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【発明の名称】 上顎骨延長器
【発明者】 【氏名】小関智明

【要約】 【課題】正確、簡便で侵襲が少なく、個々の患者に合わせて短期間で上顎骨延長ができる器具を提供する。

【解決手段】上顎歯列にバンドを装着し、移動レールに固定し、頬骨にアームを固定し、各々を本体内の角度調整用スクリューと前方延長用スクリューによって前下方向に上顎骨を延長させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】上顎骨劣成長及び下顎骨過成長の症例に対し、鼻上顎複合体を前方に引き出し、上顎周囲縫合部を延長させることにより骨形成を促すための器具であり、左右の上顎歯列に移動レールを固定し、左右の頬骨に頬骨固定アーム上部を固定し、移動レールは前後にスライドできるよう本体に接続し、頬骨固定アーム下部は本体に固定し、本体前方に突出する前方延長用回転シャフトを回すことにより、接続する本体内の前方延長用スクリューが移動レールを前方に押し出し、上顎骨を延長させる構造を持つ上顎骨延長器。
【請求項2】上記上顎骨延長器の内、前方延長用回転シャフトを1回転させると移動レールが前方に1mm移動するようスクリューピッチを設定したことを特徴とする請求項1記載の上顎骨延長器。
【請求項3】上記上顎骨延長器の内、本体前方に角度調整用回転シャフトが突出しており、これを回転させることにより本体内部の角度調整用スクリューが回転し、この回転を角度調整シャフト下部が受け本体内を前後し、角度調整シャフト上部は頬骨固定アーム中央にネジ固定され、頬骨固定アーム下部は本体にネジ固定され、角度調整用回転シャフトを回すと本体が上下に傾き、延長方向の角度を自在に調整できる構造を持つ請求項1及び2記載の上顎骨延長器。
【請求項4】上記上顎骨延長器の内、角度調整用回転シャフトを1回転させると1度角度が変化するようスクリューピッチを設定したことを特徴とする請求項3記載の上顎骨延長器。
【請求項5】上記上顎骨延長器の内、前方延長用及び角度調整用の回転シャフトを回すためのドライバーが本体前方から取り外し式になっていることを特徴とする請求項1、2、3及び4記載の上顎骨延長器。
【請求項6】上記上顎骨延長器の内、頬骨に固定する部分である頬骨固定アームの上部がフレキシブルな金属となっており、スクリューを通すための複数の穴が開いており、頬骨にフィットさせ、スクリューで固定する構造となっている請求項1、2、3、4及び5記載の上顎骨延長器。
【請求項7】上記上顎骨延長器の内、移動レール内側面に上顎歯列の複数の歯周囲に固定された金属製帯状のバンドが溶接或いは蝋付け固定されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5及び6記載の上顎骨延長器。
【請求項8】上記上顎骨延長器を製造する際、術前に予め個々の患者の上顎歯列の型を取り、型取りされた歯周囲に金属製帯状バンドを巻きつけ、バンド外側面に移動レールを溶接或いは蝋付け固定し、個々の患者専用の延長器を作る請求項7記載の上顎骨延長器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、上顎骨劣成長及び下顎骨過成長の症例に対して、上顎骨延長術を行う際に使用する器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】口唇劣口蓋劣に代表される上顎骨劣成長及び下顎過成長は上下の顎骨が噛み合わない反対咬合を呈し、舌位の低下や筋機能の異常を招く。従来上顎骨劣成長患者に対しては上顎歯列犬歯部にゴムを固定し、前方に牽引力を加え、上顎周囲縫合部を離開させ、骨形成を促していた。或いは上顎骨を切開し、外科的に上顎骨前方移動を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上顎歯列犬歯部にゴムを固定し、前方に牽引する方法は1年から2年をかけて行うが1mm〜2mm程度しか延長できず、口唇劣口蓋劣等の程度の著しい患者には適応できなかった。また長期に亘る治療のため、患者の協力が得られにくい。上顎骨を切開し、外科的に上顎骨前方移動を行う手技は、侵襲が大きいばかりでなく、骨切りに伴う歯髄の壊死や鼻咽腔閉鎖能の低下等の問題も発生する。
【0004】
【課題を解決するための手段】鼻上顎複合体は多くの縫合を介して構成される骨格であり、この縫合部分は成長期に離開しながら骨組織が延長していく。従ってこの部分に機械的負荷を加え、成長を加速させることは可能である。
【0005】本発明は頬骨と上顎歯列をダイレクトに固定し、口の中から回転シャフトを回すことにより機械的負荷を加え、1週間ほどの短期間で骨成長を加速させることを可能とした。シャフトは取り外しができるので外からは上顎骨延長器が装着されていることがわかりにくい。延長後、保定期間を経て上顎骨延長器を取り外す時も頬骨側のスクリューを外し、上顎歯列のバンドを外すのみであり、従来の骨切り法と比べると侵襲は極端に軽度である。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の1実施例を示している。左顔面に本発明に係る上顎骨延長器を装着した図である。口の中からアプローチし、粘膜を切開し頬骨上顎縫合14の位置を確認し、頬骨固定アーム2の先端を縫合線の先の頬骨10に固定する。図はフレキシブルな金属13を楓の葉状に広げ、各々の先端と根元にスクリュー12で固定している。フレキシブルな金属の材質は生体適合性の高い純チタン、或いはステンレスSUS316L等が適している。頬骨固定アーム2は剛性を確保するため、フレキシブルな金属13とは溶接により接続する。突出している前方延長用シャフト7と角度調整用回転シャフト6はドライバー8により延長及び角度調整を行う。延長は1日1mm程度が目安である。通常延長量は3〜4mmでよい場合が多いが、1cm程必要とするケースもある。スクリューピッチを1回転で1mmのように設定しておくとわかりやすい。同様に角度調整も1回転1度にスクリューピッチが設定してあると管理しやすい。理想的には咬合平面に対し38度下に傾けると効率的に骨成長を促進させる。図における斜線の部分が前下方向に延長される左鼻上顎複合体である。実際には右側にも同じ延長器を取り付け、同時に延長を行う。
【0007】図2は本発明の主要部透視図である。図1と異なり右顔面用を示している。角度調整用回転シャフト6及び前方延長用シャフト7の頭は6角形となっており、ドライバーの先と接続する。角度調整用回転シャフト6は本体内部では円柱状であり、外周にネジ切りが施してあり角度調整用スクリュー4となっている。それに合わせて角度調整用可動シリンダー15の内側にもネジが切ってある。角度調整用可動シリンダー15の外側を挟み込むように角度調整シャフト3が接続され、さらに頬骨固定アーム2中央へと接続されている。角度調整用回転シャフト6を回すと本体1が上下に傾く。前方延長用シャフト7も同様の構造をしており、本体内部は前方延長用スクリュー5となっている。これを受ける延長用可動シリンダー16は本体1の窓を介して移動レール9と接続しており、前方延長用シャフト7を回転させると移動レール9が前後する。この移動レール9に個々の患者から型取りした金属製バンド11を溶接し、完成品となる。
【0008】
【発明の効果】以上説明したように本発明は患者に苦痛を与えず、短期間、低侵襲で上顎骨延長が可能である。また術者も口の中からアプローチでき、簡便な手術で高い効果が得られる。延長量、角度の管理も容易であり、精度の高い調整が可能である。また個々の患者専用の器具となるため固定力が高く、違和感も少ない。
【出願人】 【識別番号】399019205
【氏名又は名称】小関医科株式会社
【出願日】 平成13年3月12日(2001.3.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−263128(P2002−263128A)
【公開日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願番号】 特願2001−69269(P2001−69269)