis−GMA 10%、Tri−GMA 30%、TEGDMA 40%、CQ 0.9%、DMAEMA 1.8%、HQ モノエチルエーテル1.8%、バリウムガラス9%、チヌビン0.4%、イルガノックス 0.1%、そして無機顔料を少量添加して実施例2と同様に虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物を製造した。 【0054】比較例1Bis−GMAプレポリマー自体のみを基材として歯面裂溝填塞材を製造するために、全重量に対してBis−GMA 45%、EGDMA 42%、シリカ 9%、CQ 0.9%、EDMAB 0.9%、HQ 1.7%、チヌビン0.4%、イルガノックス0.1%、そして無機顔料を少量添加して実施例2と同様に虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物を製造した。 【0055】比較例2Tri−GMAプレポリマー自体を基材として歯面裂溝填塞材を製造するために、全重量に対してTri−GMA 50%、TEGDMA 36%、シリカ 9%、CQ 0.9%、DMAEMA 1.8%、HQ 1.8%、チヌビン0.4%、イルガノックス0.1%、そして無機顔料を少量添加して実施例2と同様に虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物を製造した。以上の実施例と比較例の物性評価の結果を表3に明示した。 【0056】 【表3】
【0057】 【発明の効果】上述の如く、本発明による製造方法で製造されたBis−GMAとTri−GMA及び/またはTetra−GMAのプレポリマー混合物を基材とした虫歯予防用光重合型歯面裂溝填塞材組成物はBis−GMAまたはTri−GMA歯面裂溝填塞材と比較して光転換率、曲げ強度、水分吸収率と溶解度、摩耗度、表面硬度及び間接引張強度など、物理的及び機械的な特性が優れ、細胞毒性も殆どない。特に、Bis−GMAとTri−GMAが50:50重量%で混合された歯面裂溝填塞材が最も優れた結果を示すことから、この二つのプレポリマーを虫歯予防用歯面裂溝填塞材に利用することにより、物理的、機械機な特性のみならず、生体適合性が更に向上した虫歯予防に効果的な光重合型歯面裂溝填塞材組成物を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】590002426 【氏名又は名称】韓国科学技術研究院 【識別番号】501078292 【氏名又は名称】株式会社デンキスト
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| 【出願日】 |
平成12年10月31日(2000.10.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078662 【弁理士】 【氏名又は名称】津国 肇 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−145714(P2002−145714A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月22日(2002.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−332007(P2000−332007) |
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