トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 ポリエチレン義歯材料
【発明者】 【氏名】前田 隆司

【要約】 【課題】有床義歯、局部床義歯及び全部床義歯、並びにナイトガード、バイトプレーン、マウスピース等の顎・口腔保護装置、及び歯科床矯正装置等において、従来使用の硬質義歯床材から、弾性・可塑性を備えた軟質義歯床材料で、更には衛生的、快適性、安全性、耐久性、審美性を備えた軟質義歯床材の提供。

【解決手段】加工温度が70〜250℃である、弾性・可塑性を特質とする熱可塑性の軟質樹脂〔高圧法(低密度)ポリエチレン〕もしくは、イソタクチックポリプロピレンを加熱軟化し射出成形、圧縮成形、トランスファー成形等により成形させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】義歯床材料の加工温度が70〜250℃である、弾性、可塑性を特質とする熱可塑性の軟質樹脂(高圧法〔低密度〕ポリエチレン)(エチレンCH2=CH2)で、もしくは、イソタクチックポリプロピレンより形成された、有床義歯(局部床義歯、及び全部床義歯)、あるいはナイトガード、バイトプレーン、マウスピース等の顎・口腔保護装置、及び歯科床矯正装置で、軟質樹脂床部を有することを特質とする軟質樹脂の歯牙用装置である。
【請求項2】熱可塑性軟質樹脂義歯床部とこれに植設された人工歯とを有する有床義歯(局部床義歯(図1)、全部床義歯(図2)、)口腔保護装置(図3)、歯科床矯正装置(図4)、であり、また、症例により強度を必要とするものについては、従来使用の金属による補強も用いることができる歯牙用装置で、熱可塑性軟質樹脂により形成された請求項1記載の軟質樹脂の歯牙用装置である。
【請求項3】歯牙用装置が、歯牙もしくは歯肉のアンダーカット部又は、アンダーゾーン部に係合して、これらに係止される係合部を有する(図5)請求1、又は請求項2記載の軟質樹脂の歯牙用装置である。
【請求項4】熱可塑性軟質樹脂を加熱軟化し射出成形、圧縮成形、トランスファー形成等により成形させることを特質とする軟質樹脂歯牙用装置を得る請求項1記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明に属する技術分野】本考案は、歯科医療分野における、有床義歯(局部床義歯、及び全部床義歯)、あるいはナイトガード、バイトプレーン、マウスピース等の顎・口腔保護装置等、及び歯科床矯正装置の弾性、可塑性を備えた義歯用床材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有床義歯床材料としては、アクリルレジン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホンが使用されている。しかし、これらの樹脂は硬質義歯床材料である。
【0003】硬質義歯床材料ため、義歯に金属性のクラスプ(金属バネ)(図6)を使用して、義歯の着脱に抵抗させ維持、把持力が必要となり複雑な構造で製作時に煩雑となる。
【0004】そのため、審美性を損い、更には、クラスプにより唾液、食渣等の流れを阻害(図7)し、金属アレルギー等の生体親和性を損なう。
【0005】更には、硬質義歯床材のため、口腔内において義歯粘膜面の顎粘膜部を刺激し、粘膜、歯槽骨の吸収が起こり、疼痛等の症状を生じ、義歯が不適合となり不満を持ち、快適な食生活に支障きたす結果となる。
【0006】このため、義歯粘膜面にクッション材(図8)としてシリコン、もしくは、ビニール系等が硬質樹脂義歯床粘膜面に裏装として行われるが、口腔内において変質、変色、劣化、多穴質材のため細菌の繁殖しやすい、操作が煩雑等の欠点がある。
【0007】また、アクリルレジン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等は、環境ホルモン等の溶出問題で現在では、食器等には、使用されてはいない。
【0008】従来使用されている、アクリルレジン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホンでは、衛生的、快適性、安定性、耐久性、審美性、全て満足できる義歯床材料ではない。
【0009】従来の硬質材料で、しかも弾性、可塑性を備えていない材料の使用では、部分入れ歯にあっては、義歯着脱方向が残存歯と義歯床との間に空隙を形成してしまう。つまり、その横方向の広がりは、隣接する残存歯の最隆起部であるサベイラインを超えて残存歯側に進出し得ず、残存歯のサベイラインによってその幅が局限されるので、サベイラインより下限の歯肉に向かって細くなる残存歯のアンダーカット部と義歯床との間に間隙が形成され、これがクラスプと共に大きなアンダーポケットとなり、食渣の停滞スペースとなるものである。この間隙は、死腔と呼ばれ、残存歯に隣接して頬舌面のサベイラインより下側に存在するもので、プラークを容易に付着させ、残存歯の歯周組織を破壊する原因となり歯牙もしくは、歯肉のアンダーカット部(図9)、又は、アンダーゾーン部に係合、密着し、死腔が生じ食事中に食渣の停滞する部位ができるので、快適に食事を楽しむことができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】有床義歯、局部床義歯及び全部床義歯、並びにナイトガード、バイトプレーン、マウスピース等の顎・口腔保護装置、及び歯科床矯正装置等において、従来使用の硬質義歯床材から、弾性、可塑性を備えた軟質義歯床材料で、更には衛生的、快適性、安定性、耐久性、審美性を備えた軟質義歯床材を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本考案は、上記事情を改善するためになされたもので、熱可塑性軟質樹脂(高圧法〔低密度〕ポリエチレン)(エチレンCH2=CH2)を使用することで、衛生的、快適性、安定性、耐久性、審美性を備えた有床義歯(局部床義歯、及び全部床義歯)、あるいはナイトガード、バイトプレーン、マウスピース等の顎・口腔保護装置の歯牙用装置、及び歯科床矯正装置に使用する歯科用軟質樹脂材料である。
【0012】
【発明の実施の形態】本考案は、上記目的を達成のため鋭意検討を行った結果、軟質樹脂を使用することで、衛生的、快適性、安定性、耐久性に優れた有床義歯、及び歯牙用装置の製作工程の簡略化にも成功したものである。
【0013】主要樹脂は、、高圧法(低密度)ポリエチレン組成物、低圧度(高密法)ポリエチレン組成物のものとしては(旭化成、出光、三井、日本ポリケム等)市販品を用いることができる。
【0014】ここで、軟質樹脂としては、食器容器等の製作に従来から使用されている材料、例えばJIS規格の(高圧法〔低密度〕ポリエチレン)を使用し、更には必要により、可塑材、充填材、その他、歯肉色に着色するための顔料、染料等を配合したものである。
【0015】
【発明の実施例】このような有床義歯、及び歯牙用装置を製造する場合は、蝋義歯を義歯用フラスコ内に石膏埋没、石膏硬化後、蝋を流蝋、分離材の塗布後、脱蝋された空間部に、ハイ・デンタル・サービス(株)製、スルホンファーネス(図10)の設定温度を200℃にして、10分で樹脂を軟化した。その後、あらかじめ60〜80℃にオーブン内で予備加熱された義歯用フラスコに、スルホンジェット2000型(図11)で熱架塑性樹脂、高圧法(低密度)ポリエチレンを射出成形により、鋭意検討を行った結果、有床義歯、及び歯牙用装置を得た。なお、樹脂を軟化用装置、射出成形用装置としては他社の物も用いることができる。
【0016】また、上記加熱軟化填入条件も、高圧法(低密度)ポリエチレン組成物が軟化する温度に加熱すればよく、特に制限されるものではないが、通常250℃以下、(好ましくは70〜250℃)特に120〜200℃の範囲である。尚、填入後の冷却時間も限定されるのではないが通常30〜120分、特に30〜90分であることが好ましい。
【0017】
【考案の効果】本考案は、高圧法(低密度)ポリエチレン組成物を使用し、軟質樹脂有床義歯、及び軟質樹脂歯牙用装置を歯科用射出器(図11、12)で簡略化して得ることができる。
【0018】また、有床義歯において、顎・口腔粘膜と、人工歯の中間硬度で、しかも弾性、可塑性を備えた軟質材料の性質により、顎・口腔粘膜に咬合等による負担を与えた場合、弾力を備えた顎・口腔粘膜と、硬質な人工歯との中間に義歯床部として軟質樹脂(高圧法〔低密度〕ポリエチレン)が位置するので、顎・口腔粘膜に与えられる刺激が緩圧され粘膜沈下、及び歯槽骨吸収、更には、骨隆起、フラビーガム(軟質粘膜部)等の疼痛部位等の負担を軽減できる。
【0019】更には、軟質樹脂が、衛生的、快適性、安定性、耐久性に優れた特質を備えた材質なので、口腔内での苛酷な環境と使用条件で、長期使用に耐用できるという従来義歯を克服し得るものである。
【0020】また、軟質樹脂(高圧法〔低密度〕ポリエチレン)は、環境ホルモン等の溶剤の溶出が生じるという不都合はないものである。
【0021】軟質樹脂歯牙用装置として、高圧法(低密度)ポリエチレン組成物、硬質樹脂としては、低圧度(高密法)ポリエチレン組成物の選択ができる。また、両中間素材も症例の必要条件等により選択使用製作することができる。
【0022】なお、高圧法(低密度)ポリエチレンの可塑性、弾性力の特質を備えいるので、歯牙もしくは、歯肉のアンダーカット部、又は、アンダーゾーン部に係合、密着し、義歯の着脱に抵抗する係止される係合部を設けることができ死腔を減少させることができる。
【0023】本考案の歯牙用装置は、有床義歯(局部床義歯、及び全部床義歯)、あるいはナイトガード、バイトプレーン、マウスピース等の顎・口腔保護装置、及び歯科床矯正装置として構成することができる。
【0023】上記、記載の歯牙用装置を高圧法(低密度)ポリエチレンの可塑性、弾性力の特質により、従来のような金属性クラスプ(バネ)の使用しなくてもできる。
【0024】従って、金属性クラスプを使用しない場合には、金属を使用することがないため、資源を減少することができ、製造費が非常に安価である。
【0025】更には、審美性も損なう【図1A】ことがなく、クラスプにより唾液、食渣等の流れを阻害することがなくなると共に、金属アレルギー等生体親和性を損なう恐れもない。
【0026】更には、従来の部分入れ歯にあっては、義歯着脱方向が残存歯と義歯床との間に死腔ができるが、高圧法(低密度)ポリエチレンの可塑性、弾性力の特質を備えいる材質なので、歯牙もしくは、歯肉のアンダーカット部、又は、アンダーゾーン部に係合、密着し、死腔が出来ることが減少し食事中に食渣の停滞がないので、快適に食生活を楽しむことができる。
【出願人】 【識別番号】599121229
【氏名又は名称】前田 隆司
【出願日】 平成13年2月5日(2001.2.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−224144(P2002−224144A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−69437(P2001−69437)