| 【発明の名称】 |
和装着姿及びその作成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】浦山 麻美
|
| 【要約】 |
【課題】反物の状態から縫製後の着物の配色や柄の配置等を容易にかつ具体的に把握・理解することができる手段を提供する。
【解決手段】切取線(図3の太線)、折曲線(点線)及び貼合部(斜線部)を含む所定の線パターン上に絵柄イメージを配置し、平面素材に印刷する(これを雛形と呼ぶ)。その後、この雛形を上記切取線で切断し、折曲線や貼合部に従って立体的に成形することで、立体の和装着姿を製作する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 切取線、折曲線及び貼合部を含む所定の線パターン上に絵柄を重畳し、平面素材に印刷した後、該切取線で切断し、折曲線及び貼合部に従って立体的に成形することを特徴とする和装着姿の作成方法。 【請求項2】 絵柄並びに折曲線及び貼合部を含む線パターンが印刷された平面素材が、該折曲線及び貼合部に従って折り曲げ且つ貼合されることにより略円筒状に組み立てられ、立体的な着物状となっていることを特徴とする和装着姿。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、着物の色柄等を見るための雛形人形・ディスプレイや置物として使用することができる和装着姿及びその作成方法に関する。 【0002】 【従来の技術】和装業界において、最終需要者への和服、特に女性用の着物の販売活動は、仕上げた着物の状態ではなく、反物(成人一人分の長尺生地の巻き物)の状態で行われることが多い。これは、着物ではその形状がほぼ定型化されているため、むしろ生地の色や柄等に需要者の主たる関心があるためである。従って、販売者及び需要者はその販売時点において反物から縫製後の着物の姿を推測し、仕上後の着物における配色や柄の配置、更には帯や和装小物との組合せについても検討を行う。 【0003】しかし、反物から縫製後の、更には着用状態での着物の姿を推測することは、熟練した販売者であればともかく、一般の需要者にとっては非常に困難である。 【0004】そこで従来、図1に示されるように、縫製後の着物の外形を容易に想像できるような形状の外形線及び縫合線を描いた台紙上に、反物の色や柄を重畳して表した図が用いられていた。この図を見ることにより、需要者は或る程度その反物の仕立て上がりの状態を想像することができ、購買すべきか否かの判断の参考にすることができる。 【0005】この方法は、パソコンを使用して更に便利に利用されている。すなわち、台紙を線図として予め記憶装置に用意しておき、そこに、別途スキャナで読み込んでおいた反物のイメージを周知のスーパーインポーズ機能により重畳することにより、図1に示す状態が画面上に表示される。これによると、多数の反物の色や柄を非常に容易に取り替えて見ることができ、需要者は納得がゆくまで検討を行うことができるという利点がある。また、必要であれば、最近非常に発達した高精細カラープリンタで紙に印刷することも可能である。 【0006】しかし、図1から明らかなように、この方法で作成される図は縫製後の着物を衣紋掛等に吊した状態であるため、一般の需要者には、実際に自分がその着物を着た状態を想像することは難しい。そこで、図2に示すように、着物を着た人の写真を画面上に表示し、周知のクロマキー技術によりその着物の部分のみを別に読み込んだ反物のイメージで置き換えるという方法も使用されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】図2のような方法で表示される姿は、或る決まった方向から見た1つの形態でしかないため、着物姿の全体像を把握することはやはり難しい。また、現在のクロマキー技術は或る程度は立体形状の表面に沿うように変形は可能であるものの、着物のような複雑な形状に沿わせることは不可能であり、反物の平面イメージをそのまま着物部分に重畳しているのが現状である。 【0008】本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、反物の状態から縫製後の着物の配色や柄の配置等を容易にかつ具体的に把握・理解することができる手段を提供することにある。この方法は、製造者・販売者に対してはより優れた着物を制作することに、需要者に対してはより満足できる着物を購入することに、効果的な手段となる。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明は、目的の生地を基にして和装着姿を作成するというものである。具体的には、和装着姿の作成方法であって、切取線、折曲線及び貼合部を含む所定の線パターン上に絵柄を重畳し、平面素材に印刷した後、該切取線で切断し、折曲線及び貼合部に従って立体的に成形することを特徴とするものである。 【0010】 【発明の実施の形態】まず、図3(a)に示す着物用の線パターンを作成する。この線パターンには、外形線及び切り抜き線を含む切断線、後に折り曲げることとなる折曲線、及び後に糊等で貼り合わせるための糊代となる貼合部が含まれる。この線パターンは紙に描いてイメージスキャナで読み取ってパソコンの記録装置に取り込んでもよいし、パソコン上で直接CADソフトにより描いてもよい。また、図3(b)に示すように、帯用の線パターンも用意しておく。帯用の線パターンは必ずしも実際の帯と同じように長い形状である必要はない。また、胴回り部分と太鼓部分を別個の線パターンとしてもよい。胴回り部分は、本発明では1重巻だけの長さがあれば十分である。 【0011】なお、図3(a)は留袖用の線パターンであるが、その他に、図4(a)のような長袖用、図4(b)のような振袖用線パターンも別途用意しておくことが望ましい。 【0012】一方、生地の絵柄のイメージも用意しておく。生地の絵柄は、実際の生地をスキャナで読み取ってもよいし、未だ生地になっていない図案の状態やそれ以前のの状態でスキャナで読み取ってもよい。更には、CAD等でパソコン上で制作した絵柄やスケッチ等の場合は、その絵柄等のデータをそのまま使用することもできる。このような生地の絵柄は、一般的にはその数が非常に厖大になるため、適切なデータベースで管理しておくことが望ましい。 【0013】これらのデータを記録装置に入れた後、利用段階に入る。まず、記録装置から所望の着物(留め袖、振り袖等)の線パターンを読み出し、画面上に表示する。次に、任意の生地の絵柄のイメージを記録装置から読み出し、線パターン上に重畳する。絵柄イメージは、線パターンの左前身頃、右前身頃等の各部分毎に細かく分けて線パターン上に重畳してもよいが、スケッチ段階の絵柄の場合は、縫合線等に拘らずに全体を一体として覆うように重畳してもよい。 【0014】次に、完成した画像データをカラープリンタにより平面素材に出力する。こうして平面素材に出力したものを雛形と呼ぶこともある。平面素材としては紙が最も簡便であるが、布地、特に実際に生産しようとする着物又は帯と同じ生地とするのが望ましい。本方法により作成された和装着姿が実際の着物により近いものとなり、販売者や需要者がより容易にかつ具体的に縫製後の着物の状態を捉えることができるからである。布地に直接印刷することが困難であれば、布地にシートを裏打ち(接着)したり、糊をスプレー若しくは塗布して布地に剛性を持たせることにより印刷することができるようになる。印刷後はそのまま後述のように着姿を作成してもよいが、必要な箇所、例えば袖の部分の糊を水スプレーやその他の方法で除去し、元の布地の柔らかさに戻すことにより、袖が自然に垂下することとなり、縫製後の着物により近い外観となって望ましい。 【0015】出力された雛形を外形線(図3及び図4では太線で表示されている)で切り出し、更に、袖と身頃の境、脇下等の切り抜き線を切る。そして、折曲線(図3及び図4では点線で表示されている)で折るとともに全体を円筒状に丸めて、和装着姿を作成する。 【0016】図3(a)の例では、腹の折曲線3で山折り、折曲線4で谷折りの後、肩の折曲線1、袂の折曲線2及び脇裾の折曲線5を山折りにする。最後に貼合部(斜線部)である衽6aと腰6b及び衽7aと腰7b同士、前袖8aと裏袖8b、前脇下9aと後脇下9b及び前脇下10aと後脇下10b同士を貼り合わせる。その後、左右の衽11a、11bを重ね、脇下9a、9b及び10a、10bを重ねて貼り合わせることによって胴部分を円筒状に成形し、和装着姿が完成する。 【0017】帯も、平面素材に印刷された帯用の色柄付線パターンをその外形線で切断する。切断した帯を着物の着姿の胴回りに巻き付けることにより、和装着姿を完成する。太鼓部では実際の結び方を模して好みの結びを作成することができる。また、胴部と太鼓部を別体とすることにより、太鼓部をより容易に且つきれいに仕上げることができる。 【0018】本発明に係る和装着姿の本身は円筒状であるため、平面素材に十分な剛性があればそのまま立てることが可能である。例えば、平面素材として普通のコピー用紙(厚さ64g/m2程度)を用いる場合は、和装着姿の大きさ(高さ)を20cm程度以下とすることにより、十分自立することができる。カラーコピー用として市販されているやや厚手の紙(81g/m2程度)であれば30cm程度まで、更に写真用として市販されている厚手の紙(114g/m2程度)であれば50〜60cm程度の大きさの和装着姿を作成することができる。平面素材として布を用いる場合は、これらを目安として剛性を持たせればよい。なお、これらの寸法はもちろん目安であり、状況に応じて試行錯誤により適宜設定すればよい。 【0019】図5(a)及び(b)は図3(a)及び(b)の線パターンからできる着物及び帯の着姿の斜視図である。図5(b)の帯を同図(a)の着物に取り付けることにより完成品の和装着姿となる。その状態の後、ショールやコート、更にはバッグ等の小物を付加することにより、より具体的なイメージをつかむことも可能となる。又、希望により、顔や手を取り付けてもよい。 【0020】反物の販売現場において、このようにして作成した和装着姿を反物の側に置いておけば、従来にない販売促進のためのディスプレー効果を発揮する。 【0021】和装着姿の中は空洞である為、そこに光源を設けることも可能である。この場合、平面素材としては比較的薄手の(しかし、それ自身で立てるような腰のある)ものを使用することが好ましい。このような光源入りの和装着姿は、上述のように実際の販売現場での販売促進のディスプレーとして使用する他、着物の販売とは無関係に単なる和風のインテリアとしても使用することができる。 【0022】着物の需要者にとっては、上記のように購買時に各種生地を検討するのに用いる他、実際に生地を購入し、着物を仕立てた後に、その生地による和装着姿をインテリアとして置いておくことにより、自分の所有する着物を常に見ておくことができる。また、その和装着姿を使って帯や和装小物の組合せを変えることにより、実際に着物を着なくてもそれらの組合せを自由に検討できる。 【0023】 【発明の効果】本発明に係る立体の和装着姿を見ることにより、需要者は反物を購入するにあたって、その色や柄が縫製した後の着物や、更にそれを着用した状態において具体的にどのように配置されるかを容易に且つ具体的に確認し、把握することができる。又、帯や和装小物との組合せの検討も現実に近い状態で可能となる。しかも、多数の反物についてそのようなことを容易に繰り返すことができるため、実際に購入する前に納得ゆくまで十分に検討することができる。 【0024】本発明に係る和装着姿は、販売者にとっても自らの商品の説得力のある提示手段ともなる。その結果としての購買時の需要者の得心及び満足は、公正且つ安定した商行為に資するものである。 【0025】一方、着物の絵柄等を制作する者にとっても、本発明に係る和装着姿を使用することにより、デザインの展開が容易となる。具体的には着姿の身頃や袖の位置に現れる配色や柄の配置等と、反物上に現れるそれらとの関係を容易に認識することができるようになる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】300037438 【氏名又は名称】株式会社じゅらく新本社
|
| 【出願日】 |
平成13年1月31日(2001.1.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095670 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 良平 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−227024(P2002−227024A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月14日(2002.8.14) |
| 【出願番号】 |
特願2001−23142(P2001−23142) |
|