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【発明の名称】 サポーター
【発明者】 【氏名】丹羽 氏輝

【氏名】佐藤 雅伸

【氏名】笠原 敬子

【要約】 【課題】水分子吸着性能を利用した保温性効果の高いサポーターを提供する。

【解決手段】水分子吸着発熱性能を有する編地からなり、その発熱エネルギー指数が5以上、編地の少なくとも肌と接する面の接触温冷感(qmax)が0.12W/cm2以下、編地のタテ方向またはヨコ方向いずれかの伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、かつ、破裂強力が0.29MPa以上であるサポーター。
【特許請求の範囲】
【請求項1】水分子吸着発熱性能を有する編地からなり、かつ、本文で定義する発熱エネルギー指数が5以上であり、かつ、該編地の少なくとも肌と接する面の、本文で定義する接触温冷感(qmax)が0.12W/cm2 以下で、編地のタテ方向またはヨコ方向いずれかの、本文で定義する伸長率が50%以上、本文で定義する伸長回復率が60%以上、かつ、本文で定義する破裂強力が0.29MPa以上であることを特徴とするサポーター。
【請求項2】該編地を構成する繊維表面に、吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させてなる請求項1記載のサポーター。
【請求項3】該吸湿性ポリマーが、ビニルスルホン酸を主成分としたポリマーである請求項2記載のサポーター。
【請求項4】該吸湿性微粒子が珪素を含む酸化物の微粒子である請求項2記載のサポーター。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サポーターに関する。さらに詳しくは、優れた保温性を有し、軽く肌触りが良く、伸縮性と機械強度に富み、汗をかいてもべとつかないサポーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スポーツ、医療などで局部、関節などの保護のために用いられる補装具として、各種のサポーターが提案され実用化されてきた。これらの中で、秋冬時期でのサポーター、あるいは寒冷な環境のもとでのサポーターとして種々の保温性を特徴とするサポーターが提案されてきた。
【0003】例えば、厚手の綿のサポーターやウールを混紡したサポーターなどは、静止時は暖かいものの少し動くと暑くなり過ぎて過度の発汗を招き、静止時は冷えた汗で不快になりがちである。また、局部への締め付けがきつく動き難い等の問題があり、いまだ十分に満足される保温性サポーターが得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来技術の実状に鑑み、優れた保温性を有し、かつ、軽く肌触りが良く、伸縮性と機械強度に富み、汗をかいてもべとつかず冷感を感じないサポーターを提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために、次のよう手段を採用するものである。すなわち、本発明のサポーターは、水分子吸着発熱性能を有する編地からなり、かつ、本文で定義する発熱エネルギー指数が5以上であり、かつ、該編地の少なくとも肌と接する面の、本文で定義する接触温冷感(qmax)が0.12W/cm2 以下で、編地のタテ方向またはヨコ方向いずれかの、本文で定義する伸長率が50%以上、本文で定義する伸長回復率が60%以上、かつ、本文で定義する破裂強力が0.29MPa以上であることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり優れた保温性を有し、かつ、軽く肌触りが良く、伸縮性と機械強度に富み、汗をかいてもべとつかず冷感を感じないサポーターについて、鋭意検討し、水分子吸着発熱性能を有する編地であって、しかも、発熱エネルギー指数、接触温冷感、伸長率、伸長回復率、および、破裂強力が、いずれも特定なものを選択して使用してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0007】本発明のサポーターに用いる、水分子吸着性能を有する編地を構成する繊維としては、吸湿性を有する繊維を用いればよく、例えば、羊毛、蛋白質繊維であるアーディル、ビスコースレーヨン、絹、綿等の湿潤熱の高い繊維を用いてもよいし、または、合成繊維に、紡糸あるいは後加工において吸湿性を付与・向上させたものを用いてもよい。
【0008】例えば、紡糸においては、ナイロンにポリビニルピロリドン等の吸湿ポリマーを錬り込み紡糸して得られた吸湿性向上ナイロン糸等を使用することができる。すなわち、ナイロンにポリビニールピロリドンを5重量%練り込むことにより、後述する発熱エネルギーが13程度の糸を得ることができる。この糸の編地への混率は、編地全重量比の好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上とすることで、目的とする性能を得ることができる。
【0009】また、後加工においては、吸湿性のあるポリマーおよび/または吸湿性のある微粒子を繊維表面に固着させることが実用上好ましく用いられる。後加工で吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させることにより、繊維が吸湿性となることは、編地の柔軟性を増すことにもなり好ましい。
【0010】吸湿性のあるポリマーを繊維表面に固着させる例としては、ビニルスルホン酸を主成分としたポリマーを用いることが好ましい。ビニルスルホン酸としては、例えば、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が水分子吸着発熱性能の点で望ましい。例えば、ポリエステル100%編地の起毛素材にアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とPEG#1000ジメタクリレートの共重合物を3重量%程度付着させることにより後述する発熱エネルギー指数が15程度の編地を得ることができる。
【0011】吸湿性のある微粒子を繊維表面に固着させる例としては、吸湿率の高い、シリカなど珪素を含む酸化物の微粒子を用い、これをバインダーで繊維表面に固着することが好ましい。
【0012】本発明のサポーターにおいては、これら上記の手段を組み合わせて採用することが好ましい。
【0013】また、前記のナイロン系繊維やポリエステル系繊維以外に、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維のみを用いたサポーターは勿論のこと、これらの合成繊維同士の交編、交撚、引き揃え、混繊した編地からなるサポーター、これら合成繊維のフィラメント糸条使い、紡績糸使い、混紡糸使いによる編地からなるサポーター、あるいは、他に天然繊維やセルロース系合成繊維と交編、交撚、引き揃え、混繊糸、混紡糸使いによる編地からなるサポーターとしても良い。
【0014】編地に用いるこれらの糸の太さとしては、フィラメント糸条ならば総繊度33〜222デシテックス、単繊維繊度は0.1〜11デシテックス、紡績糸ならば綿番手換算で20〜100番手程度が好ましく使用でき、サポーターとしての狙い用途と後述する製編手法により適宜使い分ければ良い。
【0015】本発明のサポーターは、発熱エネルギー指数が5以上であることが重要である。 ここで発熱エネルギー指数とは、ポリエチレンテレフタレート繊維100%素材の水分子吸着発熱エネルギーを1とした場合の比較値である。すなわち、アルコール温度計に3gの試料を巻き付け、30℃、30%RHの環境で調温、調湿させた後、30℃、90%RHの環境へ移動させた場合の吸湿時の温度上昇を経時的に観察し、横軸に時間、縦軸に温度としたグラフに30℃から上昇し再び30℃に復元するまでプロットし、その面積を測定するものである。
【0016】具体的な測定法は下記の通りである。すなわち、幅約3.5cmの試料3gを、アルコール温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、摂氏30度×湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定した。次に、摂氏30度×湿度90%RHの環境まで湿度を3%/分の速度で変化させ、この間1分ごとに4時間後まで温度を測定した。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって表したものである。
【0017】A=B/Cただし、A:発熱エネルギー指数B:試料の発熱エネルギー量C:ポリエチレンテレフタレート繊維タフタ(JIS染色堅牢度試験用添付布)の発熱エネルギー量をそれぞれ表す。
【0018】この発熱エネルギー指数が5未満では発熱効果を実感することができない。発熱エネルギー指数は、好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上である。
【0019】ただし、やたらに吸湿性を増加させただけでは、肌に触れたときに冷たく感じ、保温性を狙いとするサポーターには適さなくなる。本発明は、かかる矛盾を解消するために、水分子吸着発熱性能を有する編地の肌と接する面の接触温冷感(qmax)を0.12W/cm2 以下にする必要がある。
【0020】本発明でいう接触温冷感(qmax)とは、下記の測定方法により測定したものである。すなわち、カトーテック(株)製のサーモラボ2型測定器を用い、室温20℃、湿度65%RHの部屋で、BT−Boxを30℃に調節し、十分調湿したサンプルの上にBT−Box(圧力10g/cm2)を乗せ、10℃の温度差での単位面積当たりの熱流束を測定したものである。
【0021】かかる接触温冷感(qmax)が0.12W/cm2 以下の編地は、例えば、編地の肌と接する接触面に肌触り感を阻害させない程度の凹凸を付け、接触面積を小さくした編地構造にすることにより得られる。また、接触温冷感(qmax)が0.12W/cm2 以下の編地は、接触面のみに吸湿性の低い繊維を用いた2重編組織等の多重組織編地でも得られる。例えば、編地片面を起毛加工する方法や多重編組織で接触面積を小さくする方法、あるいはパイル組織形状で接触温冷感(qmax)を0.12W/cm2 以下にすることができるが、本発明はこれらに限定されず、いかなる方法でも接触温冷感(qmax)を0.12W/cm2 以下にすれば良い。
【0022】かかる接触温冷感(qmax)は、より好ましくは0.1W/cm2 以下であり、特に好ましくは0.08W/cm2 以下であるのがよい。
【0023】また、本発明のサポーターは、編地のタテ方向またはヨコ方向いずれかの伸長率が50%以上で、かつ、伸長回復率が60%以上であることが必要である。
【0024】かかる伸長率とは、編地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、サポーターにして装着した時、身体の動きに追従し易く、運動による激しい動きにも編地が追従し、動き易く、疲れ難い。また、伸長回復率とは身体の動きで伸長した編地が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、サポーターとして装着した時、よりフィット性に富み、動き易い。
【0025】この伸長率と伸長回復率は編地のタテ方向とヨコ方向のいずれかの数値を考える必要がある。これは、例えば、膝用サポータあるいは肘用サポーターにして実際装着して動く場合、編地の伸長率と伸長回復率の大きい方向をサポーターの長さ方向にすることで関節の動きに追従し、逆に、伸長率と伸長回復率の小さい方向をサポーターの横方向にすることで筋肉すじを適度な圧迫感で保護することになる。また、腹部用サポーターは、この逆の方向を使用すればよい。
【0026】かかる伸長率および伸長回復率は、下記に示す方法で測定することができる。すなわち、編地伸長率は、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に基づいて測定されたものである。すなわち、10cm×約15cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取する。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を7.6cmとして、試験片のたるみや、張力を除いて、つかみに固定する。これを引張速度10cm/minで17.7N(1.8Kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔を測った。次に即、荷重を取り除く方向へ元のつかみ間隔である7.6cmまで戻した。この荷重−除重による挙動を自記記録計に荷重−伸長−回復曲線として描いた(図1を参照)。
【0027】これを基に、次の式により伸長率LA(%)を求め、編地のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表したものである。
【0028】
伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100ただし、L :つかみ間隔(mm)
L1:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)である。
【0029】また、編地伸長回復率LB(%)は、前記自記記録計で描いた荷重−伸長−回復曲線を基に、回復曲線がゼロ荷重になった時点から残留歪み率L2(%)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算出し、編地のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表したものである。
【0030】
伸長率回復率LB(%)=(L3/L1)×100また、破裂強力は、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に基づいて測定したものであり、すなわち、15cm×15cmの試験片を5枚採取し、この試験片の表を上にして張力を加えずに普通の状態で、ミューレン型破裂試験機に取り付けて破裂強力を測定し、5枚の平均値で示したものである。
【0031】本発明における編地のタテまたはヨコ方向いずれかの伸長率は、50%以上あるものであり、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0032】かかる伸長率50%未満であると、サポーターとして装着しずらく、身体の動きにサポータが追従し難く、また、疲れ易いものとなり好ましくない。また、伸長回復率が60%未満であると、身体の動きにより伸長された編地が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから、身体の動きに追従しにくくなる。また、サポーターとしての見映えにも劣ることになる。
【0033】なお、編地伸長率と伸長回復率の数値大小が、タテ方向とヨコ方向逆の場合は、伸長率の大きい方向を優先して使用することが好ましい。
【0034】本発明のサポーターに用いる編地の破裂強力は、0.29MPa以上であることが必要である。編地の破裂強力が0.29MPa未満では、装着中に破れたりするため使用に耐えられなくなる。
【0035】本発明のサポーターに用いる編地の製編は、経編地であるトリコット地、ラッセル地、および、丸編地であるシングル丸編地、ダブル丸編地、横編地、または、成型用小寸丸編機によるシングル丸編地、ダブル丸編地等のいずれであってもよい。また、編組織は、経編地のハーフ組織、バックハーフ組織、クイーンズコード組織、サテン組織、メッシュ組織、パイル組織、その他変化組織等、または、丸編地の天竺組織、フライス組織、インターロック組織、モックローディ組織、パイル組織、その他変化組織等、通常サポーターとして使用されている編組織であれば良い。
【0036】特に、編地裏面側(肌面側)の形状を肌触り感を阻害しない程度の凹凸形状とすることで、肌とサポーター裏面側の接触面積を軽減させると同時に、不動空気層が形成され、肌面側の接触温冷感(qmax)を下げることができ好ましい形態となる。
【0037】この凹凸形状の形成法としては、変化編組織によるもの、太い糸と細い糸との組合せによるもの、あるいはジャガード柄組織によるもの、パイル組織によるもの、さらには、起毛加工によるもの、エンボス加工によるもの等を採用することができる。
【0038】本発明に使用するサポーター用の編地は、前述した編組織が単層として構成されたものでもよいが、二層、三層等の多層構造体にしたものであってもよい。多層構造体の編地を使用する場合は、編地表面側を構成する糸に紡績糸を、裏面側(肌面側)に合成繊維マルチフィラメント糸を使用したり、あるいは、編地表面側を構成する糸に単繊維繊度の細い合成繊維マルチフィラメント糸を、裏面側(肌面側)に単繊維繊度の太い合成繊維マルチフィラメント糸を使用することが好ましい。
【0039】このような多層構造体にした編地は、気体状の汗のみならず、液体状の汗は二層、三層等の多層構造体による毛細管現象により、編地裏面側(肌面側)から表面側へ素早く、かつ効率良く吸水・透水・拡散させることができるため、激しい運動等での液体状発汗に対し、好適なサポータとすることができる。
【0040】また、このサポーター用の編地には、一般的なゴム、あるいは、ポリウレタン系弾性糸等に代表されるゴム状弾性糸を含んでいてもよい。より大きなストレッチ性を必要とするサポーターでは、このようなゴムあるいはゴム状弾性糸を含ませることにより、そのストレッチパワーにより身体に、よりフィットし動き易さを高めることができ好ましい。
【0041】また、編地に水分子吸着発熱性能を付与する後加工としては、製編生機のリラックス・精練と染色後、ビニルスルホン酸を主成分としたポリマーと架橋剤をパッディング等で編地に付着させた後、熱処理等によりポリマー化して繊維表面に固着する方法がある。ビニルスルホン酸は、pH値が低く、そのまま用いると綿やナイロン繊維は脆化するため、予め中和したビニルスルホン酸ナトリウムを用いる。また、ビニルスルホン酸亜鉛を用いると、消臭性能も付与できる。
【0042】本発明によるサポーター用の編地の染色段階での付帯加工としては、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、吸汗加工、撥水加工、さらに、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、起毛加工、オパール加工等、最終狙いサポータ種の要求特性に応じて適宜付与することが望ましい。
【0043】本発明のサポーターは、素材や編地の構造を適宜選択することにより、次のように幅広く展開可能である。例えば、スポーツ保護用としての肘、膝、すね、もも、肩用サポーター等。医療治療用としての肘、膝、すね、もも、肩、腹、鎖骨、頸椎用サポーター等。また、一般的な冷え防止用サポーターとしての肘、膝、すね、もも、肩、腹用サポーター等に使用できる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(測定方法)
(1)発熱エネルギー指数幅約3.5cmの試料3gを、アルコール温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、摂氏30度×湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定した。次に、摂氏30度×湿度90%RHの環境まで湿度を3%/分の速度で変化させ、この間1分ごとに4時間後まで温度を測定した。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって表した。発熱エネルギー指数=試料の発熱エネルギー量/ポリエチレンテレフタレート繊維タフタ(JIS染色堅牢度試験用添付布)の発熱エネルギー量。
【0045】(2)接触温冷感(qmax)
カトーテック(株)製のサーモラボ2型測定器を用い、室温20℃、湿度65%RHの部屋で、BT−Boxを30℃に調節し、十分調湿したサンプルの上にBT−Box(圧力10g/cm2)を乗せ、10℃の温度差での単位面積当たりの熱流束を測定した。
【0046】(3)発熱効果(保温性向上効果)
膝用サポーター縫製品を室温5℃、湿度65%RHの部屋で膝に装着し、エルゴメーターで75Wの運動を15分実施した後、サポーターを外し、裏返し、裏側面の温度を熱赤外線画像で測定するとともに装着感覚を確認した。
【0047】(4)編地伸長率まず、伸長率の試験法はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に準じて行った。すなわち、10cm×約15cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を7.6cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固定した。これを引張速度10cm/minで17.7N(1.8Kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔を測った。次に即、荷重を取り除く方向へ元のつかみ間隔である7.6cmまで戻した。この荷重−除重による挙動を自記記録計に荷重−伸長−回復曲線として描いた(図1を参照)。これを基に、次の式により伸長率LA(%)を求め、編地のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。
伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100L :つかみ間隔(mm)
L1:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)
(5)編地伸長回復率また、伸長回復率LB(%)は、前記自記記録計で描いた荷重−伸長−回復曲線を基に、回復曲線がゼロ荷重になった時点から残留歪み率L2(%)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算出し、編地のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。
伸長率回復率LB(%)=(L3/L1)×100(6)破裂強力JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に準じて行った。15cm×15cmの試験片を5枚採取する。試験片の表を上にして張力を加えずに普通の状態で、ミューレン型破裂試験機に取り付けて破裂強力を測定し、5枚の平均値で示した。
【0048】[実施例1]図2の編方図に示す計8給糸口からなる編組織の全給糸口F1〜F8の構成糸イおよびロにナイロンに吸湿ポリマーであるポリビニルピロリドンを5重量%練り込んだ155デシテックス48フィラメント糸を用い、22Gの両面丸編機にて、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となるナイロン100%の丸編地を編成した。
【0049】この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練、染色、乾燥、仕上げセットを行った。
【0050】得られた編地は、発熱エネルギー指数が13、裏面側(肌面側)の接触温冷感(qmax)が0.083、また、タテ方向の伸長率が52%、伸長快復率が81%、ヨコ方向の伸長率が72%、伸長快復率が83%、破裂強力が0.61MPaであった。
【0051】この編地を使用して、編地ヨコ方向がサポーターの長さ方向となるように本発明の膝用サポーターを縫製し、評価した結果、暖かく、また動き易くサポーターとして優れていると判断されるものであった。結果を表1に示す。
【0052】[実施例2]実施例1と同様の図2の編方図に示す計8給糸口からなる編組織の4給糸口F2、F4、F6、F8の編地において表面側構成糸ロにアクリル紡績糸1/52を、他の4給糸口F1、F3、F5、F7の編地裏面側(肌面側)構成糸イにナイロンフィラメント加工糸155デシテックス48フィラメント糸を用い、22Gの両面丸編機にて、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となる丸編地を編成した。
【0053】この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥を行った。さらに、この染色・乾燥後の生地を、下記組成の処方Aの処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
【0054】
(処方A)
・AMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸) 20g/l・PEG#1000ジメタクリレート(商品名P303 共栄社)40g/l・過硫酸アンモニウム 2g/l。
【0055】乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットして発熱エネルギー指数10、裏面側(肌面側)の接触温冷感(qmax)0.078、また、タテ方向の伸長率が48%、伸長快復率が72%、ヨコ方向の伸長率が65%、伸長快復率が82%、破裂強力が0.54MPaであった。
【0056】この編地を使用して実施例1と同様に、編地ヨコ方向がサポーターの長さ方向となるように本発明の膝用サポーターを縫製し、評価した結果、暖かく、また動き易くサポーターとして優れていると判断されるものであった。結果を表1に併せて示す。
【0057】[実施例3]20Gのシングルパイル丸編機において、パイル構成糸にアクリル紡績糸1/52を、地組織構成糸にスパンデックス糸44デシテックスにナイロンフィラメント加工糸78デシテックス24フィラメント糸をシングルカバーリングした複合糸を用い、片面パイル形状の丸編地を編成した。
【0058】この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥を行った。さらに、この染色・乾燥後の生地を、実施例2と同一組成の処方Aの処理液に浸漬後、マングルで絞り、乾燥、加熱スチーマー処理、湯水洗、乾燥、セットと実施例2と同一加工を行った。加工後の編地は、発熱エネルギー指数が15、裏面側(肌面側)の接触温冷感(qmax)が0.041、また、タテ方向の伸長率が77%、伸長快復率が88%、ヨコ方向の伸長率が90%、伸長快復率が85%、破裂強力が0.31MPaであった。
【0059】この編地を使用して実施例1と同様に、編地ヨコ方向がサポーターの長さ方向となるように、また、編地のパイル面が肌側となるように本発明の膝用サポーターを縫製し、評価した結果、暖かく、また動き易くサポーターとして優れていると判断されるものであった。結果を表1に併せて示す。
【0060】[比較例1]インターロック編組織においてポリエチレンテレフタレートフィラメント糸83デシテックス36フィラメント糸を用い、20Gの両面丸編機にてポリエチレンテレフタレート糸100%からなる表裏フラット形状の丸編地を編成した。この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上げセットを行った。この編地は、実施例2のような処方Aによる加工を行わないものである。
【0061】得られた編地は、発熱エネルギー指数が1、裏面側(肌面側)の接触温冷感(qmax)が0.147、また、タテ方向の伸長率が38%、伸長快復率が70%、ヨコ方向の伸長率が47%、伸長快復率が55%、破裂強力が0.19MPaであった。
【0062】実施例1と同様に、この編地を使用して編地タテ方向がサポーターの長さ方向となるように膝用サポーターを縫製し評価した結果、動き難く、暖かさが感じられず、どちらかと言えば寒いものでありサポーターとして不適と判断されるものであった。また、破れ易く機械強度に弱いものであった。結果を表1に併せて示す。
【0063】
【表1】

【0064】
【発明の効果】本発明によれば、機械強度と動き易さを損なうことなく、保温性効果の高いサポーターを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成13年6月11日(2001.6.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−371409(P2002−371409A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2001−175364(P2001−175364)