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【発明の名称】 電気湯沸かし器
【発明者】 【氏名】小林 英明

【氏名】石川 春生

【氏名】麻植 淳

【氏名】川西 英賢

【要約】 【課題】加熱時の余熱で沸騰直後の容器底面の湯から泡が長時間発生する。また熱伝導が充分でないために耐熱性能の良い材料を必要とした。さらに構成部品が多く、加工工程が多い。

【解決手段】下方に底面43を有する水を収容する容器41と、底面43の裏面に形成した第1の電気絶縁層49と、この上に印刷で形成した電気抵抗体層50、この上に電気導体層59を形成し、さらに第2の電気絶縁層58を形成したもので、熱伝導も良く、部品点数が少なく、加工工程も少ない。また、湯の中に泡が含まれないため良好に湯が注出できる加熱部48を形成する。電気導体層59と金属端子とを金属結線で接続して電気導体層59に外部から応力が加わらないように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下方に底面を有する水を収容する容器と、前記底面の裏面に形成した第1の電気絶縁層とこの第1の電気絶縁層上に印刷で形成した電気抵抗体層と、さらに前記電気抵抗体層上に形成した第2の電気絶縁層とを備えた加熱部と、前記電気抵抗体層に電気的に接続するように印刷で形成した電気導体層と、前記電気導体層に一端を結合させ他端を金属端子に結合した金属結線とを備えた電気湯沸かし器。
【請求項2】下方に底面を有する水を収容する容器と、前記底面の裏面に形成した第1の電気絶縁層とこの第1の電気絶縁層上に印刷で形成した電気抵抗体層と、さらに前記電気抵抗体層上に形成した第2の電気絶縁層とを備えた加熱部と、前記電気抵抗体層上に印刷で形成した電気導体層と、前記電気導体層に一端を結合させ他端を金属端子に結合させた金属結線と、前記容器下部に固定されて容器を外郭に固定する取付金具とを備え、前記金属端子は前記取付金具に電気絶縁部材を介して取り付けられた電気湯沸かし器。
【請求項3】金属結線は電気導体層に一端を金属結合し、他端を金属端子に金属結合した請求項1または請求項2記載の電気湯沸かし器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主として一般家庭または事務所等で使用される電気湯沸かし器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の電気湯沸かし器の構成は図6および図7に示すようであった。1は上部を開口した容器でステンレス鋼板を絞り加工または溶接加工で形成されている。2は容器1底面に形成された凸部である。すなわち凸部2は容器1の底面に形成された平面である。3は凸部2の裏面に収納される加熱装置であるヒーターユニットである。ヒーターユニット3は上側から集成マイカでを打ち抜いて形成された第1の絶縁物4、ステンレス鋼板を打ち抜いて形成して約1000ワットの消費電力である湯沸かし電熱線5、集成マイカで形成した第2の絶縁物6、ステンレス鋼板を打ち抜いて形成した約100ワットの消費電力がある保温電熱線7、集成マイカで形成された第3の絶縁物8で順番に重ねられて構成されている。
【0003】9は湯沸かし電熱線5の一端に溶接で固定された湯沸かし端子であり、ステンレス鋼板をプレス加工して形成されている。10は同様にプレス加工して形成されて一端を保温電熱線7に溶接で固定された保温端子である。11は前記湯沸かし電熱線5と保温電熱線7の他端を電気的に結合し共通の端子として溶接した共通端子である。12は前記湯沸かし端子9と保温端子10と共通端子11とを機械的に固定する碍子である。この碍子12は3カ所の貫通穴13を有し前記湯沸かし端子9と共通端子11とを両端の貫通穴13に通して保温端子10を中央の貫通穴13に通す構成にしてある。
【0004】容器1の底部側からはアルミ鍍金鋼板などをプレス加工して形成したシーム板14を抵抗溶接で外周と中央付近とを複数箇所溶接してヒーターユニット3を凸部2の裏面に収納して下方からヒーターユニット3を凸部2の裏面に圧接している。15は容器1の底部に溶接して固定された一対の取付金具であり、下端は止めねじ16でねじ止めされる構造になっている。
【0005】17は前記容器1を収容する筒状のボデーでPP樹脂などの合成樹脂で形成されている。上端下端が開口したボデー17下部には開口部18を設けて組立時等に利用する。19は鋼板をプレス加工して形成してボデー17下側の開口部18を塞ぐ底板である。
【0006】20は容器1の下に位置して一端を容器1の底部に連通し、他端を昇水パイプ21に連通した送水装置である遠心ポンプである。昇水パイプ21は給湯口22を介して外方に開放されている。
【0007】23は前記容器1を略中央に備えた合成樹脂で形成された上枠である。上枠23はボデー17上端に嵌着する。
【0008】全体の構成は容器1を上枠23の中央に収納して上枠23をボデー17上端に嵌着する。容器1下端に固定された取付金具15はボデー17の取付部24に嵌合する。ここで止めねじ16で底板19を取付部24を介して取付金具15に固定する。取付金具15と取付部24とは設計上約3mmの隙間が締め代として設けてある。容器1と底板19を締め付けると上枠23とボデー17を締め付けることとなり、止めねじ16で取付金具15を介して容器1底部を引っ張る応力を常に加えていることとなる。
【0009】25は給電口である。26は前記容器1の上部開口を塞ぐ蓋であり、蓋26の一端には回転軸27が設けてあり、他端には前記上枠23に係止したロックするロック爪(図示せず)が前後に摺動するように備えてある。回転軸27は上枠23の軸受け部28に回転自在に取り付けられて前記蓋26の開閉時に回転する。
【0010】29は凸部2中央の裏面に備えられたサーミスタで形成された温度検知素子であり、温度検知素子29は容器1底部の凸部2の面を介して容器1内の湯の温度を検知する。30はヒーターユニット3への通電を制御する制御部であり、上下に分割できる防水ケース31内に収納されて容器1の下方に位置している。制御部30はヒーターユニット3の湯沸かし電熱線5、保温電熱線7と、遠心ポンプ20と温度検知素子29とを制御する。
【0011】以上の構成において、動作を説明する。まず、水を容器1に所定量入れる。次に給電口25から給電する。制御部30が操作に基づいてヒーターユニット3へ通電する。湯沸かし時には湯沸かし電熱線5と保温電熱線7に通電して合計1100ワットの電力で湯沸かしする。ヒーターユニット3で発生した熱は容器1の凸部2を介して容器1内の水を加熱する。このとき湯沸かし電熱線5の温度は約500度に達しており、またシーム板14の温度は約250度に達している。温度検知素子29は容器1内の湯温を検知し、やがて温度検知素子29が湯の沸騰を検知して制御部30は湯沸かし電熱線5への通電を停止する。湯沸かし電熱線5への通電を停止させた直後はヒーターユニット3とシーム板14の温度は100度以上であるのでその熱容量と100度以上の温度のために、数十秒間は容器1底面の凸部2の表面から蒸気の気泡が発生し続ける。やがてヒーターユニット3とシーム板14の温度が100度以下になると気泡の発生が次第に停止する。以降は制御部30が保温電熱線7への通電を制御して容器1内の湯温を約95度に維持する。このとき制御部30はまず温度検知素子29の温度を信号として入力し、保温電熱線7へ通電するが、通電当初はヒーターユニット3全体を加熱して温度上昇させる必要があり、やがてヒーターユニット3全体が加熱されると次に凸部2を通して容器1内の湯を加熱することとなる。このときシーム板14の温度は約110度である。
【0012】湯沸かし時も保温時もヒーターユニット3へ通電しているときはシーム板14下面から輻射熱を放出していることとなる。
【0013】湯を所望のときは、操作部(図示せず)から遠心ポンプ20を駆動して昇水パイプ21と給湯口22を介して給湯する。湯が少なくなると蓋26を回動させて容器1上部を開放する。所望の水を容器1内に注水すると制御部30が温度検知素子29で湯温を検知して再度湯を沸かしてから保温する。以降は必要に応じて給湯する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の構成では、第1にヒーターユニット3の熱容量(ヒートマス)が大きく温度検知素子29で湯温を検知して制御部30でヒーターユニット3へ通電して湯温を制御するときの通電と湯温上昇の時間のずれが大きい。第2にヒーターユニット3の熱容量(ヒートマス)が大きく沸騰して湯沸かしヒーターユニット3への通電を停止した直後の数十秒間は容器1底部から熱容量による余熱で沸騰状態の蒸気の泡が多量に発生して遠心ポンプ20内に巻き込むために、遠心ポンプ20の給湯能力が著しく低下する。第3に湯沸かし中や保温時にヒーターユニット3へ通電するとシーム板14の温度が湯沸かし時には約250度になり、また保温時には約110度になり、容器1底部近傍の部品を構成する材料をより耐熱の高い材料で形成するか、ヒーターユニット3から距離をおいて位置させる必要がある。第4にヒーターユニット3へ通電しているときはシーム板14から下方に熱が輻射により放散している。第5にヒーターユニット3を構成する第1の絶縁物4と、第2の絶縁物6と、第3の絶縁物8と、湯沸かし電熱線5と、保温電熱線7と、湯沸かし端子9と保温端子10と、共通端子11と、碍子12の各部品を別々に加工する必要があるといった課題を有していた。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の湯沸かし器は、上記従来の課題を解決するために、加熱部を、容器底面の裏面に第1の電気絶縁層を形成し、この第1の電気絶縁層上に電気抵抗体層を印刷で形成し、さらに前記電気抵抗体層上に第2の電気絶縁層を形成して構成するとともに、前記電気抵抗体層に電気的に接続するように印刷で形成した電気導体層と、前記電気導体層に一端を結合させ他端を金属端子に結合した金属結線とを設けたものである。これにより、加熱部の熱容量が小さくなり、加熱時の熱応答性を良くすることができるので、温度制御を精度良くできるようにし、沸騰直後の余熱による泡の発生を瞬時に停止し、さらには下部への輻射熱を低減できるようにするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、下方に底面を有する水を収容する容器と、前記底面の裏面に形成した第1の電気絶縁層とこの第1の電気絶縁層上に印刷で形成した電気抵抗体層と、さらに前記電気抵抗体層上に形成した第2の電気絶縁層とを備えた加熱部と、前記電気抵抗体層に電気的に接続するように印刷で形成した電気導体層と、前記電気導体層に一端を結合させ他端を金属端子に結合した金属結線とを備えた電気湯沸かし器とすることにより、加熱部の熱容量が小さくなり、加熱時の熱応答性を良くすることができるので、温度制御を精度良くできるようにし、沸騰直後の余熱による泡の発生を瞬時に停止し、さらには下部への輻射熱を低減できる。また、加熱部の部品点数を低減するとともに加熱部の加工工程も著しく簡素化することができる。また、電気導体層と金属端子とは金属結線を介して結合するので金属端子に応力が加わっても電気導体層には応力が加わらない構成とすることができる。
【0017】請求項2に記載の発明は、下方に底面を有する水を収容する容器と、前記底面の裏面に形成した第1の電気絶縁層とこの第1の電気絶縁層上に印刷で形成した電気抵抗体層と、さらに前記電気抵抗体層上に形成した第2の電気絶縁層とを備えた加熱部と、前記電気抵抗体層上に印刷で形成した電気導体層と、前記電気導体層に一端を結合させ他端を金属端子に結合させた金属結線と、前記容器下部に固定されて容器を外郭に固定する取付金具とを備え、前記金属端子は前記取付金具に電気絶縁部材を介して取り付けられた構成としたものである。これにより、容器取付金具を用いて金属端子を保持する電気絶縁部材を固定することができ、金属端子に外部から応力が加わっても電気導体層に外部からの応力が加わることなくまた電気絶縁部材を固定する部品を増やすことなく金属端子を固定することができる。
【0018】請求項3に記載の発明は、特に、金属結線は電気導体層に一端を金属結合し、他端を金属端子に金属結合した構成としたものである。これにより、発熱部である電気抵抗体層に近く温度が比較的高い電気導体層の端部と金属端子とを結合する金属結線の両端をおのおの電気導体層と金属端子とを金属結合により結合することで表面の酸化膜の形成による電気抵抗の増大と増大した電気抵抗による発熱がなく信頼性が改善できる。
【0019】
【実施例】(実施例1)以下に本発明の実施例1について、図1、図2、図3、図4、図5を参照しながら説明する。止めねじ16、ボデー17、開口部18、底板19、遠心ポンプ20、昇水パイプ21、給湯口22、上枠23、取付部24、給電口25、蓋26、回転軸27、軸受け部28、制御部30、防水ケース31は従来の実施例と同一の形状と機能であり、同一の名称と符号を使用して説明は省略する。
【0020】41は上部を開口し底部を有した水を収容する容器である。容器42はステンレス鋼板で形成されている。特にJIS規格SUS444相当の組成成分で構成されている。42は容器41底部に一段低くして絞り加工で形成した段部である。43は段部42から一段上方に位置した底面である。底面43は相対する2カ所に平行な直線の段部42である直線部44を絞り加工で形成し、他の部分は段部42の外周からほぼ均等な距離で絞り加工されている。段部42は全体としては略小判形をしている。段部42は平面ではなく球面の一部を切り取った形状をしており、段部42の中央部が一番深い絞り加工になるように下方に凸な形状をしている。容器41は底面42外周を、ステンレス鋼板で形成した側壁45と溶接して水密に形成している。
【0021】46は底面43の外周近傍に穴を開けてステンレスパイプを咬めて水密的に形成した流出口であり、遠心ポンプ20に連通している。流出口46を段部42とは別部品とすることで流出口46の取付加工を任意の行程で行うことができる。これは後述する印刷加工が極めて施し易い構成である。
【0022】47は底面43下面のほぼ全面にあたる印刷曲面であり、ここに加熱部48が形成される。印刷曲面47の曲率については概略次のように設定すると良い。つまり、印刷曲面47の最長寸法に対してその100分の1以上の深さにする。理由は概略金属の熱膨張率は高くても10のマイナス5乗オーダーであり、温度差を1000度としても10のマイナス2乗つまり100分の1膨張することになる。これに対して絞り加工の深さを100分の1にすることで曲面がどのように熱膨張してもその凹凸が反転することはない。従って印刷曲面の絞り深さを最大寸法の100分の1以上にすると局部的な熱膨張による段部42に発生する応力は印刷曲面47の変形のみで吸収することができる。
【0023】加熱部48は以下のような構造になっている。まず印刷曲面47全面に無機質であるガラスと金属酸化物を主成分とする電気絶縁物を3層のスクリーン印刷で約50マイクロメートルから約200マイクロメートルに積層して第1の電気絶縁層49を形成する。この第1の電気絶縁層49の厚みは定格電圧や必要とする絶縁耐力によって印刷回数や印刷時のインクの濃度を調節して所望の厚さにする。印刷状態のまま電気炉で約10分間約900度で焼結する。するとステンレス鋼板(JIS規格のSUS444相当)の線膨張係数10.5〜11.9×10のマイナス6乗と同じ膨張係数の第1の電気絶縁層49が完成する。
【0024】次に図3のように金属酸化物を主成分とする適度な電気抵抗を持った抵抗体を含んだインクで電気抵抗体層50をスクリーン印刷で形成する。スクリーン印刷の版は被印刷面よりも大きい面積を必要とするので容器41の底面43に対して印刷曲面47は一段下に位置するように形成されている。これによりスクリーン印刷版は容器41底面43に当たることなく第1の電気絶縁層49や電気抵抗体層50を印刷することができる。
【0025】印刷のパターンは最内周には幅の広い湯沸かし回路51の一部を設け、外周部にも湯沸かし回路51の一部を設け、その間には幅の狭い保温回路52を形成するパターンとする。電気抵抗体層50を同心円状とするのはスクリーン印刷加工法において、スクリーン版は平面状であるのに印刷曲面47は球面であり、印刷時にスクリーン版の押し圧が大きい中央付近ほど充分に印刷される一方で押し圧が小さい外周部ほど薄く印刷される傾向があるから同心円状に同一条件の印刷をするためである。同心円状の印刷条件は比較的管理しやすいので電気抵抗体層50を同心円状にしてこれにより消費電力のばらつきを約5%以下に押さえることができる。
【0026】次に、湯沸かし回路51と保温回路52の電気的結線について説明する。電気的には湯沸かし回路51と保温回路52とは一端を共通端子53で電気的に結線し、他端はおのおの湯沸かし端子54と保温端子55とを形成して並列な回路として構成される。湯沸かし回路51と保温回路52はおのおの電気導体層56で形成した放射状パターン57で結線され、一端は電気導体層56で形成された共通の共通端子53で結線される。湯沸かし回路51の他端は電気導体層56で形成された湯沸かし端子54と結線され、保温回路52の他端は電気導体層56で形成された保温端子55と結線される。共通端子53と湯沸かし端子54と保温端子55と放射状パターン57とは銀を主成分としたインクをスクリーン印刷で前記電気抵抗体層50の上に印刷して形成した電気導体層56で一度に印刷により形成される。共通端子53と、湯沸かし端子54と、保温端子55とは加熱部48の外周近傍に配置するとともに各端子とも互いに近接して一カ所に集中させる。これは加熱部48の端部は中央部に比べて比較的温度が低く、耐熱耐酸化において有利だからである。従って共通端子53と、湯沸かし端子54と、保温端子55とを加熱部48の外周に集中させるものである。
【0027】電気抵抗体層50は容器41底面に同心円状に断片的に配列されているので、同心円状の電気抵抗体層50を中心から放射状方向に電気導体層56で形成した放射状パターン57で結線して湯沸かし回路51と保温回路52とを形成する。同心円状の電気抵抗体層50を中心から放射状方向に電気導体層56で形成した放射状パターン57で接続するのは熱膨張により印刷曲面47が中心から放射状方向に熱による膨張と収縮による応力が大きいためにこの寸法変化に追従できる銀を主成分とする電気導体層56で放射状方向の接続をおこなうためである。前記共通端子53と湯沸かし端子54と保温端子55と放射状パターン57とで電気導体層56を形成する。電気導体層56はスクリーン印刷で一度に形成した後に電気炉で約900度で10分焼結する。
【0028】電気導体層56は第1の電気絶縁層49上に位置して電気抵抗体層50の上かまたは下に位置して印刷される。つまり電気抵抗体層50と電気導体層56の印刷順序はどちらを先に実施しても良い。
【0029】次に、第1の電気絶縁層49の範囲から共通端子53と湯沸かし端子54と保温端子55と中央部とを除く範囲を無機質であるガラスと金属酸化物を主成分とする電気絶縁物を1層または複数層にスクリーン印刷で約50から200マイクロメートルの厚さに積層して第2の電気絶縁層58を形成する。この第2の電気絶縁層58の厚みは定格電圧や必要とする絶縁耐力によって印刷回数や印刷時のインクの濃度を調節して所望の厚さにする。印刷状態のまま電気炉で約10分約900度で焼結する。するとステンレス鋼板(JIS規格のSUS444相当)の線膨張係数10.5〜11.9×10のマイナス6乗と同じ膨張係数の第2の電気絶縁層58が完成する。第1の電気絶縁層49と電気抵抗体層50と電気導体層56と第2の電気絶縁層58とで加熱部48を形成している。
【0030】60は容器41の直線部44近傍の底面43に溶接して固定された一対の取付金具である。取付金具60は下端にねじ穴61が設けてあり、底板19と取付金具60とでボデー17を挟んで止めねじ16で固定することとなる。取付金具60を底面43に溶接するのは取付金具60間に制御部30を内蔵した防水ケース31を収納することができるからである。また取付金具60はボデー17を締め付けて固定するので締め付けによる応力を底面43に加えることとなるが、その応力を印刷曲面47に伝わりにくくするために印刷曲面47を段部42に設けている。印刷曲面47には焼結した加熱部48が固着しているのでこれに応力が加わらないようにすることが重要である。
【0031】62は第1の電気絶縁層49の略中央に二つの電気導体層56で形成した端部63を形成してこの端部63に銀ろうまたは金属結合で温度検知素子であるサーミスタ64のリード線65を結線した温度検知部である。サーミスタ64は第1の電気絶縁層49に接するので電気絶縁物で絶縁する必要はなく、サーミスタ64のリード線65をそのまま端部63に結線する。端部63は電気導体層56を長く伸ばして前記共通端子53付近まで伸びて形成されている。
【0032】ここで、湯沸かし回路51の一部が最内周に位置するのは、発熱の多い湯沸かし回路51の熱でいち早くサーミスタ64に熱を伝えるためである。
【0033】66は電気導体層56で形成した前記共通端子53と湯沸かし端子54と保温端子55と端部63とにその一端を金属結合するアルミニウム合金か金で形成した金属結線であり、他端は取付金具60に固定された電気絶縁物である樹脂で形成された電気絶縁部材67に保持された金属端子68に金属結合されている。金属端子68は黄銅にスズ鍍金を施した材料または鉄にニッケル鍍金を施した材料をプレス加工で打ち抜いて形成している。
【0034】また、取付金具60は加熱部48の外周に位置するとともに電気絶縁部材67は前記共通端子53と、湯沸かし端子54と、保温端子55との集中した比較的発熱量が少なく温度の低い加熱部48外周に集中して位置している。従って電気絶縁部材67及び金属端子68の温度は低く押さえることができる。さらにサーミスタ64の端部63も前記共通端子53と、湯沸かし端子54と、保温端子55との近傍に位置して金属結線66の一端と金属結合されている。
【0035】69は容器41下部に接して備えられた断熱材であり、ガラス繊維、発泡シリコンゴム、熱変形温度が200度以上の熱可塑性樹脂の発泡材、無機質材料の積層材等で形成されている。
【0036】以上のように構成された電気湯沸かし器についてその動作を説明する。基本的な動作は前述の従来の技術の動作と同じである。容器41近傍の動作について述べる。容器41内に水を入れる。給電口25から商用電力を供給する。制御部30がサーミスタ64からの信号で容器41内の水温を検知して湯沸かしモードに入り、湯沸かし回路51と保温回路52に通電する。湯沸かし回路51と保温回路52はジュール熱により発熱して約150度の温度になり、第1の電気絶縁層49と第2の電気絶縁層58に熱が伝導する。第1の電気絶縁層49から容器41の印刷曲面47を介して容器41内の水を加熱する。ここで第1の電気絶縁層49は印刷曲面47と電気抵抗体層50とにそれぞれ焼結で密着しているので熱伝導が非常にすぐれており、発熱した熱が電気抵抗体層50に滞留することなく容器41内の水を加熱することとなる。この状態で湯沸かしが進行する。
【0037】また、電気抵抗体層50は通電とともに急激に温度上昇するので熱膨張係数に見合う膨張が発生する。温度上昇は急激で局部的な発生であり電気抵抗体層50が熱膨張する瞬間はまだステンレス鋼板で形成された印刷曲面47はまだ温度上昇していないので電気抵抗体層50と印刷曲面47の層状構成においてバイメタルのような挙動をする。しかし、印刷曲面47は熱膨張による応力をその曲率がわずかに変化することで吸収してしまう。印刷曲面47の熱膨張による曲率の変化は底面43の取付金具60には伝わらないために、ボデー17の締め付け寸法には影響しない。印刷曲面47の熱膨張による変化はそれ以外の部品には応力の影響はないこととなる。また、反対に印刷曲面47には他の部分からの応力は伝わってはこない。
【0038】やがて容器41内の水は沸騰する。サーミスタ64が約100度の沸騰温度または温度上昇が停止して一定温度になったことを検知して制御部30が湯沸かし回路51と保温回路52の通電を停止する。このとき電気抵抗体層50と第1の電気絶縁層49および第2の電気絶縁層58は熱容量が小さく温度上昇も比較的少ない上に前述のように電気抵抗体層50と第1の電気絶縁層49と印刷曲面47とはそれぞれ焼結により結合されているので熱伝導が良いために通電を停止して1秒程度で印刷曲面47からの沸騰時の蒸気の泡は発生しなくなる。これにより沸騰直後に遠心ポンプ20を作動させても泡を巻き込んで給湯能力が低下することはない。
【0039】以上のように実施例1によれば、第1に印刷曲面47に加熱部48を形成することで発熱による熱膨張応力を印刷曲面47内で吸収することができる。第2に加熱部48の熱容量が小さいので加熱時のレスポンスが良く温度制御しやすい。第3に沸騰直後に余熱による蒸気の泡の発生が瞬時に停止するので遠心ポンプ20が泡を巻き込んで給湯性能が低下することがなく常に安定した給湯操作が可能となる。第4に加熱部48は焼結により熱伝導が良いために容器41下部の温度上昇が小さく従って容器41下部近傍に配置する部品の耐熱温度を低く設定することができる。第5に第2の電気絶縁層58の下面温度が比較的低いので輻射による放熱が少なく効率的な湯沸かしができる。第6に印刷による加熱部48の形成は各部品の加工行程を著しく簡素化できてしかも印刷加工では余分な廃材がないために地球環境にも優しい加工が行える。また定格電圧や定格消費電力の異なる仕様の加熱部48を生産するときは電気抵抗体層50のスクリーン印刷版を作り直せば良いのでコストも切り替え時間もほとんど必要ない。
【0040】また、電気導体層56と金属端子68とを金属結線66で接続することで、取付金具60や金属端子68に加わる応力が電気導体層56に伝わるのを防止することができる。
【0041】なお、加熱部48の印刷工程を側壁45と底面43を溶接して容器41を形成した後としたが、底面43のみの状態のときに先に印刷加工を施してから側壁45と底面43の溶接加工を施しても良い。
【0042】また、印刷加工をスクリーン印刷加工法としたが、転写等の異なる印刷方法でも良い。要は液体状の材料を容器41印刷曲面47に固着させればよい。
【0043】さらに、共通端子53と湯沸かし端子54と保温端子55と端部63と、金属結線の一端とを銀ろうかまたは金属結合させ、金属端子68と金属結線66の他端とを銀ろうかまたは金属結合で電気的に結合したが、ボンディングや超音波ウェルダーやレーザーによる溶接やはんだ付けによる溶接でもよい。要は金属結合により接続してあれば良い。
【0044】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜3に記載の発明によれば、温度制御を応答性良く行い、加熱部下部に配置する部品の耐熱性を低く設定することができる。また、加熱部の部品点数を低減するとともに加熱部の加工工程も著しく簡素化することができ、さらに電気導体層には外部からの応力が加わらない構成とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2002−209743(P2002−209743A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−11270(P2001−11270)