| 【発明の名称】 |
嵩高性の改良された人工毛髪繊維束の梱包方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】神原 洋一
【氏名】横山 浩
【氏名】西 信行
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| 【要約】 |
【課題】特定の撚り数を加えて梱包することにより、嵩高性に優れ、加工性や美容特性を損なわないための梱包方法を提供する。
【解決手段】単繊維の繊度が35〜85dtexで且つ総繊度が20〜300万dtexである合成繊維からなる人工毛髪繊維束に対し、0.3〜5.0T/Mの撚りを施した後に梱包することを特徴とする人工毛髪繊維束の梱包方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】単繊維の繊度が35〜85dtexで且つ総繊度が20〜300万dtexである合成繊維からなる人工毛髪繊維束に対し、0.3〜5.0T/Mの撚りを施した後に梱包することを特徴とする人工毛髪繊維束の梱包方法。 【請求項2】合成繊維が、アクリロニトリル35〜80重量%と塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン20〜65重量%及びこれらと共重合可能なビニル系モノマー0.1〜10重量%からなるアクリル系重合体を用いてなるものである請求項1記載の人工毛髪繊維束の梱包方法。 【請求項3】合成繊維が、塩化ビニル65重量%以上を主成分とする塩化ビニル系繊維を用いてなるものである請求項1記載の人工毛髪繊維束の梱包方法。 【請求項4】合成繊維が、紡糸工程以前に着色した原液着色糸または紡糸後染色処理した加工糸である請求項1〜3のいずれかに記載の人工毛髪繊維束の梱包方法。 【請求項5】請求項1〜請求項4のいずれかに記載の梱包方法により得られる人工毛髪繊維を用いてなる頭髪装飾品。 【請求項6】頭髪装飾品が、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンション、ウイービング及びドールヘアから選択される少なくとも1種である請求項5記載の頭飾装飾品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はかつら(ウイッグ)、ヘアピース、ブレード、エクステンション、ウイービング或いはドールヘア等の頭飾製品原料である合成繊維束(トウ)の箱詰め方法に関し、得られる頭飾製品の嵩高性、櫛通り、見かけの自然感を向上させ、さらには梱包・輸送時に発生する繊維束内の糸乱れを抑え、また箱やドラムからから取り出す時に起こり易い糸乱れを防止する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】これまでの頭飾製品原料としての合成繊維の供給形態は、繊維束(トウ)を箱詰しているのが一般的である。この製品に使用される繊維は、モダクリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレンなどであるが、合成繊維はその製造方法によらず繊維が均質でストレート(直線状)なことが特徴である。一方頭髪は(地毛)は一般に大きな曲率で円弧状の形状をしている上に、小さな曲がりや変形も加わって毛束内に空隙を保持している。この空隙によってスタイルの嵩高性や櫛通り性が良好で、見た目の外観も自然である。合成繊維原料を使用した場合は上記の特性は人毛に及ばず断面や繊度の工夫、適用油剤などで改良しているのが実態である。梱包された毛束はその使用目的から、毛髪状の分離した単繊維一本一本の集合体である。従って加工時には取り扱いを慎重に行わないと糸が絡まったり引っ掛かったりして束全体が乱れて、作業時間がかかり効率が大幅に低下したり、乱れた部分をカット除去するため歩留まりが低下するなどの大きな欠点があった。また通常このような用途の繊維は太さが35〜85dtexと人毛に近い太さであるため、箱詰め以外の梱包方法として、芯とツバを有するドラムに巻き取ったドラム巻きがあるが、梱包費や輸送コストが高くなるため用いられにくいが可能である。 【0003】前記梱包とは、例えば合成繊維束(以下、トウという)数kg〜数10kg程度を詰めることができる箱にトウを詰めること及び前述のドラム巻きを意味するものである。 【0004】頭飾製品加工時、箱詰めされたトウは箱から取り出され加工に必要な所定の長さ(十数センチから数十センチ)にカットされ、必要な色や長さの毛を混合(ハックリング)した後、ミシンでミノ毛に加工され、さらにカールセット工程、縫製、仕上げ工程を経て製品となる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】通常かつらなど頭飾製品用の合成繊維は総繊度が数万から300万dtex程度の繊維束(トウ)で供給される。これは繊維製造工程が湿式紡糸の場合は、凝固、水洗、乾燥、熱処理などの各工程の設備的な制約や効率から、溶融紡糸においても同様に押し出し機、延伸機、熱処理機など設備的な制約や効率によるところが大きい。特に嵩高性が必要なスタイルや製品については、加工時に機械的な捲宿加工を施したりパイプで巻いてカールセットすることによって繊維に変形を与えて嵩高性を付与している場合もあり、余り大きな繊維束では加工が困難である。実際に適する繊維束は総繊度20万〜300万dtexの範囲である。しかしながらストレートスタイルなど自然な嵩が要求される製品にはこのような嵩高加工は過度の変形を与えたり、作業工程が増加したりして採用できなかった。頭髪(地毛)は見掛けは直線的であっても非常に大きなウエーブやゆるい変形を有しており、これが嵩高性や櫛通りの良さに大きく寄与している。人工的な加工でこのような大きな変形を与えるのは、形状安定性や加工効率の面から困難であった。本発明は、頭飾製品における外観の不自然さ、嵩高性、櫛通り性などを改良して品質の向上が得られ、併せて上述した繊維束の取り扱い時の乱れに起因する問題を解決できる技術を提供するものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、頭飾製品の外観の自然さ、嵩高性、櫛通り性などの品質を改良するため、従来よく用いられる単繊維の断面形状や表面処理剤などの工夫では目的とする効果以外にも他の品質にも影響を及ぼすことが多かったが、繊維束の箱詰め前に撚りを加えることにより発現する軽度のくせ(コールドセット)が繊維束内に適度の空隙を残し上記の品質を大幅に向上させ、他の品質に悪影響を及ぼさないことを見出した。また、この撚りにより繊維束の乱れを抑えることが可能となり加工工程での取り扱いで工程の作業効率向上とロスの低減をあわせて実現できる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明は繊維束(トウ)に0.3〜5.0T/M(1m当たりに0.3〜5回転)の撚りを掛けながら箱詰めすることを特徴とするが、直線状の繊維の集合体である繊維束が2点間で実際に捻れている実撚りであれば、例えばトウ振込み時に梱包の箱を回転させながら振り込むことにより達成される。また同様に捻れてはいるが2点間では直線状に戻る仮の撚りであれば、振込み直前に例えばトウを挟んで連続的に捩じることにより仮撚りを加えそのまま梱包することができる。いずれにせよ梱包時に撚りによるくせ(変形)を付けるためであるから、実撚り、仮撚りのいずれでも良い。尚、前記した撚りの単位は、Tは撚りの回転数、Mは繊維の長さ単位(m)を意味する。 【0008】また、合成繊維の製造時に予め調色した樹脂や紡糸原液を用いて着色された原液着色繊維を製造する時には本発明を適用ができるが、無着色の繊維を染色処理によって着色する場合にも染色糸を乾燥後梱包する時に適用することによって本発明の効果を得ることができる。 【0009】本発明に適用できる合成繊維の単繊維繊度は、人種や年齢によって差異はあるが人毛の平均的な太さ範囲である35〜85dtexの範囲であるのが頭髪用原料に適用する点で好ましい。前記繊度が85dtexを超えた場合は、見た目の自然な外観が得られずまた触った触感が非常に硬くなり頭飾製品としては不適である。前記繊度が35dtex未満であった場合は、太すぎる場合とは反対の細過ぎる・柔らか過ぎる欠点が出る上に、スタイルを構成するカールやウエーブの保持性が弱くなるので実用的ではない。本発明に適用される繊維としては、どのような合成繊維でも可能であるが特にアクリル系、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンが実用的に使用され、特に美容特性などに優れているアクリル系、ポリ塩化ビニルが多用されている。頭髪用原料として、特に優れているものとして、アクリル系繊維を挙げることができ、このアクリル系繊維に本発明は好適である。具体的には、アクリロニトリル30〜80重量%と塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン20〜70重量%及びこれらと共重合可能なビニル系モノマー0.1〜10重量%を主成分とするアクリル系重合体を用いてなるものが好ましい。前記の共重合可能なビニル系モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩などが挙げられ、それらの1種または2種以上を用いることができる。また、本発明は、塩化ビニル65重量%以上を主成分とする塩化ビニル系繊維にも好適である。 【0010】嵩高性は嵩比重を測定して評価したが、この方法は特開平8−302519にて開示された方法と同一のものである。長さ(L)X幅(W)=30cmx6cmで両端が開放された溝を有する容器に、総繊度180万dtexのトウを長さ1mにカットし容器の溝に静置して、上から溝と同寸法の薄板を置き0.25g/cm2の加重を掛け、1分間経過後のトウの嵩比重E0を次式より求める。 E0=60/(180×H) (1) 式(1)中のHは図1中(ロ)に示す溝状容器の内側底辺から薄板2下面までの平均高さ(cm)である。 【0011】 【実施例】次に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例に先立ち、各種評価、測定の条件について説明する。 【0012】[作業効率]異なった色や長さの毛を太い金属針の針山を繰り返し通して混合する前工程(ハックリング)での作業時間を、撚りのないトウを加工する場合(100%)と比較した。得られた毛束を軽く櫛通しして整えた後、かつら加工で通常使用される3本針ミシン(連結)を通してミノ毛を作成し、通常品(100%)との作業効率(同一長さを縫うのに必要な時間)を比較した。評価△は、作業中断はしないが撚りによる変形で糸がスムーズに進まず速度を落として縫ったり、櫛で毛流れの調整をする回数の増加で時間が通常に比べ50%程度余分にかかった。評価○は、通常と同じかまたは20〜30%程度以下の時間増で加工できた。 【0013】[美容特性評価]加工したミノ毛をアルミパイプに巻き、モダクリルの最適加工条件95℃X60分でカールセットした。5枚のミノ毛を重ねてかつらの一部の状態を再現してウエーブのリッジの出方や全体のシルエットの揃いを専門の美容師が評価した。ストレートスタイルの評価は主として毛流れのストレート性や櫛通りなどを評価し、ウエーブスタイルはリッジの揃い、シルエット全体の再現性とブラッシングのし易さを評価した。 【0014】[総合評価]撚りのないトウを使用した加工時との比較で、作業効率と商品評価を総合し実用的な商品として検査規格と照らし合わせ採用の可否を判断した。 ×:採用できない○:採用は可(製造例1)アクリロニトリル49重量%と塩化ビニル50%及びメタリルスルホン酸ソーダ1%からなるモダクリル共重合体をアセトンを溶媒とした湿式紡糸により単糸繊度55dtexで総繊度110万dtexの合成繊維束(トウ)を得た。 【0015】(実施例1〜4)(比較例1〜3) 製造例1で得られたトウを55cm×80cm×高さ20cmのダンボール箱へ、箱を撚り数が異なるように回転させながら振り込んだ。40日保存後にトウを取り出し、表1に示すような異なった撚り数のトウをサンプリングして嵩高増加率を測定し、この変形を含んだトウを用いて加工時の作業性及び製品の美容特性の関係を撚りのない部分との比較で調べた。撚り数の影響が美容特性に強く出やすいストレートスタイルとミディアムウエーブスタイルで評価した。 【0016】 【表1】
【0017】表1に示すように、ミノ毛工程までは毛長さの差はあるが、作業の工程は同じであるためスタイルの違いでは結果に大きな差はない。折りぐせ率0.25以下であればミシンの効率は多少落ちるが問題なく加工できる範囲である。加工したミノ毛をストレートスタイルでは50mm径、ウエーブスタイルでは20mm径のアルミパイプに巻き、モダクリルの最適加工条件95℃X60分でカールセットした。5枚のミノ毛を重ねてかつらの一部の状態を再現して、ストレートスタイルはカールセットでは取れない毛流れのくせの状態(ストレート性)や櫛通りなどを評価した。ウエーブスタイルではウエーブリッジの出方や全体のシルエットの揃いを評価した。 【0018】 【表2】
【0019】表2及び表1から明らかなように、撚り数が0.3〜5.0の範囲であれば嵩高性増加の効果が顕著で、美容特性、作業効率からも実用的に使用できることが認められる。またトウを扱う時の乱れ防止にも効果も大きかった。 【0020】(製造例2)ポリ塩化ビニル樹脂100部に対し、エポキシ化大豆油3部、錫系安定剤(ジオクチル錫メルカプト)3部及びポリエチレンワックス5部からなる組成物を溶融紡糸して得られるポリ塩化ビニル繊維で単糸繊度70dtexトウの総繊度90万dtexのトウを得た。 【0021】(実施例5〜7)(比較例4〜6) 製造例2で得られた塩化ビニル系繊維トウを用いて、実施例1のアクリル系繊維の場合と同様にトウの撚り数とかつら製造工程の作業効率と美容特性の関係を調べた。試験の方法はポリ塩化ビニルの特性に合わせて、製品加工時のカールセット条件を塩化ビニル系繊維の標準セット条件85℃x60分に変更した以外は同様の方法で実施した。結果を表3に示す。 【0022】 【表3】
【0023】塩化ビニル繊維はモダクリル繊維に比べ比重が重くやや取り扱いにくい面があるが、加工工程での挙動はほぼ同じ結果であった。ポリ塩化ビニルは繊維構造がモダクリルよりはルーズなので熱に敏感な性質があるが、カールセット工程を経ても撚りの変形は残る。 【0024】次に製造例2で得られたトウを55cm×80cm×高さ20cmのダンボール箱へ、2本のロールの間にトウを挟みのトウの進行方向に直角の回転運動をさせて種々の仮撚りを掛けながら振込み梱包した。常温で60日保存後にトウを取り出し嵩高増加率を測定した。これは梱包後輸送されユーザーで使用される迄の標準的な条件であり製品加工時の嵩高効果や工程への影響を想定して調べた。 【0025】 【表4】
【0026】表3及び表4から明らかなように、モダクリル繊維と同様に撚り数が0.3〜5.0の範囲であれば嵩高性増加の効果が顕著で、美容特性、作業効率からも実用的に使用できることが認められる。また、トウを扱う時の乱れ防止にも効果も大きかった。 【0027】 【発明の効果】本発明の繊維束及び梱包方法により、嵩高性に優れ、加工性や美容特性を損なわないかつら用合成繊維束を得ることが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000941 【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月26日(2001.3.26) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−285422(P2002−285422A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月3日(2002.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−86878(P2001−86878) |
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