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【発明の名称】 皮膚外用剤
【発明者】 【氏名】河野 賢治

【氏名】大西 和則

【氏名】森本 秀樹

【氏名】宮本 國寛

【氏名】中田 悟

【要約】 【課題】電気透析処理を施した深層水を配合することにより、肌への負担が少なく、しかも保湿効果のある皮膚外用剤を提供すること。

【解決手段】電気透析により脱塩処理を施した深層水のナトリウムイオンが0.20%以下、及びマグネシウムイオンが0.05〜0.15%である深層水を5〜80%含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電気透析により脱塩処理を施した深層水を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】電気透析により脱塩処理を施した深層水のナトリウムイオンが0.20%以下、及びマグネシウムイオンが0.05〜0.15%である深層水を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項3】電気透析装置により脱塩処理を施した深層水の配合量が、5〜80%である請求項1又は、請求項2記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、深層水を電気透析により脱塩処理を施した深層水を配合する皮膚外用剤、更に詳細には、皮膚への負担が少なく、しかも保湿効果を有する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】深層水は、無機塩類を豊富に含むことから、皮膚外用剤に配合すると、優れた保湿効果を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】深層水を配合した皮膚外用剤は、多く見られるが、深層水は海水であることに変わりがない。また、深層水は、塩分を3%以上含有しているため、皮膚外用剤に高濃度配合すると、まれにヒリヒリ感や、ピリピリ感を感じる人がいる。しかも、乳液やクリームといった乳化タイプの製剤に配合すると、乳化粒子を破壊することもあり、高濃度配合することが困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、深層水が本来持っている特徴である保湿効果を損ねることなく、皮膚への負担を少なくする皮膚外用剤を得るべく鋭意研究を行った結果、深層水を電気透析により脱塩処理を施すことにより、保湿効果を損ねることなく、さらに皮膚への負担を少なくすることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、電気透析により脱塩処理を施した深層水を含有することを特徴とする皮膚外用剤である。以下、詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】深層水は、太陽光の届かない水深200m以深の海水である。深層水は、水深200m以深であれば、特に限定されないが、例えば、高知県室戸沖深層水、富山県滑川沖深層水、沖縄県糸満沖深層水、沖縄県久米島沖深層水、北海道知床らうす沖深層水等が知られている。電気透析装置は、例えば、旭化成工業(株)製のアシライザーが知られている。電気透析は、溶液中のイオン性物質の電気泳動と、イオン交換膜が陽イオンと陰イオンを選択して透過させる性質を利用する分離技術である。本発明において脱塩処理を施した深層水とは、この電気透析装置を用い、一価のイオン特にナトリウムイオンを選択的に脱塩したものである。一価のナトリウムイオンの脱塩量は特に限定されないが、好ましくは0.2%以下にした深層水が良い。
【0007】本発明の皮膚外用剤における脱塩処理深層水の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、2〜100%であり、より好ましくは、5〜80%である。配合量が2%未満では、本発明の効果が十分に発揮されない場合があり、80%を超えて使用してもそれ以上の効果の増大は見られないこともある。
【0008】本発明の皮膚外用剤は、常法に従い、深層処理水を通常の皮膚外用剤として知られる種々の形態の基剤に配合することが出来る。
【0009】本発明の皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記必須成分の他に皮膚外用剤成分として一般的に使用されている油性成分、界面活性剤、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素、香料等の通常皮膚外用剤に用いられる成分を適宜配合することが出来る。
【0010】本発明の皮膚外用剤は、油性製剤、乳化製剤、水性製剤等の任意の剤形をとることが出来、保湿効果を必要とする皮膚外用剤として好適である。
【0011】本発明の皮膚外用剤は上記必須成分の他に、さらに保湿効果を高めるために油性成分を含有することができる。油性成分としては、油脂、ロウ類、炭化水素油、エステル類、シリコーン油等、公知の皮膚外用剤用油性物質であれば、どんなものでも良く、例えば、ホホバ油、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等がある。固体油脂としては、パーム油、硬化牛脂、硬化油、硬化ヒマシ油等がある。ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン等がある。炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等がある。エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等がある。シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン等の環状ポリシロキサン等が油として挙げられる。
【0012】界面活性剤としては、例えばアニオン性、カチオン性、両性、非イオン性の天然、合成いずれの界面活性剤でも配合することができる。これらの界面活性剤は、油性成分の乳化、可溶化剤として作用する。
【0013】水溶性成分としては、使用性、均質安定化、粘性調整などの目的で、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールやアルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等の水溶性高分子などを使用し得る。
【0014】本発明の皮膚外用剤は、上記成分で調製した透明もしくは半透明の組成物の他に、油性成分と水溶性成分とを配合して乳化させ、乳液状あるいはクリーム状の形態とすることができる。
【0015】
【発明の効果】次に参考例、実験例及び実施例を挙げて本発明の効果を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。
【0016】(参考例1)沖縄県久米島沖脱塩処理深層水沖縄県久米島沖2200mの海域において、深度600mから採水した海水を深層水として用いた。沖縄県久米島沖深層水は、旭化成工業(株)製の電気透析装置アシライザーを用いて脱塩処理を施した。表1に示すように、沖縄県久米島沖深層水は、脱塩処理深層水と比較して、ナトリウムイオンを豊富に含有するが、マグネシウムイオン、カルシウムイオンといった2価のイオンは、ほぼ同程度に含むものであった。
【0017】
【表1】

【0018】(保水性試験)深層水は、ミネラルを豊富に含むことから、精製水に比べ著しい保湿効果が期待できると考えられるそのため、以下のような保水性の試験を行った。乾燥豚皮膚(大鵬薬品工業社製のアロアスク)を約50mm×10mmの短冊状に切り、各々、沖縄県久米島沖深層水、沖縄県久米島沖表層水、沖縄県久米島沖脱塩処理深層水、精製水に20分間浸して浸透水分量を飽和状態とした。サンプル表面の水分を拭き取った後、37℃、湿度22%の恒温乾燥器内で乾燥させ、10分後、30分後に重量を測定し、含有水分量を算出した。結果は乾燥前の飽和状態の水分量を100として乾燥後の残存水分量を百分率で表し、表2に示した(サンプル数5)
【0019】
【表2】

A:沖縄県久米島沖深層水B:沖縄県久米島沖表層水C:沖縄県久米島沖脱塩処理深層水D:精製水【0020】表2の結果より、沖縄県久米島沖深層水及び沖縄県久米島沖脱塩処理深層水は、沖縄県久米島沖表層水、精製水に比べ高い残存率を示し、水分の蒸発を抑え、保水効果が優れていることが判る。
【0021】(参考例2)北海道知床らうす沖脱塩処理深層水北海道知床らうす沖1200mの海域において、深度300mから採水した海水を深層水として用いた。北海道知床らうす沖深層水は、旭化成工業(株)製の電気透析装置アシラーザーを用いて脱塩処理を施した。表3に示すように、北海道知床らうす沖深層水は、脱塩処理深層水と比較して、ナトリウムイオン含量が極端に少なく、しかし、マグネシウムイオン、カルシウムイオンといった2価のイオンは、ほぼ同程度に含むものであった。
【0022】
【表3】

【0023】以下に本発明の実験例を示すが、本発明はこれら実験例に限定されるものではない。
【0024】表4、表5のように処方設計された皮膚外用剤を調製し、保湿効果について下記の試験方法により評価を行った。
【0025】あらかじめアンケート調査により、皮膚の乾燥によるかさつきに悩む人を被験者として各10名選抜した。被験者には皮膚化粧料を上記症状が気になる部分に適量を2週間毎日連用させて、下記の基準で5段階評価を行った。表4、表5にはその平均点を示した。
5:著しく効果がある。
4:かなり効果がある。
3:やや効果がある。
2:ほとんど効果なし。
1:効果なし。
【0026】実験例1 化粧水表4に示す組成の化粧水を調製し、その保湿効果を調べた。
【0027】
【表4】

※北海道知床らうす沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.01% マグネシウムイオン濃度 0.08%【0028】表4の結果より、本発明の皮膚外用剤である北海道知床らうす沖脱塩処理深層水が5〜100%で保湿効果、に優れていることが判る。
【0029】実験例2 化粧水表5に示す組成の化粧水を調製し、その保湿効果を調べた。
【0030】
【表5】

※沖縄県久米島沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.008% マグネシウムイオン濃度 0.09%【0031】表5の結果より、本発明の皮膚外用剤である沖縄県久米島沖脱塩処理深層水が5〜80%の範囲で、特に保湿効果に優れていることが判る。
【0032】実験例3 クリーム表6に示す組成のクリームを調製し、その保湿効果を調べた。
【0033】
【表6】

※沖縄県久米島沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.08% マグネシウムイオン濃度 0.06%【0034】(製法)
A:成分1〜6を混合し、加熱して80℃に保つ。
B:成分7〜8を加熱して85℃に保つ。
C:AにBを添加し、乳化混合した後、冷却するD:成分9を60℃で添加混合し、30℃まで冷却してクリームを得た。
【0035】(試験方法)35〜45歳のドライスキンに悩む20名をパネルとし、試験開始前の肌状態をマイクロスキンスコープカメラで撮影し、下記基準によりそのスコアを求めた。試験は、7日間にわたって毎日、朝と夜の2回被験クリームを塗布し、1、3、5及び7日後に前記と同様肌状態のスコアを求めた。それらのスコアを平均して、保湿効果を評価した。
【0036】
(肌状態スコア)
(スコア) (状態)
1 肌の皮溝が不鮮明であり、角質のはがれが認められる。
2 肌の皮溝がやや不鮮明であり、角質のはがれがわずかに認められる。
3 肌の皮溝は認められ、角質のはがれはない。
4 肌の皮溝が認められ、やや網目状である。
5 肌の皮溝がはっきり認められ、きれいな網目状である。
上記評価方法により得られた結果を表6に併せて示す。
【0037】表6の結果から明らかな如く、本発明に関わる沖縄県久米島沖脱塩処理深層水を配合したクリームは、これらを皮膚に適用することにより、保湿効果が高いことが判る。
【0038】実験例4 化粧水表7に示す組成の化粧水を調製し、塗布時のヒリヒリ感、ピリピリ感の有無を調べた。
【0039】
【表7】

※沖縄県久米島沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.04% マグネシウムイオン濃度 0.11%【0040】表7に示す化粧水16を顔に適量塗布する。塗布時にヒリヒリ感、ピリピリ感を著しく感じた20名(下記基準:平均4.4)を被験者とした。被験者には、化粧水17を朝晩1週間連続して塗布し、塗布した時のヒリヒリ感、ピリピリ感を感じるかをアンケート調査した。アンケートは、下記の基準で5段階評価を行った。
5:ヒリヒリ感、ピリピリ感を著しく感じる。
4:ヒリヒリ感、ピリピリ感をかなり感じる。
3:ヒリヒリ感、ピリピリ感をやや感じる。
2:ヒリヒリ感、ピリピリ感をほとんど感じない。
1:ヒリヒリ感、ピリピリ感を全く感じない。
【0041】化粧水17を、朝晩1週間連続して塗布した被験者20名のアンケート結果の平均は、2.2であった。沖縄県久米島沖深層水を電気透析した脱塩処理深層水は、深層水に比べ有意にヒリヒリ感、ピリピリ感が少なく、肌への負担がすくないと考えられる。
【0042】本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0043】
実施例1 化粧水 成分 % 1.沖縄県久米島沖脱塩処理深層水 80.0 2.変性アルコール 10.0 3.メチルパラベン 0.3 4.1、3ブチレングリコール 5.0 5.精製水で全量 100.0 ※沖縄県久米島沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.01% マグネシウムイオン濃度 0.12%【0044】(製法)成分3を成分2に溶解し、成分1に添加する。残りの成分4、5を加え撹拌混合し、化粧水を得た。実施例1は、優れた保湿効果を有し、製剤の安定性も優れたものであった。
【0045】
実施例2 乳液 成分 % A POE(20)ベヘニルアルコール 2.4 モノパルミチン酸ソルビタン 1.6 パルミチン酸イソステアリル 5.0 ミリスチン酸イソプロピル 3.0 ラノリン 1.5 ステアリン酸 1.5 セタノール 1.0 ミルロウ 2.0 パラフィンワックス 2.0 メチルパラベン 0.2 B 富山県滑川沖脱塩処理深層水 10.0 カルボキシビニルポリマー 0.2 アミノメチルプロパンジオール 0.1 1、3ブチレングリコール 10.0 精製水で全量 100.0 C 香料 0.1 ※富山県滑川沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.007% マグネシウムイオン濃度 0.07%【0046】(製法)Aを80℃に加熱して溶解する。Bを分散終了後、85℃に昇温する。AにBを添加して撹拌混合する。その後冷却し、70℃でCを添加する。30℃まで冷却して、乳液を得た実施例2は、優れた保湿効果を有し、製剤の安定性も優れたものであった【0047】
実施例3 クリーム 成分 % A モノステアリン酸PEG(40EO) 3.0 モノパルミチン酸ソルビタン 1.0 イソオクタン酸セチル 10.0 ミリスチン酸イソプロピル 5.0 流動パラフィン(#70) 5.0 ステアリン酸 5.0 セタノール 3.0 パラフィンワックス 3.0 ラノリン 2.0 メチルパラベン 0.3 B 沖縄県久米島沖脱塩処理深層水 20.0 ベントナイト 0.5 グリセリン 5.0 精製水で全量 100.0 C 香料 0.2 ※沖縄県久米島沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.007% マグネシウムイオン濃度 0.11%【0048】(製法)Aを80℃に加熱して溶解する。Bを分散終了後、85℃に昇温する。AにBを添加して撹拌混合する。その後冷却し、70℃でCを添加する。30℃まで冷却して、クリームを得た実施例3は、優れた保湿効果を有し、製剤の安定性も優れたものであった。
【0049】
実施例4 ジェル 成分 %1.沖縄県久米島沖脱塩処理深層水 5.02.精製水で全量 100.03.カルボキシビニルポリマー 0.254.水酸化カリウム 0.15.グリセリン 5.06.変性アルコール 5.0 7.メチルパラベン 10.0 ※沖縄県久米島沖脱塩処理深層水:ナトリウムイオン濃度 0.009% マグネシウムイオン濃度 0.10%【0050】(製法)成分7を成分6に溶解する。成分1、2に成分3を分散させ、成分4加える。その後、残りの成分を加え撹拌混合し、ジェルを得た。実施例4は、皮膚に塗布した時、保湿効果に優れ、ヒリヒリ感やピリピリ感もない優れたものであった。
【出願人】 【識別番号】000249908
【氏名又は名称】有限会社野々川商事
【出願日】 平成12年7月7日(2000.7.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−20224(P2002−20224A)
【公開日】 平成14年1月23日(2002.1.23)
【出願番号】 特願2000−206590(P2000−206590)