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【発明の名称】 釦付け糸の止め方法およびヒートカット用糸切り鋏
【発明者】 【氏名】北岡 春男

【要約】 【課題】釦付け糸の結び解けを防止でき、その糸先のばらけも防止可能な釦付け糸の止め方法を提案すること。

【解決手段】釦8を付けた後に、釦付け糸の両端部分82a、82bを結んで絞り込んだ後に、その結び目83から伸びている余長部分84a、84bを、らせん状に巻かれたヒータ線51を備えたヒートカット用糸切り鋏1を用いてヒートカットする。らせん状に巻かれたヒータ線51で余長部分84a、84bをヒートカットすると、それらの切り口部分85a、85bは溶融して丸く膨らみ、そのまま固まった状態になる。この丸く膨らんで固まった部分が、ストッパーとして機能して、結び解けが防止される。同時に、糸先部分は溶融状態で固まっているので、糸先の切り口がばらけることも防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 釦付け後に、釦付け糸の端部を結んで絞り込んだ後に、当該釦付け糸の余長部分を、らせん状に巻かれたヒータ線を用いてヒートカットすることを特徴とする釦付け糸の止め方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法に用いるヒートカット用糸切り鋏であって、支軸を中心として開閉する一対の刃と、釦付け糸をヒートカットするためのヒータ部と、このヒータ部を加熱するための給電部とを有し、前記ヒータ部は、一方の前記刃の刃先部分に取付けられ、当該刃先部分の刃筋方向に沿ってらせん状に巻かれたヒータ線を備えていることを特徴とするヒートカット用糸切り鋏。
【請求項3】 請求項2において前記ヒータ線が前記刃先部分に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とするヒートカット用糸切り鋏。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紳士服、婦人服上衣等の釦付け糸の結び解け及び糸先のばらけを防止可能な釦付け糸の止め方法に関するものである。また、本発明はかかる方法に用いるのに適したヒートカット用糸切り鋏に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紳士服、婦人服上衣等に釦を取付けた際の糸の端部分は、1、2回結んで絞って締め付けられる。結び位置から伸びている余長部分は、一般に、結び位置から0.3cm〜0.5cmの所で鋏で切断される。また、釦付け糸としては、合成繊維からなるものが一般に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、釦付け糸の端末の結び目は、合成繊維製の糸の場合、滑りやすく解けやすい。このため、繰り返し上衣が着用される間に、あるいは、洗濯により、結び目が解けて釦が取れてしまうことがある。また、切断された釦付け糸の先がばらけやすい。
【0004】本発明の課題は、釦付け糸の結び解けおよび糸先のばらけを防止可能な釦付け糸の止め方法を提案することにある。
【0005】また、本発明の課題は、この釦付け糸の止め方法に用いるの適したヒートカット用糸切り鋏を提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の釦付け糸の止め方法は、釦付け後に、釦付け糸の端部を結んで絞り込んだ後に、当該釦付け糸の余長部分を、らせん状に巻かれたヒータ線を用いてヒートカットすることを特徴としている。
【0007】釦付け糸を、らせん状に巻かれたヒータ線でヒートカットすると、切断された糸先が丸く膨らみ、そのまま固まる。この丸く膨らんで固まった糸先部分が、ストッパーとして機能して、結び解けが防止される。同時に、糸先部分は溶融状態で固まっているので、糸先の切り口がばらけることも防止される。
【0008】次に、本発明は、上記の方法に用いるヒートカット用糸切り鋏であって、支軸を中心として開閉する一対の刃と、釦付け糸をヒートカットするためのヒータ部と、このヒータ部を加熱するための給電部とを有し、前記ヒータ部は、一方の前記刃の刃先部分に取付けられ、当該刃先部分の刃筋方向に沿ってらせん状に巻かれたヒータ線を備えていることを特徴としている。
【0009】この構成のヒートカット用糸切り鋏を用いれば、一般的に使用されている鋏と同様に操作して釦付け糸を切断できるので、使い勝手がよい。
【0010】ここで、前記ヒータ部は、前記ヒータ線が着脱可能に取付けられていることが望ましい。このようにすれば、ヒータ線が断線したような場合もヒータ線を交換することで対応できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0012】図1は、本発明を適用したヒートカット用糸切り鋏の一例を示す斜視図である。本例のヒートカット用糸切り鋏1は、一般的な鋏と同様に、支軸1aを中心として開閉可能な第1の刃2および第2の刃3を有している。異なる点は、これらの刃2、3の間に糸を挟み、ヒートカットする構成である。
【0013】詳細に説明すると、第1の刃2は、支軸1aよりも先端側には第1の刃先21が形成され、支軸1aよりも後端側部分には第1の取っ手22が形成された構成となっている。第2の刃3は、支軸1aよりも先端側の部分には平板をU字状に折り曲げた断面形状の第2の刃先31が形成され、支軸1aよりも後端側部分には第2の取っ手32が形成された構成となっている。両方の刃2、3を閉じた状態では、第2の刃先31の中に第1の刃先21が嵌まり込む状態になる。
【0014】ここで、第1の刃先21はヒータ部5を有し、このヒータ部5は、刃先21の刃筋方向に沿ってらせん状に巻かれたヒータ線51を備えている。このヒータ線51によって、刃2、3の間に挟まれた糸82a、82bをヒートカットするようになっている。ヒータ線51に給電するための電源コード6は、第1の刃2の内部に配置され、ここを通って第1の取っ手22の後端部から外部に引き出されて、外部に配置されている電池電源7に接続されている。
【0015】図2はヒータ部5を拡大して示す分解斜視図であり、この図においては理解を容易にするために、第1の刃2を2点鎖線で示してある。この図に示すように、第1の刃2の刃先21に取付けられたヒータ部5は、ヒータ線51と、このヒータ線51が内蔵されたホルダ52と、このホルダ52を着脱可能に取付けることができるホルダ取付台53とを有している。本例のヒータ線51は、太さ0.15mmのニクロム線を長さ1.0cm、直径1.2mmのらせん状に巻いたものである。
【0016】本例のホルダ52は、全体としては長さ1.5cm、幅0.3cm、厚さ0.4cmの直方体をコの字状に彫り込んだ形状であり、第1の側板52aと、この第1の側板52aから1.0cm離れて対向配置された第2の側板52bと、第1の側板52aと第2の側板52bのそれぞれの上端部を結ぶ第1の上板52cとを有している。また、第1の側板52aと第2の側板52bとの間にヒータ線51が配置されるため、耐熱性、絶縁性を備え、加工のしやすい材料(テフロン、セラミック)が用いられている。第1の側板52aと第2の側板52bの外側端面にはヒータ線51に通電するためのヒータ電極52d、52eが形成されている。
【0017】ホルダ取付台53は、全体としては長さ2.5cm、幅0.3cm、厚さ0.6cmの直方体をコの字状に彫り込んだ形状であり、第3の側板53aと、この第3の側板53aから1.5cm離れて対向配置された第4の側板53bと、第3の側板53aと第4の側板53bのそれぞれの上端部を結ぶ第2の上板53cとを有している。第3の側板53aおよび第4の側板53bには電源コード6が接続されており、それぞれの内側端面に電源供給用端子53d、53eが形成されている。ヒータ線ホルダ52を第1の上板52cが第2の上板53cに重なるようにホルダ取付台53に嵌めることにより、電源供給用端子53d、53eにヒータ電極52d、52eが接触し、電源コード6からヒータ線51に通電可能となっている。
【0018】このように構成したヒートカット用糸切り鋏1を用いた釦付け糸の止め工程を説明する。図3(a)ないし(d)は釦付け糸止め工程を示す説明図である。
【0019】まず、図3(a)に示すように、釦8を表に取付けた上衣等の布81の裏側には釦付け糸の両端部分82a、82bが延びている。図3(b)に示すように、この両端部分を結び、できた結び目83を絞り込む。
【0020】この後は、図3(c)に示すように、結び目83から伸びている余長部分84a、84bを、ヒートカット用糸切り鋏1を用いてヒートカットする。すなわち、余長部分84a、84bを第1の刃先21のヒータ線52の部分と第2の刃先31との間に挟み込むことでヒートカットされる。このヒートカットは、例えば、ヒータ線51を255℃から260℃に加熱して行なうことができる。
【0021】ヒートカットにより切断された余長部分84a、84bの切り口部分85a、85bは、図3(d)に示すように、ヒートカットに用いるヒータ線51がらせん状に巻かれているので、熱により合成繊維が溶けて切断される際に、切り口が丸く膨らみ、そのまま固まった状態となっている。この丸く膨らんで固まった切り口部分85a、85bが、ストッパーとして機能して、ボタン等を取付けた際の糸の結び解けを防止することができる。また、糸の切り口からばらけることも防止できる。
【0022】次に、ヒータ線51が断線したような場合においては、ホルダ52が着脱可能であるので、ヒータ線51が内蔵されているホルダ52のみを交換すればよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の釦付け糸の止め方法では、釦付け糸の余長部分の切断をヒートカット方式により行なうと共に、らせん状に巻いたヒータ線を用いてヒートカットして、糸先の切り口部分を溶融して丸くなった状態で固まらせている。
【0024】従って、本発明の方法によれば、釦付け糸の結び解けを防止でき、また、その切り口部分がばらけることも防止できる。
【0025】次に、本発明のヒートカット用糸切り鋏を用いれば、一般的に使用されている鋏と同様に操作して釦付け糸をヒートカットできるので、使い勝手が非常に良いという利点がある。
【出願人】 【識別番号】593088706
【氏名又は名称】株式会社三陽商会
【出願日】 平成13年2月7日(2001.2.7)
【代理人】 【識別番号】100099564
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 俊一 (外1名)
【公開番号】 特開2002−235232(P2002−235232A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−30712(P2001−30712)