| 【発明の名称】 |
矯正ワイヤ用アタッチメント |
| 【発明者】 |
【氏名】嘉ノ海 龍三
【氏名】本蔵 義信
【氏名】荒井 一生
【氏名】長尾 知彦
【氏名】中川 功幸
【氏名】秦 美治
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| 【要約】 |
【課題】矯正ワイヤを容易に着脱することができ,矯正ワイヤをスライド可能に保持して矯正力を向上させた矯正ワイヤ用アタッチメントを提供すること。
【解決手段】歯列を構成する各歯の表面に接着される台座部2と,矯正ワイヤ8を保持するワイヤ保持部3とよりなる。台座部2とワイヤ保持部3の少なくとも一方には,磁気吸引力を生じさせる永久磁石40を内蔵した磁石構造体4が配設されている。台座部2とワイヤ保持部3とは,両者の吸着面20,30を当接させて磁気吸引力により着脱可能に接合するよう構成されている。ワイヤ保持部3は,矯正ワイヤ8をスライド可能に保持する挿通穴部35を有している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歯列矯正用の矯正ワイヤを歯に固定するための矯正ワイヤ用アタッチメントであって,歯列を構成する各歯の表面に接着される台座部と,上記矯正ワイヤを保持するワイヤ保持部とよりなり,上記台座部と上記ワイヤ保持部の少なくとも一方には,磁気吸引力を生じさせる永久磁石を内蔵した磁石構造体が配設されており,上記台座部と上記ワイヤ保持部とは,両者の吸着面を当接させて上記磁気吸引力により着脱可能に接合するよう構成されており,上記ワイヤ保持部は,上記矯正ワイヤをスライド可能に保持する挿通穴部を有していることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項2】 請求項1において,上記ワイヤ保持部における上記挿通穴部は,上記ワイヤ保持部に配設されたパイプにより構成されていることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項3】 請求項1又は2において,上記ワイヤ保持部における上記挿通穴部は,矩形断面を有することを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,上記台座部又は上記ワイヤ保持部の一方は,上記吸着面を囲うように配設された非磁性体よりなる非磁性ガイドリング部を有し,該非磁性ガイドリング部と上記吸着面とによって凹部を形成するよう構成されており,他方は上記凹部に嵌め合い可能な形状を呈していることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,上記台座部と上記ワイヤ保持部との接合状態において両者の回転ズレを防止する回転防止機構が設けられていることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項6】 請求項5において,上記回転防止機構は,上記台座部又は上記ワイヤ保持部の一方に設けた突部と,他方に設けた上記突部と係合可能な窪み部とよりなることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項7】 請求項6において,上記回転防止機構は,上記台座部に設けられた少なくとも2つのフック部と,上記ワイヤ保持部に設けられた上記フック部の一部と係合可能な窪み部とよりなり,かつ,上記フック部は,上記台座部と上記ワイヤ保持部とを当接させた状態で,別途準備した締結部材を係止可能に設けられていることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項8】 請求項1において,上記磁石構造体は,上記ワイヤ保持部に配設されていると共に,その側周面には非磁性体よりなる非磁性ガイドリング部を有してなり,該非磁性ガイドリング部と上記吸着面とによって凹部を形成するよう構成されており,一方,上記台座部は,上記凹部と嵌め合い可能な凸部を有していることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項9】 請求項8において,上記台座部の上記凸部の側周面と上記非磁性ガイドリング部の内側側周面の少なくとも一部には互いに対面可能なテーパ部を有することを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項において,上記磁石構造体は,底部と側壁部とにより磁石挿入部を形成してなるヨークと,該ヨークの上記磁石挿入部に挿入された上記永久磁石と,該永久磁石に被せられ上記吸着面の少なくとも一部を構成する軟磁性シールド板と,該軟磁性シールド板と上記ヨークとの間に介設された非磁性体よりなる非磁性シールリング部とよりなることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項において,上記台座部の上記歯への接着面は,略円弧状を呈していると共に面粗し処理を施してあることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメント。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【技術分野】本発明は,歯科用の歯列矯正用の矯正ワイヤを歯に固定するための矯正ワイヤ用アタッチメントに関する。 【0002】 【従来技術】歯科治療の分野においては,歯並びの悪い場合にこれを矯正する歯列矯正治療が広く行われている。具体的な治療方法としては,矯正ワイヤ(アーチワイヤともいう)を用いた方法が一般的である。この方法では,ブラケットを各歯の表面に接着剤等で接着固定し,このブラケットに1本の矯正ワイヤ(アーチワイヤともいう)を固定する。そして,矯正ワイヤとしては,所望の歯列形状に沿ったアーチ形状を有する金属ワイヤを用いる。これにより,矯正ワイヤの弾性力によって上記ブラケットを接合した歯に押圧,引き戻し,ねじり等の力を加え,歯列を正しい位置及び向きに変位させて矯正を行うことができる。 【0003】従来のブラケット9は,例えば図10に示すごとく,中央に設けた矯正ワイヤ挿入用の正面溝91と,周囲に設けた固定用ワイヤ挿入用の側面溝92を有する。そして,正面溝91を設けた面と反対側の接着面を歯の表面に接着する。そして,矯正ワイヤ8が口腔内で体温と同じ温度になる前にこれを正面溝91に収める。 【0004】この状態では,まだ矯正ワイヤ8を手で変形させて溝におくだけなので固定されていない。そのため,各歯一本づつ,矯正ワイヤ8を正面溝91に挿入し,矯正ワイヤ8を押さえつけるように固定用ワイヤ95を上記側面溝92に巻回して巻き締めする。この作業を,歯列を構成するすべての歯に対して行う。また,上記固定用ワイヤの代わりにゴムを用いることもある。 【0005】 【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の矯正ワイヤ固定用のブラケットには,次のような問題がある。すなわち,従来のブラケット9を利用して矯正ワイヤ8を固定する場合には,口腔内という小さいスペースにおいて,各ブラケット9に対して上記固定用ワイヤ95を巻回する作業を行う必要がある。そのため,操作がしづらく手間もかかる。また,患者には,大きな負担がかかる。特に,固定用ワイヤによる巻き締めやゴムでの弾性結合時に更に負担がかかる。 【0006】また,この従来のブラケット9を用いて矯正ワイヤ8を固定した場合には,矯正ワイヤ8が長手方向にスライドすることが不可能である。このため,矯正ワイヤ8の矯正力によって歯列が変化してきた際に,矯正ワイヤ8の固定位置が最適な位置でなくなる場合がある。そのため,矯正の進行に応じて,矯正ワイヤ8の固定のやり直しを行うことも必要があった。 【0007】また,一旦矯正ワイヤ8を装着した後,上記の理由の他に,通常,矯正治療では治療の進行具合に応じて弾性力の異なるワイヤーに付け替え,治療が終了するまでに数回程度ワイヤーを交換しなければならず,そうした理由で矯正ワイヤ8を取り外さなければならない際には,上記ブラケット9に巻回した固定用ワイヤ95をすべて取り除かなければならない。そのため,矯正ワイヤ8を取り外す際にも長時間を要す。これらの長時間の作業は,術者,患者双方への大きな負担になっている。 【0008】また,例えば特開平8−150155号公報に示されているように,凹凸の少ないブラケットとロックピンを用い,外観形状を改善すると共に機械的に上記矯正ワイヤの固定方法を簡易化した技術がある。この方法では,ロックピンの取付,取り外しが容易ではなく,更なる改善が望まれていた。 【0009】本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,矯正ワイヤを容易に着脱することができ,かつ矯正ワイヤをスライド可能に保持して矯正力を向上させた矯正ワイヤ用アタッチメントを提供しようとするものである。 【0010】 【課題の解決手段】請求項1の発明は,歯列矯正用の矯正ワイヤを歯に固定するための矯正ワイヤ用アタッチメントであって,歯列を構成する各歯の表面に接着される台座部と,上記矯正ワイヤを保持するワイヤ保持部とよりなり,上記台座部と上記ワイヤ保持部の少なくとも一方には,磁気吸引力を生じさせる永久磁石を内蔵した磁石構造体が配設されており,上記台座部と上記ワイヤ保持部とは,両者の吸着面を当接させて上記磁気吸引力により着脱可能に接合するよう構成されており,上記ワイヤ保持部は,上記矯正ワイヤをスライド可能に保持する挿通穴部を有していることを特徴とする矯正ワイヤ用アタッチメントにある。 【0011】本発明の矯正ワイヤ用アタッチメントは,上記台座部と上記ワイヤ保持部という2つの部材を組み合わせて構成されている。また,両者は,少なくとも一方に配設された上記磁石構造体が発揮する磁気吸引力により着脱可能に接合できるよう構成されている。また,上記矯正ワイヤは,上記台座部から分離可能な上記ワイヤ保持部に保持するようになっている。そのため,この矯正ワイヤ用アタッチメントを用いれば,矯正ワイヤの着脱を非常に容易に行うことができる。 【0012】すなわち,上記台座部を矯正すべき歯列の各歯の表面に接着し,これらの台座部に対して上記矯正ワイヤを保持させたワイヤ保持部を当接させるだけで,上記磁気吸引力により両者が接合され,矯正ワイヤの装着ができる。また,矯正ワイヤを取り外す必要がある場合には,上記磁気吸引力に抗して台座部から上記ワイヤ保持部を剥がすだけで容易に矯正ワイヤの取り外しを行うことができる。 【0013】また,矯正ワイヤのワイヤ保持部への組付けは,上記挿通穴部へ矯正ワイヤを通すことにより行う。そのため,この作業は,矯正ワイヤ装着者の口内でなく,外部で行うことができる。それ故,矯正ワイヤ装着者の負担を従来よりも大幅に低減することができる。そして,矯正ワイヤを保持したワイヤ保持部を上記台座部に当接させるだけで上記のごとく矯正ワイヤをセットすることができる。 【0014】また,上記挿通穴部は,上記矯正ワイヤをスライド可能な状態で保持するよう構成されている。そのため,矯正ワイヤを装着する際の作業が容易であるだけでなく,矯正ワイヤによる矯正効果を高めることができる。即ち,矯正ワイヤによる矯正が進んで歯列が移動してくると,自ずと矯正ワイヤの固定位置の最適位置が変化してくる。この場合においても,本発明では,上記矯正ワイヤが自由にスライドすることによって自動的に最適な状態に移ることができる。それ故,矯正が進んできても常に適切な矯正力を歯に付与することができ,更に矯正効果を高めることができる。 【0015】このように,本発明によれば,矯正ワイヤを容易に着脱することができ,かつ矯正ワイヤをスライド可能に保持して矯正力を向上させた矯正ワイヤ用アタッチメントを提供することができる。 【0016】次に,請求項2の発明のように,上記ワイヤ保持部における上記挿通穴部は,上記ワイヤ保持部に配設されたパイプにより構成されていることが好ましい。この場合には,上記パイプの中空部を上記挿通穴部に利用することができ,非常に簡単な構造にすることができる。 【0017】また,請求項3の発明のように,上記ワイヤ保持部における上記挿通穴部は,矩形断面を有することもできる。この場合には,上記矯正ワイヤを矩形あるいは多角形断面とすることにより,矯正ワイヤのねじれを上記挿通穴部により防止することができ,歯列の矯正効果を高めることができる。なお,上記挿通穴部の形状を円形とすることも勿論できる。 【0018】また,請求項4の発明のように,上記台座部又は上記ワイヤ保持部の一方は,上記吸着面を囲うように配設された非磁性体よりなる非磁性ガイドリング部を有し,該非磁性ガイドリング部と上記吸着面とによって凹部を形成するよう構成されており,他方は上記凹部に嵌め合い可能な形状を呈していることが好ましい。この場合における上記凹部に嵌め合い可能な形状としては,全体が上記凹部の内径より小さく凹部に収納される形状,あるいは,上記凹部に嵌め合い可能な凸部を有する形状などがある。この場合には,上記凹部との嵌め合いによって,台座部とワイヤ保持部との接合位置が常に略同一となると共に両者の横ズレを防止することができる。それ故,安定的な矯正ワイヤ装着状態を得ることができる。さらに,上記非磁性ガイドリング部が非磁性体よりなるので,非磁性ガイドリング部が他の部分に吸着することがないので,上記両者の嵌め合い作業を非常に容易に行うことができる。 【0019】また,請求項5の発明のように,上記台座部と上記ワイヤ保持部との接合状態において両者の回転ズレを防止する回転防止機構が設けられていることが好ましい。この場合には,矯正ワイヤの配置角度を固定することができ,それぞれの歯列矯正に最適な矯正ワイヤの配置を容易に行うことができる。 【0020】また,請求項6の発明のように,上記回転防止機構は,上記台座部又は上記ワイヤ保持部の一方に設けた突部と,他方に設けた上記突部と係合可能な窪み部とにより構成することができる。この場合には,上記回転防止機構の構造を簡単にすることができる。 【0021】また請求項7の発明のように,上記回転防止機構は,上記台座部に設けられた少なくとも2つのフック部と,上記ワイヤ保持部に設けられた上記フック部の一部と係合可能な窪み部とよりなり,かつ,上記フック部は,上記台座部と上記ワイヤ保持部とを当接させた状態で,別途準備した締結部材を係止可能に設けられている構造を取ることもできる。 【0022】この場合には,上記台座部とワイヤ保持部とを当接させた状態において,上記フック部と窪み部との係合が両者の回転防止を図ると共に,上記フック部を用いることにより,別途準備した締結部材によって上記台座部とワイヤ保持部とをいわゆる縛り付けすることができる。 【0023】すなわち,例えばワイヤーあるいは紐状の繊維などの締結部材を準備し,これを上記ワイヤ保持部の周囲を回して両端をそれぞれ上記フック部に係止する。これにより,ワイヤ保持部は,上記締結部材によって台座部に縛り付けられた状態となり,磁気吸引力以上の接合力を容易に得ることができる。これは,例えば本発明の矯正ワイヤ用アタッチメントを犬歯,あるいは叢生がきびしい歯などの大きい矯正力が要求される歯に適用する場合に特に有効である。 【0024】また,請求項8の発明のように,上記磁石構造体は,上記ワイヤ保持部に配設されていると共に,その側周面には非磁性体よりなる非磁性ガイドリング部を有してなり,該非磁性ガイドリング部と上記吸着面とによって凹部を形成するよう構成されており,一方,上記台座部は,上記凹部と嵌め合い可能な凸部を有していることが好ましい。この場合には,磁石構造体をワイヤ保持部に配設するので,台座部の構造を非常にシンプルにすることができる。また,上記凹部と凸部の嵌め合いによって,上記台座部とワイヤ保持部との接合位置が常に略同一となると共に両者の横ズレを防止することができる。それ故,安定的な矯正ワイヤ装着状態を得ることができる。さらに,上記非磁性ガイドリング部が非磁性体よりなるので,非磁性ガイドリング部が他の部分に吸着することがないので,上記両者の嵌め合い作業を非常に容易に行うことができる。 【0025】また,請求項9の発明のように,上記台座部の上記凸部の側周面と上記非磁性ガイドリング部の内側側周面の少なくとも一部には互いに対面可能なテーパ部を有することが好ましい。これにより,上記台座部と上記ワイヤ保持部との着脱性をさらに向上させることができる。 【0026】また,請求項10の発明のように,上記磁石構造体は,底部と側壁部とにより磁石挿入部を形成してなるヨークと,該ヨークの上記磁石挿入部に挿入された上記永久磁石と,該永久磁石に被せられ上記吸着面の少なくとも一部を構成する軟磁性シールド板と,該軟磁性シールド板と上記ヨークとの間に介設された非磁性体よりなる非磁性シールリング部とよりなる構造とすることができる。この場合には,上記非磁性シールリング部の周囲に磁気の閉回路を容易に形成することができ,磁気吸引力を高めることができる。 【0027】また,請求項11の発明のように,上記台座部の上記歯への接着面は,略円弧状を呈していると共に面粗し処理を施してあることが好ましい。この場合には,台座部と歯面との接着力を高めることができる。なお,面粗しする方法には,サンドブラストと,エッチング,ディンプル加工,メッシュ加工等がある。 【0028】 【発明の実施の形態】実施形態例1本発明の実施形態例にかかる矯正ワイヤ用アタッチメントにつき,図1,図2を用いて説明する。本例の矯正ワイヤ用アタッチメント1は,図2(b)に示すごとく,歯列矯正用の矯正ワイヤ8を歯7に固定するための矯正ワイヤ用アタッチメントである。 【0029】この矯正ワイヤ用アタッチメント1は,図1に示すごとく,歯列を構成する各歯7(図2)の表面に接着される台座部2と,矯正ワイヤ8を保持するワイヤ保持部3とよりなる。ワイヤ保持部3には,磁気吸引力を生じさせる永久磁石40を内蔵した磁石構造体4が配設されている。そして,台座部2とワイヤ保持部3とは,両者の吸着面20,30を当接させて磁気吸引力により着脱可能に接合するよう構成されている。また,ワイヤ保持部3は,矯正ワイヤ8を挿通して保持する挿通穴部35を有している。 【0030】以下,これを詳説する。本例では,上記のごとく,磁石構造体4をワイヤ保持部3に設け,一方,台座部2は軟磁性材料より作製し,両者が磁気吸引力により接合できるように構成した。上記ワイヤ保持部3に配設した磁石構造体4は,底部411と側壁部412とにより磁石挿入部410を形成してなるヨーク41を有する。ヨーク41の磁石挿入部410には永久磁石40を挿入してある。永久磁石40には,吸着面49の一部を構成する軟磁性シールド板42が被せられ,軟磁性シールド板42とヨーク41との間には非磁性体よりなる非磁性シールリング部43が介設されている。 【0031】また,上記磁石構造体4の側周面には非磁性体よりなる非磁性ガイドリング部5が配設されている。そして,非磁性ガイドリング部5と吸着面49とによって凹部36を形成するよう構成されている。また,ワイヤ保持部3は,吸着面49と反対側の正面38に断面が矩形のパイプ30を有している。このパイプ30が上記挿通穴部35を形成している。 【0032】上記台座部2は,凹部36と嵌め合い可能な凸部26を有している。そして,台座部2の凸部26の側周面と,ワイヤ保持部3における非磁性ガイドリング部5の内側側周面には互いに対面可能なテーパ部376,56を設けた。また,台座部2の歯7への接着面27は,略円弧状を呈していると共に面粗し処理を施した。 【0033】このような構成の矯正ワイヤ用アタッチメント1を用いて,矯正ワイヤ8を取り付けるに当たっては,まず図2(a)に示すごとく,矯正すべき歯列を構成するすべての歯7に,接着剤によって台座部2を接着する。一方,ワイヤ保持部3の挿通穴部35には,矯正ワイヤ8を通す。この作業は,矯正ワイヤ装着者の口内ではなく外部で行う。ワイヤ保持部3は,矯正すべき歯列の歯の数と同じ個数を用いる。なお,本例では矯正ワイヤ8として矯正すべき歯列の理想形状を有する略U字状の形状を有する形状記憶合金よりなるワイヤを用いた。 【0034】台座部2を接合した歯列の各歯7のうち,臼歯についてはワイヤ保持部3を予め磁気吸引力により接合しておく。そして,残りのワイヤ保持部3の挿痛穴部35に矯正ワイヤ8を通した後,臼歯に接合したワイヤ保持部3に上記矯正ワイヤ8の両端部を通す。なお,臼歯については,通常行われているように,単に矯正ワイヤを通すだけのパイプ部をもつ台座を利用してもよい。 【0035】そして,図2(b)に示すごとく,歯列の各歯7に接合された残りの台座部2に対して,ワイヤ保持部3を当接させ,磁気吸引力により両者を接合する。これにより,矯正ワイヤ8の取付が完了する。 【0036】このように,本例の矯正ワイヤ用アタッチメント1は,台座部2とワイヤ保持部3という2つの部材を組み合わせて構成され,両者が磁気吸引力により着脱可能に接合できるよう構成されている。そのため,この矯正ワイヤ用アタッチメント1を用いれば,矯正ワイヤ8の着脱を非常に容易に行うことができる。 【0037】すなわち,上記のごとく,矯正ワイヤ8をセットする際には,台座部2を矯正すべき歯列の各歯7の表面に接着し,これらの台座部2に対して矯正ワイヤ8を保持させたワイヤ保持部3を当接させるだけでよい。また,矯正ワイヤ8を取り外す必要がある場合には,磁気吸引力に抗して台座部2からワイヤ保持部3を剥がすだけで容易に矯正ワイヤの取り外しを行うことができる。そして,矯正ワイヤ8のワイヤ保持部3への組付けは,上記のごとく矯正ワイヤ装着者の口内でなく,外部で行うことができるので,矯正ワイヤ装着者の負担を従来よりも大幅に低減することができる。 【0038】また,本例のワイヤ保持部3における挿通穴部35は,上記矯正ワイヤ8の外径よりも大きい内径を有するパイプ30により構成し,矯正ワイヤ8をスライド可能な状態で保持するようしてある。そのため,矯正ワイヤ8を装着する際の作業が容易であるだけでなく,矯正ワイヤ8による矯正効果を高めることができる。 【0039】即ち,図3に矯正すべき対象の歯列の一部を示すと,通常は,同図における符号8(a)の位置に矯正ワイヤ8が位置し,歯列の乱れに応じて凹凸状に曲がっている。この状態から,矯正ワイヤ8による矯正が進んで歯列が移動しくると,矯正ワイヤ8も徐々に,符号8(b)の位置に移動し,凹凸が小さくなる。これにより,隣接する矯正ワイヤ用アタッチメント1の距離が変化するので,その間に存在すべき矯正ワイヤ8の長さも変化する。 【0040】ここで,本例では,上記のごとく矯正ワイヤ8がワイヤ保持部3にスライド可能に保持されている。そのため,矯正ワイヤ8が自由にスライドすることによって自動的に最適な状態に移ることができる。いわば,矯正ワイヤ8が最適な状態に自己調整することができる。それ故,矯正が進んできても常に適切な矯正力を歯7に付与することができ,効果的な矯正を行うことができる。そしてこれにより,従来のような矯正のやり直しを少なくすることもできる。 【0041】実施形態例2本例は,図4に示すごとく,実施形態例1と異なる構造の台座部2およびワイヤ保持部3を採用した例である。本例の台座部2は,図4に示すごとく,軟磁性体よりなる底部22とこれを囲う非磁性体よりなる非磁性ガイドリング部5とより構成した。そして,台座部2の歯7への接着面27は,略円弧状とすると共に面粗し処理を施した。 【0042】ワイヤ保持部3は,磁石ケース48に永久磁石40を収納した磁石構造体4に円形の挿通穴部35を有する丸いパイプ30を配設して構成した。そして,台座部2は,吸着面29を囲うように配設された上記非磁性ガイドリング部5によって凹部28を形成するよう構成されており,ワイヤ保持部3は上記凹部28に嵌め合い可能な形状を有している。 【0043】本例の場合には,矯正ワイヤとして,断面円形のワイヤを用いる。なお,矩形断面のワイヤを用いる場合には,上記パイプ30を角パイプに変更して挿通穴部35を矩形にすることができる。本例の場合にも,実施形態例1と同様に,矯正ワイヤを容易に着脱することができる。 【0044】実施形態例3本例は,図5に示すごとく,磁石構造体4を台座部2とワイヤ保持部3の両方に配設した例である。すなわち,本例の台座部2は,図5に示すごとく,磁石ケース48に永久磁石40を収納した磁石構造体4と,これを側面から覆う非磁性体よりなる非磁性ガイドリング部5によって構成した。また,ワイヤ保持部3は,磁石ケース48に永久磁石40を収納した磁石構造体4に矩形の挿通穴部35を有する角パイプ30を配設して構成した。なおこの角パイプを丸パイプに変えることも当然可能である。そして,台座部2は,吸着面20を囲うように配設された非磁性ガイドリング部5によって凹部28を形成するよう構成されており,ワイヤ保持部3は上記凹部28に嵌め合い可能な形状を有している。 【0045】本例の場合には,2つの磁石構造体4を用いるので,磁気吸引力が容易に得られ,1つの磁石構造体を用いる場合よりも磁石構造体自体を小型化することができる。それ故,台座部2とワイヤ保持部3の両者を小型化することができる。その他は,実施形態例1,2と同様の作用効果が得られる。 【0046】実施形態例4本例は,実施形態例3における矯正ワイヤ用アタッチメントに対して,回転防止機構6を設けた例である。即ち,図6に示すごとく,台座部2の非磁性ガイドリング部5には窪み部62を設けた。一方ワイヤ保持部3においては,パイプ30を磁石構造体4の外径よりも突出させてその両端部を突部61とした。そして突部61と窪み部62を係合させることにより回転を防止する機構とした。その他は実施形態例5と同様である。 【0047】この場合には,矯正ワイヤ8の配置角度を固定することができる。そのため,例えば矯正ワイヤ8の配置角度によって矯正すべき歯の傾きを修正するなどの高度な矯正作用をも得ることができる。その他は実施形態例1〜3と同様の作用効果が得られる。 【0048】実施形態例5本例は,実施形態例1における矯正ワイヤ用アタッチメント1に,台座部2とワイヤ保持部3との接合状態において両者の回転ズレを防止する回転防止機構6を設けた例である。具体的には,図7に示すごとく,台座部2に設けた突部61とワイヤ保持部3の非磁性ガイドリング部5に設けた窪み部62とにより上記回転防止機構6を構成した。この場合には,矯正ワイヤ8の配置角度を固定することができ,それぞれの歯列矯正に最適な矯正ワイヤの配置を容易に行うことができる。 【0049】実施形態例6本例では,上記実施形態例4及び実施形態例5において示した回転防止機構6を有する矯正ワイヤ用アタッチメント1を用いて矯正ワイヤ8をセットした一例を示す。図8に示すごとく,歯列のうち,その列方向において傾きがある歯75を矯正する場合に,上記回転防止機構6が非常に有効である。 【0050】即ち,同図に示すごとく,傾いた歯75に対しては,その傾きを修正する方向に,矯正ワイヤ8の回復力が働くように,斜めに矯正ワイヤ用アタッチメント1を配置する。そして,矯正ワイヤ8を湾曲させる。これにより,傾いた歯75には,その傾きが小さくなる方向に矯正力が付与される。そしてこのときにも,矯正ワイヤ8とパイプ30とのスライドによって,常に最適な矯正力が得られる。このように,回転防止機構6を有する矯正ワイヤ用アタッチメント1を用いれば,このような特殊な矯正作用をも得ることができる。 【0051】実施形態例7本例では,図10(a)(b)(c)に示すごとく,実施形態例5に示した回転防止機構6の構造を変更し,突部61をフック部66に変更し,これを収納しうる幅の窪み部67を非磁性ガイドリング部5に設けて回転防止機構6を構成した。 【0052】この場合には,上記フック部67に締結部材としての固定用ワイヤー69を係止すると共にワイヤ保持部3の周囲を回し,締め付ける。これにより,ワイヤ保持部3は,上記締結部材69によって台座部2に縛り付けられた状態となり,磁気吸引力以上の接合力を容易に得ることができる。これは,矯正ワイヤ用アタッチメント1を,犬歯あるいは叢生がきつい歯などに適用する場合に特に有効である。その他は実施形態例1,5と同様の作用効果が得られる。 【0053】 【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,矯正ワイヤを容易に着脱することができ,かつ矯正ワイヤをスライド可能に保持して矯正力を向上させた矯正ワイヤ用アタッチメントを提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000116655 【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社 【識別番号】000175744 【氏名又は名称】デンツプライ三金株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月30日(2001.5.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079142 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 祥泰 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−345846(P2002−345846A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月3日(2002.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−162663(P2001−162663) |
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