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【発明の名称】 頭部装着体
【発明者】 【氏名】阿部 更織

【要約】 【課題】人の頭部への当該頭部装着体の装着時における外観をより自然に見せることができ、特に、頭部の自毛を失っている者が安心して着用することができる頭部装着体を安価に提供すること。

【解決手段】頭部に着用するベース2に所望のヘアスタイルを形作るように毛髪が固着された頭部装着体1であって、前記毛髪は、主に前記ヘアスタイルを形作るための主毛3と、当該頭部装着体1と被装着部との境界部における外観を整えるための調整毛4と、前記主毛3および調整毛4の少なくとも一方の動きを制限するための抑制毛5とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 頭部に着用するベースに所望のヘアスタイルを形作るように毛髪が固着された頭部装着体であって、前記毛髪は、主に前記ヘアスタイルを形作るための主毛と、当該頭部装着体と被装着部との境界部における外観を整えるための調整毛と、前記主毛および調整毛の少なくとも一方の動きを制限するための抑制毛とを有することを特徴とする頭部装着体。
【請求項2】 前記調整毛は、少なくとも前記主毛よりも細く、および/または、明度の高い色の毛髪により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着体。
【請求項3】 前記抑制毛は、前記主毛および調整毛よりも短い毛髪により構成され、主毛および調整毛の基部に重なって前記主毛および調整毛の基部付近がベースから離間することを抑制し、かつ、主毛および調整毛の基部付近に絡まって、前記主毛および調整毛の基部付近がその基部を中心として一方向へ靡くことを抑制することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の頭部装着体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人の頭部への装着時に、極めて自毛に近似する体を奏することができる頭部装着体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来より、市販されている汎用品のウィッグや、自己の頭部形状に合わせて作製したベースに所望のヘアスタイルを形作るように毛髪を固着したオリジナルのウィッグ(以下、オリジナルのウィッグを「鬘」という)を用いて本来の自分の髪型とは異なった髪型に装うことがなされている。
【0003】これらのウイッグや鬘(以下、ウィッグ等)は、自毛を有する者がおしゃれ用に単発的に用いる場合もあるが、例えば、脱毛症等の病気や放射線治療等に起因して、頭皮に所望のヘアデザインを施せるだけの自毛(以下、単に「自毛」という)を失っている者は、頭皮の略全域を被覆するベースを有する、いわゆるフルタイプのウィッグ等を日常的に利用することを余儀なくされている。
【0004】そして、自毛を失っている者がフルタイプのウィッグ等を着用するにあたっては、毛髪が固着されたベースのサイズや形状が自己の頭部のサイズや形状に沿わない場合にはウィッグ等が頭皮部分から浮き上がってしまい不自然に見えたり、ウィッグ等と顔や頭部の皮膚との境界部分がなじまずに不自然に見える等といった自毛の有無を問わない問題があった。さらに、前記ベースがいわゆる人工皮膚ではなくネット状に形成されているような場合に、前記ベースに固着されている毛髪が、例えば、自然界における外的な作用であるところの、風に吹かれて固着した毛髪が靡いたときに分け目ができ、その分け目にネット状の前記ベースが露出してしまったり、着用者の首筋を覆い隠していた毛が風に浮き上がり、前記ベースの首筋に近い部分の周縁部が前記毛髪の靡きに従ってめくれ上がってしまうことがあり、その不自然さが着用時の大きな不安材料となる、といった切実な問題があった。
【0005】また、前述のウィッグ等と顔等の皮膚との境界部分がなじまずに不自然に見える原因としては、ウィッグ等のベースの周縁部、例えば、額際部分やもみあげといわれる鬢部分などに、自毛を有する者が本来多少を問わず有しているところの後れ毛や産毛に相当するような毛が固着されておらず、顔の周囲にいきなり太く、濃い色の毛が生えているような体となるためであると考えられる。
【0006】ここで、前記ネット状のベースを有するウィッグ等について、例を挙げて説明すると、本発明においては、例えばレース地のような細かな網状に形成された台地を用いてフルタイプに形成したベースの前記網状部分に毛髪を固着したものと、予めリボン状の基部に毛髪を固着したいわゆる蓑状の毛髪部材(正しくは前記リボン状の基部)を複数段に周設し、前記毛髪部材の段を適当間隔に固定することにより、ネット状のベースとするものとがある。
【0007】そして、前者のウィッグ等の場合には、通常のヘアスタイルにおいては、各毛髪は1本ずつほぼ縦方向に垂下し、ベースの下方に固着された毛髪の上にベースの上方に固着された毛髪が適当に重なるように予めヘアデザインされているためベースは目視されることはないが、風によりそれらの毛髪が靡いたような場合、毛髪が不規則に分かれ、その毛髪の間隙にネット状のベースが露出したり、後者のウィッグ等の場合には、さらに、下方から加わる外的な作用に対して前述のような問題点が生じ易い。例えば、風が下方から吹き上げることにより、上下段に周設された毛髪部材のうち、下方に周設された毛髪部材の毛髪は前記基部から垂下しているのに、上方に周設された毛髪部材の毛髪は逆にその基部から上方へ吹き上げられると、前記上下段の毛髪部材の基部間に、着用者の頭皮が露出するような、極めて不自然な状態が生じることになり、自毛を失った者が安心して着用できるものとは言い難かった。
【0008】本発明は、人の頭部への当該頭部装着体の装着時における外観をより自然に見せることができ、特に、頭部の自毛を失っている者が安心して着用することができる頭部装着体を安価に提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の頭部装着体は、頭部に着用するベースに所望のヘアスタイルを形作るように毛髪が固着された頭部装着体であって、前記毛髪は、主に前記ヘアスタイルを形作るための主毛と、当該頭部装着体と被装着部との境界部における外観を整えるための調整毛と、前記主毛および調整毛の少なくとも一方の動きを制限するための抑制毛とを有することを特徴とするものである。
【0010】本発明によれば、抑制毛の存在により、その装着時における外的な作用に対する主毛や調整毛の流れ方や靡き方等その動き方を抑制して、ベースの露出を防止することができ、また、前記調整毛の存在により、後れ毛や産毛等のような主毛以外の毛髪を擬似再現するとともに、当該頭部装着体と被着用部の境界部を覆い隠して、当該頭部装着体の着用時の外観をより自然に見せることができる。
【0011】また、請求項2に記載の頭部装着体は、請求項1に記載の頭部装着体であって、前記調整毛は、少なくとも前記主毛よりも細く、および/または、明度の高い色の毛髪により構成されていることを特徴とするものである。
【0012】本発明によれば、前記調整毛は、後れ毛や産毛といった、主毛以外の毛髪に、より近似するものとなり、当該頭部装着体を着用した場合の毛髪およびヘアスタイルが、極めて自毛に近似する体を奏することができるものとなる。
【0013】そして、請求項3に記載の頭部装着体は、請求項1又は請求項2に記載の頭部装着体であって、前記抑制毛は、前記主毛および調整毛よりも短い毛髪により構成され、主毛および調整毛の基部に重なって前記主毛および調整毛の基部付近がベースから離間することを抑制し、かつ、主毛および調整毛の基部付近に絡まって、前記主毛および調整毛の基部付近がその基部を中心として一方向へ靡くことを抑制することを特徴とするものである。
【0014】本発明によれば、より確実に、前記主毛および調整毛の動きを制限することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明の頭部装着体の第1実施形態について、図1乃至図6を用いて説明する。
【0016】本実施形態の頭部装着体1は頭皮の略全域を被覆するベース2を有しており、このベース2には特に、図1および図2に示すように、鬢部分2A、うなじ部分2Bに該当する領域が形成されている。なお、前記ベース2の鬢部分2Aからうなじ部分2Bにかけてのラインは、図1において二点鎖線で示す耳6の付け根に対し、上方は前記付け根から約指1本分、前記耳6の耳孔6Aの側方は付け根から約指2本分ほど外方を通るように前記ベース2の周縁が位置するようにすると、当該頭部装着体1の着用時に自然な感じの毛の生え際のラインを形成することができる。そして、前記ベース2には、所望のヘアスタイルを形作るために必要な本数の毛髪が固着されている。
【0017】前記毛髪は、本実施形態の頭部装着体1においては、主に前記ヘアスタイルを形作るための主毛3と、主に当該頭部装着体1と被装着部との境界部における外観を整えるための調整毛4と、前記主毛3および調整毛4の双方または一方の動きを制限するための抑制毛5とにより構成されている。
【0018】前記主毛3は一般的な毛髪と同様の太さと、所望のヘアスタイルを形作るための色および長さを有している。
【0019】また、前記調整毛4は、特に、当該頭部装着体1の毛髪およびヘアスタイルが自毛およびその自毛を用いたヘアスタイルに近似する体を奏するために必要な、いわゆる後れ毛や産毛といった毛髪の擬似毛であって、図3に示すように額際部分を含む前記頭部装着体1の周縁部や、図1および図2に示す鬢部分2A、うなじ部分2Bに、当該頭部装着体1と着用者の被装着部との境界部を被覆するようにして固着されている。なお、図1および図2には一部の調整毛4とその調整毛4に対する抑制毛5のみを例示的に示している。
【0020】この調整毛4は前述のように、いわゆる後れ毛や産毛といった毛髪の擬似毛であるので、本実施形態においては、前記主毛3よりも短く、細く、前記主毛3よりも明度の高い、つまり明るめの色の毛髪により構成する。このように構成された調整毛4は、主毛3以外の後れ毛や産毛といった毛髪に、より近似のしたものとなり、当該頭部装着体1を着用した場合の毛髪およびヘアスタイルが、極めて自毛に近似する体を奏することができるものとなる。
【0021】また、図3に示すように、ベース2の額際部分に後れ毛的な調整毛4を形成することで、ヘアデザイン上の前髪を構成する主毛3をその基部から立ち上げて、その前髪としての主毛3が着用者の額部分に張り付くような不自然さを解消させることができる。
【0022】前記抑制毛5は、前記主毛3や調整毛4よりもさらに短く、主毛3や調整毛4の基部表面側に重なることで、その重さで前記主毛3や調整毛4の基部付近がベース2から浮いて離間することを抑制し、かつ、主毛3や調整毛4の基部付近にその先端側を絡ませることで、前記主毛3や調整毛4の基部付近がその基部を中心として、例えば風下方向、髪の梳き方向等、一方向へ靡くことを抑制するように固着されている。
【0023】この前記主毛3や調整毛4と抑制毛5との関係を図4乃至図6を用いて詳説する。
【0024】図4は、前記主毛3と抑制毛5との通常時における配設関係を示すための説明図である。この図4に示すように、抑制毛5は下方に位置する主毛3の基部付近にその先端側を重ねるようにして固着されている。図4においては、説明の関係上、前記主毛3と抑制毛5とをほとんど一対一の関係で配設した図としたが、本発明の効果を得るためには、各主毛3に対して作用しうる抑制毛5が固着されていればよく、図示のように一対一の関係で配設されている必要はない。
【0025】前記抑制毛5は、通常のヘアスタイルにおいては、前記主毛3の間に紛れるようにして固着する。仮にそのヘアスタイルの表面に露出する場合であっても特に違和感がないように、前記主毛3と同様の太さ、色の毛髪を用いることが望ましい。
【0026】そして、例えば、図4に頭部装着体1の縦断面図により縦一列に固着された主毛3および抑制毛5に対し、外的作用としての風が吹いてきたとき、図5に示すように、長く形成された主毛3は、その風に煽られて浮き上がろうとするが、抑制毛5自体は短く形成され、主毛3間に紛れるように固着されていることで前記風の影響をあまり受けずにその主毛3の基部付近において重なることで、前記主毛3の基部がベース2から離れることを抑止するように作用する。また、風下方向に靡こうとする主毛3に対しては、図6の平面図に示すように、その主毛3の基部に絡み、毛髪の分かれ目に形成される間隙にベース2が露出することを防止するように作用する。
【0027】このような抑制毛5は、主毛3に対してのみならず、例えば、図1に示すような鬢部分2Aやうなじ部分2Bの調整毛4にも対応させて前記ベース2に固着する。そして、外観的には、前記調整毛4により、産毛や後れ毛が存在するような外観を得、しかも、その調整毛4も、前記抑制毛5により、その基部付近の毛の浮き方、流れ方、靡き方等の動きを規制して常に頭部装着体1と着用者の被装着部との境界部を被覆するようにすることで、例えば、長い主毛3からなる髪をいわゆるルーズアップにするようなヘアデザインであっても、ベース2やその境界部の露出を防止することができる。そして、前記ルーズアップにするような場合にも、首筋にその調整毛4が残ることで、頭部装着体1を着用していることも一見では識別不可能となり、頭部に自毛を失った者も安心して頭部装着体1を着用することができる。
【0028】また、前記抑制毛5は、主毛3や調整毛4に絡む場合に限らず、それ自体の存在で主毛3や調整毛4の基部部分を覆い隠す作用をも有する。例えば、髪を略水平方向に梳く場合においても、長い髪の主毛3は櫛やブラシに梳かれて略水平方向に引っ張られても、短い髪の抑制毛5は、櫛やブラシの目から直ぐに解放され、相変わらず略水平方向に引っ張られている主毛3の基部を覆い隠すように作用する。このように、抑制毛5が作用することにより、主毛3の基部のベース2の露出を防止することができる。
【0029】なお、本発明の頭部装着体1は、予め、異なる長さや太さ、明度等に形成された毛髪を前述の構成となるようにベース2に固着して形成してもよいし、これらの毛髪により構成された蓑状の毛髪部材を用いてベース2を作成してもよい。さらに、前記ベース2に対して予め固着されている毛髪を、後工程においてその部位により必要な役割を果たすように必要な長さにカットして分けることにより、調整毛4として機能させ、あるいは、抑止毛5として機能させてもよい。
【0030】また、前記ベースの形状も前述のものに限らない。例えば、鬢部分のみを形成し、うなじ部分は省略されているものであっても構わない。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、その抑制毛の存在により、その装着時における外的な作用に対する主毛や調整毛の流れ方や靡き方等その動き方を抑制して、ベースの露出を防止することができ、また、調整毛の存在により、後れ毛や産毛等のような主毛以外の毛髪を擬似再現するとともに、当該頭部装着体と被着用部の境界部を覆い隠して、当該頭部装着体の着用時の外観をより自然に見せることができる。
【0032】このように、従来のウィッグ等の着用時の不自然さの問題を解消することができ、自毛を有している者は勿論のこと、特に、頭部の自毛を失っている者が安心して、所望のヘアスタイルの頭部装着体を着用することができる。
【0033】また、このような構成からなる頭部装着体であれば、高額なオリジナルな鬘を作成しなくても、汎用品のウィッグであっても、従来のウィッグに比して、かなり自然な感じの外観を得ることができるものとなり、安価に、使用感の良好な頭部装着体を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】500514144
【氏名又は名称】阿部 更織
【出願日】 平成12年11月7日(2000.11.7)
【代理人】 【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔 (外2名)
【公開番号】 特開2002−146614(P2002−146614A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−338841(P2000−338841)