トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類




【発明の名称】 体温冷却衣
【発明者】 【氏名】宮田 三冬

【要約】 【課題】収容ポケットに収容した保冷材により有効に体温を下げることのできる体温冷却衣が求められている。

【解決手段】体温冷却衣1では、衣本体が、互いに分離独立した前身頃3および後身頃4と、前身頃3と後身頃4を係脱可能に係止する係合部材5と、面ファスナ9および面ファスナ19と、から構成されている。そして、保冷材17を収容する収容ポケット15が後身頃4の背中部分に設けられている。また、前身頃3の袖ぐり10,10に袖20,20が接合されるとともに、保冷材27を収容する収容ポケット25が各袖20の腋窩部対面位置に設けられている。また、前身頃3の裾12,12に脚着用筒体28,28が接合されるとともに、保冷材34を収容する収容ポケット32が各脚着用筒体28の鼠蹊部対面位置に設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 衣本体と、保冷材を収容する収容ポケットとを有する体温冷却衣において、収容ポケットが衣本体の背中部分に設けられていることを特徴とする体温冷却衣。
【請求項2】 衣本体と、保冷材を収容する収容ポケットとを有する体温冷却衣において、衣本体の袖ぐりに袖が接合されるとともに、収容ポケットが袖の腋窩部対面位置に設けられていることを特徴とする体温冷却衣。
【請求項3】 衣本体と、保冷材を収容する収容ポケットとを有する体温冷却衣において、衣本体の裾に脚着用筒体が接合されるとともに、収容ポケットが脚着用筒体の鼠蹊部対面位置に設けられていることを特徴とする体温冷却衣。
【請求項4】 衣本体が、互いに分離独立した前身頃および後身頃と、前身頃と後身頃を係脱可能に係止する係合部材とから構成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の体温冷却衣。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫などで冷やした保冷材を用いて体温を下げる体温冷却衣に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、高熱が出ると、額や後頭部に冷タオルや冷却材を当てて体温を下げるようにしている。一方で、幼児は高熱であっても安静に寝ていることが少なく、冷タオルや冷却材を当てても手で払い除けてしまうことが多い。しかしながら、脱水症状や熱性けいれんのおそれがある場合はただちに解熱しなければならない。このような場合に坐薬が使用されるが、坐薬は体への負担が大きいため頻繁には使用できない。
【0003】そこで、保冷材を体に密着させるようにした図7の体温冷却衣51が、特開2000−336505号公報に開示されている。この体温冷却衣51は衣本体52がベスト状に形成されている。衣本体52の側胴部における袖ぐり53の下辺近傍には、ポケット開口55を封止する蓋56付きの収容ポケット54が設けられている。この体温冷却衣51は、予め冷蔵庫などで冷やしておいた保冷材57を収容ポケット54に収容して使用される。これにより、着用者の腋の下を冷やすようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ベストの袖ぐり53は上腕の挿通をたやすくするために、上腕よりも大径にしてゆとりを持たせてあるのが普通である。そのため、袖ぐり53の下辺部は上腕の付け根位置よりも下方に位置することとなる。一方、図8に示すように、腋の下から上腕内側にわたる腋窩部38においては、腋窩動脈45が皮下近くを通っている。この腋窩部38を冷やすことで、温度の低い血液が体の末端に送られて体温が迅速に下げられる。この場合、上腕を胴体に密着させていれば、収容ポケット54の保冷材57で腋窩動脈45を冷やすことができる。しかしながら、寝返りを打ったときや遊んでいるときのように上腕が体側から離れると、腋窩部38も収容ポケット54から離れるために冷却されず、有効に体温を下げられないという不具合があった。
【0005】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、収容ポケットに収容した保冷材により有効に体温を下げることのできる体温冷却衣の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る体温冷却衣は、衣本体と、保冷材を収容する収容ポケットとを有する体温冷却衣において、収容ポケットが衣本体の背中部分に設けられているものである。
【0007】また、前記構成において、衣本体と、保冷材を収容する収容ポケットとを有する体温冷却衣において、衣本体の袖ぐりに袖が接合されるとともに、収容ポケットが袖の腋窩部対面位置に設けられているものである。
【0008】そして、前記した各構成において、衣本体と、保冷材を収容する収容ポケットとを有する体温冷却衣において、衣本体の裾に脚着用筒体が接合されるとともに、収容ポケットが脚着用筒体の鼠蹊部対面位置に設けられているものである。
【0009】更に、前記した各構成において、衣本体が、互いに分離独立した前身頃および後身頃と、前身頃と後身頃を係脱可能に係止する係合部材とから構成されているものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここに、図1は本発明の一実施形態に係る体温冷却衣を示す正面図、図2は前記の体温冷却衣を見上げた底面図、図3は前記の体温冷却衣を分解した正面展開図、図4は前記の体温冷却衣を分解した背面展開図である。各図において、この実施形態に係る体温冷却衣1は、ベスト状に形成された衣本体2を基に構成されている。衣本体2は、互いに分離独立した前身頃3および後身頃4と、前身頃3と後身頃4を係脱可能に係止する係合部材5,5および係合部材35,35(図6参照)と、から構成されている。前身頃3および後身頃4は例えばキルティング地で形成されている。係合部材5,5は、前身頃3の胴部側方背面に縫着された面ファスナ6,6,6,6と、後身頃4の胴部側方背面に縫着されて前記の面ファスナ6,6,6,6と係脱可能に係合する面ファスナ7,7,7,7と、から成っている。
【0011】前身頃3の上部には肩部8,8が形成され、後身頃4の上部に肩部18,18が形成されている。これらの肩部8,8と肩部18,18は係合部材35,35により係脱可能に連結される。係合部材35,35は、肩部8,8の背面に縫着された面ファスナ9,9と、肩部18,18の背面に縫着されて前記の面ファスナ9,9と係脱可能に係合する面ファスナ19,19と、から構成されている。
【0012】衣本体2の背中部分2a、すなわち後身頃4の中央部分には袋用布14が縫着されて、上面にポケット開口16を有する収容ポケット15が形成される。この収容ポケット15内には保冷材17が収容されるようになっている。収容ポケット15のポケット開口は後身頃4の内面(前面)に形成してもよい。
【0013】衣本体2の左右の袖ぐり10,10には、前身頃3に対し分離独立構成の袖20,20が接合される。袖20,20は展開状態で長尺帯状となっている。各袖ぐり10には例えばボタンから成る接合部材11,11が取り付けられている。各袖20の一端側下辺には、前記の接合部材11,11に係止される例えばゴム紐から成る接合部材24,24が縫着されている。
【0014】また、袖20,20の一端側前面に面ファスナ22,22が縫着されている。これらの面ファスナ22,22は、袖20,20の他端側背面に縫着されて面ファスナ22,22と係脱可能に係合する面ファスナ21,21とともに係合部材23,23を構成している。そして、袖20,20の一端側背面に袋用布39,39が縫着されることにより、ポケット開口26,26を有する収容ポケット25,25が形成される。これらの収容ポケット25,25内には保冷材27,27が収容される。
【0015】前身頃3の裾12の前側2ヶ所には、衣本体2に対し分離独立構成の脚着用筒体28,28が接合される。脚着用筒体28,28も袖20,20と同様、展開すると長尺帯状である。裾12,12には例えばボタンから成る接合部材13,13,13,13が取り付けられている。また、各脚着用筒体28の一端側上辺には、前記の接合部材13,13に係止される例えばゴム紐から成る接合部材36,36が縫着されている。
【0016】また、脚着用筒体28,28の一端側前面に面ファスナ30,30が縫着されている。これらの面ファスナ30,30は、脚着用筒体28,28の他端側背面に縫着されて面ファスナ30,30と係脱可能に係合する面ファスナ29,29とともに係合部材31,31を構成している。そして、脚着用筒体28,28の一端側背面に袋用布40,40が縫着されることにより、ポケット開口33,33を有する収容ポケット32,32が形成される。これらの収容ポケット32,32内には保冷材34,34が収容される。
【0017】上記した保冷材17,27,34は、例えば合成樹脂製の密封容器内に水、エチレングリコール、グリセリンなどの液体を封入したものであり、それぞれ収容ポケット15,25,32内に収容可能な大きさで使いやすい厚さに形成されている。
【0018】引続き、上記構成による体温冷却衣1を着用者(例えば熱のある幼児)に着せる態様を説明する。この体温冷却衣1はパジャマや普段着の上から着用される。使用にあたり、予め冷蔵庫などで冷やしておいた保冷材17,27,34がそれぞれ収容ポケット15,25,32に収容される。まず、図5に示すように、後身頃4をベッド上などに敷く。この後身頃4上に着用者を仰向けに寝かせ、脚着用筒体28,28と袖20,20を一体に取り付けた前身頃3を着用者の上に被せる。そして、脚着用筒体28,28を着用者の大腿に巻きつけ、面ファスナ29,29を面ファスナ30,30に係止させて脚着用筒体28,28を筒状に固定する。
【0019】次に、後身頃4の胴両側部を立てて着用者の胴体に沿わせる。一方、前身頃3の胴両側部は下向きにして面ファスナ6,6,6,6を後身頃4の面ファスナ7,7,7,7に係止して衣本体2とする。更に、袖20,20を着用者の上腕付け根に巻きつけ、面ファスナ21,21を面ファスナ22,22に係止させて筒状に固定する。尚、脚着用筒体28、前身頃3および後身頃4、袖20を係止する順序は上記の順に限らず、どれから先に係止しても構わない。逆に、脚着用筒体28、前身頃3および後身頃4、袖20のそれぞれの係合部材を外す場合も、順序は問わない。
【0020】そうして、肩部18,18および肩部8,8を着用者の頭部方向に引くと、図6に示すように、収容ポケット25が着用者の腋窩部38の対面に位置し、保冷材27は1枚の袋用布39を介して腋窩部38に密着する。また、脚着用筒体28,28の収容ポケット32,32(図5参照)は着用者の大腿付け根から大腿前部にわたる鼠蹊部37の対面位置に位置し、保冷材34は1枚の袋用布40(図2参照)を介して鼠蹊部37に密着する。この場合、鼠蹊部37には大腿動脈46(図8参照)が皮下近くを通っている。その状態で、係合部材35の面ファスナ19と面ファスナ9を係合させて、後身頃4の肩部18に前身頃3の肩部8を固定すると、体温冷却衣1の装着が完了する。
【0021】上記のように体温冷却衣1を着用すれば、収容ポケット15内の保冷材17により背中が広い面積で常に冷やされるので、確実に体温が下がる。因みに、盛夏の発熱であっても、体温冷却衣1を着用していれば、クーラーを作動させていないにも拘わらず背中が涼しく、知らず知らずのうちに昼寝していることがある。加えて、収容ポケット25内の保冷材27により着用者の腋窩部38が冷やされるので、腋窩動脈45(図8参照)を流れる血液を介して体全体の体温を迅速に低下させることができる。更には、収容ポケット32内の保冷材34により着用者の鼠蹊部37も冷やされるので、腋窩部38の場合と同様に体全体の体温をいっそう迅速に低下させることができる。尚、各袖20や各脚着用筒体28は展開状態で長尺帯状に形成されているので、上腕や大腿に保冷材27,34を密着させて装着することができる。この場合、脚着用筒体28,28は大腿に巻き付けられているから、保冷材34,34が着用者の腹部に当たることはない。そのため、保冷材34,34によりおなかを冷やしたりしない。
【0022】そして、体温冷却衣1は保冷材を入れる収容ポケットを複数有しているので、発熱の度合いに応じて、保冷材を入れる収容ポケットの数や位置を適宜選択できる。また、衣本体に対し、袖および脚着用筒体が分離独立、かつ、着脱自在に構成されているので、衣本体に取付けられる袖や脚着用筒体の数や位置も任意に選択することができる。
【0023】例えば、さほどの高熱でなく部屋を走り回っているような幼児の場合は、接合部材36(ゴム紐)を接合部材13(ボタン)から外し脚着用筒体28,28を衣本体2から取り外しておくと動きやすい。このように脚着用筒体28,28を外して使用すると、着用者の成長が早くても長期間使用できる。そして、面ファスナ9と面ファスナ19の係止位置を変えることにより、体の成長や体格に応じて肩部8,18の長さを調整することもできる。従って、この体温冷却衣1を用いると看護者が楽になる。例えば、母親が炊事その他の家事に専念しているときに、幼児はじっと寝ていなくても体温冷却衣1により半ば強制的に冷やされるのである。他方で、救急の場合は体温冷却衣1を着せたまま冷却しながら病院に搬送できるから、初期治療の一助となる。
【0024】尚、上記の実施形態では、前身頃、後身頃、袖、脚着用筒体を互いに分離独立に形成した例を示したが、本発明はそれに限定されるものでなく、例えば、前身頃と後身頃、衣本体と袖または脚着用筒体を、一体に製作したものでも構わない。また、対を成す面ファスナ同士、あるいはボタンとゴム紐で、係合部材や接合部材を構成したが、例えば、着脱可能なチャック、ホック、面ファスナ、ボタンとボタン穴、その他で係合部材や接合部材を代用することも可能である。また、袖ぐりにおける袖の接合位置は既述のように袖ぐりの下辺部に限らない。例えば、袖ぐりの上辺部、前辺部、後辺部、あるいは、全周にわたって接合してもよい。裾における脚着用筒体の接合位置も、既述したような裾前部に限らない。例えば、裾の両側部や後部に接合してよい。あるいは、裾の全周にわたり接合してズボン状に形成しても構わない。そして、衣本体、袖、および脚着用筒体を不織布などで構成するとともに、係合部材を粘着テープなどで構成すると、使い捨て製品として安価に提供される。尚、本発明の体温冷却衣を病院内で使用する場合は、院内感染を防ぐためにも前記のような使い捨てタイプのものが好ましい。
【0025】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る体温冷却衣によれば、保冷材の収容ポケットが衣本体の背中部分に設けられているので、立っているとき寝ているときを問わず保冷材が背中に密着し、かつ、面積の広い背中が冷やされるため、体温を効率よく低下させることができる。
【0026】また、衣本体の袖ぐりに接合された袖の腋窩部対面位置に保冷材の収容ポケットを設けた場合は、着用者の腋窩部を確実に冷やして体温を迅速に低下させることができる。
【0027】そして、衣本体の裾に接合された脚着用筒体の鼠蹊部対面位置に保冷材の収容ポケットを設けた場合は、着用者の鼠蹊部を確実に冷やして体温を迅速に低下させることができる。
【0028】更に、互いに分離独立した前身頃および後身頃と、前身頃と後身頃を係脱可能に係止する係合部材とから衣本体を構成した場合は、着用者が寝たままであっても、簡単に装着したり脱がせたりすることができ、介護や看護が極めて楽になる。
【出願人】 【識別番号】501440709
【氏名又は名称】宮田 三冬
【出願日】 平成13年11月13日(2001.11.13)
【代理人】 【識別番号】100047831
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 巌 (外1名)
【公開番号】 特開2002−371407(P2002−371407A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2001−346922(P2001−346922)