| 【発明の名称】 |
スイミングキャップ |
| 【発明者】 |
【氏名】森 健次朗
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| 【要約】 |
【課題】スイミングキャップにおいて、表面摩擦抵抗を効果的に低減させる。
【解決手段】スイミングキャップ本体2と、その前頭部から頭頂部をへて後頭部にかけて形成され、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部3aからなる第1の凸条群30と、第1の凸条群30の左右両側において、スイミングキャップ本体2の前頭部から側頭部をへて後頭部にかけて形成され、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部3aからなる第2,第3の凸条群31,32とからスイミングキャップ1を構成する。この場合には、第1ないし第3の凸条群30,31,32が、スイミングキャップ本体2の前頭部に配置された放射点Rから放射状に延びている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スイミングキャップであって、スイミングキャップ本体と、前記スイミングキャップ本体の前頭部から頭頂部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第1の凸条群または第1の凹条群と、前記スイミングキャップ本体において前記第1の凸条群または前記第1の凹条群の左右両側に配置され、それぞれ前記スイミングキャップ本体の前頭部から側頭部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第2,第3の凸条群または第2,第3の凹条群と、を備えたスイミングキャップ。 【請求項2】 請求項1に記載のスイミングキャップにおいて、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部または頭頂部に配置された放射点を中心として放射状に延びている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項3】 請求項2に記載のスイミングキャップにおいて、前記放射点が、前記スイミングキャップ本体の前記側頭部の下縁中央の点を中心として前記スイミングキャップ本体の下縁から上方に測った角度20〜90度の範囲内に配置されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項4】 請求項2に記載のスイミングキャップにおいて、前記放射点が、前記スイミングキャップ本体の前記側頭部の下縁中央の点を中心として前記スイミングキャップ本体の下縁から上方に測った角度45〜65度の範囲内に配置されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項5】 スイミングキャップであって、スイミングキャップ本体と、前記スイミングキャップ本体の前頭部から頭頂部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第1の凸条群または第1の凹条群と、前記スイミングキャップ本体において前記第1の凸条群または前記第1の凹条群の左右両側に配置され、それぞれ前記スイミングキャップ本体の前頭部から側頭部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第2,第3の凸条群または第2,第3の凹条群とを備え、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部に配置された放射点を中心として放射状に延びるとともに、前記第2,第3の凸条群または前記第2,第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部は、その前側部分が前記スイミングキャップ本体の下縁部と交差する斜め上方に延びるとともに、後側部分が前記前側部分の末端から屈曲して前記スイミングキャップ本体の前記下縁部と平行に延びている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項6】 請求項1に記載のスイミングキャップにおいて、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて連続して形成されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項7】 請求項1に記載のスイミングキャップにおいて、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて断続的に形成されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項8】 請求項1に記載のスイミングキャップにおいて、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部により形成される溝部が、矩形状、台形状、三角形状または円弧状の断面を有している、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項9】 請求項8に記載のスイミングキャップにおいて、前記溝部の断面形状が、深さ20〜400μm、幅50〜1000μm、ピッチ100〜2000μmで形成されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載のスイミングキャップにおいて、前記スイミングキャップ本体の前記後頭部には、複数の突起からなる突起群が形成されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項11】 請求項10に記載のスイミングキャップにおいて、前記突起が1.0〜3.0mmの径を有している、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項12】 請求項10に記載のスイミングキャップにおいて、前記突起が約2.0mmの径を有している、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項13】 請求項10ないし12のいずれかに記載のスイミングキャップにおいて、前記突起の高さが0.5〜2.0mmである、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項14】 請求項10ないし12のいずれかに記載のスイミングキャップにおいて、前記突起の高さが約1.0mmである、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項15】 請求項10に記載のスイミングキャップにおいて、前記突起群を構成する各突起が、水泳時の水の流れ方向に対して千鳥状に配列されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。 【請求項16】 請求項1ないし15のいずれかに記載のスイミングキャップにおいて、前記スイミングキャップ本体、および前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群が、ドーム状の金型を用いて一体成形されている、ことを特徴とするスイミングキャップ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スイミングキャップにおいて、水泳時の抵抗を削減させる技術に関する。 【0002】 【従来の技術およびその課題】1/100秒のタイムを争う水泳競技においては、競泳時に生じる抵抗をいかに削減させるかが重要な課題になっており、その抵抗の中で泳者の頭部の抵抗が占める割合は比較的大きく、スイミングキャップの抵抗削減は記録向上に欠かせないものになっている。 【0003】一般に、水泳競技において、競泳中に泳者が受ける抵抗は、表面摩擦抵抗、形状抵抗および造波抵抗の総和であるが、これらの抵抗の中でスイミングキャップが影響を受けるのは、主に表面摩擦抵抗および形状抵抗である。 【0004】スイミングキャップの表面摩擦抵抗を低減させる技術としては、実公平5−38006号公報に示すようなものが提案されており、同公報に示すものでは、水泳時の水の流れ方向と平行な方向に微細な凹凸条を有する非通気通水性シートをスイミングキャップの一部に設けており、これにより、スイミングキャップの表面を流れる水流を整流して抵抗を低減させようとしている。 【0005】しかしながら、上記公報では、頭頂部を通って前後方向に帯状に延びる凹凸条が形成されたスイミングキャップが示されているだけであり、この帯状の凹凸条のみでは競泳時における抵抗(すなわち、表面摩擦抵抗)の低減には、十分ではない。また、この場合には、凹凸条の占める割合がスイミングキャップ全体の表面積の10%程度しかないので、十分な整流効果が得られない。 【0006】その一方、スイミングキャップの形状抵抗を低減させる技術としては、特開平10−18120号公報に示すようなものが提案されている。同公報に示すものでは、微細な突起からなる突起群をスイミングキャップの後頭部に設けており、これにより、スイミングキャップの表面を流れる水流を乱して乱流とし、水流の剥離位置を後退させて、形状抵抗を低減させようとしている。 【0007】しかしながら、上記公報に示すものでは、形状抵抗の低減を主目的としているため、スイミングキャップの表面を流れる水流を整流させることについては全く考慮されていない。 【0008】本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、表面摩擦抵抗を効果的に低減できるスイミングキャップを提供することを目的とする。本発明の他の目的は、スイミングキャップにおいて、表面摩擦抵抗を効果的に低減させつつ、整流作用と相俟って形状抵抗を低減させることにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るスイミングキャップは、スイミングキャップ本体と、前記スイミングキャップ本体の前頭部から頭頂部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第1の凸条群または第1の凹条群と、前記スイミングキャップ本体において前記第1の凸条群または前記第1の凹条群の左右両側に配置され、それぞれ前記スイミングキャップ本体の前頭部から側頭部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第2,第3の凸条群または第2,第3の凹条群とを備えている。 【0010】請求項2の発明に係るスイミングキャップは、請求項1において、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部または頭頂部に配置された放射点を中心として放射状に延びていることを特徴としている。 【0011】請求項3の発明に係るスイミングキャップは、請求項2において、前記放射点が、前記スイミングキャップ本体の前記側頭部の下縁中央の点を中心として前記側頭部の下縁から上方に測った角度20〜90度の範囲内に配置されていることを特徴としている。 【0012】請求項4の発明に係るスイミングキャップは、請求項2において、前記放射点が、前記スイミングキャップ本体の前記側頭部の下縁中央の点を中心として前記側頭部の下縁から上方に測った角度45〜65度の範囲内に配置されていることを特徴としている。 【0013】請求項5の発明に係るスイミングキャップは、スイミングキャップ本体と、前記スイミングキャップ本体の前頭部から頭頂部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第1の凸条群または第1の凹条群と、前記スイミングキャップ本体において前記第1の凸条群または前記第1の凹条群の左右両側に配置され、それぞれ前記スイミングキャップ本体の前頭部から側頭部をへて後頭部にかけて形成されるとともに、水泳時の水の流れ方向と平行に延びる複数の凸条部または凹条部からなる第2,第3の凸条群または第2,第3の凹条群とを備えている。そして、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部に配置された放射点を中心として放射状に延びている。さらに、前記第2,第3の凸条群または前記第2,第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部は、その前側部分が前記スイミングキャップ本体の下縁部と交差する斜め上方に延びるとともに、後側部分が前記前側部分の末端から屈曲して前記スイミングキャップ本体の前記下縁部と平行に延びている。 【0014】請求項6の発明に係るスイミングキャップは、請求項1において、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて連続して形成されていることを特徴としている。 【0015】請求項7の発明に係るスイミングキャップは、請求項1において、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部が、前記スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて断続的に形成されていることを特徴としている。 【0016】請求項8の発明に係るスイミングキャップは、請求項1において、前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群を構成する前記各凸条部または前記各凹条部により形成される溝部が、矩形状、台形状、三角形状または円弧状の断面を有していることを特徴としている。 【0017】請求項9の発明に係るスイミングキャップは、請求項8において、前記溝部の断面形状が、深さ20〜400μm、幅50〜1000μm、ピッチ100〜2000μmで形成されていることを特徴としている。 【0018】請求項10の発明に係るスイミングキャップは、請求項1ないし9のいずれかにおいて、複数の突起からなる突起群が前記スイミングキャップ本体の前記後頭部に形成されていることを特徴としている。 【0019】請求項11の発明に係るスイミングキャップは、請求項10において、前記突起が1.0〜3.0mmの径を有していることを特徴としている。 【0020】請求項12の発明に係るスイミングキャップは、請求項10において、前記突起が約2.0mmの径を有していることを特徴としている。 【0021】請求項13の発明に係るスイミングキャップは、請求項10ないし12のいずれかにおいて、前記突起の高さが0.5〜2.0mmであることを特徴としている。 【0022】請求項14の発明に係るスイミングキャップは、請求項10ないし12のいずれかにおいて、前記突起の高さが約1.0mmであることを特徴としている。 【0023】請求項15の発明に係るスイミングキャップは、請求項10において、前記突起群を構成する各突起が、水泳時の水の流れ方向に対して千鳥状に配列されていることを特徴としている。 【0024】請求項16の発明に係るスイミングキャップは、請求項1ないし15のいずれかにおいて、前記スイミングキャップ本体、および前記第1ないし第3の凸条群または前記第1ないし第3の凹条群が、ドーム状の金型を用いて一体成形されていることを特徴としている。 【0025】ところで、本件出願に係る発明者らは、人頭ダミーを用いた流水テストを行った結果、競泳中に泳者の頭部表面を流れる水流が、前頭部から頭頂部をへて後頭部にかけて流れる前後方向の流れと、前頭部から両側頭部をへて後頭部にかけて流れる前後方向の流れとを有していることが分かった。 【0026】請求項1の発明は、このようなテスト結果に基づいてなされたものであって、請求項1の発明に係るスイミングキャップによれば、スイミングキャップの頭頂部を通って水流方向と平行に第1の凸(凹)条群が形成されるとともに、その左右両側において側頭部を通り水流方向と平行に第2,第3の凸(凹)条群が形成されている。 【0027】この場合には、第1の凸(凹)条群により、スイミングキャップの頭頂部をとおって前後方向に流れる水流が整流されて表面摩擦抵抗が低減されるのみならず、第2,第3の凸(凹)条群により、スイミングキャップの側頭部をとおって前後方向に流れる水流をも整流されて、表面摩擦抵抗が低減される。これにより、競泳時において、スイミングキャップ全体の表面摩擦抵抗を効果的に低減させることができる。 【0028】一方、上記流水テスト結果をさらに詳細に検討すると、競泳中に泳者の前頭部に衝突した水流は、後頭部に向かって放射状に流れることも分かった。 【0029】請求項2の発明は、このような観点からなされたもので、第1ないし第3の凸(凹)条群を構成する各凸(凹)条部が、スイミングキャップ本体の前頭部または頭頂部に配置された放射点を中心として放射状に延びている。この放射点は、競泳中に泳者の頭部に当たる水流の中心点に対応している。したがって、この場合には、スイミングキャップの前頭部または頭頂部に当たって頭頂部側に流れる水流と、両側頭部側に流れる水流との双方に対して、効果的に整流作用を及ぼすことができ、その結果、競泳時において、スイミングキャップ全体の表面摩擦抵抗をより効果的に低減させることができる。 【0030】なお、請求項2の発明においては、第1ないし第3の各凸(凹)条群の間に別の凸(凹)条群を配設することによって、スイミングキャップ本体のほぼ全面に凸(凹)条群が形成されるようにしてもよい。 【0031】上記放射点の上下方向の位置は、上記流水テスト結果の考察により、請求項3の発明に記載されているように、スイミングキャップ本体の側頭部の下縁中央の点を中心として側頭部の下縁から上方に測った角度20〜90度の範囲内に配置されているのが好ましいが、この角度は、請求項4の発明に記載されているように、角度45〜65度の範囲内が最適である。 【0032】請求項5の発明に係るスイミングキャップによれば、スイミングキャップの頭頂部を通って水流方向と平行に第1の凸(凹)条群が形成され、その左右両側において側頭部を通り水流方向と平行に第2,第3の凸(凹)条群が形成されるとともに、第1ないし第3の凸(凹)条群を構成する各凸(凹)条部が、スイミングキャップ本体の前頭部に配置された放射点を中心として放射状に延びており、さらに、第2,第3の凸(凹)条群を構成する各凸(凹)条部の前側部分がスイミングキャップ本体の下縁部と交差する斜め上方に延びるとともに、後側部分が前側部分の末端から屈曲して前記スイミングキャップ本体の下縁部と平行に延びている。 【0033】この場合には、請求項2の発明と同様に、スイミングキャップの表面を前後方向に流れる水流のほとんどすべてが整流されることによって、競泳時において、スイミングキャップ全体の表面摩擦抵抗をより効果的に低減させることができるばかりでなく、とくに平泳ぎやクロールなどのように、競泳中に泳者の頭の入水角度が変化した場合にも整流作用を発揮することができる。すなわち、第2,第3の凸(凹)条群を構成する各凸(凹)条部の後側部分が、前側部分の末端から屈曲してスイミングキャップ本体の下縁部と平行に延びていることにより、泳者の頭が競泳中に水面から浮き上がっている場合に、この後側部分によって側頭部を流れる水流を整流することができる。 【0034】第1ないし第3の凸(凹)条群を構成する各凸(凹)条部は、請求項6の発明に記載されているように、スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて連続して形成されているのが好ましいが、請求項7の発明に記載されているように、スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて断続的に形成されていてもよい。 【0035】第1ないし第3の凸(凹)条群を構成する各凸(凹)条部により形成される溝部は、請求項8の発明に記載されているように、矩形状、台形状、三角形状または円弧状の断面を有している。 【0036】前記溝部の断面形状は、請求項9の発明に記載されているように、深さ20〜400μm、幅50〜1000μm、ピッチ100〜2000μmで形成されているのが好ましい。 【0037】請求項10の発明では、スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて前後方向に形成された第1ないし第3の凸(凹)条群の他に、スイミングキャップ本体の後頭部に、複数の突起からなる突起群が形成されている。この場合には、スイミングキャップの表面を流れる水流が、前頭部から後頭部にかけて整流されてこの整流作用により表面摩擦抵抗を低減できるとともに、後頭部の突起群により乱されることによって乱流となり、水流のスイミングキャップからの剥離位置が後退して、形状抵抗を低減できる。 【0038】しかも、この場合には、スイミングキャップの前頭部および頭頂部側で整流された水流が後頭部に流入するので、後頭部側で効果的に(たとえば、前後方向および左右方向の所望位置において)乱流を発生させて、水流の剥離位置を設定することが可能となる。これにより、乱流の制御が容易になる。 【0039】突起の径は、上記流水テストの結果等から、請求項11の発明に記載されているように、1.0〜3.0mmであることが好適であり、請求項12の発明に記載されているように、2.0mm程度が最適であることが分かっている。 【0040】突起の高さは、同様に、上記流水テストの結果等から、請求項13の発明に記載されているように、0.5〜2.0mmであることが好適であり、請求項14の発明に記載されているように、1.0mm程度が最適であることが分かっている。 【0041】請求項15の発明においては、突起群を構成する各突起が、水泳時の水の流れ方向に対して千鳥状に配列されている。この場合には、スイミングキャップの表面を後頭部側に向かって流れる水流は、まず、水流方向の手前側に配置された第1列目の複数の突起に当たって、流れを乱されながら後方に流れていく。第1列目の突起に当たって流れを乱された水流は、第1列目の複数の突起に対して千鳥状に配列された第2列目の複数の突起により、さらに流れを乱されながら後方へ流れていく。このように、突起群を構成する各突起を水流方向に対して千鳥状に配置することにより、スイミングキャップの後頭部を流れる水流を一層効果的に乱すことができるようになる。 【0042】請求項16の発明においては、スイミングキャップ本体および第1ないし第3の凸(凹)条群がドーム状、すなわち概略半球状の金型を用いて一体成形されている。この場合には、スイミングキャップを着用した状態に近い状態でスイミングキャップ本体の成形および第1ないし第3の凸(凹)条群の成形が行われるので、スイミングキャップの着用時にスイミングキャップにしわが発生して抵抗が増大するのを防止できるとともに、第1ないし第3の凸(凹)条群による所望の作用効果を効果的に発揮できるようになる。 【0043】これに対して、平板状の金型を用いて、スイミングキャップ本体および第1ないし第3の凸(凹)条群を成形した場合には、スイミングキャップの着用時にスイミングキャップにしわが発生しやすくなり、このしわが競泳時の抵抗になりかねない。またスイミングキャップにしわが発生した場合には、第1ないし第3の凸(凹)条群が所望の作用効果を発揮し得なくなるおそれがある。 【0044】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施態様によるスイミングキャップの全体斜視図、図2はその正面(前面)図、図3は側面図、図4は背面(後面)図、図5は平面(上面)図、図6は凸条群の一部拡大図、図7は図6のVII-VII 線断面図、図8は図7の変形例を示す図、図9および図10は各凸条群が放射状に拡がっている状態を説明するための図である。 【0045】図1ないし図5に示すように、このスイミングキャップ1は、ドーム状に立体成形されたスイミングキャップ本体2と、スイミングキャップ本体2の前頭部から頭頂部または側頭部をへて後頭部にかけて複数本配設されるとともに、それぞれ複数の凸条部から構成された凸条群3と、スイミングキャップ本体2の後頭部に設けられた複数個の突起40からなる突起群4とを有している。 【0046】スイミングキャップ本体2は、シリコーン、ポリウレタン、各種ラバーなどの伸縮性を有する素材から構成されている。凸条群3は、図5に示すように、頭頂部を通る第1の凸条群30と、その左右両側方に配置され、側頭部を通る第2,第3の凸条群31,32とから構成されている。 【0047】第1ないし第3の凸条群30,31,32は、図6および図7に示すように、一定間隔を隔てて離間配置された複数本の凸条部3aを有している。隣り合う各凸条部3aの間には、溝部3bが形成されている。これら凸条部3aおよび溝部3bの配設方向は、水泳時の水の流れ方向と平行になっている。また、本実施態様では、各凸条部3aが、スイミングキャップ2の前頭部から後頭部にかけて、適当な長さごとに断続して形成されているが(図6中の隙間部分3c参照)、これは連続して形成されていてもよい。なお、隙間部分3cの形状は、図6に示すような平面視山形形状に限定されるものではなく、横方向に直線状に延びていてもよい。 【0048】溝部3bの断面形状は、図7に示すような矩形状に限らず、台形状、三角形状または円弧状であってもよい。また、溝部の断面形状は、深さ20〜400μm、幅50〜1000μm、ピッチ100〜2000μmであることが好適である。なお、ここで、ピッチとは、隣り合う溝部間の距離を意味している。 【0049】なお、凸条部3aを形成するかわりに、図8に示すように、各凸条部3aの位置に凹条部3a′を形成するようにしてもよい。この場合、隣り合う各凹条部3a′の間には、凸条部3b′が形成される。また、これら凹条部3a′により、第1ないし第3の凹条群が構成されることになる。 【0050】第1ないし第3の凸条群30,31,32は、図9および図10に示すように、スイミングキャップ本体2の前頭部または頭頂部に配置された放射点Rから放射状に延びている。この放射点Rは、競泳中に泳者の頭部に当たる水流の中心点に対応している。また、放射点Rは、スイミングキャップ本体2の側頭部の下縁中央の点Oを中心としてスイミングキャップ本体2の下縁2aから上方に測った角度20〜90度の範囲内に配置されているのが好ましく、この角度は、45〜65度の範囲内に配置されている方がより好ましい。 【0051】突起群4を構成する突起40の径は、1.0〜3.0mmが好適であり、2.0mm程度が最適である。突起40の高さは、0.5〜2.0mmが好適であり、1.0mm程度が最適である。また、突起群4を構成する各突起40は、図4に明確に示されているように、水泳時の水の流れ方向に対して千鳥状に配列されている。すなわち、偏平な逆V字状に配列された第1列目の複数の突起に対して、第2列目の複数の突起が千鳥状に配列されており、同様に、第3列目の複数の突起が第2列目の複数の突起に対して千鳥状に配列されている。 【0052】次に、本実施態様の作用効果について説明する。競泳中には、凸条群3のうちの第1の凸条群30により、スイミングキャップ本体2の頭頂部をとおって前後方向に流れる水流が整流されて表面摩擦抵抗が低減されるとともに、第2,第3の凸条群31,32により、スイミングキャップ本体2の側頭部をとおって前後方向に流れる水流をも整流されて、表面摩擦抵抗が低減される。これにより、競泳時において、スイミングキャップ全体の表面摩擦抵抗が効果的に低減する。 【0053】しかも、この場合には、第1ないし第3の凸条群が、スイミングキャップ本体2の前頭部に配置された放射点Rを中心として放射状に延びている。これにより、スイミングキャップの前頭部に当たって頭頂部側に流れる第1の水流と、側頭部側に流れる第2の水流との双方に対して、効果的に整流作用を及ぼすことができ、その結果、競泳時において、スイミングキャップ全体の表面摩擦抵抗をより効果的に低減させることができる。 【0054】さらに、スイミングキャップ本体2の後頭部に複数の突起からなる突起群4が形成されているので、これらの突起群4により、スイミングキャップの表面を流れる水流が乱されることによって乱流となり、水流のスイミングキャップからの剥離位置が後退して、形状抵抗を低減できる。 【0055】しかも、この場合には、スイミングキャップの頭頂部および側頭部側で整流された水流が後頭部に流入することになるので、後頭部側で効果的に(たとえば、前後方向および左右方向の所望位置において)乱流を発生させて、水流の剥離位置を設定することが可能となる。これにより、乱流の制御が容易になる。 【0056】また、突起群4を構成する各突起40が、水の流れ方向に対して千鳥状に配列されているので、スイミングキャップの表面を後頭部側に向かって流れる水流は、まず、水流方向の手前側に配置された第1列目の複数の突起40に当たって、流れを乱されながら後方に流れていく。第1列目の突起40に当たって流れを乱された水流は、第1列目の複数の突起40に対して千鳥状に配列された第2列目の複数の突起40により、さらに流れを乱されながら後方へ流れていく。このように、突起群4を構成する各突起40を水流方向に対して千鳥状に配置することにより、スイミングキャップの後頭部を流れる水流を一層効果的に乱すことができるようになる。 【0057】本実施態様のようにスイミングキャップ本体2に第1ないし第3の凸条群30,31,32と突起群4とを形成したスイミングキャップの場合と、これら凸条群および突起群を形成していない従来のスイミングキャップの場合とで、人頭ダミーを用いて同一速度の流水中で流水テストを行い、ダミーが受ける抵抗係数を比較すると、本実施態様のスイミングキャップの方が従来のスイミングキャップよりも2%抵抗が低かった。 【0058】さらに、この場合には、スイミングキャップ本体2および第1ないし第3の凸条群30,31,32がドーム状、すなわち概略半球状の金型を用いて一体成形されているので、スイミングキャップを着用した状態に近い状態でスイミングキャップ本体2の成形および第1ないし第3の凸条群30,31,32の成形が行われるようになる。これにより、スイミングキャップの着用時にスイミングキャップにしわが発生して抵抗が増大するのを防止できるとともに、第1ないし第3の凸条群30,31,32による所望の作用効果を効果的に発揮させることができる。 【0059】これに対して、平板状の金型を用いて、スイミングキャップ本体2および第1ないし第3の凸条群30,31,32を成形した場合は、スイミングキャップの着用時にスイミングキャップにしわが発生しやすくなり、このしわが競泳時の抵抗になりかねない。またスイミングキャップにしわが発生した場合には、第1ないし第3の凸条群30,31,32が所望の作用効果を発揮し得なくなるおそれがある。 【0060】図11は、本発明の他の実施態様によるスイミングキャップを示す側面図である。同図において、前記実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。 【0061】この実施態様では、スイミングキャップ本体2の側頭部に配設される凸条群が屈曲した形状を有している点が前記実施態様と大きく異なっている。すなわち、この場合には、第2,第3の凸条群を構成する各凸条部の前側部分32aがスイミングキャップ本体2の下縁2aと交差する斜め上方に延びるとともに、後側部分32bが前側部分32aの末端から屈曲してスイミングキャップ本体2の下縁2aと平行に延びている。 【0062】この実施態様によれば、とくに平泳ぎやクロールなどのように、競泳中に泳者の頭の入水角度が変化した場合にも整流作用を発揮することができる。すなわち、側頭部の凸条部の後側部分32bが、前側部分32aの末端から屈曲してスイミングキャップ本体の下縁2aと平行に延びていることにより、泳者の頭が競泳中に水面から浮き上がっている場合に、この後側部分32bによって側頭部を流れる水流を整流することができる。 【0063】なお、前記実施態様および前記他の実施態様では、スイミングキャップ本体2の一部に凸条群が形成された例を示したが、図12に示すように、スイミングキャップ本体2のほぼ全面が凸条群によって覆われたものにも同様に本発明を適用できる。図12では、第1ないし第3の凸条群30,31,32を構成する各凸条群の間に、別の凸条群34をほぼ隙間なく配設している。この場合には、競泳中に泳者の頭に当たって後頭部側に放射状に流れるほぼすべての水流に対して効果的に整流作用を及ぼすことが可能になる。 【0064】 【発明の効果】以上のように、本発明に係るスイミングキャップによれば、スイミングキャップの頭頂部を通って水流方向と平行に第1の凸(凹)条群を形成するとともに、その左右両側において側頭部を通り水流方向と平行に第2,第3の凸(凹)条群を形成するようにしたので、スイミングキャップ全体の表面摩擦抵抗を効果的に低減できる効果がある。 【0065】また、本発明に係るスイミングキャップによれば、スイミングキャップ本体の前頭部から後頭部にかけて前後方向に第1ないし第3の凸(凹)条群を形成するとともに、複数の突起からなる突起群をスイミングキャップ本体の後頭部に形成するようにしたので、表面摩擦抵抗を効果的に低減させつつ、整流作用と相俟って形状抵抗を低減できる効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005935 【氏名又は名称】美津濃株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月3日(2000.7.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103241 【弁理士】 【氏名又は名称】高崎 健一
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| 【公開番号】 |
特開2002−20923(P2002−20923A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月23日(2002.1.23) |
| 【出願番号】 |
特願2000−201517(P2000−201517) |
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