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【発明の名称】 増毛用具
【発明者】 【氏名】岡島 孝雄

【氏名】藤波 進

【要約】 【課題】湾曲した形状を有する頭の頭皮に沿って、広範囲の領域を効率良く迅速に増毛できる増毛用具を提供する。

【解決手段】基板12に複数本の毛髪13が取り付けられた増毛用ピース11を装着した複数の増毛用ユニット14からなり、増毛用ピース11を頭皮に粘着させて植毛する増毛用具10であって、各増毛用ユニット14は、縦長の形状を有すると共に、毛髪13を挿通した状態で増毛用ピース11を保持する細管15をその先端面16に備えている。また複数の増毛用ユニット14は、縦長の形状の軸方向Xにスライド可能にその側面を互いに係止しつつ、着脱可能に一体化されている。さらに細管15は、各増毛用ユニット14の先端面16から突出して設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に複数本の毛髪が取り付けられた増毛用ピースを装着した複数の増毛用ユニットからなり、前記増毛用ピースを頭皮に粘着させて植毛する増毛用具であって、前記各増毛用ユニットは、縦長の形状を有すると共に、前記毛髪を挿通した状態で前記増毛用ピースを保持する細管をその先端面に備えており、前記複数の増毛用ユニットは、前記縦長の形状の軸方向にスライド可能にその側面を互いに係止しつつ一体化されている増毛用具。
【請求項2】 前記細管は、前記各増毛用ユニットの先端面から突出して設けられている請求項1記載の増毛用具。
【請求項3】 前記複数の増毛用ユニットは、着脱可能に係止されて一体化されている請求項1又は2に記載の増毛用具。
【請求項4】 前記増毛用ユニットは、前記細管をその先端面に複数備える請求項1〜3に記載の増毛用具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、増毛用ピースを頭皮に粘着させて植毛する増毛用具に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】増毛技術としては、かつらを用いる方法や、自毛の根本に人工毛髪を結着させる方法等が一般的に知られている。かつらを使用する方法は、広い面積を一度に覆うことができる反面、むれやすく、また一気に外観がかわるため不自然で、初期コスト及び維持費も高価である。人工毛髪を結着させる方法は、自毛に負担をかけることになるため、かえって脱毛を促進させることになり、また自毛は一月に約1センチ程度伸びるため、外観が不自然になりやすい。
【0003】これに対し、接着剤を介して頭皮に人工毛髪を直接接着させるようにした増毛技術が例えば特開平8−41718号公報に記載されている。特開平8−41718号公報によれば、線状物を基材として人工毛髪を複数本結びつけた増毛用ピースを、図8に示す増毛用具を用いて増毛用接着剤により頭皮に接着してゆく。図8に示す増毛用具50は、透明又は半透明の樹脂フィルム51を棒状スティック52の先部に被せて当該棒状スティック52の先端面53に増毛用ピース54を仮固定した状態で、この棒状スティック52を透明又は半透明のパイプ55に差し込んでなるもので、増毛時に棒状スティック52の先端面53に増毛用接着剤を適量つけ、増毛しようとする頭皮に押し付けて増毛用ピース54の基材56を頭皮に接着させた後、パイプ55及び棒状スティック52を頭皮から引き上げることにより、増毛用ピース54を頭皮に植毛する。
【0004】しかしながら、上記従来の増毛用具50によれば、1つの増毛用ピース54しか備えていないため、広範囲の領域に増毛作業を行う場合には、多数の増毛用具50が必要になると共に、接着剤をつけて頭皮に押し付ける作業を多数回繰り返すことになるため多くの時間を要することになる。
【0005】本発明は、湾曲した形状を有する頭の頭皮に沿って、広範囲の領域を効率良く迅速に増毛できる増毛用具の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板に複数本の毛髪が取り付けられた増毛用ピースを装着した複数の増毛用ユニットからなり、前記増毛用ピースを頭皮に粘着させて植毛する増毛用具であって、前記各増毛用ユニットは、縦長の形状を有すると共に、前記毛髪を挿通した状態で前記増毛用ピースを保持する細管をその先端面に備えており、前記複数の増毛用ユニットは、前記縦長の形状の軸方向にスライド可能にその側面を互いに係止しつつ一体化されている増毛用具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】図1に示す本発明の好ましい実施形態に係る増毛用具10は、毛髪の薄い部分の頭皮に増毛用ピース11を直接粘着させて増毛する際に用いられる(図7(a),(b)参照)。そして、本実施形態の増毛用具10は、基板12に複数本の毛髪13が取り付けられた増毛用ピース11を装着した複数の増毛用ユニット14からなり、各増毛用ユニット14は、縦長の形状を有すると共に、毛髪13を挿通した状態で増毛用ピース11を保持する細管15をその先端面16に備えている。また、複数の増毛用ユニット14は、その縦長の形状の軸方向Xにスライド可能にその側面を互いに係止しつつ一体化されている。
【0008】本実施形態によれば、増毛用具10は、図2(a),(b)及び図3にも示すように、4本の増毛用ユニット14を上下左右に接合一体化して構成されている。各増毛用ユニット14は、例えばプラスチックからなり、外周部分が係止用の凹凸部となった縦横10mm程度の大きさの略正方形状の横断面を有すると共に、図2(b)の上下方向に100mm程度の長さの縦長の形状を備えた部材である。
【0009】各増毛用ユニット14には、略正方形状の横断面の各辺部における一方に片寄った位置に、各々半長円形状の凹溝17が、各増毛用ユニット14の側面に沿って縦長の形状の全長に亘って軸方向Xに形成されており、この凹溝17に沿って細管15がはめ込まれるようにして取り付けられる(図3参照)。また、細管15がはめ込まれた凹溝17の細管15よりも外側の部分は、係合凹部18として各増毛用ユニット14の外周部分に配置される(図2(a)参照)。また略正方形状の横断面の各辺部における他方に片寄った位置には、矩形状断面の係合凸部19が、外側に突出して増毛用ユニット14の側面に沿って縦長の形状の全長に亘って軸方向Xに設けられる。
【0010】そして、各増毛用ユニット14の係合凹部18及び係合凸部19と隣接する増毛用ユニット14の係合凸部19及び係合凹部18とを嵌合係止することにより、4本の増毛ユニット14が一体化される。また係合凹部18と係合凸部19との係止状態によって案内されて、各増毛用ユニット14は、縦長の形状の軸方向Xに互いにスライド可能な状態でその側面を係止されることになる。
【0011】また、本実施形態によれば、係合凹部18の幅よりも係合凸部19の幅のほうが若干大きくなっており、係合凸部19はプラスチックの弾性により係合凹部18を押し広げるようにして当該係合凹部18に嵌合係止されることにより、増毛用ユニット14は相互に接合固定されることになる。また接合固定された増毛用ユニット14は、かかる嵌合状態を解除することにより容易に解体ができるようになっている。すなわち、増毛用ユニット14は、着脱可能に係止されて一体化されている。なお、増毛用ユニット14は、係合凸部19及び係合凹部18とを嵌合係止することにより着脱可能に容易に一体化することができるので、増毛用具10を構成する増毛用ユニット14の本数を必要に応じて適宜増減することができる。
【0012】細管15は、外径2.2mm程度、内径0.8mm程度の大きさのプラスチック製の円筒管であって、各増毛用ユニット14の4箇所の凹溝17に沿ってはめ込まれることにより各々取り付けられる。また、本実施形態によれば、細管15は、増毛用ユニット14の先端面から3mm程度の長さで突出して配置されると共に、増毛用ユニット14の先端面に均等に分散して4カ所に設けられている。各細管15には、後述する増毛用ピース11が、毛髪13を内部に挿通した状態で装着される。なお、細管15を増毛用ユニット14の先端から突出して設ける際の突出長さは、10mm以下が好ましく、0.5〜2mmが特に好ましい。突出長さを0.5〜10mmとすることにより、自毛を効果的にかき分けることができ、またコンパクトさを保持してねらった所に植毛しやすくすることができる。また、細管15を増毛用ユニット14の先端から突出して設ける際には、その外径は、2〜3mm程度とすることが好ましい。細管15の外径を2〜3mmとすることにより、細管15の肉厚が細くなりすぎて破損することがなく、また自毛をかき分けることを効果的に行うことができる。
【0013】本実施形態によれば、増毛用ユニット14に装着される増毛用ピース11は、図4に概念図として示すように、裏面に粘着剤21が塗着された基板12と、この基板12の表面に植設された複数の毛髪13とからなる。また粘着剤21の粘着面には、微粉体としてのマイクロビーズ22が撒かれていることにより、当該増毛用ピース11を使用する前に、指やその他の物が粘着剤21に接触しないように当該粘着剤21を保護している。
【0014】基板12は、直径3mm程度の円形の平面形状を有し、例えば延伸されていない熱可塑性エラストマーとして、好ましくはウレタン又はポリエステルからなる5〜100μm程度の厚さのものである。基板12は、200g/m2 24h以上の透湿度(JIS規格Z0208カップ法B法による透湿度、測定条件40℃、90%RHにて測定)と、2〜7MPa程度の機械強度(JIS規格K6301による機械強度引っ張り試験100%モジュラス40℃)を備え、これによって頭皮の動きに追随する適度の可撓性と、複数の毛髪13を一定期間安定して支持すると共に頭皮に負荷される物理的な荷重を受けても破損しない程度の物性を備える。また、その透湿性によって頭皮からの発汗作用に極端な影響を与えることがない。
【0015】粘着剤21は、200g/m2 24h以上の透湿度(JIS規格Z0208カップ法B法による透湿度、測定条件40℃、90%RHにて測定)を備える公知の各種の粘着剤を用いることができるが、例えばN−アルキル置換アクリルアミドやメタアクリレート等からなる粘着剤を用いることが好ましく、5〜100μm程度の厚さで、基板12の裏面の全体に塗着される。これによって、裏面に粘着剤21が塗着された基板12は、その全体の厚さが200μm程度に留まるので、増毛用ピース10を頭皮に粘着させた際に、指で触ってもほとんど感知することができず、取り付け後の違和感から開放されることになる。また、その透湿性によって頭皮からの発汗作用に極端な影響を与えることがない。
【0016】ここで、粘着剤は、指圧程度の圧力で対象物に付着する性質を有する物質であって、一般には粘性流動を示す高分子溶液、或いは軟化点が150℃以下の高分子物質を意味する。従って、本発明における粘着剤は、接着後の性質が常温で粘性流動を示さない軟化点の高い(数100℃以上)物質である接着剤とは明確に区別される物質である。
【0017】基板12の表面に植設される毛髪13は、人工毛髪或いは天然毛髪のいずれも使用することができるが、本実施形態によれば、例えば超音波溶融によって、10cm程度の長さの6本の人工毛髪が植設されている。なお、植設される毛髪13の本数や長さは、自毛の密度や長さ等を鑑みて適宜設定することができる。
【0018】マイクロビーズ22は、シリカ等からなる粒径0.5〜10μm程度の大きさの粘着剤21よりも硬い硬度の微粉体であって、乾式液晶スペーサ散布法により、粘着剤21の粘着面の全体にわたって1〜70%、好ましくは1.5〜30%、特に好ましくは2〜5%の領域を覆うように付着している。なお、マイクロビーズ22によって粘着剤21の粘着面を覆う領域が広すぎると、基板12が頭皮に充分に粘着しないおそれがあり、粘着面を覆う領域が狭すぎると、当該増毛用ピース11を使用する前に、指やその他の物が粘着剤21に接触しやすくなる。
【0019】マイクロビーズ22は、増毛用ピース11の未使用時に粘着剤21の粘着面に付着した状態から、増毛用ピース11の使用時において基板12を頭皮に押し付ける押圧力を受けると、この押圧力の作用によって、図5に示すように、粘着剤21の内部に沈み込んでゆき、粘着剤21を粘着面に表出させることにより、当該粘着剤21を介して基板12を頭皮に粘着させる。
【0020】そして、上記構成の増毛用ピース11は、毛髪13が細管15の先端開口から内部に挿入されている状態で、基板12を細管15の各先端開口に仮止めすることにより、増毛用ユニット14に各々装着される(図1参照)。即ち、図6に示すように、4カ所の細管15の各先端開口から増毛用ピース11の毛髪13を挿入し、毛髪13の植毛部位の周囲に位置する基板12の表面を各細管15の開口縁部23に当接させ、仮止用粘着剤24を介して粘着することにより、粘着剤21が塗着された基板12の裏面を先端側に向けた状態で、4つの増毛用ピース11を増毛用ユニット14に各々取り付ける。なお、仮止用粘着剤24に代えて仮止用接着剤を用いることもできる。
【0021】本実施形態によれば、仮止用粘着剤(又は接着剤)24は、粘着剤21の接着力よりも弱い接着力を有する粘着剤(又は接着剤)からなり、各細管16の開口縁部23に予め塗着される。そして、基板12の表面を開口縁部23に当接させた際に、当該表面を粘着して、増毛用具10の未使用時に各増毛用ピース11を細管15から抜け落ちないように保持する。また増毛用具10の使用時には、接着力の強い粘着剤21を介して頭皮に粘着した基板12を、各細管15の開口縁部23から引き剥がして、毛髪13を細管15からスムースに抜き出しつつ増毛用ピース11による植毛ができるようになっている。なお、仮止用粘着剤(又は接着剤)24は水溶性のものを用いることが好ましい。水溶性の粘着剤(又は接着剤)を用いることにより、増毛用ピース11を頭皮に粘着した後に、基板12の表面側に付着したまま残った仮止用接着剤(又は接着剤)24を洗い落として、当該仮止用粘着剤(又は接着剤)24に汚れ等が付着するのを回避することができる。ここで、粘着剤としてはN−アルキル置換アクリルアミドや(メタ)アクリレート等を用いることができ、接着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン等を用いることができる。
【0022】また、本実施形態によれば、増毛用具10を構成する4本の増毛用ユニット14の先端面は各々1cm2 程度の広さを有し、したがって増毛用具10は4cm2 の領域の頭皮に増毛することが可能なのに対して、先端面に略均等に分散して突出する合計16カ所の細管15には、6本の毛髪13を有する増毛用ピース10が各々取り付けられいる。したがって、増毛用具10によって、4cm2 の頭皮に対して16×6=96本の毛髪13を一度に植毛できることになる。一般に天然の毛髪の数は、1cm2 の頭皮に対して100〜200本とされているが、4cm2 当たり96本程度の植毛により十分な隠蔽効果が得られるので、本実施形態によれば、増毛用具10を用いて増毛用ピース11を粘着させることにより、天然の毛髪に近い自然さで増毛することが可能になる。
【0023】本実施形態の増毛用具10を用いて、増毛用ピース11を頭皮に粘着させて増毛するには、図7(a)に示すように、4本が一体となった増毛用ユニット14の先端面から突出する細管15によって、残った天然の自毛25をかき分けつつ、基板12が仮止めされた細管16の先端を頭皮に直接押し付ける。かかる押付けるまでの作業において、基板12の裏面に塗着された粘着剤21はマイクロビーズ22によって覆われているので、周囲の自毛25を付着させることがない。細管15の先端を頭皮に押し付けた状態をしばらくの間保持すれば、この押圧力の作用によってマイクロビーズ22は粘着剤21の中に沈み込み、粘着剤21が粘着面に表出するので、基板12が頭皮に強固に粘着することになる。しかる後に、図7(b)に示すように、増毛用ユニット10を引き上げれば、基板12の仮止め状態が外れて、毛髪13が円筒部16からスムースに抜き出され、4cm2 の広い領域の頭皮に対して、96本程の毛髪13が一度に植毛されることになる。
【0024】また、本実施形態によれば、増毛用具10を構成する4本の増毛用ユニット14は、縦長の形状の軸方向Xにスライド可能にその側面を互いに係止しつつ一体化されているので、各増毛用ユニット14の先端面の位置を相対的にずらすことにより、各増毛用ユニット14の細管16の先端を頭皮の曲面に沿うように位置合わせすることができる。したがって、合計16箇所の細管15の先端を頭皮に押し付ける際に、均等な圧力で頭皮に押し付けることが容易になり、植毛作業を効率良くスムースに行うことが可能になると共に、増毛用ピース11を頭皮に安定した状態で粘着させることが可能になる。
【0025】すなわち、本実施形態の増毛用具によれば、湾曲した形状を有する頭の頭皮に沿って、広範囲の領域を効率良く迅速に増毛することができる。また、増毛用ユニット14を複数係止させずに、個々に用いて1個1個で狭い領域に増毛用ピース11を粘着することもできる。
【0026】なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、増毛用ユニットは縦長の形状の軸方向にスライド可能に係止されているものであれば、必ずしも着脱可能に一体化されている必要はない。また、細管は、増毛用ユニットの先端面から突出して設けられている必要は必ずしもない。さらに、増毛用ユニットは、上記実施形態の形状以外のものを採用することもでき、例えば円形や蜂の巣形状の横断面を備えることもできる。
【0027】
【発明の効果】本発明の増毛用具によれば、湾曲した形状を有する頭の頭皮に沿って、広範囲の領域を効率良く迅速に増毛することができる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外2名)
【公開番号】 特開2002−363814(P2002−363814A)
【公開日】 平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願番号】 特願2001−166224(P2001−166224)