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【発明の名称】 人口発汗装置
【発明者】 【氏名】松岡 武志

【氏名】加納 喜代継

【要約】 【課題】擬似人体表面から均等に発汗させるには保水材に均等に水分を保持する必要がある。

【解決手段】疑似人体表面内層に備えた加熱層と、上記疑似人体の表面側に所定密度で先端を閉じた状態で配設した透湿性チューブを埋め込んだ保水材と、上記保水材の更に表面に配設した透湿膜とを備えた構成とする。更に、上記透湿膜の下層に別の加熱層を備えた構成としてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】疑似人体表面内層に備えた加熱層と、上記疑似人体の表面側に所定密度で先端を閉じた状態で配設した透湿性チューブを埋め込んだ保水材と、上記保水材の更に表面に配設した透湿膜とを備えたことを特徴とする人口発汗装置。
【請求項2】上記透湿膜の更に下層に別の加熱層を備えた請求項1に記載の人口発汗装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人口発汗装置に関し、特に、環境を模擬的に形成して発汗状態を把握することが可能な人口発汗装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発汗機能を持つマネキンが、衣料分野あるいは空調分野で注目され始めている。例えば、繊維業界では、衣服の断熱性、発汗作用下での快・不快感の測定が研究の対象になっており、このときに発汗機能を持つマネキンが使用される。また、室内特に自動車の室内空調制御の評価用としても、発汗機能をもつマネキンの使用が希望されている。さらに、特殊な分野としては、火災時に着用する防護服の快適性を評価するためにも発汗機能をもつマネキンが使用されている。
【0003】当該分野の従来技術としては、例えば特開平8−193992号公報に開示する人工発汗装置がある。すなわち、図3に示すように、表面側に疎水性多孔質膜101を、その内側に透水性を有する支持体102を、更にその内側に水分と水蒸気の両方を放出できる膜と、この膜を電力にて加熱する加熱手段とからなる加湿膜7を配設するようにしている。更に、上記加湿膜107に水ポンプ109を、加熱手段に電源110を接続するようにしている。
【0004】また、上記加湿膜107としては中空糸膜にヒータとなる金属線を巻回している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平8−193992号公報の構成において、発汗の状態を調整するためには、中空糸膜に巻回されたヒータに供給する電力と、上記ポンプ109の圧を調整するようになっている。すなわち、水蒸気状の発汗をさせようとする場合は上記中空糸膜に巻回されたヒータへの電力の供給量を調整し、水滴状の発汗を得ようとする場合は、ヒータへの供給電力量を少なくして、ポンプ圧を上げるように制御するのである。
【0006】従って、この構成では蒸気状の発汗を得るためには上記中空糸膜を加熱して、当該中空糸膜から直接蒸気を発散させようとしており、当該中空糸膜の密度が低い場合には、発汗の状態にむらができることになる。加湿膜107の下側に熱伝導性のある樹脂が配設されているが、中空糸膜部分にヒータが巻回されている以上、この部分が他の部分より温度が高くなることは否定できない。
【0007】また、最下層に中空糸膜が配設されている関係上、下側に透する水分が、底部に溜まりこの構成が垂直に立てられたときには、この水分が底部(垂直壁)を伝って下方に垂れ落ちるおそれがある。
【0008】本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、表面全体から均質な発汗をすることができ、しかも、垂直状態にしても水分の垂れ落ちがない人工発汗装置を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
【0010】すなわち、図1に示すように、疑似人体表面内層に加熱層を備え、上記疑似人体の表面側に所定密度で先端を閉じた水分供給用の透湿性チューブを埋め込んだ保水材を配設し、当該保水材の更に表面に透湿膜を配設した構成としている。更に必要があれば上記透湿膜の下層に上記とは別の加熱層を設けるようにする。この構成によって、保水材に均一に水分を供給することができ、しかも、当該保水材を均一の温度分布に保つことができるので表面からの均一な発汗を促すことができる。
【0011】
【実施の形態】図1は本発明の構成を示す概念図である。マネキン本体1の表面の下層全体に均一に、例えばニッケルワイヤヒータを用い加熱層10が設けられている。一方、保水材11に透湿性チューブ12を埋め込んだ構成の保水層2が上記マネキンの表面に配設され、また、その表面側に透湿膜3が配設される。上記透湿性チューブ12の先端12eは閉じられ、後端には給水ポンプ30が接続された構成となっている。さらに、上記保水層2の表面側の透湿膜3の側に上記加熱層10とは別の加熱層20を設けるようにし、表面側への発汗を促進するようになっている。
【0012】上記透湿性チューブ12は、表面に多数のミクロン単位の細孔を持つ材料よりなり、例えば、ポアフロンチューブ(住友電工製)を用いる。この材質のチューブが例えば図2に示すようにジグザグ状に所定の密度になるように保水材11に埋め込まれる。上記透湿膜3も表面に多数のミクロン単位の細孔を持つ材料よりなり、ここでは上記透湿性チューブ12と同じポアフロンを用いることができる。
【0013】また、上記保水材11はポリビニールアルコールの多孔質体を使用することができる。更に、上記加熱層10に使用するヒータとしてはニッケルワイヤヒータあるいはシリコンラバーヒータを使用することができる。
【0014】上記の構成において給水ポンプ30で水分を圧送すると、水分は保水材11に均質に保持される。この状態で上記ヒータに電力が供給されるとマネキンの表面が均等に加熱され当該ヒータへの電力の供給量と保水材に保持されている水分量に応じた発汗が生じることになる。上記ポンプ30としてピストンビュレットを使用すると、水分の供給量を精度よく制御することができ目的に応じた発汗状態を形成することができることになる。
【0015】また、上記保水層2は保水材11に透湿性チューブを埋め込んだ状態になっており、上記透湿性チューブ12が直接擬似人体に接触しないようになっているので、当該チューブから染み出した水分が擬似人体を伝って下に垂れる落ることはない。
【0016】A4サイズの大きさで空孔率を約90%、厚み2mm程度、孔径60μmの上記保水材を使用し、当該保水材に、上記透湿性チューブ(径:外径4mm、内径3mm、空孔率50%、孔径1μm)を所定の間隔(50mm)でジグザグ状に埋め込んだ状態で、所定量の水(0.1cc/sec)を供給した場合の水の分布状態すなわち保水状態を調査したところ、約10分で上記保水層に均質に保水されることを確認した。
【出願人】 【識別番号】000161932
【氏名又は名称】京都電子工業株式会社
【出願日】 平成12年12月28日(2000.12.28)
【代理人】 【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
【公開番号】 特開2002−201522(P2002−201522A)
【公開日】 平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願番号】 特願2000−401057(P2000−401057)