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【発明の名称】 カウレン類含有組成物、養毛剤及び皮膚外用剤
【発明者】 【氏名】中沢 陽介

【氏名】浜田 千加

【氏名】石野 章博

【氏名】田島 正裕

【氏名】藤本 康雄

【要約】 【課題】優れた養毛効果を発揮し得る養毛剤を提供する。

【解決手段】カウレン類を有効成分として含有することを特徴とする。カウレン類が下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カウレン類を有効成分として含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】 請求項1記載の組成物において、カウレン類が下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする組成物。
【化1】

(式(I)において、RはCH、COOH、又はCHOH、RはH、OH、又はOCOCH=CHC、R、RはそれぞれOH、CHOH、CHCl、又はOCHを表す。ただし、CRはC=CH、C=O、又は下記基(A)であってもよい。
【化2】

【請求項3】 請求項2記載の組成物において、RがCOOHであることを特徴とする組成物。
【請求項4】 請求項3記載の組成物において、RがH、CRがC=CHであることを特徴とする組成物。
【請求項5】 請求項3記載の組成物において、RがOH又はOCOCH=CHCであり、CRがC=CHであることを特徴とする組成物。
【請求項6】 請求項3記載の組成物において、RがH、CRがC=Oであることを特徴とする組成物。
【請求項7】 請求項3記載の組成物において、RH、RがCHOH、RがOCHであることを特徴とする組成物。
【請求項8】 請求項2記載の組成物において、RがCHOHであることを特徴とする組成物。
【請求項9】 請求項8記載の組成物において、RがH、CRがC=CHであることを特徴とする組成物。
【請求項10】 請求項2記載の組成物において、RがCHであることを特徴とする組成物。
【請求項11】 請求項10記載の組成物において、RがH、CRがC=CHであることを特徴とする組成物。
【請求項12】 請求項10記載の組成物において、RがH、CRが前記基(A)であることを特徴とする組成物。
【請求項13】 請求項10記載の組成物において、RがH、RがOH、RがCHClであることを特徴とする組成物。
【請求項14】 請求項1記載の組成物において、カウレン類が、下記式(II)又は式(III)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする組成物。
【化3】

【化4】

(式(II)又は式(III)において、RはCHOH又はCHOである。)
【請求項15】 請求項14記載の組成物において、RがCHOHであることを特徴とする組成物。
【請求項16】 請求項14記載の組成物において、カウレン類が式(II)で示される化合物(ただし、RはCHO)又はその薬理学的に許容される塩であることを特徴とする組成物。
【請求項17】 請求項1において、カウレン類が、下記式(IV)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする組成物。
【化5】

【請求項18】 請求項1〜17の何れかに記載の組成物からなる医薬用又は化粧用組成物。
【請求項19】 請求項1〜17の何れかに記載の組成物からなる養毛剤。
【請求項20】 請求項1〜17の何れかに記載の組成物からなる皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カウレン類を有効成分として含有する組成物、特に養毛剤及び皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】高齢化社会、ストレス社会といわれる現代社会では、頭部毛髪が様々な原因により薄毛や脱毛の危機に晒される機会がますます多くなってきている。従来より、禿や脱毛の原因としては、毛根、皮脂腺などの器官に於ける男性ホルモンの活性化、毛包への血流量の低下、皮脂の分泌過剰、過酸化物の生成などによる頭皮の異常などが考えられている。これに対応して、従来より頭髪の発毛・育毛を促進し、脱毛を防止することを目的とした養毛剤(育毛剤、発毛促進剤ということもある)を提供すべく、様々な試みがなされてきている。養毛剤に配合される有効成分の効果の主なものとしては次のような効果が挙げられる:(1)発毛誘導効果(発毛促進効果、成長期誘導効果);(2)毛髪を太くする効果;(3)毛髪成長期延長効果;(4)テストステロン5α-リダクターゼ阻害効果;(5)血行促進効果;(6)殺菌効果;(7)フケ防止効果;(8)保湿効果;(9)抗酸化効果等。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、種々の試みにも関わらず、従来の養毛剤ではその養毛効果が必ずしも十分なものではなかった。これはおそらく脱毛の原因が様々であり、また発毛の機構も非常に複雑であるためと考えられる。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は優れた養毛効果を発揮し得る養毛剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、ある種のカウレン類に毛髪成長期延長効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明にかかる組成物は、カウレン類を有効成分として含有することを特徴とする。本発明において、カウレン類が下記式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であることが好適である。
【0005】
【化6】

(式(I)において、RはCH、COOH、又はCHOH、RはH、OH、又はOCOCH=CHC、R、RはそれぞれOH、CHOH、CHCl、又はOCHを表す。ただし、CRはC=CH、C=O、又は下記基(A)であってもよい。
【0006】
【化7】

【0007】式(I)において、RがCOOHであることが好適である。この場合、さらに、RがH、CRがC=CHであることが好適である。また、RがOH又はOCOCH=CHCであり、CRがC=CHであることが好適である。また、RH、CRがC=Oであることが好適である。また、RがH、RがCHOH、RがOCHであることが好適である。
【0008】また、式(I)において、RがCHOHであることが好適である。この場合、RがH、CRがC=CHであることが好適である。また、式(I)において、RがCHであることが好適である。この場合、RがH、CRがC=CHであることが好適である。また、RがH、CRが前記基(A)であることが好適である。また、RがH、RがOH、RがCHClであることが好適である。
【0009】また、本発明において、カウレン類が、下記式(II)又は式(III)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であることが好適である。
【化8】

【0010】
【化9】

(式(II)又は式(III)において、RはCHOH又はCHOである。)
【0011】式(II)又は(III)において、RがCHOHであることが好適である。また、本発明において、カウレン類が式(II)で示される化合物(ただし、RはCHO)又はその薬理学的に許容される塩であることが好適である。また、本発明において、カウレン類が、下記式(IV)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩であることが好適である。
【0012】
【化10】

【0013】本発明にかかる医薬用又は化粧用組成物は、前記何れかに記載の組成物からなることを特徴とする。また、本発明にかかる養毛剤は、前記何れかに記載の組成物からなることを特徴とする。また、本発明にかかる皮膚外用剤は、前記何れかに記載の組成物からなることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の有効成分であるカウレン類は、代表的な多環性のジテルペンであり、ジベレリン,ステビオール,エンメイン,グラヤノトキシンなど多くのジテルペンの生合成中間体と考えられ、キク科のMikania hirsutissima,ウマノスズクサ科のAristolochia brasilienesis,バンレイシ科のAnnona glabra,マキ科のPodocarpus nagi(ナギ)の他、Agathis australis,Gibberella fujikuroiなどの植物中に含まれる成分として数多く存在することが知られている。
【0015】本発明において好ましいカウレン類は、前記式(I)〜(III)の化合物又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
化合物1:【化11】

【0016】化合物2:【化12】

【0017】化合物3:【化13】

【0018】化合物4:【化14】

【0019】化合物5:【化15】

【0020】化合物6:【化16】

【0021】化合物7:【化17】

【0022】化合物8:【化18】

【0023】化合物9:【化19】

【0024】化合物10:【化20】

【0025】化合物11:【化21】

【0026】化合物12:【化22】

【0027】化合物13:【化23】

【0028】また、本発明の好ましいカウレン類として、前記式(IV)の化合物(以下、化合物14と言うことがある)も挙げられる。なお、上記以外のカウレン類についても、人体に対する安全性に問題のない限りにおいて用いることが可能である。また、本発明のカウレン類には、各種異性体が存在するが、本発明はそれら異性体をも包含するものである。また、本発明においては、カウレン類の1種又は2種以上を用いることができる。
【0029】本発明において薬学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩など)の他、有機アミン塩、すなわち脂肪族あるいはアリール脂肪族の第1、2又は第3モノ−、ジ−又はポリアミンとの塩や、複素環塩基から形成されるアミン塩などが挙げられ、有機アミン塩としては、例えば、トリエチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ジ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、4−アミノ安息香酸−2−ジエチルアミノエチルエステル、1−エチルピペリジン、ビシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジル−エチレンジアミン、ピリジン、コリジン、キノリン、プロカイン、ジベンジルアミン、1−エフェナミンおよびN−アルキル−ピペリジンとの塩等が挙げられる。これらの塩は公知の方法により得ることができる。なお、本発明においては、薬学的に許容される範囲においてこれらに限定されるものでない。
【0030】化合物1〜14のカウレン類は公知の物質であり、植物から抽出、単離することができる。以下、単離精製方法の一例を示す。
(化合物1〜5、11〜14の単離精製)Mikania hirsutissima(キク科)の地上部全草1.9kgを、室温でエタノール2Lに20分浸漬による抽出を2回行い、抽出液を得た。次いで、この抽出液を減圧乾固し、エタノール抽出物91.8gを得た。このエタノール抽出物を、ダイヤイオンHP−20(日本練水製)2kgを用い、40%含水メタノール、70%含水メタノール、メタノール、アセトンにて順次溶出した。このメタノール画分47.6gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(10:1〜1:1)、酢酸エチル、メタノールにて順次溶出し、各画分を再結晶して、化合物1〜5及び11〜14をそれぞれ得た。化合物1については5.6g得られた。
【0031】(化合物6〜10の単離精製)Aristolochia brasilienesis(ウマノスズクサ科)の根茎2kgを、室温でエタノール2Lに20分浸漬による抽出を3回行い、抽出液を得た。次いで、この抽出液を減圧乾固し、エタノール抽出物88.3gを得た。このエタノール抽出物を、ダイヤイオンHP−20(日本練水製)2kgを用い、40%含水メタノール、70%含水メタノール、メタノール、アセトンにて順次溶出した。このメタノール画分及びアセトン画分を合わせた42.3gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(15:1〜1:1)にて順次溶出し、各画分を再結晶して、化合物6〜10をそれぞれ得た。
【0032】本発明のカウレン類は、ヒト頭髪の毛包上皮系細胞の分裂増殖活性若しくは毛幹伸長活性を維持又は促進して毛髪の成長期を延長する効果を有することから、ヒト頭髪の発毛促進、脱毛防止を目的とした養毛剤(育毛剤、発毛促進剤、毛髪成長期延長剤等を包含する概念である)の有効成分として配合することができ、これを頭皮に塗布することにより、脱毛の治療、改善、予防をはかることができる。本養毛剤は、いわゆる男性型脱毛症や男性ホルモン性脱毛といわれるうす毛や脱毛の他、円形脱毛症、粃糠性脱毛症、脂漏性脱毛症等の病的脱毛症に適用することができる。そして、毛根近傍における毛包上皮系細胞の増殖が緩徐であること等により成長期が短くなって、成長期毛の休止期毛に対する割合が相対的に少なくなってしまうことに起因する脱毛症には、特に有効であると考えられる。
【0033】本発明にかかる養毛剤を医薬品、医薬部外品、化粧料として用いる場合、その剤型は本発明の効果を発揮できるものであれば任意に選択することができ、例えば、液状、乳液、軟膏、クリーム、ゲル、エアゾール、ムース等が例示できる。具体的には、トニック、ローション、コンディショナー、スカルプトリートメント、シャンプー、リンスなどが挙げられる。
【0034】そして、これらの製剤中には本発明にかかるカウレン類の他に、通常医薬品や化粧料に配合可能な成分を、本発明の効果が損なわれない範囲で配合することができる。例えば、薬効成分としては、血行促進作用を有する薬剤として、センブリエキス、ビタミンE及びその誘導体、ニコチン酸ベンジルエステル等のニコチン酸エステル類などが挙げられる。局所刺激作用により血液循環を促進する薬剤としてはトウガラシチンキ、カンタリスチンキ、カンフル、ノニル酸ワニリルアミド等が挙げられる。毛包賦活作用を有する薬剤としては、ヒノキチオール、プラセンタエキス、感光素、パントテン酸及びその誘導体等が挙げられる。抗男性ホルモン作用を有する薬剤としては、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストロン等のホルモン剤などが挙げられる。抗脂漏作用を有する薬剤としてイオウ、チオキソロン、ビタミンB6等が挙げられる。
【0035】その他、フケの発生を防止するために角質溶解作用、殺菌作用を有するサリチル酸、レゾルシン等が挙げられ、頭皮の炎症を防止するためにグリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、メントール等が、さらには、毛包への栄養補給、酵素活性の賦活のためにセリン、メチオニン、アルギニン等のアミノ酸類、ビオチン等のビタミン類、生薬エキス等が挙げられる。
【0036】また、アルテア、ヨクイニン、ペパーミント、ヨウテイ、トウガラシ、アロエ、クコ、ヨモギ、イネ、マンケイシ、マンネンロウ、コッサイホ、エニシダ、リンドウ、タンジン、ヘチマ、キキョウ、マツ、クジン、トウキ、ベニバナ、メギ、ビンロウジ、ユーカリ、カゴソウ、モクツウ、ゴシツ、サイコ、チャ、カンゾウ、ホップ、キク、セネガ、ゴマ、センキュウ、カシュウ、カッコン、マイカイカ、サフラン、ローズマリー、ジオウ、ゼニアオイ等の植物抽出物を配合することもできる。
【0037】また、アルコキシカルボニルピリジンN-オキシド、塩化カルプロニウム、アセチルコリン誘導体等の血管拡張剤;セファランチン等の皮膚機能亢進剤;ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ウンデシレン酸、トリクロロカルバニド、ビチオノール、フェノール、イソプロピルメチルフェノール等の抗菌剤;亜鉛及びその誘導体;乳酸又はそのアルキルエステル;クエン酸;コハク酸;リンゴ酸等の有機酸類;トラネキサム酸等のプロテアーゼ阻害剤等を配合することもできる。その他、サイクロスポリン類、オキセンドロン、ジアゾキシド、ミノキシジル等の薬剤も配合可能である。
【0038】また、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類;高級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素油、天然油脂、エステル油、シリコーン油等の油分;界面活性剤;香料;キレート剤;1,3-ブチレングリコール、ヒアルロン酸及びその誘導体、マルチトール、アテロコラーゲン、乳酸ナトリウム等の保湿剤;マルメロ粘質物、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム等の増粘剤;高分子化合物;酸化防止剤;紫外線吸収剤;色素;水;安定化剤等、通常医薬品や化粧料に配合される成分を配合することができる。
【0039】また、本発明のカウレン類は、医薬品、医薬部外品、化粧料等における皮膚外用剤に配合することもでき、特に、ニキビ等の皮膚障害を改善する皮膚障害治療剤として有用である。本発明の皮膚外用剤の形態は、例えば、軟膏、ローション、乳液、クリーム、パック、ジェル、ファンデーション、口紅、フェイスカラー、皮膚洗浄料、浴用剤等、通常皮膚外用剤として適用される剤型であれば特に限定されない。また、皮膚外用剤には、カウレン類の他、通常皮膚外用剤に配合可能な成分を問題の生じない範囲で配合することができる。
【0040】また、本発明のカウレン類を含有する組成物は、上記以外の医薬用組成物、化粧用組成物としても使用可能である。医薬組成物としては経口用、非経口用剤型のいずれでもよく、その剤型も任意で、例えば液状、シロップ状、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、座剤、注射剤等の剤型とすることができる。製剤化の際には、必要に応じて希釈剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、可溶化剤、pH調整剤等、通常使用される添加剤を用いて、常法により製造すればよい。例えば、液状製剤とするには、生理食塩液、エタノール、1,3−ブチレングリコールなどを希釈剤または担体として使用することができる。
【0041】本発明の組成物中におけるカウレン類の配合濃度としては、組成物の形態または使用目的等に応じて適宜決定されるが、通常組成物中0.001〜20重量%配合される。0.001重量%未満では本発明効果を十分に発揮することが難しく、一方、20重量%を超えると製剤上好ましくない。また、その投与量としては、組成物の形態または使用目的等に応じて適宜決定されるが、養毛剤又は皮膚外用剤の場合には、通常0.001〜1000mgを、1日1回または数回に分けて頭皮又は皮膚に塗布又は散布することが好ましい。
【0042】次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。また、配合量は特に指定のない限り重量%で示す。
試験例1 毛包上皮系細胞増殖促進効果試験特開2000−63242号公報に記載の方法に準じて、ヒト頭皮の毛包上皮系培養細胞を用い、毛包上皮系細胞増殖促進効果を測定した。
【0043】1.ヒト毛包上皮系細胞の採取外科的手術の副産物として得られたヒト男性頭皮から、毛周期における成長期の毛包を実体顕微鏡下で機械的に採取した。この成長期の毛包を1000U/mlのdispase及び0.2%のコラゲナーゼを含むダルベッコ改変のMEM(DMEM)で30分間、37℃で処理し、注射針の先を用いて脂肪組織、結合織性毛根鞘や毛乳頭を除去して、0.05%のEDTAを含むリン酸緩衝液で5分間、37℃で処理した。次に、タイプIコラーゲンでコーティングした培養皿に毛包を静置し、KGM培地(無血清のケラチノサイト増殖用培地)中で培養を行った。培養4〜5日後に、毛包の培養皿底面への接着及び毛包上皮系細胞の増殖が確認できた時点で培地を交換し、以降2日おきに培地交換を行った。
【0044】このようにして増殖させた細胞を、0.05%トリプシン及び0.02%EDTAを含有したリン酸緩衝液中により、37℃で5分間処理した後、等量の0.1%トリプシンインヒビターで反応を停止させ、遠心処理(800×g,5分間)を施して細胞を回収した。次に、細胞を上記の無血清培地に浮遊させて、タイプIコラーゲンでコーティングした培養皿に5000個/cm2密度で播種し、細胞がサブコンフルエントになるまで2日おきに培地交換を行った。再び0.05%トリプシン及び0.02%EDTAを含有したリン酸緩衝液中により、37℃で5分間処理した後、等量の0.1%トリプシンインヒビターで反応を停止させ、遠心処理(800×g,5分間)を施した。これにより得られたヒト毛包上皮系細胞に細胞凍結液(セルバンカー:ダイヤトロン製)を添加し、100,000個/mlの濃度に調整して、各凍結チューブに100,000個(1ml)ずつ入れ、これを凍結保存した。なお、これらの細胞数は血球算定板で算出した。
【0045】2.対象物質の毛包上皮系細胞増殖促進効果の測定A.毛包上皮系細胞の準備上記工程により得た毛包上皮系細胞を培養フラスコ中に播種後、これを0.25%トリプシン−0.02%EDTA含有リン酸緩衝液で処理し、0.1%トリプシンインヒビターで反応を停止後、1,500rpmで5分間遠心処理を施した。上清を除去し、沈殿した細胞ペレットにKGM培地を添加して、細胞懸濁液を調製した。KGM培地に浮遊させた細胞懸濁液を、タイプIコラーゲンコートされた96穴マイクロプレート(ファルコン社製)に3,000個(0.2ml)/穴ずつ播種し、細胞が底面に沈むまで約20分間室温下で放置した。その後、37℃、5%CO2のインキュベータ内で1日間培養を行い、所望するヒト毛包上皮系培養細胞を得た。
【0046】B.試験培地の調整(1)試験物質添加培地の調整KGM培地に、試験物質及びDMSOを、最終濃度がそれぞれ1.0×10-6mol/L及び0.1%となるように添加した。
(2)コントロール培地の調整ネガティブコントロール:KGM培地に、DMSOを最終濃度が0.1%となるように添加した。
ポジティブコントロール:インシュリン及びハイドロコーチゾンをDMSOに溶解し、これをKGM培地に、添加した。インシュリン、ハイドロコーチゾン、DMSOの最終濃度はそれぞれ5μg/ml、0.5μg/ml、0.1%であった。
【0047】C.対象物質培地交換上記Aのヒト毛包上皮系培養細胞を調製した96穴マイクロプレート中のKGM培地を、試験物質添加培地又はコントロール培地(200μl/穴)と交換後、37℃、5%CO2で2日間培養した。
【0048】D.細胞増殖の測定アラマーブルー(アラマーバイオサイエンス社製)を、培地量に対して1/10量添加して、37℃(5%CO2)で6時間インキュベートした。インキュベート後、系の595nm及び570nmでの吸光度をマイクロプレートリーダー(バイオラッド社製)を用いてアラマブルー還元率を測定し、下記計算式に従って、試験物質添加培地の細胞増殖度(A)を算出した。
【0049】
【数1】試験物質添加時の細胞増殖度(A)=(A/N)×100(%)
:試験物質添加培地のアラマブルー還元率N:ネガティブコントロールのアラマブルー還元率さらに、細胞増殖度から細胞増殖促進指標を、下記計算式に従って算出した。
【0050】
【数2】試験物質の細胞増殖促進指標=(A−N)/(P−N
:試験試料添加時の細胞増殖度N:ネガティブコントロールの細胞増殖度P:ポジティブコントロールの細胞増殖度このとき、ネガティブコントロールの細胞増殖促進指標は0、ポジティブコントロールの細胞増殖促進指標は1となる。なお、N,Pは上記細胞増殖度の計算式において、AをそれぞれN,P(ポジティブコントロールのアラマーブルー還元率)に置き換えて算出される。
【0051】E.結果化合物1〜14の細胞増殖促進指標を表1に示す。
【表1】

【0052】表1のように、上記カウレン類に対して毛包上皮系細胞の増殖活性が確認され、毛包上皮系細胞の分裂増殖活性の維持による、毛髪成長期の維持、延長作用を有することが明らかになった。
試験例2 毛幹の伸長の検討さらに、上記カウレン類について、毛髪伸長効果を検討した。
【0053】1.ヒト毛包の器官培養実体顕微鏡下でヒトの頭皮から成長期の毛包を単離し、「WilliamsE培地(Gibco製)にペニシリン、ストレプトマイシン及びファンギゾンを加えた培地」(以下、(−)培地という)で洗浄した後に長さを測定した。(−)培地に、さらに10ng/mlのハイドロコーチゾン、10μg/mlのインシュリン、10ng/mlのナトリウムセレナイト及び10μg/mlのトランスフェリンを添加した培地(以下、(+)培地という)を24穴マイクロプレートに1穴あたり1ml注入し、この中に前記毛包を沈ませて、5%CO2下、37℃で一晩培養した(前培養)。前培養後に各毛包の長さを再度測定し、前培養期間における伸長が0.25mm以上の毛包のみを選択して、その伸長の程度が均等になるように9本ずつの毛包群に分けた。毛包における毛幹の伸長は、上記のマイクロプレートをミクロメーターを装着した倒立顕微鏡を用いて目視で観察した。
【0054】2.試験物質の評価A.試験物質含有培地試験物質であるカウレン類のDMSO溶液を(−)培地に添加して調製した。カウレン類、DMSOの最終濃度はそれぞれ1.0×10−5mol/L、0.1%であった。
B.ネガティブコントロール培地(−)培地にDMSOのみを最終濃度が0.1%になるように添加して調製した。
C.培地交換及び測定前記毛包群の培地を、それぞれ試験物質含有培地又はネガティブコントロール培地で交換し、さらに5日間5%CO2下、37℃で培養した。5日間培養後の各毛包の長さを測定し、その平均値を比較した。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】表2よりカウレン類は毛包上皮系細胞の増殖を促進するのみならず、毛包における毛幹の伸長を促進し、毛包器官において調和の取れた毛髪成長期延長効果を有することが明らかになった。
試験例3 トリコグラム試験さらに、養毛剤の実使用試験として、トリコグラム試験を行った。
【0057】1.被験試料の調製95%エタノール70重量%に、化合物7を0.1重量%、POE(40)硬化ヒマシ油を0.5重量%添加し、撹拌溶解した。次に、イオン交換水を添加、混合して100重量%とし液状製剤を調製した(本発明品)。また、対照として、化合物7を含まない上記液状製剤(対照品)も調製した。
【0058】2.試験方法上記被験試料(本発明品および対照品)を用い、男性パネル(18名)によりトリコグラム試験を行った。すなわち、被験試料の使用前と使用後の抜去毛髪の毛根を顕微鏡下で観察し、毛根の形態から体止期毛根数を計数し、その割合の増減によって養毛作用を比較した。休止期毛根とは成長の止まった毛の毛根であり、脱毛を訴える人は正常な人よりもこの休止期毛根の割合が多いことが認められている。
【0059】具体的には、本発明品を男性パネル10名の頭皮に、対照品を他の男性パネル8名の頭皮に、それぞれ1日2回、1回2mlずつ6ヵ月月間連続して塗布し、塗布直前および6ヵ月問塗布終了直後に被験者1名につきそれぞれ100本ずつ抜毛し、休止期毛根数を調べた。塗布前の休止期毛根の本数(X)と塗布後の休止期毛根の本数(X)とから、下記計算式により、塗布による休止期毛根の変化率を算出した。
【数3】休止期毛根の変化率(%)=[(X/X)−1]×100変化率がマイナスの場合は、塗布により休止期毛根が減少していることを示し、マイナスの値が大きいほど好ましいと言える。結果を表3に示す。
【0060】
【表3】

【0061】表3より、実使用試験においても本発明品の塗布により休止期毛根が減少し、養毛剤として有効であることが理解される。
試験例4 尋常性ざ瘡(ニキビ症状)の改善効果試験さらに、皮膚障害改善効果についても検討を行った。
【0062】
1.被験試料の調製(A相)
ソルビトール 3.0 重量% グリセリン 5.0 レゾルシン 0.02 イオン交換水 残 部(B相)
化合物1 0.1 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5 95%エタノール 20.5 香料 適 量【0063】(調製法)A相の各成分を混合溶解し、これにB相の混合溶液を撹拝しながら加えて均質な溶液として化粧水を調製した。なお、対照品として、化合物1を配合しない化粧水も同様に調製した。
【0064】2.試験方法年齢13〜23歳の男子40名、女子40名をパネルとし、毎日2回、洗顔後に本発明品又は対照品の化粧水を塗布し、2週間後にニキビ症状の改善効果を下記評価基準に従って判定した。また、各試験群における全治〜有効の割合を有効率(%)として算出した。
(評価基準)
全治: 症状がまったくなくなった著効: 著しく改善効果が認められた有効: 症状が全般的に軽くなった無効: 使用前後で症状に変化がみられなかった【0065】結果を表4に示す。これより、本発明品は皮膚障害治療剤としても、有効であることが理解される。
【表4】
被験試料 性別及び数 全治 著効 有効 無効 有効率(%) 本発明品 男20 5 9 5 1 95 女20 4 4 5 7 65 対照品 男20 0 0 5 15 25 女20 0 0 3 17 15 【0066】
【実施例】
実施例1 クリーム(A相)
ミツロウ 10.0 パラフィンワックス 6.0 ラノリン 3.0 イソプロピルミリステート 6.0 スクワラン 8.0 流動パラフィン 26.0 ポリオキシエチレンソルビタンステアレート 2.0 ソルビタンモノステアレート 4.2 防腐剤 適 量(B相)
プロピレングリコール 2.0 POE(60)硬化ヒマシ油 1.0 化合物14 0.1 精製水 残 余【0067】(調製法)A相の成分を混合し、約75℃で加熱溶解し、これに75℃に加熱したB相の合液を攪拌しながら加えた後、45℃になるまで冷却しながら攪拌を続け、放置してクリームを得た。このクリームを試験例4と同様にして試験を行ったところ、ニキビ症状の改善効果に優れていることが確認された。
【0068】
実施例2 O/W乳液型養毛料(A相)
化合物6 0.01 POE(60)硬化ヒマシ油 2.0 グリセリン 10.0 ジプロピレングリコール 10.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 ポリエチレングリコール(分子量1500) 5.0(B相)
セチルイソオクタネート 10.0 スクワラン 5.0 ワセリン 2.0 プロピルパラベン 2.0(C相)
カルボキシビニルポリマー1%水溶液 30.0 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.03 イオン交換水 8.35(D相)
イオン交換水 4.5(E相)
水酸化カリウム 0.12 イオン交換水 残 余【0069】(調製法)A相、B相をそれぞれ60℃で加熱溶解し、混合してホモミキサー処理しゲル状物質を得た。これにD相を徐々に添加しホモミキサーで分散した後、ここに溶解したC相を加え、さらに溶解したE相を添加し、ホモミキサーで乳化してO/W乳液型の育毛料を得た。
【0070】
実施例3 クリーム状養毛料(A相)
化合物7 1.0 流動パラフィン 5.0 セトステアリルアルコール 5.5 グリセリルモノステアレート 3.0 POE(20)−2−オクチルドデシルエーテル 3.0 プロピルパラベン 0.3 香料 0.1(B相)
グリセリン 8.0 ジプロピレングリコール 20.0 ポリエチレングリコール(分子量4000) 5.0 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.005 イオン交換水 残 余(調製法)A相、B相をそれぞれ加熱溶解して混合し、ホモミキサーで乳化してクリーム状育毛料を得た。
【0071】
実施例4 ヘアトニック (1)化合物2 10.0 (2)ペパーミント(1,3−ブチレングリコール溶液) 0.1 (3)N,N−ジメチル−2−ドデシルアミンオキシド 1.0 (4)ヒノキチオール 1.0 (5)ビタミンB6 0.2 (6)ビタミンEアセテート 0.02 (7)メントール 0.2 (8)センブリエキス 1.0 (9)サリチル酸 0.1(10)マイカイカ(エタノール抽出液) 0.5(11)プロピレングリコール 2.0(12)ヒアルロン酸ナトリウム 0.01(13)POE(10)モノステアレート 2.0(14)75%エタノール 残 余(調製法)75%エタノールに上記各成分を順次添加し、攪拌溶解してヘアトニックを得た。
【0072】
実施例5 ヘアトニック (1)化合物2 10.0 (2)アルテア(エタノール抽出液) 1.5 (3)ヨクイニン(エタノール抽出液) 1.5 (4)N,N−ジメチル−2−テトラデシルアミンオキシド 0.05 (5)ヒノキチオール 1.0 (6)ビタミンB6 0.2 (7)ビタミンEアセテート 0.02 (8)メントール 0.2 (9)サリチル酸 0.1(10)カッコン(エタノール抽出液) 0.5(11)プロピレングリコール 0.01(12)ヒアルロン酸ナトリウム 0.01(13)POE(10)モノステアレート 2.0(14)70%エタノール 残 余(調製法)70%エタノールに上記各成分を順次添加し、攪拌溶解してヘアトニックを得た。
【0073】
実施例6 エアゾール育毛料(原液処方)
化合物10 0.6 95%エタノール 50.0 グリチルレチン酸 0.1 アルテア(エタノール抽出液) 0.05 ぺパーミント(エタノール抽出液) 0.05 センブリエキス 0.1 ラウリル硫酸ナトリウム 0.1 N,N−ジヒドロキシメチル−2−デシルアミンオキシド 0.2 POE(40)硬化ヒマシ油 0.5 乳酸 適 量 乳酸ナトリウム 適 量 香料 適 量 色素 適 量 精製水 残 余(充填処方)
原液 50.0 液化石油ガス 50.0【0074】(調製法)原液処方を溶解した後、これを缶に充填し、バルブ装着後、ガスを充填して育毛料を得た。実施例2〜6について上記試験例3のトリコグラム試験を行ったところ、その養毛効果が優れていることが確認された。
【0075】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のカウレン類は優れた毛髪成長期延長効果、養毛効果を有し、医薬品、医薬部外品、化粧品等の分野における養毛剤の有効成分として用いることができる。また、皮膚障害治療効果も有し、皮膚外用剤にも用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【出願日】 平成12年7月24日(2000.7.24)
【代理人】 【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
【公開番号】 特開2002−37716(P2002−37716A)
【公開日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願番号】 特願2000−222879(P2000−222879)