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【発明の名称】 電動調理器
【発明者】 【氏名】慶島 敏弘

【氏名】山口 繁

【要約】 【課題】閉鎖空間内に回転駆動される構成要素が配設され、回転に伴う気圧差により不具合が生じることを防止する構造を備えた電動調理器を提供する。

【解決手段】高速駆動コネクタ10と低速従動コネクタ11に囲まれた空間及び、分離籠4内が負圧になり、分離籠4の外側が高圧になって気圧差が発生するのを防止するために、蓋6に空気流路19を分離籠4の径より内側に設ける。これによって、分離籠4内への空気の供給量が増加して、分離籠4内の圧力も上昇し、蓋6内の圧力差の発生が抑制され、分離籠4がその外側の圧力によって浮上する不具合が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機及び減速機構を内蔵する本体と、前記本体の上部に設けられ前記電動機により高速回転駆動される高速駆動コネクタと、前記高速駆動コネクタと前記本体の間に配され、前記減速機構により前記高速駆動コネクタより遅い速度で回転駆動される低速駆動コネクタと、円板状に形成されたカッターと、前記カッターを保持し前記カッターの下方に突出形成され前記高速駆動コネクタに嵌挿された高速従動コネクタと、有底円筒形の分離籠と、前記分離籠の底面から下方に突出形成され前記低速駆動コネクタに嵌挿された低速従動コネクタと、前記分離籠を着脱自在に覆う蓋とを備え、前記蓋にその内外を通気する空気流路を前記分離籠の径より内側に設けたことを特徴とする電動調理器。
【請求項2】 蓋にその内外を通気する空気流路を分離籠の径より外側に併設したことを特徴とする請求項1記載の電動調理器。
【請求項3】 分離籠の径より内側に設けた空気流路をカッターの正回転方向に傾斜させたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動調理器。
【請求項4】 分離籠の径より外側に設けた空気流路を分離籠の逆回転方向に傾斜させ、空気流路の蓋内側に且つ前記分離籠の逆回転側に環状リブを設けたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の電動調理器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、閉じられた空間内でカッター等を回転駆動して食品を加工する電動調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電動調理器の一例であるジューサーは、フィルターを設けた分離籠の中央にカッターを一体的に取り付け、これを回転させることによりカッターによって食品を切削し、フィルターにより粕の流出を阻止し、ジュースを遠心分離するように構成されたものが一般的であった。このような従来構成では分離籠の回転不釣り合いや強度の制約から回転数を高くすることができないため、カッターによる切削能力が低くジュースの収量が充分に得られない問題があった。
【0003】この問題を解決すべく、本願出願人はカッターと分離籠の回転速度を変え、カッターを高速回転させるジューサーを特願平11−149900号として提案した。この発明の構成を図3に示す。
【0004】図3において、電動機53及び減速機構54を収容した本体50上に、電動機53の回転軸55に直結された高速駆動コネクタ51と、この高速駆動コネクタ51の外側に円筒状の低速駆動コネクタ52とが配設されている。前記高速駆動コネクタ51は電動機53により高速回転駆動され、前記低速駆動コネクタ52は低速回転軸56に連結された減速機構54により高速駆動コネクタ51より遅い低速で回転駆動される。
【0005】前記高速駆動コネクタ51には、下面に固定された高速従動コネクタ61を挿入することによりカッター60が装着される。また、前記低速駆動コネクタ52には、底面に設けられた低速従動コネクタ62を挿入することにより内部にフィルター64を配した分離籠63が装着される。前記高速駆動コネクタ51に対する高速従動コネクタ61の挿入及び低速駆動コネクタ52に対する低速従動コネクタ62の挿入は、軸方向には遊嵌状態に、回転方向には係合状態に嵌め合わされ、回転は伝達されるが挿脱は容易にできるように構成される。また、カッター60及び分離籠63は着脱自在の蓋57によって覆われている。
【0006】上記構成において、電動機53を駆動するとカッター60は高速回転し、分離籠63は低速回転するので、蓋57のカッター60上に垂下する投入口58から果実等の食品を投入し、これを押し込み棒59によりカッター60上に押しつけると、食品はカッター60に形成された切削刃により細かく切削されて分離籠63内に飛散する。分離籠63は回転による遠心力により切削された食品を内周面に押しつけ、フィルター64により粕とジュースに分離する。この構成ではカッター60を高速回転できるので、食品の切削能力が向上して食品からジュースを分離しやすくなり、ジュースの収量を充分に得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成において、食品が投入されない初期状態でカッター60と分離籠63とが回転するとき、分離籠63が浮上して上端部が蓋57に接触することがある。これは蓋57によって閉じられた空間内の気圧バランスに偏りが生じることが主原因である。
【0008】即ち、高速駆動コネクタ51と低速従動コネクタ62とに囲まれた空間は略閉鎖空間であり、高速回転する高速駆動コネクタ51及びカッター60の高速回転に伴って空間内は負圧となる。また、分離籠63内の空気もその回転に伴って排気され、さらに負圧となる。結果的に分離籠63の外側が最も高圧となる。食品が投入されない状態では分離籠63は軽く、分離籠63は低速従動コネクタ62により回転軸方向に挿脱自在に低速駆動コネクタ52に装着されているので、最も圧力が高くなった分離籠63の外側の圧力により浮き上がってしまうことになる。
【0009】本発明は上記問題点を解決すべく創案されたもので、分離籠の浮上を防止する構造を備えた電動調理器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決するために、本発明の電動調理器は、蓋に空気流路を分離籠の径より内側に設けたものである。
【0011】これによって、分離籠63内への空気の供給量が増加して、分離籠63内の圧力も上昇し、蓋57内の圧力差の発生が抑制され、分離籠63がその外側の圧力によって浮上する不具合が防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、電動機及び減速機構を内蔵する本体と、前記本体の上部に設けられ前記電動機により高速回転駆動される高速駆動コネクタと、前記高速駆動コネクタと前記本体の間に配され、前記減速機構により前記高速駆動コネクタより遅い速度で回転駆動される低速駆動コネクタと、円板状に形成されたカッターと、前記カッターを保持し前記カッターの下方に突出形成され前記高速駆動コネクタに嵌挿された高速従動コネクタと、有底円筒形の分離籠と、前記分離籠の底面から下方に突出形成され前記低速駆動コネクタに嵌挿された低速従動コネクタと、前記分離籠を着脱自在に覆う蓋とを備え、前記蓋にその内外を通気する空気流路を前記分離籠の径より内側に設けたことにより、分離籠内への空気の供給量が増加して、分離籠内の圧力も上昇し、蓋内の圧力差の発生が抑制され、分離籠がその外側の圧力によって浮上する不具合が防止される。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加え、蓋に空気流路を分離籠の径より外側にも設けることにより、分離籠の外側からの排気量が増加して、分離籠の外側の圧力を低下させ、蓋内の圧力差の発生がさらに抑制され、分離籠がその外側の圧力によって浮上する不具合が防止される。
【0014】請求項3に記載の発明は、特に請求項1または請求項2に記載の分離籠の径より内側に設けた空気流路をカッターの正回転方向に傾斜させることにより、空気の流入抵抗が減少して空気の取り込み効果が向上し、空気流入をより促進することができ、圧力差の発生をさらに抑制することができる。また、空気流路をカッターの正回転方向に傾斜させることにより、切削後分離籠内から上方へのジュース飛散に対するブロック効果が向上し、ジュースが蓋外に飛び出すのを確実に防止することができる。
【0015】請求項4に記載の発明は、特に請求項2または請求項3記載の分離籠の径より外側に設けた空気流路を分離籠の逆回転方向に傾斜させ、空気流路の蓋内側に且つ前記分離籠の逆回転側に環状リブをることにより、空気の流出抵抗が減少して空気の排出効果が向上し、空気流出をより促進することができ、圧力差の発生をさらに抑制することができる。また、空気流路の蓋内側に且つ前記分離籠の逆回転側に環状リブをることにより、切削後の分離籠外へのジュース飛散に対していったん環状リブで受け止めて、ジュースを滴下させるので、ジュースが蓋外に飛び出すのを確実に防止することができる。
【0016】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施例は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】電動調理器では加工した食品や水分が駆動部に侵入したり、所定部位以外の場所に移動したりすることを防止するために封止、遮蔽するための構造が多く存在し、容器などによって閉じられた空間が複数に区画される状態が形成されやすくなる。また、電動調理器は加工した食品粕等が付着した部分は使用後に洗浄する必要があり、洗浄が必要となる部分は容易に取り外すことができるように構成される。このような構造下で複数の構成要素を回転させると、区画された空間の気圧分布に差が生じやすくなり、これに起因して取り外しを容易にした構成要素に不具合が発生する場合がある。このような電動調理器の端的な例としてジューサーについて、不具合が発生する具体例とそれを解決した実施形態を以下に説明する。
【0018】図1は実施例におけるジューサーの構造を示すもので、果実等の食品を切削するカッター3を高速回転させ、切削された食品からジュースを分離する分離籠4をカッター3より遅い速度で回転させることにより、ジュースを取り出す収量の向上を図ったことを特徴とするものである。
【0019】図1において、ジューサー1は、電動機8及び減速機構9を内蔵した本体2上に、容器5及び蓋6が着脱自在に配設されている。本体2に内蔵された電動機8の回転軸13には高速駆動コネクタ10が直結され、回転軸13と略同心に配設された低速回転軸14には回転軸13の回転が減速機構9を介して伝動され、この低速回転軸14には低速駆動コネクタ11が一体的に取り付けられている。高速駆動コネクタ10及び低速駆動コネクタ11は、高速駆動コネクタ10を中心として、これに間隔を隔ててリング状に低速駆動コネクタ11が配置され、本体2上から突出するように配設されている。
【0020】高速駆動コネクタ10には、上面に切削刃を形成したカッター3が固定された高速従動コネクタ15が嵌入され、前記低速駆動コネクタ11には、分離籠4の底面に取り付けられた低速従動コネクタ16が嵌入される。この高速駆動コネクタ10に対する高速従動コネクタ15の嵌入及び低速駆動コネクタ11に対する低速従動コネクタ16の嵌入は、軸方向には遊びを設けて挿脱自在とし、回転方向には相互に設けられた凸部が係合することにより回転が伝動するように構成されている。この遊嵌構造により、カッター3及び分離籠4は容易に取り外せるため、ジューサー1を使用した後の洗浄が容易である。
【0021】上記構成のジューサー1は、電源スイッチのON操作により電動機8を駆動させると、回転軸13から高速駆動コネクタ10、高速従動コネクタ15に回転が伝動してカッター3は毎分1万〜1万5千回転で高速回転し、回転軸13から減速機構9、低速回転軸14、低速駆動コネクタ11、低速従動コネクタ16に回転が伝動して分離籠4はカッター3の回転速度より遅い速度で回転する。蓋6の上面からカッター3上に垂下する投入口18から果実等の食品を投入し、押し込み棒17により食品をカッター3に押し付けると、食品はカッター3により切削されて分離籠4内に飛散する。分離籠4はその回転による遠心力により切削された食品を周壁側に振り出し、周壁面上に装着されたフィルター7によって粕とジュースとに分離し、ジュースは容器5に流下してカップ12に取り出される。このようにカッター3を高速回転させることにより食品をより細かく切削することができ、ジュースとして取り出される収量の向上が図られる。
【0022】上記構成において、カッター3及び分離籠4は蓋6及び容器5によって閉じられた空間内で互いに異なる速度で回転する。このとき、カッター3の下部に形成された空間の空気はカッター3の高速回転により分離籠4内に排出される状態となり、給気量が少ないときにはカッター3の下部空間は負圧が生じる。一方、分離籠4もその回転により空気を排出する状態となり、分離籠4の外側空間の圧力が最も高くなる圧力差が生じる。即ち、蓋6内の空間は圧力バランスが崩れた状態となる。
【0023】前述したように、分離籠4は着脱を容易にするため低速従動コネクタ16を低速駆動コネクタ11から挿脱しやすく構成され、軸方向には移動しやすい構造であるため、分離籠4は内部より外部の気圧が高く、特に底部の気圧が高い状態により浮き上がる力が作用し、内部に食品が投入されない軽い状態では浮上して蓋6に接触する恐れがある。
【0024】このような空間内の圧力差を発生させないようにするため、蓋6に複数(ここでは8個)の空気流路19が分離籠4の径より内側に形成されている。この空気流路19により、分離籠4内への空気の供給量が増加して、分離籠4内の圧力も上昇し、蓋6内の圧力差の発生が抑制され、分離籠4がその外側の圧力によって浮上する不具合が防止される。
【0025】また、本実施例では、蓋6に複数(ここでは8個)の空気流路20が分離籠4の径より外側にも形成されている。この空気流路20により、分離籠4の外側からの排気量が増加して、分離籠4の外側の圧力を低下させ、蓋6内の圧力差の発生がさらに抑制され、分離籠4がその外側の圧力によって浮上する不具合が防止される。
【0026】空気流路19は、図1のように鉛直方向の穴でもよいが、図2(b)に示すように、カッター3の正回転方向に傾斜させることにより、空気の流入抵抗が減少して空気の取り込み効果が向上し、空気流入をより促進することができ、圧力差の発生をさらに抑制することができる。
【0027】また、空気流路19をカッター3の正回転方向に傾斜させることにより、切削後分離籠4内から上方へのジュース飛散に対するブロック効果が向上し、ジュースが蓋6外に飛び出すのを確実に防止することができる。
【0028】空気流路20は、図1のように鉛直方向の穴でもよいが、図2(c)に示すように、分離籠4の逆回転方向に傾斜させ、空気流路20の蓋6内側に且つ前記分離籠4の逆回転側に環状リブ21(ここでは180°であるが、180°以下でのよい。)を設けることにより、空気の流出抵抗が減少して空気の排出効果が向上し、空気流出をより促進することができ、圧力差の発生をさらに抑制することができる。また、空気流路20の蓋6内側に且つ前記分離籠4の逆回転側に環状リブ21を設けることにより、切削後の分離籠4外へのジュース飛散に対していったん環状リブ21で受け止めて、ジュースを滴下させるので、ジュースが蓋6外に飛び出すのを確実に防止することができる。
【0029】なお、空気流路19、20の形状は円形に限ったものではなく、楕円形、角形、多角形、あるいは、それらの複合形等、前記効果を得られる適切な形状を選べばよい。 また、環状リブ21についても、ジュースを受け止める形であればよく、環状に限らず、直線状、矩形状等、前記効果を得られる適切な形状を選べばよい。
【0030】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜4の発明によれば、蓋内の圧力差の発生が抑制され、分離籠がその外側の圧力によって浮上する不具合が防止される。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成13年1月30日(2001.1.30)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2002−223959(P2002−223959A)
【公開日】 平成14年8月13日(2002.8.13)
【出願番号】 特願2001−21158(P2001−21158)