| 【発明の名称】 |
炊飯器 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤間 美子
|
| 【要約】 |
【課題】炊飯器の内釜内面にコーティングされた樹脂コーティング層に生じてしまった剥離部分を広がらないようにした炊飯器を得る。
【解決手段】金属素材で形成された内釜1の内面にプライマー層4を介して樹脂コーティング層5を成層し、樹脂コーティング層5の一部に金属素材1との接着強度の高い材料で、金属素材1の表面に封止層7を形成することで、剥離(ふくれ)Aが広がっても樹脂コーティング層5の封止層7の部分に孔部6ができ、ここから水・空気が逃げて、剥離(ふくれ)Aの広がりを防ぐ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炊飯器本体内に着脱自在に収納する内釜と、炊飯を行うための加熱体とを備え、前記内釜は少なくとも内面が金属素材で形成され、その金属素材の内面に樹脂コーティング層を成層するものであって、前記内釜の樹脂コーティング層に前記金属素材の表面と連通する孔部を設けたことを特徴とする炊飯器。 【請求項2】 炊飯器本体内に着脱自在に収納する内釜と、炊飯を行うための加熱体とを備え、前記内釜は少なくとも内面を金属素材で形成し、その金属素材の内面に樹脂コーティング層を成層するものであって、前記樹脂コーティング層の一部に樹脂コーティング層よりも前記金属素材との接着強度の高い材料の層を前記金属素材の表面まで形成したことを特徴とする炊飯器。 【請求項3】 前記孔部内に、前記樹脂コーティング層よりも前記金属素材との接着強度の高い材料の層を形成したことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。 【請求項4】 前記金属素材をステンレスとし、該ステンレスの内面に前記樹脂コーティング層を成層するものであって、前記樹脂コーティング層とステンレスとの間にプライマー層を形成し、前記樹脂コーティング層とは異なる性質の層を前記プライマー層との接着強度の高い材料で成層したことを特徴とする請求項1または2いずれか記載の炊飯器。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、金属素材で形成し、内面を樹脂コーティングした内釜を備えた炊飯器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、多くの炊飯器の鍋内面はアルミニウムで構成され、フッ素樹脂コート処理により非粘着性を持たせていた。しかしながら、近年、人々の高級志向、安全志向、清潔志向により、ステンレス製の調理器具の需要が増加している。 【0003】図4は、従来の炊飯器の内釜の要部断面図である。図において、11はステンレスである金属素材で形成された内釜、12は内釜11を加熱する加熱手段、13は内釜11の温度を検知するサーミスタ、14は着色もしくはステンレスである金属素材11を隠蔽する充填剤を含むプライマー層、15はご飯のこびりつき、焦げつきに対する非粘着性を有し、下地の金属素材11の腐食を防止する目的で設けた非親和性の四弗化エチレン樹脂の樹脂コーティング層で、その一例として非親和性のテフロン(商品名)の樹脂コーティング層などがあり、プライマー層14により金属素材で形成される内釜1との接着性を高めている。 【0004】このように構成された従来の炊飯器は、内釜11の内面に形成した樹脂コーティング層15によって、ご飯のこびりつき、焦付きに対する非粘着性を有し、下地の金属素材の腐食を防止し、さらに、樹脂コーティング槽15は高強度の性質を有しているため繰返し炊飯動作を行っても材質の劣化が少ない。しかし、このフッ素樹脂系材料は金属素材との接着性が悪く密着しにくいため、プライマー層14を間に設けることで所望の接着強度を得て、使用に耐え得るようにしている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の炊飯器では、内釜11の内面の樹脂コーテイング層15とプライマー層14との接着部は、炊飯時における加熱手段13の加熱による高温かつ高湿度の環境あるいは使用前後の水洗い等、温度や水によって接着部は破壊作用を受けやすい。そして、長い間使用するにつれて、樹脂コーティング層15とプライマー層14との接着部が破壊作用を受けて水の吸いやすい状態となり、その後水が浸透してしまい樹脂コーティング層15とプライマー層14との接着強度が著しく低下して剥離A(ふくれ)が生じてしまう(図5参照)。さらに、剥離A(ふくれ)に水が含んだ状態まま通常の炊飯を行うと、加熱手段13の加熱により剥離A(ふくれ)内の水が水蒸気となって膨張し、樹脂コーティング層15を押し上げていき、その力で剥離A(ふくれ)が一気に進んで樹脂コーティング層15が大きく剥がれてしまう恐れがあり(図6参照)、樹脂コーティング層15の材質は高強度であるため剥離A(ふくれ)内の水が水蒸気となって膨張しても樹脂コーティング層15は容易に裂けることがなく、上記したように樹脂コーティング層15の剥がれが進み続けていけば、図6に示すように、内釜11内にあるお米や水は水位Bから水位bへと押し上げられることになり、しまいには飛び出してしまうとこともあるという問題点もあった。 【0006】この発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、炊飯器の内釜内面にコーティングされた樹脂コーティング層に生じた剥離部分が広がらない炊飯器を得るものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明にかかる炊飯器においては、炊飯器本体内に着脱自在に収納する内釜と、炊飯を行うための加熱体とを備え、前記内釜は少なくとも内面が金属素材で形成され、その金属素材の内面に樹脂コーティング層を成層するものであって、前記内釜の樹脂コーティング層に前記金属素材の表面と連通する孔部を設けたものである。 【0008】また、炊飯器本体内に着脱自在に収納する内釜と、炊飯を行うための加熱体とを備え、前記内釜は少なくとも内面を金属素材で形成し、その金属素材の内面に樹脂コーティング層を成層するものであって、前記樹脂コーティング層の一部に樹脂コーティング層よりも前記金属素材との接着強度の高い材料の層を前記金属素材の表面まで形成したものである。 【0009】また、前記孔部内に、前記樹脂コーティング層よりも前記金属素材との接着強度の高い材料の層を形成したものである。 【0010】また、前記金属素材をステンレスとし、該ステンレスの内面に前記樹脂コーティング層を成層するものであって、前記樹脂コーティング層とステンレスとの間にプライマー層を形成し、前記樹脂コーティング層とは異なる性質の層を前記プライマー層との接着強度の高い材料で成層したものである。 【0011】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1である炊飯器を示す要部断面図、図2は図1の要部拡大図である。図において、1は金属素材で形成された内釜、2は内釜1を加熱する加熱手段、3は内釜1の温度を検知するサーミスタ、4は着色もしくは金属素材1を隠蔽する充填剤を含むフッ素樹脂層であるプライマー層、5は実質的に充填材を含まないフッ素樹脂からなる樹脂コーティング層、6は内釜1の底面部分の樹脂コーティング層5に設けた複数の孔部、7は孔部6を封孔する封止層である。 【0012】内釜1の内面構造について、図2を用いて説明する。フッ素樹脂が焼きつけられる前に、金属素材1との接着性を持たせるためにプライマー層4の成層する。そして、プライマー層4上面に孔部4を形成する箇所を転写できるように作成されたマスクを用いて、スプレーコートあるいはスピンコートにより封止層7が形成され、その後コーティング層5が焼き付けられる。よって、封止層5の材料は、フッ素樹脂の焼き付け温度である380℃〜400℃の焼き付けに耐える耐熱性を有するポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホン等の有機系材料を、単独あるいは混合したものを用いことが好ましい。 【0013】このように構成された炊飯器の内釜の内面は、長い間使用していくと、先に説明した図5に示すようにように、樹脂コーティング層5とプラスマー層4との間の接着系に水が浸透しやすくなり、剥離(ふくれ)Aが生じ、この浸透した水は炊飯時の熱により、水が水蒸気となって膨張し、その力で樹脂コーティング層5のプラスマー層4からの剥離が進んでいく(図6参照)が、このとき、封止層7は接着強度があるためプライマー層4から剥離せずに、樹脂コーティング層5のみがプライマー層4から離れ、プライマー層4に残った封止層5からも樹脂コーティング層5は離れる。その結果、樹脂コーティング層5の孔部6が通気口として働き、コーティング層5の剥離(ふくれ)A内の水を樹脂コーティング層5とプライマー層4との間から逃がし、剥離(ふくれ)Aの膨張と剥離(ふくれ)の進行を防ぐことができる(図3参照)。 【0014】このようにして、内釜1の内面に施した樹脂コーティング層5に剥離A(ふくれ)が生じても、その剥離A(ふくれ)部分が進行して広がることなく、内釜1内に収容したお米や水を剥離A(ふくれ)部分で押出すことなく、炊飯を行うことができる。 【0015】なお、封止層7の厚さは、樹脂コーティング層5に対して凹凸が生じぬよう、樹脂コーティング層5の厚さと同等程度であることが好ましく、封止層7の材質は、樹脂コーティング層5に比べて非粘着性は劣るもので、プライマー層4あるいは金属素材の内釜1との接着強度が樹脂コーティング層5よりも大きい材料であることが好ましい。このようなものであれば、有機系、無機系いずれの材料を用いても良い。 【0016】また、孔部6の孔径は、その成形の容易性から、樹脂コーティング層5の厚さ以上でこびりつき等の影響を受け難い数mm以下程度の寸法が良く、孔部6の形状は円形のみならず、角形、螺旋形、スリット形等いずれでも良い。孔部6の形成位置は、内釜1の内面のどこにいくつ設けても良いが、できるだけ炊飯時のストレスの影響を受けず、常に炊飯時の水およびお米の及ぶ内釜1の底面やその曲面部分は避け、内釜1の側面部分に数箇所設けるのが好ましい。 【0017】 【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成されるので、以下に示すような効果を奏する。 【0018】炊飯器本体内に着脱自在に収納する内釜と、炊飯を行うための加熱体とを備え、前記内釜は少なくとも内面が金属素材で形成され、その金属素材の内面に樹脂コーティング層を成層するものであって、前記内釜の樹脂コーティング層に前記金属素材の表面と連通する孔部を設けたので、樹脂コーティング層が剥離した場合に、剥離部が樹脂コーティング層に形成した孔部が通気孔として働き、剥離部内の水が抜けて剥離の進行を防ぐことができる。 【0019】また、炊飯器本体内に着脱自在に収納する内釜と、炊飯を行うための加熱体とを備え、前記内釜は少なくとも内面を金属素材で形成し、その金属素材の内面に樹脂コーティング層を成層するものであって、前記樹脂コーティング層の一部に樹脂コーティング層よりも前記金属素材との接着強度の高い材料の層を前記金属素材の表面まで形成したので、樹脂コーティング層が剥離した場合に、剥離部が樹脂コーティング層の異なる素材の層に及ぶとこの異なる素材の層が内釜の内面から剥がれずに樹脂コーティング層のみが剥がれ、異なる素材の層が形成されていた部分が通気口として働き、剥離部内の水が抜けて剥離の進行を防ぐことができる。 【0020】また、前記孔部内に、前記樹脂コーティング層よりも前記金属素材との接着強度の高い材料の層を形成したので、樹脂コーティング層が剥離した場合に、剥離部が孔部におよぶとそこに形成した異なる素材の層が内釜の内面から剥がれずに樹脂コーティング層のみが剥がれ、異なる素材の層が形成されていた孔部が通気口として働き、剥離部内の水が抜けて剥離の進行を防ぐことができる。 【0021】また、前記金属素材をステンレスとし、該ステンレスの内面に前記樹脂コーティング層を成層するものであって、前記樹脂コーティング層とステンレスとの間にプライマー層を形成し、前記樹脂コーティング層とは異なる性質の層を前記プライマー層との接着強度の高い材料で成層したので、樹脂コーティング層との接着性の悪いステンレスを内釜の少なくとも内面を形成してもプライマー層により接着性が高くなり、プライマー層との接着強度が高い材料の層は、樹脂コーティング層が剥離した場合、剥離部がプライマー層との接着強度が高い材料の層におよぶとこの層はプライマー層から剥がれずに樹脂コーティング層のみが剥がれ、プライマー層との接着強度が高い材料の層が成層されていた部分が通気口として働き、剥離部内の水が抜けて剥離の進行を防ぐことができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年2月21日(2001.2.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102439 【弁理士】 【氏名又は名称】宮田 金雄 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−238744(P2002−238744A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月27日(2002.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−45230(P2001−45230) |
|