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【発明の名称】 紫外線吸収剤内包マイクロカプセルおよびそれを用いた化粧料
【発明者】 【氏名】安江 良司

【氏名】田草川 博

【氏名】竹中 玄

【要約】 【課題】紫外線吸収剤を長期間にわたり安定して内包することができ、化粧料に配合した際の使用感に優れる紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを提供する。

【解決手段】紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルにおいて、前記マイクロカプセル膜中に存在する孔が、下記に示す(A)および(B)の少なくとも一方の性質を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルであって、前記マイクロカプセル膜中に存在する孔が、下記に示す(A)および(B)の少なくとも一方の性質を有することを特徴とするマイクロカプセル。
(A) 前記孔の容積の合計が、前記マイクロカプセル膜1g当たり0を超え200cm3以下である。
(B) 前記孔の平均孔径が、0を超え100nm以下である。
【請求項2】 マイクロカプセル膜が、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコールおよびゼラチンからなる群から選択される少なくとも一つから形成されている請求項1記載のマイクロカプセル。
【請求項3】 請求項1または2に記載のマイクロカプセルを含有する化粧料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収剤内包マイクロカプセルおよびそれを含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外線は、肌に刺激を与えるだけでなく、健康にも害があるため、日焼け止めクリーム等の紫外線吸収剤が配合された化粧料が市販されている。しかし、紫外線吸収剤をそのまま配合すると、紫外線吸収剤の刺激感やべたつき感により、化粧料の使用感が悪くなる。そこで、紫外線吸収剤をマイクロカプセル化し、これを化粧料に配合することが従来から行われている(特開平2−251240号公報、特開平5−009107号公報、特開平6−116129号公報、特開平7−267841号公報、特開平7−303829号公報等)。
【0003】しかし、紫外線吸収剤をマイクロカプセル化しても、紫外線吸収剤が外部に徐々に溶出してしまい、結局、マイクロカプセル化しない場合と同様の問題が生じる場合があった。他方、芯物質である紫外線吸収剤を超微粒子化してマイクロカプセル化するという方法があるが、マイクロカプセル化時に、生成したマイクロカプセル相互が凝集するため、これを化粧料に配合すると、異物感が生じるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、紫外線吸収剤を長期間にわたり安定して内包することができ、化粧料等に配合した際の使用感に優れる紫外線吸収剤内包マイクロカプセルの提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の紫外線吸収剤内包マイクロカプセルは、前記マイクロカプセル膜中に存在する孔が、下記に示す(A)および(B)の少なくとも一方の性質を有することを特徴とする。
(A) 前記孔の容積の合計が、前記マイクロカプセル膜1g当たり0を超え200cm3以下である。
(B) 前記孔の平均孔径が、0を超え100nm以下である。
【0006】このように、マイクロカプセルを構成する膜が、それに存在する孔に関し、前記所定の性質を有することにより、紫外線吸収剤を長期間にわたって安定して内包でき、またこれを配合した化粧料の使用感も優れるようになる。なお、前記性質(A)および(B)は、いずれか一方備えてもよいが、好ましくは双方備えることである。また、前記性質(A)および(B)は、後述の実施例で示す方法で測定できる。
【0007】本発明の紫外線吸収剤内包マイクロカプセルにおいて、前記マイクロカプセル膜は、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコールおよびゼラチンからなる群から選択される少なくとも一つから形成されていることが好ましい。
【0008】つぎに、本発明の化粧料は、前記本発明の紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを含有する化粧料である。この化粧料は、紫外線から肌などを保護する機能を長期間発揮するとともに、刺激感、べたつき感および異物感等がなく、その使用感に優れる。
【0009】
【発明の実施の形態】前記のように、本発明の紫外線吸収剤内包マイクロカプセルは、前記性質(A)および(B)を有するマイクロカプセル膜により構成されている。
【0010】前記性質(A)において、マイクロカプセル膜の孔の容積の合計は、0を超え150cm3/g以下が好ましく、より好ましくは0を超え120cm3/g以下である。また、前記性質(B)において、マイクロカプセル膜の孔の平均孔径は、0を超え80nm以下が好ましく、より好ましくは0を超え60nm以下である。このような、好ましい範囲、より好ましい範囲にすれば、さらに紫外線吸収剤を長期間にわたり安定して内包することができ、使用感もさらに優れるようになる。なお、前記性質(A)および(B)において、理想的には、その数値範囲の下限は、「0」である。しかし、これでは実際的ではないので、その下限を「0を超え」とした。
【0011】本発明において、マイクロカプセルは、例えば、オリフィス法、スプレークーリング法、相分離法、in−situ重合法、液中乾燥法、界面重合法、界面反応法などにより調製することができる。このなかでも、マイクロカプセル膜の孔の全容積(前記性質(A))およびの前記孔の平均孔径(前記性質(B))を小さくできるという理由から、相分離法、in−situ重合法が好ましい。
【0012】マイクロカプセルに使用する膜剤としては、例えば、ゼラチン、寒天、ジェランガム、カードラン、アルギン酸ソーダ、カラギーナンなどの天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ナイロン、ウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの合成高分子、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋などのワックス類、硬化パーム油、硬化菜種油、牛脂、豚脂、硬化大豆油などの油脂類、などがあげられる。これらは、単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。これらの中でも孔容積合計(前記性質(A))や平均孔径(前記性質(B))を、さらに小さくできるという理由から、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ゼラチン等が好ましく、より好ましくはポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコールである。
【0013】マイクロカプセルに内包する紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルなどのアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチルなどのサリチル酸誘導体、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチルなどのケイ皮酸誘導体、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルなどのアゾール系化合物、あるいは4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタンなどがあげられる。これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。これらのなかで、ケイ皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタンが好ましく、より好ましくは、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタンである。
【0014】マイクロカプセルの平均粒子径としては、安定性、使用感が優れるなどの理由から、0.5〜300μmが好ましい。0.5μm以上であれば、マイクロカプセル調製時における凝集が防止でき、マイクロカプセルの収率も良く、安定性も良くなる。また、300μm以下であれば、皮膚に塗布する時等においてマイクロカプセルの破壊が防止され、この結果、皮膚への刺激やべたつきが防止される。マイクロカプセルの平均粒子径のより好ましい範囲は、1〜200μm、特に好ましくは1.5〜100μmである。
【0015】マイクロカプセルの膜厚は、0.05〜100μmの範囲が好ましい。0.05μm以上であると、マイクロカプセルの強度がさらに優れ破壊が防止される。100μm以下であれば、これに内包される紫外線吸収剤の作用を、より一層発揮させることができる。マイクロカプセルの膜厚のより好ましい範囲は、0.1〜80μmであり、特に好ましくは0.5〜70μmである。
【0016】つぎに、本発明の化粧料に対する前記紫外線吸収剤内包マイクロカプセルの配合割合は、化粧料全体に対し、例えば、0.01〜25質量%の範囲である。0.01質量%以上であると、さらに充分に紫外線を吸収することができ、25質量%以下であると、化粧料の使用感がさらに優れるようになる。前記配合割合は、より好ましくは0.1〜20質量%であり、特に好ましくは0.5〜15質量%である。
【0017】本発明の化粧料には、精製水などの水の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、従来から使用されてきた他の成分を添加しても良い。添加可能な成分としては、例えば、シリコーン油、エステル油、パラフィン油、ワックス類、グリセライド類、動植物油類等や親水性の低い脂肪酸や高級アルコール、アルコールのエチレンオキシド付加体、油溶性のビタミン類などがあげられる。具体例を示すと、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アクリルシリコーン、シリコーングラフトポリマー、シリコーン架橋体、アルキル変性シリコーン、オクタン酸セチル、イソステアリン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸セチル、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、イソステアリルアルコール、イソステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、ミリスチン酸ヘキシルデシル、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋、トリイソステアリン、オリーブ油、ホホバ油、硬化ひまし油、トコフェロール、トコトリエノール、カロチン等の油分、タルク、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ベントナイト、シリカ、マイカ、ゼオライト、ケイ酸マグネシウム、花弁状シリカ、雲母チタン、シルク、ナイロン末、ポリエチレン末、ポリスチレン末、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸架橋体、などの粉体、クエン酸などのpH調整剤、色素、香料、グリセリンなどの保湿剤、安息香酸塩などの抗菌剤、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性高分子、プロピレングリコールなどの多価アルコール、食塩、芒硝、可溶化剤、タンパク誘導体、動植物抽出エキス、パール外観付与剤、ハイドロトロープ、防腐剤、酸化防止剤、粘度調整剤等が挙げられる。
【0018】本発明の化粧料の剤型は、特に制限するものでなく、例えば、クリーム、化粧水、乳液、美容液、ジェル剤等がある。
【0019】
【実施例】つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。なお、以下の表において配合量は質量%で表す。
【0020】(マイクロカプセルの製造例)以下に示す6種類の紫外線吸収剤内包マイクロカプセルA〜Fを調製した。なお、マイクロカプセルA〜Dが実施例となり、マイクロカプセルE,Fは比較例となる。また、得られたマイクロカプセルについて、孔の容積の合計および孔の平均孔径を、後記の方法により測定した。
【0021】(マイクロカプセルA):相分離法によるマイクロカプセルの調製ポリビニルアルコール(平均重合度550、ケン化度88モル%)およびペクチンを60℃の水に溶解した後、30℃まで冷却後、下記表1に示す紫外線吸収剤を加えて分散し平均粒子径を30μmに調整した。その後、25%食塩水を1時間で滴下し、ポリビニルアルコールを相分離させ紫外線吸収剤に吸着させ、続いて、25%食塩水を1時間で滴下し、マイクロカプセル分散液を調製した。
【0022】(マイクロカプセルB):相分離法によるマイクロカプセルの調製ゼラチン(酸処理、250ブルーム)とカルボキシメチルセルロースを40℃の水に溶解し、次に下記表1に示す紫外線吸収剤を加えて分散し平均粒子径を20μmに調整した。次に、5%酢酸水溶液を添加しpHを4.5に調製しゼラチンを相分離した後、0.5℃/minで25℃まで冷却し1℃/minで10℃まで冷却することによりマイクロカプセル分散液を調製した。
【0023】(マイクロカプセルC):in−situ重合法によるマイクロカプセルの調製精製水にPOE(40)グリセリルモノステアレートおよびポリビニルアルコールを60℃で溶解し、そこに紫外線吸収剤、メタクリル酸メチル、アゾビスイソブチロニトリルを予め溶解した溶液を加えて分散し平均粒子径を5μmに調整した。その後、温度を60℃から80℃に1時間かけて昇温した後、80℃で4時間重合反応させた。この重合反応の終了後、冷却することでマイクロカプセルを調製した。
【0024】(マイクロカプセルD):in−situ重合法によるマイクロカプセルの調製マイクロカプセルCの方法において、メタクリル酸メチルをメタクリル酸エチルに変えて、マイクロカプセルを調製した。
【0025】(マイクロカプセルE):界面沈殿法によるマイクロカプセルの調製ポリスチレンをジクロロメタンに溶解し、下記表1に示す紫外線吸収剤を加えてW/Oエマルションを調製した。この溶液を、ポリビニルアルコール水溶液に徐々に添加し、W/O/Wエマルションを調製した。このエマルションを40℃でゆっくり撹拌しジクロロメタンを蒸散させてマイクロカプセルを調製した。
【0026】(マイクロカプセルF):界面反応法によるマイクロカプセルの調製ポリアクリル酸水溶液に、下記表1に示す紫外線吸収剤を加え溶解させた。この溶液をポリエチレンイミン水溶液に滴下することで、界面において前記2種類のポリマーからのイオン複合体を形成し、マイクロカプセルを調製した。
【0027】(実施例1〜5及び比較例1、2)下記表2に示す各組成の油相成分、水相成分を別々に70℃で撹拌しながら加熱溶解した。そして、ホモミキサーを備えた混合槽に、まず水相成分を投入し、これに油相成分を乳化・混合し、冷却し、この途中下記表4〜6に示す組成の香料A〜Cを加えて室温まで冷却しクリームを得た。得られた各クリームについて、以下の方法により、マイクロカプセルの安定性について評価を行った。この結果を下記表2に併記する。
【0028】(実施例6〜9及び比較例3、4)下記表3に示す各組成の成分を含有する水相成分およびエタノール相成分を、別々に攪拌機で混合・溶解した。この混合・溶解の温度は、水相成分が60℃であり、エタノール相が常温である。つぎに、攪拌機を備えた混合槽に水相成分を投入し、これに常温でエタノール相を徐々に撹拌・混合し、その途中表4〜6に示す香料A〜Cを加えて混合し、化粧水を得た。得られた各化粧水について、以下の方法によりマイクロカプセルの安定性について評価を行った。その結果を下記表3に併記する。
【0029】(孔容積合計および平均孔径の測定方法)各種方法で調製されたマイクロカプセルを精製水で洗浄し、その後芯物質である紫外線吸収剤をエタノールなどの溶媒で抽出した。その後、風乾して測定サンプルを調製した。測定は、窒素ガス脱着法(BJH法)を適用し、株式会社島津テクノリサーチ製の島津高速比表面積/細孔分布測定装置で測定をおこなった。
【0030】(マイクロカプセルの安定性評価)マイクロカプセルから芯物質である紫外線吸収剤の溶出を確認するため、同一調製条件で調製した化粧料を、50mlのバイアル瓶に入れ50℃の高温で1ヵ月保管した。その後、その化粧料を、10名のパネラーの顔に適量に塗布し、べたつき感及び刺激感について、以下の基準により評価した。そして、その平均点を算出し、これにより安定性を判定した。判定基準は以下に示すとおりである。
【0031】(べたつき感)
5点:べたつきが全くない4点:べたつきがない3点:どちらでもない2点:ややべたつく1点:かなりべたつく【0032】(刺激感)
5点:刺激感が全くない4点:刺激感がない3点:どちらでもない2点:やや刺激感がある1点:かなり刺激感がある【0033】
◎:平均点が4.5点以上○:平均点が3.5点以上かつ4.5点未満△:平均点が2.5点以上かつ3.5点未満×:平均点が2.5点未満【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】前記表2および表3から分かるように、本発明の所定の性質を有する紫外線吸収剤内包マイクロカプセルを配合した実施例のクリームおよび化粧水は、べたつき感や刺激感がなく、安定性に優れていた。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明の紫外線吸収剤内包マイクロカプセルは、長期間にわたり安定して紫外線吸収剤を内包でき、これを配合する化粧料の使用感は優れたものである。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成12年7月21日(2000.7.21)
【代理人】 【識別番号】100095555
【弁理士】
【氏名又は名称】池内 寛幸 (外3名)
【公開番号】 特開2002−37713(P2002−37713A)
【公開日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願番号】 特願2000−221258(P2000−221258)