トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類




【発明の名称】 上着のポケット
【発明者】 【氏名】河合 正照

【要約】 【課題】携帯電話等の小さな物品を収納しても、容易に取り出しが可能であり、また、デザインバランスを崩すことなく比較的大きなサイズの手帳、地図帳、設計図等を収容できる上着のポケットを提供する。

【解決手段】ポケット1の内部に形成された内ポケット2と、該内ポケットの底部付近とポケット口部近傍間に設けられ内ポケットの無縫着自由端の底部近傍をポケット口部方向に引出すための引出し手段3とからなる上着のポケットである。引出し手段は帯片、紐、糸条、鎖条のいずれかであり、該引出し手段又は内ポケットとポケット底部間に復帰用弾性体8を設けて弾支した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポケットの内部に形成された内ポケットと、該内ポケットの底部付近とポケット口部近傍間に設けられ内ポケットの無縫着自由端の底部近傍をポケット口部方向に引出すための引出し手段とからなる上着のポケット。
【請求項2】 引出し手段が帯片、紐、糸条、鎖条のいずれかであり、該引出し手段又は内ポケットとポケット底部間に復帰用弾性体を設けて弾支した請求項1記載の上着のポケット。
【請求項3】 裾部に形成した多重布からなるベルト部の上部横方向に開口した開口部と、該開口部に設けたファスナーとからなることを特徴とする上着のポケット。
【請求項4】 フラップを有する胸ポケットの内側に該胸ポケットの内布に形成した切り込みをポケット口とする内側ポケットを設け、該内側ポケットの底部を胸ポケットの底部よりも深く形成したことを特徴とする上着のポケット。
【請求項5】 フラップを有する胸ポケットの内側に該胸ポケットの内布に形成した切り込みをポケット口としかつ該ポケット口にファスナーを有する内側ポケットを設け、隠しポケットとしたことを特徴とする上着のポケット。
【請求項6】 ポケット内側のポケット袋布の底縁と側縁の三方を前身頃に縫着一体化し、上方が開口した大型ポケットとしたことを特徴とする上着のポケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は上着のポケットの改良に関するものであって、小さい二つ折り型の携帯電話等の収納物品の取り出しを容易にしたり、野帳、地図等の大きなサイズの物品の収納を可能にしたポケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】携帯電話等の小収納物品をブルゾン上着等のポケット内へ収納している場合、ポケット内の深部(底部)へ存在することとなり、ポケットの内部深くまで指を突っ込まなければ取り出すことができない例がしばしば見られる。特に携帯電話では薄くかつ二つ折りタイプのものが多く出回るようになり、このようなことが生じている。これまでの上着の深いポケットでは指を入れづらく、携帯電話のサイズが変われば携帯電話専用ポケットの深さを電話のサイズに合わせて作ることは可能であるが、着用者の電話が変わるたびに服を変えなければならない必要が生じる。
【0003】携帯電話収納用に最適化を図ったポケットに関する特許出願や実用新案登録出願は多数みられる。ポケット内で弾性バンドによる固定を図るもの(特開平10-219507号)、従来のポケットの内側に専用ポケットを設けるもの(特開平11-81017号)、ポケットとその開口部を閉塞するフラップを電磁波シールド材で形成するもの(特開平11-286815号)などがある。しかしながら、ポケットに収容した携帯電話の取り出し方法に着目した出願はみられないようである。
【0004】硬貨のような小さな物は、財布や小銭(小物)入れ等に入れないで直接ポケットへ入れた状態では、所持者が動く度に跳ねるし、他の収納品と混ざって取り出しも容易でない。また、小銭入れ等に入れてポケットへ収容すると以外と嵩張るし、邪魔になる。
【0005】作業現場(土木建築現場等)では、野帳と称される縦16.5cm、横9cmくらいの縦のサイズが長い手帳が使用されている。その他、地図帳、設計図等の比較的大きなサイズのものを使用する例が多い。作業現場で着用する機会の多いブルゾン上着等の場合、胸部分に長い貼りポケット等を形成するとデザインバランス上好ましくない。通常はフラップをあけて、地図帳、設計図が露出した状態で作業している例が多い。そこで、デザインバランスを崩すことなく比較的大きなサイズの手帳、地図帳、設計図等を収容できるポケットの形成が必要とされる。
【0006】外観をよくするためや盗難防止のために上着の裏側に形成する隠しポケットについて多数の先行特許出願等が見られる。例えば、上着の表裏両面から取り出し可能にしたポケット(特許第3018230号)、ズボン等の腰裏部分に設けるもの(特開平8-113810号)、二重ポケットとして内側ポケットを大型に形成したもの(特開平9-302510号)、胸ポケット裏側に大型ポケットを設けたもの(特開平10-331014号)などが挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上着のポケットには上記のように多くの難点がある。そこで、携帯電話等の小さな物品を収納しても、容易な取り出しが可能であり、硬貨を安定に収容でき、また、デザインバランスを崩すことなく比較的大きなサイズの手帳、地図帳、設計図等を収容でき、更に、免許証のような貴重品を目立たない状態で保管できるような上着のポケットに関して検討した。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を検討した結果、ポケットの内部に形成された内ポケットと、該内ポケットの底部付近とポケット口部近傍間に設けられ内ポケット無縫着自由端の底部近傍をポケット口部方向に引出すための引出し手段とからなる上着のポケットとした。ここにいう引出し手段は帯片、紐、糸条、鎖条のいずれかが好ましい。加えて、該引出し手段又は内ポケットとポケット底部間に復帰用弾性体を設けて弾支したのである。復帰用弾性体として最も好ましいのは、ゴムバンドである。
【0009】また、裾部に形成した多重布からなるベルト部の上部横方向に開口した開口部と、該開口部に設けたファスナーとからなることを特徴とする上着のポケットとした。ベルト部の幅が小さいので硬貨(コイン)、鍵等の小物の収納に適したポケットである。
【0010】更に、フラップを有する胸ポケットの内側に該胸ポケットの内布に形成した切り込みをポケット口とする内側ポケットを設け、該内側ポケットの底部を胸ポケットの底部よりも深く形成したことを特徴とする上着のポケットとした。胸部分の貼りポケットはそのままにして、その内側にデザインバランスを崩すことなく比較的大きなサイズの手帳、地図帳、設計図等を収容できるポケットを形成したのである。ポケットは胸ポケットの内布に形成した切り込みをポケット口とするので、該胸ポケットのポケット口から内容物を取り出すことができる。また、胸ポケットがフラップを有するので、内布に形成した切り込みのポケット口が正面から見えない。したがって、胸ポケットの内側に比較的大きなポケットを形成していることが分からない、デザイン的に優れたものとなっている。
【0011】また、フラップを有する胸ポケットの内側に該胸ポケットの内布に形成した切り込みをポケット口としかつ該ポケット口にファスナーを有する内側ポケットを設けて、隠しポケットとした。この上着のポケットは、胸ポケットの内側に正面から見えない状態で存在し、かつ、ファスナーを有しているので、免許証、パスポート等の収納用隠しポケットとして最適である。
【0012】更に、ポケット内側のポケット袋布の底縁と側縁の三方を前身頃に縫着一体化し、上方が開口した大型ポケットとしたことを特徴とする上着のポケットとした。従来のポケット袋布は、単に上着の裏面においてポケット袋布を隠す程度で、前身頃裏面に外れない程度にポケット袋布を覆うように部分的に縫着しているに過ぎないものであった。このポケット袋布を流用して上着の裏側に大きな地図帳、設計図等を収容できる隠しポケットを形成したのである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明のポケットを有するブルゾン上着の正面図、図2は図1中P部の拡大図、図3は同部に相当する図1中A-A断面図である。図4は内ポケットを引出し手段によって胸ポケットの口部方向に引出した様子を示す断面図である。この実施例のポケット1は胸部分に貼りポケットとしての外観を呈するように設けている。その内部に小さい内ポケット2が底部近傍をポケット内へ無縫着の自由端とした状態で上方を開口して設けられている。内ポケット2の底部は携帯電話等の小物の物品10の下部をポケット1の底へ達した状態に支持するための機能を有しているので、内ポケット2の底部は必ずしも密閉されたものでなくてもよく、小物の物品が外れない程度であれば両側が穴あきやメッシュの状態でもよい。
【0014】この内ポケット2の底部とポケット1の口部近傍間に引出し手段3を設けている。引出し手段3は内ポケット2の底部に連結した引張りベルト4の上端をポケット1の口部に達するまで設けている。ポケット1の口部にはフラップ5が設けられているが、その縫着線の一部を無縫着にしてベルト挿通孔6を形成し、これより引張りベルト4の上端を突出させ、D環7を設けて引出し手段3としている。D環7を上へ引上げると、図4に見られるように、内ポケット2の底部が胸ポケット2の口部方向に引出され、携帯電話等の小物の物品10が胸ポケット2の口部へ上昇して取り出しやすくなるのである。引出し手段3の帯片は、紐、糸条、鎖条等の中から任意に選択して用いることができる。これらの上端部がポケット1内へ入ってしまわないようにリングや引張り片を設けておくとよい。
【0015】内ポケット2の底部は上記のような小物物品の取出し時を除いて常時ポケット1の底部に存在するのが好ましい。そのために、引出し手段3(又は内ポケット)とポケット1の底部間に復帰用弾性体8を設けている。復帰用弾性体8にはゴムバンドを用い、その一端を引張りベルト4の下方へ縫着すると共に、他端をポケット1の底部へ縫着している。図3は通常の状態であり、図4のように引出し手段3によって内ポケット2が引出されると復帰用弾性体8が緊張状態となり、内ポケット2を図2,3のような元の状態に復帰させようとするのである。
【0016】次に、図1中Q部に示すように、裾部に多重布によって形成されたベルト部9を利用して硬貨、鍵等の小物の収納に適したポケット11を形成している。これは、図5に断面図を示すが、ベルト部9の一部の多重縫いを省いて袋部を形成し、その部分の上部横方向に開口部12を設け、該開口部12にファスナー13を設けた構造である。ベルト部の幅が小さいので硬貨(コイン)14、鍵等の小物の収納に適した隠しポケットである。
【0017】図6と図7は胸ポケットの内布に形成した切り込みをポケット口とする内側ポケットを設けた例の断面図である。図6の例は前述したと同様の貼りポケット構造のポケット1の背部へ内側ポケット15を形成している。この例ではポケット1の内布16は上着の前身頃17を利用している。内側ポケット15はフラップ5を有する胸ポケット1の内側に該胸ポケットの内布16に形成した切り込みをポケット口18としている。該内側ポケット15の底部は胸ポケット1の底部よりも深く形成して、地図帳、設計図等を収容できるポケットとしたのである。この内側ポケット15は、胸ポケット1のポケット口1aから内容物を取り出すことができるにもかかわらず、胸ポケット1のフラップ5の存在によって、内布に形成した切り込みのポケット口が正面から見えない。したがって、胸ポケット1の内側に比較的大きなポケットを形成しているが、隠しポケットとなって、正面から存在が分からないデザイン的に優れたものとなっている。
【0018】図7の例も、フラップ5を有する胸ポケット1の内側に該胸ポケットの内布16に形成した切り込みをポケット口18とし、かつ該ポケット口18にファスナー19を有する内側ポケット20を設けて、隠しポケットとしている。この上着のポケット20は底部が胸ポケット1の底部ほどには深くなく、ポケットの存在も正面から分からないので、免許証などそれほど大きくない貴重品の収納用ポケットとして有用である。
【0019】図8は図1中R部の内側、すなわち前身頃の一部背面図である。図9は図8中C-C断面図である。また、図10は図8に相当する従来の前身頃の一部背面図である。図10にみられるように、ブルゾン上着の両脇の斜めポケット21,21は背面から見えないように、内側にポケット袋布22が取れない程度に要所を数カ所縫着して取り付けられている。これはあくまでもデザイン上、斜めポケット21のポケット布を見えなくすることや、保護カバーとして設けたものであった。しかし、本発明では、ポケット袋布22の底縁22aと両側の側縁22b,22cの三方を前身頃17に縫着一体化して、上方にポケット口23が大きく開口した大型ポケット24としたのである。地図帳、設計図等の比較的大きなサイズのものを幾重にも折り畳むことなく入れることができて、現場作業等に重宝されるポケットとなっている。
【0020】
【発明の効果】上着のポケットを本発明の構造としたことによって、(1) 携帯電話等の小収納物品をブルゾン上着等のポケット内へ収納している場合でも、ポケットの内部深くまで指を突っ込まなくても容易に取り出すことができることとなった。
(2) 硬貨、鍵等の小物の収納に適した隠しポケットができた。
(3) 貼りポケットはそのままにして、デザインバランスを崩すことなくその内側に比較的大きなサイズの手帳、地図帳、設計図等を収容できることとなった。
(4) 胸ポケットの内側に正面から分からない状態で免許証、パスポート等の収納を可能にした。
(5) 比較的大きなサイズの地図帳、設計図等を幾重にも折り畳むことなく上着の内部へ収納できるようになった。
【出願人】 【識別番号】592142728
【氏名又は名称】明石被服興業株式会社
【出願日】 平成13年5月31日(2001.5.31)
【代理人】 【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎 (外2名)
【公開番号】 特開2002−363812(P2002−363812A)
【公開日】 平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願番号】 特願2001−164309(P2001−164309)