| 【発明の名称】 |
血液吸収シート |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 寿計
【氏名】井手口 茂樹
【氏名】長谷川 義起
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| 【要約】 |
【課題】病院等における手術時の出血により、対外から流れ出た血液に対する吸収特性を改善し、漏れ防止性を向上させた血液吸収シートを提供する。
【解決手段】血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った血液吸収シートにおいて、該吸収部材が吸水性樹脂を含み、該吸水性樹脂の一部又は全部がポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂であることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った血液吸収シートにおいて、該吸収部材が吸水性樹脂を含み、該吸水性樹脂の一部又は全部がポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂であることを特徴とする血液吸収シート。 【請求項2】 ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂が、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と、エチレン性不飽和化合物とを反応させることにより得られる吸水性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の血液吸収シート。 【請求項3】 吸水性樹脂が、架橋剤にて表面架橋処理されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の血液吸収シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、優れた性能を有する吸水性樹脂を用いた血液吸収シートに関する。更に詳しくは、病院等における手術時の出血により、体外から流れ出た血液に対する吸収特性を改善した血液吸収シートに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、手術者は施術時に出血する血液を木綿のガーゼ等を用いて拭いながら、手術を遂行する。しかしながら、ガーゼの血液吸収能力には限度があるため、極めて頻繁にガーゼを交換しながら手術を行わなければならない。又、手術中には出血量を測定し、輸血の要否を判断し、更に輸血が必要な場合は輸血量を即座に決定し輸血の処置をしなればならない。このような緊急を要する手術において、多量の血液を含むガーゼの重さから出血量を測定する作業は、■ガーゼでは出血した多量の血液を完全に吸収するためには何枚ものガーゼを必要とするために作業が極めて煩雑となること、■ガーゼの血液に対する吸収能力が充分でなく正確な出血量が把握出来ないために輸血量の算定に支障をきたすおそれがあること、等の大きな問題がある。 【0003】このため最近では、血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った血液吸収シートを用いて、出血した血液を素早く吸収させる提案がなされている。血液吸収シート用の吸収部材の素材に関しては、種々の吸水性樹脂を用いる提案がなされている。 【0004】この種の吸水性樹脂としては、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物やカルボキシメチルセルロース架橋体、ポリアクリル酸(塩)架橋体、アクリル酸(塩)−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオキサイド架橋体等が知られている。 【0005】しかし、これらの従来からある血液吸収シートであっても血液吸収性が十分ではなく、血液に含まれる成分により吸水性樹脂の吸水特性が著しく低下してしまい、手術中に頻繁にシートの交換を行いながら手術を行う必要があり、大きな問題であった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、血液の吸収特性を改善し、漏れ防止性を向上させた血液吸収シートを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った血液吸収シートにおいて、該吸収部材が吸水性樹脂を含み、該吸水性樹脂の一部又は全部がポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂であることを特徴とする血液吸収シートにより、血液の吸収特性を改善し、漏れ防止性を格段に向上させることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】即ち、本発明は、血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った血液吸収シートにおいて、該吸収部材が吸水性樹脂を含み、該吸水性樹脂の一部又は全部がポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂であることを特徴とする血液吸収シートに関する。 【0009】 【発明の実施の形態】次いで、本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に以下に述べる。 【0010】本発明の血液吸収シートは血液が透過可能な部材により、吸収部材を覆った構造を有している。 【0011】血液が透過可能な部材としては、血液に濡れ、血液を抵抗なく通す素材であれば特に制限されない。このような素材繊維としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることが出来る。 【0012】更に、血液が透過可能な部材としては、長繊維の素材からの編織したものが好ましく、あるいは、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法により得られた不織布の如きものが好ましいが、木綿や化繊の短繊維から成る織物でも編み物でも緻密な組織が形成されておれば用いることが出来、特に制限されない。 【0013】あるいは公知のエチレングリコール処理、ポリエチレングリコール処理、グリセリン処理、アルコール処理といった親水化処理を付与してもよく、この内、生体成分の1つであるグリセリン処理が好ましい。 【0014】又、本発明の血液吸収シートは、厚みを薄く、且つ血液吸収性に富ませるために、吸収部材が布状体内に均一に配置されることがより好ましく、このために、上記吸収部材を含む布状体にキルティングを施し、均一性を持たせることも出来る。 【0015】本発明で用いられる吸収部材は、血液が透過可能な部材により覆われたものであり、前記血液が透過可能な部材を通して、血液が吸収部材に吸収されるようになっている。 【0016】上記布状体である袋内に配置される吸収部材は、吸収性樹脂を含むものであり、パルプ等と併用して用いることが出来る。この際の吸水性樹脂及びパルプの形状としては、例えば、粉粒状、顆粒状、造粒状、鱗片状、塊状、ビーズ状、繊維状あるいは不定形状等、何れでもよく特に限定はしない。 【0017】吸収性樹脂を他の材料と複合化してシート状としたもの、例えば、吸水性樹脂を繊維ウェブの中に入れて繊維相互を結合させた高吸収性不織布、あるいは紙と紙との間、又は不織布間に吸収剤を挟み込んだ積層シートといった吸水性樹脂を含む吸収シートという形態で用いることも出来る。 【0018】本発明における血液吸収シートは、上述した構成を有する吸収部材において使用される吸水性樹脂の一部又は全部として、ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂を用いることを特徴とする。即ち、吸水性樹脂の一部又は全部として、ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂を用いることにより、本発明の目的とするところの、血液に対する吸収特性を著しく改善することが可能となる。 【0019】本発明でいうポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂は、ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂であれば特に限定されない。具体例としては、ポリグルタミン酸又はその塩、ポリリジン又はその塩、ポリアスパラギン酸又はその塩、グルタミン酸共重合体又はその塩、アスパラギン酸共重合体又はその塩を架橋することにより得られる吸水性樹脂;分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と多糖類とを反応させ、架橋剤を反応させることにより得られる架橋体の一部又は全部を加水分解することにより得られる吸水性樹脂;ポリアミノ酸と多糖類と架橋剤を反応させることにより得られる吸水性樹脂;無水ポリアミノ酸と多糖類の架橋反応生成物を加水分解して得られる吸水性樹脂;ポリアミノ酸とタンパク質を反応させることにより得られる吸水性樹脂;無水ポリアミノ酸とタンパク質の架橋反応生成物を加水分解して得られる吸水性樹脂;分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と、エチレン性不飽和化合物とを反応させることにより得られる吸水性樹脂等が例示される。 【0020】これらのうち、血液の吸収特性を改善し、生理用ナプキンの漏れ防止性を向上させるためには、後述の実施例において定義される血液の吸収量が3g/g以上のものであることが好ましく、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と、エチレン性不飽和化合物とを反応させることにより得られる吸水性樹脂が好ましい。 【0021】分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と、エチレン性不飽和化合物とを反応させることにより得られる吸水性樹脂は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と、エチレン性不飽和化合物と、必要に応じ多糖類とを、架橋剤の存在下、既知のラジカル重合開始剤を用いた重合方法により得ることが出来る。 【0022】分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸としては、末端基としてマレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドをそのまま用いることが出来る。マレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドは、無水マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等とアンモニアを加熱反応させ、マレイミドもしくはマレアミド酸を経ることにより得られる。 【0023】更に、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸としては、無水ポリ酸性アミノ酸と分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物であってもよい。 【0024】本発明でいう無水ポリ酸性アミノ酸は、ポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸等の無水物であれば、線状構造を有するものであっても、分岐状構造を有するものであっても構わない。また、部分的にアミド結合を含んでいてもよい。更に、基本骨格中に、グルタミン酸、アスパラギン酸以外のアミノ酸誘導体との結合を含んでいてもよい(即ち、コポリマーであってもよい)。グルタミン酸、アスパラギン酸以外のアミノ酸誘導体としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、システイン、シスチン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン等の脂肪族α−アミノ酸、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン等の芳香族α−アミノ酸、これらα−アミノ酸の側鎖官能基が置換されたもの、β−アラニン、γ−アミノ酪酸等のアミノカルボン酸、グリシル−グリシン、アスパルチル−フェニルアラニン等のジペプチド(二量体)、グルタチオン等のトリペプチド(三量体)等が挙げられる。これらのアミノ酸誘導体は光学活性体(L体、D体)でも、ラセミ体でもよい。また、これらの結合は、ランダムに存在して(ランダムコポリマー)も、ブロック的に存在して(ブロックコポリマー)もよい。 【0025】分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物は、下記一般式[1]で表される化合物であることが好ましい。 【0026】 【化1】
【0027】(但し、一般式[1]中、R1はアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イミノ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基、−Q−は炭素原子数1〜10のアルキレン基、R2は水素、又は炭素原子数1〜4のアルキル基である) 【0028】前記一般式[1]で表される化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、2−メタアクロイルオキシエチルイソシアネート、2−イソシアネートメチルアクリレート等が挙げられる。 【0029】本発明で用いられるエチレン性不飽和化合物は、水溶性又は水混和性であれば何れのものも使用出来、その一例を挙げれば、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルスルホン酸及び/又はそのアルカリ金属塩等のイオン性モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の非イオン性モノマー;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和モノマーやそれらの四級化物等を挙げることが出来、これらの群から選ばれる一種又は二種以上を用いることが出来る。尚、ここで「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」及び「メタアクリル」の何れをも意味するものとする。これらの中で好ましくは、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドが挙げられ、アルカリ金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩等が、またアルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。 【0030】本発明で用いられるエチレン性不飽和化合物は、水溶性又は水混和性のエチレン性不飽和化合物に2個以上の重合性不飽和基を有する多官能エチレン性不飽和化合物もしくは2個以上の反応性基を有する架橋剤を併用して用いられることがより好ましい。 【0031】多官能エチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和基を2以上有するエチレン性不飽和化合物であれば基本的にはすべての化合物を用いることが可能であり、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることが出来る。 【0032】2個以上の反応性基を有する架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングルコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルアルコール、ジエタノールアミン、トリジエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;エピクロロヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド;エチレンジアミン等のポリアミン類;水酸化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、塩化硼砂マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛および塩化ニッケル等の周期律表2A族、3B族、8族の金属の水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、酸化物、硼砂等の硼酸塩、アルミニウムイソプロピラート等の多価金属化合物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を反応性を考慮した上で用いることが出来るが、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する多官能エチレン性不飽和化合物を用いるのが特に好ましい。 【0033】また、多糖類としては、例えば、デンプン、セルロース、アルギン酸等が挙げられる。デンプンとしては、一般に天然又は植物起源の、アミロース及び/又はアミロペンチンよりなるデンプンやデンプン含有物及びそれらの変性体の全てを包含する。デンプンとしては、例えば、馬鈴薯澱粉、玉蜀黍澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、ワキシーコンス、ハイアミロースコンス、小麦粉、米粉等が挙げられる。また、変性澱粉としては、澱粉にモノマー、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、オレフィン、スチレン等をグラフト共重合されたものや、脂肪酸を反応させたもの、その他、これらをデキストリン化、酸化、酸処理、アルファー化処理、エーテル化、エステル化、架橋化したものも用いることが出来る。また、水分を含む澱粉をそのガラス転移点温度及び融解温度より高い温度に加熱した構造変性澱粉(EP0327505A2)が包含される。更に、グアーガム、キチン、キトサン、セルロース、アルギン酸、寒天等の多糖類も使用することが出来る。セルロースとしては、例えば、木材、葉、茎、ジン皮、種子毛などから得られるセルロース;アルキルエーテル化セルロース、有機酸エステル化セルロース、カルボキシメチル化セルロース、酸化セルロース、ヒドロキシアルキルエーテル化セルロースなどの加工セルロースが挙げられる。 【0034】分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸とエチレン性不飽和化合物とを反応させることにより得られる吸水性樹脂は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と、エチレン性不飽和化合物と、必要に応じ多糖類とを、架橋剤の存在下、既知のラジカル重合開始剤を用いた重合方法により得ることが出来るが、界面活性剤の存在下でラジカル重合開始剤を用いて不活性溶媒中で油中水滴型の逆相懸濁重合法で得ることが出来、ゲル強度が保持出来る点で好ましい。 【0035】逆相懸濁重合法により、通常、平均10〜300μの含水ゲル、過剰の界面活性剤及び疎水性溶媒からなるスラリー状の混合物が得られる。重合後のスラリーは公知の手法により直接脱水或いは疎水性溶媒との共沸脱水を経て、乾燥、篩等を経て製品となる。 【0036】この場合、使用される界面活性剤は、疎水性溶媒に可溶性又は親和性であり、基本的に油中水滴型乳化系を作るものであれば何れのものも使用出来る。このような界面活性剤としては、一般的にはHLB(Hydrophile-Lipophile-Balance)が好ましくは1〜9の範囲であり、より好ましくは2〜7の範囲の非イオン系及び/又はアニオン系である。 【0037】本発明に使用される界面活性剤の具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、酸化ポリエチレン、無水マレイン化ポリエチレン、無水マレイン化ポリブタジエン、無水マレイン化エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー、α−オレフインと無水マレイン酸の共重合体又はその誘導体ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。これら界面活性剤は2種以上を適宜併用することも可能である。 【0038】本発明で用いられる界面活性剤の使用量は、疎水性溶媒に対して、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。 【0039】また、疎水性溶媒については、基本的に水に溶け難く、重合反応に対して不活性であれば如何なるものも使用可能である。その一例を挙げれば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環状炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの中では、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンが好ましい。 【0040】これら疎水性溶媒の使用量は、第1段目の反応に使用されるエチレン性不飽和化合物の水溶液に対して、0.5〜10重量倍の範囲が好ましい。 【0041】本発明では、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸とエチレン性不飽和化合物とを反応させることにより得られる吸水性樹脂の表面近傍を、表面架橋剤を用いて架橋反応させることにより、吸水性樹脂の血液吸収量を高めることが出来る。即ち、ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂を、表面架橋剤にて反応させることにより、より一層吸水性を高めることが可能であり、更に血液吸収シートとしての性能を向上させることが可能である。 【0042】表面架橋剤としては、吸水性樹脂の表面近傍の官能基と反応可能な2個以上の官能基を有するものであり、且つ血液吸収シートに使用した場合に人体に対して安全性の高いものが好ましい。そのような化合物としては、例えば、ポリアミンやポリグリシジルエーテル等の2個以上のカルボキシル基(カルボキシレート基)と反応しうる反応性基を有する化合物、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランといったシランカプリング剤を、必要に応じシラノール縮合触媒として知られているジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート等と共に、用いることが出来る他、グリシジルメタアクリレート等の反応性基を有するエチレン性不飽和化合物を必要に応じラジカル重合開始剤と共に用いることが可能である。 【0043】表面架橋剤の添加量は、表面架橋剤の種類及び表面架橋剤の添加前に仕込組成物中に存在する水分量等の要因により異なるが、通常、仕込組成物の固形分に対して、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。表面架橋剤を上記の添加量の範囲で用いて表面架橋を行うことにより、吸水速度が向上し、且つゲル強度に優れた血液吸収シートを得ることが出来る。 【0044】本発明における血液吸収シートは、吸収部材において使用される吸水性樹脂として、ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂を用いることを特徴とするが、該ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂は水を膨潤して体積膨張を起こす一般的な吸水性樹脂と混合使用されてもよい。混合使用されてもよい水を膨潤して体積膨張を起こす一般的な吸水性樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、架橋ポリアクリル酸塩やデンプン−アクリロニトリルグラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸塩共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)−マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)架橋物又はその他の吸水倍率が自重の50〜1000倍の吸水性樹脂が好ましい。 【0045】これら吸水性樹脂は粒子形態などの物理的な構造制御によっても吸収物性を更に向上させることが出来る。即ち、吸水性樹脂が液を吸収し膨潤平衡に達した後には、膨潤したポリマーの物理的な形態も液の流れ性に大きく関与するためであり、表面近傍の架橋反応の際に主におこる樹脂粒子間と表面架橋剤との接触反応により得られる一次粒子の団粒化物からなる不定形のポリマーがより好ましく使用出来る。また、混合使用される吸水性樹脂として、互いに平均粒径の異なる吸水性樹脂を混合使用することが出来る。 【0046】本発明による血液吸収シートは、上述したポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂を用いることにより、血液に対して優れた吸収特性を示す。従って、従来の血液吸収シートの構成によっても、血液の吸収特性を改善し、且つ漏れ防止性を著しく向上させることが出来る。 【0047】本発明における血液吸収シートは、血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った構成を有するものならば、血液が透過可能な部材や吸収部材の形態については自由に変更することが出来る。 【0048】また、本発明の血液吸収シートには、所望によって紐状あるいはテープ状の取っ手を取り付けてもよい。 【0049】また、本発明における血液吸収シートは、手術時の出血以外の用途、例えば、歯科医院や動物病院等、血液汚液の吸収処理が必要な用途においても好適に用いることが出来る。 【0050】尚、本発明の態様は、上述したように、血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った血液吸収シートにおいて、該吸収部材が吸水性樹脂を含み、該吸水性樹脂の一部又は全部がポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂であることを特徴とする血液吸収シートにかかるものである。 【0051】本発明の他の態様の一つとしては、ポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂が、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と、エチレン性不飽和化合物とを反応させることにより得られる吸水性樹脂であることを特徴とする上記の血液吸収シートにかかるものである。 【0052】本発明の他の態様の一つとしては、吸水性樹脂が、架橋剤にて表面架橋処理されたものであることを特徴とする上記の各血液吸収シートにかかるものである。 【0053】 【実施例】以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。以下において、%は、特にことわりのない限り、全て重量基準であるものとする。尚、樹脂の諸性質は以下の方法で測定した。 【0054】[血液吸引量の測定方法]内径95mmのシャーレ中の馬脱繊血(株式会社日本生物材料センターより入手)20mlに浸した15枚重ねのトイレットペーパー(55mm×75mm)上に、樹脂試料約1gを加え、5分間吸液させた後、試料の膨潤ゲルを採取してその重量を測定した。吸液後の膨潤ゲルの重量を、吸液前の樹脂試料の重量で除して、血液吸引量(g/g)を算出した。 【0055】[漏れ試験方法]血液吸収シートの中心部に馬脱繊血約15gを注射器で滴下し、約5分経過後、血液吸収シートの表面及び裏面から漏れを、吸水紙を置き、吸水紙の濡れの程度を目視で評価し、これを「漏れ試験結果1」とした。更に、1時間経過後、馬脱繊血15gを注射器で滴下し、約5分経過後、血液吸収シートの表面及び裏面からの漏れを、吸水紙を置き、吸水紙の濡れの程度を目視で評価し、それを「漏れ試験結果2」とした。 【0056】《参考例1》ポリこはく酸イミドの製造例攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した1Lの4ツ口フラスコに、無水マレイン酸96g、イオン交換水50gを加えた。55℃に加温し無水マレイン酸を溶解させた後、一旦冷却し無水マレイン酸のスラリーを得た。再び系内を加温し、55℃になったところで、28%アンモニア水60.8gを添加した。その後、系内の温度を80℃に加温した。3時間反応させた後、得られた水溶液を乾燥し反応中間体を得た。2Lのナスフラスコに反応中間体100gおよび85%燐酸10gを仕込み、エバポレーターを用い、オイルバス浴温200℃、減圧下、4時間反応させた。得られた生成物を水およびメタノールで数回洗浄した。得られたポリこはく酸イミドをGPCで測定した結果、重量平均分子量は3000であった。 【0057】《参考例2》吸水性樹脂1の製造方法攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4ツ口フラスコに、水酸化ナトリウム20.6gを溶解させた水溶液75gを加えた後、参考例1で得たポリこはく酸イミドの粉末50gを添加することによりポリこはく酸イミドの水溶液を得た。次いで、温度を90℃に昇温後、グリシジルメタアクリレート5.0gを加え、反応を1時間行うことにより、メタアクリル基を導入したポリこはく酸イミドの加水分解物を含有する水溶液を得た。100ml三角フラスコに、HLB=16のショ糖エステル(第一工業製薬株式会社製 DKエステルF−160)0.75gを秤量し、シクロヘキサン20gを加え、50℃に昇温して溶解した。これに上述の操作で得られた水溶液7.8gを加えて攪拌することによりメタアクリル基を導入したポリこはく酸イミドの加水分解物水溶液の分散溶液を得た。 【0058】これとは別に、攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4ツ口フラスコに、シクロヘキサン164gを加え、これにHLB=9のショ糖エステル(第一工業製薬株式会社製 DKエステルF−90)0.75gを添加して撹拌しながら50℃に昇温して溶解した。その後、フラスコの内容物を30℃に冷却した。一方、500mlの三角フラスコにアクリル酸30gを加え、外部より冷却しつつ水酸化ナトリウム10gを溶解した水酸化ナトリウム水溶液86.5gを滴下してアクリル酸の60モル%を中和した。この液にN,N’−メチレンビスアクリルアミド98mgを添加し、更に過硫酸アンモニウム0.05gを加えて溶解した。次に、上述のようにして得られた、重合開始剤および架橋剤を含有する75モル%部分中和アクリル酸塩水溶液を上述の円筒型丸底フラスコの内容物中に加え、界面活性剤を含むシクロヘキサン溶液に分散させると共に系内を窒素で充分に置換した。その後、加熱昇温し、重合反応を開始した。暫くした後発熱を開始し、発熱がピークに達した5分後に、先に得られたメタアクリル基を導入したポリこはく酸イミドの加水分解物水溶液の分散溶液を一括添加した。以後60〜65℃で3時間保持した。尚、攪拌は300rpmで行った。反応終了後、デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて湿潤ポリマーから減圧乾燥により水を除去し、重合体粉末を得た。 【0059】500mlフラスコに得られた重合体粒子30gを秤量し、そこへアセトン1.2g、イオン交換水2.1g、グリシジルメタアクリレート0.09g、過硫酸アンモニウム0.09gからなる混合溶液と、親水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、200CF)0.3gを均一散布した。湿潤ポリマーを108℃で1時間減圧乾燥することにより吸水性樹脂の表面架橋処理を行った。得られた吸水性樹脂1の特性評価結果を表1に示す。 【0060】《参考例3》吸水性樹脂2の製造方法N,N’−メチレンビスアクリルアミド量を196mgとした以外は参考例2と同様の操作により、吸水性樹脂の粉末を得た。得られた吸水性樹脂2の特性評価結果を表1に示す。 【0061】《参考例4》吸水性樹脂3の製造方法アクリル酸30gを加え、外部より冷却しつつ水酸化ナトリウム8.3gを溶解した水酸化ナトリウム水溶液84.7gを滴下してアクリル酸の50モル%を中和し、この液にN,N’−メチレンビスアクリルアミド234mgを添加した以外は参考例2と同様の操作により、吸水性樹脂の粉末を得た。得られた吸水性樹脂3の特性評価結果を表1に示す。 【0062】《参考例5》吸水性樹脂4の製造方法発熱ピークに達した5分後添加するメタアクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を12.5gとした以外は参考例2と同様の操作により、吸水性樹脂の粉末を得た。得られた吸水性樹脂4の特性評価結果を表1に示す。 【0063】《参考例6》吸水性樹脂5の製造方法発熱ピークに達した5分後添加するメタアクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を12.5gとした以外は参考例4と同様の操作により、吸水性樹脂の粉末を得た。得られた吸水性樹脂5の特性評価結果を表1に示す。 【0064】《参考例7》樹脂6の製造方法メタアクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を添加しない以外は参考例2と同様の操作により、樹脂の粉末を得た。得られた樹脂6の特性評価結果を表1に示す。 【0065】《参考例8》樹脂7の製造方法メタアクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を添加しない以外は参考例4と同様の操作により、樹脂の粉末を得た。得られた樹脂7の特性評価結果を表1に示す。 【0066】 【表1】
【0067】 ポリこはく酸イミド;参考例1で得たポリこはく酸イミド GMA ;グリシジルメタアクリレート MBAA ;N,N’−メチレンビスアクリルアミド APS ;過硫酸アンモニウム【0068】《実施例1〜5》参考例2〜6で得られた吸水性樹脂1〜5を80部と、粉砕パルプ100部を乾式混合した後、空気抄造し圧縮して、44.4重量%の吸水性樹脂を含む、坪量400g/m2の吸収部材を得た。次に、10cm×20cmの大きさのセルロース不織布の上に、上記吸収部材を10cm×20cmに裁断し重ね、更に、その上にセルロース不織布を重ね、その縁を縫製して、血液吸収シート1〜5を作成した。上記で得られた本発明の血液吸収シート1〜5について、漏れ試験を行い、その結果を表2に示す。 【0069】《比較例1》及び《比較例2》 参考例7及び参考例8で得られた樹脂6及び樹脂7を用いて、実施例と同様の手法により血液吸収シートを組み立て、漏れ試験を行った。その結果を表2に示す。 【0070】 【表2】
【0071】
【0072】 【発明の効果】本発明によると、血液が透過可能な部材により吸収部材を覆った血液吸収シートにおいて、該吸収部材が吸水性樹脂を含み、該吸水性樹脂の一部又は全部がポリアミノ酸又はその塩を含む吸水性樹脂を用いることにより、血液の吸収特性を改善し、漏れ防止性を著しく向上させることが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002886 【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月6日(2001.3.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088764 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 勝利
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| 【公開番号】 |
特開2002−263132(P2002−263132A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月17日(2002.9.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−61679(P2001−61679) |
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