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【発明の名称】 電気炊飯器
【発明者】 【氏名】大矢 弘

【氏名】小山 政博

【要約】 【課題】炊飯及び保温での食味を大幅に向上させた炊飯器の提供を目的とする。

【解決手段】炊飯プロセスでは、底加熱手段13及び第1の側面加熱手段14を主として加熱を行い、保温プロセスでは底加熱手段13及び第2の側面加熱手段15を主として加熱を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボディに着脱自在に収納される鍋と、前記鍋の底部または底側部を加熱する底加熱手段と鍋側部を加熱する第1の側面加熱手段と、前記鍋側面上部を加熱する第2の側面加熱手段を備え、前記加熱手段を制御し炊飯せしめる炊飯プロセス及び保温プロセスを有し、炊飯プロセスでは主に、底加熱手段及び第1の側面加熱手段を主として加熱を行い、保温プロセスでは底加熱手段及び第2の側面加熱手段を主として加熱を行う電気炊飯器。
【請求項2】 底加熱手段及び第1、第2の側面加熱手段の少なくともひとつは誘導加熱を行うための誘導コイルにより構成した請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】 第2の側面加熱手段は、鍋フランジ近傍に設けた請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項4】 炊飯プロセス及び保温プロセスにおいて、プロセスが進むにつれ主加熱が底加熱手段から順じ第2の側面加熱手段に変化し調理物を加熱する請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項5】 第1の側面加熱手段と第2の側面加熱手段は互いに独立して構成された請求項1記載の電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、家庭用及び業務用に使用される炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電磁誘導加熱を利用した電気炊飯器が提案されている。図3において、1は上面が開口する円筒上のボディで、このボディ1内部には鍋3の収納部であるコイルベース2が配設され、かつこのコイルベース2は非金属材料により有底円筒状に成形されている。コイルベース2の外側には加熱手段である誘導コイル4が鍋3の底面ならびに底側面部に対向して配設されている。鍋側面部には側面ヒーター5が設けられ、さらにボディ1の上部に鍋3を閉止する蓋6がある。この蓋6には蓋ヒーター7が設けられている。前記電気炊飯器において、まず鍋に調理物である米及び水を所定量投入した後、誘導コイル4に通電し鍋3を加熱する。所定の通電パターンで通電することにより炊飯が行われる。炊飯終了後は保温工程に移行し、前記誘導コイル4及び側面ヒーター5、蓋ヒーター7を適便通電しご飯温度を均一に保持する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記炊飯器では主な加熱源が鍋底部及び底側部より加熱することにより、炊飯課程の中で米が鍋内の水を全て吸収しご飯となる。この後更に加熱をするとご飯は断熱層となり鍋固有の熱伝導のみで周囲に熱を伝える事になる。しかし、鍋固有の熱伝導だけでは周囲に均一に熱を伝える事には限界があり、このため加熱源と対向する鍋面のみが加熱され局部的に高温となって、焦げが発生し食味が損なわれやすくなるため、この工程以降は十分な加熱することが出来なかった。
【0004】一方、おいしいご飯を炊く条件として、98℃、20分鍋内を維持しご飯のα化を促進することと、ごはんの表面水を十分に飛ばして澱粉の老化を防ぐことが必要であるが、米は沸騰直後から鍋内の水を急速に吸収するため、従来の炊飯器では前述ような理由で十分な加熱ができなかった。
【0005】即ち従来の炊飯器では、十分な加熱を行い、前記98℃、20分を維持すること及び米の表面水を十分に飛ばすことができず食味が劣化していた。また老化しやすいご飯のため弁当等の冷めたご飯の食味も劣化していた。これを、防ぐため沸騰後十分な加熱をするとご飯に焦げが発生し食味が劣化していた。
【0006】さらに、保温初期の冷却工程時、ご飯に付着している表面水が蒸発し水蒸気となり外気へ放出する際、蒸気の一部は蓋に設けられた蒸気口並びにパッキンで凝縮し露となる。前期露がご飯表面に滴下し、滴下した部分のご飯が水を吸い白化し食味を著しく損なう。
【0007】本発明は以上の事情に鑑みて、沸騰後も十分な加熱によって食味を飛躍的に向上させるとともに焦げの発生を抑えた炊飯器を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、ボディに着脱自在に収納される鍋と、前記鍋の底部または底側部を加熱する底加熱手段と鍋側部を加熱する第1の側面加熱手段と、前記鍋側面上部を加熱する第2の側面加熱手段を備え、前記加熱手段を制御し炊飯せしめる炊飯プロセス及び保温プロセスを有し、炊飯プロセスでは主に、底加熱手段及び第1の側面加熱手段を主として加熱を行い、保温プロセスでは底加熱手段及び第2の側面加熱手段を主として加熱を行うものである。
【0009】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、ボディに着脱自在に収納される鍋と、前記鍋の底部または底側部を加熱する底加熱手段と鍋側部を加熱する第1の側面加熱手段と、前記鍋側面上部を加熱する第2の側面加熱手段を備え、前記加熱手段を制御し炊飯せしめる炊飯プロセス及び保温プロセスを有し、炊飯プロセスでは主に、底加熱手段及び第1の側面加熱手段を主として加熱を行い、保温プロセスでは底加熱手段及び第2の側面加熱手段を主として加熱を行うものである。
【0010】この上記手段によれば、底加熱手段により、調理物である米・水を主に沸騰まで加熱することにより鍋内の対流を促進し均一に温度上昇させる。沸騰した時、底加熱手段と対向した鍋表面部は鍋内の他の部分より多く加熱されるためこの鍋表面に当接した米はきわめて多くの熱を受けることになりでん粉粒が溶出し、前記第1の加熱手段に当接した鍋表面に付着鍋表面との付着面積が増大する。この時さらに底加熱手段で加熱を継続すると前記澱粉粒と鍋表面の付着面積が大きいため前記澱粉粒への熱流が大きくなり、澱粉流に色が付き焦げの発生となる。ここで、澱粉粒の付着のない第1の底面加熱手段を使用することによって、澱粉への集中加熱が低減されるため焦げの発生を気にすること無に加熱を継続することができる。この時、第1の側面加熱手段の位置を鍋沿面面積の中心付近に設置することにより鍋全体の加熱をよりおこないやすくなるため効果が増大する。前記のように加熱を継続することにより、調理物であるご飯内の温度が100℃より高いレベルで維持することができるため、十分なα化が可能となると共に、ご飯表面に存在する表面水(遊離水)も除去することができ、はり・甘味を向上させた炊飯器を提供することができる。さらに、炊き上がりの表面水が少ないため、保温プロセス移行後のご飯からの蒸気の発生を抑えることができるため、蒸気発生により生ずる滴下の量が減少するためご飯の白化も大幅に減少し保温時での食味も向上する。
【0011】請求項2記載の発明は、第1、第2の側面加熱手段の少なくともひとつは誘導加熱を行うための誘導コイルにより構成したものである。この上記手段によれば、誘導コイルより鍋を直接発熱させるため、加熱手段の場所が少なくなるとともに断熱空間も大幅に削減できるため大幅なコンパクト化が達成できる。
【0012】請求項3記載の発明は、第2の側面加熱手段を、鍋フランジ近傍に設けたものである。この手段によれば、第3の加熱手段を鍋フランジ近傍に設けることにより、フランジに当接している鍋パッキンの温度を高め、ご飯より発生する蒸気が前記鍋パッキンに滴露する量を大幅に削減させることができるため、ご飯の白化を著しく削減することが可能となる。特に前記鍋パッキンは、ボディと蓋の合わせ部に位置している構造のため外気と直接接している、このため、鍋パッキンは筐体内の周囲の温度より低くなりやすい。従って前記のように鍋パッキンに熱を供給し鍋パッキン温度を上げることは滴露の発生を大幅に削減するものとなる。
【0013】請求項4記載の発明は、炊飯プロセス及び保温プロセスにおいて、プロセスが進むにつれ主加熱が底加熱手段から順じ第2の側面加熱手段に変化し調理物を加熱するものである。
【0014】上記手段によれば、炊飯初期の沸騰までは、主として底加熱手段によりとすることにより、調理物内の温度が対流により下方から上方に伝わるため調理物内の温度が均一かつ効率的に上昇する。調理物が沸騰状態の時には調理物の状態は、米が水を吸収しご飯状態となるため熱移動の主体が熱伝導になる。この時には第1の側面加熱手段により主として加熱することにより加熱面積を拡大しご飯全体に均一に熱を行き渡らせることができる。また、炊飯が終了し保温工程に移った時には、外気に面して温度の低い鍋パッキン近傍を加熱することにより、滴露を押さえ効率よく加熱できる第2の側面加熱手段を用いることにより効率的且つ性能の高い炊飯器を提供できる。
【0015】請求項5記載の発明は、第1の側面加熱手段と第2の側面加熱手段は互いに独立して構成されることにより、前記載内容の具現化が図れ、炊飯・保温性能を両立した炊飯器を提供できる。
【0016】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の第1の実施例を図1〜図2により説明する。図において、10は上面が開口する略円筒状のボディでありまた11は非金属材料により有底円筒状に成形されたコイルベース、12は鍋で、ボディ10と着脱自在に配設されている。コイルベース11の鍋12の底部及び底側部に対向する部分には底加熱手段である、底コイル13が配設されている。また、前記コイルベースの鍋12の側部に対向する部分に、第1の側面加熱手段である第1の側面コイル14が配設されている。15は第2の側面加熱手段である第2の側面コイルが、第1の側面コイル上方に設けられていると共に、前記鍋12のフランジ部12A近傍に配設されている。16は加熱コイル13及び第1の側面コイル14、第2の側面コイル15に交番磁界を発生させるための電流を流す回路基板である。17は、炊き上げ検知手段である底センサーでコイルベースに設けられ、前記鍋12の鍋底中央部に当接し、鍋12の温度を検知する。17は合成樹脂性の外蓋でこの外蓋17には沸騰検知手段である蓋センサー19が設けられ調理物20から発生する蒸気温度を検知して沸騰を検知する。21は蓋コイルで前記第2の側面コイル15と直列に接続されている。22は蒸気口で炊飯により発生した蒸気を外気へ放出する。23は蓋18に設けられた鍋パッキンで、鍋フランジ12Aに当接し外気への蒸気漏れを防いでいる。
【0017】以下、上記構成おける動作を説明する。鍋12に、米水等の調理物19を投入し、炊飯器を動作させる回路基板16から底コイル13に電流を流すと底コイル13は交番磁界を発生し鍋12が加熱して調理物20の温度が上昇し炊飯が開始し図2に示す加熱プロセスにより炊飯される。加熱プロセス中、「前炊き工程」及び「加熱工程」を主に底コイル13にて炊飯し必要に応じ第1の側面コイル14を通電させることも可能である。「加熱工程」鍋12内の調理物20が沸騰すると、蓋センサー19が沸騰を検知し「沸騰工程」に移る。この時で予め定められたメニューにより、第1の側面コイル14または底コイル13により通電する。「沸騰工程」後半になると調理物20の水が米に吸収され無くなる状態となるため、鍋底温度が上昇し、この温度を底センサー19が炊き上げを検知し「追い炊き工程」・「蒸らし工程」と進む。 前記、炊き上げ検知以降は主として側面コイル14を通電して炊飯を終了する。 さらに、この時、炊き上がりの表面水が少ないため、保温プロセス移行後のご飯からの蒸気の発生を抑えることができるため、蒸気発生により生ずる滴下の量が減少するためご飯の白化も大幅に減少し保温時での食味も向上する。
【0018】また、炊飯プロセス終了後は、保温プロセスに移行し、主に蓋コイル21及び第2の側面コイル15を通電し、外気と接触している蒸気口22及び鍋パッキン23を加熱し、筐体内の温度を均一にし滴露の発生を防ぎご飯の白化を防止する。
【0019】前記、内容で明らかなように、炊き上げ検知以降、側面コイル14を通電することにより、焦げを抑え且つ調理物内の温度を98℃以上に維持し調理物20のご飯のアルファ化を促進するするとともに、ご飯となった時に付着している表面水を飛ばしいわゆる「焼工程」を実現しご飯のはりを向上させ食味の大幅な向上が図られる。
【0020】また、炊飯終了時点でご飯の表面水が少ないことからご飯からの水蒸気も減りさらに、主に蓋コイル21及び第2の側面コイル15を通電し、外気と接触している蒸気口22及び鍋パッキン23を加熱し、筐体内の温度を均一にし滴露の発生を防ぎご飯の白化を防止し保温状態も改善した炊飯器を提供するものである。
【0021】なお、本実施例において加熱源を誘導加熱で行っているが、ヒーターでも同等の効果を得ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、食味を大幅に向上させた、炊飯器を提供することができる。
【0023】また、特に、第1の加熱手段または第2の加熱手段の少なくとも1方は誘導加熱を行うための誘導コイルにより構成することによりコンパクトな炊飯器を提供することができる。
【0024】さらに、第2の側面加熱手段は、鍋フランジ近傍に設けることにより保温時の白化を削減し保温状態を改善した炊飯器を提供することができる。
【0025】また、炊飯プロセス及び保温プロセスにおいて、プロセスが進むにつれ主加熱が底加熱手段から準じ第2の側面加熱手段に変化し調理物を加熱することにより、炊飯及び保温時の食味の向上と省エネを両立した炊飯器を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2002−291617(P2002−291617A)
【公開日】 平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願番号】 特願2001−104115(P2001−104115)