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【発明の名称】 衝撃吸収能力を高めたヘルメット
【発明者】 【氏名】ピエールジョルジョ・パガーノ

【要約】 【課題】高い衝撃吸収能力を有するヘルメットを提供する。

【解決手段】複合材料からなる外側シェルと、外側シェルの使用者の頭部側の面に接着するのに適した高分子発泡体から成る内側ライニング体と、を含む高い衝撃吸収能力を備えた高い衝撃吸収能力を備えたヘルメットであって、内側ライニングが高分子発泡体で形成されている。さらに、ヘルメットは、ヘルメットの外側シェルを構成する上記の複合材料の中に埋め込まれた形状記憶材料を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複合材料からなる外側シェルと、外側シェルと結合して、使用者の頭部の側に装着されるのに適した内側ライニング体と、を含み、内側ライニング体が高分子発泡体から成る高い衝撃吸収能力を備えたヘルメットであって、ヘルメットの外側シェルを構成する上記の複合材料の中に埋め込まれた形状記憶材料を含むことを特徴とするヘルメット。
【請求項2】 ヘルメットの外側シェルを構成する複合材料の中の少なくとも1層に、形状記憶材料が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】 形状記憶材料がヘルメットの中心サジタル断面線に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のヘルメット。
【請求項4】 形状記憶材料が、外側シェルから構成されるヘルメットの頭頂部を実質的に覆うように配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のヘルメット。
【請求項5】 形状記憶材料が、ヘルメットの外側シェルが衝撃を受けて、オーステナイト相からマルテンサイト相へ変態するのに適していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のヘルメット。
【請求項6】 ヘルメットの外側シェルを構成する複合材料が、織って成る複合材料であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のヘルメット。
【請求項7】 高い衝撃吸収能力を備えた複合材料であって、少なくとも1層の複合材料層と、該少なくとも1層の複合材料層と接着するのに適している少なくとも1層の高分子発泡体から成るライニング材料と、を含み、上記少なくとも1層の複合材料層に埋め込むのに適した少なくとも1層の形状記憶材料層を含み、上記少なくとも1層の形状記憶材料の繊維がオーステナイト相からマルテンサイト相へ変態するのに適していることを特徴とする複合材料。
【請求項8】 少なくとも1層の複合材料層が高分子マトリクスと、繊維強化材料と、を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の複合材料。
【請求項9】 少なくとも1層の形状記憶材料がNi−Ti合金から成ることを特徴とする請求項7に記載の複合材料。
【請求項10】 上記の形状記憶材料が、未変形状態ではオーステナイト相であり、上記少なくとも1層の形状記憶材料層に作用する変形によって、オーステナイト相からマルテンサイト相へ変態することを特徴とする請求項7に記載の複合材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝撃吸収能力を高めたヘルメットに関する。特に、従来型のヘルメットに比べて衝撃吸収能力を高めたヘルメットに関する。
【0002】
【従来の技術】現在知られているヘルメットは、外側シェルで形成されており、その内側には、ヘルメットが衝突中に受ける衝撃エネルギーの大部分を吸収するように設計されたライニング層を裏張りしている。しかしながら、外側シェルも衝撃エネルギーの一部を吸収する。
【0003】内側ライニングは、一般に、良好なエネルギー吸収特性を有する高分子発泡体によって作られている。特に、内側ライニングは、発泡ポリスチレン(EPS)で形成される。
【0004】ヘルメットの外側シェルは、複合材料から形成される。これは、その複合材料が高い比剛性率、すなわち比重に対する剛性率の比を有するからである。それにも拘らず、複合材料は、実際には丈夫ではないことが知られている。なぜなら、それらは衝撃中に、限られた塑性変形を受け、繊維/高分子マトリクスの剥離と損傷を含めたメカニズムを通じて、エネルギーをただ分散させるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この認識にもかかわらず、ヘルメットの外側シェルのレベルで、その塑性変形を通じて、衝撃エネルギーの分散を大きく改善することは考えられていない。もしそれが起きれば、すなわち、もし外側シェルが相当の塑性変形を受けるようなことが起これば、そのような塑性変形は、内側ライニングの発泡体層にその緻密化点を超えて伝わる。ヘルメットを装着した使用者の頭部に、大きな力、すなわち大きな減速力が誘導される。事実、理論的には外側シェルは、非常に限られた変形で衝撃エネルギーの一部を分散しなくてはならない。
【0006】本発明の目的は、特に、外側シェルに関して、増加した衝撃吸収能力を有するヘルメットを提供するものである。この目的において、本発明の目的は、外側シェルの方で、高い衝撃吸収性と、高分子発泡体から成る内側ライニング層への塑性変形の抑えられた伝播とを組合わせたヘルメットを提供することである。
【0007】本発明の別の目的は、内側ライニング層の方でエネルギー吸収を減少させた結果、そのライニング層が従来型のヘルメットより小さい塑性変形を受けるようにしたヘルメットを提供することである。
【0008】本発明の別の目的は、従来型のヘルメットで現在備えられている安全性能より高い安全性能を有するヘルメットを提供することである。
【0009】本発明の別の目的は、高い信頼性を備え、比較的製造が容易で、競争価格でヘルメットを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】以下でより明らかになるこれらの目的は、複合材料からなる外側シェルと、外側シェルと結合して、使用者の頭部の側に装着されるのに適した内側ライニング体とを含み、内側ライニング体が高分子発泡体から成るヘルメットであって、ヘルメットがヘルメットの外側シェルを構成する上記の複合材料の内部に埋め込まれた形状記憶材料を含むことを特徴とする高い衝撃吸収性を備えたヘルメットによって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のさらなる特徴と利点は、以下に記載の、好ましいが、しかしそれに限定されない本発明に係るヘルメットの実施形態の詳細な説明によって、明らかになるであろう。
【0012】本発明に係るヘルメットは、特にバイク、自動車レース、その他同様な用途に用いられ、複合材料で好ましくは織成された型から形成されて内側に内側ライニング体が接着された外側シェルと、優れたエネルギー吸収特性を有する高分子発泡体から成るライニング体と、を備えている。好ましくは、内側ライニング体は、発泡ポリスチレン(EPS)や他の材料から形成される。
【0013】本発明の特徴は、複合材料で形成された外側シェルの中に、形状記憶材料から成る繊維が備えられて、特に、複合材料層に形状記憶材料を少なくとも一層を含んでいることにある。ここでは「複合材料層」と称しているが、実際には、複数の層で構成されている。
【0014】1又は2以上の形状記憶材料層は、ヘルメットの外側シェルへの衝撃作用の結果、オーステナイト相からマルテンサイト相へ変態するようなものが好都合である。実際、ヘルメット、特に外側シェルへ衝撃を通じて伝播したエネルギーの少なくとも一部は、形状記憶材料をオーステナイト相からマルテンサイト相に変化するような変態を引き起こし、衝撃で生じたエネルギーのうち残りの部分だけが、高分子発泡体の内側ライニングに伝播される。
【0015】形状記憶材料の層の配置は、非常に重要である。それは、衝撃過程で、その衝撃によって生じる応力を形状記憶材料層のできるだけ広い領域に作用させて衝撃エネルギーを可能な限り吸収して、そして、衝撃エネルギーのうちほんの一部だけが高分子発泡体の内部層に到達させるためである。
【0016】この目的のために、ヘルメットの場合には、種々の配置と形状の強化プレスを備えることが可能である。例えば、ヘルメットの全ての中心サジタル断面に沿って配置した層を備えることができる。しかし、外側シェルの複合材料中に挿入された該形状記憶材料の層は、外側シェルの成型の過程で好ましくない移動を生じる可能性がある。ヘルメットの外側シェルの頭頂部全てを覆うように配置するように、1層又は多層の形状記憶材料層を備えるように工夫するのがよい。
【0017】この手法によって、形状記憶材料層が、衝撃があったときに通常最も強い応力が加わる範囲を覆うであろう。
【0018】形状記憶材料層は、形状記憶材料層の繊維が圧縮力の代わりに引張り力の下で機能できるように、1又は2以上のヘルメットの中間面より下に配置されると好ましい。さらに好ましくは、形状記憶材料層の下に別の繊維強化層を配置して、複合材料層に高分子マトリクスと繊維強化材料とを備えるとよい。そうすることによって、形状記憶材料層が、ヘルメットの外側シェルを形成する複合部材の一部と置き換えた高分子マトリクス単独で保持されずにすむ。
【0019】上記で説明したことに加えて、形状記憶材料から成る1又は2以上の層、好ましくはNi−Ti合金(例えばNitinol;Nickel Titanium Naval Ordinance Laboratory、商品名)などから成る1又は2以上の層の挿入すると、高分子発泡体の内側層を高密度化した位置から離れた状態で保持できる利点がある。それは、従来のヘルメットのタイプのように高分子発泡体層に応力を加えるエネルギーとして蓄える代わりに、マルテンサイト変態を生じるために衝撃エネルギー(衝撃の場合)の一部を分散するからである。これは、シェルの外部と内部の両方が、衝撃の過程で比較的小さい変形で済むという事実を導く。
【0020】本発明に従って実施するヘルメットの製造方法においては、ヘルメットの外側シェルに通気孔を形成する時期を考慮する必要があり、そのような通気孔は、形状記憶材料層中にも同時に形成されるのが好ましい。もし、形状記憶材料を複合材料層に既に挿入した後に、これらの通気孔を設けるならば、後に余分な材料を除去するのが難しいからである。
【0021】従って、形状記憶材料層に予めそれらの通気孔を形成する必要があり、そうするときには、製造工程の間に、ヘルメットの外側シェルを構成する複合材料中で形状記憶材料層が動くのは避け難いこと、さらにその層の起こり得る位置決めの誤差を考慮する必要がある。
【0022】その後のヘルメットの外側シェルに形成された孔との実質的に一致することを確実にするために、形状記憶材料層に形成される孔は、どんな場合にも外側シェルの穴と位置が合わせられるように、大きめにすべきである。
【0023】このように考案されたヘルメットは、多くの変形やバリエーションが可能であり、それらの全てが添付された請求の範囲に内包される。細部の全ては、さらに、他の技術的等価な要素で置き換え可能である。
【0024】
【発明の効果】実際に、本発明のヘルメットは、解決しようとした課題や目的を十分に成し遂げることがわかった。本発明は、ヘルメットの複合材料層の中に、少なくとも1層の形状記憶材料を埋め込むことによって、そうでなければヘルメット内部の高分子発泡体に直接伝播されたであろう衝撃のエネルギーの一部を吸収することができるので、従来のヘルメットよりも頭部の衝撃安全性が高いヘルメットになる。
【0025】形状記憶材料が、衝撃を受けたときに最も大きい応力が加わるヘルメット頭頂部を実質的に覆うように配置されるので、ヘルメット装着者の頭部を保護する機能が高くできる。実質的に頭頂部を覆うには、例えばヘルメットのサジタル断面線に沿って形状記憶材料を配置することができる。
【0026】形状記憶材料に、ヘルメットの外側シェルへの衝撃作用によってオーステナイト相からマルテンサイト相へ変態する材料を用いることにより、衝撃エネルギーの一部をマルテンサイト変態によって分散できるので、高分子発泡体の内側ライニングに伝播するエネルギーの量を減少させることができる。
【0027】複合部材の一部を高分子マトリクスに置き換え、さらに形状記憶材料層とは別の繊維強化層を配置することにより、形状記憶材料層を強化繊維と高分子マトリクスとで保持することができる。それによって、衝撃に対してさらに一層頭部の防護ができ、安全性を確保できる。
【出願人】 【識別番号】502205651
【氏名又は名称】オメガ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】OMEGA S.r.l.
【識別番号】502205190
【氏名又は名称】アジヴ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】AGV S.p.A.
【出願日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開2002−371424(P2002−371424A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2002−167285(P2002−167285)